障害者の雇用の促進等に関する法律

# 昭和三十五年法律第百二十三号 #
略称 : 障害者雇用促進法 

第二節 障害者雇用調整金の支給等及び障害者雇用納付金の徴収

分類 法律
カテゴリ   労働
@ 施行日 : 令和四年十二月十六日 ( 2022年 12月16日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第百四号による改正
最終編集日 : 2023年 02月01日 18時21分


第一款 障害者雇用調整金の支給等

1項

厚生労働大臣は、対象障害者の雇用に伴う経済的負担の調整 並びにその雇用の促進 及び継続を図るため、次に掲げる業務(以下「納付金関係業務」という。)を行う。

一 号

事業主(特殊法人を除く。以下 この節 及び第四節において同じ。)で次条第一項の規定に該当するものに対して、同項の障害者雇用調整金を支給すること。

一の二 号

特に短い労働時間以外での労働が困難な状態にある対象障害者を特定短時間労働者(短時間労働者のうち、一週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間の範囲内にある者をいう。以下 この号において同じ。)として雇い入れる事業主又は対象障害者である特定短時間労働者を雇用する事業主に対して、これらの者の雇入れ 又は雇用の継続の促進を図るための特例給付金を支給すること。

二 号

対象障害者を労働者として雇い入れる事業主 又は対象障害者である労働者を雇用する事業主に対して、これらの者の雇入れ 又は雇用の継続のために必要となる施設 又は設備の設置 又は整備に要する費用に充てるための助成金を支給すること。

三 号

対象障害者である労働者を雇用する事業主 又は当該事業主の加入している事業主の団体に対して、対象障害者である労働者の福祉の増進を図るための施設の設置 又は整備に要する費用に充てるための助成金を支給すること。

四 号

対象障害者である労働者を雇用する事業主であつて、次のいずれかを行うものに対して、その要する費用に充てるための助成金を支給すること。

身体障害者 又は精神障害者となつた労働者の雇用の継続のために必要となる当該労働者が職場に適応することを容易にするための措置

対象障害者である労働者の雇用に伴い必要となる介助 その他 その雇用の安定を図るために必要な業務(対象障害者である労働者の通勤を容易にするための業務を除く)を行う者を置くこと(次号ロに掲げるものを除く)。

四の二 号

対象障害者に対する職場適応援助者による援助であつて、次のいずれかを行う者に対して、その要する費用に充てるための助成金を支給すること。

社会福祉法第二十二条に規定する社会福祉法人 その他対象障害者の雇用の促進に係る事業を行う法人が行う職場適応援助者による援助の事業

対象障害者である労働者を雇用する事業主が対象障害者である労働者の雇用に伴い必要となる援助を行う職場適応援助者を置くこと。

五 号

身体障害者(重度身体障害者 その他の厚生労働省令で定める身体障害者に限る。以下 この号において同じ。)、 知的障害者 若しくは精神障害者である労働者を雇用する事業主 又は当該事業主の加入している事業主の団体に対して、身体障害者、知的障害者 又は精神障害者である労働者の通勤を容易にするための措置に要する費用に充てるための助成金を支給すること。

六 号

重度身体障害者、知的障害者 又は精神障害者である労働者を多数雇用する事業所の事業主に対して、当該事業所の事業の用に供する施設 又は設備の設置 又は整備に要する費用に充てるための助成金を支給すること。

七 号

対象障害者の職業に必要な能力を開発し、及び向上させるための教育訓練(厚生労働大臣が定める基準に適合するものに限る。以下 この号において同じ。)の事業を行う次に掲げるものに対して、当該事業に要する費用に充てるための助成金を支給すること並びに対象障害者である労働者を雇用する事業主に対して、対象障害者である労働者の教育訓練の受講を容易にするための措置に要する費用に充てるための助成金を支給すること。

事業主 又は その団体

学校教育法昭和二十二年法律第二十六号第百二十四条に規定する専修学校 又は同法第百三十四条第一項に規定する各種学校を設置する私立学校法昭和二十四年法律第二百七十号)第三条に規定する学校法人 又は同法第六十四条第四項に規定する法人

社会福祉法第二十二条に規定する社会福祉法人

その他対象障害者の雇用の促進に係る事業を行う法人
八 号

障害者の技能に関する競技大会に係る業務を行うこと。

九 号

対象障害者の雇用に関する技術的事項についての研究、調査 若しくは講習の業務 又は対象障害者の雇用について事業主 その他国民一般の理解を高めるための啓発の業務を行うこと(前号に掲げる業務を除く)。

十 号

第五十三条第一項に規定する障害者雇用納付金の徴収を行うこと。

十一 号

前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。

2項

厚生労働大臣は、前項各号に掲げる業務の全部 又は一部を機構に行わせるものとする。

1項

機構は、政令で定めるところにより、各年度(四月一日から 翌年三月三十一日までをいう。以下同じ。)ごとに、第五十四条第二項に規定する調整基礎額に当該年度に属する各月(当該年度の中途に事業を開始し、又は廃止した事業主にあつては、当該事業を開始した日の属する月の翌月以後の各月 又は当該事業を廃止した日の属する月の前月以前の各月に限る。以下同じ。)ごとの初日におけるその雇用する対象障害者である労働者の数の合計数を乗じて得た額が同条第一項の規定により算定した額を超える事業主に対して、その差額に相当する額を当該調整基礎額で除して得た数を単位調整額に乗じて得た額に相当する金額を、当該年度分の障害者雇用調整金(以下「調整金」という。)として支給する。

2項

前項の単位調整額は、事業主がその雇用する労働者の数に第五十四条第三項に規定する基準雇用率を乗じて得た数を超えて新たに対象障害者である者を雇用するものとした場合に当該対象障害者である者一人につき通常追加的に必要とされる一月当たり同条第二項に規定する特別費用の額の平均額を基準として、政令で定める金額とする。

3項

第四十三条第八項の規定は、前項の雇用する労働者の数の算定について準用する。

4項

第四十五条の二第四項から 第六項までの規定は 第一項の対象障害者である労働者の数の算定について、第四十八条第八項の規定は親事業主、 関係親事業主 又は特定組合等に係る第一項の規定の適用について準用する。

5項

親事業主、関係親事業主 又は特定組合等に係る第一項の規定の適用については、機構は、厚生労働省令で定めるところにより、当該親事業主、当該子会社 若しくは当該関係会社、当該関係親事業主 若しくは当該関係子会社 又は当該特定組合等 若しくは当該特定事業主に対して調整金を支給することができる。

6項

第二項から 前項までに定めるもののほか、法人である事業主が合併した場合 又は個人である事業主について相続(包括遺贈を含む。第六十八条において同じ。)があつた場合における調整金の額の算定の特例 その他調整金に関し必要な事項は、政令で定める。

1項

機構は、厚生労働省令で定める支給要件、支給額 その他の支給の基準に従つて第四十九条第一項第一号の二の特例給付金 及び同項第二号から 第七号までの助成金を支給する。

2項

前項の特例給付金 及び助成金の支給については、対象障害者の職業の安定を図るため講じられるその他の措置と相まつて、対象障害者の雇用が最も効果的かつ効率的に促進され、及び継続されるように配慮されなければならない。

1項

機構は、第四十九条第一項第十号に掲げる業務に関して必要な限度において、事業主に対し、対象障害者である労働者の雇用の状況 その他の事項についての文書 その他の物件の提出を求めることができる。

2項

機構は、納付金関係業務に関し必要があると認めるときは、事業主、その団体、第四十九条第一項第四号の二イに規定する法人 又は同項第七号ロから ニまでに掲げる法人に対し、必要な事項についての報告を求めることができる。

第二款 障害者雇用納付金の徴収

1項

機構は、第四十九条第一項第一号の調整金、同項第一号の二の特例給付金 及び同項第二号から 第七号までの助成金の支給に要する費用、同項第八号 及び第九号の業務の実施に要する費用 並びに同項各号に掲げる業務に係る事務の処理に要する費用に充てるため、この款に定めるところにより、事業主から、毎年度、障害者雇用納付金(以下「納付金」という。)を徴収する。

2項
事業主は、納付金を納付する義務を負う。
1項

事業主が納付すべき納付金の額は、各年度につき、調整基礎額に、当該年度に属する各月ごとにその初日におけるその雇用する労働者の数に基準雇用率を乗じて得た数(その数に一人未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。)の合計数を乗じて得た額とする。

2項

前項の調整基礎額は、事業主がその雇用する労働者の数に基準雇用率を乗じて得た数に達するまでの数の対象障害者である者を雇用するものとした場合に当該対象障害者である者一人につき通常必要とされる一月当たりの特別費用(対象障害者である者を雇用する場合に必要な施設 又は設備の設置 又は整備 その他の対象障害者である者の適正な雇用管理に必要な措置に通常要する費用 その他対象障害者である者を雇用するために特別に必要とされる費用をいう。)の額の平均額を基準として、政令で定める金額とする。

3項

前二項の基準雇用率は、労働者の総数に対する対象障害者である労働者の総数の割合を基準として設定するものとし、少なくとも五年ごとに、当該割合の推移を勘案して政令で定める。

4項

第四十三条第八項の規定は、第一項 及び第二項の雇用する労働者の数 並びに前項の労働者の総数の算定について準用する。

5項

第四十五条の二第四項から 第六項までの規定は第三項の対象障害者である労働者の総数の算定について、第四十八条第八項の規定は 親事業主、関係親事業主 又は特定組合等に係る第一項の規定の適用について準用する。

1項

前条第一項の場合において、当該事業主が当該年度において対象障害者である労働者を雇用しており、かつ、同条第二項に規定する調整基礎額に当該年度に属する各月ごとの初日における当該事業主の雇用する対象障害者である労働者の数の合計数を乗じて得た額が同条第一項の規定により算定した額に達しないときは、当該事業主が納付すべき納付金の額は、同項の規定にかかわらず、その差額(第七十四条の二第四項 及び第五項において「算定額」という。)に相当する金額とする。

2項

前条第一項の場合において、当該事業主が当該年度において対象障害者である労働者を雇用しており、かつ、同条第二項に規定する調整基礎額に当該年度に属する各月ごとの初日における当該事業主の雇用する対象障害者である労働者の数の合計数を乗じて得た額が同条第一項の規定により算定した額以上であるときは、当該事業主については、同項の規定にかかわらず、納付金は、徴収しない。

3項

第四十五条の二第四項から 第六項までの規定は前二項の対象障害者である労働者の数の算定について、第四十八条第八項の規定は 親事業主、関係親事業主 又は特定組合等に係る前二項の規定の適用について準用する。

1項

事業主は、各年度ごとに、当該年度に係る納付金の額 その他の厚生労働省令で定める事項を記載した申告書を翌年度の初日(当該年度の中途に事業を廃止した事業主にあつては、当該事業を廃止した日)から四十五日以内機構に提出しなければならない。

2項

事業主は、前項申告に係る額の納付金を、同項申告書の提出期限までに納付しなければならない。

3項

第一項の申告書には、当該年度に属する各月ごとの初日における各事業所ごとの労働者の数 及び対象障害者である労働者の数 その他の厚生労働省令で定める事項を記載した書類を添付しなければならない。

4項

機構は、事業主が第一項の申告書の提出期限までに同項の申告書を提出しないとき、又は同項の申告書の記載に誤りがあると認めたときは、納付金の額を決定し、事業主に納入の告知をする。

5項

前項の規定による納入の告知を受けた事業主は、第一項の申告書を提出していないとき(納付すべき納付金の額がない旨の記載をした申告書を提出しているときを含む。)は前項の規定により機構が決定した額の納付金の全額を、第一項の申告に係る納付金の額が前項の規定により機構が決定した納付金の額に足りないときは その不足額を、その通知を受けた日から十五日以内機構に納付しなければならない。

6項

事業主が納付した納付金の額が、第四項の規定により機構が決定した納付金の額を超える場合には、機構は、その超える額について、未納の納付金 その他 この款の規定による徴収金があるときは これに充当し、なお残余があれば還付し、未納の納付金 その他 この款の規定による徴収金がないときは これを還付しなければならない。

7項

第四十八条第八項の規定は、親事業主、関係親事業主 又は特定組合等に係る第一項第三項 及び第四項の規定の適用について準用する。


この場合において、

同条第八項
とみなす」とあるのは、
「と、当該子会社 及び当該関係会社の事業所は当該親事業主の事業所と、当該関係子会社の事業所は当該関係親事業主の事業所と、当該特定事業主の事業所は当該特定組合等の事業所とみなす」と

読み替えるものとする。

1項

機構は、厚生労働省令で定めるところにより、事業主の申請に基づき、当該事業主の納付すべき納付金を延納させることができる。

1項

機構は、事業主が第五十六条第五項の規定による納付金の全額 又は その不足額を納付しなければならない場合には、その納付すべき額(その額に千円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。)に百分の十を乗じて得た額の追徴金を徴収する。


ただし、事業主が天災 その他やむを得ない理由により、同項の規定による納付金の全額 又は その不足額を納付しなければならなくなつた場合は、この限りでない。

2項

前項の規定にかかわらず同項に規定する納付金の全額 又は その不足額が千円未満であるときは、同項の規定による追徴金は、徴収しない。

3項

機構は、第一項の規定により追徴金を徴収する場合には、厚生労働省令で定めるところにより、事業主に対して、期限を指定して、その納付すべき追徴金の額を通知しなければならない。

1項

納付金 その他 この款の規定による徴収金を納付しない者があるときは、機構は、期限を指定して督促しなければならない。

2項

前項の規定により督促するときは、機構は、納付義務者に対して督促状を発する。


この場合において、督促状により指定すべき期限は、督促状を発する日から起算して十日以上経過した日でなければならない。

3項

第一項の規定による督促を受けた者がその指定の期限までに納付金 その他 この款の規定による徴収金を完納しないときは、機構は、厚生労働大臣の認可を受けて、国税滞納処分の例により、滞納処分をすることができる。

1項

前条第一項の規定により納付金の納付を督促したときは、機構は、その督促に係る納付金の額につき年十四・五パーセントの割合で、納付期限の翌日から その完納 又は財産差押えの日の前日までの日数により計算した延滞金を徴収する。


ただし、督促に係る納付金の額が千円未満であるときは、この限りでない。

2項

前項の場合において、納付金の額の一部につき納付があつたときは、その納付の日以降の期間に係る延滞金の額の計算の基礎となる納付金の額は、その納付のあつた納付金の額を控除した額とする。

3項

延滞金の計算において、前二項の納付金の額に千円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。

4項

前三項の規定によつて計算した延滞金の額に百円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。

5項

延滞金は、次の各号いずれかに該当する場合には、徴収しない。


ただし第四号の場合には、その執行を停止し、又は猶予した期間に対応する部分の金額に限る

一 号
督促状に指定した期限までに納付金を完納したとき。
二 号

納付義務者の住所 又は居所がわからないため、 公示送達の方法によつて督促したとき。

三 号

延滞金の額が百円未満であるとき。

四 号

納付金について滞納処分の執行を停止し、又は猶予したとき。

五 号

納付金を納付しないことについてやむを得ない理由があると認められるとき。

1項

納付金 その他 この款の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税 及び地方税に次ぐものとする。

1項

納付金 その他 この款の規定による徴収金は、この款に別段の定めがある場合を除き、 国税徴収の例により徴収する。

1項

納付金 その他 この款の規定による徴収金を徴収し、又は その還付を受ける権利は、これらを行使することができる時から二年を経過したときは、時効によつて消滅する。

2項

機構が行う納付金 その他 この款の規定による徴収金の納入の告知 又は第五十九条第一項の規定による督促は、時効の更新の効力を生ずる。

1項

機構が徴収した納付金 その他 この款の規定による徴収金は、機構の収入とする。

1項

納付金 その他 この款の規定による徴収金の賦課 又は徴収の処分について不服がある者は、厚生労働大臣に対して審査請求をすることができる。


この場合において、厚生労働大臣は、行政不服審査法平成二十六年法律第六十八号第二十五条第二項 及び第三項第四十六条第一項 並びに第四十七条の規定の適用については、機構の上級行政庁とみなす。

1項

納付金 その他 この款の規定による徴収金の賦課 又は徴収の処分については、行政手続法平成五年法律第八十八号第二章 及び第三章の規定は、適用しない

1項

この款に定めるもののほか、法人である事業主が合併した場合 又は個人である事業主について相続があつた場合における納付金の額の算定の特例 その他 この款に定める納付金 その他の徴収金に関し必要な事項は、政令で定める。