この法律は、労働条件 その他労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争(労働者の募集 及び採用に関する事項についての個々の求職者と事業主との間の紛争を含む。以下「個別労働関係紛争」という。)について、あっせんの制度を設けること等により、その実情に即した迅速かつ適正な解決を図ることを目的とする。
個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律
個別労働関係紛争が生じたときは、当該個別労働関係紛争の当事者は、早期に、かつ、誠意をもって、自主的な解決を図るように努めなければならない。
都道府県労働局長は、個別労働関係紛争を未然に防止し、及び個別労働関係紛争の自主的な解決を促進するため、労働者、求職者 又は事業主に対し、労働関係に関する事項 並びに労働者の募集 及び採用に関する事項についての情報の提供、相談 その他の援助を行うものとする。
都道府県労働局長は、個別労働関係紛争(労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)第六条に規定する労働争議に当たる紛争 及び行政執行法人の労働関係に関する法律(昭和二十三年法律第二百五十七号)第二十六条第一項に規定する紛争を除く。)に関し、当該個別労働関係紛争の当事者の双方 又は一方から その解決につき援助を求められた場合には、当該個別労働関係紛争の当事者に対し、必要な助言 又は指導をすることができる。
都道府県労働局長は、前項に規定する助言 又は指導をするため必要があると認めるときは、広く産業社会の実情に通じ、かつ、労働問題に関し専門的知識を有する者の意見を聴くものとする。
事業主は、労働者が第一項の援助を求めたことを理由として、当該労働者に対して解雇 その他不利益な取扱いをしてはならない。
都道府県労働局長は、前条第一項に規定する個別労働関係紛争(労働者の募集 及び採用に関する事項についての紛争を除く。)について、当該個別労働関係紛争の当事者(以下「紛争当事者」という。)の双方 又は一方からあっせんの申請があった場合において当該個別労働関係紛争の解決のために必要があると認めるときは、紛争調整委員会にあっせんを行わせるものとする。
前条第三項の規定は、労働者が前項の申請をした場合について準用する。
都道府県労働局に、紛争調整委員会(以下「委員会」という。)を置く。
委員会は、前条第一項のあっせんを行う機関とする。
委員会は、三人以上政令で定める人数以内の委員をもって組織する。
委員は、学識経験を有する者のうちから、厚生労働大臣が任命する。
委員会に会長を置き、委員の互選により選任する。
会長は会務を総理する。
会長に事故があるときは、委員のうちから あらかじめ互選された者がその職務を代理する。
委員の任期は、二年とする。
ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
委員は、再任されることができる。
委員は、後任の委員が任命されるまでその職務を行う。
委員は、非常勤とする。
次の各号のいずれかに該当する者は、委員となることができない。
破産者で復権を得ないもの
禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は その執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
委員が前項各号のいずれかに該当するに至ったときは、当然失職する。
厚生労働大臣は、委員が次の各号のいずれかに該当するときは、その委員を解任することができる。
心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
職務上の義務違反 その他委員たるに適しない非行があると認められるとき。
委員会の会議は、会長が招集する。
委員会は、会長 又は第七条第五項の規定により会長を代理する者のほか、委員の過半数が出席しなければ、会議を開き、議決をすることができない。
委員会の議事は、出席者の過半数をもって決する。
可否同数のときは、会長が決する。
委員会によるあっせんは、委員のうちから会長が事件ごとに指名する三人のあっせん委員によって行う。
あっせん委員は、紛争当事者間をあっせんし、双方の主張の要点を確かめ、 実情に即して事件が解決されるように努めなければならない。
あっせん委員は、紛争当事者から意見を聴取するほか、必要に応じ、参考人から意見を聴取し、又は これらの者から意見書の提出を求め、 事件の解決に必要なあっせん案を作成し、これを紛争当事者に提示することができる。
前項のあっせん案の作成は、あっせん委員の全員一致をもって行うものとする。
あっせん委員は、紛争当事者からの申立てに基づき必要があると認めるときは、当該委員会が置かれる都道府県労働局の管轄区域内の主要な労働者団体 又は事業主団体が指名する関係労働者を代表する者 又は関係事業主を代表する者から当該事件につき意見を聴くものとする。
あっせん委員は、あっせんに係る紛争について、あっせんによっては紛争の解決の見込みがないと認めるときは、あっせんを打ち切ることができる。
前条の規定によりあっせんが打ち切られた場合において、当該あっせんの申請をした者がその旨の通知を受けた日から三十日以内にあっせんの目的となった請求について訴えを提起したときは、時効の完成猶予に関しては、あっせんの申請の時に、訴えの提起があったものとみなす。
委員会は、当該委員会に係属している事件の解決のために必要があると認めるときは、関係行政庁に対し、資料の提供 その他必要な協力を求めることができる。
委員会は、都道府県労働局長に対し、厚生労働省令で定めるところにより、あっせんの状況について報告しなければならない。
この法律に定めるもののほか、 委員会 及びあっせんの手続に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
地方公共団体は、国の施策と相まって、当該地域の実情に応じ、個別労働関係紛争を未然に防止し、及び個別労働関係紛争の自主的な解決を促進するため、 労働者、求職者 又は事業主に対する情報の提供、相談、あっせん その他の必要な施策を推進するように努めるものとする。
国は、地方公共団体が実施する前項の施策を支援するため、 情報の提供 その他の必要な措置を講ずるものとする。
第一項の施策として、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百八十条の二の規定に基づく都道府県知事の委任を受けて都道府県労働委員会が行う場合には、中央労働委員会は、当該都道府県労働委員会に対し、必要な助言 又は指導をすることができる。
船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)第六条第一項に規定する船員 及び同項に規定する船員になろうとする者に関しては、
第三条、第四条第一項 及び第二項 並びに第五条第一項中
「都道府県労働局長」とあるのは
「地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)」と、
同項中
「紛争調整委員会」とあるのは
「第二十一条第三項のあっせん員候補者名簿に記載されている者のうちから 指名するあっせん員」と
する。
前項の規定により読み替えられた第五条第一項の規定により指名を受けてあっせん員が行うあっせんについては、第六条から 第十九条までの規定は、適用しない。
地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)は、第一項の規定により読み替えられた第五条第一項の規定により指名するあっせん員にあっせんを行わせるため、二年ごとに、学識経験を有する者のうちから あっせん員候補者三人以上を委嘱し、あっせん員候補者名簿を作成しておかなければならない。
第九条 及び第十二条から 第十九条までの規定は、第二項のあっせんについて準用する。
この場合において、
第九条第一項中
「委員」とあるのは
「あっせん員候補者」と、
同条第二項中
「委員」とあるのは
「あっせん員 又はあっせん員候補者」と、
「当然失職する」とあるのは
「その地位を失う」と、
第十二条から 第十五条までの規定中
「あっせん委員」とあり、並びに第十二条第一項、第十八条 及び第十九条中
「委員会」とあるのは
「あっせん員」と、
第十二条第一項中
「委員の」とあるのは
「あっせん員候補者名簿に記載されている者の」と、
「会長」とあるのは
「当該あっせん員候補者名簿を作成した地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)」と、
第十四条中
「当該委員会が置かれる都道府県労働局」とあるのは
「当該あっせん員を指名した地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)が置かれる地方運輸局(運輸監理部を含む。)」と、
第十七条中
「委員会は」とあるのは
「あっせん員は」と、
「当該委員会に係属している」とあるのは
「当該あっせん員が取り扱っている」と、
第十八条中
「都道府県労働局長」とあるのは
「地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)」と、
同条 及び第十九条中
「厚生労働省令」とあるのは
「国土交通省令」と
読み替えるものとする。
第一項の規定により読み替えられた第三条、第四条第一項 及び第二項 並びに第五条第一項 並びに前項の規定により読み替えて準用される第十八条に規定する地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)の権限は、国土交通省令で定めるところにより、運輸支局長 又は地方運輸局、運輸監理部 若しくは運輸支局の事務所の長に委任することができる。
この法律は、国家公務員 及び地方公務員については、適用しない。
ただし、行政執行法人の労働関係に関する法律第二条第二号の職員、地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)第十五条第一項の企業職員、地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第四十七条の職員 及び地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第五十七条に規定する単純な労務に雇用される一般職に属する地方公務員であって地方公営企業等の労働関係に関する法律(昭和二十七年法律第二百八十九号)第三条第四号の職員以外のものの勤務条件に関する事項についての紛争については、この限りでない。