この法律は、国が、少子高齢化による人口構造の変化等の経済社会情勢の変化に対応して、労働に関し、その政策全般にわたり、必要な施策を総合的に講ずることにより、労働市場の機能が適切に発揮され、労働者の多様な事情に応じた雇用の安定 及び職業生活の充実 並びに労働生産性の向上を促進して、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、これを通じて、労働者の職業の安定と経済的社会的地位の向上とを図るとともに、経済 及び社会の発展 並びに完全雇用の達成に資することを目的とする。
労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律
第一章 総則
この法律の運用に当たつては、労働者の職業選択の自由 及び事業主の雇用の管理についての自主性を尊重しなければならず、また、職業能力の開発 及び向上を図り、職業を通じて自立しようとする労働者の意欲を高め、かつ、労働者の職業を安定させるための事業主の努力を助長するように努めなければならない。
この法律において「職業紹介機関」とは、公共職業安定所(職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)の規定により公共職業安定所の業務の一部を分担する学校の長を含む。)、同法の規定により無料の職業紹介事業を行う地方公共団体 及び同法の規定により許可を受けて、又は届出をして職業紹介事業を行う者をいう。
労働者は、その職業生活の設計が適切に行われ、並びにその設計に即した能力の開発 及び向上 並びに転職に当たつての円滑な再就職の促進 その他の措置が効果的に実施されることにより、職業生活の全期間を通じて、その職業の安定が図られるように配慮されるものとする。
労働者は、職務の内容 及び職務に必要な能力、経験 その他の職務遂行上必要な事項(以下 この項において「能力等」という。)の内容が明らかにされ、並びにこれらに即した評価方法により能力等を公正に評価され、当該評価に基づく処遇を受けること その他の適切な処遇を確保するための措置が効果的に実施されることにより、その職業の安定が図られるように配慮されるものとする。
国は、第一条第一項の目的を達成するため、前条に規定する基本的理念に従つて、次に掲げる事項について、総合的に取り組まなければならない。
各人が生活との調和を保ちつつ その意欲 及び能力に応じて就業することを促進するため、労働時間の短縮 その他の労働条件の改善、多様な就業形態の普及 及び雇用形態 又は就業形態の異なる労働者の間の均衡のとれた待遇の確保に関する施策を充実すること。
各人がその有する能力に適合する職業に就くことをあつせんするため、及び産業の必要とする労働力を充足するため、職業指導 及び職業紹介に関する施策を充実すること。
各人がその有する能力に適し、かつ、技術の進歩、産業構造の変動等に即応した技能 及びこれに関する知識を習得し、これらにふさわしい評価を受けることを促進するため、職業訓練 及び職業能力検定に関する施策を充実すること。
就職が困難な者の就職を容易にし、かつ、労働力の需給の不均衡を是正するため、労働者の職業の転換、地域間の移動、職場への適応等を援助するために必要な施策を充実すること。
事業規模の縮小等(事業規模 若しくは事業活動の縮小 又は事業の転換 若しくは廃止をいう。以下同じ。)の際に、失業を予防するとともに、離職を余儀なくされる労働者の円滑な再就職を促進するために必要な施策を充実すること。
労働者の職業選択に資するよう、雇用管理 若しくは採用の状況 その他の職場に関する事項 又は職業に関する事項の情報の提供のために必要な施策を充実すること。
女性の職業 及び子の養育 又は家族の介護を行う者の職業の安定を図るため、雇用の継続、円滑な再就職の促進、母子家庭の母 及び父子家庭の父 並びに寡婦の雇用の促進 その他のこれらの者の就業を促進するために必要な施策を充実すること。
青少年の職業の安定を図るため、職業についての青少年の関心と理解を深めるとともに、雇用管理の改善の促進、実践的な職業能力の開発 及び向上の促進 その他の青少年の雇用を促進するために必要な施策を充実すること。
高年齢者の職業の安定を図るため、高年齢者雇用確保措置等の円滑な実施の促進、再就職の促進、多様な就業機会の確保 その他の高年齢者がその年齢にかかわりなく その意欲 及び能力に応じて就業することができるようにするために必要な施策を充実すること。
疾病、負傷 その他の理由により治療を受ける者の職業の安定を図るため、雇用の継続、離職を余儀なくされる労働者の円滑な再就職の促進 その他の治療の状況に応じた就業を促進するために必要な施策を充実すること。
障害者の職業の安定を図るため、雇用の促進、職業リハビリテーションの推進 その他の障害者がその職業生活において自立することを促進するために必要な施策を充実すること。
不安定な雇用状態の是正を図るため、雇用形態 及び就業形態の改善等を促進するために必要な施策を充実すること。
高度の専門的な知識 又は技術を有する外国人(日本の国籍を有しない者をいう。以下この条において同じ。)の我が国における就業を促進するとともに、労働に従事することを目的として在留する外国人について、適切な雇用機会の確保が図られるようにするため、雇用管理の改善の促進 及び離職した場合の再就職の促進を図るために必要な施策を充実すること。
地域的な雇用構造の改善を図るため、雇用機会が不足している地域における労働者の雇用を促進するために必要な施策を充実すること。
職場における労働者の就業環境を害する言動に起因する問題の解決を促進するために必要な施策を充実すること。
前各号に掲げるもののほか、職業の安定、産業の必要とする労働力の確保等に資する雇用管理の改善の促進 その他 労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするために必要な施策を充実すること。
国は、前項各号に掲げる施策 及びこれに関連する施策の充実に取り組むに際しては、国民経済の健全な発展、それに即応する企業経営の基盤の改善、地域振興等の諸施策と相まつて、雇用機会の着実な増大 及び地域間における就業機会等の不均衡の是正を図るとともに、労働者がその有する能力を有効に発揮することの妨げとなつている雇用慣行の是正を期するように配慮しなければならない。
国は、第一項第十三号に規定する施策の充実に取り組むに際しては、外国人の入国 及び在留の管理に関する施策と相まつて、外国人の不法就労活動(出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第二十四条第三号の四イに規定する不法就労活動をいう。)を防止し、労働力の不適正な供給が行われないようにすることにより、労働市場を通じた需給調整の機能が適切に発揮されるよう努めなければならない。
地方公共団体は、国の施策と相まつて、当該地域の実情に応じ、労働に関する必要な施策を講ずるように努めなければならない。
事業主は、その雇用する労働者の労働時間の短縮 その他の労働条件の改善 その他の労働者が生活との調和を保ちつつ その意欲 及び能力に応じて就業することができる環境の整備に努めなければならない。
事業主は、事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者について、当該労働者が行う求職活動に対する援助 その他の再就職の援助を行うことにより、その職業の安定を図るように努めなければならない。
事業主は、外国人(日本の国籍を有しない者をいい、厚生労働省令で定める者を除く。以下同じ。)が我が国の雇用慣行に関する知識 及び求職活動に必要な雇用に関する情報を十分に有していないこと等にかんがみ、その雇用する外国人がその有する能力を有効に発揮できるよう、職業に適応することを容易にするための措置の実施 その他の雇用管理の改善に努めるとともに、その雇用する外国人が解雇(自己の責めに帰すべき理由によるものを除く。)その他の厚生労働省令で定める理由により離職する場合において、当該外国人が再就職を希望するときは、求人の開拓 その他 当該外国人の再就職の援助に関し必要な措置を講ずるように努めなければならない。
厚生労働大臣は、前条に定める事項に関し、事業主が適切に対処するために必要な指針を定め、これを公表するものとする。
事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、労働者の募集 及び採用について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。
第二章 基本方針
国は、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするために必要な労働に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
基本方針に定める事項は、次のとおりとする。
労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにすることの意義に関する事項
第四条第一項各号に掲げる事項について講ずる施策に関する基本的事項
前二号に掲げるもののほか、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにすることに関する重要事項
厚生労働大臣は、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
厚生労働大臣は、基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、都道府県知事の意見を求めるとともに、労働政策審議会の意見を聴かなければならない。
厚生労働大臣は、第三項の規定による閣議の決定があつたときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならない。
厚生労働大臣は、基本方針の案を作成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出 その他必要な協力を求めることができる。
国は、労働に関する施策をめぐる経済社会情勢の変化を勘案し、基本方針に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更しなければならない。
第三項から第六項までの規定は、基本方針の変更について準用する。
厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、基本方針において定められた施策で、関係行政機関の所管に係るものの実施について、必要な要請をすることができる。
国は、労働時間の短縮 その他の労働条件の改善、多様な就業形態の普及、雇用形態 又は就業形態の異なる労働者の間の均衡のとれた待遇の確保 その他の基本方針において定められた施策の実施に関し、中小企業における取組が円滑に進むよう、地方公共団体、中小企業者を構成員とする団体 その他の事業主団体、労働者団体 その他の関係者により構成される協議会の設置 その他のこれらの者の間の連携体制の整備に必要な施策を講ずるように努めるものとする。
第三章 求職者及び求人者に対する指導等
厚生労働大臣は、求人と求職との迅速かつ適正な結合に資するため、労働力の需給の状況、求人 及び求職の条件 その他必要な雇用に関する情報(以下「雇用情報」という。)を収集し、及び整理しなければならない。
厚生労働大臣は、雇用情報を、求職者、求人者 その他の関係者 及び職業紹介機関、職業安定法第四条第六項に規定する募集情報等提供を業として行う機関、職業訓練機関、教育機関 その他の関係機関が、職業の選択、労働者の雇入れ、職業指導、職業紹介、募集情報等提供、職業訓練 その他の措置を行うに際して活用することができるように提供するものとする。
厚生労働大臣は、雇用情報の収集、整理 及び活用 並びに利用のための提供が迅速かつ効果的に行われるために必要な組織を維持し、及び整備しなければならない。
厚生労働大臣は、職業の現況 及び動向の分析、職業に関する適性の検査 及び適応性の増大 並びに職務分析のための方法 その他職業に関する基礎的事項について、調査研究をしなければならない。
前条第二項の規定は、前項の調査研究の成果(以下「職業に関する調査研究の成果」という。)について準用する。
職業紹介機関は、求職者に対して、雇用情報、職業に関する調査研究の成果等を提供し、かつ、これに基づき職種、就職地 その他の求職の内容、必要な技能等について指導することにより、求職者がその適性、能力、経験、技能の程度等にふさわしい職業を選択することを促進し、もつて職業選択の自由が積極的に生かされるように努めなければならない。
職業紹介機関は、求人者に対して、雇用情報、職業に関する調査研究の成果等を提供し、かつ、これに基づき求人の内容について指導することにより、求人者が当該作業 又は職務に適合する労働者を雇い入れることを促進するように努めなければならない。
職業紹介機関は、労働力の需給の適正な均衡を図るために必要があると認めるときは、求人者に対して、雇用情報等を提供し、かつ、これに基づき求人の時期、人員 又は地域 その他の求人の方法について指導することができる。
職業安定機関 及び公共職業能力開発施設は、労働者の雇入れ 又は配置、適性検査、職業訓練 その他の雇用に関する事項について事業主、労働組合 その他の関係者から援助を求められたときは、雇用情報、職業に関する調査研究の成果等を活用してその者に対して必要な助言 その他の措置を行わなければならない。
第四章 職業訓練等の充実
国は、職業訓練施設の整備、職業訓練の内容の充実 及び方法の研究開発、職業訓練指導員の養成確保 及び資質の向上等職業訓練を充実するために必要な施策を積極的に講ずるものとする。
国は、労働者の職業能力の開発 及び向上が効果的に図られるようにするため、公共職業能力開発施設が行う職業訓練と事業主 又は その団体が行う職業訓練とが相互に密接な関連の下で行われるように努めなければならない。
国は、技術の進歩の状況、円滑な再就職のために必要な職業能力の水準 その他の事情を考慮して、事業主団体 その他の関係者の協力の下に、職業能力の評価のための適正な基準を設定し、これに準拠して労働者の有する職業能力の程度を検定する制度を確立し、及び その充実を図ることにより、労働者の職業能力の開発 及び向上、職業の安定 並びに経済的社会的地位の向上を図るように努めるものとする。
第五章 職業転換給付金
国 及び都道府県は、他の法令の規定に基づき支給するものを除くほか、労働者がその有する能力に適合する職業に就くことを容易にし、及び促進するため、求職者 その他の労働者 又は事業主に対して、政令で定める区分に従い、次に掲げる給付金(以下「職業転換給付金」という。)を支給することができる。
求職者の求職活動の促進と その生活の安定とを図るための給付金
広範囲の地域にわたる求職活動 又は求職活動を容易にするための役務の利用に要する費用に充てるための給付金
就職 又は知識 若しくは技能の習得をするための移転に要する費用に充てるための給付金
求職者を作業環境に適応させる訓練を行うことを促進するための給付金
前各号に掲げるもののほか、政令で定める給付金
職業転換給付金の支給に関し必要な基準は、厚生労働省令で定める。
前項の基準の作成 及び その運用に当たつては、他の法令の規定に基づき支給する給付金でこれに類するものとの関連を十分に参酌し、求職者の雇用が促進されるように配慮しなければならない。
国は、政令で定めるところにより、都道府県が支給する職業転換給付金に要する費用の一部を負担する。
職業転換給付金の支給を受けることとなつた者の当該支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。
ただし、事業主に係る当該権利については、国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。
租税 その他の公課は、職業転換給付金(事業主に対して支給するものを除く。)を標準として、課することができない。
都道府県労働局、公共職業安定所、都道府県 及び独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構は、職業転換給付金の支給が円滑かつ効果的に行われるように相互に緊密に連絡し、及び協力しなければならない。
第六章 事業主による再就職の援助を促進するための措置等
事業主は、その実施に伴い一の事業所において相当数の労働者が離職を余儀なくされることが見込まれる事業規模の縮小等であつて厚生労働省令で定めるものを行おうとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該離職を余儀なくされる労働者の再就職の援助のための措置に関する計画(以下「再就職援助計画」という。)を作成しなければならない。
事業主は、前項の規定により再就職援助計画を作成するに当たつては、当該再就職援助計画に係る事業所に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においては その労働組合の、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
当該再就職援助計画を変更しようとするときも、同様とする。
事業主は、前二項の規定により再就職援助計画を作成したときは、厚生労働省令で定めるところにより、公共職業安定所長に提出し、その認定を受けなければならない。
当該再就職援助計画を変更したときも、同様とする。
公共職業安定所長は、前項の認定の申請があつた場合において、その再就職援助計画で定める措置の内容が再就職の促進を図る上で適当でないと認めるときは、当該事業主に対して、その変更を求めることができる。
その変更を求めた場合において、当該事業主がその求めに応じなかつたときは、公共職業安定所長は、同項の認定を行わないことができる。
第三項の認定の申請をした事業主は、当該申請をした日に、第二十七条第一項の規定による届出をしたものとみなす。
事業主は、一の事業所について行おうとする事業規模の縮小等が前条第一項の規定に該当しない場合においても、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者に関し、再就職援助計画を作成し、公共職業安定所長に提出して、その認定を受けることができる。
当該再就職援助計画を変更したときも、同様とする。
前条第二項の規定は前項の規定により再就職援助計画を作成し、又は変更する場合について、同条第四項 及び第五項の規定は前項の認定の申請があつた場合について準用する。
政府は、事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者(以下この条において「援助対象労働者」という。)の円滑な再就職を促進するため、雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第六十二条の雇用安定事業として、第二十四条第三項 又は前条第一項の規定による認定を受けた再就職援助計画に基づき、その雇用する援助対象労働者に関し、求職活動をするための休暇(労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三十九条の規定による年次有給休暇として与えられるものを除く。)の付与 その他の再就職の促進に特に資すると認められる措置を講ずる事業主に対して、必要な助成 及び援助を行うものとする。
事業主は、その事業所における雇用量の変動(事業規模の縮小 その他の理由により一定期間内に相当数の離職者が発生することをいう。)であつて、厚生労働省令で定める場合に該当するもの(以下この条において「大量雇用変動」という。)については、当該大量雇用変動の前に、厚生労働省令で定めるところにより、当該離職者の数 その他の厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。
国 又は地方公共団体に係る大量雇用変動については、前項の規定は、適用しない。
この場合において、国 又は地方公共団体の任命権者(委任を受けて任命権を行う者を含む。第二十八条第三項において同じ。)は、当該大量雇用変動の前に、政令で定めるところにより、厚生労働大臣に通知するものとする。
第一項の規定による届出 又は前項の規定による通知があつたときは、国は、次に掲げる措置を講ずることにより、当該届出 又は通知に係る労働者の再就職の促進に努めるものとする。
職業安定機関において、相互に連絡を緊密にしつつ、当該労働者の求めに応じて、その離職前から、当該労働者 その他の関係者に対する雇用情報の提供 並びに広範囲にわたる求人の開拓 及び職業紹介を行うこと。
公共職業能力開発施設において必要な職業訓練を行うこと。
第七章 中途採用に関する情報の公表を促進するための措置等
常時雇用する労働者の数が三百人を超える事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の職業選択に資するよう、雇い入れた通常の労働者 及び これに準ずる者として厚生労働省令で定める者の数に占める中途採用(新規学卒等採用者(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校(小学校 及び幼稚園を除く。)その他 厚生労働省令で定める施設の学生 又は生徒であつて卒業することが見込まれる者 その他厚生労働省令で定める者であることを条件とした求人により雇い入れられた者をいう。)以外の雇入れをいう。次項において同じ。)により雇い入れられた者の数の割合を定期的に公表しなければならない。
国は、事業主による前項に規定する割合 その他の中途採用に関する情報の自主的な公表が促進されるよう、必要な支援を行うものとする。
第八章 外国人の雇用管理の改善、再就職の促進等の措置
事業主は、新たに外国人を雇い入れた場合 又は その雇用する外国人が離職した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、その者の氏名、在留資格(出入国管理及び難民認定法第二条の二第一項に規定する在留資格をいう。次項において同じ。)、在留期間(同条第三項に規定する在留期間をいう。) その他 厚生労働省令で定める事項について確認し、当該事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。
前項の規定による届出があつたときは、国は、次に掲げる措置を講ずることにより、当該届出に係る外国人の雇用管理の改善の促進 又は再就職の促進に努めるものとする。
職業安定機関において、事業主に対して、当該外国人の有する在留資格、知識経験等に応じた適正な雇用管理を行うことについて必要な指導 及び助言を行うこと。
職業安定機関において、事業主に対して、その求めに応じて、当該外国人に対する再就職の援助を行うことについて必要な指導 及び助言を行うこと。
職業安定機関において、当該外国人の有する能力、在留資格等に応じて、当該外国人に対する雇用情報の提供並びに求人の開拓 及び職業紹介を行うこと。
公共職業能力開発施設において必要な職業訓練を行うこと。
国 又は地方公共団体に係る外国人の雇入れ 又は離職については、第一項の規定は、適用しない。
この場合において、国 又は地方公共団体の任命権者は、新たに外国人を雇い入れた場合 又は その雇用する外国人が離職した場合には、政令で定めるところにより、厚生労働大臣に通知するものとする。
第二項(第一号 及び第二号を除く。)の規定は、前項の規定による通知があつた場合について準用する。
厚生労働大臣は、法務大臣 又は出入国在留管理庁長官から、出入国管理及び難民認定法に定める事務の処理に関し、外国人の在留に関する事項の確認のための求めがあつたときは、前条第一項の規定による届出 及び同条第三項の規定による通知に係る情報を提供するものとする。
厚生労働大臣は、労働力の需要供給の適正かつ円滑な調整等を図るため、法務大臣 又は出入国在留管理庁長官に対し、労働に従事することを目的として在留する外国人の出入国に関する必要な連絡 又は協力を求めることができる。
法務大臣 又は出入国在留管理庁長官は、前項の規定による連絡 又は協力を求められたときは、本来の任務の遂行を妨げない範囲において、できるだけ その求めに応じなければならない。
第九章 職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して事業主の講ずべき措置等
事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備 その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
事業主は、労働者が前項の相談を行つたこと 又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇 その他不利益な取扱いをしてはならない。
厚生労働大臣は、前二項の規定に基づき事業主が講ずべき措置等に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(以下この条において「指針」という。)を定めるものとする。
厚生労働大臣は、指針を定めるに当たつては、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴くものとする。
厚生労働大臣は、指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
前二項の規定は、指針の変更について準用する。
国は、労働者の就業環境を害する前条第一項に規定する言動を行つてはならないこと その他 当該言動に起因する問題(以下この条において「優越的言動問題」という。)に対する事業主 その他国民一般の関心と理解を深めるため、広報活動、啓発活動 その他の措置を講ずるように努めなければならない。
事業主は、優越的言動問題に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施 その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる前項の措置に協力するように努めなければならない。
事業主(その者が法人である場合にあつては、その役員)は、自らも、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うように努めなければならない。
労働者は、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる前条第一項の措置に協力するように努めなければならない。
第三十条の二第一項 及び第二項に定める事項についての労働者と事業主との間の紛争については、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成十三年法律第百十二号)第四条、第五条 及び第十二条から第十九条までの規定は適用せず、次条から第三十条の八までに定めるところによる。
都道府県労働局長は、前条に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方 又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導 又は勧告をすることができる。
第三十条の二第二項の規定は、労働者が前項の援助を求めた場合について準用する。
都道府県労働局長は、第三十条の四に規定する紛争について、当該紛争の当事者の双方 又は一方から調停の申請があつた場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第六条第一項の紛争調整委員会に調停を行わせるものとする。
第三十条の二第二項の規定は、労働者が前項の申請をした場合について準用する。
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)第十九条から第二十六条までの規定は、前条第一項の調停の手続について準用する。
この場合において、
同法第十九条第一項中
「前条第一項」とあるのは
「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)第三十条の六第一項」と、
同法第二十条中
「事業場」とあるのは
「事業所」と、
同法第二十五条第一項中
「第十八条第一項」とあるのは
「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第三十条の四」と
読み替えるものとする。
前二条に定めるもののほか、調停の手続に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
第十章 国と地方公共団体との連携等
国 及び地方公共団体は、国の行う職業指導 及び職業紹介の事業等と地方公共団体の講ずる雇用に関する施策について、相互の連携協力の確保に関する協定の締結、同一の施設における一体的な実施 その他の措置を講ずることにより、密接な関連の下に円滑かつ効果的に実施されるように相互に連絡し、及び協力するものとする。
地方公共団体の長は、当該地方公共団体の区域内において、多数の離職者が発生し、又は そのおそれがあると認めるときその他労働者の職業の安定のため必要があると認めるときは、厚生労働大臣に対し、労働者の職業の安定に関し必要な措置の実施を要請することができる。
厚生労働大臣は、前項の規定による要請(以下この条において「措置要請」という。)に基づき労働者の職業の安定に関し必要な措置を実施するときは その旨を、当該措置要請に係る措置を実施する必要がないと認めるときは その旨 及び その理由を、遅滞なく、当該措置要請をした地方公共団体の長に通知しなければならない。
厚生労働大臣は、措置要請に係る措置を行う必要があるか否かを判断するに当たつては、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、学識経験者 その他の厚生労働省令で定める者の意見を聴かなければならない。
前項の規定により意見を求められた者は、その意見を求められた事案に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
第十一章 雑則
厚生労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、助言、指導 又は勧告をすることができる。
厚生労働大臣は、第三十条の二第一項 及び第二項(第三十条の五第二項 及び第三十条の六第二項において準用する場合を含む。第三十五条 及び第三十六条第一項において同じ。)の規定に違反している事業主に対し、前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかつたときは、その旨を公表することができる。
厚生労働大臣は、第二十七条第一項 及び第二十八条第一項の規定を施行するために必要な限度において、厚生労働省令で定めるところにより、事業主に対して、労働者の雇用に関する状況 その他の事項についての報告を命じ、又は その職員に、事業主の事業所に立ち入り、関係者に対して質問させ、若しくは帳簿書類 その他の物件の検査をさせることができる。
前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
厚生労働大臣は、この法律(第二十七条第一項、第二十八条第一項 並びに第三十条の二第一項 及び第二項を除く。)を施行するために必要があると認めるときは、事業主に対して、必要な資料の提出 及び説明を求めることができる。
厚生労働大臣は、事業主から第三十条の二第一項 及び第二項の規定の施行に関し必要な事項について報告を求めることができる。
都道府県知事 又は公共職業安定所長は、職業転換給付金の支給を受け、又は受けた者から当該給付金の支給に関し必要な事項について報告を求めることができる。
この法律に定める厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、その一部を都道府県労働局長に委任することができる。
前項の規定により都道府県労働局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、公共職業安定所長に委任することができる。
この法律(第一条、第四条第一項第十五号 及び第二項、第九章(第三十条の七 及び第三十条の八を除く。)、第三十三条、第三十六条第一項、前条第一項 並びに第四十一条を除く。)の規定は、船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)第六条第一項に規定する船員(次項において「船員」という。)については、適用しない。
船員に関しては、
第三十条の二第三項から第五項まで、第三十三条、第三十六条第一項 及び前条第一項中
「厚生労働大臣」とあるのは
「国土交通大臣」と、
第三十条の二第四項中
「労働政策審議会」とあるのは
「交通政策審議会」と、
第三十条の四中
「から第三十条の八まで」とあるのは
「、第三十条の六 及び第三十八条第三項」と、
第三十条の五第一項、第三十条の六第一項 及び前条第一項中
「都道府県労働局長」とあるのは
「地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)」と、
第三十条の六第一項中
「第六条第一項の紛争調整委員会」とあるのは
「第二十一条第三項のあつせん員候補者名簿に記載されている者のうちから指名する調停員」と、
第三十三条第二項中
「第三十五条 及び第三十六条第一項」とあるのは
「第三十六条第一項」と、
前条第一項中
「厚生労働省令」とあるのは
「国土交通省令」と
する。
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律第二十条から第二十七条まで 並びに第三十一条第三項 及び第四項の規定は、前項の規定により読み替えて適用する第三十条の六第一項の規定により指名を受けて調停員が行う調停について準用する。
この場合において、
同法第二十条から第二十三条まで 及び第二十六条中
「委員会は」とあるのは
「調停員は」と、
同法第二十条中
「事業場」とあるのは
「事業所」と、
同法第二十一条中
「当該委員会が置かれる都道府県労働局」とあるのは
「当該調停員を指名した地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)が置かれる地方運輸局(運輸監理部を含む。)」と、
同法第二十五条第一項中
「第十八条第一項」とあるのは
「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)第三十条の四」と、
同法第二十六条中
「当該委員会に係属している」とあるのは
「当該調停員が取り扱つている」と、
同法第二十七条中
「この節」とあるのは
「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第三十八条第三項において準用する第二十条から前条まで 並びに第三十一条第三項 及び第四項」と、
「調停」とあるのは
「合議体 及び調停」と、
「厚生労働省令」とあるのは
「国土交通省令」と、
同法第三十一条第三項中
「前項」とあるのは
「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第三十条の六第一項」と
読み替えるものとする。
第六条から第九条まで、第六章(第二十七条を除く。)、第七章、第三十条の四から第三十条の八まで、第三十三条第一項(第九章の規定の施行に関するものに限る。)及び第二項 並びに第三十六条第一項の規定は国家公務員 及び地方公務員について、
第三十条の二 及び第三十条の三の規定は一般職の国家公務員(行政執行法人の労働関係に関する法律(昭和二十三年法律第二百五十七号)第二条第二号の職員を除く。)、裁判所職員臨時措置法(昭和二十六年法律第二百九十九号)の適用を受ける裁判所職員、国会職員法(昭和二十二年法律第八十五号)第一条に規定する国会職員 及び自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第二条第五項に規定する隊員については、適用しない。
第三十二条第四項の規定に違反した者は、六月以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。
次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
第二十七条第一項の規定に違反して届出をせず、又は虚偽の届出をした者
第二十八条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
第三十四条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の陳述をし、若しくは同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第三十六条第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者が、その法人 又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人 又は人に対しても、同項の刑を科する。
第三十六条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の過料に処する。