国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律

平成三年法律第九十四号
略称 : 麻薬特例法 
分類 法律
カテゴリ   厚生
@ 施行日 : 令和四年十二月二十九日 ( 2022年 12月29日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第九十七号による改正
最終編集日 : 2023年 05月30日 13時53分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 上陸の手続の特例等

  • 第三章 罰則

  • 第四章 没収に関する手続等の特例

  • 第五章 保全手続

  • 第六章 没収及び追徴の裁判の執行及び保全についての国際共助手続等

  • 第七章 雑則

第一章 総則

1項

この法律は、薬物犯罪による薬物犯罪収益等を剥奪すること等により、規制薬物に係る不正行為が行われる主要な要因を国際的な協力の下に除去することの重要性にかんがみ、並びに規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図り、及びこれに関する国際約束の適確な実施を確保するため、麻薬及び向精神薬取締法昭和二十八年法律第十四号)、大麻取締法昭和二十三年法律第百二十四号)、あへん法昭和二十九年法律第七十一号)及び覚醒剤取締法昭和二十六年法律第二百五十二号)に定めるもののほか、これらの法律 その他の関係法律の特例 その他必要な事項を定めるものとする。

1項

この法律において「規制薬物」とは、麻薬及び向精神薬取締法に規定する麻薬 及び向精神薬、大麻取締法に規定する大麻、あへん法に規定するあへん 及び けしがら並びに覚醒剤取締法に規定する覚醒剤をいう。

2項

この法律において「薬物犯罪」とは、次に掲げる罪をいう。

一 号

第五条第八条 又は第九条の罪

二 号

麻薬及び向精神薬取締法第六十四条第六十四条の二第六十五条第六十六条第六十六条の三第六十六条の四第六十八条の二 又は第六十九条の五の罪

三 号

大麻取締法第二十四条第二十四条の二 又は第二十四条の七の罪

四 号

あへん法第五十一条第五十二条 又は第五十四条の三の罪

五 号

覚醒剤取締法第四十一条第四十一条の二 又は第四十一条の十一の罪

六 号

麻薬及び向精神薬取締法第六十七条 若しくは第六十九条の二大麻取締法第二十四条の四あへん法第五十三条 又は覚醒剤取締法第四十一条の六の罪

七 号

麻薬及び向精神薬取締法第六十八条 若しくは第六十九条の四大麻取締法第二十四条の六あへん法第五十四条の二 又は覚醒剤取締法第四十一条の九の罪

3項

この法律において「薬物犯罪収益」とは、薬物犯罪の犯罪行為により得た財産 若しくは当該犯罪行為の報酬として得た財産 又は前項第七号に掲げる罪に係る資金をいう。

4項

この法律において「薬物犯罪収益に由来する財産」とは、薬物犯罪収益の果実として得た財産、薬物犯罪収益の対価として得た財産、これらの財産の対価として得た財産 その他薬物犯罪収益の保有 又は処分に基づき得た財産をいう。

5項

この法律において「薬物犯罪収益等」とは、薬物犯罪収益、薬物犯罪収益に由来する財産 又はこれらの財産と これらの財産以外の財産とが混和した財産をいう。

第二章 上陸の手続の特例等

1項

入国審査官は、出入国管理及び難民認定法昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。第五条第一項第六号に掲げる者である疑いのある外国人から入管法第六条第二項の申請があった場合において、法務大臣から、薬物犯罪の捜査に関し、当該外国人を上陸させることが必要であるとの検察官からの通報 又は司法警察職員(麻薬取締官、麻薬取締員、警察官 又は海上保安官に限る次項 及び次条第一項において同じ。)からの要請があった旨 並びに規制薬物の散逸 及び当該外国人の逃走を防止するための十分な監視体制が確保されていると認められる旨の連絡を受けているときは、入管法第九条第一項の規定にかかわらず入管法第五条第一項第六号以外の事項について入管法第七条第一項の審査をした上、当該外国人の旅券に入管法第九条第一項の上陸許可の証印をすることができる。

2項

入国審査官は、入管法第五条第一項第六号に掲げる者である疑いのある外国人につき入管法第十四条第一項第十四条の二第一項 若しくは第二項第十五条第一項 若しくは第二項 又は第十六条第一項の申請があった場合において、法務大臣から、薬物犯罪の捜査に関し、当該外国人を上陸させることが必要であるとの検察官からの通報 又は司法警察職員からの要請があった旨 並びに規制薬物の散逸 及び当該外国人の逃走を防止するための十分な監視体制が確保されていると認められる旨の連絡を受けているときは、入管法第五条第一項第六号以外の事項について審査をした上、当該外国人の上陸を許可することができる。

3項

入国審査官は、法務大臣から、第一項の規定による上陸許可の証印 又は前項の規定による上陸の許可を受けている外国人について、引き続き本邦に在留させておくことが適当でないと認める旨の連絡を受けたときは、速やかに、当該外国人の本邦への上陸の時において当該外国人が入管法第五条第一項第六号に該当したか否かを審査しなければならない。

4項

入国審査官は、前項の規定による審査により、同項に規定する外国人が入管法第五条第一項第六号に該当したと認めるときは、当該外国人についての第一項の規定による上陸許可の証印 又は第二項の規定による上陸の許可を取り消すものとする。

1項

税関長は、関税法昭和二十九年法律第六十一号)第六十七条(同法第七十五条において準用する場合を含む。以下 この項において同じ。)の規定による貨物の検査により、当該検査に係る貨物に規制薬物が隠匿されていることが判明した場合において、薬物犯罪の捜査に関し、当該規制薬物が外国に向けて送り出され、又は本邦に引き取られることが必要である旨の検察官 又は司法警察職員からの要請があり、かつ、当該規制薬物の散逸を防止するための十分な監視体制が確保されていると認めるときは、当該要請に応ずるために次に掲げる措置をとることができる。


ただし、当該措置をとることが関税法規の目的に照らし相当でないと認められるときは、この限りでない。

一 号

当該貨物(当該貨物に隠匿されている規制薬物を除く)について関税法第六十七条の規定により申告されたところに従って同条の許可を行うこと。

二 号

その他当該要請に応ずるために必要な措置

2項

前項第一号除く)の規定は、関税法第七十六条第一項ただし書の規定による郵便物中にある信書以外の物の検査により、当該信書以外の物に規制薬物が隠匿されていることが判明した場合について準用する。


この場合において、当該規制薬物については、同法第七十四条の規定は、適用しない

第三章 罰則

1項

次に掲げる行為をとした者(これらの行為と第八条の罪に当たる行為を併せてすることを業とした者を含む。)は、無期 又は五年以上の懲役 及び一千万円以下の罰金に処する。

一 号

麻薬及び向精神薬取締法第六十四条第六十四条の二所持に係る部分を除く)、第六十五条第六十六条所持に係る部分を除く)、第六十六条の三 又は第六十六条の四所持に係る部分を除く)の罪に当たる行為をすること。

二 号

大麻取締法第二十四条 又は第二十四条の二所持に係る部分を除く)の罪に当たる行為をすること。

三 号

あへん法第五十一条 又は第五十二条所持に係る部分を除く)の罪に当たる行為をすること。

四 号

覚醒剤取締法第四十一条 又は第四十一条の二所持に係る部分を除く)の罪に当たる行為をすること。

1項

薬物犯罪収益等の取得 若しくは処分につき事実を仮装し、又は薬物犯罪収益等を隠匿した者は、十年以下の懲役 若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。


薬物犯罪収益の発生の原因につき事実を仮装した者も、同様とする。

2項

前項の未遂罪は、罰する。

3項

第一項の罪を犯す目的をもって、その予備をした者は、二年以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。

1項

情を知って、薬物犯罪収益等を収受した者は、七年以下の懲役 若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。


ただし、法令上の義務の履行として提供されたものを収受した者 又は契約(債権者において相当の財産上の利益を提供すべきものに限る)の時に当該契約に係る債務の履行が薬物犯罪収益等によって行われることの情を知らないでした当該契約に係る債務の履行として提供されたものを収受した者は、この限りでない。

1項

薬物犯罪(規制薬物の輸入 又は輸出に係るものに限る)を犯す意思をもって、規制薬物として交付を受け、又は取得した薬物 その他の物品を輸入し、又は輸出した者は、三年以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。

2項

薬物犯罪(規制薬物の譲渡し、譲受け 又は所持に係るものに限る)を犯す意思をもって、薬物 その他の物品を規制薬物として譲り渡し、若しくは譲り受け、又は規制薬物として交付を受け、若しくは取得した薬物 その他の物品を所持した者は、二年以下の懲役 又は三十万円以下の罰金に処する。

1項

薬物犯罪(前条 及び この条の罪を除く)、第六条の罪 若しくは第七条の罪を実行すること 又は規制薬物を濫用することを、公然、あおり、又は唆した者は、三年以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。

1項

第五条から第七条まで 及び前条の罪は、刑法明治四十年法律第四十五号第二条の例に従う。

1項

次に掲げる財産は、これを没収する。


ただし第六条第一項 若しくは第二項 又は第七条の罪が薬物犯罪収益 又は薬物犯罪収益に由来する財産と これらの財産以外の財産とが混和した財産に係る場合において、これらの罪につき第三号から第五号までに掲げる財産の全部を没収することが相当でないと認められるときは、その一部を没収することができる。

一 号

薬物犯罪収益(第二条第二項第六号 又は第七号に掲げる罪に係るものを除く

二 号

薬物犯罪収益に由来する財産(第二条第二項第六号 又は第七号に掲げる罪に係る薬物犯罪収益の保有 又は処分に基づき得たものを除く

三 号

第六条第一項 若しくは第二項 又は第七条の罪に係る薬物犯罪収益等

四 号

第六条第一項 若しくは第二項 又は第七条の犯罪行為より生じ、若しくは当該犯罪行為により得た財産 又は当該犯罪行為の報酬として得た財産

五 号

前二号の財産の果実として得た財産、前二号の財産の対価として得た財産、これらの財産の対価として得た財産 その他前二号の財産の保有 又は処分に基づき得た財産

2項

前項の規定により没収すべき財産について、当該財産の性質、その使用の状況、当該財産に関する犯人以外の者の権利の有無 その他の事情からこれを没収することが相当でないと認められるときは、同項の規定にかかわらず、これを没収しないことができる。

3項

次に掲げる財産は、これを没収することができる。

一 号

薬物犯罪収益(第二条第二項第六号 又は第七号に掲げる罪に係るものに限る

二 号

薬物犯罪収益に由来する財産(第二条第二項第六号 又は第七号に掲げる罪に係る薬物犯罪収益の保有 又は処分に基づき得たものに限る

三 号

第六条第三項の罪に係る薬物犯罪収益等

四 号

第六条第三項の犯罪行為より生じ、若しくは当該犯罪行為により得た財産 又は当該犯罪行為の報酬として得た財産

五 号

前二号の財産の果実として得た財産、前二号の財産の対価として得た財産、これらの財産の対価として得た財産 その他前二号の財産の保有 又は処分に基づき得た財産

1項

組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律平成十一年法律第百三十六号。以下「組織的犯罪処罰法」という。第十四条 及び第十五条の規定は、前条の規定による没収について準用する。


この場合において、

組織的犯罪処罰法第十四条
前条第一項各号 又は第四項各号」とあるのは、
国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律第十一条第一項各号 又は第三項各号」と

読み替えるものとする。

1項

第十一条第一項の規定により没収すべき財産を没収することができないとき、又は同条第二項の規定によりこれを没収しないときは、その価額を犯人から追徴する。

2項

第十一条第三項に規定する財産を没収することができないとき、又は当該財産の性質、その使用の状況、当該財産に関する犯人以外の者の権利の有無 その他の事情からこれを没収することが相当でないと認められるときは、その価額を犯人から追徴することができる。

1項

第五条の罪に係る薬物犯罪収益については、同条各号に掲げる行為をとした期間内に犯人が取得した財産であって、その価額が当該期間内における犯人の稼働の状況 又は法令に基づく給付の受給の状況に照らし不相当に高額であると認められるものは、当該罪に係る薬物犯罪収益と推定する。

1項

法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者が、その法人 又は人の業務に関して第五条から第九条までの罪を犯したときは、行為者を罰するほか、その法人 又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。

第四章 没収に関する手続等の特例

1項

第十一条第一項各号 又は第三項各号に掲げる財産である債権等(不動産 及び動産以外の財産をいう。第十八条において同じ。)が被告人以外の者(以下この条において「第三者」という。)に帰属する場合において、当該第三者が被告事件の手続への参加を許されていないときは、没収の裁判をすることができない

2項

薬物犯罪 又は第六条 若しくは第七条の罪(以下「薬物犯罪等」という。)に関し、この法律、麻薬及び向精神薬取締法 その他の法令の規定により、地上権、抵当権 その他の第三者の権利がその上に存在する財産を没収しようとする場合において、当該第三者が被告事件の手続への参加を許されていないときも、前項と同様とする。

3項

組織的犯罪処罰法第十八条第三項から第五項までの規定は、地上権、抵当権 その他の第三者の権利がその上に存在する財産を没収する場合において、第十二条において準用する組織的犯罪処罰法第十五条第二項の規定により当該権利を存続させるべきときについて準用する。

4項

第一項 及び第二項に規定する財産の没収に関する手続については、この法律に特別の定めがあるもののほか刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する応急措置法昭和三十八年法律第百三十八号)の規定を準用する。

1項

組織的犯罪処罰法第十九条の規定は第十一条の規定による没収について、組織的犯罪処罰法第二十条の規定は権利の移転について登記 又は登録を要する財産を没収する裁判に基づき権利の移転の登記 又は登録を関係機関に嘱託する場合について準用する。


この場合において、

同条
次章第一節」とあるのは、
国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律第五章」と

読み替えるものとする。

1項

債権等の没収の執行に対する刑事補償法昭和二十五年法律第一号)による補償の内容については、同法第四条第六項の規定を準用する。

第五章 保全手続

1項

裁判所は、薬物犯罪等に係る被告事件に関し、この法律、麻薬及び向精神薬取締法 その他の法令の規定により没収することができる財産(以下「没収対象財産」という。)に当たると思料するに足りる相当な理由があり、かつ、当該財産を没収するため必要があると認めるときは、検察官の請求により、又は職権で、没収保全命令を発して、当該財産につき、その処分を禁止することができる。

2項

裁判所は、地上権、抵当権 その他の権利がその上に存在する財産について没収保全命令を発した場合 又は発しようとする場合において、当該権利が没収により消滅すると思料するに足りる相当な理由がある場合であって当該財産を没収するため必要があると認めるとき、又は当該権利が仮装のものであると思料するに足りる相当の理由があると認めるときは、検察官の請求により、又は職権で、附帯保全命令を別に発して、当該権利の処分を禁止することができる。

3項

裁判官は、前二項に規定する理由 及び必要があると認めるときは、公訴が提起される前であっても、検察官 又は司法警察員(麻薬取締官、麻薬取締員、警察官 又は海上保安官に限るものとし、警察官たる司法警察員については、国家公安委員会 又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る)の請求により、前二項に規定する処分をすることができる。

4項

前三項に定めるもののほか、これらの規定による処分については、組織的犯罪処罰法第四章の規定による没収保全命令 及び附帯保全命令による処分の禁止の例による。

1項

裁判所は、薬物犯罪等に係る被告事件に関し、第十三条の規定により追徴すべき場合に当たると思料するに足りる相当な理由がある場合において、追徴の裁判の執行をすることができなくなるおそれがあり、又はその執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあると認めるときは、検察官の請求により、又は職権で、追徴保全命令を発して、被告人に対し、その財産の処分を禁止することができる。

2項

裁判官は、前項に規定する理由 及び必要があると認めるときは、公訴が提起される前であっても、検察官の請求により、同項に規定する処分をすることができる。

3項

前二項に定めるもののほか、これらの規定による処分については、組織的犯罪処罰法第四章の規定による追徴保全命令による処分の禁止の例による。

第六章 没収及び追徴の裁判の執行及び保全についての国際共助手続等

1項

薬物犯罪等に当たる行為に係る外国の刑事事件に関して、当該外国から、条約に基づき、没収 若しくは追徴の確定裁判の執行 又は没収 若しくは追徴のための財産の保全の共助の要請があったときは、次の各号いずれかに該当する場合を除き、その要請に係る共助をするものとする。

一 号

共助犯罪(共助の要請において犯されたとされている犯罪をいう。以下同じ。)について、日本国の法令によれば刑罰を科すことができないと認められるとき。

二 号

共助犯罪に係る事件が日本国の裁判所に係属するとき、又はその事件について日本国の裁判所において確定判決を経たとき。

三 号

没収の確定裁判の執行の共助 又は没収のための保全の共助については、要請に係る財産が日本国の法令によれば共助犯罪について没収の裁判をし、又は没収保全をすることができる財産に当たるものでないとき

四 号

追徴の確定裁判の執行の共助 又は追徴のための保全の共助については、日本国の法令によれば共助犯罪について要請に係る追徴の裁判をし、又は追徴保全をすることができる場合に当たるものでないとき

五 号

没収の確定裁判の執行の共助については要請に係る財産を有し又はその財産の上に地上権、抵当権 その他の権利を有すると思料するに足りる相当な理由のある者が、追徴の確定裁判の執行の共助については当該裁判を受けた者が、自己の責めに帰することのできない理由により、当該裁判に係る手続において自己の権利を主張することができなかったと認められるとき。

六 号

没収 又は追徴のための保全の共助については、要請国の裁判所 若しくは裁判官のした没収 若しくは追徴のための保全の裁判に基づく要請である場合 又は没収 若しくは追徴の裁判の確定後の要請である場合を除き第十九条第一項 又は第二十条第一項に規定する理由がないと認められるとき

1項

第十一条第一項各号 又は第三項各号に掲げる財産に代えて、その価額が当該財産の価額に相当する財産であって当該裁判を受けた者が有するものを没収する確定裁判の執行に係る共助の要請にあっては、当該確定裁判は、この法律による共助の実施については、その者から当該財産の価額を追徴する確定裁判とみなす。

2項

前項の規定は、第十一条第一項各号 又は第三項各号に掲げる財産に代えて、その価額が当該財産の価額に相当する財産を没収するための保全に係る共助の要請について準用する。

1項

第二十一条に規定する没収 又は追徴の確定裁判の執行の共助の要請をした外国から、当該共助の実施に係る財産 又はその価額に相当する金銭の譲与の要請があったときは、その全部 又は一部を譲与することができる。

1項

前三条に定めるもののほか第二十一条の規定による共助 及び前条の規定による譲与については、組織的犯罪処罰法第六章の規定による共助 及び譲与の例による。

第七章 雑則

1項

この法律に定めるもののほか、没収保全と滞納処分との手続の調整について必要な事項で、滞納処分に関するものは、政令で定める。

2項

この法律に定めるもののほか第十六条の規定による第三者の参加 及び裁判に関する手続、第五章に規定する没収保全 及び追徴保全に関する手続 並びに前章に規定する国際共助手続について必要な事項(前項に規定する事項を除く)は、最高裁判所規則で定める。

1項

この法律の規定に基づき政令を制定し、又は改廃する場合においては、その政令で、その制定 又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置を定めることができる。