孤独・孤立対策推進法

令和五年法律第四十五号
分類 法律
カテゴリ   社会福祉
@ 施行日 : 令和六年五月十七日 ( 2024年 5月17日 )
@ 最終更新 : 令和六年法律第二十七号による改正
最終編集日 : 2024年 06月04日 17時17分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 孤独・孤立対策に関する施策

  • 第三章 孤独・孤立対策推進本部

  • 第四章 罰則

第一章 総則

1項

この法律は、社会の変化により個人と社会 及び他者との関わりが希薄になる中で、日常生活 若しくは社会生活において孤独を覚えることにより、又は社会から孤立していることにより心身に有害な影響を受けている状態(以下「孤独・孤立の状態」という。)にある者の問題が深刻な状況にあることを踏まえ、孤独・孤立の状態となることの予防、孤独・孤立の状態にある者への迅速かつ適切な支援 その他孤独・孤立の状態から脱却することに資する取組(以下「孤独・孤立対策」という。)について、その基本理念、国等の責務 及び施策の基本となる事項を定めるとともに、孤独・孤立対策推進本部を設置すること等により、他の関係法律による施策と相まって、総合的な孤独・孤立対策に関する施策を推進することを目的とする。

1項
孤独・孤立対策は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
一 号
孤独・孤立の状態は人生のあらゆる段階において何人にも生じ得るものであり、社会の変化により孤独・孤立の状態にある者の問題が深刻な状況にあることに鑑み、孤独・孤立の状態にある者の問題が社会全体の課題であるとの認識の下に、社会のあらゆる分野において孤独・孤立対策の推進を図ることが重要であることを旨とすること。
二 号

孤独・孤立の状態となる要因 及び孤独・孤立の状態が多様であることに鑑み、孤独・孤立の状態にある者 及びその家族等(以下「当事者等」という。)の立場に立って、当事者等の状況に応じた支援が継続的に行われるようにすることを旨とすること。

三 号
当事者等に対しては、その意向に沿って当事者等が社会 及び他者との関わりを持つことにより孤独・孤立の状態から脱却して日常生活 及び社会生活を円滑に営むことができるようになることを目標として、必要な支援が行われるようにすることを旨とすること。
1項

国は、前条に定める基本理念(次条 及び第六条において「基本理念」という。)にのっとり、孤独・孤立対策に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

1項
地方公共団体は、基本理念にのっとり、孤独・孤立対策に関し、国 及び他の地方公共団体との連携を図りつつ、その区域内における当事者等の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
1項
国民は、孤独・孤立の状態にある者に対する関心と理解を深めるとともに、国 及び地方公共団体が実施する孤独・孤立対策に関する施策に協力するよう努めるものとする。
1項
国、地方公共団体、当事者等への支援を行う者、地域住民 その他の関係者は、基本理念の実現に向けて、相互に連携を図りながら協力するよう努めるものとする。
1項
政府は、孤独・孤立対策に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置 その他の措置を講じなければならない。

第二章 孤独・孤立対策に関する施策

1項

孤独・孤立対策推進本部は、孤独・孤立対策に関する施策の推進を図るための重点計画(以下この条 及び第二十一条第一項第一号において「孤独・孤立対策重点計画」という。)を作成しなければならない。

2項
孤独・孤立対策重点計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 号
孤独・孤立対策に関する施策についての基本的な方針
二 号
孤独・孤立対策に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策
三 号

前二号に掲げるもののほか、孤独・孤立対策に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3項
孤独・孤立対策重点計画に定める施策については、原則として、当該施策の具体的な目標 及びその達成の期間を定めるものとする。
4項

孤独・孤立対策推進本部は、第一項の規定により孤独・孤立対策重点計画を作成したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。


これを変更したときも、同様とする。

5項

孤独・孤立対策推進本部は、適時に、第三項の規定により定める目標の達成状況を調査し、その結果を遅滞なく公表しなければならない。

1項
国 及び地方公共団体は、孤独・孤立対策に関し、広く国民一般の関心を高め、その理解と協力を得るとともに、社会を構成する多様な主体の参加による自主的な活動に資するよう、必要な啓発活動を積極的に行うよう努めるものとする。
1項
国 及び地方公共団体は、地方公共団体、当事者等への支援を行う者、地域住民 その他の関係者が、当事者等からの相談に応じ、必要な情報の提供 及び助言 その他の支援を行うことを推進するために必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
1項
国 及び地方公共団体は、国、地方公共団体、当事者等への支援を行う者、地域住民 その他の関係者が相互に連携と協働を図ることにより、孤独・孤立対策に関する施策の効果的な推進が図られることに鑑み、これらの者の間における協議の促進 その他の関係者相互間の連携と協働を促進するために必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
1項
国 及び地方公共団体は、当事者等への支援を行う人材の確保、養成 及び資質の向上に必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
1項
国は、孤独・孤立対策に関する施策に関し、地方公共団体が実施する施策 及び当事者等への支援を行う者が行う孤独・孤立対策に係る活動を支援するため、情報の提供 その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
1項
国は、孤独・孤立の状態にある者の実態に関する調査研究 その他の孤独・孤立対策に関する施策の策定に必要な調査研究を推進するよう努めるものとする。
1項

地方公共団体は、孤独・孤立対策を推進するために必要な連携 及び協働を図るため、単独で又は共同して、当事者等に対する支援(以下この項次条 及び第十七条第二項において単に「支援」という。)に関係する機関 及び団体、支援に関係する職務に従事する者 その他の関係者(次条第二項 及び第二十一条第二項において「関係機関等」という。)により構成される孤独・孤立対策地域協議会(以下「協議会」という。)を置くよう努めるものとする。

2項

地方公共団体の長は、協議会を設置したときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。

1項

協議会は、前条第一項の目的を達するため、必要な情報の交換を行うとともに、支援の内容に関する協議を行うものとする。

2項

協議会を構成する関係機関等(次項 及び次条において「構成機関等」という。)は、前項の協議の結果に基づき、支援を行うものとする。

3項

協議会は、第一項に規定する情報の交換 及び協議を行うため必要があると認めるとき、又は構成機関等による支援の実施に関し他の構成機関等から要請があった場合において必要があると認めるときは、構成機関等に対し、支援の対象となる当事者等に関する情報の提供、意見の開陳 その他の必要な協力を求めることができる。

1項

協議会を設置した地方公共団体の長は、構成機関等のうちからの機関 又は団体を限り孤独・孤立対策調整機関(次項 及び次条において「調整機関」という。)として指定することができる。

2項
調整機関は、協議会に関する事務を総括するとともに、必要な支援が適切に行われるよう、協議会の定めるところにより、構成機関等が行う支援の状況を把握しつつ、必要に応じて他の構成機関等が行う支援を組み合わせるなど構成機関等相互の連絡調整を行うものとする。
1項

協議会の事務(調整機関としての事務を含む。以下この条において同じ。)に従事する者 又は協議会の事務に従事していた者は、正当な理由がなく、協議会の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

1項

第十五条から前条までに定めるもののほか、協議会の組織 及び運営に関し必要な事項は、協議会が定める。

第三章 孤独・孤立対策推進本部

1項

内閣府に、特別の機関として、孤独・孤立対策推進本部以下「本部」という。)を置く。

1項
本部は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 号
孤独・孤立対策重点計画を作成し、及びその実施を推進すること。
二 号

前号に掲げるもののほか、孤独・孤立対策に関する重要な事項について審議すること。

2項

本部は、前項第一号に掲げる事務を遂行するため、必要に応じ、地方公共団体、協議会 又は関係機関等の意見を聴くものとする。

1項
本部は、孤独・孤立対策推進本部長、孤独・孤立対策推進副本部長 及び孤独・孤立対策推進本部員をもって組織する。
1項

本部の長は、孤独・孤立対策推進本部長(以下「本部長」という。)とし、内閣総理大臣をもって充てる。

2項
本部長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。
1項

本部に、孤独・孤立対策推進副本部長(次項 及び次条第二項において「副本部長」という。)を置き、内閣官房長官 並びに内閣府設置法平成十一年法律第八十九号第九条第一項に規定する特命担当大臣であって同項の規定により命を受けて同法第四条第一項第三十六号に掲げる事項に関する事務 及びこれに関連する同条第三項に規定する事務を掌理するものをもって充てる。

2項
副本部長は、本部長の職務を助ける。
1項

本部に、孤独・孤立対策推進本部員(次項において「本部員」という。)を置く。

2項
本部員は、次に掲げる者をもって充てる。
一 号
総務大臣
二 号
法務大臣
三 号
文部科学大臣
四 号
厚生労働大臣
五 号
農林水産大臣
六 号
国土交通大臣
七 号
環境大臣
八 号

前各号に掲げるもののほか、本部長 及び副本部長以外の国務大臣のうちから、内閣総理大臣が指定する者

1項
本部は、その所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明 その他必要な協力を求めることができる。
2項

本部は、その所掌事務を遂行するために特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。

1項

第二十条から前条までに定めるもののほか、本部の組織 及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。

第四章 罰則

1項

第十八条の規定に違反した者は、一年以下の拘禁刑 又は五十万円以下の罰金に処する。