少年の刑事事件については、この法律で定めるものの外、一般の例による。
少年法
第三章 少年の刑事事件
第一節 通則
第二節 手続
司法警察員は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、罰金以下の刑にあたる犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、これを家庭裁判所に送致しなければならない。
犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。
検察官は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、第四十五条第五号本文に規定する場合を除いて、これを家庭裁判所に送致しなければならない。
犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。
前項の場合においては、刑事訴訟法の規定に基づく裁判官による被疑者についての弁護人の選任は、その効力を失う。
検察官は、少年の被疑事件においては、裁判官に対して、勾留の請求に代え、第十七条第一項の措置を請求することができる。
但し、第十七条第一項第一号の措置は、家庭裁判所の裁判官に対して、これを請求しなければならない。
前項の請求を受けた裁判官は、第十七条第一項の措置に関して、家庭裁判所と同一の権限を有する。
検察官は、少年の被疑事件においては、やむを得ない場合でなければ、裁判官に対して、勾留を請求することはできない。
裁判官が前条第一項の請求に基いて第十七条第一項第一号の措置をとつた場合において、検察官は、捜査を遂げた結果、事件を家庭裁判所に送致しないときは、直ちに、裁判官に対して、その措置の取消を請求しなければならない。
裁判官が前条第一項の請求に基いて第十七条第一項第二号の措置をとるときは、令状を発してこれをしなければならない。
前項の措置の効力は、その請求をした日から十日とする。
家庭裁判所が、第二十条第一項の規定によつて事件を検察官に送致したときは、次の例による。
第十七条第一項第一号の措置は、その少年の事件が再び家庭裁判所に送致された場合を除いて、検察官が事件の送致を受けた日から十日以内に公訴が提起されないときは、その効力を失う。
公訴が提起されたときは、裁判所は、検察官の請求により、又は職権をもつて、いつでも、これを取り消すことができる。
前号の措置の継続中、勾留状が発せられたときは、その措置は、これによつて、その効力を失う。
第一号の措置は、その少年が満二十歳に達した後も、引き続き その効力を有する。
第十七条第一項第二号の措置は、これを裁判官のした勾留とみなし、その期間は、検察官が事件の送致を受けた日から、これを起算する。
この場合において、その事件が先に勾留状の発せられた事件であるときは、この期間は、これを延長することができない。
検察官は、家庭裁判所から送致を受けた事件について、公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑があると思料するときは、公訴を提起しなければならない。
ただし、送致を受けた事件の一部について公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑がないか、又は犯罪の情状等に影響を及ぼすべき新たな事情を発見したため、訴追を相当でないと思料するときは、この限りでない。
送致後の情況により訴追を相当でないと思料するときも、同様である。
第十条第一項の規定により選任された弁護士である付添人は、これを弁護人とみなす。
第四号の規定により第十七条第一項第二号の措置が裁判官のした勾留とみなされた場合には、勾留状が発せられているものとみなして、刑事訴訟法中、裁判官による被疑者についての弁護人の選任に関する規定を適用する。
前条第一号から第四号まで 及び第七号の規定は、家庭裁判所が、第十九条第二項 又は第二十三条第三項の規定により、事件を検察官に送致した場合に準用する。
家庭裁判所が、先に裁判官により被疑者のため弁護人が付された事件について第二十三条第二項 又は第二十四条第一項の決定をするときは、刑事訴訟法中、訴訟費用の負担に関する規定を準用する。
この場合において、
同法第百八十一条第一項 及び第二項中
「刑の言渡」とあるのは、
「保護処分の決定」と
読み替えるものとする。
検察官は、家庭裁判所が少年に訴訟費用の負担を命ずる裁判をした事件について、その裁判を執行するため必要な限度で、最高裁判所規則の定めるところにより、事件の記録 及び証拠物を閲覧し、及び謄写することができる。
罪を犯した少年に対して第二十四条第一項の保護処分がなされたときは、審判を経た事件について、刑事訴追をし、又は家庭裁判所の審判に付することができない。
第二十二条の二第一項の決定がされた場合において、同項の決定があつた事件につき、審判に付すべき事由の存在が認められないこと又は保護処分に付する必要がないことを理由とした保護処分に付さない旨の決定が確定したときは、その事件についても、前項と同様とする。
第一項の規定は、第二十七条の二第一項の規定による保護処分の取消しの決定が確定した事件については、適用しない。
ただし、当該事件につき同条第六項の規定によりその例によることとされる第二十二条の二第一項の決定がされた場合であつて、その取消しの理由が審判に付すべき事由の存在が認められないことであるときは、この限りでない。
第八条第一項前段の場合においては第二十一条の決定があつてから、第八条第一項後段の場合においては送致を受けてから、保護処分の決定が確定するまで、公訴の時効は、その進行を停止する。
前項の規定は、第二十一条の決定 又は送致の後、本人が満二十歳に達した事件についても、これを適用する。
勾留状は、やむを得ない場合でなければ、少年に対して、これを発することはできない。
少年を勾留する場合には、少年鑑別所にこれを拘禁することができる。
本人が満二十歳に達した後でも、引き続き前項の規定によることができる。
少年の被疑者 又は被告人は、他の被疑者 又は被告人と分離して、なるべく、その接触を避けなければならない。
少年に対する被告事件は、他の被告事件と関連する場合にも、審理に妨げない限り、その手続を分離しなければならない。
刑事施設、留置施設 及び海上保安留置施設においては、少年(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(平成十七年法律第五十号)第二条第四号の受刑者(同条第八号の未決拘禁者としての地位を有するものを除く。)を除く。)を二十歳以上の者と分離して収容しなければならない。
少年に対する刑事事件の審理は、第九条の趣旨に従つて、これを行わなければならない。
第三節 処分
罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する。
罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、無期刑をもつて処断すべきときであつても、有期の懲役 又は禁錮を科することができる。
この場合において、その刑は、十年以上二十年以下において言い渡す。
少年に対して有期の懲役 又は禁錮をもつて処断すべきときは、処断すべき刑の範囲内において、長期を定めるとともに、長期の二分の一(長期が十年を下回るときは、長期から五年を減じた期間。次項において同じ。)を下回らない範囲内において短期を定めて、これを言い渡す。
この場合において、長期は十五年、短期は十年を超えることはできない。
前項の短期については、同項の規定にかかわらず、少年の改善更生の可能性 その他の事情を考慮し特に必要があるときは、処断すべき刑の短期の二分の一を下回らず、かつ、長期の二分の一を下回らない範囲内において、これを定めることができる。
この場合においては、刑法第十四条第二項の規定を準用する。
刑の執行猶予の言渡をする場合には、前二項の規定は、これを適用しない。
第十七条第一項第二号の措置がとられた場合においては、少年鑑別所に収容中の日数は、これを未決勾留の日数とみなす。
少年に対しては、労役場留置の言渡をしない。
裁判所は、事実審理の結果、少年の被告人を保護処分に付するのが相当であると認めるときは、決定をもつて、事件を家庭裁判所に移送しなければならない。
懲役 又は禁錮の言渡しを受けた少年(第三項の規定により少年院において刑の執行を受ける者を除く。)に対しては、特に設けた刑事施設 又は刑事施設 若しくは留置施設内の特に分界を設けた場所において、その刑を執行する。
本人が二十六歳に達するまでは、前項の規定による執行を継続することができる。
懲役 又は禁錮の言渡しを受けた十六歳に満たない少年に対しては、刑法第十二条第二項 又は第十三条第二項の規定にかかわらず、十六歳に達するまでの間、少年院において、その刑を執行することができる。
この場合において、その少年には、矯正教育を授ける。
保護処分の継続中、懲役、禁錮 又は拘留の刑が確定したときは、先に刑を執行する。
懲役、禁錮 又は拘留の刑が確定してその執行前保護処分がなされたときも、同様である。
少年のとき懲役 又は禁錮の言渡しを受けた者については、次の期間を経過した後、仮釈放をすることができる。
無期刑については七年
第五十一条第二項の規定により言い渡した有期の刑については、その刑期の三分の一
第五十二条第一項 又は同条第一項 及び第二項の規定により言い渡した刑については、その刑の短期の三分の一
第五十一条第一項の規定により無期刑の言渡しを受けた者については、前項第一号の規定は適用しない。
少年のとき無期刑の言渡しを受けた者が、仮釈放後、その処分を取り消されないで十年を経過したときは、刑の執行を受け終わつたものとする。
少年のとき第五十一条第二項 又は第五十二条第一項 若しくは同条第一項 及び第二項の規定により有期の刑の言渡しを受けた者が、仮釈放後、その処分を取り消されないで仮釈放前に刑の執行を受けた期間と同一の期間 又は第五十一条第二項の刑期 若しくは第五十二条第一項の長期を経過したときは、そのいずれか早い時期において、刑の執行を受け終わつたものとする。
少年のとき犯した罪により刑に処せられてその執行を受け終り、又は執行の免除を受けた者は、人の資格に関する法令の適用については、将来に向つて刑の言渡を受けなかつたものとみなす。
少年のとき犯した罪について刑に処せられた者で刑の執行猶予の言渡を受けた者は、その猶予期間中、刑の執行を受け終つたものとみなして、前項の規定を適用する。
前項の場合において、刑の執行猶予の言渡を取り消されたときは、人の資格に関する法令の適用については、その取り消されたとき、刑の言渡があつたものとみなす。