警察本部長 又は警察署長は、犯罪少年に係る事件の捜査 又は触法少年に係る事件の調査(以下「触法調査」という。)若しくは ぐ犯少年に係る事件の調査(以下「ぐ犯調査」という。)を少年警察部門に属する警察官に行わせるものとする。
ただし、事件の内容 及び当該警察本部 又は警察署の実情にかんがみ、適切な捜査 又は調査の実施のため必要と認められるときは、この限りでない。
警察本部長 又は警察署長は、犯罪少年に係る事件の捜査 又は触法少年に係る事件の調査(以下「触法調査」という。)若しくは ぐ犯少年に係る事件の調査(以下「ぐ犯調査」という。)を少年警察部門に属する警察官に行わせるものとする。
ただし、事件の内容 及び当該警察本部 又は警察署の実情にかんがみ、適切な捜査 又は調査の実施のため必要と認められるときは、この限りでない。
警察本部長 又は警察署長は、前項ただし書の場合においても、少年の特性に配慮した捜査 又は調査が行われるよう、少年警察部門に属する警察官に捜査 又は調査の経過について常に把握させ、捜査 又は調査を行う警察官に対する必要な支援を行わせるものとする。
非行少年については、当該少年に係る事件の捜査 又は調査のほか、その適切な処遇に資するため必要な範囲において、時機を失することなく、 本人 又は その保護者に対する助言、学校 その他の関係機関への連絡 その他の必要な措置をとるものとする。
触法調査 又は ぐ犯調査を行うに当たっては、 特に家庭裁判所 及び児童相談所との連携を密にしつつ、これを進めなければならない。
触法少年であって少年法第六条の六第一項の規定により送致すべき者 若しくは児童福祉法第二十五条第一項の規定により通告すべき者に該当しないもの又は十四歳未満のぐ犯少年であって同項の規定により通告すべき者に該当しないものの処遇については、第一項に定めるもののほか、第八条第二項から 第四項までの規定を準用する。
不良行為少年を発見したときは、当該不良行為についての注意、その後の非行を防止するための助言 又は指導 その他の補導を行い、 必要に応じ、保護者(学校 又は職場の関係者に連絡することが特に必要であると認めるときは、保護者 及び当該関係者)に連絡するものとする。
第八条第二項から 第五項までの規定は、不良行為少年について準用する。
触法調査については、少年法 及び児童福祉法に基づく措置に資することを念頭に置き、少年の健全な育成を期する精神をもって、これに当たらなければならない。
触法調査を行うに当たっては、特に低年齢少年が精神的に未成熟であり、可塑性に富むこと、迎合する傾向にあること等の特性を有することにかんがみ、特に他人の耳目に触れないようにし、少年に対する言動に注意する等温情と理解をもって当たり、少年の心情と早期の立直りに配慮しなければならない。
触法調査においては、事件の事実、原因 及び動機 並びに当該少年の性格、行状、経歴、教育程度、環境、家庭の状況、交友関係等について調査するものとする。
触法調査の指揮については、犯罪捜査規範第十六条から 第十九条(事件指揮簿に関する部分を除く。)までの規定を準用する。
この場合において、
第十六条中
「捜査」又は「犯罪の捜査」とあるのは
「触法少年に係る事件の調査」と、
「捜査態勢」とあるのは
「調査態勢」と、
第十七条の見出し中
「捜査担当部課長」とあるのは
「調査担当部長 及び課長」と、
同条中
「刑事部長、警備部長 その他犯罪の捜査を担当する部課長」とあるのは
「触法少年に係る事件の調査を担当する部長 及び課長」と、
「犯罪の捜査の」とあるのは
「触法少年に係る事件の調査の」と、
第十八条中
「犯罪の捜査」又は「捜査」とあるのは
「触法少年に係る事件の調査」と、
第十九条の見出し中
「捜査指揮」とあるのは
「調査指揮」と、
同条第一項中
「犯罪の捜査」とあるのは
「触法少年に係る事件の調査」と
読み替えるものとする。
触法少年に係る事件については、警察庁長官(以下「長官」という。)が定める様式の少年事件処理簿を作成し、触法調査の指揮 及び事件の送致 又は通告 その他の事件の処理の経過を明らかにしておかなければならない。
警察本部長 又は警察署長は、個々の触法調査につき、調査主任官を指名するものとする。
調査主任官は、前条第一項の規定により読み替えて準用する犯罪捜査規範第十六条から 第十九条(事件指揮簿に関する部分を除く。)までの規定により指揮を受け、 当該触法調査につき、次に掲げる職務を行うものとする。
調査すべき事項 及び調査に従事する者の任務分担を定めること。
押収物 及び その換価代金の出納を承認し、これらの保管の状況を常に把握すること。
調査に従事する者に対し、調査の状況に関し報告を求めること。
調査の適正な遂行及び当該調査に係る少年の自殺 その他の事故の防止について 調査に従事する者に対する指導教養を行うこと。
家庭裁判所、児童相談所、学校 その他の関係機関との連絡調整を行うこと。
前各号に掲げるもののほか、警察本部長 又は警察署長から特に命ぜられた事項
警察本部長 又は警察署長は、第一項の規定により調査主任官を指名する場合には、当該事件の内容 並びに所属の職員の調査能力、知識経験 及び職務遂行の状況を勘案し、前項に規定する職務を的確に行うことができると認められる者を指名しなければならない。
調査主任官が交代する場合には、関係書類、証拠物等の引継ぎを確実に行うとともに、調査の状況 その他必要な事項を明らかにし、 事後の調査に支障を来すことのないようにしなければならない。
少年法第六条の三に規定する付添人の選任については、 付添人を選任することができる者 又は付添人から両者が連署した付添人選任届を差し出させるものとする。
触法調査のため、触法少年であると疑うに足りる相当の理由のある者(以下この条において「少年」という。)、保護者 又は参考人を呼び出すに当たっては、電話、長官が定める様式の呼出状の送付 その他適当な方法により、出向くべき日時、場所、用件 その他 必要な事項を呼出人に確実に伝達しなければならない。
この場合において、少年 又は重要な参考人の呼出しについては、警察本部長 又は警察署長に報告して、その指揮を受けなければならない。
少年を呼び出し、質問するに当たっては、当該少年の保護者 又は これに代わるべき者に連絡するものとする。
ただし、連絡することが当該少年の福祉上著しく不適当であると認められるときは、この限りでない。
少年を呼び出し、質問するに当たっては、当該少年に無用の緊張 又は不安を与えることのないよう言動に注意するとともに、やむを得ない場合を除き、夜間に呼び出し、質問すること、長時間にわたり質問すること 及び他人の耳目に触れるおそれがある場所において質問することを避けなければならない。
少年に質問するに当たっては、当該少年に無用の緊張 又は不安を与えることを避け、事案の真相を明らかにし、事後の効果的な指導育成に資するよう、少年の保護者 その他の当該少年の保護 又は監護の観点から適切と認められる者の立会いについて配慮するものとする。
少年、保護者 又は参考人を呼び出す場合には、長官が定める様式の呼出簿に所要事項を記載して、その処理の経過を明らかにしておかなければならない。
少年法第六条の五第二項において準用する刑事訴訟法中の司法警察職員の行う押収、捜索、検証 及び鑑定の嘱託に関する規定(同法第二百二十四条を除く。)による捜索、差押え、記録命令付差押え、検証 若しくは身体検査の令状 又は鑑定処分許可状は、同法第百九十九条第二項の規定に基づき都道府県公安委員会が指定する警部以上の階級にある司法警察員たる警察官がこれを請求するものとする。
ただし、やむを得ないときは、他の司法警察員たる警察官が請求しても差し支えない。
前項の令状を請求するに当たっては、順を経て警察本部長 又は警察署長に報告し、その指揮を受けなければならない。
ただし、急速を要し、指揮を受けるいとまのない場合には、請求後 速やかに、その旨を報告するものとする。
第一項の令状を請求したときは、長官が定める様式の令状請求簿により、請求の手続、発付後の状況等を明らかにしておかなければならない。
触法調査の結果、次の各号に該当するときは、当該各号の手続により処理をするものとする。
当該少年が少年法第六条の六第一項各号のいずれかに該当するとき
長官が定める様式の触法少年事件送致書を作成し、これに長官が定める様式の身上調査表 その他の関係書類を添付して児童相談所長に送致すること。
前号に掲げるもののほか、当該少年に保護者がないとき 又は保護者に監護させることが不適当であると認められるとき
長官が定める様式の児童通告書により児童相談所に通告するほか、少年法第六条の二第三項の規定に基づく警察職員の職務等に関する規則(平成十九年国家公安委員会規則第二十三号)別記様式の調査概要結果通知書により児童相談所に通知すること。
前項の処理をするに当たっては、 警察本部長 又は警察署長の指揮を受けて行わなければならない。
数個の触法少年に係る事件が関連する場合において、これらを共に児童相談所長に送致するときは、 各別の記録とすることを要しないものとする。
触法少年に係る事件が二十歳以上の者 又は犯罪少年に係る事件と関連し、これらを送致し、又は送付する場合において、共通の証拠物があるときは、二十歳以上の者 又は犯罪少年に係る事件に証拠物を添付し、触法少年に係る事件の記録にその旨を記載するものとする。
ただし、触法少年に係る事件のみが重要と認められ、かつ、当該触法少年について児童福祉法第二十七条第一項第四号の措置が執られた場合は、当該措置に係る家庭裁判所に証拠物を送付するものとする。
警察本部長 及び警察署長は、触法調査に従事する者に対し、 低年齢少年の特性 その他の職務遂行に必要な知識 及び技能に関する指導教養を行うものとする。
触法調査については、この節に規定するもののほか、 その性質に反しない限り、犯罪捜査規範第十二章の例によるものとする。
犯罪の捜査、触法調査、少年相談 その他の活動において、ぐ犯少年と認められる者を発見した場合は、少年法 及び児童福祉法に基づく措置に資することを念頭に置き、少年の健全な育成を期する精神をもって、当該少年に係る事件の調査に当たるものとする。
ぐ犯調査を行うに当たっては、少年の心理、生理 その他の特性にかんがみ、特に他人の耳目に触れないようにし、少年に対する言動に注意する等温情と理解をもって当たり、その心情を傷つけないよう努めなければならない。
少年法第六条の二第三項の規定に基づく警察職員の職務等に関する規則第一条の規定により警察本部長が指定した警察職員は、上司である警察官の命を受け、ぐ犯調査を行うことができる。
ぐ犯調査においては、事件の事実、原因 及び動機 並びに当該少年の性格、行状、経歴、教育程度、環境、家庭の状況、交友関係等について調査するものとする。
警察本部長 又は警察署長は、調査すべき事項及び調査に従事する者の任務分担の決定、関係機関との連絡調整 その他の適正な調査の遂行 及び管理のために必要な職務を行わせるため、個々のぐ犯調査につき、調査主任官を指名するものとする。
調査主任官が交代する場合には、関係書類等の引継ぎを確実に行うとともに、調査の状況 その他必要な事項を明らかにし、事後の調査に支障を来すことのないようにしなければならない。
ぐ犯少年に係る事件については、長官が定める様式の少年事件処理簿を作成し、 ぐ犯調査の指揮 及び事件の送致 又は通告 その他の事件の処理の経過を明らかにしておかなければならない。
ぐ犯調査のため、ぐ犯少年と認められる者(以下この条において「少年」という。)、 保護者 又は参考人を呼び出すに当たっては、電話、長官が定める様式の呼出状の送付 その他適当な方法により、出向くべき日時、場所、用件 その他必要な事項を呼出人に確実に伝達しなければならない。
この場合において、少年 又は重要な参考人の呼出しについては、警察本部長 又は警察署長に報告して、その指揮を受けなければならない。
少年を呼び出し、質問するに当たっては、当該少年の保護者 又は これに代わるべき者に連絡するものとする。
ただし、連絡することが当該少年の福祉上 著しく不適当であると認められるときは、この限りでない。
少年、保護者 又は参考人を呼び出す場合には、 長官が定める様式の呼出簿に所要事項を記載して、その処理の経過を明らかにしておかなければならない。
低年齢少年に係るぐ犯調査を行うに当たっては、特に低年齢少年が精神的に未成熟であり、可塑性に富むこと、迎合する傾向にあること等の特性を有することにかんがみ、 少年の心情と早期の立直りに配慮しなければならない。
低年齢少年であって ぐ犯少年と認められる者(以下 この項 及び次項において「少年」という。)を呼び出し、質問するに当たっては、当該少年に無用の緊張 又は不安を与えることのないよう言動に注意するとともに、やむを得ない場合を除き、夜間に呼び出し、質問すること、長時間にわたり質問すること 及び他人の耳目に触れるおそれがある場所において質問することを避けなければならない。
少年に質問するに当たっては、当該少年に無用の緊張 又は不安を与えることを避け、事案の真相を明らかにし、事後の効果的な指導育成に資するよう、少年の保護者 その他の当該少年の保護 又は監護の観点から適切と認められる者の立会いについて配慮するものとする。
ぐ犯調査の結果、次の各号に該当するときは、当該各号に定める手続により処理をするものとする。
処理をする時において、当該少年が十四歳以上十八歳未満であって、 その者を家庭裁判所の審判に付することが適当と認められるとき。
長官が定める様式のぐ犯少年事件送致書を作成し、これに長官が定める様式の身上調査表 その他の関係書類を添付して家庭裁判所に送致すること。
処理をする時において、当該少年が十四歳以上十八歳未満であって、保護者がないとき 又は保護者に監護させることが不適当であると認められ、かつ、家庭裁判所に直接送致するよりも、まず、児童福祉法による措置に委ねるのが適当であると認められるとき。
長官が定める様式の児童通告書により児童相談所に通告すること。
処理をする時において、当該少年が低年齢少年であって、保護者がないとき 又は保護者に監護させることが不適当であると認められるとき。
長官が定める様式の児童通告書により児童相談所に通告すること。
前項の処理をするに当たっては、警察本部長 又は警察署長の指揮を受けて行わなければならない。
警察本部長 及び警察署長は、ぐ犯調査に従事する者に対し、 職務遂行に必要な知識 及び技能に関する指導教養を行うものとする。
この章に定めるもののほか、 触法調査 又はぐ犯調査に関する書類の様式 その他必要な事項は、長官の定めるところによる。