少年警察活動規則

平成十四年国家公安委員会規則第二十号
分類 規則
カテゴリ   警察
@ 施行日 : 令和四年四月一日 ( 2022年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年国家公安委員会規則第一号による改正
最終編集日 : 2022年 12月04日 14時45分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 一般的活動

  • 第三章 少年の非行の防止のための活動

    • 第一節 通則
    • 第二節 触法調査
    • 第三節 ぐ犯調査
    • 第四節 雑則
  • 第四章 少年の保護のための活動

制定に関する表明

警察法施行令昭和二十九年政令第百五十一号)第十三条第一項の規定に基づき、少年警察活動規則を次のように定める。

第一章 総則

1項

この規則は、少年の非行の防止 及び保護を通じて少年の健全な育成を図るための警察活動(以下「少年警察活動」という。)に関し、必要な事項を定めるものとする。

2項

少年警察活動に関しては、警察法昭和二十九年法律第百六十二号)、警察官職務執行法昭和二十三年法律第百三十六号)、少年法昭和二十三年法律第百六十八号)、刑事訴訟法昭和二十三年法律第百三十一号)、児童福祉法昭和二十二年法律第百六十四号)、児童虐待の防止等に関する法律平成十二年法律第八十二号)、犯罪捜査規範昭和三十二年国家公安委員会規則第二号)その他の法令(地方公共団体の条例 又は規則を含む。)によるほか、この規則の定めるところによる。

1項

この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 号

少年

少年法第二条第一項に規定する少年をいう。

二 号

特定少年

少年法第六十二条第一項に規定する特定少年をいう。

三 号

犯罪少年

少年法第三条第一項第一号に規定する少年をいう。

四 号

触法少年

少年法第三条第一項第二号に規定する少年をいう。

五 号

ぐ犯少年

少年法第三条第一項第三号に規定する少年(特定少年に該当する場合を除く)をいう。

六 号

非行少年

犯罪少年、触法少年 及びぐ犯少年をいう。

七 号

不良行為少年

非行少年には該当しないが、飲酒、喫煙、深夜はいかい その他自己 又は他人の徳性を害する行為(以下「不良行為」という。)をしている少年をいう。

八 号

被害少年

犯罪 その他少年の健全な育成を阻害する行為により被害を受けた少年をいう。

九 号

要保護少年

児童福祉法による福祉のための措置 又はこれに類する保護のための措置が必要と認められる少年(非行少年 又は児童虐待を受けたと思われる児童に該当する場合を除く)をいう。

十 号

児童虐待を受けたと思われる児童

児童虐待の防止等に関する法律第二条に規定する児童虐待を受けたと思われる児童をいう。

十一 号

低年齢少年

十四歳未満の者をいう。

十二 号

保護者

少年法第二条第二項に規定する者をいう。

十三 号

少年補導職員

少年相談(少年の非行の防止及び保護に関する相談をいう。以下同じ。)、継続補導(第八条第二項同条第五項第十四条第二項において準用する場合を含む。)の規定により読み替えて適用する場合 並びに第十三条第三項 及び第十四条第二項において準用する場合を含む。)の規定により行う継続的な補導をいう。)、被害少年に対する継続的な支援 その他の特に専門的な知識 及び技能を必要とする少年警察活動を行わせるため、当該活動に必要な知識 及び技能を有する都道府県警察の職員(警察官を除く)のうちから 警察本部長(警視総監 及び道府県警察本部長をいう。以下同じ。)が命じた者をいう。

十四 号

少年サポートセンター

警視庁、道府県警察本部 又は方面本部の内部組織のうち、少年補導職員 又は前号に規定する知識 及び技能を有する警察官(以下「少年補導職員等」という。)を配置し、専門的な知識 及び技能を必要とし、又は継続的に実施することを要する少年警察活動について中心的な役割を果たすための組織として警察本部長 及び方面本部長が定めるものをいう。

1項

少年警察活動を行うに際しては、次の各号に掲げる事項を基本とするものとする。

一 号

少年の健全な育成を期する精神をもって当たるとともに、 その規範意識の向上 及び立直りに資するよう配意すること。

二 号

少年の心理、生理 その他の特性に関する深い理解をもって当たること。

三 号

少年の性行 及び環境を深く洞察し、非行の原因の究明や犯罪被害等の状況の把握に努め、 その非行の防止 及び保護をする上で最も適切な処遇の方法を講ずるようにすること。

四 号

秘密の保持に留意して、 少年 その他の関係者が秘密の漏れることに不安を抱かないように配意すること。

五 号

少年の非行の防止 及び保護に関する国際的動向に十分配慮すること。

1項

警察本部長 及び警察署長は、少年に係る事案の適切な取扱いを確保し、 及び少年に対する暴力団の影響の排除、暴走族等の非行集団に係る対策 その他の複数の部門に関係する施策を的確に推進するため、少年警察部門(少年警察活動を所掌する部門をいう。以下同じ。)と その他の警察部門との緊密な連絡を保たせるものとする。

2項

警察本部長 及び警察署長は、すべての警察職員が少年警察活動の基本を理解するよう、 適切かつ効果的な教養を実施するものとする。

1項

少年警察活動は、学校、家庭裁判所、児童相談所 その他の少年の健全な育成に関係する業務を行う機関 又は少年の健全な育成のための活動を行うボランティア 若しくは団体との連携と適切な役割分担の下に行うものとする。

1項

第二条第六号から第十号までに掲げる少年については、街頭補導(次条第一項に規定する街頭補導をいう。)及び少年相談を適切に実施し、 並びに警察の各部門間 及び 警察と関係機関の連携を図り、これらを早期に発見するように努めるものとする。

第二章 一般的活動

1項

街頭補導(道路 その他の公共の場所、駅 その他の多数の客の来集する施設 又は風俗営業の営業所 その他の少年の非行が行われやすい場所において、前条に規定する少年を発見し、必要に応じ その場で、これらに第十三条第一項第十四条第一項第三十六条第一項第三十八条第一項 又は第三十九条第一項に規定する措置を執る活動をいう。以下同じ。)は、 自らの身分を明らかにし、その他相手方の権利を不当に害することのないよう注意して行うものとする。

2項

前条に規定する少年を早期に発見するため必要があるときは、 街頭補導の実施に当たり、学校 その他の関係機関、少年の健全な育成のための活動を行うボランティア その他の関係者の協力を求めるものとする。

1項

少年 又は保護者 その他の関係者から少年相談を受けたときは、 懇切を旨として、その内容に応じ、指導 又は助言、関係機関への引継ぎ その他 適切な処理を行うものとする。

2項

少年相談に係る少年について、その非行の防止を図るため特に必要と認められる場合には、保護者の同意を得た上で、家庭、学校、交友 その他の環境について相当の改善が認められるまでの間、 本人に対する助言 又は指導 その他の補導を継続的に実施するものとする。

3項

前項の規定による補導は、 少年サポートセンターに配置された少年補導職員等(やむを得ない理由がある場合には、少年サポートセンターの指導の下、少年警察部門に属するその他の警察職員)が実施するものとする。

4項

少年サポートセンターにおいては、第二項の規定による補導の適切な実施のため必要があるときは、保護者の同意を得た上で、これを学校関係者 その他の適当な者と協力して実施するものとする。

5項

特定少年に対する第二項 及び前項の規定の適用については、

これらの規定中
保護者」とあるのは、
「本人」と

する。

1項

広く少年の参加を得て行うボランティア活動等の社会奉仕体験活動、柔道、剣道等のスポーツ活動 その他の少年の規範意識の向上 又は社会の一員としての意識の涵養に資するための体験活動については、学校 その他の関係機関等が実施する少年の健全な育成のための活動との適切な役割分担の下、少年警察活動に関する知見、警察職員の能力 その他 警察業務の専門性を生かして、効果的に実施するものとする。

1項

少年警察活動については、少年の健全な育成に関する国民の理解を深めるため、少年の非行 及び犯罪被害の実態 並びに少年警察活動の状況に関する情報を積極的に発信するものとする。


この場合においては、関係機関との協議会の開催、関係機関が開催する講習会等への協力 その他の適切な方法により、少年警察活動に関する専門的な知見が関係機関等における少年の健全な育成のための活動に反映されるよう配慮するものとする。

1項

警察本部長 及び警察署長は、少年が容易に見ることができるような状態で性的好奇心をそそる写真、ビデオテープ その他の物品が販売されていること その他の少年の心身に有害な影響を与える環境(以下「有害環境」という。)があると認めるときは、都道府県知事 その他の関係行政機関に対し、その旨を連絡するものとし、広報啓発 その他の地域における民間公益活動、酒類販売業者等の事業者による顧客の年齢確認 その他の民間における有害環境の少年に対する影響を排除するための自主的な活動に関し、その求めに応じ、必要な配慮を加えるものとする。

第三章 少年の非行の防止のための活動

第一節 通則

1項

警察本部長 又は警察署長は、犯罪少年に係る事件の捜査 又は触法少年に係る事件の調査(以下「触法調査」という。)若しくは ぐ犯少年に係る事件の調査(以下「ぐ犯調査」という。)を少年警察部門に属する警察官に行わせるものとする。


ただし、事件の内容 及び当該警察本部 又は警察署の実情にかんがみ、適切な捜査 又は調査の実施のため必要と認められるときは、この限りでない。

2項

警察本部長 又は警察署長は、前項ただし書の場合においても、少年の特性に配慮した捜査 又は調査が行われるよう、少年警察部門に属する警察官に捜査 又は調査の経過について常に把握させ、捜査 又は調査を行う警察官に対する必要な支援を行わせるものとする。

1項

非行少年については、当該少年に係る事件の捜査 又は調査のほか、その適切な処遇に資するため必要な範囲において、時機を失することなく、 本人 又は その保護者に対する助言、学校 その他の関係機関への連絡 その他の必要な措置をとるものとする。

2項

触法調査 又は ぐ犯調査を行うに当たっては、 特に家庭裁判所 及び児童相談所との連携を密にしつつ、これを進めなければならない。

3項

触法少年であって少年法第六条の六第一項の規定により送致すべき者 若しくは児童福祉法第二十五条第一項の規定により通告すべき者に該当しないもの又は十四歳未満のぐ犯少年であって同項の規定により通告すべき者に該当しないものの処遇については、第一項に定めるもののほか第八条第二項から 第四項までの規定を準用する。

1項

不良行為少年を発見したときは、当該不良行為についての注意、その後の非行を防止するための助言 又は指導 その他の補導を行い、 必要に応じ、保護者(学校 又は職場の関係者に連絡することが特に必要であると認めるときは、保護者 及び当該関係者)に連絡するものとする。

2項

第八条第二項から 第五項までの規定は、不良行為少年について準用する。

第二節 触法調査

1項

触法調査については、少年法 及び児童福祉法に基づく措置に資することを念頭に置き、少年の健全な育成を期する精神をもって、これに当たらなければならない。

2項

触法調査を行うに当たっては、特に低年齢少年が精神的に未成熟であり、可塑性に富むこと、迎合する傾向にあること等の特性を有することにかんがみ、特に他人の耳目に触れないようにし、少年に対する言動に注意する等温情と理解をもって当たり、少年の心情と早期の立直りに配慮しなければならない。

1項

触法調査においては、事件の事実、原因 及び動機 並びに当該少年の性格、行状、経歴、教育程度、環境、家庭の状況、交友関係等について調査するものとする。

1項

触法調査の指揮については、犯罪捜査規範第十六条から 第十九条事件指揮簿に関する部分を除く)までの規定を準用する。


この場合において、

第十六条
捜査」又は「犯罪の捜査」とあるのは
「触法少年に係る事件の調査」と、

捜査態勢」とあるのは
「調査態勢」と、

第十七条の見出し中
捜査担当部課長」とあるのは
「調査担当部長 及び課長」と、

同条
刑事部長、警備部長 その他犯罪の捜査を担当する部課長」とあるのは
「触法少年に係る事件の調査を担当する部長 及び課長」と、

犯罪の捜査の」とあるのは
「触法少年に係る事件の調査の」と、

第十八条
犯罪の捜査」又は「捜査」とあるのは
「触法少年に係る事件の調査」と、

第十九条の見出し中
捜査指揮」とあるのは
「調査指揮」と、

同条第一項
犯罪の捜査」とあるのは
「触法少年に係る事件の調査」と

読み替えるものとする。

2項

触法少年に係る事件については、警察庁長官(以下「長官」という。)が定める様式の少年事件処理簿を作成し、触法調査の指揮 及び事件の送致 又は通告 その他の事件の処理の経過を明らかにしておかなければならない。

1項

警察本部長 又は警察署長は、個々の触法調査につき、調査主任官を指名するものとする。

2項

調査主任官は、前条第一項の規定により読み替えて準用する犯罪捜査規範第十六条から 第十九条事件指揮簿に関する部分を除く)までの規定により指揮を受け、 当該触法調査につき、次に掲げる職務を行うものとする。

一 号

調査すべき事項 及び調査に従事する者の任務分担を定めること。

二 号

押収物 及び その換価代金の出納を承認し、これらの保管の状況を常に把握すること。

三 号
調査方針を立てること。
四 号

調査に従事する者に対し、調査の状況に関し報告を求めること。

五 号

調査の適正な遂行及び当該調査に係る少年の自殺 その他の事故の防止について 調査に従事する者に対する指導教養を行うこと。

六 号

家庭裁判所、児童相談所、学校 その他の関係機関との連絡調整を行うこと。

七 号

前各号に掲げるもののほか、警察本部長 又は警察署長から特に命ぜられた事項

3項

警察本部長 又は警察署長は、第一項の規定により調査主任官を指名する場合には、当該事件の内容 並びに所属の職員の調査能力、知識経験 及び職務遂行の状況を勘案し、前項に規定する職務を的確に行うことができると認められる者を指名しなければならない。

4項

調査主任官が交代する場合には、関係書類、証拠物等の引継ぎを確実に行うとともに、調査の状況 その他必要な事項を明らかにし、 事後の調査に支障を来すことのないようにしなければならない。

1項

少年法第六条の三に規定する付添人の選任については、 付添人を選任することができる者 又は付添人から両者が連署した付添人選任届を差し出させるものとする。

1項

触法調査のため、触法少年であると疑うに足りる相当の理由のある者(以下この条において「少年」という。)、保護者 又は参考人を呼び出すに当たっては、電話、長官が定める様式の呼出状の送付 その他適当な方法により、出向くべき日時、場所、用件 その他 必要な事項を呼出人に確実に伝達しなければならない。


この場合において、少年 又は重要な参考人の呼出しについては、警察本部長 又は警察署長に報告して、その指揮を受けなければならない。

2項

少年を呼び出し質問するに当たっては、当該少年の保護者 又は これに代わるべき者に連絡するものとする。


ただし、連絡することが当該少年の福祉上著しく不適当であると認められるときは、この限りでない。

3項

少年を呼び出し質問するに当たっては、当該少年に無用の緊張 又は不安を与えることのないよう言動に注意するとともに、やむを得ない場合を除き、夜間に呼び出し、質問すること、長時間にわたり質問すること 及び他人の耳目に触れるおそれがある場所において質問することを避けなければならない

4項

少年に質問するに当たっては、当該少年に無用の緊張 又は不安を与えることを避け、事案の真相を明らかにし、事後の効果的な指導育成に資するよう、少年の保護者 その他の当該少年の保護 又は監護の観点から適切と認められる者の立会いについて配慮するものとする。

5項

少年、保護者 又は参考人を呼び出す場合には、長官が定める様式の呼出簿に所要事項を記載して、その処理の経過を明らかにしておかなければならない。

1項

少年法第六条の五第二項において準用する刑事訴訟法中の司法警察職員の行う押収、捜索、検証 及び鑑定の嘱託に関する規定(同法第二百二十四条を除く)による捜索、差押え、記録命令付差押え、検証 若しくは身体検査の令状 又は鑑定処分許可状は、同法第百九十九条第二項の規定に基づき都道府県公安委員会が指定する警部以上の階級にある司法警察員たる警察官がこれを請求するものとする。


ただし、やむを得ないときは、他の司法警察員たる警察官が請求しても差し支えない。

2項

前項の令状を請求するに当たっては、順を経て警察本部長 又は警察署長に報告し、その指揮を受けなければならない。


ただし、急速を要し、指揮を受けるいとまのない場合には、請求後 速やかに、その旨を報告するものとする。

3項

第一項の令状を請求したときは、長官が定める様式の令状請求簿により、請求の手続、発付後の状況等を明らかにしておかなければならない。

1項

触法調査の結果、次の各号に該当するときは、当該各号の手続により処理をするものとする。

一 号

当該少年が少年法第六条の六第一項各号いずれかに該当するとき

長官が定める様式の触法少年事件送致書を作成し、これに長官が定める様式の身上調査表 その他の関係書類を添付して児童相談所長に送致すること。

二 号

前号に掲げるもののほか、当該少年に保護者がないとき 又は保護者に監護させることが不適当であると認められるとき

長官が定める様式の児童通告書により児童相談所に通告するほか、少年法第六条の二第三項の規定に基づく警察職員の職務等に関する規則平成十九年国家公安委員会規則第二十三号別記様式の調査概要結果通知書により児童相談所に通知すること。

2項

前項の処理をするに当たっては、 警察本部長 又は警察署長の指揮を受けて行わなければならない。

1項

数個の触法少年に係る事件が関連する場合において、これらを共に児童相談所長に送致するときは、 各別の記録とすることを要しないものとする。

1項

触法少年に係る事件が二十歳以上の者 又は犯罪少年に係る事件と関連し、これらを送致し、又は送付する場合において、共通の証拠物があるときは、二十歳以上の者 又は犯罪少年に係る事件に証拠物を添付し、触法少年に係る事件の記録にその旨を記載するものとする。


ただし、触法少年に係る事件のみが重要と認められ、かつ、当該触法少年について児童福祉法第二十七条第一項第四号の措置が執られた場合は、当該措置に係る家庭裁判所に証拠物を送付するものとする。

1項

警察本部長 及び警察署長は、触法調査に従事する者に対し、 低年齢少年の特性 その他の職務遂行に必要な知識 及び技能に関する指導教養を行うものとする。

1項

触法調査については、この節に規定するもののほか、 その性質に反しない限り、犯罪捜査規範第十二章の例によるものとする。

第三節 ぐ犯調査

1項

犯罪の捜査、触法調査、少年相談 その他の活動において、ぐ犯少年と認められる者を発見した場合は、少年法 及び児童福祉法に基づく措置に資することを念頭に置き、少年の健全な育成を期する精神をもって、当該少年に係る事件の調査に当たるものとする。

2項

ぐ犯調査を行うに当たっては、少年の心理、生理 その他の特性にかんがみ、特に他人の耳目に触れないようにし、少年に対する言動に注意する等温情と理解をもって当たり、その心情を傷つけないよう努めなければならない。

1項

少年法第六条の二第三項の規定に基づく警察職員の職務等に関する規則第一条の規定により警察本部長が指定した警察職員は、上司である警察官の命を受け、ぐ犯調査を行うことができる。

1項

ぐ犯調査においては、事件の事実、原因 及び動機 並びに当該少年の性格、行状、経歴、教育程度、環境、家庭の状況、交友関係等について調査するものとする。

1項

警察本部長 又は警察署長は、調査すべき事項及び調査に従事する者の任務分担の決定、関係機関との連絡調整 その他の適正な調査の遂行 及び管理のために必要な職務を行わせるため、個々のぐ犯調査につき、調査主任官を指名するものとする。

2項

調査主任官が交代する場合には、関係書類等の引継ぎを確実に行うとともに、調査の状況 その他必要な事項を明らかにし、事後の調査に支障を来すことのないようにしなければならない。

3項

ぐ犯少年に係る事件については、長官が定める様式の少年事件処理簿を作成し、 ぐ犯調査の指揮 及び事件の送致 又は通告 その他の事件の処理の経過を明らかにしておかなければならない。

1項

ぐ犯調査のため、ぐ犯少年と認められる者(以下この条において「少年」という。)、 保護者 又は参考人を呼び出すに当たっては、電話、長官が定める様式の呼出状の送付 その他適当な方法により、出向くべき日時、場所、用件 その他必要な事項を呼出人に確実に伝達しなければならない。


この場合において、少年 又は重要な参考人の呼出しについては、警察本部長 又は警察署長に報告して、その指揮を受けなければならない。

2項

少年を呼び出し質問するに当たっては、当該少年の保護者 又は これに代わるべき者に連絡するものとする。


ただし、連絡することが当該少年の福祉上 著しく不適当であると認められるときは、この限りでない。

3項

少年、保護者 又は参考人を呼び出す場合には、 長官が定める様式の呼出簿に所要事項を記載して、その処理の経過を明らかにしておかなければならない。

1項

低年齢少年に係るぐ犯調査を行うに当たっては、特に低年齢少年が精神的に未成熟であり、可塑性に富むこと、迎合する傾向にあること等の特性を有することにかんがみ、 少年の心情と早期の立直りに配慮しなければならない。

2項

低年齢少年であって ぐ犯少年と認められる者(以下 この項 及び次項において「少年」という。)を呼び出し質問するに当たっては、当該少年に無用の緊張 又は不安を与えることのないよう言動に注意するとともに、やむを得ない場合を除き、夜間に呼び出し、質問すること、長時間にわたり質問すること 及び他人の耳目に触れるおそれがある場所において質問することを避けなければならない

3項

少年に質問するに当たっては、当該少年に無用の緊張 又は不安を与えることを避け、事案の真相を明らかにし、事後の効果的な指導育成に資するよう、少年の保護者 その他の当該少年の保護 又は監護の観点から適切と認められる者の立会いについて配慮するものとする。

1項

ぐ犯調査の結果、次の各号に該当するときは、当該各号に定める手続により処理をするものとする。

一 号

処理をする時において、当該少年が十四歳以上十八歳未満であって、 その者を家庭裁判所の審判に付することが適当と認められるとき。

長官が定める様式のぐ犯少年事件送致書を作成し、これに長官が定める様式の身上調査表 その他の関係書類を添付して家庭裁判所に送致すること。

二 号

処理をする時において、当該少年が十四歳以上十八歳未満であって、保護者がないとき 又は保護者に監護させることが不適当であると認められ、かつ、家庭裁判所に直接送致するよりも、まず、児童福祉法による措置に委ねるのが適当であると認められるとき。

長官が定める様式の児童通告書により児童相談所に通告すること。

三 号

処理をする時において、当該少年が低年齢少年であって、保護者がないとき 又は保護者に監護させることが不適当であると認められるとき。

長官が定める様式の児童通告書により児童相談所に通告すること。

2項

前項の処理をするに当たっては、警察本部長 又は警察署長の指揮を受けて行わなければならない。

1項

警察本部長 及び警察署長は、ぐ犯調査に従事する者に対し、 職務遂行に必要な知識 及び技能に関する指導教養を行うものとする。

第四節 雑則

1項

この章に定めるもののほか、 触法調査 又はぐ犯調査に関する書類の様式 その他必要な事項は、長官の定めるところによる。

第四章 少年の保護のための活動

1項

被害少年については、適切な助言を行う等 必要な支援を実施するものとする。

2項

前項に定めるもののほか、被害少年について、その精神的打撃の軽減を図るため特に必要と認められるときは、保護者の同意を得た上で、カウンセリングの実施、関係者への助言 その他の継続的な支援を実施するものとする。

3項

前項に規定する継続的な支援について、その適切な実施のため必要があるときは、保護者の同意を得た上で、これを学校関係者 その他の適当な者と協力して実施するものとする。

4項

特定少年に対する前二項の規定の適用については、

これらの規定中
保護者」とあるのは
「本人」と

する。

1項

福祉犯(児童買春に係る犯罪、児童にその心身に有害な影響を与える行為をさせる犯罪 その他の少年の福祉を害する犯罪であって長官が定めるものをいう。以下同じ。)の被害少年については、当該福祉犯に係る捜査前条に規定する支援のほか、当該少年が再び被害にあうことを防止するため保護者 その他の関係者に配慮を求め、 及び関係行政機関への連絡 その他の同種の犯罪の発生を防止するため必要な措置をとるものとする。

1項

要保護少年については、児童福祉法第二十五条第一項の規定による児童相談所への通告、同法第三十三条第一項 又は第二項の規定による委託を受けて行う一時保護 その他 これらに類する保護のための措置の適切な実施のため、本人 又は その保護者に対する助言、学校 その他の関係機関への連絡 その他の必要な措置を執るものとする。

2項

十八歳未満の要保護少年について、少年に保護者がないとき 又は保護者に監護させることが不適当であると認められるときは、長官が定める様式の児童通告書 又は口頭により児童相談所に通告するものとする。


この場合において、口頭により通告したときは、その内容を記載した書面を事後に当該児童相談所に送付するものとする。

1項

児童虐待を受けたと思われる児童については、児童虐待の防止等に関する法律第六条第一項の規定による児童相談所への通告 又は児童福祉法第三十三条第一項 若しくは第二項の規定による委託を受けて行う一時保護の適切な実施のため、本人 又は その保護者に対する助言、学校 その他の関係機関への連絡 その他の必要な措置を執るものとする。

2項

児童虐待を受けたと思われる児童を発見したときは、速やかに、長官が定める様式の児童通告書 又は口頭により児童相談所に通告するものとする。


この場合において、口頭により通告したときは、その内容を記載した書面を事後に当該児童相談所に送付するものとする。

3項

児童虐待を受けたと思われる児童については、児童相談所 その他の関係機関との緊密な連携の下、当該児童に対するカウンセリング、保護者に対する助言 又は指導 その他の当該児童に対する支援を的確に実施するほか、児童虐待の防止等に関する法律第十条の規定による援助の求めがあった場合においては、その求めをした者との適切な役割分担の下、必要な措置を執るものとする。