電波法

# 昭和二十五年法律第百三十一号 #

第五章 運用

分類 法律
カテゴリ   電気通信
@ 施行日 : 令和五年六月十六日 ( 2023年 6月16日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第七十号による改正
最終編集日 : 2023年 07月08日 15時58分


第一節 通則

1項

無線局は、免許状に記載された目的 又は通信の相手方 若しくは通信事項(特定地上基幹放送局については放送事項)の範囲を超えて運用してはならない。


ただし、次に掲げる通信については、この限りでない。

一 号

遭難通信(船舶 又は航空機が重大かつ急迫の危険に陥つた場合に遭難信号を前置する方法 その他総務省令で定める方法により行う無線通信をいう。以下同じ。

二 号

緊急通信(船舶 又は航空機が重大かつ急迫の危険に陥るおそれがある場合 その他緊急の事態が発生した場合に緊急信号を前置する方法 その他総務省令で定める方法により行う無線通信をいう。以下同じ。

三 号

安全通信(船舶 又は航空機の航行に対する重大な危険を予防するために安全信号を前置する方法 その他総務省令で定める方法により行う無線通信をいう。以下同じ。

四 号

非常通信(地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動 その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合において、有線通信を利用することができないか 又はこれを利用することが著しく困難であるときに人命の救助、災害の救援、交通通信の確保 又は秩序の維持のために行われる無線通信をいう。以下同じ。

五 号
放送の受信
六 号
その他総務省令で定める通信
1項

無線局を運用する場合においては、無線設備の設置場所、識別信号、電波の型式 及び周波数は、その無線局の免許状 又は第二十七条の二十五第一項の登録状(次条第一号 及び第百三条の二第四項第二号において「免許状等」という。)に記載されたところによらなければならない。


ただし、遭難通信については、この限りでない。

1項

無線局を運用する場合においては、空中線電力は、次の各号の定めるところによらなければならない。


ただし、遭難通信については、この限りでない。

一 号
免許状等に記載されたものの範囲内であること。
二 号
通信を行うため必要最小のものであること。
1項

無線局は、免許状に記載された運用許容時間内でなければ、運用してはならない。


ただし第五十二条各号に掲げる通信を行う場合 及び総務省令で定める場合は、この限りでない。

1項

無線局は、他の無線局 又は電波天文業務(宇宙から発する電波の受信を基礎とする天文学のための当該電波の受信の業務をいう。)の用に供する受信設備 その他の総務省令で定める受信設備(無線局のものを除く)で総務大臣が指定するものにその運用を阻害するような混信 その他の妨害を与えないように運用しなければならない。


但し第五十二条第一号から第四号までに掲げる通信については、この限りでない。

2項

前項に規定する指定は、当該指定に係る受信設備を設置している者の申請により行なう。

3項

総務大臣は、第一項に規定する指定をしたときは、当該指定に係る受信設備について、総務省令で定める事項を公示しなければならない。

4項

前二項に規定するもののほか、指定の申請の手続、指定の基準、指定の取消しその他の第一項に規定する指定に関し必要な事項は、総務省令で定める。

1項

無線局は、次に掲げる場合には、なるべく擬似空中線回路を使用しなければならない。

一 号
無線設備の機器の試験 又は調整を行うために運用するとき。
二 号
実験等無線局を運用するとき。
1項
アマチュア無線局の行う通信には、暗語を使用してはならない。
1項

何人も法律に別段の定めがある場合を除くほか、特定の相手方に対して行われる無線通信(電気通信事業法第四条第一項 又は第百六十四条第三項の通信であるものを除く第百九条 並びに第百九条の二第二項 及び第三項において同じ。)を傍受してその存在 若しくは内容を漏らし、又はこれを窃用してはならない。

1項

無線局には、正確な時計 及び無線業務日誌 その他総務省令で定める書類を備え付けておかなければならない。


ただし、総務省令で定める無線局については、これらの全部 又は一部の備付けを省略することができる。

1項

無線局の呼出し又は応答の方法 その他の通信方法、時刻の照合 並びに救命艇の無線設備 及び方位測定装置の調整 その他無線設備の機能を維持するために必要な事項の細目は、総務省令で定める。

第二節 海岸局等の運用

1項

船舶局の運用は、その船舶の航行中に限る


但し、受信装置のみを運用するとき、第五十二条各号に掲げる通信を行うとき、その他総務省令で定める場合は、この限りでない。

2項

海岸局(船舶局と通信を行うため陸上に開設する無線局をいう。以下同じ。)は、船舶局から自局の運用に妨害を受けたときは、妨害している船舶局に対して、その妨害を除去するために必要な措置をとることを求めることができる。

3項

船舶局は、海岸局と通信を行う場合において、通信の順序 若しくは時刻 又は使用電波の型式 若しくは周波数について、海岸局から指示を受けたときは、その指示に従わなければならない。

1項

海岸局 及び海岸地球局(陸上に開設する無線局であつて、人工衛星局の中継により船舶地球局と無線通信を行うものをいう。以下同じ。)は、常時運用しなければならない。


ただし、総務省令で定める海岸局 及び海岸地球局については、この限りでない。

1項

次の表の上欄に掲げる無線局で総務省令で定めるものは、同表の一の項 及び二の項に掲げる無線局にあつては常時、同表の三の項に掲げる無線局にあつては総務省令で定める時間中、同表の四の項に掲げる無線局にあつてはその運用義務時間(無線局を運用しなければならない時間をいう。以下同じ。)中、その無線局に係る同表の下欄に掲げる周波数で聴守をしなければならない。


ただし、総務省令で定める場合は、この限りでない。

無線局
周波数
一 デジタル選択呼出装置を施設している船舶局 及び海岸局
総務省令で定める周波数
二 船舶地球局 及び海岸地球局
総務省令で定める周波数
三 船舶局
百五十六・六五メガヘルツ、百五十六・八メガヘルツ 及び総務省令で定める周波数
四 海岸局
総務省令で定める周波数
1項

海岸局、海岸地球局、船舶局 及び船舶地球局(次条 及び第六十八条において「海岸局等」という。)は、遭難通信を受信したときは、他の一切の無線通信に優先して、直ちにこれに応答し、かつ、遭難している船舶 又は航空機を救助するため最も便宜な位置にある無線局に対して通報する等総務省令で定めるところにより救助の通信に関し最善の措置をとらなければならない。

2項

無線局は、遭難信号 又は第五十二条第一号の総務省令で定める方法により行われる無線通信を受信したときは、遭難通信を妨害するおそれのある電波の発射を直ちに中止しなければならない。

1項
海岸局等は、遭難通信に次ぐ優先順位をもつて、緊急通信を取り扱わなければならない。
2項

海岸局等は、緊急信号 又は第五十二条第二号の総務省令で定める方法により行われる無線通信を受信したときは、遭難通信を行う場合を除き、その通信が自局に関係のないことを確認するまでの間(総務省令で定める場合には、少なくとも三分間)継続してその緊急通信を受信しなければならない。

1項

海岸局等は、速やかに、かつ、確実に安全通信を取り扱わなければならない。

2項

海岸局等は、安全信号 又は第五十二条第三号の総務省令で定める方法により行われる無線通信を受信したときは、その通信が自局に関係のないことを確認するまでその安全通信を受信しなければならない。

1項

海岸局 又は船舶局は、他の船舶局から無線設備の機器の調整のための通信を求められたときは、支障のない限り、これに応じなければならない。

第三節 航空局等の運用

1項

航空機局の運用は、その航空機の航行中 及び航行の準備中に限る


但し、受信装置のみを運用するとき、第五十二条各号に掲げる通信を行うとき、その他総務省令で定める場合は、この限りでない。

2項

航空局(航空機局と通信を行うため陸上に開設する無線局をいう。以下同じ。)又は海岸局は、航空機局から自局の運用に妨害を受けたときは、妨害している航空機局に対して、その妨害を除去するために必要な措置をとることを求めることができる。

3項

航空機局は、航空局と通信を行う場合において、通信の順序 若しくは時刻 又は使用電波の型式 若しくは周波数について、航空局から指示を受けたときは、その指示に従わなければならない。

1項
義務航空機局 及び航空機地球局は、総務省令で定める時間運用しなければならない。
2項

航空局 及び航空地球局(陸上に開設する無線局であつて、人工衛星局の中継により航空機地球局と無線通信を行うものをいう。次条において同じ。)は、常時運用しなければならない。


ただし、総務省令で定める場合は、この限りでない。

1項

航空局、航空地球局、航空機局 及び航空機地球局(第七十条の六第二項において「航空局等」という。)は、その運用義務時間中は、総務省令で定める周波数で聴守しなければならない。


ただし、総務省令で定める場合は、この限りでない。

1項

航空機局は、その航空機の航行中は、総務省令で定める方法により、総務省令で定める航空局と連絡しなければならない。

1項

航空機局等(航空機局 又は航空機地球局(電気通信業務を行うことを目的とするものを除く)をいう。以下この条において同じ。)の免許人は、総務省令で定めるところにより、当該航空機局等に係る無線局の基準適合性(無線局の無線設備がその工事設計に合致しており、かつ、その無線従事者の資格(第三十九条第三項に規定する主任無線従事者の要件に係るものを含む。)及び員数が第三十九条 及び第四十条の規定に、その時計 及び書類が第六十条の規定にそれぞれ違反していないことをいう。次項において同じ。)を確保するための無線設備等の点検 その他の保守に関する規程(以下「無線設備等保守規程」という。)を作成し、これを総務大臣に提出して、その認定を受けることができる。

2項

総務大臣は、前項の認定の申請があつた場合において、その申請に係る無線設備等保守規程が次の各号いずれにも適合していると認めるときは、同項の認定をするものとする。

一 号

第七十三条第一項の総務省令で定める時期を勘案して総務省令で定める時期ごとに、その申請に係る航空機局等に係る無線局の基準適合性を確認するものであること。

二 号
その申請に係る航空機局等に係る無線局の基準適合性を確保するために十分なものであること。
3項

第一項の認定を受けた免許人(以下この条において「認定免許人」という。)は、当該認定を受けた無線設備等保守規程を変更しようとするときは、総務省令で定めるところにより、総務大臣の認定を受けなければならない。


ただし、総務省令で定める軽微な変更については、この限りでない。

4項

第二項の規定は、前項の変更の認定について準用する。

5項

認定免許人は、第三項ただし書の総務省令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出なければならない。

6項

認定免許人は、毎年、総務省令で定めるところにより、第一項の認定を受けた無線設備等保守規程(第三項の変更の認定 又は前項の変更の届出があつたときは、その変更後のもの。次項において同じ。)に従つて行う当該認定に係る航空機局等の無線設備等の点検 その他の保守の実施状況について総務大臣に報告しなければならない。

7項

総務大臣は、次の各号いずれかに該当するときは、第一項の認定を取り消すことができる。

一 号

第一項の認定を受けた無線設備等保守規程が第二項各号いずれかに適合しなくなつたと認めるとき。

二 号

認定免許人が第一項の認定を受けた無線設備等保守規程に従つて当該認定に係る航空機局等の無線設備等の点検 その他の保守を行つていないと認めるとき。

三 号

認定免許人が不正な手段により第一項の認定 又は第三項の変更の認定を受けたとき。

8項

総務大臣は、前項第一号除く)の規定により第一項の認定の取消しをしたときは、当該認定免許人であつた者が受けている他の無線設備等保守規程の同項の認定を取り消すことができる。

9項

第二十条第一項第七項 及び第九項の規定は、認定免許人について準用する。


この場合において、

同条第七項
船舶局 若しくは船舶地球局(電気通信業務を行うことを目的とするものを除く。)のある船舶 又は無線設備が遭難自動通報設備 若しくはレーダーのみの無線局のある船舶」とあるのは
第七十条の五の二第一項の認定に係る同項に規定する航空機局等のある航空機」と、

船舶の」とあるのは
「航空機の」と、

船舶を」とあるのは
「航空機を」と、

同条第九項
前二項」とあるのは
第七項」と

読み替えるものとする。

10項

認定免許人が開設している第一項の認定に係る航空機局等については、第七十三条第一項の規定は、適用しない

1項

第六十九条船舶局の機器の調整のための通信)の規定は、航空局 及び航空機局の運用について準用する。

2項

第六十六条遭難通信)及び第六十七条緊急通信)の規定は、航空局等の運用について準用する。

第四節 無線局の運用の特例

1項

無線局(その運用が、専ら第三十九条第一項本文の総務省令で定める簡易な操作(次条第一項において単に「簡易な操作」という。)によるものに限る)の免許人等は、地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動 その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合において、人命の救助災害の救援交通通信の確保 又は秩序の維持のために必要な通信を行うときは、当該無線局の免許等が効力を有する間、当該無線局を自己以外の者に運用させることができる。

2項

前項の規定により無線局を自己以外の者に運用させた免許人等は、遅滞なく、当該無線局を運用する自己以外の者(以下この条において「非常時運用人」という。)の氏名 又は名称、非常時運用人による運用の期間 その他の総務省令で定める事項を総務大臣に届け出なければならない。

3項

前項に規定する免許人等は、当該無線局の運用が適正に行われるよう、総務省令で定めるところにより、非常時運用人に対し、必要かつ適切な監督を行わなければならない。

4項

第七十四条の二第二項第七十六条第一項 及び第三項第七十六条の二の二 並びに第八十一条の規定は、非常時運用人について準用する。


この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

1項

電気通信業務を行うことを目的として開設する無線局(無線設備の設置場所、空中線電力等を勘案して、簡易な操作で運用することにより他の無線局の運用を阻害するような混信 その他の妨害を与えないように運用することができるものとして総務省令で定めるものに限る)の免許人は、当該無線局の免許人以外の者による運用(簡易な操作によるものに限る。以下この条において同じ。)が電波の能率的な利用に資するものである場合には、当該無線局の免許が効力を有する間、自己以外の者に当該無線局の運用を行わせることができる。


ただし、免許人以外の者が第五条第三項各号いずれかに該当するときは、この限りでない。

2項

前条第二項 及び第三項の規定は、前項の規定により自己以外の者に無線局の運用を行わせた免許人について準用する。

3項

第七十四条の二第二項第七十六条第一項 及び第八十一条の規定は、第一項の規定により無線局の運用を行う当該無線局の免許人以外の者について準用する。

4項

前二項の場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

1項

登録局の登録人は、当該登録局の登録人以外の者による運用が電波の能率的な利用に資するものであり、かつ、他の無線局の運用に混信 その他の妨害を与えるおそれがないと認める場合には、当該登録局の登録が効力を有する間、当該登録局を自己以外の者に運用させることができる。


ただし、登録人以外の者が第二十七条の二十三第二項各号第二号除く)のいずれかに該当するときは、この限りでない。

2項

第七十条の七第二項 及び第三項の規定は、前項の規定により自己以外の者に登録局を運用させた登録人について準用する。

3項

第三十九条第四項 及び第七項第五十一条第七十四条の二第二項第七十六条第一項 及び第三項第七十六条の二の二 並びに第八十一条の規定は、第一項の規定により登録局を運用する当該登録局の登録人以外の者について準用する。

4項

前二項の場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。