犯罪捜査共助規則

# 昭和三十二年国家公安委員会規則第三号 #

第二章 共助の依頼

分類 規則
カテゴリ   警察
最終編集日 : 2024年 11月23日 19時24分


第一節 通則

1項

都道府県警察は、当該都道府県警察の行う犯罪の捜査に関し、他の都道府県警察に対し、共助の依頼(被疑者の逮捕、呼出し若しくは取調べ、盗品等(盗品 その他財産に対する罪に当たる行為によつて領得された物をいう。)その他の証拠物の手配、押収、捜索 若しくは検証、参考人の呼出し若しくは取調べ、職員の派遣 その他の措置を依頼することをいう。以下同じ。)をすることができる。

2項

共助の依頼は、原則として、警察本部(警視庁 及び道府県警察本部をいう。以下同じ。)が、他の警察本部に対して行うものとする。

3項

共助の依頼をするに当たつては、依頼の趣旨、内容 その他の必要な事項を明確にし、及び依頼を受けた都道府県警察の事務の遂行に支障を及ぼさないようにしなければならない。

4項

都道府県警察は、他の都道府県警察に対し共助の依頼をするため必要がある場合においては、警察庁 又は管区警察局にそのあつせんを求めることができる。

第二節 手配等

1項

都道府県警察は、その管轄区域における犯罪の捜査につき、他の都道府県警察に対して緊急の措置を依頼する必要があるときは、緊急事件手配書(犯罪捜査規範昭和三十二年国家公安委員会規則第二号。以下「規範」という。別記様式第一号)により、必要な措置を求めるものとする。

1項

都道府県警察は、他の都道府県警察に対し、容疑者 及び捜査資料 その他参考事項について通報を求める場合には、事件の概要 及び通報を求める事項を明らかにして、事件手配を行うものとする。

1項

逮捕状の発せられている被疑者の逮捕を依頼し、逮捕後身柄の引渡しを要求する場合には、指名手配書(規範別記様式第二号)により、指名手配を行うものとする。

2項

急速を要し逮捕状の発付を受けるいとまのないときは、前項に規定する指名手配書により手配した後、速やかに逮捕状の発付を得て、その有効期間を通報するものとする。

3項

第五条の規定による緊急事件手配により、氏名等の明らかな被疑者の逮捕を依頼した場合には、当該緊急事件手配を指名手配とみなす。


この場合においては、逮捕状の発付を得た後、改めて第一項に規定する手続をとるものとする。

1項

前条に規定する指名手配を行うに当たつては、被疑者を逮捕した場合における身柄の処置につき、次のいずれであるかを明らかにしなければならない。

一 号

第一種手配(身柄の護送を求める場合の手配をいう。

二 号

第二種手配(身柄を引取りに行く場合の手配をいう。

2項

指名手配は、原則として第一種手配によるものとする。

3項

第二種手配は、逮捕地において捜査する必要がある等特別の事情がある場合であつて、逮捕後身柄を引取りに行つても事件処理に余裕があるときに限り、これを行うことができる。

4項

第二種手配があつた被疑者を逮捕した都道府県警察は、手配をした都道府県警察が遠隔であるため、通常の方法による身柄の引取りを待つならば、明らかに刑事訴訟法昭和二十三年法律第百三十一号第二百三条の規定による時間の制限を超えると認められる場合には、これを第一種手配として取り扱うことができる。


この場合においては、その旨を速やかに手配をした都道府県警察に通告するものとする。

1項

指名手配があつた被疑者を逮捕した都道府県警察(以下「逮捕警察」という。)は、次の各号いずれかに該当する場合を除き被疑者の身柄をその指名手配をした都道府県警察(以下「手配警察」という。)に引き渡さなければならない。

一 号

逮捕警察が、手配を受けた犯罪より法定刑が重い別の犯罪をその管轄区域において犯した被疑者を逮捕したとき。

二 号

逮捕警察が、手配を受けた犯罪と法定刑が同等以上の別の犯罪で手配をしていた被疑者を逮捕したとき。

三 号

逮捕警察が、手配被疑者に関連する犯罪で、既にその正犯 又は共同正犯である被疑者の一部を逮捕しているとき。

2項

同一被疑者について、二以上の手配警察がある場合には、次の各号に定める手配警察にその身柄を引き渡さなければならない。

一 号

手配を受けた犯罪について、その法定刑に軽重があるとき(次号に規定する場合に該当する場合を除く)は、重い犯罪を手配した警察

二 号
手配を受けた犯罪で、既にその正犯 又は共同正犯である被疑者の一部を逮捕している警察があるときは、その警察
三 号

前二号に規定する場合のほかは、先に手配をした警察

3項

前二項に規定する身柄引渡しの原則により難い事情があるときは、逮捕警察と手配警察 又は手配警察相互間の協議により決するものとする。

4項

前項の協議が整わないときは、警察庁 又は管区警察局の決するところによるものとする。

1項

逮捕警察は、手配警察に、指名手配のあつた被疑者を逮捕した旨を速やかに通告しなければならない。


この場合において、逮捕警察が身柄を必要とするときは、その理由を併せて通告するものとする。

1項

他の都道府県警察に対し、身柄の引渡しを求めない被疑者について、その事件の処理をゆだねる旨の手配は、指名通報書(規範別記様式第二号)により行うものとする。

2項

前項に規定する指名通報は、被疑者の氏名等が明らかであり、かつ、犯罪事実が確実なものについてのみ行うものとする。

3項

第一項の指名通報があつた事件については、あらかじめ、通報を発した都道府県警察に、逮捕状の有無、容疑事実の内容、関係書類 その他捜査資料の有無等を照会して処理するものとする。

4項

指名通報を行つた被疑者については、事件処理に必要な証拠資料、関係書類等を完全に整備しておき、被疑者を発見した警察から要求のあつたときは、速やかに事件引継書(規範別記様式第五号)とともに、証拠資料、関係書類等をその警察に送付しなければならない。

第三節 専門捜査員の派遣

1項

都道府県警察は、航空機事故、列車事故 その他のその捜査に関し専門的な知識 若しくは技能 又は経験を必要とする重要な事案で警察庁長官(以下「長官」という。)が定めるものに係る犯罪(以下「専門重要犯罪」という。)を認知したとき(第二十六条の二 及び第二十六条の三に規定する場合を除く)は、その旨を速やかに警察庁 及び管区警察局に報告しなければならない。

1項

都道府県公安委員会は、専門重要犯罪の捜査を適確に行うため必要があると認めるときは、警察法昭和二十九年法律第百六十二号。以下「」という。第六十条第一項の規定により、警察庁、管区警察局 又は他の都道府県警察に対し、専門重要犯罪の捜査に関し専門的な知識 若しくは技能 又は経験を有する警察職員(以下「専門捜査員」という。)の派遣の要求をするものとする。

2項

警察庁、管区警察局 及び都道府県警察は、前項の要求があつたときは、その事務の遂行に著しい支障のない限り、専門捜査員を派遣しなければならない。

3項

警察庁、管区警察局 及び都道府県警察は、相互の連絡の方法に係る措置、専門捜査員に関する資料の交換 その他の専門捜査員の派遣を迅速かつ円滑に行うために必要な措置を講ずるものとする。

1項

長官は、専門重要犯罪を認知した場合において、当該専門重要犯罪の捜査を適確に行うため必要があると認めるとき(第二十六条の五に規定する場合を除く)は、当該専門重要犯罪の捜査を行う都道府県警察に対し、専門捜査員の派遣の要求をすべきことを指示するものとする。

2項

長官は、専門捜査員の派遣の要求をする都道府県警察から第四条第四項の規定によりあつせんを求められた場合において、専門重要犯罪の捜査を適確に行うため特に必要があると認めるとき(第二十六条の五に規定する場合を除く)は、当該要求を受ける都道府県警察に対し、専門捜査員を派遣するよう指示するものとする。

第四節 補則

1項

第五条から第七条まで 及び第十一条に規定する手配 又は通報については、その実効を期するため、犯罪の種別、軽重、緊急の度合等に応じ、手配の範囲、種別 及び方法を合理的に定め、いやしくも濫用にわたることのないように注意しなければならない。

1項

第五条から第七条まで 及び第十一条に規定する手配 又は通報に係る事件について、被疑者を逮捕し、事件を解決したときは、その手配 又は通報をした都道府県警察は、速やかに、かつ、確実に、その手配 又は通報の解除を行わなければならない。

2項

逮捕状の有効期間が経過し、逮捕状の再発付を受けない場合も、また、前項と同様とする。

3項

前二項のほか、共助の依頼をした場合において、その必要がなくなつたときは、第一項の規定に準じ、必要な手続をとらなければならない。

1項

都道府県警察は、他の都道府県警察の管轄に属する犯罪事件について、その被疑者、証拠物 その他捜査上参考となるべき事項を発見したときは、直ちに、適当な措置をとるとともに、その旨を当該都道府県警察に通報しなければならない。

2項

都道府県警察は、前項の通報のほか、重要事件、他に波及するおそれのある事件 その他犯罪の捜査 又は予防上参考となるべき事件 又は事項についても、関係都道府県警察に通報するものとする。

1項

逮捕警察が被疑者を護送した場合においては、その護送に要した費用は、引渡しを受けた都道府県警察が、その定める一定の基準により、これを負担するものとする。

1項

都道府県警察は、被疑者の護送 その他捜査のため必要があるときは、他の都道府県警察に対し、被疑者の留置を依頼することができる。

2項

前項の依頼による被疑者の留置に特に要した費用は、当該依頼をした都道府県警察の負担とする。


この場合において、逮捕警察が当該依頼をしたときは、手配警察の負担とする。