会社法

# 平成十七年法律第八十六号 #

第一節 総則

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和五年六月十四日 ( 2023年 6月14日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第五十三号による改正
最終編集日 : 2024年 04月18日 20時57分


第一款 清算の開始

1項

株式会社は、次に掲げる場合には、この章の定めるところにより、清算をしなければならない。

一 号

解散した場合(第四百七十一条第四号に掲げる事由によって解散した場合 及び破産手続開始の決定により解散した場合であって当該破産手続が終了していない場合を除く

二 号

設立の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合

三 号

株式移転の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合

1項

前条の規定により清算をする株式会社(以下「清算株式会社」という。)は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなす。

第二款 清算株式会社の機関

第一目 株主総会以外の機関の設置

1項

清算株式会社には、一人 又は二人以上の清算人を置かなければならない。

2項

清算株式会社は、定款の定めによって、清算人会、監査役 又は監査役会を置くことができる。

3項

監査役会を置く旨の定款の定めがある清算株式会社は、清算人会を置かなければならない。

4項

第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった時において公開会社 又は大会社であった清算株式会社は、監査役を置かなければならない。

5項

第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった時において監査等委員会設置会社であった清算株式会社であって、前項の規定の適用があるものにおいては、監査等委員である取締役が監査役となる。

6項

第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった時において指名委員会等設置会社であった清算株式会社であって、第四項の規定の適用があるものにおいては、監査委員が監査役となる。

7項

第四章第二節の規定は、清算株式会社については、適用しない

第二目 清算人の就任及び解任並びに監査役の退任

1項

次に掲げる者は、清算株式会社の清算人となる。

一 号

取締役(次号 又は第三号に掲げる者がある場合を除く

二 号
定款で定める者
三 号

株主総会の決議によって選任された者

2項

前項の規定により清算人となる者がないときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、清算人を選任する。

3項

前二項の規定にかかわらず第四百七十一条第六号に掲げる事由によって解散した清算株式会社については、裁判所は、利害関係人 若しくは法務大臣の申立てにより 又は職権で、清算人を選任する。

4項

第一項 及び第二項の規定にかかわらず第四百七十五条第二号 又は第三号に掲げる場合に該当することとなった清算株式会社については、裁判所は、利害関係人の申立てにより、清算人を選任する。

5項

第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった時において監査等委員会設置会社であった清算株式会社における第一項第一号の規定の適用については、

同号
取締役」とあるのは、
「監査等委員である取締役以外の取締役」と

する。

6項

第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった時において指名委員会等設置会社であった清算株式会社における第一項第一号の規定の適用については、

同号
取締役」とあるのは、
「監査委員以外の取締役」と

する。

7項

第三百三十五条第三項の規定にかかわらず第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった時において監査等委員会設置会社 又は指名委員会等設置会社であった清算株式会社である監査役会設置会社においては、監査役は、三人以上で、そのうち半数以上は、次に掲げる要件のいずれにも該当するものでなければならない。

一 号

その就任の前十年間当該監査等委員会設置会社 若しくは指名委員会等設置会社 又はその子会社の取締役(社外取締役を除く)、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員。次号において同じ。) 若しくは執行役 又は支配人 その他の使用人であったことがないこと

二 号

その就任の前十年内いずれかの時において当該監査等委員会設置会社 若しくは指名委員会等設置会社 又はその子会社の社外取締役 又は監査役であったことがある者にあっては、当該社外取締役 又は監査役への就任の前十年間当該監査等委員会設置会社 若しくは指名委員会等設置会社 又はその子会社の取締役(社外取締役を除く)、会計参与 若しくは執行役 又は支配人 その他の使用人であったことがないこと

三 号

第二条第十六号ハからホまでに掲げる要件

8項

第三百三十条第三百三十一条第一項 及び第三百三十一条の二の規定は清算人について、第三百三十一条第五項の規定は清算人会設置会社(清算人会を置く清算株式会社 又はこの法律の規定により清算人会を置かなければならない清算株式会社をいう。以下同じ。)について、それぞれ準用する。


この場合において、

同項
取締役は」とあるのは、
「清算人は」と

読み替えるものとする。

1項

清算人(前条第二項から第四項までの規定により裁判所が選任したものを除く)は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。

2項

重要な事由があるときは、裁判所は、次に掲げる株主の申立てにより、清算人を解任することができる。

一 号

総株主(次に掲げる株主を除く)の議決権の百分の三これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上の議決権を六箇月これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間前から 引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く

清算人を解任する旨の議案について議決権を行使することができない株主

当該申立てに係る清算人である株主
二 号

発行済株式(次に掲げる株主の有する株式を除く)の百分の三これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上の数の株式を六箇月これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間前から 引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く

当該清算株式会社である株主

当該申立てに係る清算人である株主

3項

公開会社でない清算株式会社における前項各号の規定の適用については、

これらの規定中
六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、
「有する」と

する。

4項

第三百四十六条第一項から第三項までの規定は、清算人について準用する。

1項

清算株式会社の監査役は、当該清算株式会社が次に掲げる定款の変更をした場合には、当該定款の変更の効力が生じた時に退任する。

一 号

監査役を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更

二 号

監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更

2項

第三百三十六条の規定は、清算株式会社の監査役については、適用しない

第三目 清算人の職務等

1項

清算人は、次に掲げる職務を行う。

一 号
現務の結了
二 号
債権の取立て及び債務の弁済
三 号
残余財産の分配
1項

清算人は、清算株式会社(清算人会設置会社を除く。以下 この条において同じ。)の業務を執行する。

2項

清算人が二人以上ある場合には、清算株式会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、清算人の過半数をもって決定する。

3項

前項の場合には、清算人は、次に掲げる事項についての決定を各清算人に委任することができない

一 号
支配人の選任 及び解任
二 号
支店の設置、移転 及び廃止
三 号

第二百九十八条第一項各号第三百二十五条において準用する場合を含む。)に掲げる事項

四 号

清算人の職務の執行が法令 及び定款に適合することを確保するための体制その他清算株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備

4項

第三百五十三条から第三百五十七条第三項除く)まで、第三百六十条 並びに第三百六十一条第一項 及び第四項の規定は、清算人(同条の規定については、第四百七十八条第二項から第四項までの規定により裁判所が選任したものを除く)について準用する。


この場合において、

第三百五十三条
第三百四十九条第四項」とあるのは
第四百八十三条第六項において準用する第三百四十九条第四項」と、

第三百五十四条
代表取締役」とあるのは
「代表清算人(第四百八十三条第一項に規定する代表清算人をいう。)」と、

第三百六十条第三項
監査役設置会社、監査等委員会設置会社 又は指名委員会等設置会社」とあるのは
「監査役設置会社」と

読み替えるものとする。

1項

清算人は、清算株式会社を代表する。


ただし、他に代表清算人(清算株式会社を代表する清算人をいう。以下同じ。)その他清算株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。

2項

前項本文の清算人が二人以上ある場合には、清算人は、各自、清算株式会社を代表する。

3項

清算株式会社(清算人会設置会社を除く)は、定款、定款の定めに基づく清算人(第四百七十八条第二項から第四項までの規定により裁判所が選任したものを除く。以下 この項において同じ。)の互選 又は株主総会の決議によって、清算人の中から代表清算人を定めることができる。

4項

第四百七十八条第一項第一号の規定により取締役が清算人となる場合において、代表取締役を定めていたときは、当該代表取締役が代表清算人となる。

5項

裁判所は、第四百七十八条第二項から第四項までの規定により清算人を選任する場合には、その清算人の中から代表清算人を定めることができる。

6項

第三百四十九条第四項 及び第五項 並びに第三百五十一条の規定は代表清算人について、第三百五十二条の規定は民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された清算人 又は代表清算人の職務を代行する者について、それぞれ準用する。

1項

清算株式会社の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない。

2項

清算人は、清算株式会社が破産手続開始の決定を受けた場合において破産管財人にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。

3項

前項に規定する場合において、清算株式会社が既に債権者に支払い、又は株主に分配したものがあるときは、破産管財人は、これを取り戻すことができる。

1項

裁判所は、第四百七十八条第二項から第四項までの規定により清算人を選任した場合には、清算株式会社が当該清算人に対して支払う報酬の額を定めることができる。

1項

清算人は、その任務を怠ったときは、清算株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

2項

清算人が第四百八十二条第四項において準用する第三百五十六条第一項の規定に違反して同項第一号の取引をしたときは、当該取引により清算人 又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する。

3項

第四百八十二条第四項において準用する第三百五十六条第一項第二号 又は第三号の取引によって清算株式会社に損害が生じたときは、次に掲げる清算人は、その任務を怠ったものと推定する。

一 号

第四百八十二条第四項において準用する第三百五十六条第一項の清算人

二 号

清算株式会社が当該取引をすることを決定した清算人

三 号

当該取引に関する清算人会の承認の決議に賛成した清算人

4項

第四百二十四条 及び第四百二十八条第一項の規定は、清算人の第一項の責任について準用する。


この場合において、

同条第一項
第三百五十六条第一項第二号(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)」とあるのは、
第四百八十二条第四項において準用する第三百五十六条第一項第二号」と

読み替えるものとする。

1項

清算人がその職務を行うについて悪意 又は重大な過失があったときは、当該清算人は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。

2項

清算人が、次に掲げる行為をしたときも、前項同様とする。


ただし、当該清算人が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときはこの限りでない。

一 号

株式、新株予約権、社債 若しくは新株予約権付社債を引き受ける者の募集をする際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知 又は当該募集のための当該清算株式会社の事業 その他の事項に関する説明に用いた資料についての虚偽の記載 若しくは記録

二 号

第四百九十二条第一項に規定する財産目録等並びに第四百九十四条第一項の貸借対照表 及び事務報告並びにこれらの附属明細書に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載 又は記録

三 号
虚偽の登記
四 号
虚偽の公告
1項

清算人 又は監査役が清算株式会社 又は第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の清算人 又は監査役も 当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。

2項

前項の場合には、第四百三十条の規定は、適用しない

第四目 清算人会

1項

清算人会は、すべての清算人で組織する。

2項

清算人会は、次に掲げる職務を行う。

一 号

清算人会設置会社の業務執行の決定

二 号
清算人の職務の執行の監督
三 号
代表清算人の選定 及び解職
3項

清算人会は、清算人の中から代表清算人を選定しなければならない。


ただし、他に代表清算人があるときは、この限りでない。

4項

清算人会は、その選定した代表清算人 及び第四百八十三条第四項の規定により代表清算人となった者を解職することができる。

5項

第四百八十三条第五項の規定により裁判所が代表清算人を定めたときは、清算人会は、代表清算人を選定し、又は解職することができない

6項

清算人会は、次に掲げる事項 その他の重要な業務執行の決定を清算人に委任することができない

一 号
重要な財産の処分 及び譲受け
二 号
多額の借財
三 号

支配人 その他の重要な使用人の選任 及び解任

四 号

支店 その他の重要な組織の設置、変更 及び廃止

五 号

第六百七十六条第一号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項

六 号

清算人の職務の執行が法令 及び定款に適合することを確保するための体制その他清算株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備

7項

次に掲げる清算人は、清算人会設置会社の業務を執行する。

一 号
代表清算人
二 号

代表清算人以外の清算人であって、清算人会の決議によって清算人会設置会社の業務を執行する清算人として選定されたもの

8項

第三百六十三条第二項第三百六十四条 及び第三百六十五条の規定は、清算人会設置会社について準用する。


この場合において、

第三百六十三条第二項
前項各号」とあるのは
第四百八十九条第七項各号」と、

取締役は」とあるのは
「清算人は」と、

取締役会」とあるのは
「清算人会」と、

第三百六十四条
第三百五十三条」とあるのは
第四百八十二条第四項において準用する第三百五十三条」と、

取締役会は」とあるのは
「清算人会は」と、

第三百六十五条第一項
第三百五十六条」とあるのは
第四百八十二条第四項において準用する第三百五十六条」と、

「取締役会」とあるのは
「「清算人会」と、

同条第二項
第三百五十六条第一項各号」とあるのは
第四百八十二条第四項において準用する第三百五十六条第一項各号」と、

取締役は」とあるのは
「清算人は」と、

取締役会に」とあるのは
「清算人会に」と

読み替えるものとする。

1項

清算人会は、各清算人が招集する。


ただし、清算人会を招集する清算人を定款 又は清算人会で定めたときは、その清算人が招集する。

2項

前項ただし書に規定する場合には、同項ただし書の規定により定められた清算人(以下 この項において「招集権者」という。以外の清算人は、招集権者に対し、清算人会の目的である事項を示して、清算人会の招集を請求することができる。

3項

前項の規定による請求があった日から五日以内に、その請求があった日から二週間以内の日を清算人会の日とする清算人会の招集の通知が発せられない場合には、その請求をした清算人は、清算人会を招集することができる。

4項

第三百六十七条 及び第三百六十八条の規定は、清算人会設置会社における清算人会の招集について準用する。


この場合において、

第三百六十七条第一項
監査役設置会社、監査等委員会設置会社 及び指名委員会等設置会社」とあるのは
「監査役設置会社」と、

取締役が」とあるのは
「清算人が」と、

同条第二項
取締役(前条第一項ただし書に規定する場合にあっては、招集権者)」とあるのは
「清算人(第四百九十条第一項ただし書に規定する場合にあっては、同条第二項に規定する招集権者)」と、

同条第三項 及び第四項中前条第三項」とあるのは
第四百九十条第三項」と、

第三百六十八条第一項
各取締役」とあるのは
「各清算人」と、

同条第二項
取締役(」とあるのは
「清算人(」と、

取締役 及び」とあるのは
「清算人 及び」と

読み替えるものとする。

5項

第三百六十九条から第三百七十一条までの規定は、清算人会設置会社における清算人会の決議について準用する。


この場合において、

第三百六十九条第一項
取締役の」とあるのは
「清算人の」と、

同条第二項
取締役」とあるのは
「清算人」と、

同条第三項
取締役 及び」とあるのは
「清算人 及び」と、

同条第五項
取締役であって」とあるのは
「清算人であって」と、

第三百七十条
取締役が」とあるのは
「清算人が」と、

取締役(」とあるのは
「清算人(」と、

第三百七十一条第三項
監査役設置会社、監査等委員会設置会社 又は指名委員会等設置会社」とあるのは
「監査役設置会社」と、

同条第四項
役員 又は執行役」とあるのは
「清算人 又は監査役」と

読み替えるものとする。

6項

第三百七十二条第一項 及び第二項の規定は、清算人会設置会社における清算人会への報告について準用する。


この場合において、

同条第一項
取締役、会計参与、監査役 又は会計監査人」とあるのは
「清算人 又は監査役」と、

取締役(」とあるのは
「清算人(」と、

取締役 及び」とあるのは
「清算人 及び」と、

同条第二項
第三百六十三条第二項」とあるのは
第四百八十九条第八項において準用する第三百六十三条第二項」と

読み替えるものとする。

第五目 取締役等に関する規定の適用

1項

清算株式会社については、第二章第百五十五条除く)、第三章第四章第一節第三百三十五条第二項第三百四十三条第一項 及び第二項第三百四十五条第四項において準用する同条第三項第三百五十九条同章第七節 及び第八節 並びに第七章の規定中取締役、代表取締役、取締役会 又は取締役会設置会社に関する規定は、それぞれ清算人、代表清算人、清算人会 又は清算人会設置会社に関する規定として清算人、代表清算人、清算人会 又は清算人会設置会社に適用があるものとする。

第三款 財産目録等

1項

清算人(清算人会設置会社にあっては、第四百八十九条第七項各号に掲げる清算人)は、その就任後遅滞なく、清算株式会社の財産の現況を調査し、法務省令で定めるところにより、第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった日における財産目録 及び貸借対照表(以下 この条 及び次条において「財産目録等」という。)を作成しなければならない。

2項

清算人会設置会社においては、財産目録等は、清算人会の承認を受けなければならない。

3項

清算人は、財産目録等(前項の規定の適用がある場合にあっては、同項の承認を受けたもの)を株主総会に提出し、又は提供し、その承認を受けなければならない。

4項

清算株式会社は、財産目録等を作成した時からその本店の所在地における清算結了の登記の時までの間、当該財産目録等を保存しなければならない。

1項

裁判所は、申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、財産目録等の全部 又は一部の提出を命ずることができる。

1項

清算株式会社は、法務省令で定めるところにより、各清算事務年度(第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった日の翌日 又はその後 毎年 その日に応当する日(応当する日がない場合にあっては、その前日)から始まる各一年の期間をいう。)に係る貸借対照表 及び事務報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。

2項

前項の貸借対照表 及び事務報告 並びにこれらの附属明細書は、電磁的記録をもって作成することができる。

3項

清算株式会社は、第一項の貸借対照表を作成した時からその本店の所在地における清算結了の登記の時までの間、当該貸借対照表 及び その附属明細書を保存しなければならない。

1項

監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)においては、前条第一項の貸借対照表 及び事務報告 並びにこれらの附属明細書は、法務省令で定めるところにより、監査役の監査を受けなければならない。

2項

清算人会設置会社においては、前条第一項の貸借対照表 及び事務報告 並びにこれらの附属明細書(前項の規定の適用がある場合にあっては、同項の監査を受けたもの)は、清算人会の承認を受けなければならない。

1項

清算株式会社は、第四百九十四条第一項に規定する各清算事務年度に係る貸借対照表 及び事務報告 並びにこれらの附属明細書(前条第一項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告を含む。以下 この条において「貸借対照表等」という。)を、定時株主総会の日の一週間前の日(第三百十九条第一項の場合にあっては、同項の提案があった日)からその本店の所在地における清算結了の登記の時までの間、その本店に備え置かなければならない。

2項

株主 及び債権者は、清算株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。


ただし第二号 又は第四号に掲げる請求をするには、当該清算株式会社の定めた費用を支払わなければならない。

一 号

貸借対照表等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧の請求

二 号

前号の書面の謄本 又は抄本の交付の請求

三 号

貸借対照表等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

四 号

前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって清算株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

3項

清算株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該清算株式会社の貸借対照表等について前項各号に掲げる請求をすることができる。


ただし同項第二号 又は第四号に掲げる請求をするには、当該清算株式会社の定めた費用を支払わなければならない。

1項

次の各号に掲げる清算株式会社においては、清算人は、当該各号に定める貸借対照表 及び事務報告を定時株主総会に提出し、又は提供しなければならない。

一 号

第四百九十五条第一項に規定する監査役設置会社(清算人会設置会社を除く

同項の監査を受けた貸借対照表 及び事務報告

二 号

清算人会設置会社

第四百九十五条第二項の承認を受けた貸借対照表 及び事務報告

三 号

前二号に掲げるもの以外の清算株式会社

第四百九十四条第一項の貸借対照表 及び事務報告

2項

前項の規定により提出され、又は提供された貸借対照表は、定時株主総会の承認を受けなければならない。

3項

清算人は、第一項の規定により提出され、又は提供された事務報告の内容を定時株主総会に報告しなければならない。

1項

裁判所は、申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、第四百九十四条第一項の貸借対照表 及び その附属明細書の全部 又は一部の提出を命ずることができる。

第四款 債務の弁済等

1項

清算株式会社は、第四百七十五条各号に掲げる場合に該当することとなった後、遅滞なく、当該清算株式会社の債権者に対し、一定の期間内にその債権を申し出るべき旨を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。


ただし、当該期間は、二箇月を下ることができない

2項

前項の規定による公告には、当該債権者が当該期間内に申出をしないときは清算から除斥される旨を付記しなければならない。

1項

清算株式会社は、前条第一項の期間内は、債務の弁済をすることができない


この場合において、清算株式会社は、その債務の不履行によって生じた責任を免れることができない

2項

前項の規定にかかわらず、清算株式会社は、前条第一項の期間内であっても、裁判所の許可を得て、少額の債権、清算株式会社の財産につき存する担保権によって担保される債権 その他これを弁済しても 他の債権者を害するおそれがない債権に係る債務について、その弁済をすることができる。


この場合において、当該許可の申立ては、清算人が二人以上あるときは、その全員の同意によってしなければならない。

1項

清算株式会社は、条件付債権、存続期間が不確定な債権 その他その額が不確定な債権に係る債務を弁済することができる。


この場合においては、これらの債権を評価させるため、裁判所に対し、鑑定人の選任の申立てをしなければならない。

2項

前項の場合には、清算株式会社は、同項の鑑定人の評価に従い同項の債権に係る債務を弁済しなければならない。

3項

第一項の鑑定人の選任の手続に関する費用は、清算株式会社の負担とする。


当該鑑定人による鑑定のための呼出し及び質問に関する費用についても、同様とする。

1項

清算株式会社は、当該清算株式会社の債務を弁済した後でなければ、その財産を株主に分配することができない


ただし、その存否 又は額について争いのある債権に係る債務についてその弁済をするために必要と認められる財産を留保した場合は、この限りでない。

1項

清算株式会社の債権者(知れている債権者を除く)であって第四百九十九条第一項の期間内にその債権の申出をしなかったものは、清算から除斥される。

2項

前項の規定により清算から除斥された債権者は、分配がされていない残余財産に対してのみ、弁済を請求することができる。

3項

清算株式会社の残余財産を株主の一部に分配した場合には、当該株主の受けた分配と同一の割合の分配を当該株主以外の 株主に対してするために必要な財産は、前項の残余財産から控除する。

第五款 残余財産の分配

1項

清算株式会社は、残余財産の分配をしようとするときは、清算人の決定(清算人会設置会社にあっては、清算人会の決議)によって、次に掲げる事項を定めなければならない。

一 号
残余財産の種類
二 号
株主に対する残余財産の割当てに関する事項
2項

前項に規定する場合において、残余財産の分配について内容の異なる二以上の種類の株式を発行しているときは、清算株式会社は、当該種類の株式の内容に応じ、同項第二号に掲げる事項として、次に掲げる事項を定めることができる。

一 号

ある種類の株式の株主に対して残余財産の割当てをしないこととするときは、その旨 及び当該株式の種類

二 号

前号に掲げる事項のほか、残余財産の割当てについて株式の種類ごとに異なる取扱いを行うこととするときは、その旨 及び当該異なる取扱いの内容

3項

第一項第二号に掲げる事項についての定めは、株主(当該清算株式会社 及び前項第一号の種類の株式の株主を除く)の有する株式の数(前項第二号に掲げる事項についての定めがある場合にあっては、各種類の株式の数)に応じて残余財産を割り当てることを内容とするものでなければならない。

1項

株主は、残余財産が金銭以外の財産であるときは、金銭分配請求権(当該残余財産に代えて金銭を交付することを清算株式会社に対して請求する権利をいう。以下 この条において同じ。)を有する。


この場合において、清算株式会社は、清算人の決定(清算人会設置会社にあっては、清算人会の決議)によって、次に掲げる事項を定めなければならない。

一 号
金銭分配請求権を行使することができる期間
二 号

一定の数未満の数の株式を有する株主に対して残余財産の割当てをしないこととするときは、その旨 及び その数

2項

前項に規定する場合には、清算株式会社は、同項第一号の期間の末日の二十日前までに、株主に対し、同号に掲げる事項を通知しなければならない。

3項

清算株式会社は、金銭分配請求権を行使した株主に対し、当該株主が割当てを受けた残余財産に代えて、当該残余財産の価額に相当する金銭を支払わなければならない。


この場合においては、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額をもって当該残余財産の価額とする。

一 号

当該残余財産が市場価格のある財産である場合

当該残余財産の市場価格として法務省令で定める方法により算定される額

二 号

前号に掲げる場合以外の場合

清算株式会社の申立てにより裁判所が定める額

1項

前条第一項第二号の数(以下 この条において「基準株式数」という。)を定めた場合には、清算株式会社は、基準株式数に満たない数の株式(以下 この条において「基準未満株式」という。)を有する株主に対し、前条第三項後段の規定の例により基準株式数の株式を有する株主が割当てを受けた残余財産の価額として定めた額に当該基準未満株式の数の基準株式数に対する割合を乗じて得た額に相当する金銭を支払わなければならない。

第六款 清算事務の終了等

1項

清算株式会社は、清算事務が終了したときは、遅滞なく、法務省令で定めるところにより、決算報告を作成しなければならない。

2項

清算人会設置会社においては、決算報告は、清算人会の承認を受けなければならない。

3項

清算人は、決算報告(前項の規定の適用がある場合にあっては、同項の承認を受けたもの)を株主総会に提出し、又は提供し、その承認を受けなければならない。

4項

前項の承認があったときは、任務を怠ったことによる清算人の損害賠償の責任は、免除されたものとみなす。


ただし、清算人の職務の執行に関し不正の行為があったときは、この限りでない。

第七款 帳簿資料の保存

1項

清算人(清算人会設置会社にあっては、第四百八十九条第七項各号に掲げる清算人)は、清算株式会社の本店の所在地における清算結了の登記の時から十年間、清算株式会社の帳簿 並びにその事業 及び清算に関する重要な資料(以下 この条において「帳簿資料」という。)を保存しなければならない。

2項

裁判所は、利害関係人の申立てにより、前項の清算人に代わって帳簿資料を保存する者を選任することができる。この場合においては、同項の規定は、適用しない

3項

前項の規定により選任された者は、清算株式会社の本店の所在地における清算結了の登記の時から十年間、帳簿資料を保存しなければならない。

4項

第二項の規定による選任の手続に関する費用は、清算株式会社の負担とする。

第八款 適用除外等

1項

次に掲げる規定は、清算株式会社については、適用しない

一 号

第百五十五条

二 号

第五章第二節第二款第四百三十五条第四項第四百四十条第三項第四百四十二条 及び第四百四十三条除く) 及び第三款並びに第三節から第五節まで

三 号

第五編第四章 及び第四章の二 並びに同編第五章中株式交換、株式移転 及び株式交付の手続に係る部分

2項

第二章第四節の二の規定は、対象会社が清算株式会社である場合には、適用しない

3項

清算株式会社は、無償で取得する場合 その他法務省令で定める場合に限り、当該清算株式会社の株式を取得することができる。