この法律は、国立研究開発法人理化学研究所の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定めることを目的とする。
国立研究開発法人理化学研究所法
第一章 総則
この法律 及び独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号。以下「通則法」という。)の定めるところにより設立される通則法第二条第一項に規定する独立行政法人の名称は、国立研究開発法人理化学研究所とする。
国立研究開発法人理化学研究所(以下「研究所」という。)は、科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)に関する試験 及び研究等の業務を総合的に行うことにより、科学技術の水準の向上を図ることを目的とする。
研究所は、通則法第二条第三項に規定する国立研究開発法人とする。
研究所は、主たる事務所を埼玉県に置く。
研究所の資本金は、附則第二条第六項 及び第七項の規定により政府 及び政府以外の者から 出資があったものとされた金額の合計額とする。
研究所は、必要があるときは、文部科学大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。
政府は、前項の規定により研究所がその資本金を増加するときは、予算で定める金額の範囲内において、研究所に出資することができる。
政府は、研究所に出資するときは、土地 又は建物 その他の土地の定着物(次項において「土地等」という。)を出資の目的とすることができる。
前項の規定により出資の目的とする土地等の価額は、出資の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。
前項の評価委員その他 評価に関し必要な事項は、政令で定める。
研究所は、出資に対し、出資証券を発行する。
出資証券は、記名式とする。
前項に規定するもののほか、出資証券に関し必要な事項は、政令で定める。
研究所は、通則法第四十六条の二第一項 若しくは第二項の規定による国庫への納付 又は通則法第四十六条の三第三項の規定による払戻しをする場合を除くほか、出資者に対し、その持分を払い戻すことができない。
研究所は、出資者の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。
研究所でない者は、理化学研究所という 名称を用いてはならない。
第二章 役員及び職員
研究所に、役員として、その長である理事長 及び監事二人を置く。
研究所に、役員として、理事五人以内を置くことができる。
理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して研究所の業務を掌理する。
通則法第十九条第二項の個別法で定める役員は、理事とする。
ただし、理事が置かれていないときは、監事とする。
前項ただし書の場合において、通則法第十九条第二項の規定により理事長の職務を代理し 又はその職務を行う監事は、その間、監事の職務を行ってはならない。
理事の任期は、当該理事について理事長が定める期間(その末日が通則法第二十一条の二第一項の規定による理事長の任期の末日以前であるものに限る。)とする。
通則法第二十二条に定めるもののほか、次の各号のいずれかに該当する者は、役員となることができない。
物品の製造 若しくは販売 若しくは工事の請負を業とする者であって研究所と取引上密接な利害関係を有するもの 又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権 又は支配力を有する者を含む。)
前号に掲げる事業者の団体の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権 又は支配力を有する者を含む。)
研究所の役員の解任に関する通則法第二十三条第一項の規定の適用については、
同項中
「前条」とあるのは、
「前条 及び国立研究開発法人理化学研究所法(平成十四年法律第百六十号)第十二条」と
する。
研究所の役員 及び職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
その職を退いた後も、同様とする。
研究所の役員 及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号) その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第三章 業務等
研究所は、第三条の目的を達成するため、次の業務を行う。
科学技術に関する試験 及び研究を行うこと。
前号に掲げる業務に係る成果を普及し、及び その活用を促進すること。
研究所の施設 及び設備を科学技術に関する試験、研究 及び開発を行う者の共用に供すること。
科学技術に関する研究者 及び技術者を養成し、及び その資質の向上を図ること。
科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(平成二十年法律第六十三号)第三十四条の六第一項の規定による出資 並びに人的 及び技術的援助のうち政令で定めるものを行うこと。
前各号の業務に附帯する業務を行うこと。
研究所は、前項の業務のほか、特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律(平成六年法律第七十八号)第五条第一項に規定する業務を行う。
研究所は、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第三十四条の五第一項 及び第二項の規定による株式 又は新株予約権の取得 及び保有を行うことができる。
研究所は、通則法第三十五条の四第二項第一号に規定する中長期目標の期間(以下 この項において「中長期目標の期間」という。)の最後の事業年度に係る通則法第四十四条第一項 又は第二項の規定による整理を行った後、同条第一項の規定による積立金があるときは、その額に相当する金額のうち文部科学大臣の承認を受けた金額を、当該中長期目標の期間の次の中長期目標の期間に係る通則法第三十五条の五第一項の認可を受けた中長期計画(同項後段の規定による変更の認可を受けたときは、その変更後のもの)の定めるところにより、当該次の中長期目標の期間における第十六条に規定する業務の財源に充てることができる。
文部科学大臣は、前項の規定による承認をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。
研究所は、第一項に規定する積立金の額に相当する金額から同項の規定による承認を受けた金額を控除してなお残余があるときは、その残余の額を国庫に納付しなければならない。
前三項に定めるもののほか、納付金の納付の手続その他 積立金の処分に関し必要な事項は、政令で定める。
研究所は、第十六条第一項第一号 若しくは第二号に掲げる業務又はこれらに附帯する業務に必要な費用に充てるため、文部科学大臣の認可を受けて、長期借入金をすることができる。
研究所は、毎事業年度、長期借入金の償還計画を立てて、文部科学大臣の認可を受けなければならない。
文部科学大臣は、前二項の規定による認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。
第四章 雑則
研究所は、解散した場合において、その債務を弁済してなお残余財産があるときは、これを各出資者に対し、その出資額を限度として分配するものとする。
研究所に係る通則法における主務大臣 及び主務省令は、それぞれ文部科学大臣 及び文部科学省令とする。
国家公務員宿舎法(昭和二十四年法律第百十七号)の規定は、研究所の役員 及び職員には適用しない。
第五章 罰則
第十四条の規定に違反して秘密を漏らし、又は盗用した者は、一年以下の懲役 又は三十万円以下の罰金に処する。
次の各号のいずれかに 該当する場合には、その違反行為をした研究所の役員は、二十万円以下の過料に処する。
この法律の規定により文部科学大臣の認可 又は承認を受けなければならない場合において、その認可 又は承認を受けなかったとき。
第十六条に規定する業務以外の業務を行ったとき。
第八条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。