弁護士法

# 昭和二十四年法律第二百五号 #

第四章の二 弁護士法人

分類 法律
カテゴリ   司法
@ 施行日 : 令和五年四月一日 ( 2023年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第四号による改正
最終編集日 : 2024年 11月23日 19時24分


1項

弁護士は、の定めるところにより、に規定する業務を行うことを目的とする法人(以下「弁護士法人」という。)を設立することができる。

2項

の規定は、弁護士法人について準用する。

1項

弁護士法人は、その名称中に弁護士法人という文字を使用しなければならない。

1項

弁護士法人の社員は、弁護士でなければならない

2項

次に掲げる者は、社員となることができない

一 号

又はの規定により業務の停止の懲戒を受け、当該業務の停止の期間を経過しない者

二 号

又はの規定により弁護士法人が除名され、又は弁護士法人の業務の停止の懲戒を受けた場合において、その処分を受けた日以前三十日内にその社員であつた者でその処分を受けた日から三年弁護士法人の業務の停止の懲戒を受けた場合にあつては、当該業務の停止の期間)を経過しないもの

三 号

又はの規定により弁護士・外国法事務弁護士共同法人が除名され、又は弁護士・外国法事務弁護士共同法人の業務の停止の懲戒を受けた場合において、その処分を受けた日以前三十日内にその社員であつた者でその処分を受けた日から三年弁護士・外国法事務弁護士共同法人の業務の停止の懲戒を受けた場合にあつては、当該業務の停止の期間)を経過しないもの

1項

弁護士法人は、に規定する業務を行うほか、定款で定めるところにより、法令等に基づき弁護士が行うことができるものとして法務省令で定める業務の全部 又は一部を行うことができる。

1項

弁護士法人は、次に掲げる事務については、依頼者からその社員 又は使用人である弁護士(以下この条において「社員等弁護士」という。)に行わせる事務の委託を受けるものとする。


この場合において、当該弁護士法人は、依頼者に、当該弁護士法人の社員等弁護士のうちからその代理人、弁護人、付添人 又は補佐人を選任させなければならない。

一 号

裁判所における事件(刑事に関するものを除く)の手続についての代理 又は補佐

二 号

刑事に関する事件の手続についての代理、刑事に関する事件における弁護人としての活動、少年の保護事件における付添人としての活動又は逃亡犯罪人引渡審査請求事件における補佐

2項

弁護士法人は、前項に規定する事務についても、社員等弁護士がその業務の執行に関し注意を怠らなかつたことを証明しなければ、依頼者に対する損害賠償の責めを免れることはできない

1項

弁護士法人は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。

2項

前項の規定により登記をしなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない

1項

弁護士法人を設立するには、その社員になろうとする弁護士が、定款を定めなければならない。

2項

会社法平成十七年法律第八十六号の規定は、弁護士法人の定款について準用する。

3項

定款には、少なくとも次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 号
目的
二 号
名称
三 号
法律事務所の所在地
四 号
所属弁護士会
五 号

社員の氏名、住所 及び所属弁護士会

六 号
社員の出資に関する事項
七 号
業務の執行に関する事項
1項

弁護士法人は、その主たる法律事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。

1項

弁護士法人は、成立したときは、成立の日から二週間以内に、登記事項証明書 及び定款の写しを添えて、その旨を所属弁護士会 及びに届け出なければならない。

1項

弁護士法人は、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の同意によつて、定款の変更をすることができる。

2項

弁護士法人は、定款を変更したときは、変更の日から二週間以内に、変更に係る事項を所属弁護士会 及びに届け出なければならない。

1項

弁護士法人の社員は、定款で別段の定めがある場合を除き、すべて業務を執行する権利を有し、義務を負う。

1項

弁護士法人の業務を執行する社員は、各自弁護士法人を代表する。

2項

前項の規定は、定款 又は総社員の同意によつて、業務を執行する社員中特に弁護士法人を代表すべき社員を定めることを妨げない。

3項

弁護士法人を代表する社員は、弁護士法人の業務に関する一切の裁判上 又は裁判外の行為をする権限を有する。

4項

前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない

5項

弁護士法人を代表する社員は、定款によつて禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。

1項

弁護士法人は、特定の事件について、業務を担当する社員を指定することができる。

2項

前項の規定による指定がされた事件(以下「指定事件」という。)については、指定を受けた社員(以下「指定社員」という。)のみが業務を執行する権利を有し、義務を負う。

3項

指定事件については、の規定にかかわらず、指定社員のみが弁護士法人を代表する。

4項

弁護士法人は、第一項の規定による指定をしたときは、指定事件の依頼者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。

5項

依頼者は、その依頼に係る事件について、弁護士法人に対して、相当の期間を定め、その期間内に第一項の規定による指定をするかどうかを明らかにすることを求めることができる。


この場合において、弁護士法人が、その期間内に前項の通知をしないときは、弁護士法人は、その後において、指定をすることができない。


ただし、依頼者の同意を得て指定をすることを妨げない。

6項

指定事件について、委任事務の結了前に指定社員が欠けたときは、弁護士法人は、新たな指定をしなければならない。


その指定がされなかつたときは、全社員を指定したものとみなす。

7項

社員が一人の弁護士法人が、事件の依頼を受けたときは、その社員を指定したものとみなす。

1項

弁護士法人の財産をもつてその債務を完済することができないときは、各社員は、連帯してその弁済の責めに任ずる。

2項

弁護士法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかつたときも、前項と同様とする。

3項

前項の規定は、社員が弁護士法人に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、適用しない

4項

の規定による指定がされ、の規定による通知がされている場合( 又はの規定により指定したものとみなされる場合を含む。)において、指定事件に関し依頼者に対して負担することとなつた弁護士法人の債務をその弁護士法人の財産をもつて完済することができないときは、第一項の規定にかかわらず、指定社員(指定社員であつた者を含む。以下この条において同じ。)が、連帯してその弁済の責めに任ずる。


ただし、脱退した指定社員が脱退後の事由により生じた債務であることを証明した場合は、この限りでない。

5項

前項の場合において、指定事件に関し依頼者に生じた債権に基づく弁護士法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかつたときは、指定社員が、弁護士法人に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明した場合を除き同項と同様とする。

6項

第四項の場合において、指定を受けていない社員が指定の前後を問わず指定事件に係る業務に関与したときは、当該社員は、その関与に当たり注意を怠らなかつたことを証明した場合を除き、指定社員が前二項の規定により負う責任と同一の責任を負う。弁護士法人を脱退した後も同様とする。

7項

の規定は、弁護士法人の社員の脱退について準用する。


ただし第四項の場合において、指定事件に関し依頼者に対して負担することとなつた弁護士法人の債務については、この限りでない。

1項

社員でない者が自己を社員であると 誤認させる行為をしたときは、当該社員でない者は、その誤認に基づいて弁護士法人と取引をした者に対し、社員と同一の責任を負う。

1項

弁護士法人は、その法律事務所に、当該法律事務所の所在する地域の弁護士会(その地域に二個以上の弁護士会があるときは、当該弁護士法人の所属弁護士会。以下この条において同じ。)の会員である社員を常駐させなければならない。


ただし、従たる法律事務所については、当該法律事務所の所在する地域の弁護士会が当該法律事務所の周辺における弁護士の分布状況 その他の事情を考慮して常駐しないことを許可したときは、この限りでない。

1項

弁護士法人は、次の各号いずれかに該当する事件については、その業務を行つてはならない。


ただし第三号に規定する事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。

一 号

相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件

二 号

相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度 及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの

三 号

受任している事件の相手方からの依頼による他の事件

四 号

社員 若しくは使用人である弁護士 又は使用人である外国法事務弁護士(以下「社員等」という。)が相手方から受任している事件

五 号

に掲げる事件として社員の半数以上の者が職務を行つてはならないこととされる事件

1項
弁護士法人の社員は、他の弁護士法人 又は弁護士・外国法事務弁護士共同法人の社員となつてはならない。
2項

弁護士法人の社員は、他の社員の承諾がなければ、自己 又は第三者のために、その弁護士法人の業務の範囲に属する業務を行つてはならない。


ただし、法令により官公署の委嘱した事項を行うときは、この限りでない。

3項

弁護士法人の社員が前項の規定に違反して自己 又は第三者のためにその弁護士法人の業務の範囲に属する業務を行つたときは、当該業務によつて当該社員 又は第三者が得た利益の額は、弁護士法人に生じた損害の額と推定する。

1項

弁護士法人の社員等は、その弁護士法人が受任している事件に関し、相手方から利益の供与を受け、又はその供与の要求 若しくは約束をしてはならない。

2項

弁護士法人の社員等は、その弁護士法人が受任している事件に関し、相手方から当該弁護士法人に利益を供与させ、又はその供与の要求 若しくは約束をしてはならない。

1項

及び 並びにの規定は、弁護士法人について準用する。

1項

弁護士法人の社員は、次に掲げる理由によつて脱退する。

一 号
定款に定める理由の発生
二 号
総社員の同意
三 号
死亡
四 号

除く)のいずれかに該当することとなつたとき。

五 号

の規定による登録取消しの請求をしたとき。

六 号

に規定する処分を受けたとき又はの規定による登録取消しが確定したとき。

七 号

において準用するの規定による除名

1項

弁護士法人は、次に掲げる理由によつて解散する。

一 号
定款に定める理由の発生
二 号
総社員の同意
三 号

合併(合併により当該弁護士法人が消滅する場合に限る

四 号
破産手続開始の決定
五 号
解散を命ずる裁判
六 号

又はの規定による除名

七 号
社員の欠亡
2項

弁護士法人は、前項第三号 及び第六号の事由以外の事由により解散したときは、解散の日から二週間以内に、その旨を所属弁護士会 及びに届け出なければならない。

1項

清算人は、社員の死亡によりに該当するに至つた場合に限り、当該社員の相続人(において準用するにおいて準用するの規定により社員の権利を行使する者が定められている場合にはその者)の同意を得て、新たに社員を加入させて弁護士法人を継続することができる。

1項

に係る部分に限る)、本文、に係る部分に限る)、本文、 及びに係る部分に限る)の規定は弁護士法人の解散の命令について、に係る部分に限る)、 及びに係る部分に限る)、 及びに係る部分に限る)、 及びの規定はこの項において準用するの申立てがあつた場合における弁護士法人の財産の保全について、それぞれ準用する。

2項

に係る部分に限る)、 及びに係る部分に限る)の規定は、弁護士法人の解散の訴えについて準用する。

3項

法務大臣は、第一項において準用するの規定による解散命令を請求しようとするときは、あらかじめの意見を聴くものとする。

1項

弁護士法人の清算人は、弁護士でなければならない。

2項

清算人は、清算が結了したときは、清算結了の登記後速やかに、登記事項証明書を添えて、その旨を当該弁護士法人の所属弁護士会及びに届け出なければならない。

1項

弁護士法人の解散 及び清算は、裁判所の監督に属する。

2項

裁判所は、職権で、いつでも前項の監督に必要な検査をすることができる。

3項

弁護士法人の解散 及び清算を監督する裁判所は、に対し、意見を求め、又は調査を嘱託することができる。

4項

は、前項に規定する裁判所に対し、意見を述べることができる。

1項

弁護士法人の解散 及び清算の監督に関する事件は、その主たる法律事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

1項

裁判所は、弁護士法人の解散 及び清算の監督に必要な調査をさせるため、検査役を選任することができる。

2項

前項の検査役の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない

3項

裁判所は、第一項の検査役を選任した場合には、弁護士法人が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる。


この場合においては、裁判所は、当該弁護士法人 及び検査役の陳述を聴かなければならない。

1項

弁護士法人は、総社員の同意があるときは、他の弁護士法人と合併することができる。

2項

合併は、合併後存続する弁護士法人 又は合併により設立する弁護士法人が、その主たる法律事務所の所在地において登記をすることによつて、その効力を生ずる。

3項

弁護士法人は、合併したときは、合併の日から二週間以内に、登記事項証明書(合併により設立する弁護士法人にあつては、登記事項証明書 及び定款の写し)を添えて、その旨を所属弁護士会 及びに届け出なければならない。

4項

合併後存続する弁護士法人 又は合併により設立する弁護士法人は、当該合併により消滅する弁護士法人の権利義務を承継する。

1項

合併をする弁護士法人の債権者は、当該弁護士法人に対し、合併について異議を述べることができる。

2項

合併をする弁護士法人は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。


ただし第三号の期間は、一箇月を下ることができない

一 号
合併をする旨
二 号

合併により消滅する弁護士法人 及び合併後存続する弁護士法人 又は合併により設立する弁護士法人の名称 及び主たる事務所の所在地

三 号

債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨

3項

前項の規定にかかわらず、合併をする弁護士法人が同項の規定による公告を、官報のほか、第六項において準用するの規定による定款の定めに従い、 又はに掲げる方法によりするときは、前項の規定による各別の催告は、することを要しない。

4項

債権者が第二項第三号の期間内に異議を述べなかつたときは、当該債権者は、当該合併について承認をしたものとみなす。

5項

債権者が第二項第三号の期間内に異議を述べたときは、合併をする弁護士法人は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等(信託会社 及び信託業務を営む金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関をいう。)をいう。)に相当の財産を信託しなければならない。


ただし、当該合併をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。

6項

及びに係る部分に限る)及びに係る部分に限る)及び 並びにの規定は、弁護士法人が第二項の規定による公告をする場合について準用する。


この場合において、

及び
公告方法」とあるのは
「合併の公告の方法」と、


商号」とあるのは
「名称」と

読み替えるものとする。

1項

及びに係る部分に限る)及び 及びに係る部分に限る)、 及びに係る部分に限る)、 及び 及び 並びにただし書を除く)並びにの規定は弁護士法人の合併の無効の訴えについて、に係る部分に限る)、本文、に係る部分に限る)、本文、 及びの規定はこの条において準用する申立てについて、それぞれ準用する。

1項

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律平成十八年法律第四十八号 並びに 及びの規定は弁護士法人について、 及び 及びただし書を除く)並びにの規定は弁護士法人の社員について、の規定は弁護士法人の社員の除名 並びに業務を執行する権利 及び代表権の消滅の訴えについて、それぞれ準用する。


この場合において、


商号」とあるのは
「名称」と、


第五百九十四条第一項(第五百九十八条第二項において準用する場合を含む。)」とあるのは
弁護士法昭和二十四年法律第二百五号 又は」と

読み替えるものとする。

2項

除く)、 及び 及びの準用に係る部分を除く)、 及びに係る部分に限る)、に係る部分に限る)、 及びに係る部分に限る)、 並びにの規定は、弁護士法人の解散 及び清算について準用する。


この場合において、


第六百四十一条第五号」とあるのは
」と、


第六百四十一条第四号 又は第七号」とあるのは
」と、

及び
第六百四十一条第一号から第三号まで」とあるのは
又は」と、


第九百三十九条第一項」とあるのは
において準用する」と、


第五百八十条」とあるのは
」と

読み替えるものとする。

3項

に係る部分に限る)及びに係る部分に限る)、に係る部分に限る)、 並びにの規定は、弁護士法人の設立の無効の訴えについて準用する。

4項

破産法平成十六年法律第七十五号の規定の適用については、弁護士法人は、合名会社とみなす。