火薬類取締法

# 昭和二十五年法律第百四十九号 #
略称 : 火取法 

第一節 保安

分類 法律
カテゴリ   工業
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2023年 08月12日 22時34分


1項

製造業者は、災害の発生を防止するため、保安の確保のための組織 及び方法 その他経済産業省令で定める事項について記載した危害予防規程を定め、経済産業省令で定めるところにより、経済産業大臣の認可を受けなければならない。


これを変更するとき(第十条第一項ただし書の軽微な変更の工事に伴い必要となる場合を除く)も同様とする。

2項

前項の軽微な変更の工事に伴い危害予防規程を変更するときは、経済産業大臣に届け出なければならない。

3項

経済産業大臣は、危害予防規程が、第七条第一号 及び第二号の技術上の基準に適合していないときその他災害の発生の防止に適当でないと認めるときは、第一項の認可をしてはならない。

4項
経済産業大臣は、災害の発生の防止のため必要があると認めるときは、危害予防規程の変更を命ずることができる。
5項
製造業者 及び その従業者は、危害予防規程を守らなければならない。
1項

製造業者 又は販売業者は、経済産業省令で定めるところにより、その従業者に対する保安教育計画を定め、経済産業大臣 又は都道府県知事の認可を受けなければならない。


これを変更しようとするときも、同様とする。

2項

経済産業大臣 又は都道府県知事は、保安教育計画が前項の経済産業省令で定める保安教育の基準に適合していないと認めるときは、同項の認可をしてはならない。

3項

製造業者 又は販売業者は、第一項の認可を受けた保安教育計画を忠実に実行しなければならない。

4項

都道府県知事は、災害の発生を防止するため特に必要があると認めるときは、経済産業省令で定めるところにより、多量の火薬類を消費し、又は相当期間引き続いて火薬類を消費する者を保安教育計画を定めるべき者として指定することができる。

5項

第一項から第三項までの規定は、前項の規定により指定された者について準用する。

6項

消費者(第四項の規定により指定された者を除く)及び火薬類の運搬の業を営む者は、その従業者に火薬類による災害の発生の防止に必要な教育を施さなければならない。

1項

製造業者は、経済産業省令で定めるところにより、次条の火薬類製造保安責任者免状を有する者のうちから、火薬類製造保安責任者(以下「製造保安責任者」という。)及び火薬類製造副保安責任者(以下「製造副保安責任者」という。)又は製造保安責任者を選任し、第三十二条第一項 又は第二項に規定する製造保安責任者 又は製造副保安責任者の職務を行わせなければならない。

2項

火薬庫の所有者 若しくは占有者 又は経済産業省令で定める数量以上の火薬類を消費する者は、経済産業省令で定めるところにより、次条の火薬類取扱保安責任者免状を有する者のうちから、火薬類取扱保安責任者(以下「取扱保安責任者」という。)及び火薬類取扱副保安責任者(以下「取扱副保安責任者」という。)又は取扱保安責任者を選任し、第三十二条第一項 又は第二項に規定する取扱保安責任者 又は取扱副保安責任者の職務を行わせなければならない。

3項

第一項 又は前項の規定により、製造業者、火薬庫の所有者 若しくは占有者 又は前項の消費者が、製造保安責任者 若しくは製造副保安責任者 又は取扱保安責任者 若しくは取扱副保安責任者を選任したときは、その旨を経済産業大臣 又は都道府県知事に届け出なければならない。


これを解任したときも同様である。

1項
火薬類製造保安責任者免状は、甲種火薬類製造保安責任者免状、乙種火薬類製造保安責任者免状 及び丙種火薬類製造保安責任者免状とする。
2項
火薬類取扱保安責任者免状は、甲種火薬類取扱保安責任者免状 及び乙種火薬類取扱保安責任者免状とする。
3項
甲種火薬類製造保安責任者免状 及び乙種火薬類製造保安責任者免状は、経済産業大臣の行なう試験に合格した者に対し、丙種火薬類製造保安責任者免状、甲種火薬類取扱保安責任者免状 及び乙種火薬類取扱保安責任者免状は、都道府県知事の行なう試験に合格した者に対し交付する。
4項

経済産業大臣 又は都道府県知事は、次の各号の一に該当する者に対しては、火薬類製造保安責任者免状 又は火薬類取扱保安責任者免状の交付を行なわないことができる。

一 号

次項の規定により火薬類製造保安責任者免状 又は火薬類取扱保安責任者免状の返納を命ぜられ、その日から一年を経過していない者

二 号

この法律 又はこの法律に基づく命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなつた後、二年を経過していない者

5項

経済産業大臣 又は都道府県知事は、火薬類製造保安責任者免状 又は火薬類取扱保安責任者免状の交付を受けた者が、この法律 又はこの法律に基づく命令の規定に違反したときは、その火薬類製造保安責任者免状 又は火薬類取扱保安責任者免状の返納を命ずることができる。

6項

第三項の試験の課目、受験手続 その他試験の実施細目 並びに火薬類製造保安責任者免状 及び火薬類取扱保安責任者免状の交付 及び返納に関する手続的事項は、経済産業省令で定める。

7項

第十七条第七項 及び第八項の規定は、火薬類製造保安責任者免状 及び火薬類取扱保安責任者免状の書換え 及び再交付について準用する。

1項

経済産業大臣 又は都道府県知事は、政令で定めるところにより、この節に規定する火薬類製造保安責任者免状 及び火薬類取扱保安責任者免状に関する事務(火薬類製造保安責任者免状 及び火薬類取扱保安責任者免状の返納に係る事務 その他政令で定める事務を除く。以下「免状交付事務」という。)の全部 又は一部を次条第一項の指定試験機関に委託することができる。

2項

前項の規定により免状交付事務の委託を受けた指定試験機関の役員 若しくは職員 又はこれらの職にあつた者は、当該委託に係る免状交付事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

1項

経済産業大臣 又は都道府県知事は、経済産業大臣が指定する者(以下「指定試験機関」という。)に、第三十一条第三項に規定する経済産業大臣 又は都道府県知事の行う試験の実施に関する事務(以下「試験事務」という。)の全部 又は一部を行わせることができる。

2項

経済産業大臣 又は都道府県知事は、前項の規定により指定試験機関にその試験事務の全部 又は一部を行わせることとしたときは、当該試験事務の全部 又は一部を行わないものとする。

3項

第一項の規定により指定試験機関にその試験事務を行わせることとした都道府県知事(以下「委任都道府県知事」という。)は、当該行わせることとした試験事務を行わせないこととするときは、その六月前までに、その旨を指定試験機関に通知しなければならない。

1項
製造保安責任者 又は取扱保安責任者は、火薬類の製造 又は貯蔵 若しくは消費に係る保安に関し経済産業省令で定める職務を行なう。
2項
製造副保安責任者 又は取扱副保安責任者は、経済産業省令で定めるところにより、製造保安責任者 又は取扱保安責任者を補佐する。
3項

製造保安責任者 若しくは製造副保安責任者 又は取扱保安責任者 若しくは取扱副保安責任者は、誠実にその職務を遂行しなければならない。

4項

火薬類を取り扱う者は、製造保安責任者 又は取扱保安責任者が第一項の職務の執行に関し保安上必要があると認めてする指示に従わなければならない。

1項

製造業者 又は火薬庫の所有者 若しくは占有者 若しくは第三十条第二項の消費者は、経済産業省令で定めるところにより、火薬類製造保安責任者免状 又は火薬類取扱保安責任者免状を有する者のうちから、あらかじめ製造保安責任者 又は取扱保安責任者の代理者を選任し、製造保安責任者 又は取扱保安責任者が旅行、疾病 その他の事故によつてその職務を行うことができない場合に、その職務を代行させなければならない。

2項

製造業者 又は火薬庫の所有者 若しくは占有者 若しくは第三十条第二項の消費者が、前項の代理者を選任したときは、その旨を経済産業大臣 又は都道府県知事に届け出なければならない。


これを解任したときも同様である。

3項

第一項の代理者は、製造保安責任者 又は取扱保安責任者の職務を代行する場合は、この法律 及びこの法律に基く命令の規定の適用については、これを製造保安責任者 又は取扱保安責任者とみなす。

1項

経済産業大臣は、製造保安責任者 若しくはその代理者 又は製造副保安責任者が、この法律 又はこの法律に基く命令の規定に違反したとき 又は保安上 その職務を遂行させることが不適当であると認めるときは、製造業者に対し、製造保安責任者 若しくはその代理者 又は製造副保安責任者の解任を命ずることができる。

2項

都道府県知事は、取扱保安責任者 若しくはその代理者 又は取扱副保安責任者が、この法律 又はこの法律に基づく命令の規定に違反したとき 又は保安上 その職務を遂行させることが不適当であると認めるときは、火薬庫の所有者 若しくは占有者 又は第三十条第二項の消費者に対し、取扱保安責任者 若しくはその代理者 又は取扱副保安責任者の解任を命ずることができる。

1項

製造業者 又は火薬庫の所有者 若しくは占有者は、火薬類の爆発 若しくは発火の危険がある製造施設であつて経済産業省令で定めるもの(以下「特定施設」という。)又は火薬庫 並びにこれらの施設における保安の確保のための組織 及び方法について、経済産業省令で定めるところにより、定期に、経済産業大臣 又は都道府県知事が行う保安検査を受けなければならない。


ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

一 号

経済産業大臣の指定する者(以下「指定保安検査機関」という。)が行う保安検査を受け、その旨を経済産業大臣 又は都道府県知事に届け出た場合

二 号

自ら特定施設 又は火薬庫に係る保安検査を行うことができる者として経済産業大臣の認定を受けている者(以下「認定保安検査実施者」という。)が、第四十五条の三の十第二項の規定により検査の記録を経済産業大臣 又は都道府県知事に届け出た場合

2項

前項の保安検査は、特定施設 又は火薬庫が、第七条第一号 又は第十二条第三項の技術上の基準に適合しているかどうか 並びに第二十八条第一項の認可を受けた危害予防規程に定められた事項のうち保安の確保のための組織 及び方法に係るものとして経済産業省令で定めるものを実施しているかどうかについて行う。

3項

指定保安検査機関は、第一項第一号の保安検査を行つたときは、遅滞なく、その結果を経済産業大臣 又は都道府県知事に報告しなければならない。

4項

第一項の経済産業大臣、都道府県知事 又は指定保安検査機関が行う保安検査の方法は、経済産業省令で定める。

1項

製造業者 又は火薬庫の所有者 若しくは占有者は、製造施設であつて経済産業省令で定めるもの 又は火薬庫について、経済産業省令で定めるところにより、定期に、保安のための自主検査を行なわなければならない。

2項

前項に規定する者は、経済産業省令で定めるところにより、同項の自主検査についての計画を定め、経済産業大臣 又は都道府県知事に届け出なければならない。


これを変更したときも、同様とする。

3項

第一項に規定する者は、同項の自主検査が終了したときは、遅滞なく その旨を経済産業大臣 又は都道府県知事に報告しなければならない。

4項

経済産業大臣 又は都道府県知事は、その職員に、第一項の自主検査に立ち合わせることができる。

1項

火薬類を輸入した者 又はその製造後経済産業省令で定める期間を経過した火薬類を所有する者は、経済産業省令で定める方法により、その火薬類につき安定度試験を実施し、且つ、その結果を都道府県知事に報告しなければならない。

2項

経済産業大臣 又は都道府県知事は、災害の防止のため必要があると認めるときは、火薬類の所有者に対し、前項の安定度試験を実施すべきことを命ずることができる。

1項

火薬類の所有者は、前条の安定度試験の結果経済産業省令で定める技術上の基準に適合しない火薬類があつたときは、その火薬類を廃棄しなければならない。

1項
火薬類は、他の物と混包し、又は火薬類でないようにみせかけて、これを所持し、運搬し、若しくは託送してはならない。
1項
火薬庫が近隣の火災 その他の事情により危険な状態となり、又は火薬類が煙 若しくは異臭を発し、その他安定度に異常を呈したときは、その火薬庫 又は火薬類の所有者 又は占有者は、直ちに経済産業省令で定める応急の措置を講じなければならない。
2項

前項の事態を発見した者は、直ちにその旨を警察官、消防吏員 若しくは消防団員 又は海上保安官に届け出なければならない。

1項

何人も、火薬類の製造所 又は火薬庫においては、製造業者 又は火薬庫の所有者 若しくは占有者の指定する場所以外の場所で、喫煙し、又は火気を取り扱つてはならない。

2項
何人も、製造業者 又は火薬庫の所有者 若しくは占有者の承諾を得ないで、発火し易い物を携帯して火薬類の製造所 又は火薬庫に立ち入つてはならない。
1項

製造業者、販売業者、火薬庫の所有者 又は占有者 及び第三十条第二項の消費者は、帳簿を備え、火薬類の製造、販売、出納 又は消費について経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。

2項

前項の帳簿は、経済産業省令で定めるところにより、保存しなければならない。

1項

経済産業大臣は、災害を防止し、又は公共の安全の維持をはかるため、必要があると認めるときは、製造業者 若しくは販売業者 又は火薬庫の所有者 若しくは占有者 若しくは第三十条第二項の消費者に対し、事業 又は火薬類の貯蔵 若しくは消費に関し、報告をさせることができる。

1項

経済産業大臣、都道府県知事 又は地方自治法昭和二十二年法律第六十七号第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)の長は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、製造業者、販売業者、消費者、廃棄者 又は火薬類を保管する者の製造所、販売所、火薬庫、消費場所、廃棄場所 又は保管場所に立ち入り、その者の帳簿書類 その他必要な物件を検査させ、関係者に質問させ、又は試験のため必要な最少限度の分量に限り火薬類を収去させることができる。

2項
都道府県公安委員会は、この法律の施行に必要な限度において、警察職員に、製造業者、販売業者、消費者、廃棄者 又は火薬類を保管する者の製造所、販売所、火薬庫、消費場所、廃棄場所 又は保管場所に立ち入り、その者の帳簿書類 その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
3項
海上保安庁長官は、この法律の施行に必要な限度において、海上保安官に、製造業者、販売業者、消費者、廃棄者 又は火薬類を保管する者の製造所、販売所、火薬庫、消費場所、廃棄場所 又は保管場所に立ち入り、その者の帳簿書類 その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
4項

前三項の職員は、その身分を示す証票を携帯し、且つ、関係者の請求があるときは、これを呈示しなければならない。

5項

第一項から第三項までの規定による立入検査は、関係者の正当な業務 又は行為を妨害するものであつてはならず、且つ、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

1項

経済産業大臣は、製造業者 又は販売業者が、左の各号の一に該当するときは、第三条 若しくは第五条の許可を取り消し、又は期間を定めてその事業の停止を命ずることができる。

一 号

第九条第一項 若しくは第二項第十一条第二項第十四条第一項 又は第二十七条の二の規定に違反し、災害を発生させ、又は公共の安全を害したとき。

二 号

第十一条第一項第十三条第十八条第十九条第一項第二十三条第二項第二十九条第三項第三十条第一項 若しくは第二項第三十五条の二第一項 又は第三十八条の規定に違反したとき。

三 号

第十条第一項第十二条第一項第二十四条第一項 又は第二十七条第一項の規定により許可を受けなければならない事項を許可を受けないでしたとき。

四 号

第十五条の規定による完成検査を受けないで、火薬類の製造施設 又は火薬庫を使用したとき。

五 号

第三十六条第一項の規定による安定度試験を実施しなかつたとき。

六 号

第九条第三項第十一条第三項第十四条第二項第二十八条第四項第三十四条第三十六条第二項 若しくは次条第一号の命令 又は同条第二号の禁止 若しくは制限に違反したとき。

七 号

第六条第二号から第四号までの規定に該当するに至つたとき。

八 号

第四十八条第一項の条件に違反したとき。

1項

経済産業大臣(鉄道、軌道、索道、無軌条電車、船舶 及び航空機による運搬については国土交通大臣、自動車、軽車両(原動機付自転車を含む。以下同じ。)その他による運搬 又は第五十条の二第一項の規定の適用を受ける火薬類の消費については都道府県公安委員会)は、災害の発生の防止 又は公共の安全の維持のため緊急の必要があると認めるときは、左に掲げる措置をすることができる。

一 号
製造業者、販売業者 又は消費者に対して、製造施設 又は火薬庫の全部 若しくは一部の使用を一時停止すべきことを命ずること。
二 号
製造業者、販売業者、消費者 その他火薬類を取り扱う者に対して、製造、販売、貯蔵、運搬、消費 又は廃棄を一時禁止し、又は制限すること。
三 号
火薬類の所有者 又は占有者に対して、火薬類の所在場所の変更 又はその廃棄を命ずること。
四 号
火薬類を廃棄した者に対して、その廃棄した火薬類の収去を命ずること。
1項

警察官は、火薬類による災害の発生を防止するため特に必要があると認めるときは、火薬類を運搬している自動車 又は軽車両を停止させ、当該車両により火薬類を運搬する者に対し、運搬証明書の提示を求め、若しくは第二十条第二項の技術上の基準 若しくは運搬証明書に記載された内容に従つて運搬しているかどうかについて検査し、又は災害の発生を防止するため必要な応急の措置をとるべきことを命ずることができる。

2項

第四十三条第四項 及び第五項の規定は、前項の場合に準用する。

1項
製造業者、販売業者、火薬庫の所有者 又は占有者 その他火薬類を取り扱う者に対する監督 又は指導を行なわせるため、経済産業省に火薬類取締官を置く。
2項
火薬類取締官の資格に関し必要な事項は、政令で定める。