科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律
第五章 イノベーションの創出の促進等
第一節 産学官連携によるイノベーションの創出の促進等
研究開発法人 及び大学等は、民間事業者と共同して 又はその委託を受けて研究開発等を行う場合には、当該民間事業者との合意に基づき、当該研究開発等に従事する者の人件費、当該研究開発等に係る施設 及び設備の維持管理等に必要な経費 その他の直接経費 及び間接経費のほか、産学官連携に係る活動の充実強化に必要な経費についても、その負担を求めることができる。
国は、研究開発法人 又は大学等の研究開発の成果を事業活動において活用し、又は活用しようとする者(以下「成果活用事業者」という。)による当該研究開発の成果を活用した新たな事業の創出 又は その行う事業の成長発展を支援するために必要な施策を講ずるものとする。
研究開発法人 及び国立大学法人等(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第六十八条第一項に規定する公立大学法人を含む。次条において同じ。)は、前項に規定する支援を行うに当たっては、成果活用事業者の資力 その他の事情を勘案し、特に必要と認める場合には、その支援を無償とし、又は その支援の対価を時価よりも低く定めること等の措置をとることができる。
研究開発法人 及び国立大学法人等は、成果活用事業者に対し前条第三項の措置をとる場合において、当該成果活用事業者の発行した株式 又は新株予約権を取得することができる。
研究開発法人 及び国立大学法人等は、前項の規定により取得した株式 又は新株予約権(その行使により発行され、又は移転された株式を含む。)を保有することができる。
研究開発法人のうち、実用化 及びこれによるイノベーションの創出を図ることが特に必要な研究開発の成果を保有するものとして別表第三に掲げるものは、その研究開発の成果の実用化 及びこれによるイノベーションの創出を図るため、個別法の定めるところにより、次に掲げる者に対する出資 並びに人的 及び技術的援助の業務を行うことができる。
前号に掲げる成果活用事業者に対し当該成果活用事業者の行う事業活動に関する必要な助言、資金供給 その他の支援を行う事業であって、その研究開発法人における研究開発等の進展に資するもの(以下 この号において「資金供給等事業」という。)を行う者(資金供給等事業を行う投資事業有限責任組合契約に関する法律(平成十年法律第九十号)第二条第二項に規定する投資事業有限責任組合を含む。)
その研究開発法人が民間事業者 その他の者と共同して 又はその委託を受けて行う研究開発等についての企画 及びあっせん
その研究開発法人の研究開発の成果を活用しようとする民間事業者 その他の者と共同して 又はその委託を受けて行う当該研究開発の成果を実用化するために必要な研究開発
前項に規定する研究開発法人は、同項第二号 又は第三号の者に対する出資を行おうとするときは、主務大臣の認可を受けなければならない。
主務大臣は、前項の認可をしようとするときは、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。
国 及び地方公共団体は、前項の規定による支援を行うに当たっては、各地域における主体的な取組が促進されるよう配慮するものとする。
第二節 中小企業者によるイノベーションの創出の促進等
国は、中小企業者の革新的な研究開発の促進を図るため、毎年度、新技術補助金等のうち国等が中小企業者 及び事業を営んでいない個人(以下単に「個人」という。)に対して支出の機会の増大を図るべきもの(以下「特定新技術補助金等」という。)の交付に関し、国等の当該年度の予算 及び事務 又は事業の予定等を勘案して、特定新技術補助金等の内容 及び支出の目標 その他 当該目標を達成するために必要な措置に関する方針を定めるものとする。
内閣総理大臣は、あらかじめ各省各庁の長等と協議して前項の方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、第一項の方針を公表しなければならない。
前二項の規定は、第一項の方針の変更について準用する。
国等は、特定新技術補助金等を交付するに当たっては、予算の適正な使用に留意しつつ、第一項の方針に定められた目標を達成するよう努めなければならない。
内閣総理大臣は、前項の実績の概要の要旨を遅滞なく公表しなければならない。
前項の指針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
新技術補助金等のうち、前項の政策課題の解決に資する革新的な研究開発の実施 及びその成果の実用化の促進を図るために国等が当該研究開発に関する課題を設定した上で当該課題に取り組む中小企業者 及び個人に対して交付すべきものの基準に関する事項
内閣総理大臣は、あらかじめ各省各庁の長等と協議して第一項の指針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、第一項の指針を公表しなければならない。
前二項の規定は、第一項の指針の変更について準用する。
国等は、第一項の指針に従って、指定補助金等に関する事務を処理するものとする。
内閣総理大臣は、前項の成果の概要の要旨を遅滞なく公表しなければならない。
中小企業信用保険法(昭和二十五年法律第二百六十四号)第三条の八第一項に規定する新事業開拓保険の保険関係であって、特定新技術事業活動関連保証(同項に規定する債務の保証であって、指定補助金等に係る成果を利用した事業活動に必要な資金に係るものをいう。次項において同じ。)を受けた中小企業者に係るものについての同条第一項 及び第二項の規定の適用については、
同条第一項中
「二億円」とあるのは
「三億円(科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(平成二十年法律第六十三号)第二条第十六項に規定する指定補助金等(以下単に「指定補助金等」という。)に係る成果を利用した事業活動に必要な資金以外の資金に係る債務の保証に係る保険関係については、二億円)」と、
「四億円」とあるのは
「六億円(指定補助金等に係る成果を利用した事業活動に必要な資金以外の資金に係る債務の保証に係る保険関係については、四億円)」と、
同条第二項中
「二億円」とあるのは
「三億円(指定補助金等に係る成果を利用した事業活動に必要な資金以外の資金に係る債務の保証に係る保険関係については、二億円)」と
する。
中小企業信用保険法第三条の二第一項の規定は、特定新技術事業活動関連保証であってその保証について担保(保証人(特定新技術事業活動関連保証を受けた法人たる中小企業者の代表者を除く。)の保証を含む。)を提供させないものについては、適用しない。
中小企業投資育成株式会社は、中小企業投資育成株式会社法(昭和三十八年法律第百一号)第五条第一項各号に掲げる事業のほか、次に掲げる事業を行うことができる。
国等から指定補助金等を交付された中小企業者 及び個人が指定補助金等の成果を利用した事業活動を実施するために資本金の額が三億円を超える株式会社を設立する際に発行する株式の引受け 及び当該引受けに係る株式の保有
国等から指定補助金等を交付された中小企業者のうち資本金の額が三億円を超える株式会社が指定補助金等の成果を利用した事業活動を実施するために必要とする資金の調達を図るために発行する株式、新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)又は新株予約権付社債等(中小企業投資育成株式会社法第五条第一項第二号に規定する新株予約権付社債等をいう。以下この条において同じ。)の引受け 及び当該引受けに係る株式、新株予約権(その行使により発行され、又は移転された株式を含む。)又は新株予約権付社債等(新株予約権付社債等に付された新株予約権の行使により発行され、又は移転された株式を含む。)の保有
前項第一号の規定による株式の引受け 及び当該引受けに係る株式の保有 並びに同項第二号の規定による株式、新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)又は新株予約権付社債等の引受け 及び当該引受けに係る株式、新株予約権(その行使により発行され、又は移転された株式を含む。)又は新株予約権付社債等(新株予約権付社債等に付された新株予約権の行使により発行され、又は移転された株式を含む。)の保有は、中小企業投資育成株式会社法の適用については、それぞれ同法第五条第一項第一号 及び第二号の事業とみなす。
第三節 研究開発施設等の共用の促進等
国は、民間事業者の研究開発能力の強化等を図るため、政令で定めるところにより、国以外の者であって、試験研究機関等 その他の政令で定める国の機関と共同して行う研究に必要な施設を当該機関の敷地内に整備し、当該施設においてその研究を行おうとするものに対し、その者が当該施設において行った研究により得た記録、資料 その他の研究の結果を国に政令で定める条件で提供することを約するときは、当該施設の用に供する土地の使用の対価を時価よりも低く定めることができる。
国の行政機関の長は、試験研究機関等 その他の政令で定める国の機関のうち、その所管するものであって当該国の機関が行う特定の分野に関する研究に係る状況が次の各号のいずれにも適合するものを、官報で公示するものとする。
当該国の機関において当該特定の分野に関する研究に関する国以外の者との交流の実績が相当程度あり、かつ、その交流の一層の促進を図ることが当該特定の分野に関する研究の効率的推進に相当程度寄与するものであると認められること。
当該国の機関を中核として、その周辺に当該国の機関が行う当該特定の分野に関する研究と関連する研究を行う国以外の者の施設が相当程度集積するものと見込まれること。
中核的研究機関(前項の規定により公示された国の機関をいう。)に対する前条の規定の適用については、
同条第一項中
「国が」とあるのは
「中核的研究機関が」と、
「密接に関連し、かつ、当該研究の効率的推進に特に有益である」とあるのは
「関連する」と、
「試験研究機関等 その他の政令で定める国の機関」とあるのは
「中核的研究機関」と、
「提供する」とあるのは
「提供し、又は中核的研究機関の国有の試験研究施設を使用して行った研究の成果を国に報告する」と、
同条第二項中
「試験研究機関等 その他の政令で定める国の機関と共同して行う研究」とあるのは
「中核的研究機関と共同して行う研究、中核的研究機関が現に行っている研究と密接に関連し、かつ、当該研究の効率的推進に特に有益である研究 又は中核的研究機関が行った研究の成果を活用する研究」と、
「提供する」とあるのは
「提供し、又は当該施設において行った研究の成果を国に報告する」と
する。
第四節 研究開発の成果の実用化等を不当に阻害する要因の解消等
国は、研究開発の成果に係る国際的な標準(以下この条において「国際標準」という。)への適切な対応が研究開発の成果の実用化 及びこれによるイノベーションの創出に極めて重要であることにかんがみ、国際標準に関する啓発 及び知識の普及、国際標準に関する国際機関 その他の国際的な枠組みへの参画 その他の国際標準への適切な対応に必要な施策を講ずるものとする。
国は、研究開発の成果の実用化 及びこれによるイノベーションの創出を図るため、国、研究開発法人、大学等 及び民間事業者の研究開発の成果のうち、活用されていないもの(次項において「未利用成果」という。)について、その積極的な活用を図るために必要な施策を講ずるものとする。
国は、国以外の者から委託を受けて行った研究の成果に係る国有の特許権 又は実用新案権の一部を、政令で定めるところにより、当該国以外の者に譲与することができる。