職業安定法

# 昭和二十二年法律第百四十一号 #
略称 : 職安法 

第二章 職業安定機関の行う職業紹介及び職業指導

分類 法律
カテゴリ   労働
@ 施行日 : 令和四年十月一日 ( 2022年 10月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第十二号による改正
最終編集日 : 2024年 05月03日 12時44分


第一節 通則

1項

職業安定主管局(厚生労働省の内部部局として置かれる局で職業紹介 及び職業指導 その他職業の安定に関する事務を所掌するものをいう。第九条において同じ。)の局長(以下「職業安定主管局長」という。)は、厚生労働大臣の指揮監督を受け、この法律の施行に関する事項について、都道府県労働局長を指揮監督するとともに、公共職業安定所の指揮監督に関する基準の制定、産業に必要な労働力を充足するための対策の企画 及び実施、失業対策の企画 及び実施、労働力の需要供給を調整するための主要労働力需要供給圏の決定、職業指導の企画 及び実施 その他 この法律の施行に関し必要な事務をつかさどり、所属の職員を指揮監督する。

1項

都道府県労働局長は、職業安定主管局長の指揮監督を受け、この法律の施行に関する事項について、公共職業安定所の業務の連絡統一に関する業務をつかさどり、所属の職員 及び公共職業安定所長を指揮監督する。

1項

公共職業安定所は、職業紹介、職業指導、雇用保険 その他 この法律の目的を達成するために必要な業務を行い、無料で公共に奉仕する機関とする。

○2項

公共職業安定所長は、都道府県労働局長の指揮監督を受けて、所務をつかさどり、所属の職員を指揮監督する。

1項

公共職業安定所 その他の職業安定機関の業務が効果的に行われるために、職業安定主管局、都道府県労働局 又は公共職業安定所において、専ら この法律を施行する業務に従事する職員は、人事院の定める資格 又は経験を有する者でなければならない。

1項

公共職業安定所に就職促進指導官を置く。

○2項

就職促進指導官は、専門的知識に基づいて、主として、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律昭和四十六年法律第六十八号)第二十六条第一項 又は第二項の指示を受けた者に対し、職業指導を行うものとする。

○3項

前二項に定めるもののほか、就職促進指導官に関し必要な事項は、厚生労働大臣が定める。

1項

公共職業安定所は、地方運輸局長(運輸監理部長を含む。)の行う船員の職業の安定に関する業務について、これに協力しなければならない。

1項

公共職業安定所との交通が不便であるため当該公共職業安定所に直接求人 又は求職を申し込むことが困難であると認められる地域として厚生労働大臣が指定する地域(以下 この項において「指定地域」という。)を管轄する市町村長は次に掲げる事務を行う。

一 号

指定地域内に所在する事業所からの求人 又は指定地域内に居住する求職者からの求職の申込みを当該公共職業安定所に取り次ぐこと。

二 号

当該公共職業安定所からの照会に応じて、指定地域内に所在する事業所に係る求人者 又は指定地域内に居住する求職者の職業紹介に関し必要な事項を調査すること。

三 号

当該公共職業安定所からの求人 又は求職に関する情報を指定地域内に所在する事業所に係る求人者 又は指定地域内に居住する求職者に周知させること。

○2項

当該公共職業安定所の長は、前項の事務に関し特に必要があると認めるときは、市町村長に対し、必要な指示をすることができる。

○3項

市町村長は、第一項の事務に関し、求人者 又は求職者から、いかなる名義でも、実費 その他の手数料を徴収してはならない。

○4項

第一項の規定により市町村が処理することとされている事務は、地方自治法昭和二十二年法律第六十七号第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

1項

職業安定主管局長は、都道府県労働局 及び公共職業安定所が、この法律の規定によつてなす業務報告の様式を定めなければならない。

○2項

都道府県労働局 及び公共職業安定所の業務報告は、前項の様式に従つて、これをしなければならない。

1項

職業安定主管局長は、労働力の需要供給の適正かつ円滑な調整に資するため、都道府県労働局 及び公共職業安定所からの労働力の需要供給に関する調査報告等により、雇用 及び失業の状況に関する情報を収集するとともに、当該情報の整理、分析、公表等 必要な措置を講ずるように努めなければならない。

1項

職業安定主管局長は、職業に関する調査研究の成果等に基づき、職業紹介事業、労働者の募集 及び労働者供給事業に共通して使用されるべき標準職業名を定め、職業解説 及び職業分類表を作成し、並びに それらの普及に努めなければならない。

1項

厚生労働大臣は、身体 又は精神に障害のある者、新たに職業に就こうとする者、中高年齢の失業者 その他職業に就くことについて特別の配慮を必要とする者に対して行われる職業紹介 及び職業指導の実施に関し必要な基準を定めることができる。

第二節 職業紹介

1項

公共職業安定所は、求職者に対し、できる限り、就職の際に その住所 又は居所の変更を必要としない職業を紹介するよう努めなければならない。

○2項

公共職業安定所は、その管轄区域内において、求職者に その希望 及び能力に適合する職業を紹介することができないとき、又は求人者の希望する求職者 若しくは求人数を充足することができないときは、広範囲の地域にわたる職業紹介活動をするものとする。

○3項

前項の広範囲の地域にわたる職業紹介活動は、できる限り近隣の公共職業安定所が相互に協力して行うように努めなければならない。

○4項

第二項の広範囲の地域にわたる職業紹介活動に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

1項

公共職業安定所は、他の法律の規定に基づいて行うもののほか、厚生労働省令で定めるところにより、求職者に対し その能力に適合する職業に就く機会を与えるため、及び求人者に対し その必要とする労働力を確保することができるようにするために、必要な求人 又は求職の開拓を行うものとする。

○2項

公共職業安定所は、前項の規定による求人 又は求職の開拓に関し、地方公共団体、事業主の団体、労働組合 その他の関係者に対し、情報の提供 その他必要な連絡 又は協力を求めることができる。

1項

公共職業安定所は、厚生労働省令で定めるところにより、求職者 又は求人者に対し、特定地方公共団体 又は職業紹介事業者(第三十二条の九第二項の命令を受けている者 その他の公共職業安定所が求職者 又は求人者に対して その職業紹介事業の業務に係る情報の提供を行うことが適当でない者として厚生労働省令で定めるものを除くこの項において同じ。)に関する第三十二条の十六第三項に規定する事項、特定地方公共団体 又は職業紹介事業者の紹介により就職した者のうち雇用保険法第五十八条の規定による移転費の支給を受けたものの数 その他 職業紹介事業の業務に係る情報を提供するものとする。

1項

公共職業安定所は、求職者に対し、公共職業能力開発施設の行う職業訓練(職業能力開発総合大学校の行うものを含む。)を受けることについて あつせんを行うものとする。

1項

公共職業安定所は、労働争議に対する中立の立場を維持するため、同盟罷業 又は作業所閉鎖の行われている事業所に、求職者を紹介してはならない。

○2項

前項に規定する場合の外、労働委員会が公共職業安定所に対し、事業所において、同盟罷業 又は作業所閉鎖に至る虞の多い争議が発生していること 及び求職者を無制限に紹介することによつて、当該争議の解決が妨げられることを通報した場合においては、公共職業安定所は当該事業所に対し、求職者を紹介してはならない。


但し、当該争議の発生前、通常使用されていた労働者の員数を維持するため必要な限度まで労働者を紹介する場合は、この限りでない。

1項

職業紹介の手続 その他職業紹介に関し必要な事項は、厚生労働省令でこれを定める。

第三節 職業指導

1項

公共職業安定所は、身体 又は精神に障害のある者、新たに職業に就こうとする者 その他職業に就くについて特別の指導を加えることを必要とする者に対し、職業指導を行わなければならない。

1項

公共職業安定所は、必要があると認めるときは、職業指導を受ける者について、適性検査を行うことができる。

1項

公共職業安定所は、職業指導を受ける者に対し、公共職業能力開発施設の行う職業訓練(職業能力開発総合大学校の行うものを含む。)に関する情報の提供、相談 その他の援助を与えることが必要であると認めるときは、公共職業能力開発施設 その他の関係者に対し、必要な協力を求めることができる。

1項

職業指導の方法 その他職業指導に関し必要な事項は、厚生労働省令でこれを定める。

第四節 学生若しくは生徒又は学校卒業者の職業紹介等

1項

公共職業安定所は、学校教育法昭和二十二年法律第二十六号第一条に規定する学校(以下「学校」という。)の学生 若しくは生徒 又は学校を卒業し、又は退学した者(政令で定める者を除く。以下「学生生徒等」という。)の職業紹介については、学校と協力して、学生生徒等に対し、雇用情報、職業に関する調査研究の成果等を提供し、職業指導を行い、及び公共職業安定所間の連絡により、学生生徒等に対して紹介することが適当と認められるできる限り多くの求人を開拓し、各学生生徒等の能力に適合した職業にあつせんするよう努めなければならない。

○2項

公共職業安定所は、学校が学生 又は生徒に対して行う職業指導に協力しなければならない。

○3項

公共職業安定所は、学生生徒等に対する職業指導を効果的かつ効率的に行うことができるよう、学校 その他の関係者と協力して、職業を体験する機会 又は職業能力開発促進法昭和四十四年法律第六十四号第三十条の三に規定するキャリアコンサルタントによる相談の機会の付与 その他の職業の選択についての学生 又は生徒の関心と理解を深めるために必要な措置を講ずるものとする。

1項

公共職業安定所長は、学生生徒等の職業紹介を円滑に行うために必要があると認めるときは、学校の長の同意を得て、又は学校の長の要請により、その学校の長に、公共職業安定所の業務の一部を分担させることができる。

○2項

前項の規定により公共職業安定所長が学校の長に分担させることができる業務は、次に掲げる事項に限られるものとする。

一 号

求人の申込みを受理し、かつ、その受理した求人の申込みを公共職業安定所に連絡すること。

二 号

求職の申込みを受理すること。

三 号

求職者を求人者に紹介すること。

四 号
職業指導を行うこと。
五 号
就職後の指導を行うこと。
六 号

公共職業能力開発施設(職業能力開発総合大学校を含む。)への入所のあつせんを行うこと。

○3項

第一項の規定により公共職業安定所の業務の一部を分担する学校の長(以下「業務分担学校長」という。)は、第五条の六第一項本文 及び第五条の七第一項本文の規定にかかわらず、学校の教育課程に適切でない職業に関する求人 又は求職の申込みを受理しないことができる。

○4項

業務分担学校長は、公共職業安定所長と協議して、その学校の職員の中から職業安定担当者を選任し、その者に第二項各号の業務を担当させ、及び公共職業安定所との連絡を行わせることができる。

○5項

公共職業安定所長は、業務分担学校長に対して、雇用情報、職業に関する調査研究の成果等の提供 その他業務分担学校長の行う第二項各号の業務の執行についての援助を与えるとともに、特に必要があると認めるときは、業務分担学校長に対して、経済上の援助を与えることができる。

○6項

業務分担学校長は、その業務の執行に関し、厚生労働大臣が文部科学大臣と協議して定める基準に従わなければならない。

○7項

公共職業安定所長は、業務分担学校長が、法令 又は前項の基準に違反したときは、当該業務分担学校長の行う第二項各号の業務を停止させることができる。

○8項

前各項の規定は、学校の長が第三十三条の二の規定に基づいて無料の職業紹介事業を行う場合には適用しない

1項

公共職業安定所と学校との間における連絡、援助 又は協力に関する方法 その他 学生生徒等の職業紹介に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。