防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律

昭和四十九年法律第百一号
分類 法律
カテゴリ   防衛
@ 施行日 : 平成二十八年四月一日
@ 最終更新 : 平成二十六年法律第六十九号による改正
最終編集日 : 2024年 03月10日 22時19分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 防衛施設周辺の生活環境等の整備

  • 第三章 損失の補償

  • 第四章 雑則

第一章 総則

1項

この法律は、自衛隊等の行為 又は防衛施設の設置 若しくは運用により生ずる障害の防止等のため防衛施設周辺地域の生活環境等の整備について必要な措置を講ずるとともに、自衛隊の特定の行為により生ずる損失を補償することにより、関係住民の生活の安定 及び福祉の向上に寄与することを目的とする。

1項

この法律において「自衛隊等」とは、自衛隊法昭和二十九年法律第百六十五号第二条第一項に規定する自衛隊(以下「自衛隊」という。)又は日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に基づき日本国にあるアメリカ合衆国の軍隊をいう。

2項

この法律において「防衛施設」とは、自衛隊の施設 又は日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設 及び区域 並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二条第一項の施設 及び区域をいう。

第二章 防衛施設周辺の生活環境等の整備

1項

国は、地方公共団体 その他の者が自衛隊等の機甲車両 その他 重車両のひん繁な使用、射撃、爆撃 その他火薬類の使用のひん繁な実施 その他 政令で定める行為により生ずる障害を防止し、又は軽減するため、次に掲げる施設について必要な工事を行うときは、その者に対し、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、その費用の全部 又は一部を補助するものとする。

一 号

農業用施設、林業用施設 又は漁業用施設

二 号

道路、河川 又は海岸

三 号

防風施設、防砂施設 その他の防災施設

四 号

水道 又は下水道

五 号

その他政令で定める施設

2項

国は、地方公共団体 その他の者が自衛隊等の航空機の離陸、着陸等のひん繁な実施 その他政令で定める行為により生ずる音響で著しいものを防止し、又は軽減するため、次に掲げる施設について必要な工事を行うときは、その者に対し、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、その費用の全部 又は一部を補助するものとする。

一 号

学校教育法昭和二十二年法律第二十六号第一条に規定する学校

二 号

医療法昭和二十三年法律第二百五号第一条の五第一項に規定する病院、同条第二項に規定する診療所 又は同法第二条第一項に規定する助産所

三 号

前二号の施設に類する施設で政令で定めるもの

1項

国は、政令で定めるところにより自衛隊等の航空機の離陸、着陸等のひん繁な実施により生ずる音響に起因する障害が著しいと認めて防衛大臣が指定する防衛施設の周辺の区域(以下「第一種区域」という。)に当該指定の際 現に所在する住宅(人の居住の用に供する建物 又は建物の部分をいう。以下同じ。)について、その所有者 又は当該住宅に関する所有権以外の権利を有する者がその障害を防止し、又は軽減するため必要な工事を行うときは、その工事に関し助成の措置を採るものとする。

1項

国は、政令で定めるところにより第一種区域のうち航空機の離陸、着陸等のひん繁な実施により生ずる音響に起因する障害が特に著しいと認めて防衛大臣が指定する区域(以下「第二種区域」という。)に当該指定の際 現に所在する建物、立木竹 その他土地に定着する物件(以下「建物等」という。)の所有者が当該建物等を第二種区域以外の区域に移転し、又は除却するときは、当該建物等の所有者 及び当該建物等に関する所有権以外の権利を有する者に対し、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、当該移転 又は除却により通常生ずべき損失を補償することができる。

2項

国は、政令で定めるところにより、第二種区域に所在する土地の所有者が当該土地の買入れを申し出るときは、予算の範囲内において、当該土地を買い入れることができる。

3項

国は、地方公共団体 その他の者が第二種区域内から住居を移転する者の住宅等の用に供する土地に係る道路、水道、排水施設 その他の公共施設を整備するときは、予算の範囲内において、その整備に関し助成の措置を採ることができる。

1項

国は、政令で定めるところにより第二種区域のうち航空機の離陸、着陸等のひん繁な実施により生ずる音響に起因する障害が新たに発生することを防止し、あわせてその周辺における生活環境の改善に資する必要があると認めて防衛大臣が指定する区域(以下「第三種区域」という。)に所在する土地で前条第二項の規定により買い入れたものが緑地帯 その他の緩衝地帯として整備されるよう必要な措置を採るものとする。

2項

国は、前項の土地以外の第三種区域に所在する土地についても、できる限り、緑地帯 その他の緩衝地帯として整備されるよう適当な措置を採るものとする。

1項

国は、第五条第二項の規定により買い入れた土地を、地方公共団体が広場 その他政令で定める施設の用に供するときは、当該地方公共団体に対し、当該土地を無償で使用させることができる。

2項

国有財産法昭和二十三年法律第七十三号第二十二条第二項 及び第三項の規定は、前項の規定により土地を使用させる場合について準用する。

1項

国は、防衛施設の設置 又は運用によりその周辺地域の住民の生活 又は事業活動が阻害されると認められる場合において、地方公共団体が、その障害の緩和に資するため、生活環境施設 又は事業経営の安定に寄与する施設の整備について必要な措置を採るときは、当該地方公共団体に対し、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、その費用の一部を補助することができる。

1項

防衛大臣は、次に掲げる防衛施設のうち、その設置 又は運用がその周辺地域における生活環境 又は その周辺地域の開発に及ぼす影響の程度 及び範囲 その他の事情を考慮し、当該周辺地域を管轄する市町村がその区域内において行う公共用の施設の整備 又は その他の生活環境の改善 若しくは開発の円滑な実施に寄与する事業について特に配慮する必要があると認められる防衛施設があるときは、当該防衛施設を特定防衛施設として、また、当該市町村を特定防衛施設関連市町村として、それぞれ指定することができる。


この場合には、防衛大臣は、あらかじめ、関係行政機関の長と協議するものとする。

一 号

ターボジェット発動機を有する航空機の離陸又は着陸が実施される飛行場

二 号

砲撃 又は航空機による射撃 若しくは爆撃が実施される演習場

三 号

港湾

四 号

その他政令で定める施設

2項

国は、特定防衛施設関連市町村に対し、政令で定める公共用の施設の整備 又は その他の生活環境の改善 若しくは開発の円滑な実施に寄与する事業であつて政令で定めるものを行うための費用に充てさせるため、特定防衛施設の面積、運用の態様等を考慮して政令で定めるところにより、予算の範囲内において、特定防衛施設周辺整備調整交付金を交付することができる。

1項

国は、第三条の工事を行う者 又は第八条の措置を採る地方公共団体に対し、必要な資金の融通 又はあつせんその他の援助に努めるものとする。

1項

国は、第三条の工事、第八条の措置 又は第九条第二項の整備に係る事業の用に供するため必要があると認めるときは、地方公共団体 その他の者に対し、普通財産を譲渡し、又は貸し付けることができる。

1項

関係行政機関の長は、その所掌事務の遂行に当たつては、防衛施設の周辺における生活環境 及び産業基盤の整備について、計画的に推進するよう 努めるものとする。

2項

防衛大臣は、関係行政機関の長による前項の整備に係る事務の遂行について、当該関係行政機関の長に対し、意見を述べることができる。

第三章 損失の補償

1項

自衛隊の次に掲げる行為により、従来適法に農業、林業、漁業 その他政令で定める事業を営んでいた者がその事業の経営上損失を受けたときは、国がその損失を補償する。

一 号

航空機の離陸、着陸等のひん繁な実施、機甲車両 その他重車両のひん繁な使用 又は艦船 若しくは舟艇のひん繁な使用で政令で定めるもの

二 号

射撃、爆撃 その他 火薬類の使用のひん繁な実施で政令で定めるもの

三 号
その他政令で定める行為
2項

前項の規定は、他の法律により国が損害賠償 又は損失補償の責めに任ずべき損失については、適用しない

3項

第一項の規定により補償する損失は、通常生ずべき損失とする。

1項

前条の規定による損失の補償を受けようとする者は、防衛省令で定めるところにより、その者の住所の所在地を管轄する市町村長(特別区の区長を含む。以下この条において同じ。)を経由して、損失補償申請書を防衛大臣に提出しなければならない。

2項

市町村長は、前項の申請書を受理したときは、その意見を記載した書面を当該申請書に添えて、これを防衛大臣に送付しなければならない。

3項

防衛大臣は、前項の書類を受理したときは、補償すべき損失の有無 及び損失を補償すべき場合には補償の額を決定し、遅滞なくこれを市町村長を経由して当該申請者に通知しなければならない。

1項

前条第三項の規定による決定に不服がある者は、同項の通知を受けた日の翌日から起算して三月以内に、防衛省令で定める手続に従い、防衛大臣に対して異議を申し出ることができる。

2項

防衛大臣は、前項の規定による申出があつたときは、その申出のあつた日から 三十日以内に改めて補償すべき損失の有無 及び損失を補償すべき場合には補償の額を決定し、これを申出人に通知しなければならない。

1項

国は、前条第一項の規定による異議の申出がないときは、同項の期間の満了の日から三十日以内に、同項の規定による異議の申出があつた場合において同条第二項の規定による決定があつたときは、同項の通知の日から三十日以内に、補償を受けるべき者に対し、当該補償金を交付する。

1項

第十四条第三項 又は第十五条第二項の規定による決定に不服がある者は、その決定の通知を受けた日から六月以内に、訴えをもつてその増額を請求することができる。

2項

前項の訴えにおいては、国を被告とする。

1項

第十四条第三項の規定による決定に不服がある者は、第十五条第一項 及び前条第一項の規定によることによつてのみ争うことができる。

第四章 雑則

1項

第三条第二項 及び第四条の規定の適用については、自衛隊等の航空機以外の航空機の離陸 及び着陸で防衛施設たる飛行場を使用して行われるものは、自衛隊等の航空機の離陸 及び着陸とみなし、第十三条第一項の規定の適用については、自衛隊等の航空機以外の航空機の離陸 及び着陸で自衛隊の設置する飛行場を使用して行われるものは、自衛隊の航空機の離陸 及び着陸とみなす。

1項

第十四条の規定により市町村(特別区を含む。)が処理することとされている事務(同条第二項の規定による申請書に意見を記載した書面を添える事務を除く)は、地方自治法昭和二十二年法律第六十七号第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。