食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法

平成十年法律第五十九号
略称 : HACCP手法支援法 
分類 法律
カテゴリ   厚生
最終編集日 : 2024年 04月28日 03時03分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 製造過程の管理の高度化

  • 第三章 指定認定機関

  • 第四章 罰則

第一章 総則

1項
この法律は、食品の製造過程において、食品に起因する衛生上の危害の発生の防止と適正な品質の確保を図るため、その管理の高度化を促進する措置を講じ、もって公衆衛生の向上 及び増進に寄与するとともに、食品の製造 又は加工の事業の健全な発展に資することを目的とする。
1項

この法律において「食品」とは、飲食料品のうち医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律昭和三十五年法律第百四十五号)に規定する医薬品、医薬部外品 及び再生医療等製品以外のものをいう。

2項

この法律において「製造過程の管理の高度化」とは、食品の製造 又は加工が次に掲げる製造 又は加工の過程を経て行われることにより、衛生管理 及び品質管理の確実性 及び信頼性が向上することをいう。

一 号
製造 又は加工の方法 及びその衛生管理の方法につき食品衛生上の危害の発生を防止するための措置が総合的に講じられた製造 又は加工の過程
二 号
製造 又は加工の方法 及びその品質管理の方法につき適正な品質を確保するための措置が総合的に講じられた製造 又は加工の過程
3項

この法律において「高度化基盤整備」とは、製造過程の管理の高度化を行う前にその基盤となる施設 及び体制を整備することをいう。

第二章 製造過程の管理の高度化

1項

厚生労働大臣 及び農林水産大臣は、製造過程の管理の高度化に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。

2項
基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 号
製造過程の管理の高度化の基本的な方向
二 号
高度化基盤整備に関する基本的な事項
三 号

次条第一項の高度化基準の作成に関する基本的な事項

四 号
その他製造過程の管理の高度化に関する重要事項
3項
基本方針は、食品の製造 又は加工の過程における衛生管理 及び品質管理に関する国際的動向を踏まえ、製造過程の管理の高度化が国内で製造され、又は加工される食品の輸出の促進に資することとなるよう配慮して定めるものとする。
4項

厚生労働大臣 及び農林水産大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

1項

厚生労働大臣 及び農林水産大臣が指定する法人は、その指定に係る食品の種類ごとに、製造過程の管理の高度化に関する基準(以下「高度化基準」という。)を作成し、これを厚生労働大臣 及び農林水産大臣に提出して、当該高度化基準が基本方針に照らし適切なものである旨の認定を受けることができる。

2項

高度化基準には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 号
製造過程の管理の高度化の目標
二 号
製造過程の管理の高度化の内容に関する基準
三 号
高度化基盤整備の内容に関する基準
3項

厚生労働大臣 及び農林水産大臣は、第一項の認定をしたときは、遅滞なく、当該認定に係る高度化基準を公表しなければならない。

1項

厚生労働大臣 及び農林水産大臣は、基本方針の変更により前条第一項の認定に係る高度化基準(その変更につき第四項において準用する同条第一項の認定があったときは、その変更後のもの。以下「認定高度化基準」という。)が基本方針に照らし適切でなくなったと認めるときは、当該認定高度化基準に係る同条第一項の認定を受けた法人(以下「認定法人」という。)に対し、当該認定高度化基準を変更すべき旨を通知しなければならない。

2項

認定法人は、前項の規定による通知を受けたときは、認定高度化基準を変更しなければならない。

3項

認定法人は、前項の場合を除くほか、必要があるときは、認定高度化基準を変更することができる。

4項

前条第一項 及び第三項の規定は、前二項の規定による認定高度化基準の変更について準用する。

5項

厚生労働大臣 及び農林水産大臣は、認定法人が第一項の規定による通知を受けた後、認定高度化基準を変更しなかったときは、当該認定高度化基準に係る前条第一項の認定を取り消すことができる。


この場合には、同条第三項の規定を準用する。

1項

食品の製造 又は加工の事業を行う者(株式会社日本政策金融公庫法(平成十九年法律第五十七号)第二条第三号に規定する中小企業者であるものに限る。第八条第一項において同じ。)は、厚生労働省令・農林水産省令で定めるところにより、その製造し、又は加工しようとする食品の種類 及び製造 又は加工の施設ごとに、製造過程の管理の高度化に関する計画(以下「高度化計画」という。)を作成し、これを認定法人に提出して、当該高度化計画が認定高度化基準に適合するものである旨の認定を受けることができる。

2項

高度化計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 号
製造過程の管理の高度化の目標
二 号
製造過程の管理の高度化の内容 及び実施時期
3項

第一項の食品の製造 又は加工の事業を行う者には、認定法人が第四条第一項の指定に係る種類の食品の製造 又は加工の事業を行う場合における当該認定法人を含まないものとする。

1項

前条第一項の認定を受けた者は、当該認定に係る高度化計画を変更しようとするときは、当該変更に係る高度化計画が認定高度化基準に適合するものである旨の認定法人の認定を受けなければならない。

2項

認定法人は、前条第一項の認定を受けた者が同項の認定に係る高度化計画(前項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの。第十条第一項において「認定高度化計画」という。)に従って製造過程の管理の高度化を行っていないと認めるときは、厚生労働省令・農林水産省令で定めるところにより、その認定を取り消すことができる。

1項

食品の製造 又は加工の事業を行う者は、厚生労働省令・農林水産省令で定めるところにより、その製造し、又は加工しようとする食品の種類 及び製造 又は加工の施設ごとに、高度化基盤整備に関する計画(第六条第一項の認定を受けることができるものを除く。以下「高度化基盤整備計画」という。)を作成し、これを認定法人に提出して、当該高度化基盤整備計画が認定高度化基準に適合するものである旨の認定を受けることができる。

2項

高度化基盤整備計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 号
高度化基盤整備の目標
二 号
高度化基盤整備の内容 及び実施時期
3項

第六条第三項の規定は、第一項の食品の製造 又は加工の事業を行う者について準用する。

1項

前条第一項の認定を受けた者は、当該認定に係る高度化基盤整備計画を変更しようとするときは、当該変更に係る高度化基盤整備計画が認定高度化基準に適合するものである旨の認定法人の認定を受けなければならない。

2項

認定法人は、前条第一項の認定を受けた者が同項の認定に係る高度化基盤整備計画(前項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの。次条第一項において「認定高度化基盤整備計画」という。)に従って高度化基盤整備を行っていないと認めるときは、厚生労働省令・農林水産省令で定めるところにより、その認定を取り消すことができる。

1項

株式会社日本政策金融公庫は、株式会社日本政策金融公庫法第十一条に規定する業務のほか、第六条第一項 又は第八条第一項の認定を受けた者であってその行う事業が農林畜水産物の取引の安定に資すると認められるものに対し、食料の安定供給の確保 又は農林漁業の持続的かつ健全な発展に資する長期かつ低利の資金であって認定高度化計画 又は認定高度化基盤整備計画に従って製造過程の管理の高度化 又は高度化基盤整備を行うのに必要な製造 又は加工のための施設の改良、造成 又は取得(その利用に必要な特別の費用の支出 及び権利の取得を含む。)に必要なもの(他の金融機関が融通することを困難とするものであって、その償還期限が十年を超えるものに限る)の貸付けの業務を行うことができる。

2項

前項に規定する資金の貸付けの利率、償還期限 及び据置期間については、政令で定める範囲内で、株式会社日本政策金融公庫が定める。

3項

第一項の規定により株式会社日本政策金融公庫が行う同項に規定する資金の貸付けについての株式会社日本政策金融公庫法第十一条第一項第六号、第十二条第一項、第三十一条第二項第一号ロ、第四十一条第二号、第五十三条、第五十八条、第五十九条第一項、第六十四条第一項第四号、第七十三条第三号 及び別表第二第九号の規定の適用については、

同法第十一条第一項第六号 及び第十二条第一項中
掲げる業務」とあるのは
「掲げる業務 及び食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法第十条第一項に規定する業務」と、

同法第三十一条第二項第一号ロ、第四十一条第二号 及び第六十四条第一項第四号中
又は別表第二第二号に掲げる業務」とあるのは
「、別表第二第二号に掲げる業務 又は食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法第十条第一項に規定する業務」と、

同項第五号」とあるのは
同法第十条第一項に規定する業務 並びに第十一条第一項第五号」と、

同法第五十三条中
同項第五号」とあるのは
食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法第十条第一項に規定する業務 並びに第十一条第一項第五号」と、

同法第五十八条 及び第五十九条第一項中
この法律」とあるのは
「この法律、食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法」と、

同法第七十三条第三号中
第十一条」とあるのは
「第十一条 及び食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法第十条第一項」と、

同法別表第二第九号中
又は別表第一第一号から第十四号までの下欄に掲げる資金の貸付けの業務」とあるのは
「、別表第一第一号から第十四号までの下欄に掲げる資金の貸付けの業務 又は食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法第十条第一項に規定する業務」と

する。

第三章 指定認定機関

1項

第四条第一項の指定(以下この章において単に「指定」という。)は、厚生労働省令・農林水産省令で定めるところにより、食品の種類ごとに、高度化基準の作成 並びに高度化計画 及び高度化基盤整備計画の認定を行おうとする者の申請により行う。

1項

次の各号いずれかに該当する者は、指定を受けることができない。

一 号

第二十二条の規定により指定を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者

二 号

その業務を行う役員のうちに、この法律 又はこの法律に基づく処分に違反し、刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者がある者

1項

厚生労働大臣 及び農林水産大臣は、指定の申請が次の各号いずれにも適合していると認めるときでなければ、その指定をしてはならない。

一 号
高度化基準の作成 並びに高度化計画 及び高度化基盤整備計画の認定の業務を適確かつ円滑に実施するに足りる技術的能力 及び経理的基礎を有すること。
二 号
一般社団法人 若しくは一般財団法人 又は事業協同組合 その他の政令で定める法人であって、その役員 又は直接 若しくは間接の構成員の構成が高度化基準の作成 並びに高度化計画 及び高度化基盤整備計画の認定の業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
三 号

高度化基準の作成 並びに高度化計画 及び高度化基盤整備計画の認定の業務以外の業務を行っている場合には、その業務を行うことによって高度化基準の作成 並びに高度化計画 及び高度化基盤整備計画の認定の業務が不公正になるおそれがないものであること。

四 号
その指定をすることによって高度化基準の作成 並びに高度化計画 及び高度化基盤整備計画の認定の業務の適確かつ円滑な実施を阻害することとならないこと。
1項

指定を受けた法人(以下「指定認定機関」という。)は、高度化計画 又は高度化基盤整備計画の認定を行うべきことを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく、その認定のための審査を行わなければならない。

1項

指定認定機関は、高度化基準の作成 並びに高度化計画 及び高度化基盤整備計画の認定の業務を行う事務所の所在地を変更しようとするときは、変更しようとする日の二週間前までに、厚生労働大臣 及び農林水産大臣に届け出なければならない。

1項

指定認定機関は、高度化計画 及び高度化基盤整備計画の認定の業務に関する規程(以下「認定業務規程」という。)を定め、厚生労働大臣 及び農林水産大臣の認可を受けなければならない。


これを変更しようとするときも、同様とする。

2項
認定業務規程で定めるべき事項は、厚生労働省令・農林水産省令で定める。
3項

厚生労働大臣 及び農林水産大臣は、第一項の認可をしたときは、遅滞なく、当該認可に係る認定業務規程を官報に公示しなければならない。

4項

厚生労働大臣 及び農林水産大臣は、第一項の認可をした認定業務規程が高度化計画 及び高度化基盤整備計画の認定の公正な実施上不適当となったと認めるときは、その認定業務規程を変更すべきことを命ずることができる。

1項
指定認定機関は、高度化計画 及び高度化基盤整備計画の認定の業務の全部 又は一部を休止し、又は廃止したときは、遅滞なく、その旨を厚生労働大臣 及び農林水産大臣に届け出なければならない。
1項

指定認定機関は、毎事業年度、厚生労働省令・農林水産省令で定めるところにより、事業計画 及び収支予算を作成し、当該事業年度の開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあっては、その指定を受けた後遅滞なく)、厚生労働大臣 及び農林水産大臣の認可を受けなければならない。


これを変更しようとするときも、同様とする。

2項

指定認定機関は、毎事業年度、厚生労働省令・農林水産省令で定めるところにより、事業報告書 及び収支決算書を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に厚生労働大臣 及び農林水産大臣に提出しなければならない。

1項

厚生労働大臣 及び農林水産大臣は、指定認定機関が第十五条第一号から第三号までに適合しなくなったと認めるときは、その指定認定機関に対し、これらの規定に適合するため必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。

1項

厚生労働大臣 及び農林水産大臣は、指定認定機関が次の各号いずれかに該当するときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて高度化計画 及び高度化基盤整備計画の認定の業務の全部 若しくは一部の停止を命ずることができる。

一 号

この章の規定に違反したとき。

二 号

第十四条各号いずれかに該当するに至ったとき。

三 号

第十八条第一項の認可を受けた認定業務規程によらないで高度化計画 又は高度化基盤整備計画の認定を行ったとき。

四 号

第十八条第四項 又は前条の規定による命令に違反したとき。

五 号
不正の手段により指定を受けたとき。
1項

厚生労働大臣 及び農林水産大臣は、次に掲げる場合には、その旨を官報に公示しなければならない。

一 号
指定認定機関の指定をしたとき。
二 号

第十七条 又は第十九条の規定による届出があったとき。

三 号

前条の規定により指定を取り消し、又は業務の停止を命じたとき。

1項
厚生労働大臣 及び農林水産大臣は、必要があると認めるときは、指定認定機関に対し、その業務に関し報告をさせ、又はその職員に指定認定機関の事務所に立ち入り、その業務に関し、業務の状況 若しくは帳簿、書類 その他の物件を検査させることができる。
2項

前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係人の請求があるときは、これを提示しなければならない。

3項

第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

第四章 罰則

1項

第二十二条の規定による命令に違反した場合には、その違反行為をした指定認定機関の役員 又は職員は、五十万円以下の罰金に処する。

1項

次の各号の一に掲げる違反行為があった場合には、その違反行為をした指定認定機関の役員 又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。

一 号

第十九条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

二 号

第二十四条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。