高度専門医療に関する研究等を行う国立研究開発法人に関する法律
第一章 総則
この法律 及び独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号。以下「通則法」という。)の定めるところにより設立される通則法第二条第一項に規定する独立行政法人の名称は、次の各号に掲げるとおりとし、それぞれ当該各号に定める都府県に主たる事務所を置く。
国立研究開発法人国立がん研究センター
東京都
国立研究開発法人国立循環器病研究センター
大阪府
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター
東京都
国立研究開発法人国立国際医療研究センター
東京都
国立研究開発法人国立成育医療研究センター
東京都
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
愛知県
国立研究開発法人国立がん研究センター(以下「国立がん研究センター」という。)は、がん その他の悪性新生物に係る医療に関し、調査、研究 及び技術の開発 並びにこれらの業務に密接に関連する医療の提供、技術者の研修等を行うことにより、国の医療政策として、がん その他の悪性新生物に関する高度かつ専門的な医療の向上を図り、もって公衆衛生の向上 及び増進に寄与することを目的とする。
国立研究開発法人国立循環器病研究センター(以下「国立循環器病研究センター」という。)は、循環器病に係る医療に関し、調査、研究 及び技術の開発 並びにこれらの業務に密接に関連する医療の提供、技術者の研修等を行うことにより、国の医療政策として、循環器病に関する高度かつ専門的な医療の向上を図り、もって公衆衛生の向上 及び増進に寄与することを目的とする。
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(以下「国立精神・神経医療研究センター」という。)は、精神疾患、神経疾患、筋疾患 及び知的障害 その他の発達の障害(以下「精神・神経疾患等」という。)に係る医療 並びに精神保健に関し、調査、研究 及び技術の開発 並びにこれらの業務に密接に関連する医療の提供、技術者の研修等を行うことにより、国の医療政策として、精神・神経疾患等に関する高度かつ専門的な医療 及び精神保健の向上を図り、もって公衆衛生の向上 及び増進に寄与することを目的とする。
国立研究開発法人国立国際医療研究センター(以下「国立国際医療研究センター」という。)は、感染症 その他の疾患であって、その適切な医療の確保のために海外における症例の収集 その他国際的な調査 及び研究を特に必要とするもの(以下「感染症 その他の疾患」という。)に係る医療 並びに医療に係る国際協力に関し、調査、研究 及び技術の開発 並びにこれらの業務に密接に関連する医療の提供、技術者の研修等を行うことにより、国の医療政策として、感染症 その他の疾患に関する高度かつ専門的な医療、医療に係る国際協力等の向上を図り、もって公衆衛生の向上 及び増進に寄与することを目的とする。
国立研究開発法人国立成育医療研究センター(以下「国立成育医療研究センター」という。)は、母性 及び父性 並びに乳児 及び幼児の難治疾患、生殖器疾患 その他の疾患であって、児童が健やかに生まれ、かつ、成育するために特に治療を必要とするもの(以下「成育に係る疾患」という。)に係る医療に関し、調査、研究 及び技術の開発 並びにこれらの業務に密接に関連する医療の提供、技術者の研修等を行うことにより、国の医療政策として、成育に係る疾患に関する高度かつ専門的な医療の向上を図り、もって公衆衛生の向上 及び増進に寄与することを目的とする。
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター(以下「国立長寿医療研究センター」という。)は、加齢に伴って生ずる心身の変化 及びそれに起因する疾患であって高齢者が自立した日常生活を営むために特に治療を必要とするもの(以下「加齢に伴う疾患」という。)に係る医療に関し、調査、研究 及び技術の開発 並びにこれらの業務に密接に関連する医療の提供、技術者の研修等を行うことにより、国の医療政策として、加齢に伴う疾患に関する高度かつ専門的な医療の向上を図り、もって公衆衛生の向上 及び増進に寄与することを目的とする。
第二条各号に掲げる国立研究開発法人(以下「国立高度専門医療研究センター」という。)は、通則法第二条第三項に規定する国立研究開発法人とする。
国立高度専門医療研究センターの資本金は、附則第八条第二項の規定により政府から出資があったものとされた金額とする。
国立高度専門医療研究センターは、前項の規定による政府の出資があったときは、その出資額により資本金を増加するものとする。
第二章 役員及び職員
各国立高度専門医療研究センターに、役員として、その長である理事長 及び監事二人を置く。
各国立高度専門医療研究センターに、役員として、それぞれ次の各号に定める人数以内の理事を置く。
国立がん研究センター
五人
国立循環器病研究センター
三人
国立精神・神経医療研究センター
四人
国立国際医療研究センター
六人
国立成育医療研究センター
三人
国立長寿医療研究センター
三人
通則法第十九条第二項の個別法で定める役員は、理事とする。
ただし、理事が置かれていないときは、監事とする。
前項ただし書の場合において、通則法第十九条第二項の規定により理事長の職務を代理し 又はその職務を行う監事は、その間、監事の職務を行ってはならない。
理事の任期は、二年とする。
通則法第二十二条の規定にかかわらず、教育公務員 又は研究公務員で政令で定めるもの(次条各号のいずれかに該当する者を除く。)は、理事 又は監事となることができる。
通則法第二十二条に定めるもののほか、次の各号のいずれかに該当する者は、役員となることができない。
物品の製造 若しくは販売、工事の請負 若しくは役務の提供を業とする者であって当該国立高度専門医療研究センターと取引上密接な利害関係を有するもの 又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権 又は支配力を有する者を含む。)
前号に掲げる事業者の団体の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権 又は支配力を有する者を含む。)
国立高度専門医療研究センターの理事長の解任に関する通則法第二十三条第一項の規定の適用については、
同項中
「前条」とあるのは、
「前条 及び高度専門医療に関する研究等を行う国立研究開発法人に関する法律(平成二十年法律第九十三号)第九条」と
する。
国立高度専門医療研究センターの理事 及び監事の解任に関する通則法第二十三条第一項の規定の適用については、
同項中
「前条」とあるのは、
「前条 並びに高度専門医療に関する研究等を行う国立研究開発法人に関する法律(平成二十年法律第九十三号)第八条 及び第九条」と
する。
国立高度専門医療研究センターの役員 及び職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
その職を退いた後も、同様とする。
国立高度専門医療研究センターの役員 及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第三章 業務
国立がん研究センターは、第三条第一項の目的を達成するため、次の業務を行う。
前号に掲げる業務に密接に関連する医療を提供すること。
前三号に掲げる業務に係る成果の普及 及び政策の提言を行うこと。
科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(平成二十年法律第六十三号)第三十四条の六第一項の規定による出資 並びに人的 及び技術的援助のうち政令で定めるものを行うこと。
前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
国立がん研究センターは、前項の業務のほか、がん登録等の推進に関する法律(平成二十五年法律第百十一号)の規定に基づき、全国がん登録の実施に関する事務を行う。
国立循環器病研究センターは、第三条第二項の目的を達成するため、次の業務を行う。
前号に掲げる業務に密接に関連する医療を提供すること。
前三号に掲げる業務に係る成果の普及 及び政策の提言を行うこと。
科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第三十四条の六第一項の規定による出資 並びに人的 及び技術的援助のうち政令で定めるものを行うこと。
前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
国立精神・神経医療研究センターは、第三条第三項の目的を達成するため、次の業務を行う。
前号に掲げる業務に密接に関連する医療を提供すること。
前各号に掲げる業務に係る成果の普及 及び政策の提言を行うこと。
科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第三十四条の六第一項の規定による出資 並びに人的 及び技術的援助のうち政令で定めるものを行うこと。
前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
国立国際医療研究センターは、第三条第四項の目的を達成するため、次の業務を行う。
前号に掲げる業務に密接に関連する医療を提供すること。
前各号に掲げる業務に係る成果の普及 及び政策の提言を行うこと。
科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第三十四条の六第一項の規定による出資 並びに人的 及び技術的援助のうち政令で定めるものを行うこと。
前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
国立成育医療研究センターは、第三条第五項の目的を達成するため、次の業務を行う。
前号に掲げる業務に密接に関連する医療を提供すること。
前三号に掲げる業務に係る成果の普及 及び政策の提言を行うこと。
科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第三十四条の六第一項の規定による出資 並びに人的 及び技術的援助のうち政令で定めるものを行うこと。
前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
国立長寿医療研究センターは、第三条第六項の目的を達成するため、次の業務を行う。
前号に掲げる業務に密接に関連する医療を提供すること。
前各号に掲げる業務に係る成果の普及 及び政策の提言を行うこと。
科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第三十四条の六第一項の規定による出資 並びに人的 及び技術的援助のうち政令で定めるものを行うこと。
前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
各国立高度専門医療研究センターは、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第三十四条の五第一項 及び第二項の規定による株式 又は新株予約権の取得 及び保有を行うことができる。
各国立高度専門医療研究センターは、それぞれ第十三条から第十八条までに規定する業務のほか、当該業務の遂行に支障のない範囲内で、その建物の一部、設備、器械 及び器具を、当該国立高度専門医療研究センターに勤務しない医師、歯科医師 その他の医療関係者の診療 又は研究 若しくは技術の開発のために利用させることができる。
第四章 財務及び会計
国立高度専門医療研究センターは、通則法第三十五条の四第二項第一号に規定する中長期目標の期間(以下この項において「中長期目標の期間」という。)の最後の事業年度に係る通則法第四十四条第一項 又は第二項の規定による整理を行った後、同条第一項の規定による積立金があるときは、その額に相当する金額のうち厚生労働大臣の承認を受けた金額を、当該中長期目標の期間の次の中長期目標の期間に係る通則法第三十五条の五第一項の認可を受けた中長期計画(同項後段の規定による変更の認可を受けたときは、その変更後のもの)の定めるところにより、当該次の中長期目標の期間における当該国立高度専門医療研究センターが行う第十三条から前条まで(第十八条の二を除く。)に規定する業務の財源に充てることができる。
国立高度専門医療研究センターは、前項に規定する積立金の額に相当する金額から同項の規定による承認を受けた金額を控除してなお残余があるときは、その残余の額を国庫に納付しなければならない。
前二項に定めるもののほか、納付金の納付の手続 その他積立金の処分に関し必要な事項は、政令で定める。
国立高度専門医療研究センターは、政令で定める施設の設置 若しくは整備 又は設備の設置に必要な費用に充てるため、厚生労働大臣の認可を受けて、長期借入金をし、又は当該国立高度専門医療研究センターの名称を冠する債券(以下「債券」という。)を発行することができる。
前項に規定するもののほか、国立高度専門医療研究センターは、長期借入金 又は債券で政令で定めるものの償還に充てるため、厚生労働大臣の認可を受けて、長期借入金をし、又は債券を発行することができる。
ただし、その償還期間が政令で定める期間のものに限る。
前二項の規定による債券の債権者は、当該債券を発行した国立高度専門医療研究センターの財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
前項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
会社法(平成十七年法律第八十六号)第七百五条第一項 及び第二項 並びに第七百九条の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行 又は信託会社について準用する。
前各項に定めるもののほか、第一項 又は第二項の規定による長期借入金 又は債券に関し必要な事項は、政令で定める。
政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、前条第一項 又は第二項の規定による国立高度専門医療研究センターの長期借入金 又は債券に係る債務(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第二条の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)について保証することができる。
第二十一条第一項 又は第二項の規定により、長期借入金をし、又は債券を発行する国立高度専門医療研究センターは、毎事業年度、長期借入金 及び債券の償還計画を立てて、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
第五章 雑則
厚生労働大臣は、災害が発生し、若しくはまさに発生しようとしている事態 又は国民の健康に重大な影響のある特定の疾患等に関して、公衆衛生上重大な危害が生じ、若しくは生じるおそれがある緊急の事態に対処するため必要があると認めるときは、国立高度専門医療研究センターに対し、第十三条第一項第一号 若しくは第二号、第十四条第一号 若しくは第二号、第十五条第一号から第三号まで、第十六条第一号 若しくは第二号、第十七条第一号 若しくは第二号 又は第十八条第一号から第三号までの業務のうち必要な業務の実施を求めることができる。
国立高度専門医療研究センターは、厚生労働大臣から前項の規定による求めがあったときは、正当な理由がない限り、その求めに応じなければならない。
厚生労働大臣は、次の場合には、財務大臣に協議しなければならない。
第二十条第一項の承認をしようとするとき。
第二十一条第一項、第二項 若しくは第五項 又は第二十三条の認可をしようとするとき。
国は、国立高度専門医療研究センターの業務の特性にかんがみ、国立高度専門医療研究センターにおける調査、研究 及び技術の開発(以下「研究開発」という。)の進捗状況を踏まえつつ、国立高度専門医療研究センターの研究開発を行う能力の強化 並びにその研究開発の効果的な推進 及びその成果の普及を図るため、必要な財政上の配慮をするものとする。
国立高度専門医療研究センターに係る通則法における主務大臣 及び主務省令は、それぞれ厚生労働大臣 及び厚生労働省令とする。
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)その他政令で定める法令については、政令で定めるところにより、国立高度専門医療研究センターを国とみなして、これらの法令を準用する。
第六章 罰則
第十一条の規定に違反して秘密を漏らし、又は盗用した者は、一年以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。
次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした国立高度専門医療研究センターの役員は、二十万円以下の過料に処する。
国立がん研究センターにあっては第十三条 及び第十九条、国立循環器病研究センターにあっては第十四条 及び第十九条、国立精神・神経医療研究センターにあっては第十五条 及び第十九条、国立国際医療研究センターにあっては第十六条 及び第十九条、国立成育医療研究センターにあっては第十七条 及び第十九条 又は国立長寿医療研究センターにあっては第十八条 及び第十九条に規定する業務以外の業務を行ったとき。
第二十条第一項の規定により厚生労働大臣の承認を受けなければならない場合において、その承認を受けなかったとき。
第二十一条第一項、第二項 若しくは第五項 又は第二十三条の規定により厚生労働大臣の認可を受けなければならない場合において、その認可を受けなかったとき。