意匠法

# 昭和三十四年法律第百二十五号 #

第一節 意匠権

分類 法律
カテゴリ   文化
@ 施行日 : 令和六年一月一日 ( 2024年 1月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第五十一号
最終編集日 : 2024年 10月09日 12時57分


1項
意匠権は、設定の登録により発生する。
2項

第四十二条第一項の規定による第一年分の登録料の納付があつたときは、意匠権の設定の登録をする。

3項

前項の登録があつたときは、次に掲げる事項を意匠公報に掲載しなければならない。

一 号
意匠権者の氏名 又は名称 及び住所 又は居所
二 号
意匠登録出願の番号 及び年月日
三 号
登録番号 及び設定の登録の年月日
四 号
願書 及び願書に添付した図面、写真、ひな形 又は見本の内容
五 号

前各号に掲げるもののほか、必要な事項

4項

第十四条第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠に関する前項第四号に掲げる事項は、同項の規定にかかわらず第十四条第一項の規定により指定した期間の経過後遅滞なく掲載するものとする。

1項

意匠権(関連意匠の意匠権を除く)の存続期間は、意匠登録出願の日から二十五年をもつて終了する。

2項

関連意匠の意匠権の存続期間は、その基礎意匠の意匠登録出願の日から二十五年をもつて終了する。

1項

基礎意匠 及びその関連意匠の意匠権は、分離して移転することができない。

2項

基礎意匠の意匠権が第四十四条第四項の規定により消滅したとき、無効にすべき旨の審決が確定したとき、又は放棄されたときは、当該基礎意匠に係る関連意匠の意匠権は、分離して移転することができない。

1項

意匠権者は、業として登録意匠 及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する。


ただし、その意匠権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその登録意匠 及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでない。

1項

登録意匠の範囲は、願書の記載 及び願書に添附した図面に記載され 又は願書に添附した写真、ひな形 若しくは見本により現わされた意匠に基いて定めなければならない。

2項

登録意匠とそれ以外の意匠が類似であるか否かの判断は、需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行うものとする。

1項
登録意匠 及びこれに類似する意匠の範囲については、特許庁に対し、判定を求めることができる。
2項

特許庁長官は、前項の規定による求があつたときは、三名の審判官を指定して、その判定をさせなければならない。

3項

特許法第七十一条第三項 及び第四項の規定は、第一項の判定に準用する。

1項

特許庁長官は、裁判所から登録意匠 及びこれに類似する意匠の範囲について鑑定の嘱託があつたときは、三名の審判官を指定して、その鑑定をさせなければならない。

2項

特許法第七十一条の二第二項の規定は、前項の鑑定の嘱託に準用する。

1項

意匠権者、専用実施権者 又は通常実施権者は、その登録意匠がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の登録意匠 若しくはこれに類似する意匠、特許発明 若しくは登録実用新案を利用するものであるとき、又はその意匠権のうち登録意匠に係る部分がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の特許権、実用新案権 若しくは商標権 若しくはその意匠登録出願の日前に生じた他人の著作権と抵触するときは、業としてその登録意匠の実施をすることができない。

2項

意匠権者、専用実施権者 又は通常実施権者は、その登録意匠に類似する意匠がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の登録意匠 若しくはこれに類似する意匠、特許発明 若しくは登録実用新案を利用するものであるとき、又はその意匠権のうち登録意匠に類似する意匠に係る部分がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の意匠権、特許権、実用新案権 若しくは商標権 若しくはその意匠登録出願の日前に生じた他人の著作権と抵触するときは、業としてその登録意匠に類似する意匠の実施をすることができない。

1項

意匠登録が第四十八条第一項第一号に規定する要件に該当するとき(その意匠登録が第十五条第一項において準用する特許法第三十八条の規定に違反してされたときに限る)又は第四十八条第一項第三号に規定する要件に該当するときは、当該意匠登録に係る意匠について意匠登録を受ける権利を有する者は、経済産業省令で定めるところにより、その意匠権者に対し、当該意匠権の移転を請求することができる。

2項

基礎意匠 又は関連意匠の意匠権についての前項の規定による請求は、基礎意匠 又は関連意匠の意匠権のいずれかの消滅後は、当該消滅した意匠権が第四十九条の規定により初めから存在しなかつたものとみなされたときを除き、することができな*。

3項

第一項の規定による請求に基づく意匠権の移転の登録があつたときは、その意匠権は、初めから当該登録を受けた者に帰属していたものとみなす。


当該意匠権に係る意匠についての第六十条の十二第一項の規定による請求権についても、同様とする。

4項

共有に係る意匠権について第一項の規定による請求に基づき その持分を移転する場合においては、第三十六条において準用する特許法第七十三条第一項の規定は、適用しない

1項

意匠権者は、その意匠権について専用実施権を設定することができる。


ただし、基礎意匠 又は関連意匠の意匠権についての専用実施権は、基礎意匠 及び全ての関連意匠の意匠権について、同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる。

2項
専用実施権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその登録意匠 又はこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する。
3項

基礎意匠の意匠権が第四十四条第四項の規定により消滅したとき、無効にすべき旨の審決が確定したとき、又は放棄されたときは、当該基礎意匠に係る関連意匠の意匠権についての専用実施権は、全ての関連意匠の意匠権について同一の者に対して同時に設定する場合に限り、設定することができる。

4項

特許法第七十七条第三項から第五項まで移転等)、第九十七条第二項放棄)並びに第九十八条第一項第二号 及び第二項登録の効果)の規定は、専用実施権に準用する。

1項
意匠権者は、その意匠権について他人に通常実施権を許諾することができる。
2項

通常実施権者は、この法律の規定により 又は設定行為で定めた範囲内において、業としてその登録意匠 又はこれに類似する意匠の実施をする権利を有する。

3項

特許法第七十三条第一項共有)、第九十七条第三項放棄)及び第九十九条通常実施権の対抗力)の規定は、通常実施権に準用する。

1項

意匠登録出願に係る意匠を知らないで自らその意匠 若しくはこれに類似する意匠の創作をし、又は意匠登録出願に係る意匠を知らないでその意匠 若しくはこれに類似する意匠の創作をした者から知得して、意匠登録出願の際(第九条の二の規定により、又は第十七条の三第一項第五十条第一項第五十七条第一項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定により、その意匠登録出願が手続補正書を提出した時にしたものとみなされたときは、もとの意匠登録出願の際 又は手続補正書を提出した際)現に日本国内においてその意匠 又はこれに類似する意匠の実施である事業をしている者 又はその事業の準備をしている者は、その実施 又は準備をしている意匠 及び事業の目的の範囲内において、その意匠登録出願に係る意匠権について通常実施権を有する。

1項

意匠登録出願に係る意匠を知らないで自らその意匠 若しくはこれに類似する意匠の創作をし、又は意匠登録出願に係る意匠を知らないでその意匠 若しくはこれに類似する意匠の創作をした者から知得して、意匠権の設定の登録の際 現に日本国内においてその意匠 又はこれに類似する意匠の実施である事業をしている者 又はその事業の準備をしている者(前条に該当する者を除く)は、次の各号いずれにも該当する場合に限り、その実施 又は準備をしている意匠 及び事業の目的の範囲内において、その意匠登録出願に係る意匠権について通常実施権を有する。

一 号
その意匠登録出願の日前に、自らその意匠 又はこれに類似する意匠について意匠登録出願をし、当該意匠登録出願に係る意匠の実施である事業をしている者 又はその事業の準備をしている者であること。
二 号

前号の自らした意匠登録出願について、その意匠登録出願に係る意匠が第三条第一項各号の一に該当し、拒絶をすべき旨の査定 又は審決が確定した者であること。

1項

第二十六条の二第一項の規定による請求に基づく意匠権の移転の登録の際 現にその意匠権、その意匠権についての専用実施権 又はその意匠権 若しくは専用実施権についての通常実施権を有していた者であつて、その意匠権の移転の登録前に、意匠登録が第四十八条第一項第一号に規定する要件に該当すること(その意匠登録が第十五条第一項において準用する特許法第三十八条の規定に違反してされたときに限る)又は第四十八条第一項第三号に規定する要件に該当することを知らないで、日本国内において当該意匠 又はこれに類似する意匠の実施である事業をしているもの又はその事業の準備をしているものは、その実施 又は準備をしている意匠 及び事業の目的の範囲内において、その意匠権について通常実施権を有する。

2項

当該意匠権者は、前項の規定により通常実施権を有する者から相当の対価を受ける権利を有する。

1項

次の各号いずれかに該当する者であつて、意匠登録無効審判の請求の登録前に、意匠登録が第四十八条第一項各号いずれかに該当することを知らないで、日本国内において当該意匠 又はこれに類似する意匠の実施である事業をしているもの 又はその事業の準備をしているものは、その実施 又は準備をしている意匠 及び事業の目的の範囲内において、当該意匠権 又はその意匠登録を無効にした際 現に存する専用実施権について通常実施権を有する。

一 号

同一 又は類似の意匠についての二以上の意匠登録のうち、その一を無効にした場合における原意匠権者

二 号
意匠登録を無効にして同一 又は類似の意匠について正当権利者に意匠登録をした場合における原意匠権者
三 号

前二号に掲げる場合において、意匠登録無効審判の請求の登録の際 現にその無効にした意匠登録に係る意匠権についての専用実施権 又はその意匠権 若しくは専用実施権についての通常実施権を有する者

2項

当該意匠権者 又は専用実施権者は、前項の規定により通常実施権を有する者から相当の対価を受ける権利を有する。

1項
意匠登録出願の日前 又はこれと同日の意匠登録出願に係る意匠権のうち登録意匠に類似する意匠に係る部分がその意匠登録出願に係る意匠権と抵触する場合において、その意匠権の存続期間が満了したときは、その原意匠権者は、原意匠権の範囲内において、当該意匠権 又はその意匠権の存続期間の満了の際 現に存する専用実施権について通常実施権を有する。
2項

前項の規定は、意匠登録出願の日前 又はこれと同日の出願に係る特許権 又は実用新案権がその意匠登録出願に係る意匠権と抵触する場合において、その特許権 又は実用新案権の存続期間が満了したときに準用する。

1項
意匠登録出願の日前 又はこれと同日の意匠登録出願に係る意匠権のうち登録意匠に類似する意匠に係る部分がその意匠登録出願に係る意匠権と抵触する場合において、その意匠権の存続期間が満了したときは、その満了の際 現にその存続期間が満了した意匠権についての専用実施権 又はその意匠権 若しくは専用実施権についての通常実施権を有する者は、原権利の範囲内において、当該意匠権 又はその意匠権の存続期間の満了の際 現に存する専用実施権について通常実施権を有する。
2項

前項の規定は、意匠登録出願の日前 又はこれと同日の出願に係る特許権 又は実用新案権がその意匠登録出願に係る意匠権と抵触する場合において、その特許権 又は実用新案権の存続期間が満了したときに準用する。

3項

当該意匠権者 又は専用実施権者は、前二項の規定により通常実施権を有する者から相当の対価を受ける権利を有する。

1項

意匠権者 又は専用実施権者は、その登録意匠 又はこれに類似する意匠が第二十六条に規定する場合に該当するときは、同条の他人に対し その登録意匠 又はこれに類似する意匠の実施をするための通常実施権 又は特許権 若しくは実用新案権についての通常実施権の許諾について協議を求めることができる。

2項

前項の協議を求められた第二十六条の他人は、その協議を求めた意匠権者 又は専用実施権者に対し、これらの者がその協議により通常実施権 又は特許権 若しくは実用新案権についての通常実施権の許諾を受けて実施をしようとする登録意匠 又はこれに類似する意匠の範囲内において、通常実施権の許諾について協議を求めることができる。

3項

第一項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、意匠権者 又は専用実施権者は、特許庁長官の裁定を請求することができる。

4項

第二項の協議が成立せず、又は協議をすることができない場合において、前項の裁定の請求があつたときは、第二十六条の他人は、第七項において準用する特許法第八十四条の規定によりその者が答弁書を提出すべき期間として特許庁長官が指定した期間内に限り、特許庁長官の裁定を請求することができる。

5項

特許庁長官は、第三項 又は前項の場合において、当該通常実施権を設定することが第二十六条の他人 又は意匠権者 若しくは専用実施権者の利益を不当に害することとなるときは、当該通常実施権を設定すべき旨の裁定をすることができない。

6項

特許庁長官は、前項に規定する場合のほか、第四項の場合において、第三項の裁定の請求について通常実施権を設定すべき旨の裁定をしないときは、当該通常実施権を設定すべき旨の裁定をすることができない。

7項

特許法第八十四条第八十四条の二第八十五条第一項 及び第八十六条から第九十一条の二まで裁定の手続等)の規定は、第三項 又は第四項の裁定に準用する。

1項

通常実施権は、前条第三項 若しくは第四項特許法第九十二条第三項 又は実用新案法第二十二条第三項の裁定による通常実施権を除き、実施の事業とともにする場合、意匠権者(専用実施権についての通常実施権にあつては、意匠権者 及び専用実施権者)の承諾を得た場合 及び相続 その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。

2項

通常実施権者は、前条第三項 若しくは第四項特許法第九十二条第三項 又は実用新案法第二十二条第三項の裁定による通常実施権を除き、意匠権者(専用実施権についての通常実施権にあつては、意匠権者 及び専用実施権者)の承諾を得た場合に限り、その通常実施権について質権を設定することができる。

3項

前条第三項特許法第九十二条第三項 又は実用新案法第二十二条第三項の裁定による通常実施権は、その通常実施権者の当該意匠権、特許権 又は実用新案権が実施の事業とともに移転したときはこれらに従つて移転し、その意匠権、特許権 又は実用新案権が実施の事業と分離して移転したとき、又は消滅したときは消滅する。

4項

前条第四項の裁定による通常実施権は、その通常実施権者の当該意匠権、特許権 又は実用新案権に従つて移転し、その意匠権、特許権 又は実用新案権が消滅したときは消滅する。

1項

意匠権、専用実施権 又は通常実施権を目的として質権を設定したときは、質権者は、契約で別段の定をした場合を除き、当該登録意匠 又はこれに類似する意匠の実施をすることができない。

2項

特許法第九十六条物上代位)の規定は、意匠権、専用実施権 又は通常実施権を目的とする質権に準用する。

3項

特許法第九十八条第一項第三号 及び第二項登録の効果)の規定は、意匠権 又は専用実施権を目的とする質権に準用する。

1項

特許法第六十九条第一項 及び第二項特許権の効力が及ばない範囲)、第七十三条共有)、第七十六条相続人がない場合の特許権の消滅)、第九十七条第一項放棄)並びに第九十八条第一項第一号 及び第二項登録の効果)の規定は、意匠権に準用する。