二十歳に達した者は、養子をすることができる。
民法
第二節 養子
⤏ 第一款 縁組の要件
尊属 又は年長者は、これを養子とすることができない。
後見人が被後見人(未成年被後見人 及び成年被後見人をいう。以下同じ。)を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
後見人の任務が終了した後、まだ その管理の計算が終わらない間も、同様とする。
配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者とともにしなければならない。
ただし、配偶者の嫡出である子を養子とする場合 又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。
配偶者のある者が縁組をするには、その配偶者の同意を得なければならない。
ただし、配偶者とともに縁組をする場合 又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。
養子となる者が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる。
法定代理人が前項の承諾をするには、養子となる者の父母でその監護をすべき者であるものが他にあるときは、その同意を得なければならない。
養子となる者の父母で親権を停止されているものがあるときも、同様とする。
未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
ただし、自己 又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、この限りでない。
第七百三十八条 及び第七百三十九条の規定は、縁組について準用する。
縁組の届出は、その縁組が第七百九十二条から前条までの規定 その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。
外国に在る日本人間で縁組をしようとするときは、その国に駐在する日本の大使、公使 又は領事にその届出をすることができる。
この場合においては、第七百九十九条において準用する第七百三十九条の規定 及び前条の規定を準用する。
⤏ 第二款 縁組の無効及び取消し
縁組は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
人違い その他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないとき。
当事者が縁組の届出をしないとき。
ただし、その届出が第七百九十九条において準用する第七百三十九条第二項に定める方式を欠くだけであるときは、縁組は、そのためにその効力を妨げられない。
縁組は、次条から第八百八条までの規定によらなければ、取り消すことができない。
第七百九十二条の規定に違反した縁組は、養親 又はその法定代理人から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。
ただし、養親が、二十歳に達した後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。
第七百九十三条の規定に違反した縁組は、各当事者 又はその親族から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。
第七百九十四条の規定に違反した縁組は、養子 又はその実方の親族から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。
ただし、管理の計算が終わった後、養子が追認をし、又は六箇月を経過したときは、この限りでない。
前項ただし書の追認は、養子が、成年に達し、又は行為能力を回復した後にしなければ、その効力を生じない。
養子が、成年に達せず、又は行為能力を回復しない間に、管理の計算が終わった場合には、第一項ただし書の期間は、養子が、成年に達し、又は行為能力を回復した時から起算する。
第七百九十六条の規定に違反した縁組は、縁組の同意をしていない者から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。
ただし、その者が、縁組を知った後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。
詐欺 又は強迫によって第七百九十六条の同意をした者は、その縁組の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
ただし、その者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。
第七百九十七条第二項の規定に違反した縁組は、縁組の同意をしていない者から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。
ただし、その者が追認をしたとき、又は養子が十五歳に達した後六箇月を経過し、若しくは追認をしたときは、この限りでない。
前条第二項の規定は、詐欺 又は強迫によって第七百九十七条第二項の同意をした者について準用する。
第七百九十八条の規定に違反した縁組は、養子、その実方の親族 又は養子に代わって縁組の承諾をした者から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。
ただし、養子が、成年に達した後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。
第七百四十七条 及び第七百四十八条の規定は、縁組について準用する。
この場合において、
第七百四十七条第二項中
「三箇月」とあるのは、
「六箇月」と
読み替えるものとする。
第七百六十九条 及び第八百十六条の規定は、縁組の取消しについて準用する。
⤏ 第三款 縁組の効力
養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。
養子は、養親の氏を称する。
ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。
⤏ 第四款 離縁
縁組の当事者は、その協議で、離縁をすることができる。
養子が十五歳未満であるときは、その離縁は、養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議でこれをする。
前項の場合において、養子の父母が離婚しているときは、その協議で、その一方を養子の離縁後にその親権者となるべき者と定めなければならない。
前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項の父 若しくは母 又は養親の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
第二項の法定代理人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、養子の親族 その他の利害関係人の請求によって、養子の離縁後にその未成年後見人となるべき者を選任する。
縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。
養親が夫婦である場合において未成年者と離縁をするには、夫婦が共にしなければならない。
ただし、夫婦の一方がその意思を表示することができないときは、この限りでない。
第七百三十八条、第七百三十九条 及び第七百四十七条の規定は、協議上の離縁について準用する。
この場合において、
同条第二項中
「三箇月」とあるのは、
「六箇月」と
読み替えるものとする。
離縁の届出は、その離縁が前条において準用する第七百三十九条第二項の規定 並びに第八百十一条 及び第八百十一条の二の規定 その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。
離縁の届出が前項の規定に違反して受理されたときであっても、離縁は、そのためにその効力を妨げられない。
縁組の当事者の一方は、次に掲げる場合に限り、離縁の訴えを提起することができる。
他の一方から悪意で遺棄されたとき。
他の一方の生死が三年以上明らかでないとき。
その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。
第七百七十条第二項の規定は、前項第一号 及び第二号に掲げる場合について準用する。
養子が十五歳に達しない間は、第八百十一条の規定により養親と離縁の協議をすることができる者から、又はこれに対して、離縁の訴えを提起することができる。
養子は、離縁によって縁組前の氏に復する。
ただし、配偶者とともに養子をした養親の一方のみと離縁をした場合は、この限りでない。
縁組の日から七年を経過した後に前項の規定により縁組前の氏に復した者は、離縁の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離縁の際に称していた氏を称することができる。
第七百六十九条の規定は、離縁について準用する。
⤏ 第五款 特別養子
家庭裁判所は、次条から第八百十七条の七までに定める要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組(以下この款において「特別養子縁組」という。)を成立させることができる。
前項に規定する請求をするには、第七百九十四条 又は第七百九十八条の許可を得ることを要しない。
養親となる者は、配偶者のある者でなければならない。
夫婦の一方は、他の一方が養親とならないときは、養親となることができない。
ただし、夫婦の一方が他の一方の嫡出である子(特別養子縁組以外の縁組による養子を除く。)の養親となる場合は、この限りでない。
二十五歳に達しない者は、養親となることができない。
ただし、養親となる夫婦の一方が二十五歳に達していない場合においても、その者が二十歳に達しているときは、この限りでない。
第八百十七条の二に規定する請求の時に十五歳に達している者は、養子となることができない。
特別養子縁組が成立するまでに十八歳に達した者についても、同様とする。
前項前段の規定は、養子となる者が十五歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている場合において、十五歳に達するまでに第八百十七条の二に規定する請求がされなかったことについてやむを得ない事由があるときは、適用しない。
養子となる者が十五歳に達している場合においては、特別養子縁組の成立には、その者の同意がなければならない。
特別養子縁組の成立には、養子となる者の父母の同意がなければならない。
ただし、父母がその意思を表示することができない場合 又は父母による虐待、悪意の遺棄 その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合は、この限りでない。
特別養子縁組は、父母による養子となる者の監護が著しく困難 又は不適当であること その他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があると認めるときに、これを成立させるものとする。
特別養子縁組を成立させるには、養親となる者が養子となる者を六箇月以上の期間監護した状況を考慮しなければならない。
前項の期間は、第八百十七条の二に規定する請求の時から起算する。
ただし、その請求前の監護の状況が明らかであるときは、この限りでない。
養子と実方の父母 及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了する。
ただし、第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方 及びその血族との親族関係については、この限りでない。
次の各号のいずれにも該当する場合において、養子の利益のため特に必要があると認めるときは、家庭裁判所は、養子、実父母 又は検察官の請求により、特別養子縁組の当事者を離縁させることができる。
養親による虐待、悪意の遺棄 その他養子の利益を著しく害する事由があること。
離縁は、前項の規定による場合のほか、これをすることができない。
養子と実父母 及びその血族との間においては、離縁の日から、特別養子縁組によって終了した親族関係と同一の親族関係を生ずる。