漁船損害等補償法

# 昭和二十七年法律第二十八号 #
略称 : 漁船損害等補償法 

第三章 漁船保険組合の漁船保険事業等

分類 法律
カテゴリ   水産業
@ 施行日 : 令和四年九月一日 ( 2022年 9月1日 )
@ 最終更新 : 令和元年法律第七十一号
最終編集日 : 2024年 10月17日 19時43分


第一節 通則

1項

保険関係は、組合員 又は組合員たる資格を有する者が保険約款で定める様式の申込書を組合に提出して申し込み、組合がこれを承諾することによつて成立する。

1項

組合は、組合員 又は組合員たる資格を有する者から保険の申込みがあつたときは、正当な理由がなければ、これに対して保険の引受けを拒むことができない

1項

組合との間に保険関係が成立した者は、当該保険関係に係る保険期間の開始日の前日までに、組合に保険料(保険約款で定めるところに従い保険料の分割支払がされる場合にあつては、保険料のうちその第一回の支払に係るもの)を支払わなければならない。

2項

前項の規定による保険料の支払をその支払期限までにしないときは、当該保険関係は、その効力を失う。

1項

組合員 又は保険の申込人は、組合に支払うべき保険料につき、相殺をもつて組合に対抗することができない

1項

組合は、組合員の請求があつたときは、保険証券を交付しなければならない。

2項

保険証券に記載すべき事項は、農林水産省令で定める。

1項

組合の保険責任が始まる前において、既に事故が生じ得ないこととなつたとき、又は生じていたときは、当該漁船保険、漁船船主責任保険、漁船乗組船主保険 又は漁船積荷保険は、無効とする。

1項

漁船保険の保険の目的たる漁船の所有者 又は使用者である組合員が、その住所 又は当該漁船の主たる根拠地を組合の区域外に移転したことにより組合員たる資格を喪失したため組合を脱退した場合において、その脱退前に、その組合員から当該組合に対し当該保険関係(当該漁船に係る漁船船主責任保険、漁船乗組船主保険 又は漁船積荷保険の保険関係が成立している場合にあつては、これらの保険関係を含む全ての保険関係)を存続させたい旨の通知があつたときは、その保険関係は、第二十七条第一項の規定にかかわらず、なお存続する。

2項

前項の規定によりなお存続するものとされる保険関係に係る漁船の所有者 又は使用者は、この章 及び第五章の規定の適用については、組合員とみなす。

1項

漁船保険、漁船船主責任保険、漁船乗組船主保険 又は漁船積荷保険の全部 又は一部が無効である場合において、保険の申込人が善意でかつ重大な過失がないときは、当該申込人は、保険料の全部 又は一部の払戻しを請求することができる。


ただし、付加保険料については、組合は、保険約款で定めるところにより、その全部 又は一部を払い戻さないことができる。

1項

組合員、被保険者 又は漁船乗組船主保険の一定の金額の支払を受けるべき者(以下「組合員等」という。)は、漁船保険の保険の目的たる漁船につき事故が発生したとき、漁船船主責任保険 若しくは漁船乗組船主保険に係る漁船の運航に伴つて事故が発生したとき、又は漁船積荷保険の保険の目的たる漁船積荷につき事故が発生したときは、保険約款で定めるところにより、遅滞なく、その旨を組合に通知しなければならない。

1項

組合員 又は被保険者は、保険約款で定めるところにより、保険に係る漁船の構造、設備、漁業の種類等(漁船積荷保険にあつては、当該漁船に積載した漁船積荷の管理方法等を含む。)につき、重大な変更を加えようとするときは、あらかじめ、組合に通知しなければならない。

2項

保険に係る漁船の危険がその構造、設備、漁業の種類等の重大な変更により著しく増加する場合 又は当該漁船に積載した漁船積荷の危険がその管理方法等の重大な変更により著しく増加する場合においては、組合は、組合員 又は被保険者に対して、その変更を制限し、その他必要な処置をすべきことを指示することができる。

1項

組合は、保険に係る漁船 又は当該漁船に積載した漁船積荷の管理方法等に関して、調査をし、又は組合員 若しくは被保険者に通常の修繕 その他必要な処置をすべきことを指示することができる。

1項

次の場合には、組合は、塡補すべき損害の額 又は支払うべき一定の金額の全部 又は一部につき、その塡補し、又は支払うべき責めを免れることができる。

一 号

事故が、法令に違反して保険に係る漁船を運航し、又は当該漁船により操業した場合に生じたとき。

二 号

保険約款で定めるところに従い保険料の分割支払がされる場合にあつては、組合員が、正当な理由がないのに、保険料(満期保険については、保険料期間(組合が満期保険の保険関係に基づき損害を塡補する責任が始まる日から起算して一年を経過するごとに、その一年の期間をいう。以下同じ。)ごとの保険料)のうちその第二回以降の支払に係るものの支払を遅滞したとき。

三 号

漁船保険、漁船船主責任保険 又は漁船積荷保険にあつては、組合員 又は被保険者が、保険に係る漁船 若しくはその運航 又は保険の目的たる漁船積荷につき、通常行うべき管理 その他損害の防止 又は軽減を怠つたとき。

四 号

組合員等が第九十六条の規定による通知を著しく遅滞したため、損害の状況の認定が困難となつたとき。

五 号

組合員 又は被保険者が第九十七条第一項の規定による通知を怠り、又は同条第二項の規定による組合の指示に従わなかつたとき。

六 号

組合員 又は被保険者が前条の規定による調査を拒み、又は指示に従わなかつたとき。

1項

組合は、組合員 若しくは被保険者の故意 若しくは重大な過失 若しくは船長 その他漁船を指揮する者の故意によつて生じた損害(漁船船主責任保険にあつては、事故)又は漁船乗組船主保険の一定の金額の支払を受けるべき者の故意によつて生じた事故については、損害を塡補し、又は一定の金額を支払う責めを負わない。

1項

組合は、保険に係る漁船が法令に違反して使用されたために法令に基づく処分として、又は当該処分によつて生じた事故については、損害を塡補し、又は一定の金額を支払う責めを負わない。

1項

組合は、農林水産省令で定めるところにより、漁船保険事業、漁船船主責任保険事業、漁船乗組船主保険事業 及び漁船積荷保険事業ごとに経理を区分し、それぞれ会計を設けて整理しなければならない。


ただし、これらの保険事業の業務の執行に要する経費 及び付加保険料 その他その経費に充てるための収入金に係る部分については、この限りでない。

1項

組合は、定款で定めるところにより、追徴金を支払わせることができる。

2項

前項の追徴金に関する制限は、農林水産省令で定める。

3項

組合に支払うべき追徴金については、相殺をもつて組合に対抗することができない。

1項

組合は、第百二条の規定による各会計ごとに、保険金の支払に不足を生ずるときは、定款で定めるところにより、支払うべき保険金の額を削減することができる。

2項

組合が前項の規定により支払うべき保険金の額を削減する場合であつても、その支払う保険金の額は、政府から支払を受けた再保険金の額を下るものであつてはならない。

1項

組合は、毎事業年度の終わりにおいて存する漁船保険等につき、農林水産省令で定めるところにより、責任準備金を積み立てなければならない。

1項

組合は、不足金の補塡に備えるため、農林水産省令で定めるところにより、毎事業年度の剰余金のうちから準備金を積み立てなければならない。

1項

組合の漁船保険事業等については、保険法平成二十年法律第五十六号)第四条、第十一条、第二十八条 並びに第三十一条第一項 及び第二項(第一号に係る部分に限る)の規定を準用する。

第二節 漁船保険

第一款 通則

1項

組合の漁船保険の保険の目的たるべき漁船は、総トン数千トン未満の漁船とする。

2項

組合と組合員との間に漁船保険の保険関係が成立している漁船については、他の組合員 又は組合員たる資格を有する者は、当該保険関係に係る保険期間の全部 又は一部をその保険期間の全部 又は一部とする当該組合の漁船保険の保険の目的とすることができない。

3項

漁具は、保険約款で定めるところにより特約がある場合に限り、その属する漁船とともに漁船保険の保険の目的とすることができる。

4項

前項の規定により漁具を漁船保険の保険の目的とする場合においては、

この法律の規定中
「漁船」とあるのは
「漁船(漁具を含む。)」と

読み替えるものとする。

1項

漁船保険の被保険者たる資格を有する者は、漁船の所有者とする。

1項

漁船保険は、組合と組合員との間に漁船保険の保険関係が成立した時において保険金額が当該漁船保険の目的たる漁船の価額を超えていたときは、その超過部分について、無効とする。


ただし、当該漁船の価額について約定した一定の価額があるときは、この限りでない。

1項

漁船保険の保険の目的たる漁船の譲受人は、組合に通知して、譲渡人が当該漁船の当該保険関係に関して有する権利義務(第百三十九条第一項 又は第百三十九条の二第一項の規定による負担金に係る権利義務を除く)を承継することができる。


ただし、組合が正当な理由により、当該通知を受けた後直ちに当該譲受人に通知してその承継を拒んだときは、この限りでない。

2項

前項の規定により保険関係に関する権利義務を承継した者(被保険者としての権利義務のみを承継した者を除く)が組合員たる資格を有しない場合には、その者は、この章 及び第五章の規定の適用については、組合員とみなす。

3項

漁船保険の保険の目的たる漁船につき、相続 その他の包括承継 又は遺贈があつた場合については、前二項の規定を準用する。

1項

漁船保険の保険の目的たる漁船の所有者 又は使用者は、組合に通知して、所有者にあつては当該漁船の使用者たる組合員が当該漁船の当該保険関係に関して有する権利義務(第百三十九条第一項 又は第百三十九条の二第一項の規定による負担金に係る権利義務を除く)を、使用者にあつては組合員が当該漁船の当該保険関係に関して有する権利義務(第百三十九条第一項 又は第百三十九条の二第一項の規定による負担金に係る権利義務 及び当該漁船の所有者たる組合員が被保険者として有する権利義務を除く)を承継することができる。


ただし、組合が、正当な理由により、当該通知を受けた後直ちに当該所有者 又は使用者に通知してその承継を拒んだときは、この限りでない。

2項

前項の規定により保険関係に関する権利義務を承継しようとする者は、農林水産省令で定める場合を除きあらかじめ、当該保険関係に関し権利義務を有する者の承諾を得なければならない。

3項

第一項の規定により保険関係に関する権利義務を承継した者については前条第二項の規定を、漁船保険の保険の目的たる漁船を使用する所有権以外の権原につき相続 その他の包括承継 又は遺贈があつた場合については同項 及び前二項の規定を、それぞれ準用する。

1項

組合員 又は被保険者は、漁船保険の保険の目的たる漁船につき、通常行うべき管理 その他損害の防止 及び軽減に努めなければならない。


このために必要 又は有益であつた費用(通常行うべき管理に要した費用を除く)は、農林水産省令で定めるところにより、組合が塡補する。

1項

組合の漁船保険については、保険法第八条、第十五条、第十八条、第十九条、第二十三条第一項(第一号に係る部分に限る)、第二十四条 及び第二十五条の規定を準用する。

第二款 普通損害保険

1項

都道府県知事が当該都道府県の区域のうち漁業協同組合の地区となつている地域を分けて指定する地域(以下「加入区」という。)ごとに、その加入区の区域内に住所を有し、かつ、指定漁船(一年を通じて六十日以上漁業に従事する総トン数百トン未満一トン以上の動力漁船であつて、当該加入区の区域内に主たる根拠地を有するもののうち政令で定めるものをいう。以下同じ。)を所有する者の総員の三分の二以上の者が、政令で定める手続により、当該加入区の区域内に住所を有する指定漁船の所有者(以下「指定漁船所有者」という。)は全てその所有する指定漁船の全部を普通損害保険に付すべきことにつき同意をした場合において、当該同意のあつたことにつき次条第三項の規定による公示があつたときは、指定漁船所有者(当該公示があつた後に指定漁船所有者となつた者を含む。)は、その所有する指定漁船の全部を、政令で定める金額を下らない額を保険金額として、普通損害保険に付さなければならない。


当該漁船についての保険期間が満了したときも、同様とする。

2項

都道府県知事は、前項の規定により加入区を指定するに当たつては、一の漁業協同組合の地区の区域の全部が一の加入区の区域の全部となるように当該指定をしなければならない。


ただし、一の漁業協同組合の地区の区域の一部が他の漁業協同組合の地区の区域の全部 又は一部となつている場合におけるその一の漁業協同組合の地区の区域、その地区の区域が著しく広い漁業協同組合の地区の区域 その他特別の事情のある地域については、漁業協同組合の地区の区域の一部を加入区として指定することができる。

3項

都道府県知事は、次に掲げる場合には、政令で定める場合を除き、当該加入区に係る部分につき、第一項の規定による指定を変更するものとする。

一 号

一の漁業協同組合の地区の区域の全部がその区域の全部となつている加入区について、当該漁業協同組合につき、合併、解散 又は地区の変更があつたことによりその加入区の区域の全部が一の漁業協同組合の地区の区域の全部でなくなつた場合

二 号

一の漁業協同組合の地区の区域の一部がその区域の全部となつている加入区について、その加入区の指定の基礎となつた事情に変更(軽微な変更を除く)があつた場合

4項

都道府県知事は、前項に規定する場合のほか、特に必要があるときは、その必要の限度において、変更を必要とする加入区に係る部分につき、第一項の規定による指定を変更することができる。

5項

第二項の規定は、前二項の規定により加入区についての指定を変更する場合に準用する。

6項

加入区についての第一項の規定による指定 及び第三項 又は第四項の規定による指定の変更は、告示をもつてしなければならない。

7項

第一項の規定により普通損害保険に付すべき漁船が、同項の規定により普通損害保険に付すべきこととなつた場合において、現に普通損害保険、満期保険 若しくは保険会社の普通海上保険に付されているとき、又はその後において満期保険に付され、若しくは当該漁船の使用者により普通損害保険に付されたときには、同項の規定の適用については、当該保険の保険金額の限度において同項の規定により普通損害保険に付されたものとみなす。

1項

前条第一項の規定による同意を求めるには、指定漁船所有者のうち二人以上が発起人とならなければならない。

2項

発起人は、前条第一項の規定による同意があつたと認めるときは、農林水産省令で定める手続により、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

3項

都道府県知事は、前項の規定による届出を受けたときは、これを審査し、前条第一項の規定による同意があつたものと認めるときは、遅滞なく、その旨を公示するとともに、発起人、関係組合 及び関係漁業協同組合に通知し、当該同意がなかつたものと認めるときは、遅滞なく、その旨を発起人に通知しなければならない。

1項

前条第三項の規定による公示があつた場合において、政令で定めるところにより当該公示に係る加入区の区域内の第百十二条第一項の規定による同意をした者を代表する者が、当該公示に係る加入区の区域の全部 又は一部をその地区の区域の全部 又は一部とする漁業協同組合に対し、当該漁業協同組合の組合員たる指定漁船所有者 又は当該指定漁船の使用者が当該指定漁船につき組合に支払うべき漁船保険の保険料を集収してその者に代わり組合に払い込む事業を行うべき旨の申出をしたときは、当該漁業協同組合は、正当な理由がある場合のほかは、その申出に係る事業を行わなければならない。

2項

前項の規定は、同項の規定による事業を行う漁業協同組合に対し、当該漁業協同組合の組合員から、その所有し、又は所有権以外の権原に基づき使用する指定漁船以外の漁船につき組合に支払うべき漁船保険の保険料を集収してその者に代わり組合に払い込むべき旨の申出があつた場合に準用する。

3項

第一項の規定による事業を行う漁業協同組合は、その組合員以外の者であつてその地区内に住所を有する者がその所有し、又は所有権以外の権原に基づき使用する漁船につき組合に支払うべき漁船保険の保険料についても、これを集収してその者に代わり組合に払い込む事業を行うことができる。

4項

組合は、前三項の規定により保険料の集収 及び払込みをした漁業協同組合に対し、その事務費として、政令で定める金額を交付しなければならない。

5項

第二項 及び第三項の規定は、漁船保険の保険金額が政令で定める金額に達しない漁船については、適用しない

1項

次の各号いずれかに該当する場合には、当該加入区においては、指定漁船を普通損害保険に付すべき義務は、消滅する。

一 号

第百十二条の二第三項の規定による公示があつた加入区(以下この条において「義務加入区」という。)について、その公示の日から起算して四年を経過したとき。

二 号

義務加入区に係る部分につき第百十二条第三項 又は第四項の規定による指定の変更があつたとき。

三 号

義務加入区の区域内の指定漁船所有者が三人未満となつた場合において、当該義務加入区を都道府県知事が公示したとき。

2項

都道府県知事は、前項第一号 又は第二号に掲げる場合において、同項の規定により指定漁船を普通損害保険に付すべき義務が消滅したときは、遅滞なく、その旨を公示するとともに、関係組合 及び関係漁業協同組合に通知しなければならない。

3項

都道府県知事は、第一項第三号の規定による公示をしたときは、遅滞なく、その旨を関係組合 及び関係漁業協同組合に通知しなければならない。

1項

第百十二条から前条までの規定の適用に関して必要な事項は、政令で定める。

1項

普通損害保険の保険料率のうち純保険料に対応する部分の率は、基本部分(特定事故以外の事故により支払われる保険金に係る部分をいう。以下同じ。)及び特定特約部分ごとに定め、当該組合の普通損害保険(満期保険の保険期間の満了前の事故により支払われる保険金に係る部分を含む。以下この条において同じ。)に係る純保険料 及び再保険金の収入と保険金 及び再保険料の支出とが長期的に均衡を保つように定めなければならない。

2項

普通損害保険の基本部分の保険料率のうち純保険料に対応する部分の率は、次に掲げる率を合計して得た率としなければならない。

一 号

農林水産大臣が定める期間における各年の普通損害保険の基本部分に係る危険率(次号に規定する異常危険率を除く)を基礎として、農林水産大臣が危険区分(漁船のトン数、漁船の主たる根拠地が属する区域 その他の事項で普通損害保険の基本部分に係る危険の程度に影響を及ぼす要因となるものに応じて、漁船につき農林水産大臣が定める危険の程度の区分をいう。同号において同じ。)ごとに定める率(第百三十九条第一項第一号において「通常純保険料率」という。

二 号

異常危険率(前号の農林水産大臣が定める期間における各年の普通損害保険の基本部分に係る台風 その他の異常な天然現象に基づき算出される危険率であつて、農林水産大臣が定める標準危険率を超えるものをいう。)を基礎として、農林水産大臣が危険区分ごとに定める率(第百三十九条第一項第二号において「異常純保険料率」という。

3項

普通損害保険の特定特約部分の保険料率のうち純保険料に対応する部分の率は、当該特定特約部分に係る危険率を基礎として農林水産大臣が定める率としなければならない。

1項

普通損害保険の保険期間は、一年とする。


ただし次条第一項ただし書の特約をする場合における当該特約に係る保険期間は、四月とする。

2項

前項の規定にかかわらず、組合は、農林水産省令で定めるところにより、保険約款で別段の定めをすることができる。

1項

組合は、普通損害保険の保険の目的たる漁船につき、事故によつて生じた損害を塡補する。


ただし、特定事故については、特約がなければ、これによつて生じた損害を塡補する責めを負わない。

2項

前項の規定により塡補すべき損害の範囲に関して必要な事項は、農林水産省令で定める。

1項

組合員は、普通損害保険の保険の目的たる漁船につき、保険期間中組合が負担した危険が消滅したときは、政令で定めるところにより、保険料の一部の払戻しを請求することができる。

1項

組合の普通損害保険については、保険法第十条 及び第九十五条の規定を準用する。


この場合において、

同条第二項中
「保険料を請求する権利」とあるのは、
「保険料を請求する権利 及び追徴金を請求する権利」と

読み替えるものとする。

第三款 満期保険

1項

満期保険の保険の目的たるべき漁船は、保険期間の満了(以下「満期」という。)の時において、進水後農林水産省令で定める期間を経過しない漁船とする。

1項

満期保険については、保険関係が成立した日における保険の目的たる漁船の価額をもつて保険期間中における当該漁船の価額とみなす。

1項

満期保険の保険料は、満期により支払うべき保険金に係る保険料の部分(以下「積立保険料」という。)及び満期前の事故により支払うべき保険金に係る保険料(次条第一項ただし書の特約がある場合にあつては、特定特約部分の保険料を含む。)の部分(以下「損害保険料」という。)から成るものとする。

2項

満期保険の保険料率のうち損害保険料中の純保険料に対応する部分の率については、当該満期保険の各保険料期間が始まる日において適用されている普通損害保険の保険料率のうち純保険料に対応する部分の率に、保険期間に応じて農林水産大臣が定める割合を乗じて得た率とする。

3項

満期保険の保険料は、政令で定めるところにより、保険料期間ごとに支払うものとする。

1項

組合は、満期保険の保険の目的たる漁船につき、満期前における事故によつて生じた損害を塡補し、及び満期により保険金額に相当する額の保険金を支払う。


ただし、特定事故については、特約がなければ、これによつて生じた損害を塡補する責めを負わない。

2項

前項の規定により塡補すべき損害の範囲に関して必要な事項は、農林水産省令で定める。

1項

満期保険の保険期間は、政令で定める期間の範囲内において組合の保険約款で定める期間とする。

1項

組合員は、いつでも(漁船の使用者たる組合員にあつては、当該漁船の所有者に対して当該組合員が満期保険の保険関係に関して有する権利義務を承継すべき旨の申出をした場合において、当該所有者がその承継を拒んだときに限る)、満期保険を解除することができる。

2項

前項の規定による解除は、将来に向かつてのみ その効力を生ずる。

1項

組合員が、第百十三条の十一第三項の規定により保険料期間ごとに支払うべき保険料(保険約款で定めるところに従い当該保険料の分割支払がされる場合にあつては、当該保険料のうちその第一回の支払に係るもの)の支払をしないで農林水産省令で定める支払猶予期間を経過したときは、満期保険は、その効力を失う。

1項

組合員は、解除(第百七条において準用する保険法第二十八条第一項の規定による解除を除く)その他政令で定める事由により満期保険の保険関係が消滅した場合には、組合に対し、当該保険につき支払つた積立保険料(支払期限の到来した未払積立保険料を含む。次項において同じ。)のうちの純保険料の額に百分の九十から百分の百までの間で農林水産省令で定める割合を乗じて得た額に相当する金額の払戻金を請求することができる。

2項

組合員は、満期保険の保険の目的たる漁船が満期前の事故により全損した場合には、組合の保険約款で定めるところにより、組合に対し、当該保険につき支払つた積立保険料のうちの純保険料の額から、当該保険についての既経過の保険料期間の数に応じ漁船の価額の通常の低下率として農林水産省令で定める割合を保険金額に乗じて得た額を差し引いて得た額に相当する金額を超えない額の払戻金を請求することができる。


ただし第百条 又は第百一条の規定により、組合が当該事故に係る損害を塡補する責めを負わない場合については、この限りでない。

3項

第百十三条の七の規定は、満期保険の損害保険料につき準用する。

1項

満期保険の保険金、払い戻すべき保険料 及び払戻金の支払義務に係る請求権はこれらを行使することができる時から五年、保険料 及び追徴金の支払義務に係る請求権はこれらを行使することができる時から一年を経過したときは、時効によつて消滅する。

第三節 漁船船主責任保険

1項

漁船船主責任保険の被保険者たる資格を有する者は、漁船の所有者 又は使用者とする。

1項

組合は、漁船保険の申込人が併せてその申込みに係る漁船保険の保険の目的たる漁船につき漁船船主責任保険を申し込む場合 又は当該組合との間に漁船保険の保険関係が成立している者(第百十一条第一項同条第三項において準用する場合を含む。)又は第百十一条の二第一項同条第三項において準用する場合を含む。)の規定によりその者から当該保険関係に関して有する権利義務を承継した者(被保険者としての権利義務のみを承継した者を除く)を含む。)が当該漁船保険の保険の目的たる漁船につき漁船船主責任保険を申し込む場合でなければ、漁船船主責任保険の引受けをすることができない。

1項

漁船船主責任保険に係る漁船の譲受人は、併せて第百十一条第一項の規定により当該漁船を保険の目的とする漁船保険の保険関係に関する権利義務を承継する場合(被保険者としての権利義務のみを承継する場合を除く)に限り、組合に通知して、譲渡人が当該漁船に係る漁船船主責任保険の保険関係に関して有する権利義務(第百三十九条第二項 又は第百三十九条の二第一項の規定による負担金に係る権利義務を除く)を承継することができる。


ただし、その漁船船主責任保険の保険関係に関する権利義務が被保険者としての権利義務のみである場合は、この限りでない。

2項

漁船船主責任保険に係る漁船につき、相続 その他の包括承継 又は遺贈があつた場合については、前項の規定を準用する。

1項

漁船船主責任保険に係る漁船の所有者 又は使用者は、併せて第百十一条の二第一項の規定により当該漁船に係る漁船保険の保険関係に関する権利義務を承継する場合に限り、組合に通知して、所有者にあつては当該漁船の使用者たる組合員が当該漁船に係る漁船船主責任保険の保険関係に関して有する権利義務(第百三十九条第二項 又は第百三十九条の二第一項の規定による負担金に係る権利義務 及び当該漁船の使用者たる組合員が被保険者として有する権利義務を除く)を、使用者にあつては組合員が当該漁船に係る漁船船主責任保険の保険関係に関して有する権利義務(第百三十九条第二項 又は第百三十九条の二第一項の規定による負担金に係る権利義務 及び当該漁船の所有者たる組合員が被保険者として有する権利義務を除く)を承継することができる。

1項

漁船船主責任保険の保険金額は、政令で定める塡補すべき損害の区分(以下「塡補区分」という。)及び漁船船主責任保険に係る漁船の総トン数の区分に応じて農林水産大臣が定める金額を限度として、保険約款で定めるところにより、申込人が申し出た金額とする。

1項

漁船船主責任保険の保険料率のうち純保険料に対応する部分の率は、塡補区分ごと 並びに基本部分 及び特定特約部分ごとに定め、当該組合の漁船船主責任保険に係る純保険料 及び再保険金の収入と保険金 及び再保険料の支出とが長期的に均衡を保つように定めなければならない。

2項

漁船船主責任保険(第百二十八条に規定する特定塡補区分を除く。以下この項 及び次項において同じ。)の基本部分の保険料率のうち純保険料に対応する部分の率は、塡補区分ごとに、農林水産大臣が定める期間における各年の当該塡補区分に応じた漁船船主責任保険の基本部分に係る危険率を基礎として、農林水産大臣が危険区分(漁船のトン数 その他の事項で漁船船主責任保険の基本部分に係る危険の程度に影響を及ぼす要因となるものに応じて、漁船につき農林水産大臣が定める危険の程度の区分をいう。)ごとに定める率(第百三十九条第二項において「漁船船主責任保険純保険料率」という。)としなければならない。

3項

漁船船主責任保険の特定特約部分の保険料率のうち純保険料に対応する部分の率は、塡補区分ごとに、当該塡補区分に応じた漁船船主責任保険の特定特約部分に係る危険率を基礎として農林水産大臣が定める率としなければならない。

4項

漁船船主責任保険(第百二十八条に規定する特定塡補区分に限る。以下この項において同じ。)の保険料率のうち純保険料に対応する部分の率は、塡補区分ごとに、当該塡補区分に応じた漁船船主責任保険に係る危険率を基礎として定めなければならない。

1項

組合は、漁船船主責任保険に係る漁船の所有者 又は使用者が、その所有し、若しくは所有権以外の権原に基づき使用する当該漁船の運航に伴つて生じた費用で自己が負担しなければならないものを負担し、又は当該漁船の運航に伴つて生じた損害につき自己の賠償責任に基づき賠償することによる損害を塡補する。


ただし、特定事故については、特約がなければ、当該損害を塡補する責めを負わない。

2項

前項の規定により塡補すべき損害の範囲に関して必要な事項は、農林水産省令で定める。

1項

漁船船主責任保険の保険関係は、当該漁船船主責任保険に係る漁船を保険の目的とする漁船保険の保険関係が消滅したときは、消滅する。


ただし、当該漁船保険の保険関係の消滅が漁船の全損によるものであるときは、この限りでない。

2項

前項の場合には、組合は、まだ経過しない期間に対する保険料を払い戻さなければならない。

1項

組合の漁船船主責任保険については、第百十一条の三第百十三条第三項 及び第四項第百十三条の五 並びに第百十三条の七 並びに保険法第八条、第二十二条、第二十五条 及び第九十五条の規定を準用する。


この場合において、

第百十一条の三
「漁船保険の保険の目的たる漁船」とあるのは
「漁船船主責任保険に係る漁船の運航」と、

第百十三条第三項
「その組合員」とあるのは
「その組合員 及びその組合員」と、

「使用する漁船」とあるのは
「使用する漁船(第五項に規定するものを除く。)」と、

同条第四項
「前三項」とあるのは
第百二十一条において準用する前項」と、

第百十三条の五第一項ただし書中
「次条第一項ただし書」とあるのは
第百十九条第一項ただし書」と、

第百十三条の七
「普通損害保険の保険の目的たる漁船」とあるのは
「漁船船主責任保険に係る漁船の運航」と、

同法第九十五条第二項中
「保険料を請求する権利」とあるのは
「保険料を請求する権利 及び追徴金を請求する権利」と

読み替えるものとする。

第四節 漁船乗組船主保険

1項

漁船乗組船主保険の被保険者たる資格を有する者は、漁船の所有者 又は使用者であつて、その所有し、又は所有権以外の権原に基づき使用する漁船の乗組員であるものとする。

1項

組合は、漁船船主責任保険の申込人であつてその申込みに係る漁船船主責任保険に係る漁船の乗組員であるものが併せて当該漁船に係る漁船乗組船主保険を申し込む場合 又は当該組合との間に漁船船主責任保険の保険関係が成立している者(第百十六条第一項同条第二項において準用する場合を含む。)又は第百十七条の規定によりその者から当該保険関係に関して有する権利義務を承継した者を含む。)であつて当該保険に係る漁船の乗組員であるものが当該漁船に係る漁船乗組船主保険を申し込む場合でなければ、漁船乗組船主保険の引受けをすることができない。

1項

漁船乗組船主保険の保険料率のうち純保険料に対応する部分の率は、基本部分 及び特定特約部分ごとに漁船乗組船主保険に係る危険率を基礎として定め、当該組合の漁船乗組船主保険に係る純保険料の収入と保険金の支出とが長期的に均衡を保つように定めなければならない。

1項

組合は、漁船乗組船主保険に係る漁船の所有者 又は使用者であつて、その所有し、又は所有権以外の権原に基づき使用する当該漁船の乗組員であるものにつき当該漁船の運航に伴つて死亡 その他の第三条第六項の農林水産省令で定める事故が生じた場合に一定の金額を支払う。


ただし、特定事故については、特約がなければ、これにより一定の金額を支払う責めを負わない。

2項

前項の規定により支払うべき金額の基準に関して必要な事項は、農林水産省令で定める。

1項

組合の漁船乗組船主保険については、第百十三条第三項び第四項第百十三条の五第百十三条の七 並びに第百二十条第一項ただし書を除く)並びに保険法第九十五条の規定を準用する。


この場合において、

第百十三条第三項
「その組合員」とあるのは
「その組合員 及びその組合員」と、

「使用する漁船」とあるのは
「使用する漁船(第五項に規定するものを除く)」と、

同条第四項
「前三項」とあるのは
第百二十六条において準用する前項」と、

第百十三条の五第一項ただし書中
「次条第一項ただし書」とあるのは
第百二十五条第一項ただし書」と、

第百十三条の七
「普通損害保険の保険の目的たる漁船」とあるのは
「漁船乗組船主保険に係る漁船の運航」と、

第百二十条第一項
「を保険の目的とする漁船保険」とあるのは
「に係る漁船船主責任保険」と、

同法第九十五条第二項中
「保険料を請求する権利」とあるのは
「保険料を請求する権利 及び追徴金を請求する権利」と

読み替えるものとする。

第五節 漁船積荷保険

1項

漁船積荷保険の被保険者たる資格を有する者は、漁船積荷の所有者とする。

1項

漁船積荷保険の保険料率のうち純保険料に対応する部分の率は、基本部分 及び特定特約部分ごとに定め、当該組合の漁船積荷保険に係る純保険料 及び再保険金の収入と保険金 及び再保険料の支出とが長期的に均衡を保つように定めなければならない。

2項

漁船積荷保険の基本部分の保険料率のうち純保険料に対応する部分の率は、農林水産大臣が定める期間における各年の漁船積荷保険の基本部分に係る危険率を基礎として、農林水産大臣が危険区分(漁船のトン数 その他の事項で漁船積荷保険の基本部分に係る危険の程度に影響を及ぼす要因となるものに応じて、漁船積荷につき農林水産大臣が定める危険の程度の区分をいう。)ごとに定める率(第百三十九条第三項において「漁船積荷保険純保険料率」という。)としなければならない。

3項

漁船積荷保険の特定特約部分の保険料率のうち純保険料に対応する部分の率は、当該特定特約部分に係る危険率を基礎として農林水産大臣が定める率としなければならない。

1項

組合は、漁船積荷保険の保険の目的たる漁船積荷につき、事故によつて生じた損害を塡補する。


ただし、特定事故については、特約がなければ、これによつて生じた損害を塡補する責めを負わない。

2項

前項の規定により塡補すべき損害の範囲に関して必要な事項は、農林水産省令で定める。

1項

漁船積荷保険の保険関係は、当該漁船積荷保険の保険の目的たる漁船積荷を積載した漁船を保険の目的とする漁船保険の保険関係が消滅したときは、消滅する。


ただし、当該漁船保険の保険関係の当事者たる組合 及び組合員の間に当該漁船につき当該漁船保険の保険期間の終了日の翌日を保険期間の開始日とする漁船保険の保険関係が成立したときは、この限りでない。

2項

前項の場合には、第百二十条第二項の規定を準用する。

1項

組合の漁船積荷保険については、第百十一条の三第百十三条第三項 及び第四項第百十三条の五第百十三条の七第百十五条第百十六条 並びに第百十七条 並びに保険法第八条、第十五条、第二十四条、第二十五条 及び第九十五条の規定を準用する。


この場合において、

第百十一条の三
「漁船保険の保険の目的たる漁船」とあるのは
「漁船積荷保険の保険の目的たる漁船積荷」と、

第百十三条第三項
「その組合員」とあるのは
「その組合員 及びその組合員」と、

「使用する漁船」とあるのは
「使用する漁船(第五項に規定するものを除く。)に積載した漁船積荷」と、

同条第四項
「前三項」とあるのは
第百二十六条の六において準用する前項」と、

第百十三条の五第一項ただし書中
「次条第一項ただし書」とあるのは
第百二十六条の四第一項ただし書」と、

第百十三条の七
「目的たる漁船」とあるのは
「目的たる漁船積荷」と、

第百十五条
「目的たる漁船」とあるのは
「目的たる漁船に積載した漁船積荷」と、

保険法第九十五条第二項中
「保険料を請求する権利」とあるのは
「保険料を請求する権利 及び追徴金を請求する権利」と

読み替えるものとする。