生活困窮者自立支援法

平成二十五年法律第百五号
分類 法律
カテゴリ   社会福祉
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2022年 11月17日 11時32分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 都道府県等による支援の実施

  • 第三章 生活困窮者就労訓練事業の認定

  • 第四章 雑則

  • 第五章 罰則

第一章 総則

1項

この法律は、生活困窮者自立相談支援事業の実施、生活困窮者住居確保給付金の支給 その他の生活困窮者に対する自立の支援に関する措置を講ずることにより、 生活困窮者の自立の促進を図ることを目的とする。

1項

生活困窮者に対する自立の支援は、生活困窮者の尊厳の保持を図りつつ、生活困窮者の就労の状況、心身の状況、地域社会からの孤立の状況 その他の状況に応じて、包括的かつ早期に行われなければならない。

2項

生活困窮者に対する自立の支援は、地域における福祉、就労、教育、住宅 その他の生活困窮者に対する支援に関する業務を行う関係機関(以下単に「関係機関」という。)及び民間団体との緊密な連携 その他 必要な支援体制の整備に配慮して行われなければならない。

1項

この法律において「生活困窮者」とは、就労の状況、心身の状況、地域社会との関係性 その他の事情により、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者をいう。

2項

この法律において「生活困窮者自立相談支援事業」とは、次に掲げる事業をいう。

一 号

就労の支援 その他の自立に関する問題につき、生活困窮者 及び生活困窮者の家族 その他の関係者からの相談に応じ、必要な情報の提供 及び助言をし、並びに関係機関との連絡調整を行う事業

二 号

生活困窮者に対し、認定生活困窮者就労訓練事業(第十六条第三項に規定する認定生活困窮者就労訓練事業をいう。)の利用についてのあっせんを行う事業

三 号

生活困窮者に対し、生活困窮者に対する支援の種類 及び内容 その他の厚生労働省令で定める事項を記載した計画の作成 その他の生活困窮者の自立の促進を図るための支援が包括的かつ計画的に行われるための援助として厚生労働省令で定めるものを行う事業

3項

この法律において「生活困窮者住居確保給付金」とは、生活困窮者のうち離職 又はこれに準ずるものとして厚生労働省令で定める事由により経済的に困窮し、居住する住宅の所有権 若しくは使用 及び収益を目的とする権利を失い、又は現に賃借して居住する住宅の家賃を支払うことが困難となったものであって、就職を容易にするため住居を確保する必要があると認められるものに対し支給する給付金をいう。

4項

この法律において「生活困窮者就労準備支援事業」とは、雇用による就業が著しく困難な生活困窮者(当該生活困窮者 及び当該生活困窮者と同一の世帯に属する者の資産 及び収入の状況 その他の事情を勘案して厚生労働省令で定めるものに限る)に対し、厚生労働省令で定める期間にわたり、就労に必要な知識 及び能力の向上のために必要な訓練を行う事業をいう。

5項

この法律において「生活困窮者家計改善支援事業」とは、生活困窮者に対し、収入、支出 その他家計の状況を適切に把握すること 及び家計の改善の意欲を高めることを支援するとともに、生活に必要な資金の貸付けのあっせんを行う事業をいう。

6項

この法律において「生活困窮者一時生活支援事業」とは、次に掲げる事業をいう。

一 号

一定の住居を持たない生活困窮者(当該生活困窮者 及び当該生活困窮者と同一の世帯に属する者の資産 及び収入の状況 その他の事情を勘案して厚生労働省令で定めるものに限る)に対し、厚生労働省令で定める期間にわたり、宿泊場所の供与、食事の提供 その他当該宿泊場所において日常生活を営むのに必要な便宜として厚生労働省令で定める便宜を供与する事業

二 号

次に掲げる生活困窮者に対し、厚生労働省令で定める期間にわたり、訪問による必要な情報の提供 及び助言 その他の現在の住居において日常生活を営むのに必要な便宜として厚生労働省令で定める便宜を供与する事業(生活困窮者自立相談支援事業に該当するものを除く

前号に掲げる事業を利用していた生活困窮者であって、現に一定の住居を有するもの

現在の住居を失うおそれのある生活困窮者であって、地域社会から孤立しているもの

7項

この法律において「子どもの学習・生活支援事業」とは、次に掲げる事業をいう。

一 号

生活困窮者である子どもに対し、学習の援助を行う事業

二 号

生活困窮者である子ども 及び当該子どもの保護者に対し、当該子どもの生活習慣 及び育成環境の改善に関する助言を行う事業(生活困窮者自立相談支援事業に該当するものを除く

三 号

生活困窮者である子どもの進路選択 その他の教育 及び就労に関する問題につき、当該子ども 及び当該子どもの保護者からの相談に応じ、必要な情報の提供 及び助言をし、並びに関係機関との連絡調整を行う事業(生活困窮者自立相談支援事業に該当するものを除く

1項

市(特別区を含む。)及び福祉事務所(社会福祉法昭和二十六年法律第四十五号)に規定する福祉に関する事務所をいう。以下同じ。)を設置する町村(以下「市等」という。)は、この法律の実施に関し、関係機関との緊密な連携を図りつつ、適切に生活困窮者自立相談支援事業 及び生活困窮者住居確保給付金の支給を行う責務を有する。

2項

都道府県は、この法律の実施に関し、次に掲げる責務を有する。

一 号

市等が行う生活困窮者自立相談支援事業 及び生活困窮者住居確保給付金の支給、生活困窮者就労準備支援事業 及び生活困窮者家計改善支援事業 並びに生活困窮者一時生活支援事業、子どもの学習・生活支援事業 及び その他の生活困窮者の自立の促進を図るために必要な事業が適正かつ円滑に行われるよう、市等に対する必要な助言、情報の提供 その他の援助を行うこと。

二 号

関係機関との緊密な連携を図りつつ、 適切に生活困窮者自立相談支援事業 及び生活困窮者住居確保給付金の支給を行うこと。

3項

国は、都道府県 及び市等(以下「都道府県等」という。)が行う生活困窮者自立相談支援事業 及び生活困窮者住居確保給付金の支給、生活困窮者就労準備支援事業 及び生活困窮者家計改善支援事業 並びに生活困窮者一時生活支援事業、子どもの学習・生活支援事業 及び その他の生活困窮者の自立の促進を図るために必要な事業が適正かつ円滑に行われるよう、都道府県等に対する必要な助言、情報の提供 その他の援助を行わなければならない。

4項

国 及び都道府県等は、この法律の実施に関し、 生活困窮者が生活困窮者に対する自立の支援を早期に受けることができるよう、広報 その他必要な措置を講ずるように努めるものとする。

5項

都道府県等は、この法律の実施に関し、 生活困窮者に対する自立の支援を適切に行うために必要な人員を配置するように努めるものとする。

第二章 都道府県等による支援の実施

1項

都道府県等は、生活困窮者自立相談支援事業を行うものとする。

2項

都道府県等は、生活困窮者自立相談支援事業の事務の全部 又は一部を当該都道府県等以外の厚生労働省令で定める者に委託することができる。

3項

前項の規定による委託を受けた者 若しくは その役員 若しくは職員 又は これらの者であった者は、 その委託を受けた事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

1項

都道府県等は、その設置する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する生活困窮者のうち第三条第三項に規定するもの(当該生活困窮者 及び当該生活困窮者と同一の世帯に属する者の資産 及び収入の状況 その他の事情を勘案して厚生労働省令で定めるものに限る)に対し、 生活困窮者住居確保給付金を支給するものとする。

2項

前項に規定するもののほか、生活困窮者住居確保給付金の額 及び支給期間 その他 生活困窮者住居確保給付金の支給に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

1項

都道府県等は、生活困窮者自立相談支援事業 及び生活困窮者住居確保給付金の支給のほか、 生活困窮者就労準備支援事業 及び生活困窮者家計改善支援事業を行うように努めるものとする。

2項

都道府県等は、前項に規定するもののほか、次に掲げる事業を行うことができる。

一 号
生活困窮者一時生活支援事業
二 号
子どもの学習・生活支援事業
三 号

その他の生活困窮者の自立の促進を図るために必要な事業

3項

第五条第二項 及び第三項の規定は、前二項の規定により都道府県等が行う事業について準用する。

4項

都道府県等は、第一項に規定する事業 及び給付金の支給 並びに第二項各号に掲げる事業を行うに当たっては、母子及び父子並びに寡婦福祉法昭和三十九年法律第百二十九号)第三十一条の五第一項第二号に掲げる業務 及び同法第三十一条の十一第一項第二号に掲げる業務 並びに社会教育法昭和二十四年法律第二百七号第五条第一項第十三号同法第六条第一項において引用する場合を含む。)に規定する学習の機会を提供する事業 その他関連する施策との連携を図るように努めるものとする。

5項

厚生労働大臣は、生活困窮者就労準備支援事業 及び生活困窮者家計改善支援事業の適切な実施を図るために必要な指針を公表するものとする。

1項

都道府県等は、福祉、就労、教育、税務、住宅 その他のその所掌事務に関する業務の遂行に当たって、生活困窮者を把握したときは、当該生活困窮者に対し、この法律に基づく事業の利用 及び給付金の受給の勧奨 その他適切な措置を講ずるように努めるものとする。

1項

都道府県等は、関係機関、第五条第二項第七条第三項において準用する場合を含む。)の規定による委託を受けた者、生活困窮者に対する支援に関係する団体、当該支援に関係する職務に従事する者 その他の関係者(第三項 及び第四項において「関係機関等」という。)により構成される会議(以下この条において「支援会議」という。)を組織することができる。

2項

支援会議は、生活困窮者に対する自立の支援を図るために必要な情報の交換を行うとともに、 生活困窮者が地域において日常生活 及び社会生活を営むのに必要な支援体制に関する検討を行うものとする。

3項

支援会議は、前項の規定による情報の交換 及び検討を行うために必要があると認めるときは、 関係機関等に対し、生活困窮者に関する資料 又は情報の提供、意見の開陳 その他 必要な協力を求めることができる。

4項

関係機関等は、前項の規定による求めがあった場合には、これに協力するように努めるものとする。

5項

支援会議の事務に従事する者 又は従事していた者は、 正当な理由がなく、支援会議の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

6項

前各項に定めるもののほか、支援会議の組織 及び運営に関し必要な事項は、支援会議が定める。

1項

都道府県は、次に掲げる事業を行うように努めるものとする。

一 号

この法律の実施に関する事務に従事する市等の職員の資質を向上させるための研修の事業

二 号

この法律に基づく事業 又は給付金の支給を効果的かつ効率的に行うための体制の整備、 支援手法に関する市等に対する情報提供、助言 その他の事業

2項

第五条第二項の規定は、都道府県が前項の規定により事業を行う場合について準用する。

1項

福祉事務所を設置していない町村(次項第十四条 及び第十五条第三項において「福祉事務所未設置町村」という。)は、生活困窮者に対する自立の支援につき、生活困窮者 及び生活困窮者の家族 その他の関係者からの相談に応じ、必要な情報の提供 及び助言、都道府県との連絡調整、生活困窮者自立相談支援事業の利用の勧奨 その他必要な援助を行う事業を行うことができる。

2項

第五条第二項 及び第三項の規定は、福祉事務所未設置町村が前項の規定により事業を行う場合について準用する。

1項
次に掲げる費用は、市等の支弁とする。
一 号

第五条第一項の規定により市等が行う生活困窮者自立相談支援事業の実施に要する費用

二 号

第六条第一項の規定により市等が行う生活困窮者住居確保給付金の支給に要する費用

三 号

第七条第一項 及び第二項の規定により市等が行う生活困窮者就労準備支援事業 及び生活困窮者一時生活支援事業の実施に要する費用

四 号

第七条第一項 及び第二項の規定により市等が行う生活困窮者家計改善支援事業 並びに子どもの学習・生活支援事業 及び同項第三号に掲げる事業の実施に要する費用

1項

次に掲げる費用は、都道府県の支弁とする。

一 号

第五条第一項の規定により都道府県が行う生活困窮者自立相談支援事業の実施に要する費用

二 号

第六条第一項の規定により都道府県が行う生活困窮者住居確保給付金の支給に要する費用

三 号

第七条第一項 及び第二項の規定により都道府県が行う生活困窮者就労準備支援事業 及び生活困窮者一時生活支援事業の実施に要する費用

四 号

第七条第一項 及び第二項の規定により都道府県が行う生活困窮者家計改善支援事業 並びに子どもの学習・生活支援事業 及び同項第三号に掲げる事業の実施に要する費用

五 号

第十条第一項の規定により都道府県が行う事業の実施に要する費用

1項

第十一条第一項の規定により福祉事務所未設置町村が行う事業の実施に要する費用は、福祉事務所未設置町村の支弁とする。

1項

国は、政令で定めるところにより、次に掲げるものの四分の三を負担する。

一 号

第十二条の規定により市等が支弁する同条第一号に掲げる費用のうち当該市等における人口、被保護者(生活保護法昭和二十五年法律第百四十四号第六条第一項に規定する被保護者をいう。第三号において同じ。)の数 その他の事情を勘案して政令で定めるところにより算定した額

二 号

第十二条の規定により市等が支弁する費用のうち、同条第二号に掲げる費用

三 号

第十三条の規定により都道府県が支弁する同条第一号に掲げる費用のうち当該都道府県の設置する福祉事務所の所管区域内の町村における人口、被保護者の数 その他の事情を勘案して政令で定めるところにより算定した額

四 号

第十三条の規定により都道府県が支弁する費用のうち、同条第二号に掲げる費用

2項

国は、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、次に掲げるものを補助することができる。

一 号

第十二条 及び第十三条の規定により市等 及び都道府県が支弁する費用のうち、第十二条第三号 及び第十三条第三号に掲げる費用の三分の二以内

二 号

第十二条 及び第十三条の規定により市等 及び都道府県が支弁する費用のうち、第十二条第四号 並びに第十三条第四号 及び第五号に掲げる費用の二分の一以内

3項

前項に規定するもののほか、国は、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、前条の規定により福祉事務所未設置町村が支弁する費用の四分の三以内を補助することができる。

4項

生活困窮者就労準備支援事業 及び生活困窮者家計改善支援事業が効果的かつ効率的に行われている場合として政令で定める場合に該当するときは、第二項の規定の適用については、

同項第一号
掲げる費用」とあるのは
「掲げる費用 並びに第七条第一項の規定により市等 及び都道府県が行う生活困窮者家計改善支援事業の実施に要する費用」と、

同項第二号
並びに第十三条第四号 及び第五号」とあるのは
「及び第十三条第四号いずれも第七条第一項の規定により市等 及び都道府県が行う生活困窮者家計改善支援事業の実施に要する費用を除く)並びに第十三条第五号」と

する。

第三章 生活困窮者就労訓練事業の認定

1項

雇用による就業を継続して行うことが困難な生活困窮者に対し、就労の機会を提供するとともに、就労に必要な知識 及び能力の向上のために必要な訓練 その他の厚生労働省令で定める便宜を供与する事業(以下この条において「生活困窮者就労訓練事業」という。)を行う者は、 厚生労働省令で定めるところにより、当該生活困窮者就労訓練事業が生活困窮者の就労に必要な知識 及び能力の向上のための基準として厚生労働省令で定める基準に適合していることにつき、都道府県知事の認定を受けることができる。

2項

都道府県知事は、生活困窮者就労訓練事業が前項の基準に適合していると認めるときは、同項の認定をするものとする。

3項

都道府県知事は、第一項の認定に係る生活困窮者就労訓練事業(次項 及び第二十一条第二項において「認定生活困窮者就労訓練事業」という。)が第一項の基準に適合しないものとなったと 認めるときは、同項の認定を取り消すことができる。

4項

国 及び地方公共団体は、認定生活困窮者就労訓練事業を行う者の受注の機会の増大を図るように努めるものとする。

第四章 雑則

1項

国 及び地方公共団体は、生活困窮者の雇用の機会の確保を図るため、 職業訓練の実施、就職のあっせん その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。

2項

国 及び地方公共団体は、生活困窮者の雇用の機会の確保を図るため、 国の講ずる措置と地方公共団体の講ずる措置が密接な連携の下に円滑かつ効果的に実施されるように相互に連絡し、及び協力するものとする。

3項

公共職業安定所は、生活困窮者の雇用の機会の確保を図るため、求人に関する情報の収集 及び提供、生活困窮者を雇用する事業主に対する援助 その他必要な措置を講ずるように努めるものとする。

4項

公共職業安定所は、生活困窮者の雇用の機会の確保を図るため、職業安定法昭和二十二年法律第百四十一号第二十九条第一項の規定により無料の職業紹介事業を行う都道府県等が求人に関する情報の提供を希望するときは、当該都道府県等に対して、当該求人に関する情報を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法 その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。) その他厚生労働省令で定める方法により提供するものとする。

1項

偽り その他不正の手段により生活困窮者住居確保給付金の支給を受けた者があるときは、 都道府県等は、その者から、その支給を受けた生活困窮者住居確保給付金の額に相当する金額の全部 又は一部を徴収することができる。

2項

前項の規定による徴収金は、地方自治法昭和二十二年法律第六十七号第二百三十一条の三第三項に規定する法律で定める歳入とする。

1項

生活困窮者住居確保給付金の支給を受けることとなった者の当該支給を受ける権利は、 譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない

1項

租税 その他の公課は、生活困窮者住居確保給付金として支給を受けた金銭を標準として課することができない

1項

都道府県等は、生活困窮者住居確保給付金の支給に関して必要があると認めるときは、 この法律の施行に必要な限度において、当該生活困窮者住居確保給付金の支給を受けた生活困窮者 又は生活困窮者であった者に対し、報告 若しくは文書 その他の物件の提出 若しくは提示を命じ、又は当該職員に質問させることができる。

2項

都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、 認定生活困窮者就労訓練事業を行う者 又は認定生活困窮者就労訓練事業を行っていた者に対し、報告を求めることができる。

3項

第一項の規定による質問を行う場合においては、 当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

4項

第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

1項

都道府県等は、生活困窮者住居確保給付金の支給 又は生活困窮者就労準備支援事業 若しくは生活困窮者一時生活支援事業(第三条第六項第一号に掲げる事業に限る)の実施に関して必要があると認めるときは、 生活困窮者、生活困窮者の配偶者 若しくは生活困窮者の属する世帯の世帯主 その他 その世帯に属する者 又は これらの者であった者の資産 又は収入の状況につき、官公署に対し必要な文書の閲覧 若しくは資料の提供を求め、又は銀行、信託会社 その他の機関 若しくは生活困窮者の雇用主 その他の関係者に報告を求めることができる。

2項

都道府県等は、生活困窮者住居確保給付金の支給に関して必要があると認めるときは、 当該生活困窮者住居確保給付金の支給を受ける生活困窮者 若しくは当該生活困窮者に対し当該生活困窮者が居住する住宅を賃貸する者 若しくは その役員 若しくは職員 又は これらの者であった者に、当該住宅の状況につき、報告を求めることができる。

1項

都道府県等は、第七条第一項に規定する事業 及び給付金の支給 並びに同条第二項各号に掲げる事業を行うに当たって、生活保護法第六条第二項に規定する要保護者となるおそれが高い者を把握したときは、 当該者に対し、同法に基づく保護 又は給付金 若しくは事業についての情報の提供、助言 その他 適切な措置を講ずるものとする。

1項

町村が一部事務組合 又は広域連合を設けて福祉事務所を設置した場合には、 この法律の適用については、その一部事務組合 又は広域連合を福祉事務所を設置する町村とみなす。

1項

この法律中 都道府県が処理することとされている事務で政令で定めるものは、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下この条において「指定都市」という。)及び同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下この条において「中核市」という。)においては、政令の定めるところにより、指定都市 又は中核市が処理するものとする。


この場合においては、この法律中 都道府県に関する規定は、指定都市 又は中核市に関する規定として指定都市 又は中核市に適用があるものとする。

1項

この法律に特別の規定があるものを除くほか、この法律の実施のための手続 その他 その執行について必要な細則は、厚生労働省令で定める。

第五章 罰則

1項

偽り その他不正の手段により生活困窮者住居確保給付金の支給を受け、又は他人をして受けさせた者は、三年以下の懲役 又は百万円以下の罰金に処する。


ただし刑法明治四十年法律第四十五号)に正条があるときは、刑法による。

1項

第五条第三項第七条第三項 及び第十一条第二項において準用する場合を含む。)又は第九条第五項の規定に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の懲役 又は百万円以下の罰金に処する。

1項

次の各号いずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

一 号

第二十一条第一項の規定による命令に違反して、報告 若しくは物件の提出 若しくは提示をせず、若しくは虚偽の報告 若しくは虚偽の物件の提出 若しくは提示をし、 又は同項の規定による当該職員の質問に対して、答弁せず、若しくは虚偽の答弁をした者

二 号

第二十一条第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

1項

法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者が、その法人 又は人の業務に関して第二十七条 又は前条第二号の違反行為をしたときは、 行為者を罰するほか、その法人 又は人に対して各本条の罰金刑を科する。