破産法

# 平成十六年法律第七十五号 #

第三節 破産手続開始の効果

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年五月二十四日 ( 2024年 5月24日 )
@ 最終更新 : 令和六年法律第三十三号
最終編集日 : 2024年 11月23日 19時25分


第一款 通則

1項

破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。

2項

破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権は、破産財団に属する。

3項

第一項の規定にかかわらず、次に掲げる財産は、破産財団に属しない。

一 号

民事執行法昭和五十四年法律第四号第百三十一条第三号に規定する額に二分の三を乗じた額の金銭

二 号

差し押さえることができない財産(民事執行法第百三十一条第三号に規定する金銭を除く)。


ただし同法第百三十二条第一項同法第百九十二条において準用する場合を含む。)の規定により差押えが許されたもの及び破産手続開始後に差し押さえることができるようになったものは、この限りでない。

4項

裁判所は、破産手続開始の決定があった時から当該決定が確定した日以後一月を経過する日までの間、破産者の申立てにより又は職権で、決定で、破産者の生活の状況、破産手続開始の時において破産者が有していた前項各号に掲げる財産の種類 及び額、破産者が収入を得る見込み その他の事情を考慮して、破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができる。

5項

裁判所は、前項の決定をするに当たっては、破産管財人の意見を聴かなければならない。

6項

第四項の申立てを却下する決定に対しては、破産者は、即時抗告をすることができる。

7項

第四項の決定 又は前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を破産者 及び破産管財人に送達しなければならない。


この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない

1項

他の法律の規定により破産手続開始の決定によって解散した法人 又は解散した法人で破産手続開始の決定を受けたものは、破産手続による清算の目的の範囲内において、破産手続が終了するまで存続するものとみなす。

1項

破産手続開始の決定がされた後であっても、破産管財人は、裁判所の許可を得て、破産者の事業を継続することができる。

1項

破産者は、その申立てにより裁判所の許可を得なければ、その居住地を離れることができない

2項

前項の申立てを却下する決定に対しては、破産者は、即時抗告をすることができる。

1項

裁判所は、必要と認めるときは、破産者の引致を命ずることができる。

2項

破産手続開始の申立てがあったときは、裁判所は、破産手続開始の決定をする前でも、債務者の引致を命ずることができる。

3項

前二項の規定による引致は、引致状を発してしなければならない。

4項

第一項 又は第二項の規定による引致を命ずる決定に対しては、破産者 又は債務者は、即時抗告をすることができる。

5項

刑事訴訟法昭和二十三年法律第百三十一号)中勾引に関する規定は、第一項 及び第二項の規定による引致について準用する。

1項

前二条の規定は、破産者の法定代理人 及び支配人 並びに破産者の理事、取締役、執行役 及びこれらに準ずる者について準用する。

1項

次に掲げる者は、破産管財人 若しくは第百四十四条第二項に規定する債権者委員会の請求 又は債権者集会の決議に基づく請求があったときは、破産に関し必要な説明をしなければならない。


ただし第五号に掲げる者については、裁判所の許可がある場合に限る

一 号
破産者
二 号
破産者の代理人
三 号

破産者が法人である場合のその理事、取締役、執行役、監事、監査役 及び清算人

四 号

前号に掲げる者に準ずる者

五 号

破産者の従業者(第二号に掲げる者を除く

2項

前項の規定は、同項各号第一号除く)に掲げる者であった者について準用する。

1項

破産者は、破産手続開始の決定後 遅滞なく、その所有する不動産、現金、有価証券、預貯金 その他裁判所が指定する財産の内容を記載した書面を裁判所に提出しなければならない。

1項

破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行、企業担保権の実行 又は外国租税滞納処分で、破産債権 若しくは財団債権に基づくもの又は破産債権 若しくは財団債権を被担保債権とするものは、することができない

2項

前項に規定する場合には、同項に規定する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行 及び企業担保権の実行の手続 並びに外国租税滞納処分で、破産財団に属する財産に対して既にされているものは、破産財団に対してはその効力を失う。


ただし同項に規定する強制執行 又は一般の先取特権の実行(以下この条において「強制執行 又は先取特権の実行」という。)の手続については、破産管財人において破産財団のためにその手続を続行することを妨げない。

3項

前項ただし書の規定により続行された強制執行 又は先取特権の実行の手続については、民事執行法第六十三条 及び第百二十九条これらの規定を同法 その他強制執行の手続に関する法令において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない

4項

第二項ただし書の規定により続行された強制執行 又は先取特権の実行の手続に関する破産者に対する費用請求権は、財団債権とする。

5項

第二項ただし書の規定により続行された強制執行 又は先取特権の実行に対する第三者異議の訴えについては、破産管財人を被告とする。

6項

破産手続開始の決定があったときは、破産債権 又は財団債権に基づく財産開示手続(民事執行法第百九十六条に規定する財産開示手続をいう。以下 この項 並びに第二百四十九条第一項 及び第二項において同じ。) 又は第三者からの情報取得手続(同法第二百四条に規定する第三者からの情報取得手続をいう。以下 この項 並びに第二百四十九条第一項 及び第二項において同じ。)の申立てはすることができず、破産債権 又は財団債権に基づく財産開示手続 及び第三者からの情報取得手続はその効力を失う。

1項

破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する国税滞納処分(外国租税滞納処分を除く次項において同じ。)は、することができない

2項

破産財団に属する財産に対して国税滞納処分が既にされている場合には、破産手続開始の決定は、その国税滞納処分の続行を妨げない。

3項

破産手続開始の決定があったときは、破産手続が終了するまでの間は、罰金、科料 及び追徴の時効は、進行しない。


免責許可の申立てがあった後当該申立てについての裁判が確定するまでの間(破産手続開始の決定前に免責許可の申立てがあった場合にあっては、破産手続開始の決定後当該申立てについての裁判が確定するまでの間)も、同様とする。

1項

破産手続開始の決定があったときは、破産者を当事者とする破産財団に関する訴訟手続は、中断する。

2項

破産管財人は、前項の規定により中断した訴訟手続のうち破産債権に関しないものを受け継ぐことができる。


この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。

3項

前項の場合においては、相手方の破産者に対する訴訟費用請求権は、財団債権とする。

4項

破産手続が終了したときは、破産管財人を当事者とする破産財団に関する訴訟手続は、中断する。

5項

破産者は、前項の規定により中断した訴訟手続を受け継がなければならない。


この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。

6項

第一項の規定により中断した訴訟手続について第二項の規定による受継があるまでに破産手続が終了したときは、破産者は、当然訴訟手続を受継する。

1項

民法明治二十九年法律第八十九号第四百二十三条第一項第四百二十三条の七 又は第四百二十四条第一項の規定により破産債権者 又は財団債権者の提起した訴訟が破産手続開始当時係属するときは、その訴訟手続は、中断する。

2項

破産管財人は、前項の規定により中断した訴訟手続を受け継ぐことができる。


この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。

3項

前項の場合においては、相手方の破産債権者 又は財団債権者に対する訴訟費用請求権は、財団債権とする。

4項

第一項の規定により中断した訴訟手続について第二項の規定による受継があった後に破産手続が終了したときは、当該訴訟手続は、中断する。

5項

前項の場合には、破産債権者 又は財団債権者において当該訴訟手続を受け継がなければならない。


この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。

6項

第一項の規定により中断した訴訟手続について第二項の規定による受継があるまでに破産手続が終了したときは、破産債権者 又は財団債権者は、当然訴訟手続を受継する。

1項

第四十四条の規定は、破産財団に関する事件で行政庁に係属するものについて準用する。

第二款 破産手続開始の効果

1項

破産者が破産手続開始後に破産財団に属する財産に関してした法律行為は、破産手続の関係においては、その効力を主張することができない

2項

破産者が破産手続開始の日にした法律行為は、破産手続開始後にしたものと推定する。

1項

破産手続開始後に破産財団に属する財産に関して破産者の法律行為によらないで権利を取得しても、その権利の取得は、破産手続の関係においては、その効力を主張することができない

2項

前条第二項の規定は、破産手続開始の日における前項の権利の取得について準用する。

1項

不動産 又は船舶に関し破産手続開始前に生じた登記原因に基づき破産手続開始後にされた登記 又は不動産登記法平成十六年法律第百二十三号第百五条第一号の規定による仮登記は、破産手続の関係においては、その効力を主張することができない


ただし、登記権利者が破産手続開始の事実を知らないでした登記 又は仮登記については、この限りでない。

2項

前項の規定は、権利の設定、移転 若しくは変更に関する登録 若しくは仮登録 又は企業担保権の設定、移転 若しくは変更に関する登記について準用する。

1項

破産手続開始後に、その事実を知らないで破産者にした弁済は、破産手続の関係においても、その効力を主張することができる。

2項

破産手続開始後に、その事実を知って破産者にした弁済は、破産財団が受けた利益の限度においてのみ、破産手続の関係において、その効力を主張することができる。

1項

前二条の規定の適用については、第三十二条第一項の規定による公告の前においてはその事実を知らなかったものと推定し、当該公告の後においてはその事実を知っていたものと推定する。

1項

数人が共同して財産権を有する場合において、共有者の中に破産手続開始の決定を受けた者があるときは、その共有に係る財産の分割の請求は、共有者の間で分割をしない旨の定めがあるときでも、することができる。

2項

前項の場合には、他の共有者は、相当の償金を支払って破産者の持分を取得することができる。

1項

双務契約について破産者 及びその相手方が破産手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは、破産管財人は、契約の解除をし、又は破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる。

2項

前項の場合には、相手方は、破産管財人に対し、相当の期間を定め、その期間内に契約の解除をするか、又は債務の履行を請求するかを確答すべき旨を催告することができる。


この場合において、破産管財人がその期間内に確答をしないときは、契約の解除をしたものとみなす。

3項

前項の規定は、相手方 又は破産管財人が民法第六百三十一条前段の規定により解約の申入れをすることができる場合 又は同法第六百四十二条第一項前段の規定により契約の解除をすることができる場合について準用する。

1項

前条第一項 又は第二項の規定により契約の解除があった場合には、相手方は、損害の賠償について破産債権者としてその権利を行使することができる。

2項

前項に規定する場合において、相手方は、破産者の受けた反対給付が破産財団中に現存するときは、その返還を請求することができ、現存しないときは、その価額について財団債権者としてその権利を行使することができる。

1項

破産者に対して継続的給付の義務を負う双務契約の相手方は、破産手続開始の申立て前の給付に係る破産債権について弁済がないことを理由としては、破産手続開始後は、その義務の履行を拒むことができない

2項

前項の双務契約の相手方が破産手続開始の申立て後 破産手続開始前にした給付に係る請求権(一定期間ごとに債権額を算定すべき継続的給付については、申立ての日の属する期間内の給付に係る請求権を含む。)は、財団債権とする。

3項

前二項の規定は、労働契約には、適用しない

1項

第五十三条第一項 及び第二項の規定は、賃借権 その他の使用 及び収益を目的とする権利を設定する契約について破産者の相手方が当該権利につき登記、登録 その他の第三者に対抗することができる要件を備えている場合には、適用しない

2項

前項に規定する場合には、相手方の有する請求権は、財団債権とする。

1項

委任者について破産手続が開始された場合において、受任者は、民法第六百五十五条の規定による破産手続開始の通知を受けず、かつ、破産手続開始の事実を知らないで委任事務を処理したときは、これによって生じた債権について、破産債権者としてその権利を行使することができる。

1項

取引所の相場 その他の市場の相場がある商品の取引に係る契約であって、その取引の性質上特定の日時 又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができないものについて、その時期が破産手続開始後に到来すべきときは、当該契約は、解除されたものとみなす。

2項

前項の場合において、損害賠償の額は、履行地 又はその地の相場の標準となるべき地における同種の取引であって同一の時期に履行すべきものの相場と当該契約における商品の価格との差額によって定める。

3項

第五十四条第一項の規定は、前項の規定による損害の賠償について準用する。

4項

第一項 又は第二項に定める事項について当該取引所 又は市場における別段の定めがあるときは、その定めに従う。

5項

第一項の取引を継続して行うためにその当事者間で締結された基本契約において、その基本契約に基づいて行われるすべての同項の取引に係る契約につき生ずる第二項に規定する損害賠償の債権 又は債務を差引計算して決済する旨の定めをしたときは、請求することができる損害賠償の額の算定については、その定めに従う。

1項

交互計算は、当事者の一方について破産手続が開始されたときは、終了する。


この場合においては、各当事者は、計算を閉鎖して、残額の支払を請求することができる。

2項

前項の規定による請求権は、破産者が有するときは破産財団に属し、相手方が有するときは破産債権とする。

1項

為替手形の振出人 又は裏書人について破産手続が開始された場合において、支払人 又は予備支払人がその事実を知らないで引受け 又は支払をしたときは、その支払人 又は予備支払人は、これによって生じた債権につき、破産債権者としてその権利を行使することができる。

2項

前項の規定は、小切手 及び金銭 その他の物 又は有価証券の給付を目的とする有価証券について準用する。

3項

第五十一条の規定は、前二項の規定の適用について準用する。

1項

民法第七百五十八条第二項 及び第三項 並びに第七百五十九条の規定は配偶者の財産を管理する者につき破産手続が開始された場合について、同法第八百三十五条の規定は親権を行う者につき破産手続が開始された場合について準用する。

第三款 取戻権

1項

破産手続の開始は、破産者に属しない財産を破産財団から取り戻す権利(第六十四条 及び第七十八条第二項第十三号において「取戻権」という。)に影響を及ぼさない。

1項

売主が売買の目的である物品を買主に発送した場合において、買主がまだ代金の全額を弁済せず、かつ、到達地でその物品を受け取らない間に買主について破産手続開始の決定があったときは、売主は、その物品を取り戻すことができる。


ただし、破産管財人が代金の全額を支払ってその物品の引渡しを請求することを妨げない。

2項

前項の規定は、第五十三条第一項 及び第二項の規定の適用を妨げない。

3項

第一項の規定は、物品の買入れの委託を受けた問屋がその物品を委託者に発送した場合について準用する。


この場合において、

同項
代金」とあるのは、
「報酬 及び費用」と

読み替えるものとする。

1項

破産者(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)が破産手続開始前に取戻権の目的である財産を譲り渡した場合には、当該財産について取戻権を有する者は、反対給付の請求権の移転を請求することができる。


破産管財人が取戻権の目的である財産を譲り渡した場合も、同様とする。

2項

前項の場合において、破産管財人が反対給付を受けたときは、同項の取戻権を有する者は、破産管財人が反対給付として受けた財産の給付を請求することができる。

第四款 別除権

1項

別除権は、破産手続によらないで、行使することができる。

2項

担保権(特別の先取特権、質権 又は抵当権をいう。以下 この項において同じ。)の目的である財産が破産管財人による任意売却 その他の事由により破産財団に属しないこととなった場合において当該担保権がなお存続するときにおける当該担保権を有する者も、その目的である財産について別除権を有する。

1項

破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき存する商法 又は会社法の規定による留置権は、破産財団に対しては特別の先取特権とみなす。

2項

前項の特別の先取特権は、民法 その他の法律の規定による他の特別の先取特権に後れる。

3項

第一項に規定するものを除き、破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき存する留置権は、破産財団に対してはその効力を失う。

第五款 相殺権

1項

破産債権者は、破産手続開始の時において破産者に対して債務を負担するときは、破産手続によらないで、相殺をすることができる。

2項

破産債権者の有する債権が破産手続開始の時において期限付 若しくは解除条件付であるとき、又は第百三条第二項第一号に掲げるものであるときでも、破産債権者が前項の規定により相殺をすることを妨げない。


破産債権者の負担する債務が期限付 若しくは条件付であるとき、又は将来の請求権に関するものであるときも、同様とする。

1項

破産債権者が前条の規定により相殺をする場合の破産債権の額は、第百三条第二項各号に掲げる債権の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める額とする。

2項

前項の規定にかかわらず、破産債権者の有する債権が無利息債権 又は定期金債権であるときは、その破産債権者は、その債権の債権額から第九十九条第一項第二号から第四号までに掲げる部分の額を控除した額の限度においてのみ、相殺をすることができる。

1項

解除条件付債権を有する者が相殺をするときは、その相殺によって消滅する債務の額について、破産財団のために、担保を供し、又は寄託をしなければならない。

1項

停止条件付債権 又は将来の請求権を有する者は、破産者に対する債務を弁済する場合には、後に相殺をするため、その債権額の限度において弁済額の寄託を請求することができる。


敷金の返還請求権を有する者が破産者に対する賃料債務を弁済する場合も、同様とする。

1項

破産債権者は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない

一 号
破産手続開始後に破産財団に対して債務を負担したとき。
二 号

支払不能になった後に契約によって負担する債務を専ら破産債権をもってする相殺に供する目的で破産者の財産の処分を内容とする契約を破産者との間で締結し、又は破産者に対して債務を負担する者の債務を引き受けることを内容とする契約を締結することにより破産者に対して債務を負担した場合であって、当該契約の締結の当時、支払不能であったことを知っていたとき。

三 号

支払の停止があった後に破産者に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。


ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。

四 号

破産手続開始の申立てがあった後に破産者に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、破産手続開始の申立てがあったことを知っていたとき。

2項

前項第二号から第四号までの規定は、これらの規定に規定する債務の負担が次の各号に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない

一 号
法定の原因
二 号

支払不能であったこと 又は支払の停止 若しくは破産手続開始の申立てがあったことを破産債権者が知った時より前に生じた原因

三 号

破産手続開始の申立てがあった時より一年以上前に生じた原因

1項

破産者に対して債務を負担する者は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない

一 号
破産手続開始後に他人の破産債権を取得したとき。
二 号

支払不能になった後に破産債権を取得した場合であって、その取得の当時、支払不能であったことを知っていたとき。

三 号

支払の停止があった後に破産債権を取得した場合であって、その取得の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。


ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。

四 号

破産手続開始の申立てがあった後に破産債権を取得した場合であって、その取得の当時、破産手続開始の申立てがあったことを知っていたとき。

2項

前項第二号から第四号までの規定は、これらの規定に規定する破産債権の取得が次の各号に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない

一 号
法定の原因
二 号

支払不能であったこと 又は支払の停止 若しくは破産手続開始の申立てがあったことを破産者に対して債務を負担する者が知った時より前に生じた原因

三 号

破産手続開始の申立てがあった時より一年以上前に生じた原因

四 号
破産者に対して債務を負担する者と破産者との間の契約
1項

破産管財人は、第三十一条第一項第三号の期間が経過した後 又は同号の期日が終了した後は、第六十七条の規定により相殺をすることができる破産債権者に対し、一月以上の期間を定め、その期間内に当該破産債権をもって相殺をするかどうかを確答すべき旨を催告することができる。


ただし、破産債権者の負担する債務が弁済期にあるときに限る

2項

前項の規定による催告があった場合において、破産債権者が同項の規定により定めた期間内に確答をしないときは、当該破産債権者は、破産手続の関係においては、当該破産債権についての相殺の効力を主張することができない