人身保護法

昭和二十三年法律第百九十九号
分類 法律
カテゴリ   憲法
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2023年 07月30日 18時34分

· · ·
1項

この法律は、基本的人権を保障する日本国憲法の精神に従い、国民をして、現に、不当に奪われている人身の自由を、司法裁判により、迅速、且つ、容易に回復せしめることを目的とする。

· · · · ·
· · ·
1項

法律上正当な手続によらないで、身体の自由を拘束されている者は、この法律の定めるところにより、その救済を請求することができる。

○2項

何人も被拘束者のために、前項の請求をすることができる。

· · · · ·
· · ·
1項

前条の請求は、弁護士を代理人として、これをしなければならない。


但し、特別の事情がある場合には、請求者がみずからすることを妨げない。

· · · · ·
· · ·
1項

第二条の請求は、書面 又は口頭をもつて、被拘束者、拘束者 又は請求者の所在地を管轄する高等裁判所 若しくは地方裁判所に、これをすることができる。

· · · · ·
· · ·
1項

請求には、左の事項を明らかにし、且つ、疏明資料を提供しなければならない。

一 号
被拘束者の氏名
二 号
請願の趣旨
三 号
拘束の事実
四 号
知れている拘束者
五 号
知れている拘束の場所
· · · · ·
· · ·
1項

裁判所は、第二条の請求については、速かに裁判しなければならない。

· · · · ·
· · ·
1項

裁判所は、請求がその要件 又は必要な疏明を欠いているときは、決定をもつてこれを却下することができる。

· · · · ·
· · ·
1項

第二条の請求を受けた裁判所は、請求者の申立に因り 又は職権をもつて、適当と認める他の管轄裁判所に、事件を移送することができる。

· · · · ·
· · ·
1項

裁判所は、前二条の場合を除く外、審問期日における取調の準備のために、直ちに拘束者、被拘束者、請求者 及びその代理人 その他事件関係者の陳述を聴いて、拘束の事由 その他の事項について、必要な調査をすることができる。

○2項

前項の準備調査は、合議体の構成員をしてこれをさせることができる。

· · · · ·
· · ·
1項

裁判所は、必要があると認めるときは、第十六条の判決をする前に、決定をもつて、仮りに、被拘束者を拘束から免れしめるために、何時でも呼出しに応じて出頭することを誓約させ 又は適当と認める条件を附して、被拘束者を釈放し、その他適当な処分をすることができる。

○2項

前項の被拘束者が呼出に応じて出頭しないときは、勾引することができる。

· · · · ·
· · ·
1項

準備調査の結果、請求の理由のないことが明白なときは、裁判所は審問手続を経ずに、決定をもつて請求を棄却する。

○2項

前項の決定をなす場合には、裁判所は、さきになした前条の処分を取消し、且つ、被拘束者に出頭を命じ、これを拘束者に引渡す。

· · · · ·
· · ·
1項

第七条 又は前条第一項の場合を除く外、裁判所は一定の日時 及び場所を指定し、審問のために請求者 又はその代理人、被拘束者 及び拘束者を召喚する。

○2項

拘束者に対しては、被拘束者を前項指定の日時、場所に出頭させることを命ずると共に、前項の審問期日までに拘束の日時、場所 及びその事由について、答弁書を提出することを命ずる。

○3項

前項の命令書には、拘束者が命令に従わないときは、勾引し 又は命令に従うまで勾留することがある旨 及び遅延一日について、五百円以下の過料に処することがある旨を附記する。

○4項

命令書の送達と審問期日との間には、三日の期間をおかなければならない。


審問期日は、第二条の請求のあつた日から一週間以内に、これを開かなければならない。


但し、特別の事情があるときは、期間は各々これを短縮 又は伸長することができる。

· · · · ·
· · ·
1項

前条の命令は、拘束に関する令状を発した裁判所 及び検察官に、これを通告しなければならない。

○2項

前項の裁判所の裁判官 及び検察官は、審問期日に立会うことができる。

· · · · ·
· · ·
1項

審問期日における取調は、被拘束者、拘束者、請求者 及びその代理人の出席する公開の法廷において、これを行う。

○2項

代理人のないときは、裁判所は弁護士の中から、これを選任せねばならない。

○3項

前項の代理人は、旅費、日当、宿泊料 及び報酬を請求することができる。

· · · · ·
· · ·
1項

審問期日においては、請求者の陳述 及び拘束者の答弁を聴いた上、疏明資料の取調を行う。

○2項

拘束者は、拘束の事由を疏明しなければならない。

· · · · ·
· · ·
1項

裁判所は審問の結果、請求を理由なしとするときは、判決をもつてこれを棄却し、被拘束者を拘束者に引渡す。

○2項

前項の場合においては、第十一条第二項の規定を準用する。

○3項

請求を理由ありとするときは、判決をもつて被拘束者を直ちに釈放する。

· · · · ·
· · ·
1項

第七条第十一条第一項 及び前条の裁判において、拘束者 又は請求者に対して、手続に要した費用の全部 又は一部を負担させることができる。

· · · · ·
· · ·
1項

裁判所は、拘束者が第十二条第二項の命令に従わないときは、これを勾引し 又は命令に従うまで勾留すること 並びに遅延一日について、五百円以下の割合をもつて過料に処することができる。

· · · · ·
· · ·
1項

被拘束者から弁護士を依頼する旨の申出があつたときは、拘束者は遅滞なく その旨を、被拘束者の指定する弁護士に通知しなければならない。

· · · · ·
· · ·
1項

第二条の請求を受けた裁判所 又は移送を受けた裁判所は、直ちに事件を最高裁判所に通知し、且つ事件処理の経過 並びに結果を同裁判所に報告しなければならない。

· · · · ·
· · ·
1項

下級裁判所の判決に対しては、三日内に最高裁判所に上訴することができる。

· · · · ·
· · ·
1項

最高裁判所は、特に必要があると認めるときは、下級裁判所に係属する事件が、如何なる程度にあるを問わず、これを送致せしめて、みずから処理することができる。

○2項

前項の場合において、最高裁判所は下級裁判所のなした裁判 及び処分を取消し 又は変更することができる。

· · · · ·
· · ·
1項

最高裁判所は、請求、審問、裁判 その他の事項について、必要な規則を定めることができる。

· · · · ·
· · ·
1項

他の法律によつてなされた裁判であつて、被拘束者に不利なものは、この法律に基く裁判と抵触する範囲において、その効力を失う。

· · · · ·
· · ·
1項

この法律によつて救済を受けた者は、裁判所の判決によらなければ、同一の事由によつて重ねて拘束されない。

· · · · ·
· · ·
1項

被拘束者を移動、蔵匿、隠避し その他この法律による救済を妨げる行為をした者 若しくは第十二条第二項の答弁書に、ことさら虚偽の記載をした者は、二年以下の懲役 又は五万円以下の罰金に処する。

· · · · ·
· · ·
1項

この法律は、公布の後六十日を経過した日から、これを施行する。

· · ·

@ 施行期日

1項
この法律は、刑法等一部改正法施行日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 号
第五百九条の規定 公布の日