労働者災害補償保険法

# 昭和二十二年法律第五十号 #
略称 : 労災法  労災保険法 

第三章 保険給付

分類 法律
カテゴリ   労働
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2023年 03月10日 10時06分


第一節 通則

1項

この法律による保険給付は、次に掲げる保険給付とする。

一 号

労働者の業務上の

  • 負傷、
  • 疾病、
  • 障害

又は死亡(以下「業務災害」という。)に関する保険給付

二 号

複数事業労働者(これに類する者として厚生労働省令で定めるものを含む。以下同じ。)の二以上の事業の業務を要因とする

  • 負傷、
  • 疾病、
  • 障害

又は死亡(以下「複数業務要因災害」という。)に関する保険給付(前号に掲げるものを除く。以下同じ。

三 号

労働者の通勤による

  • 負傷、
  • 疾病、
  • 障害

又は死亡(以下「通勤災害」という。)に関する保険給付

四 号
二次健康診断等給付
2項

前項第三号の通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路 及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。

一 号

住居と就業の場所との間の往復

二 号

厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動

三 号

第一号に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る

3項

労働者が、前項各号に掲げる移動の経路を逸脱し、又は同項各号に掲げる移動を中断した場合においては、当該逸脱 又は中断の間 及びその後の同項各号に掲げる移動は、第一項第三号の通勤としない。


ただし、当該逸脱 又は中断が、日常生活上必要な行為であつて厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱 又は中断の間を除き、この限りでない。

1項

給付基礎日額は、労働基準法第十二条の平均賃金に相当する額とする。


この場合において、同条第一項の平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、前条第一項第一号から第三号までに規定する負傷 若しくは死亡の原因である事故が発生した日 又は診断によつて同項第一号から第三号までに規定する疾病の発生が確定した日(以下「算定事由発生日」という。)とする。

2項

労働基準法第十二条の平均賃金に相当する額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められるときは、前項の規定にかかわらず、厚生労働省令で定めるところによつて政府が算定する額を給付基礎日額とする。

3項

前二項の規定にかかわらず、複数事業労働者の業務上の事由、複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする事由 又は複数事業労働者の通勤による負傷、疾病、障害 又は死亡により、当該複数事業労働者、その遺族 その他厚生労働省令で定める者に対して保険給付を行う場合における給付基礎日額は、前二項に定めるところにより当該複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額を基礎として、厚生労働省令で定めるところによつて政府が算定する額とする。

1項

休業補償給付、複数事業労働者休業給付 又は休業給付(以下この条において「休業補償給付等」という。)の額の算定の基礎として用いる給付基礎日額(以下この条において「休業給付基礎日額」という。)については、次に定めるところによる。

一 号

次号に規定する休業補償給付等以外の休業補償給付等については、前条の規定により給付基礎日額として算定した額を休業給付基礎日額とする。

二 号

一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び十月から十二月までの各区分による期間(以下 この条 及び第四十二条第二項において「四半期」という。)ごとの平均給与額(厚生労働省において作成する毎月勤労統計における毎月きまつて支給する給与の額を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した労働者一人当たりの給与の一箇月平均額をいう。以下 この号において同じ。)が、算定事由発生日の属する四半期この号の規定により算定した額(以下 この号において「改定日額」という。)を休業給付基礎日額とすることとされている場合にあつては、当該改定日額を休業補償給付等の額の算定の基礎として用いるべき最初の四半期の前々四半期)の平均給与額の百分の百十を超え、又は百分の九十を下るに至つた場合において、その上昇し、又は低下するに至つた四半期の翌々四半期に属する最初の日以後に支給すべき事由が生じた休業補償給付等については、その上昇し、又は低下した比率を基準として厚生労働大臣が定める率を前条の規定により給付基礎日額として算定した額(改定日額を休業給付基礎日額とすることとされている場合にあつては、当該改定日額)に乗じて得た額を休業給付基礎日額とする。

2項

休業補償給付等を支給すべき事由が生じた日が当該休業補償給付等に係る療養を開始した日から起算して一年六箇月を経過した日以後の日である場合において、次の各号に掲げる場合に該当するときは、前項の規定にかかわらず当該各号に定める額を休業給付基礎日額とする。

一 号

前項の規定により休業給付基礎日額として算定した額が、厚生労働省令で定める年齢階層(以下この条において単に「年齢階層」という。)ごとに休業給付基礎日額の最低限度額として厚生労働大臣が定める額のうち、当該休業補償給付等を受けるべき労働者の当該休業補償給付等を支給すべき事由が生じた日の属する四半期の初日(次号において「基準日」という。)における年齢の属する年齢階層に係る額に満たない場合

当該年齢階層に係る額

二 号

前項の規定により休業給付基礎日額として算定した額が、年齢階層ごとに休業給付基礎日額の最高限度額として厚生労働大臣が定める額のうち、当該休業補償給付等を受けるべき労働者の基準日における年齢の属する年齢階層に係る額を超える場合

当該年齢階層に係る額

3項

前項第一号の厚生労働大臣が定める額は、毎年、年齢階層ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、当該年齢階層に属するすべての労働者を、その受けている一月当たりの賃金の額(以下 この項において「賃金月額」という。)の高低に従い、二十の階層に区分し、その区分された階層のうち最も低い賃金月額に係る階層に属する労働者の受けている賃金月額のうち最も高いものを基礎とし、労働者の年齢階層別の就業状態 その他の事情を考慮して定めるものとする。

4項

前項の規定は、第二項第二号の厚生労働大臣が定める額について準用する。


この場合において、

前項
最も低い賃金月額に係る」とあるのは、
「最も高い賃金月額に係る階層の直近下位の」と

読み替えるものとする。

1項

年金たる保険給付の額の算定の基礎として用いる給付基礎日額(以下この条において「年金給付基礎日額」という。)については、次に定めるところによる。

一 号

算定事由発生日の属する年度(四月一日から翌年三月三十一日までをいう。以下同じ。)の翌々年度の七月以前の分として支給する年金たる保険給付については、第八条の規定により給付基礎日額として算定した額を年金給付基礎日額とする。

二 号

算定事由発生日の属する年度の翌々年度の八月以後の分として支給する年金たる保険給付については、第八条の規定により給付基礎日額として算定した額に当該年金たる保険給付を支給すべき月の属する年度の前年度(当該月が四月から七月までの月に該当する場合にあつては、前々年度)の平均給与額(厚生労働省において作成する毎月勤労統計における毎月きまつて支給する給与の額を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した労働者一人当たりの給与の平均額をいう。以下 この号 及び第十六条の六第二項において同じ。)を算定事由発生日の属する年度の平均給与額で除して得た率を基準として厚生労働大臣が定める率を乗じて得た額を年金給付基礎日額とする。

2項

前条第二項から第四項までの規定は、年金給付基礎日額について準用する。


この場合において、

同条第二項
休業補償給付等を支給すべき事由が生じた日が当該休業補償給付等に係る療養を開始した日から起算して一年六箇月を経過した日以後の日である」とあるのは
「年金たる保険給付を支給すべき事由がある」と、

前項」とあるのは
次条第一項」と、

休業給付基礎日額」とあるのは
「年金給付基礎日額」と、

同項第一号
休業補償給付等」とあるのは
「年金たる保険給付」と、

支給すべき事由が生じた日」とあるのは
「支給すべき月」と、

四半期の初日(次号」とあるのは
「年度の八月一日(当該月が四月から七月までの月に該当する場合にあつては、当該年度の前年度の八月一日。以下 この項」と、

年齢の」とあるのは
「年齢(遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金 又は遺族年金を支給すべき場合にあつては、当該支給をすべき事由に係る労働者の死亡がなかつたものとして計算した場合に得られる当該労働者の基準日における年齢。次号において同じ。)の」と、

同項第二号
休業補償給付等」とあるのは
「年金たる保険給付」と

読み替えるものとする。

1項

前条第一項の規定は、障害補償一時金 若しくは遺族補償一時金、複数事業労働者障害一時金 若しくは複数事業労働者遺族一時金 又は障害一時金 若しくは遺族一時金の額の算定の基礎として用いる給付基礎日額について準用する。


この場合において、

同項
の分として支給する」とあるのは
「に支給すべき事由が生じた」と、

支給すべき月」とあるのは
「支給すべき事由が生じた月」と

読み替えるものとする。

1項

給付基礎日額に一円未満の端数があるときは、これを一円に切り上げるものとする。

1項

年金たる保険給付の支給は、支給すべき事由が生じた月の翌月から始め、支給を受ける権利が消滅した月で終わるものとする。

2項

年金たる保険給付は、その支給を停止すべき事由が生じたときは、その事由が生じた月の翌月からその事由が消滅した月までの間は、支給しない。

3項

年金たる保険給付は、毎年二月、四月、六月、八月、十月 及び十二月の六期に、それぞれ その前月分までを支払う。


ただし、支給を受ける権利が消滅した場合におけるその期の年金たる保険給付は、支払期月でない月であつても、支払うものとする。

1項

船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となつた際 現にその船舶に乗つていた労働者 若しくは船舶に乗つていてその船舶の航行中に行方不明となつた労働者の生死が三箇月間わからない場合 又はこれらの労働者の死亡が三箇月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合には、遺族補償給付、葬祭料、遺族給付 及び葬祭給付の支給に関する規定の適用については、その船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となつた日 又は労働者が行方不明となつた日に、当該労働者は、死亡したものと推定する。


航空機が墜落し、滅失し、若しくは行方不明となつた際 現にその航空機に乗つていた労働者 若しくは航空機に乗つていてその航空機の航行中行方不明となつた労働者の生死が三箇月間わからない場合 又はこれらの労働者の死亡が三箇月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合にも、同様とする。

1項

この法律に基づく保険給付を受ける権利を有する者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだ その者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。以下同じ。)、子、父母、孫、祖父母 又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時 その者と生計を同じくしていたもの(遺族補償年金については当該遺族補償年金を受けることができる他の遺族、複数事業労働者遺族年金については当該複数事業労働者遺族年金を受けることができる他の遺族、遺族年金については当該遺族年金を受けることができる他の遺族)は、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。

2項

前項の場合において、死亡した者が死亡前にその保険給付を請求していなかつたときは、同項に規定する者は、自己の名で、その保険給付を請求することができる。

3項

未支給の保険給付を受けるべき者の順位は、第一項に規定する順序(遺族補償年金については第十六条の二第三項に、複数事業労働者遺族年金については第二十条の六第三項において準用する第十六条の二第三項に、遺族年金については第二十二条の四第三項において準用する第十六条の二第三項に規定する順序)による。

4項

未支給の保険給付を受けるべき同順位者が二人以上あるときは、その一人がした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。

1項

年金たる保険給付の支給を停止すべき事由が生じたにもかかわらず、その停止すべき期間の分として年金たる保険給付が支払われたときは、その支払われた年金たる保険給付は、その後に支払うべき年金たる保険給付の内払とみなすことができる。


年金たる保険給付を減額して改定すべき事由が生じたにもかかわらず、その事由が生じた月の翌月以後の分として減額しない額の年金たる保険給付が支払われた場合における当該年金たる保険給付の当該減額すべきであつた部分についても、同様とする。

2項

同一の業務上の事由、複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする事由 又は通勤による負傷 又は疾病(以下この条において「同一の傷病」という。)に関し、年金たる保険給付(遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金 及び遺族年金を除く。以下 この項において「乙年金」という。)を受ける権利を有する労働者が他の年金たる保険給付(遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金 及び遺族年金を除く。以下 この項において「甲年金」という。)を受ける権利を有することとなり、かつ、乙年金を受ける権利が消滅した場合において、その消滅した月の翌月以後の分として乙年金が支払われたときは、その支払われた乙年金は、甲年金の内払とみなす。


同一の傷病に関し、年金たる保険給付(遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金 及び遺族年金を除く)を受ける権利を有する労働者が休業補償給付、複数事業労働者休業給付 若しくは休業給付 又は障害補償一時金、複数事業労働者障害一時金 若しくは障害一時金を受ける権利を有することとなり、かつ、当該年金たる保険給付を受ける権利が消滅した場合において、その消滅した月の翌月以後の分として当該年金たる保険給付が支払われたときも、同様とする。

3項

同一の傷病に関し、休業補償給付、複数事業労働者休業給付 又は休業給付を受けている労働者が障害補償給付 若しくは傷病補償年金、複数事業労働者障害給付 若しくは複数事業労働者傷病年金 又は障害給付 若しくは傷病年金を受ける権利を有することとなり、かつ、休業補償給付、複数事業労働者休業給付 又は休業給付を行わないこととなつた場合において、その後も休業補償給付、複数事業労働者休業給付 又は休業給付が支払われたときは、その支払われた休業補償給付、複数事業労働者休業給付 又は休業給付は、当該障害補償給付 若しくは傷病補償年金、複数事業労働者障害給付 若しくは複数事業労働者傷病年金 又は障害給付 若しくは傷病年金の内払とみなす

1項

年金たる保険給付を受ける権利を有する者が死亡したため その支給を受ける権利が消滅したにもかかわらず、その死亡の日の属する月の翌月以後の分として当該年金たる保険給付の過誤払が行われた場合において、当該過誤払による返還金に係る債権(以下この条において「返還金債権」という。)に係る債務の弁済をすべき者に支払うべき保険給付があるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該保険給付の支払金の金額を当該過誤払による返還金債権の金額に充当することができる。

1項

労働者が、故意に負傷、疾病、障害 若しくは死亡 又はその直接の原因となつた事故を生じさせたときは、政府は、保険給付を行わない

2項

労働者が故意の犯罪行為 若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、負傷、疾病、障害 若しくは死亡 若しくはこれらの原因となつた事故を生じさせ、又は負傷、疾病 若しくは障害の程度を増進させ、若しくはその回復を妨げたときは、政府は、保険給付の全部 又は一部を行わないことができる。

1項

偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者があるときは、政府は、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部 又は一部をその者から徴収することができる。

2項

前項の場合において、事業主(徴収法第八条第一項 又は第二項の規定により元請負人が事業主とされる場合にあつては、当該元請負人。以下同じ。)が虚偽の報告 又は証明をしたためその保険給付が行なわれたものであるときは、政府は、その事業主に対し、保険給付を受けた者と連帯して前項の徴収金を納付すべきことを命ずることができる。

3項

徴収法第二十七条、第二十九条、第三十条 及び第四十一条の規定は、前二項の規定による徴収金について準用する。

1項

政府は、保険給付の原因である事故が第三者の行為によつて生じた場合において、保険給付をしたときは、その給付の価額の限度で、保険給付を受けた者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。

2項

前項の場合において、保険給付を受けるべき者が当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で保険給付をしないことができる。

1項

保険給付を受ける権利は、労働者の退職によつて変更されることはない。

2項
保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。
1項

租税 その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品を標準として課することはできない

1項

保険給付を受ける権利を有する者は、厚生労働省令で定めるところにより、政府に対して、保険給付に関し必要な厚生労働省令で定める事項を届け出、又は保険給付に関し必要な厚生労働省令で定める書類その他の物件を提出しなければならない。

第二節 業務災害に関する保険給付

1項

第七条第一項第一号の業務災害に関する保険給付は、次に掲げる保険給付とする。

一 号
療養補償給付
二 号
休業補償給付
三 号
障害補償給付
四 号
遺族補償給付
五 号
葬祭料
六 号
傷病補償年金
七 号
介護補償給付
2項

前項の保険給付(傷病補償年金 及び介護補償給付を除く)は、労働基準法第七十五条から第七十七条まで第七十九条 及び第八十条に規定する災害補償の事由 又は船員法昭和二十二年法律第百号)第八十九条第一項、第九十一条第一項、第九十二条本文、第九十三条 及び第九十四条に規定する災害補償の事由(同法第九十一条第一項にあつては、労働基準法第七十六条第一項に規定する災害補償の事由に相当する部分に限る)が生じた場合に、補償を受けるべき労働者 若しくは遺族 又は葬祭を行う者に対し、その請求に基づいて行う。

3項

傷病補償年金は、業務上負傷し、又は疾病にかかつた労働者が、当該負傷 又は疾病に係る療養の開始後一年六箇月を経過した日において次の各号いずれにも該当するとき、又は同日後次の各号いずれにも該当することとなつたときに、その状態が継続している間、当該労働者に対して支給する。

一 号

当該負傷 又は疾病が治つていないこと。

二 号

当該負傷 又は疾病による障害の程度が厚生労働省令で定める傷病等級に該当すること。

4項

介護補償給付は、障害補償年金 又は傷病補償年金を受ける権利を有する労働者が、その受ける権利を有する障害補償年金又は傷病補償年金の支給事由となる障害であつて厚生労働省令で定める程度のものにより、常時 又は随時介護を要する状態にあり、かつ、常時 又は随時介護を受けているときに、当該介護を受けている間(次に掲げる間を除く)、当該労働者に対し、その請求に基づいて行う。

一 号

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律平成十七年法律第百二十三号第五条第十一項に規定する障害者支援施設(以下「障害者支援施設」という。)に入所している間(同条第七項に規定する生活介護(以下「生活介護」という。)を受けている場合に限る

二 号

障害者支援施設(生活介護を行うものに限る)に準ずる施設として厚生労働大臣が定めるものに入所している間

三 号

病院 又は診療所に入院している間

1項

療養補償給付は、療養の給付とする。

2項

前項の療養の給付の範囲は、次の各号政府が必要と認めるものに限る)による。

一 号
診察
二 号
薬剤 又は治療材料の支給
三 号

処置、手術 その他の治療

四 号

居宅における療養上の管理及び その療養に伴う世話 その他の看護

五 号

病院 又は診療所への入院及び その療養に伴う世話 その他の看護

六 号
移送
3項

政府は、第一項の療養の給付をすることが困難な場合その他厚生労働省令で定める場合には、療養の給付に代えて療養の費用を支給することができる。

1項

休業補償給付は、労働者が業務上の負傷 又は疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第四日目から支給するものとし、その額は、一日につき給付基礎日額の百分の六十に相当する額とする。


ただし、労働者が業務上の負傷 又は疾病による療養のため所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働する日 若しくは賃金が支払われる休暇(以下 この項において「部分算定日」という。)又は複数事業労働者の部分算定日に係る休業補償給付の額は、給付基礎日額(第八条の二第二項第二号に定める額(以下 この項において「最高限度額」という。)を給付基礎日額とすることとされている場合にあつては、同号の規定の適用がないものとした場合における給付基礎日額)から部分算定日に対して支払われる賃金の額を控除して得た額(当該控除して得た額が最高限度額を超える場合にあつては、最高限度額に相当する額)の百分の六十に相当する額とする。

2項

休業補償給付を受ける労働者が同一の事由について厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)の規定による障害厚生年金又は国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)の規定による障害基礎年金を受けることができるときは、当該労働者に支給する休業補償給付の額は、前項の規定にかかわらず同項の額に別表第一第一号から第三号までに規定する場合に応じ、それぞれ同表第一号から第三号までの政令で定める率のうち傷病補償年金について定める率を乗じて得た額(その額が政令で定める額を下回る場合には、当該政令で定める額)とする。

1項

労働者が次の各号いずれかに 該当する場合(厚生労働省令で定める場合に限る)には、休業補償給付は、行わない。

一 号

刑事施設、労役場 その他 これらに準ずる施設に拘禁されている場合

二 号

少年院その他これに準ずる施設に収容されている場合

1項

障害補償給付は、厚生労働省令で定める障害等級に応じ、障害補償年金 又は障害補償一時金とする。

2項

障害補償年金 又は障害補償一時金の額は、それぞれ、別表第一 又は別表第二に規定する額とする。

1項

障害補償年金を受ける労働者の当該障害の程度に変更があつたため、新たに別表第一 又は別表第二中の他の障害等級に該当するに至つた場合には、政府は、厚生労働省令で定めるところにより、新たに該当するに至つた障害等級に応ずる障害補償年金 又は障害補償一時金を支給するものとし、その後は、従前の障害補償年金は、支給しない。

1項

遺族補償給付は、遺族補償年金 又は遺族補償一時金とする。

1項

遺族補償年金を受けることができる遺族は、労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母 及び兄弟姉妹であつて、労働者の死亡の当時 その収入によつて生計を維持していたものとする。


ただし、妻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。以下同じ。以外の者にあつては、労働者の死亡の当時次の各号に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。

一 号

夫(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。以下同じ。)、父母 又は祖父母については、六十歳以上であること。

二 号

子 又は孫については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあること。

三 号

兄弟姉妹については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあること又は六十歳以上であること。

四 号

前三号の要件に該当しない夫、子、父母、孫、祖父母 又は兄弟姉妹については、厚生労働省令で定める障害の状態にあること。

2項

労働者の死亡の当時胎児であつた子が出生したときは、前項の規定の適用については、将来に向かつて、その子は、労働者の死亡の当時その収入によつて生計を維持していた子とみなす。

3項

遺族補償年金を受けるべき遺族の順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母 及び兄弟姉妹の順序とする。

1項

遺族補償年金の額は、別表第一に規定する額とする。

2項

遺族補償年金を受ける権利を有する者が二人以上あるときは、遺族補償年金の額は、前項の規定にかかわらず別表第一に規定する額をその人数で除して得た額とする。

3項

遺族補償年金の額の算定の基礎となる遺族の数に増減を生じたときは、その増減を生じた月の翌月から、遺族補償年金の額を改定する。

4項

遺族補償年金を受ける権利を有する遺族が妻であり、かつ、当該妻と生計を同じくしている遺族補償年金を受けることができる遺族がない場合において、当該妻が次の各号の一に該当するに至つたときは、その該当するに至つた月の翌月から、遺族補償年金の額を改定する。

一 号

五十五歳に達したとき(別表第一の厚生労働省令で定める障害の状態にあるときを除く)。

二 号

別表第一の厚生労働省令で定める障害の状態になり、又はその事情がなくなつたとき(五十五歳以上であるときを除く)。

1項

遺族補償年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が次の各号の一に該当するに至つたときは、消滅する。


この場合において、同順位者がなくて後順位者があるときは、次順位者に遺族補償年金を支給する。

一 号
死亡したとき。
二 号

婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしたとき。

三 号

直系血族又は直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)と なつたとき。

四 号

離縁によつて、死亡した労働者との親族関係が終了したとき。

五 号

子、孫 又は兄弟姉妹については、十八歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了したとき(—労働者の死亡の時から引き続き第十六条の二第一項第四号の厚生労働省令で定める障害の状態にあるときを除く)。

六 号

第十六条の二第一項第四号の厚生労働省令で定める障害の状態にある夫、子、父母、孫、祖父母 又は兄弟姉妹については、その事情がなくなつたとき(夫、父母 又は祖父母については、労働者の死亡の当時六十歳以上であつたとき、子 又は孫については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるとき、兄弟姉妹については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるか 又は労働者の死亡の当時六十歳以上であつたときを除く)。

2項

遺族補償年金を受けることができる遺族が前項各号の一に該当するに至つたときは、その者は、遺族補償年金を受けることができる遺族でなくなる

1項

遺族補償年金を受ける権利を有する者の所在が一年以上明らかでない場合には、当該遺族補償年金は、同順位者があるときは同順位者の、同順位者がないときは次順位者の申請によつて、その所在が明らかでない間、その支給を停止する


この場合において、同順位者がないときは、その間、次順位者を先順位者とする。

2項

前項の規定により遺族補償年金の支給を停止された遺族は、いつでも、その支給の停止の解除を申請することができる。

3項

第十六条の三第三項の規定は、第一項の規定により遺族補償年金の支給が停止され、又は前項の規定によりその停止が解除された場合に準用する。


この場合において、

同条第三項
増減を生じた月」とあるのは、
「支給が停止され、又はその停止が解除された月」と

読み替えるものとする。

1項

遺族補償一時金は、次の場合に支給する。

一 号

労働者の死亡の当時遺族補償年金を受けることができる遺族がないとき

二 号

遺族補償年金を受ける権利を有する者の権利が消滅した場合において、他に当該遺族補償年金を受けることができる遺族がなく、かつ、当該労働者の死亡に関し支給された遺族補償年金の額の合計額が当該権利が消滅した日において前号に掲げる場合に該当することとなるものとしたときに支給されることとなる遺族補償一時金の額に満たないとき。

2項

前項第二号に規定する遺族補償年金の額の合計額を計算する場合には、同号に規定する権利が消滅した日の属する年度(当該権利が消滅した日の属する月が四月から七月までの月に該当する場合にあつては、その前年度。以下 この項において同じ。)の七月以前の分として支給された遺族補償年金の額については、その現に支給された額に当該権利が消滅した日の属する年度の前年度の平均給与額を当該遺族補償年金の支給の対象とされた月の属する年度の前年度(当該月が四月から七月までの月に該当する場合にあつては、前々年度)の平均給与額で除して得た率を基準として厚生労働大臣が定める率を乗じて得た額により算定するものとする。

1項

遺族補償一時金を受けることができる遺族は、次の各号に掲げる者とする。

一 号
配偶者
二 号

労働者の死亡の当時 その収入によつて生計を維持していた子、父母、孫 及び祖父母

三 号

前号に該当しない子、父母、孫 及び祖父母 並びに兄弟姉妹

2項

遺族補償一時金を受けるべき遺族の順位は、前項各号の順序により、同項第二号 及び第三号に掲げる者のうちにあつては、それぞれ、当該各号に掲げる順序による。

1項

遺族補償一時金の額は、別表第二に規定する額とする。

2項

第十六条の三第二項の規定は、遺族補償一時金の額について準用する。


この場合において、

同項
別表第一」とあるのは、
別表第二」と

読み替えるものとする。

1項

労働者を故意に死亡させた者は、遺族補償給付を受けることができる遺族としない

2項

労働者の死亡前に、当該労働者の死亡によつて遺族補償年金を受けることができる先順位 又は同順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者は、遺族補償年金を受けることができる遺族としない

3項

遺族補償年金を受けることができる遺族を故意に死亡させた者は、遺族補償一時金を受けることができる遺族としない。


労働者の死亡前に、当該労働者の死亡によつて遺族補償年金を受けることができる遺族となるべき者を故意に死亡させた者も、同様とする。

4項

遺族補償年金を受けることができる遺族が、遺族補償年金を受けることができる先順位 又は同順位の他の遺族を故意に死亡させたときは、その者は、遺族補償年金を受けることができる遺族でなくなる。


この場合において、その者が遺族補償年金を受ける権利を有する者であるときは、その権利は、消滅する

5項

前項後段の場合には、第十六条の四第一項後段の規定を準用する。

1項

葬祭料は、通常葬祭に要する費用を考慮して厚生労働大臣が定める金額とする。

1項

傷病補償年金は、第十二条の八第三項第二号の厚生労働省令で定める傷病等級に応じ、別表第一に規定する額とする。

2項

傷病補償年金を受ける者には、休業補償給付は、行わない。

1項

傷病補償年金を受ける労働者の当該障害の程度に変更があつたため、新たに別表第一中の他の傷病等級に該当するに至つた場合には、政府は、厚生労働省令で定めるところにより、新たに該当するに至つた傷病等級に応ずる傷病補償年金を支給するものとし、その後は、従前の傷病補償年金は、支給しない。

1項

業務上負傷し、又は疾病にかかつた労働者が、当該負傷 又は疾病に係る療養の開始後三年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合 又は同日後において傷病補償年金を受けることとなつた場合には、労働基準法第十九条第一項の規定の適用については、当該使用者は、それぞれ、当該三年を経過した日 又は傷病補償年金を受けることとなつた日において、同法第八十一条の規定により打切補償を支払つたものとみなす。

1項

介護補償給付は、月を単位として支給するものとし、その月額は、常時 又は随時介護を受ける場合に通常要する費用を考慮して厚生労働大臣が定める額とする。

1項

この節に定めるもののほか、業務災害に関する保険給付について必要な事項は、厚生労働省令で定める。

第二節の二 複数業務要因災害に関する保険給付

1項

第七条第一項第二号の複数業務要因災害に関する保険給付は、次に掲げる保険給付とする。

一 号
複数事業労働者療養給付
二 号
複数事業労働者休業給付
三 号
複数事業労働者障害給付
四 号
複数事業労働者遺族給付
五 号
複数事業労働者葬祭給付
六 号
複数事業労働者傷病年金
七 号
複数事業労働者介護給付
1項

複数事業労働者療養給付は、複数事業労働者がその従事する二以上の事業の業務を要因として負傷し、又は疾病(厚生労働省令で定めるものに限る。以下 この節において同じ。)にかかつた場合に、当該複数事業労働者に対し、その請求に基づいて行う。

2項

第十三条の規定は、複数事業労働者療養給付について準用する。

1項

複数事業労働者休業給付は、複数事業労働者がその従事する二以上の事業の業務を要因とする負傷又は疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない場合に、当該複数事業労働者に対し、その請求に基づいて行う。

2項

第十四条 及び第十四条の二の規定は、複数事業労働者休業給付について準用する。


この場合において、

第十四条第一項
労働者が業務上の」とあるのは
「複数事業労働者がその従事する二以上の事業の業務を要因とする」と、

同条第二項
別表第一第一号から第三号までに規定する場合に応じ、それぞれ同表第一号から 第三号までの政令で定める率のうち傷病補償年金について定める率」とあるのは
第二十条の八第二項において準用する別表第一第一号から第三号までに規定する場合に応じ、それぞれ同表第一号から第三号までの政令で定める率のうち複数事業労働者傷病年金について定める率」と

読み替えるものとする。

1項

複数事業労働者障害給付は、複数事業労働者がその従事する二以上の事業の業務を要因として負傷し、又は疾病にかかり、治つたとき身体に障害が存する場合に、当該複数事業労働者に対し、その請求に基づいて行う。

2項

複数事業労働者障害給付は、第十五条第一項の厚生労働省令で定める障害等級に応じ、複数事業労働者障害年金 又は複数事業労働者障害一時金とする。

3項

第十五条第二項 及び第十五条の二 並びに別表第一障害補償年金に係る部分に限る)及び別表第二障害補償一時金に係る部分に限る)の規定は、複数事業労働者障害給付について準用する。


この場合において、

これらの規定中
障害補償年金」とあるのは
「複数事業労働者障害年金」と、

障害補償一時金」とあるのは
「複数事業労働者障害一時金」と

読み替えるものとする。

1項

複数事業労働者遺族給付は、複数事業労働者がその従事する二以上の事業の業務を要因として死亡した場合に、当該複数事業労働者の遺族に対し、その請求に基づいて行う。

2項

複数事業労働者遺族給付は、複数事業労働者遺族年金 又は複数事業労働者遺族一時金とする。

3項

第十六条の二から第十六条の九まで並びに別表第一遺族補償年金に係る部分に限る)及び別表第二遺族補償一時金に係る部分に限る)の規定は、複数事業労働者遺族給付について準用する。


この場合において、

これらの規定中
遺族補償年金」とあるのは
「複数事業労働者遺族年金」と、

遺族補償一時金」とあるのは
「複数事業労働者遺族一時金」と

読み替えるものとする。

1項

複数事業労働者葬祭給付は、複数事業労働者がその従事する二以上の事業の業務を要因として死亡した場合に、葬祭を行う者に対し、その請求に基づいて行う。

2項

第十七条の規定は、複数事業労働者葬祭給付について準用する。

1項

複数事業労働者傷病年金は、複数事業労働者がその従事する二以上の事業の業務を要因として負傷し、又は疾病にかかつた場合に、当該負傷 又は疾病に係る療養の開始後一年六箇月を経過した日において次の各号いずれにも該当するとき、又は同日後次の各号いずれにも該当することとなつたときに、その状態が継続している間、当該複数事業労働者に対して支給する。

一 号

当該負傷 又は疾病が治つていないこと。

二 号

当該負傷 又は疾病による障害の程度が第十二条の八第三項第二号の厚生労働省令で定める傷病等級に該当すること。

2項

第十八条第十八条の二 及び別表第一傷病補償年金に係る部分に限る)の規定は、複数事業労働者傷病年金について準用する。


この場合において、

第十八条第二項
休業補償給付」とあるのは
「複数事業労働者休業給付」と、

同表
傷病補償年金」とあるのは
「複数事業労働者傷病年金」と

読み替えるものとする。

1項

複数事業労働者介護給付は、複数事業労働者障害年金 又は複数事業労働者傷病年金を受ける権利を有する複数事業労働者が、その受ける権利を有する複数事業労働者障害年金又は複数事業労働者傷病年金の支給事由となる障害であつて第十二条の八第四項の厚生労働省令で定める程度のものにより、常時 又は随時介護を要する状態にあり、かつ、常時 又は随時介護を受けているときに、当該介護を受けている間(次に掲げる間を除く)、当該複数事業労働者に対し、その請求に基づいて行う。

一 号

障害者支援施設に入所している間(生活介護を受けている場合に限る

二 号

第十二条の八第四項第二号の厚生労働大臣が定める施設に入所している間

三 号

病院 又は診療所に入院している間

2項

第十九条の二の規定は、複数事業労働者介護給付について準用する。

1項

この節に定めるもののほか、複数業務要因災害に関する保険給付について必要な事項は、厚生労働省令で定める。

第三節 通勤災害に関する保険給付

1項

第七条第一項第三号の通勤災害に関する保険給付は、次に掲げる保険給付とする。

一 号
療養給付
二 号
休業給付
三 号
障害給付
四 号
遺族給付
五 号
葬祭給付
六 号
傷病年金
七 号
介護給付
1項

療養給付は、労働者が通勤(第七条第一項第三号の通勤をいう。以下同じ。)により負傷し、又は疾病(厚生労働省令で定めるものに限る。以下 この節において同じ。)にかかつた場合に、当該労働者に対し、その請求に基づいて行う。

2項

第十三条の規定は、療養給付について準用する。

1項

休業給付は、労働者が通勤による負傷 又は疾病に係る療養のため労働することができないために賃金を受けない場合に、当該労働者に対し、その請求に基づいて行なう。

2項

第十四条 及び第十四条の二の規定は、休業給付について準用する。


この場合において、

第十四条第一項
業務上の」とあるのは
「通勤による」と、

同条第二項
別表第一第一号から第三号までに規定する場合に応じ、それぞれ同表第一号から第三号までの政令で定める率のうち傷病補償年金について定める率」とあるのは
第二十三条第二項において準用する別表第一第一号から第三号までに規定する場合に応じ、それぞれ同表第一号から第三号までの政令で定める率のうち傷病年金について定める率」と

読み替えるものとする。

3項

療養給付を受ける労働者(第三十一条第二項の厚生労働省令で定める者を除く)に支給する休業給付であつて最初に支給すべき事由の生じた日に係るものの額は、前項において準用する第十四条第一項の規定にかかわらず同項の額から第三十一条第二項の厚生労働省令で定める額に相当する額を減じた額とする。

1項

障害給付は、労働者が通勤により 負傷し、又は疾病にかかり、なおつたとき身体に障害が存する場合に、当該労働者に対し、その請求に基づいて行なう。

2項

障害給付は、第十五条第一項の厚生労働省令で定める障害等級に応じ、障害年金 又は障害一時金とする。

3項

第十五条第二項 及び第十五条の二 並びに別表第一障害補償年金に係る部分に限る)及び別表第二障害補償一時金に係る部分に限る)の規定は、障害給付について準用する。


この場合において、

これらの規定中
障害補償年金」とあるのは
「障害年金」と、

障害補償一時金」とあるのは
「障害一時金」と

読み替えるものとする。

1項

遺族給付は、労働者が通勤により 死亡した場合に、当該労働者の遺族に対し、その請求に基づいて行なう。

2項

遺族給付は、遺族年金 又は遺族一時金とする。

3項

第十六条の二から第十六条の九まで 並びに別表第一遺族補償年金に係る部分に限る)及び別表第二遺族補償一時金に係る部分に限る)の規定は、遺族給付について準用する。


この場合において、

これらの規定中
遺族補償年金」とあるのは
「遺族年金」と、

遺族補償一時金」とあるのは
「遺族一時金」と

読み替えるものとする。

1項

葬祭給付は、労働者が通勤により 死亡した場合に、葬祭を行なう者に対し、その請求に基づいて行なう。

2項

第十七条の規定は、葬祭給付について準用する。

1項

傷病年金は、通勤により負傷し、又は疾病にかかつた労働者が、当該負傷 又は疾病に係る療養の開始後一年六箇月を経過した日において次の各号いずれにも 該当するとき、又は同日後次の各号いずれにも 該当することとなつたときに、その状態が継続している間、当該労働者に対して支給する。

一 号

当該負傷 又は疾病が治つていないこと。

二 号

当該負傷 又は疾病による障害の程度が第十二条の八第三項第二号の厚生労働省令で定める傷病等級に該当すること。

2項

第十八条第十八条の二 及び別表第一傷病補償年金に係る部分に限る)の規定は、傷病年金について準用する。


この場合において、

第十八条第二項
休業補償給付」とあるのは
「休業給付」と、

同表
傷病補償年金」とあるのは
「傷病年金」と

読み替えるものとする。

1項

介護給付は、障害年金 又は傷病年金を受ける権利を有する労働者が、その受ける権利を有する障害年金 又は傷病年金の支給事由となる障害であつて第十二条の八第四項の厚生労働省令で定める程度のものにより、常時 又は随時 介護を要する状態にあり、かつ、常時 又は随時 介護を受けているときに、当該介護を受けている間(次に掲げる間を除く)、当該労働者に対し、その請求に基づいて行う。

一 号

障害者支援施設に入所している間(生活介護を受けている場合に限る

二 号

第十二条の八第四項第二号の厚生労働大臣が定める施設に入所している間

三 号

病院 又は診療所に入院している間

2項

第十九条の二の規定は、介護給付について準用する。

1項

この節に定めるもののほか、通勤災害に関する保険給付について必要な事項は、厚生労働省令で定める。

第四節 二次健康診断等給付

1項

二次健康診断等給付は、労働安全衛生法昭和四十七年法律第五十七号第六十六条第一項の規定による 健康診断 又は当該健康診断に係る同条第五項ただし書の規定による健康診断のうち、直近のもの(以下 この項において「一次健康診断」という。)において、血圧検査、血液検査 その他 業務上の事由による脳血管疾患 及び心臓疾患の発生にかかわる身体の状態に関する検査であつて、厚生労働省令で定めるものが行われた場合において、当該検査を受けた労働者がそのいずれの項目にも異常の所見があると診断されたときに、当該労働者(当該一次健康診断の結果 その他の事情により既に脳血管疾患 又は心臓疾患の症状を有すると認められるものを除く)に対し、その請求に基づいて行う。

2項

二次健康診断等給付の範囲は、次のとおりとする。

一 号

脳血管 及び心臓の状態を把握するために必要な検査(前項に規定する検査を除く)であつて厚生労働省令で定めるものを行う医師による健康診断(一年度につき一回限る。以下 この節において「二次健康診断」という。

二 号

二次健康診断の結果に基づき、脳血管疾患 及び心臓疾患の発生の予防を図るため、面接により行われる医師 又は保健師による保健指導(二次健康診断ごとに一回限る次項において「特定保健指導」という。

3項

政府は、二次健康診断の結果その他の事情により既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められる労働者については、当該二次健康診断に係る特定保健指導を行わないものとする。

1項

二次健康診断を受けた労働者から当該二次健康診断の実施の日から三箇月を超えない期間で厚生労働省令で定める期間内に当該二次健康診断の結果を証明する書面の提出を受けた事業者(労働安全衛生法第二条第三号に規定する事業者をいう。)に対する同法第六十六条の四の規定の適用については、

同条
健康診断の結果(当該健康診断」とあるのは、
「健康診断 及び労働者災害補償保険法第二十六条第二項第一号に規定する二次健康診断の結果(これらの健康診断」と

する。

1項

この節に定めるもののほか、二次健康診断等給付について必要な事項は、厚生労働省令で定める。