行政手続法

# 平成五年法律第八十八号 #
略称 : 行手法 

第三章 不利益処分

分類 法律
カテゴリ   行政手続
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第五十二号による改正
最終編集日 : 2024年 10月25日 18時54分


第一節 通則

1項

行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。

2項

行政庁は、処分基準を定めるに当たっては、不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。

1項

行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、次の各号の区分に従い、この章の定めるところにより、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、当該各号に定める意見陳述のための手続を執らなければならない。

一 号

次のいずれかに該当するとき

聴聞

許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき。

に規定するもののほか、名あて人の資格 又は地位を直接にはく奪する不利益処分をしようとするとき。

名あて人が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる不利益処分、名あて人の業務に従事する者の解任を命ずる不利益処分 又は名あて人の会員である者の除名を命ずる不利益処分をしようとするとき。

イからハまでに掲げる場合以外の場合であって行政庁が相当と認めるとき。

二 号

前号イからニまでいずれにも該当しないとき

弁明の機会の付与

2項

次の各号いずれかに該当するときは、前項の規定は、適用しない

一 号

公益上、緊急に不利益処分をする必要があるため、前項に規定する意見陳述のための手続を執ることができないとき。

二 号

法令上 必要とされる資格がなかったこと 又は失われるに至ったことが判明した場合に必ずすることとされている不利益処分であって、その資格の不存在 又は喪失の事実が裁判所の判決書 又は決定書、一定の職に就いたことを証する当該任命権者の書類 その他の客観的な資料により直接証明されたものをしようとするとき。

三 号

施設 若しくは設備の設置、維持 若しくは管理 又は物の製造、販売 その他の取扱いについて遵守すべき事項が法令において技術的な基準をもって明確にされている場合において、専ら当該基準が充足されていないことを理由として当該基準に従うべきことを命ずる不利益処分であってその不充足の事実が計測、実験 その他客観的な認定方法によって確認されたものをしようとするとき。

四 号

納付すべき金銭の額を確定し、一定の額の金銭の納付を命じ、又は金銭の給付決定の取消しその他の金銭の給付を制限する不利益処分をしようとするとき。

五 号

当該不利益処分の性質上、それによって課される義務の内容が著しく軽微なものであるため名あて人となるべき者の意見をあらかじめ聴くことを要しないものとして政令で定める処分をしようとするとき。

1項

行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。


ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。

2項

行政庁は、前項ただし書の場合においては、当該名あて人の所在が判明しなくなったとき その他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に、同項の理由を示さなければならない。

3項

不利益処分を書面でするときは、前二項の理由は、書面により示さなければならない。

第二節 聴聞

1項

行政庁は、聴聞を行うに当たっては、聴聞を行うべき期日までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。

一 号

予定される不利益処分の内容 及び根拠となる法令の条項

二 号

不利益処分の原因となる事実

三 号

聴聞の期日 及び場所

四 号

聴聞に関する事務を所掌する組織の名称 及び所在地

2項

前項の書面においては、次に掲げる事項を教示しなければならない。

一 号

聴聞の期日に出頭して意見を述べ、及び証拠書類 又は証拠物(以下「証拠書類等」という。)を提出し、又は聴聞の期日への出頭に代えて陳述書 及び証拠書類等を提出することができること。

二 号

聴聞が終結する時までの間、当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができること。

3項

行政庁は、不利益処分の名あて人となるべき者の所在が判明しない場合においては、第一項の規定による通知を、その者の氏名、同項第三号 及び第四号に掲げる事項 並びに当該行政庁が同項各号に掲げる事項を記載した書面をいつでもその者に交付する旨を当該行政庁の事務所の掲示場に掲示することによって行うことができる。


この場合においては、掲示を始めた日から二週間を経過したときに、当該通知がその者に到達したものとみなす。

1項

前条第一項の通知を受けた者(同条第三項後段の規定により当該通知が到達したものとみなされる者を含む。以下「当事者」という。)は、代理人を選任することができる。

2項

代理人は、各自、当事者のために、聴聞に関する一切の行為をすることができる。

3項

代理人の資格は、書面で証明しなければならない。

4項

代理人がその資格を失ったときは、当該代理人を選任した当事者は、書面でその旨を行政庁に届け出なければならない。

1項

第十九条の規定により聴聞を主宰する者(以下「主宰者」という。)は、必要があると認めるときは、当事者以外の者であって当該不利益処分の根拠となる法令に照らし当該不利益処分につき利害関係を有するものと認められる者(同条第二項第六号において「関係人」という。)に対し、当該聴聞に関する手続に参加することを求め、又は当該聴聞に関する手続に参加することを許可することができる。

2項

前項の規定により当該聴聞に関する手続に参加する者(以下「参加人」という。)は、代理人を選任することができる。

3項

前条第二項から第四項までの規定は、前項の代理人について準用する。


この場合において、

同条第二項 及び第四項
当事者」とあるのは、
「参加人」と

読み替えるものとする。

1項

当事者 及び当該不利益処分がされた場合に自己の利益を害されることとなる参加人(以下この条 及び第二十四条第三項において「当事者等」という。)は、聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間、行政庁に対し、当該事案についてした調査の結果に係る調書 その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる。


この場合において、行政庁は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない

2項

前項の規定は、当事者等が聴聞の期日における審理の進行に応じて必要となった資料の閲覧を更に求めることを妨げない。

3項

行政庁は、前二項の閲覧について日時 及び場所を指定することができる。

1項

聴聞は、行政庁が指名する職員 その他政令で定める者が主宰する。

2項

次の各号いずれかに該当する者は、聴聞を主宰することができない

一 号

当該聴聞の当事者 又は参加人

二 号

前号に規定する者の配偶者、四親等内の親族 又は同居の親族

三 号

第一号に規定する者の代理人 又は次条第三項に規定する補佐人

四 号

前三号に規定する者であった者

五 号

第一号に規定する者の後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人 又は補助監督人

六 号

参加人以外の関係人

1項

主宰者は、最初の聴聞の期日の冒頭において、行政庁の職員に、予定される不利益処分の内容 及び根拠となる法令の条項 並びにその原因となる事実を聴聞の期日に出頭した者に対し説明させなければならない。

2項

当事者 又は参加人は、聴聞の期日に出頭して、意見を述べ、及び証拠書類等を提出し、並びに主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問を発することができる。

3項

前項の場合において、当事者 又は参加人は、主宰者の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。

4項

主宰者は、聴聞の期日において必要があると認めるときは、当事者 若しくは参加人に対し質問を発し、意見の陳述 若しくは証拠書類等の提出を促し、又は行政庁の職員に対し説明を求めることができる。

5項

主宰者は、当事者 又は参加人の一部が出頭しないときであっても、聴聞の期日における審理を行うことができる。

6項

聴聞の期日における審理は、行政庁が公開することを相当と認めるときを除き、公開しない。

1項

当事者 又は参加人は、聴聞の期日への出頭に代えて、主宰者に対し、聴聞の期日までに陳述書 及び証拠書類等を提出することができる。

2項

主宰者は、聴聞の期日に出頭した者に対し、その求めに応じて、前項の陳述書 及び証拠書類等を示すことができる。

1項

主宰者は、聴聞の期日における審理の結果、なお聴聞を続行する必要があると認めるときは、さらに新たな期日を定めることができる。

2項

前項の場合においては、当事者 及び参加人に対し、あらかじめ、次回の聴聞の期日 及び場所を書面により通知しなければならない。


ただし、聴聞の期日に出頭した当事者 及び参加人に対しては、当該聴聞の期日においてこれを告知すれば足りる。

3項

第十五条第三項の規定は、前項本文の場合において、当事者 又は参加人の所在が判明しないときにおける通知の方法について準用する。


この場合において、

同条第三項
不利益処分の名あて人となるべき者」とあるのは
「当事者 又は参加人」と、

掲示を始めた日から二週間を経過したとき」とあるのは
「掲示を始めた日から二週間を経過したとき(同一の当事者 又は参加人に対する二回目以降の通知にあっては、掲示を始めた日の翌日)」と

読み替えるものとする。

1項

主宰者は、当事者の全部 若しくは一部が正当な理由なく聴聞の期日に出頭せず、かつ、第二十一条第一項に規定する陳述書 若しくは証拠書類等を提出しない場合、又は参加人の全部 若しくは一部が聴聞の期日に出頭しない場合には、これらの者に対し改めて意見を述べ、及び証拠書類等を提出する機会を与えることなく、聴聞を終結することができる。

2項

主宰者は、前項に規定する場合のほか、当事者の全部 又は一部が聴聞の期日に出頭せず、かつ、第二十一条第一項に規定する陳述書 又は証拠書類等を提出しない場合において、これらの者の聴聞の期日への出頭が相当期間引き続き見込めないときは、これらの者に対し、期限を定めて陳述書 及び証拠書類等の提出を求め、当該期限が到来したときに聴聞を終結することとすることができる。

1項

主宰者は、聴聞の審理の経過を記載した調書を作成し、当該調書において、不利益処分の原因となる事実に対する当事者 及び参加人の陳述の要旨を明らかにしておかなければならない。

2項

前項の調書は、聴聞の期日における審理が行われた場合には各期日ごとに、当該審理が行われなかった場合には聴聞の終結後 速やかに作成しなければならない。

3項

主宰者は、聴聞の終結後速やかに、不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した報告書を作成し、第一項の調書とともに行政庁に提出しなければならない。

4項

当事者 又は参加人は、第一項の調書 及び前項の報告書の閲覧を求めることができる。

1項

行政庁は、聴聞の終結後に生じた事情にかんがみ必要があると認めるときは、主宰者に対し、前条第三項の規定により提出された報告書を返戻して聴聞の再開を命ずることができる。


第二十二条第二項本文 及び第三項の規定は、この場合について準用する。

1項

行政庁は、不利益処分の決定をするときは、第二十四条第一項の調書の内容 及び同条第三項の報告書に記載された主宰者の意見を十分に参酌してこれをしなければならない。

1項

この節の規定に基づく処分 又はその不作為については、審査請求をすることができない

1項

第十三条第一項第一号ハに該当する不利益処分に係る聴聞において第十五条第一項の通知があった場合におけるこの節の規定の適用については、名あて人である法人の役員、名あて人の業務に従事する者 又は名あて人の会員である者(当該処分において解任し又は除名すべきこととされている者に限る)は、同項の通知を受けた者とみなす。

2項

前項の不利益処分のうち名あて人である法人の役員 又は名あて人の業務に従事する者(以下この項において「役員等」という。)の解任を命ずるものに係る聴聞が行われた場合においては、当該処分にその名あて人が従わないことを理由として法令の規定によりされる当該役員等を解任する不利益処分については、第十三条第一項の規定にかかわらず、行政庁は、当該役員等について聴聞を行うことを要しない。

第三節 弁明の機会の付与

1項

弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面(以下「弁明書」という。)を提出してするものとする。

2項

弁明をするときは、証拠書類等を提出することができる。

1項

行政庁は、弁明書の提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その日時)までに相当な期間をおいて、不利益処分の名あて人となるべき者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。

一 号

予定される不利益処分の内容 及び根拠となる法令の条項

二 号

不利益処分の原因となる事実

三 号

弁明書の提出先 及び提出期限(口頭による弁明の機会の付与を行う場合には、その旨 並びに出頭すべき日時 及び場所

1項

第十五条第三項 及び第十六条の規定は、弁明の機会の付与について準用する。


この場合において、

第十五条第三項
第一項」とあるのは
第三十条」と、

同項第三号 及び第四号」とあるのは
同条第三号」と、

第十六条第一項
前条第一項」とあるのは
第三十条」と、

同条第三項後段」とあるのは
第三十一条において準用する第十五条第三項後段」と

読み替えるものとする。