水路業務法

昭和二十五年法律第百二号
分類 法律
カテゴリ   海運
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2024年 05月29日 17時53分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 水路測量及び海象観測の実施等

  • 第三章 水路測量及び海象観測の成果

  • 第四章 水路に関する業務の受託

  • 第五章 削除

  • 第六章 罰則

第一章 総則

1項
この法律は、水路測量の成果 その他の海洋に関する科学的基礎資料を整備し、もつて海空交通の安全の確保に寄与するとともに、国際間における水路に関する情報の交換に資することを目的とする。
1項

この法律において「水路測量」とは、水域の測量 及びこれに伴う土地の測量 並びにその成果を航海に利用させるための地磁気の測量をいう。

2項

前項の規定は、土地の測量について測量法昭和二十四年法律第百八十八号)の適用を妨げるものと解釈してはならない。

1項

この法律において「海象観測」とは、潮汐、海潮流、波浪、海氷 及びこれらに関連する諸現象の観測をいう。

1項

この法律において「水路図誌」とは、海図、水路誌、潮汐表、灯台表、航用諸暦 及びその他の水路に関する図誌をいう。

1項

この法律において「航空図誌」とは、航空図、航空暦 及びその他の航空に関する図誌をいう。

1項

この法律において「水路測量標」とは、海上保安庁 又は第六条の規定により許可を受けた者が水路測量 又は海象観測のために設置する標識をいう。

2項
水路測量標の種類 及び形状は、国土交通省令で定める。

第二章 水路測量及び海象観測の実施等

1項

海上保安庁以外の者が、その費用の全部 又は一部を国 又は地方公共団体が負担し、又は補助する水路測量を実施しようとするときは、海上保安庁長官の許可を受けなければならない。


但し、学術上の目的をもつて行う測量、局地的な測量等について国土交通省令で定める場合は、この限りでない。

1項

海上保安庁長官は、必要があると認めるときは、前条の規定により許可を受けた者に対し、水路測量の実施方法につき勧告をすることができる。

1項

海上保安庁長官は、水路測量を実施しようとするときは、あらかじめその区域、期間 その他必要な事項を公示しなければならない。


第六条の規定による許可をしたときも同様とする。

1項

海上保安庁 又は第六条の許可を受けた者が行う水路測量は、経緯度については世界測地系に、標高 及び水深 その他の国際水路機関の決定 その他の水路測量に関する国際的な決定に基づき政令で定める事項については政令で定める測量の基準に、それぞれ従つて行わなければならない。


ただし、専ら外国政府のために行う水路測量 その他の世界測地系に従つて行うことが適当でないものとして国土交通省令で定める水路測量は、世界測地系に代えて国土交通省令で定める経緯度に関する測量の基準に従つて行うことができる。

2項

前項の「世界測地系」とは、地球を次に掲げる要件を満たす扁平な回転楕円体であると想定して行う地理学的経緯度の測定に関する測量の基準をいう。

一 号
その長半径 及び扁平率が、地理学的経緯度の測定に関する国際的な決定に基づき政令で定める値であるものであること。
二 号
その中心が、地球の重心と一致するものであること。
三 号
その短軸が、地球の自転軸と一致するものであること。
1項
海上保安庁長官は、特に必要があるときは、地方公共団体 その他港湾施設の管理者に対し、その管理する港湾施設の状況について資料 又は報告の提出を求めることができる。
1項
海上保安庁長官は、特に必要があるときは、船舶に対し、水路図誌の編修に必要な報告の提出を求めることができる。
1項
海上保安庁の職員は、水路測量 又は海象観測のため必要があるときは、国、地方公共団体 又は私人が所有し、占有し、又は占用する土地 又は水面に立ち入ることができる。
2項

前項の規定により宅地 又はかき、さく等で囲まれた水面 若しくは土地に立ち入る場合には、あらかじめその旨を所有者、占有者 又は占用者に通知しなければならない。


但し、これらの者に対してあらかじめ通知することが困難であるときは、この限りでない。

3項

海上保安庁の職員が、第一項の規定により土地 又は水面に立ち入る場合には、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。

1項
海上保安庁の職員は、水路測量を実施するためやむを得ない必要があるときは、あらかじめ所有者 又は占有者の承諾を得て、障害となる植物 又はかき、さく等を伐除することができる。
1項

海上保安庁の職員は、離島 又はこれに類する場所で水路測量を実施する場合において、あらかじめ所有者 又は占有者の承諾を得ることが困難であり、且つ、当該物件の現状を著しく損傷しないときは、前条の規定にかかわらず承諾を得ないで、障害となる植物 又はかき、さく等を伐除することができる。


この場合においては、遅滞なく、その旨を所有者 又は占有者に通知しなければならない。

1項

前三条の規定による立入 又は伐除により損失を生じたときは、国は、その所有者、占有者 又は占用者に対して、相当の価格により、その損失を補償しなければならない。

2項

前項の補償の額は、海上保安庁長官が決定する。

3項

前項の決定に不服がある者は、その決定を知つた日から六箇月以内に、訴えをもつて補償の額の増額を請求することができる。

4項

前項の訴えにおいては、国を被告とする。

1項

何人も、正当な理由がないのに、水路測量標を毀損し、移転し、その他水路測量標の効用を害する虞のある行為をしてはならない。

1項

海上保安庁 又は第六条の規定により許可を受けた者の船舶は、水路測量 又は海象観測を行う場合には、国土交通省令で定める標識を掲げなければならない。

1項

船長は、船舶を、正当な理由がないのに前条の標識を掲げる船舶に著しく接近させて航行させてはならない。

1項

港湾の修築、その他海岸線に重大な変化を生ずる工事をする者は、その旨を海上保安庁長官に通報しなければならない。

2項

都道府県知事は、漁業法昭和二十四年法律第二百六十七号第五十七条第一項の規定 若しくは同法第百十九条第一項 若しくは第二項の規定に基づく規則の規定により、国土交通大臣の指定する漁業の許可をしたとき、又は同法第六十九条 若しくは第七十六条第一項の規定により、定置漁業 若しくは国土交通大臣の指定する共同漁業の免許をしたときは、次に掲げる事項を海上保安庁長官に通報しなければならない。


通報した事項に変更があつたときも、同様とする。

一 号
許可をした漁業 又は共同漁業にあつては、漁場の区域、敷設漁具の位置 及び漁具敷設の期間のうち国土交通大臣の指定するもの
二 号
定置漁業にあつては、定置漁具の位置 及び定置の期間
1項

船長は、水中に沈没物 その他航海の障害となる虞のある物件があることを発見し、又は海上保安庁の刊行した水路図誌に記載されている事象と著しく異る事象を発見したときは、遅滞なく、その旨を海上保安庁長官に通報しなければならない。

第三章 水路測量及び海象観測の成果

1項

海上保安庁長官は、水路測量 又は海象観測を実施して成果を得たときは、これを公表しなければならない。

1項

第六条の規定により許可を受けた者が、水路測量を実施して成果を得たときは、遅滞なく、その写を海上保安庁長官に提出しなければならない。

1項

海上保安庁以外の者は、その実施する海象観測により、海上保安庁の発行した水路図誌に記載されている事象と著しく異る事象を発見したときは、遅滞なく、その旨を海上保安庁長官に通報しなければならない。

1項

海上保安庁以外の者が、海上保安庁の刊行した水路図誌 若しくは航空図誌を航海 若しくは航空の用に供するために複製し、又は当該水路図誌 若しくは航空図誌を使用して航海 若しくは航空の用に供する刊行物を発行しようとするときは、海上保安庁長官の承認を受けなければならない。

1項
海上保安庁の刊行した海図、航空図、水路誌 又は灯台表に類似の刊行物を発行しようとする者は、海上保安庁長官の許可を受けなければならない。
2項

海上保安庁長官は、前項の刊行物が海上の安全の確保に支障を及ぼすものでない限り、これを許可しなければならない。

第四章 水路に関する業務の受託

1項
海上保安庁は、その業務の遂行に支障のない限り、一般の委託により、水路測量 及び海象観測 並びにこれらに関連する図誌の作製、編修 又は印刷を行うことができる。

第六章 罰則

1項

第十六条の規定に違反した者は、一年以下の懲役 又は百万円以下の罰金に処する。

1項

次の各号いずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

一 号

第十二条第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げた者

二 号

第十八条の規定に違反した者

三 号

第二十四条 又は第二十五条第一項の規定により承認 又は許可を受けなければならない事項を承認 又は許可を受けないでした者

1項

法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者が、その法人 又は人の業務に関し、前条第三号の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人 又は人に対しても、同条の罰金刑を科する。