都道府県警察は、数都道府県の地域に関係のある重要な犯罪で長官の定めるもの(以下「広域重要犯罪」という。)を認知したとき(第二十六条の二 及び第二十六条の三に規定する場合を除く。)は、その旨を速やかに警察庁 及び管区警察局に報告しなければならない。
犯罪捜査共助規則
第三章 広域犯罪に係る捜査の連携
第一節 広域重要犯罪の捜査
広域重要犯罪を認知した場合において、その捜査を効率的に行うため必要があると認めるときは、関係都道府県警察は、緊密な連絡を取り、共同してこれを行うものとする。
前条第二項の場合において、関係都道府県警察の捜査事項の全部 又は大部分が一致すると認められるときは、関係都道府県警察の警察本部長(警視総監 又は道府県警察本部長をいう。以下同じ。)は、法第六十一条の二第一項の規定により、協定を締結し、当該協定に従つて当該広域重要犯罪の捜査に関し関係都道府県警察の一の警察官に指揮を行わせるものとする。
関係都道府県警察の警察本部長は、合同捜査(前項の一の警察官の指揮に係る広域重要犯罪の捜査をいう。以下同じ。)を行わせるため、合同捜査本部 又は合同捜査班(以下「合同捜査本部等」という。)を設置しなければならない。
合同捜査本部等の長は、合同捜査本部長 又は合同捜査班長(以下「合同捜査本部長等」という。)とし、第一項の警察官をもつて充てるものとする。
第一項の協定において定める事項は、次のとおりとする。
合同捜査に係る都道府県警察
前各号に掲げるもののほか、合同捜査を行うため必要な事項
第一項の協定には、前項に掲げるもののほか、被疑者の逮捕、事件の送致 その他の捜査上の重要事項に係る指揮は、あらかじめ、関係都道府県警察の警察本部長の承認を得て行う旨を定めなければならない。
関係都道府県警察は、合同捜査に係る事件に関する情報資料を合同捜査本部等に集め、当該合同捜査への活用を図らなければならない。
関係都道府県警察が、規範第二十二条第一項の捜査本部を設置している場合において、当該捜査本部に係る事件に関し第二十条第一項の協定が締結されたときは、当該捜査本部は解散する。
合同捜査本部に係る事件に関し捜査に関する発表を行おうとする場合における規範第二十五条の規定の適用については、
同条中
「捜査本部」とあるのは
「合同捜査本部」と、
「捜査本部長」とあるのは
「合同捜査本部長」と
する。
合同捜査本部が設置される場合における規範第三十六条第一項の規定の適用については、
同項第一号中
「捜査本部」とあるのは、
「捜査本部 又は合同捜査本部」と
する。
合同捜査本部等を設置した事件の捜査主任官は、事件を解決するに至らないで合同捜査本部等を解散する場合においては、関係都道府県警察の警察本部長が相互に協議して定めたところにより、当該事件について継続して捜査を担当すべき関係都道府県警察の捜査主任官に関係書類、証拠物等の引継ぎを確実に行うとともに、捜査の状況 その他必要な事項を明らかにし、事後の捜査に支障を来すことのないようにしなければならない。
広域重要犯罪の捜査のうち第十九条第二項の規定により共同して行うもの(合同捜査を除く。)については、関係都道府県警察は、共同捜査会議を開き、捜査方針を立て、その方針に基づいて捜査を行わなければならない。
都道府県警察は、第二十条第一項の協定を締結し若しくは廃止し、又は当該協定の内容を変更したとき(第二十六条の四第二項第三号に規定する場合を除く。)はその旨 及び当該協定の内容を、共同捜査(前条の規定により行う捜査をいう。以下同じ。)を行い、又は終了したとき(第二十六条の四第二項第四号に規定する場合を除く。)はその旨を、それぞれ警察庁 及び管区警察局に報告しなければならない。
長官は、広域重要犯罪を認知した場合において、必要があると認めるとき(第二十六条の五に規定する場合を除く。)は、関係都道府県警察に対し、合同捜査 又は共同捜査を行うべきことを指示するものとする。
長官は、合同捜査 又は共同捜査を行う関係都道府県警察のいずれかから第四条第四項の規定によりあつせんを求められた場合において、当該合同捜査 又は共同捜査を適確に行うため特に必要があると認めるとき(第二十六条の五に規定する場合を除く。)は、関係都道府県警察以外の都道府県警察に対し当該捜査について共助をするよう指示するものとする。
第二節 広域組織犯罪等の捜査
都道府県警察は、法第五条第四項第六号に規定する広域組織犯罪 その他の事案で同号イに掲げるものに該当すると認められる次に掲げる犯罪があると認めるときは、その旨を速やかに警察庁 及び管区警察局に報告しなければならない。
全国の広範な区域において発散させられるおそれのあるサリン等(サリン等による人身被害の防止に関する法律(平成七年法律第七十八号)第二条に規定するサリン等をいう。)に係る製造 その他の行為に係る犯罪
全国の広範な区域に及ぶおそれのある広域暴力団相互間の対立抗争に係る犯罪
全国の広範な区域において使用されるおそれのある大量の薬物 又は銃器に係る輸入、譲受け その他の行為に係る犯罪
公衆に販売される飲食物への毒物の混入等に係る犯罪で全国の広範な区域に及ぶおそれのあるもの
前各号に掲げるもののほか、その犯罪に係る組織の構成、目的 及び活動状況、犯行の態様、犯罪地等を勘案して、法第五条第四項第六号に規定する広域組織犯罪 その他の事案で同号イに掲げるものに該当すると認められる犯罪
都道府県警察は、法第五条第四項第六号に規定する広域組織犯罪 その他の事案で同号ロに掲げるものに該当すると認められる次に掲げる犯罪があると認めるときは、その旨を速やかに警察庁 及び管区警察局に報告しなければならない。
国外における日本国民の生命 又は身体を害する放射線、生物剤、毒素 若しくは毒性物質の発散 又は爆発物の使用に係る犯罪
国外における日本国民に対する人質による強要に係る犯罪
国外における日本航空機 及び日本船舶の強取 又は破壊に係る犯罪
国外における薬物 又は銃器の本邦への輸入に係る犯罪
前各号に掲げるもののほか、国外における次に掲げる犯罪で法第五条第四項第六号に規定する広域組織犯罪 その他の事案に該当すると認められるもの
刑法(明治四十年法律第四十五号)第二条に掲げる罪に係る犯罪(同条の例に従う罪に係る犯罪を含む。)
条約により国外において犯したときであつても罰すべきものとされている罪に係る犯罪 又は罰することができるものとされている罪に係る犯罪
イ 及びロに掲げるもののほか、日本国民の生命、身体 及び財産を害する犯罪であつて日本国の重大な利益を害するものに準ずるもの
都道府県警察は、前二条に規定する犯罪(以下単に「広域組織犯罪等」という。)の捜査に着手したときは、速やかに、捜査本部 又は合同捜査本部の設置の状況 その他その捜査を行うための態勢に関する事項を警察庁 及び管区警察局に報告しなければならない。
都道府県警察は、次のいずれかに該当するときは、あらかじめ(緊急やむを得ない場合においては、事後速やかに)、警察庁 及び管区警察局にその旨を報告しなければならない。
広域組織犯罪等の捜査に関し法第六十条の三、法第六十一条 その他の法の規定によりその管轄区域外に権限を及ぼそうとするとき。
広域組織犯罪等の捜査に関し法第六十条第一項の規定により他の都道府県警察に対して援助の要求をしようとするとき。
広域組織犯罪等の捜査に関し法第六十一条の二第一項の規定により協定を締結し若しくは廃止し、又は当該協定の内容を変更しようとするとき。
長官は、広域組織犯罪等の捜査に関し必要があると認めるときは、法第六十一条の三第一項の規定に基づき、都道府県警察に対し、次に掲げる事項について必要な指示を行うものとする。
合同捜査が行われる場合にあつては、合同捜査本部の設置 及び合同捜査本部長の指名 その他の合同捜査本部の構成
前各号に掲げるもののほか、広域組織犯罪等の捜査を行うための態勢に関する事項
第三節 広域初動捜査等
管轄区域が隣接し又は近接する都道府県警察は、法第六十条の二の規定により、境界の周辺の区域における犯罪の初動捜査(事件の発生を認知した段階における捜査一般をいう。)その他犯人を当該区域において発見し検挙するための捜査(以下「広域初動捜査等」という。)を共同して行うため必要があると認めるときは、同条の規定に基づき締結した協定(以下 この節において「公安委員会協定」という。)に従つて、当該関係都道府県警察の管轄区域に権限を及ぼすものとする。
前項の規定により共同して行う広域初動捜査等は、広域捜査隊を編成して、これを行うものとする。
関係都道府県警察が前項の規定により広域捜査隊を編成するときは、関係都道府県警察の警察本部長は、法第六十一条の二第一項の規定により協定を締結し、当該協定(以下 この節において「本部長協定」という。)に従つて関係都道府県警察の一の警察官(法第六十条第一項の規定による援助の要求により派遣された警察庁 又は管区警察局の警察官を含む。)に当該広域捜査隊の指揮を行わせるものとする。
広域捜査隊の長は、広域捜査隊長とし、前項の一の警察官をもつて充てるものとする。
前二項に定めるもののほか、前条第一項の規定により共同して広域初動捜査等を行うため必要な事項は、本部長協定において定めるものとする。
都道府県警察は、公安委員会協定 又は本部長協定を締結し若しくは廃止し、又はこれらの協定の内容を変更したときは、その旨 及び当該協定の内容を警察庁 及び管区警察局に報告しなければならない。
警察庁 及び管区警察局は、公安委員会協定 又は本部長協定の締結 及び実施に関し、協定の案の提示 その他の必要な調整を行うものとする。