看護師等の人材確保の促進に関する法律

平成四年法律第八十六号
略称 : 看護師等人材確保促進法 
分類 法律
カテゴリ   厚生
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2023年 08月01日 17時57分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 看護師等の人材確保の促進

  • 第三章 ナースセンター

    • 第一節 都道府県ナースセンター
    • 第二節 中央ナースセンター
  • 第四章 雑則

第一章 総則

1項

この法律は、我が国における急速な高齢化の進展 及び保健医療を取り巻く環境の変化等に伴い、看護師等の確保の重要性が著しく増大していることにかんがみ、看護師等の確保を促進するための措置に関する基本指針を定めるとともに、看護師等の養成、処遇の改善、資質の向上、就業の促進等を、看護に対する国民の関心と理解を深めることに配慮しつつ図るための措置を講ずることにより、病院等、看護を受ける者の居宅等看護が提供される場所に、高度な専門知識と技能を有する看護師等を確保し、もって国民の保健医療の向上に資することを目的とする。

1項

この法律において「看護師等」とは、保健師、助産師、看護師 及び准看護師をいう。

2項

この法律において「病院等」とは、病院(医療法昭和二十三年法律第二百五号第一条の五第一項に規定する病院をいう。以下同じ。)、診療所(同条第二項に規定する診療所をいう。次項において同じ。)、助産所(同法第二条第一項に規定する助産所をいう。次項において同じ。)、介護老人保健施設(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第八条第二十八項に規定する介護老人保健施設をいう。次項において同じ。)、介護医療院(同条第二十九項に規定する介護医療院をいう。次項において同じ。)及び指定訪問看護事業(次に掲げる事業をいう。次項において同じ。)を行う事業所をいう。

一 号

介護保険法第四十一条第一項本文の指定に係る同法第八条第一項に規定する居宅サービス事業(同条第四項に規定する訪問看護を行う事業に限る

二 号

介護保険法第四十二条の二第一項本文の指定に係る同法第八条第十四項に規定する地域密着型サービス事業(次に掲げる事業を行うものに限る

介護保険法第八条第十五項(第一号に係る部分に限る)に規定する定期巡回・随時対応型訪問介護看護

介護保険法第八条第二十三項に規定する複合型サービス(同条第四項に規定する訪問看護 又は同条第十五項(第一号に係る部分に限る)に規定する定期巡回・随時対応型訪問介護看護を組み合わせることにより提供されるものに限る

三 号

介護保険法第五十三条第一項本文の指定に係る同法第八条の二第一項に規定する介護予防サービス事業(同条第三項に規定する介護予防訪問看護を行う事業に限る

3項

この法律において「病院等の開設者等」とは、病院、診療所、助産所、介護老人保健施設 及び介護医療院の開設者 並びに指定訪問看護事業を行う者をいう。

第二章 看護師等の人材確保の促進

1項

厚生労働大臣 及び文部科学大臣(文部科学大臣にあっては、次項第二号に掲げる事項に限る)は、看護師等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めなければならない。

2項

基本指針に定める事項は、次のとおりとする。

一 号

看護師等の就業の動向に関する事項

二 号
看護師等の養成に関する事項
三 号

病院等に勤務する看護師等の処遇の改善(国家公務員 及び地方公務員である看護師等に係るものを除く次条第一項 及び第五条第一項において同じ。)に関する事項

四 号

研修等による看護師等の資質の向上に関する事項

五 号

看護師等の就業の促進に関する事項

六 号

その他 看護師等の確保の促進に関する重要事項

3項

基本指針は、看護が国民の保健医療に関し重要な役割を果たしていることにかんがみ、病院等、看護を受ける者の居宅等看護が提供される場所に、高度な専門知識と技能を有する看護師等を確保し、あわせて当該看護師等が適切な処遇の下で、自信と誇りを持って心の通う看護を提供することができるように、看護業務の専門性に配慮した適切な看護業務の在り方を考慮しつつ、高度化し、かつ、多様化する国民の保健医療サービスへの需要に対応した均衡ある看護師等の確保対策を適切に講ずることを基本理念として定めるものとする。

4項

厚生労働大臣 及び文部科学大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、厚生労働大臣 及び文部科学大臣にあっては第二項各号に掲げる事項につき医道審議会の意見を、厚生労働大臣にあっては同項第三号に掲げる事項のうち病院等に勤務する看護師等の雇用管理に関する事項 並びに同項第五号 及び第六号に掲げる事項につき労働政策審議会の意見をそれぞれ聴き、及び都道府県の意見を求めるほか、総務大臣に協議しなければならない。

5項

厚生労働大臣 及び文部科学大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

1項

国は、看護師等の養成、研修等による資質の向上 及び就業の促進 並びに病院等に勤務する看護師等の処遇の改善 その他看護師等の確保の促進のために必要な財政上 及び金融上の措置 その他の措置を講ずるよう努めなければならない。

2項

国は、看護師等の処遇の改善に努める病院等の健全な経営が確保されるよう必要な配慮をしなければならない。

3項

国は、広報活動、啓発活動等を通じて、看護の重要性に対する国民の関心と理解を深め、看護業務に対する社会的評価の向上を図るとともに、看護に親しむ活動(傷病者等に対しその日常生活において必要な援助を行うこと等を通じて、看護に親しむ活動をいう。以下同じ。)への国民の参加を促進することに努めなければならない。

4項

地方公共団体は、看護に対する住民の関心と理解を深めるとともに、看護師等の確保を促進するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

1項

病院等の開設者等は、病院等に勤務する看護師等が適切な処遇の下で、その専門知識と技能を向上させ、かつ、これを看護業務に十分に発揮できるよう、病院等に勤務する看護師等の処遇の改善、新たに業務に従事する看護師等に対する臨床研修 その他の研修の実施、看護師等が自ら研修を受ける機会を確保できるようにするために必要な配慮 その他の措置を講ずるよう努めなければならない。

2項

病院等の開設者等は、看護に親しむ活動への国民の参加を促進するために必要な協力を行うよう努めなければならない。

1項

看護師等は、保健医療の重要な担い手としての自覚の下に、高度化し、かつ、多様化する国民の保健医療サービスへの需要に対応し、研修を受ける等自ら進んでその能力の開発 及び向上を図るとともに、自信と誇りを持ってこれを看護業務に発揮するよう努めなければならない。

1項

国民は、看護の重要性に対する関心と理解を深め、看護に従事する者への感謝の念を持つよう心がけるとともに、看護に親しむ活動に参加するよう努めなければならない。

1項

国 及び都道府県は、看護師等の確保を図るため必要があると認めるときは、病院等の開設者等に対し、基本指針に定める事項について必要な指導 及び助言を行うものとする。

1項

公共職業安定所は、就業を希望する看護師等の速やかな就職を促進するため、雇用情報の提供、職業指導 及び就職のあっせんを行う等必要な措置を講ずるものとする。

1項

都道府県は、社会的信望があり、かつ、看護師等の業務について識見を有する者のうちから、看護師等就業協力員を委嘱することができる。

2項

看護師等就業協力員は、都道府県の看護師等の就業の促進 その他 看護師等の確保に関する施策 及び看護に対する住民の関心と理解の増進に関する施策への協力 その他の活動を行う。

1項

次の各号いずれかに該当する病院の開設者は、当該病院に看護師等確保推進者を置かなければならない。

一 号

その有する看護師等の員数が、医療法第二十一条第一項第一号の規定に基づく都道府県の条例の規定によって定められた員数を著しく下回る病院として厚生労働省令で定めるもの

二 号

その他 看護師等の確保が著しく困難な状況にあると認められる病院として厚生労働省令で定めるもの

2項

看護師等確保推進者は、病院の管理者を補佐し、看護師等の配置 及び業務の改善に関する計画の策定その他看護師等の確保に関する事項を処理しなければならない。

3項

医師、歯科医師、保健師、助産師、看護師 その他 看護師等の確保に関し必要な知識経験を有する者として政令で定めるものでなければ、看護師等確保推進者となることができない

4項

第一項に規定する病院の開設者は、看護師等確保推進者を置いたときは、その日から三十日以内に、当該病院の所在地を管轄する都道府県知事に、その看護師等確保推進者の氏名 その他 厚生労働省令で定める事項を届け出なければならない。


看護師等確保推進者を変更したときも、同様とする。

5項

都道府県知事は、看護師等確保推進者が第二項に規定する職務を怠った場合であって、当該看護師等確保推進者に引き続きその職務を行わせることが適切でないと認めるときは、第一項に規定する病院の開設者に対し、期限を定めて、その変更を命ずることができる。

1項

国の開設する病院については、政令で、この章の規定の一部の適用を除外し、その他 必要な特例を定めることができる。

第三章 ナースセンター

第一節 都道府県ナースセンター

1項

都道府県知事は、看護師等の就業の促進 その他の看護師等の確保を図るための活動を行うことにより保健医療の向上に資することを目的とする一般社団法人 又は一般財団法人であって、次条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、都道府県ごとに一個に限り、都道府県ナースセンター(以下「都道府県センター」という。)として指定することができる。

2項

都道府県知事は、前項の申請をした者が職業安定法昭和二十二年法律第百四十一号第三十三条第一項の許可を受けて看護師等につき無料の職業紹介事業を行う者でないときは、前項の規定による指定をしてはならない。

3項

都道府県知事は、第一項の規定による指定をしたときは、当該都道府県センターの名称、住所 及び事務所の所在地を公示しなければならない。

4項

都道府県センターは、その名称、住所 又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

5項

都道府県知事は、前項の規定による届出があったときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。

1項

都道府県センターは、当該都道府県の区域内において、次に掲げる業務を行うものとする。

一 号

病院等における看護師等の確保の動向 及び就業を希望する看護師等の状況に関する調査を行うこと。

二 号

訪問看護(傷病者等に対し、その者の居宅において看護師等が行う療養上の世話 又は必要な診療の補助をいう。)その他の看護についての知識 及び技能に関し、看護師等に対して研修を行うこと。

三 号

前号に掲げるもののほか、看護師等に対し、看護についての知識 及び技能に関する情報の提供、相談その他の援助を行うこと。

四 号

第十二条第一項に規定する病院 その他の病院等の開設者、管理者、看護師等確保推進者等に対し、看護師等の確保に関する情報の提供、相談 その他の援助を行うこと。

五 号

看護師等について、無料の職業紹介事業を行うこと。

六 号

看護師等に対し、その就業の促進に関する情報の提供、相談 その他の援助を行うこと。

七 号

看護に関する啓発活動を行うこと。

八 号

前各号に掲げるもののほか、看護師等の確保を図るために必要な業務を行うこと。

1項

都道府県センターは、地方公共団体、公共職業安定所 その他の関係機関との密接な連携の下に前条第五号 及び第六号に掲げる業務を行わなければならない。

1項

都道府県センターは、都道府県 その他の官公署に対し、第十五条第六号に掲げる業務を行うために必要な情報の提供を求めることができる。

1項

看護師等は、病院等を離職した場合 その他の厚生労働省令で定める場合には、住所、氏名 その他の厚生労働省令で定める事項を、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県センターに届け出るよう努めなければならない。

2項

看護師等は、前項の規定により届け出た事項に変更が生じた場合には、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を都道府県センターに届け出るよう努めなければならない。

3項

病院等の開設者等 その他厚生労働省令で定める者は、前二項の規定による届出が適切に行われるよう、必要な支援を行うよう努めるものとする。

1項

都道府県センターの役員 若しくは職員 又はこれらの者であった者は、正当な理由がなく、第十五条各号に掲げる業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

1項

都道府県センターは、第十五条各号第五号除く)に掲げる業務の一部を厚生労働省令で定める者に委託することができる。

2項

前項の規定による委託を受けた者若しくはその役員 若しくは職員 又はこれらの者であった者は、正当な理由がなく、当該委託に係る業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

1項

都道府県センターは、毎事業年度、厚生労働省令で定めるところにより、事業計画書 及び収支予算書を作成し、都道府県知事に提出しなければならない。


これを変更しようとするときも、同様とする。

2項

都道府県センターは、厚生労働省令で定めるところにより、毎事業年度終了後、事業報告書 及び収支決算書を作成し、都道府県知事に提出しなければならない。

1項

都道府県知事は、この節の規定を施行するために必要な限度において、都道府県センターに対し、監督上必要な命令をすることができる。

1項

都道府県知事は、都道府県センターが次の各号いずれかに該当するときは、第十四条第一項の規定による指定(以下この条において「指定」という。)を取り消さなければならない。

一 号

第十五条第五号に掲げる業務に係る無料の職業紹介事業につき、職業安定法第三十三条第一項の許可を取り消されたとき。

二 号

職業安定法第三十三条第三項に規定する許可の有効期間(当該許可の有効期間について、同条第四項において準用する同法第三十二条の六第二項の規定による更新を受けたときにあっては、当該更新を受けた許可の有効期間)の満了後、同法第三十三条第四項において準用する同法第三十二条の六第二項に規定する許可の有効期間の更新を受けていないとき。

2項

都道府県知事は、都道府県センターが次の各号いずれかに該当するときは、指定を取り消すことができる。

一 号

第十五条各号に掲げる業務を適正かつ確実に実施することができないと認められるとき。

二 号

指定に関し不正の行為があったとき。

三 号

この節の規定 又は当該規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき。

3項

都道府県知事は、前二項の規定により指定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。

第二節 中央ナースセンター

1項

厚生労働大臣は、都道府県センターの業務に関する連絡 及び援助を行うこと等により、都道府県センターの健全な発展を図るとともに、看護師等の確保を図り、もって保健医療の向上に資することを目的とする一般社団法人 又は一般財団法人であって、次条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、全国を通じて一個に限り、中央ナースセンター(以下「中央センター」という。)として指定することができる。

1項

中央センターは、次に掲げる業務を行うものとする。

一 号

都道府県センターの業務に関する啓発活動を行うこと。

二 号

都道府県センターの業務について、連絡調整を図り、及び指導 その他の援助を行うこと。

三 号

都道府県センターの業務に関する情報 及び資料を収集し、並びにこれを都道府県センター その他の関係者に対し提供すること。

四 号

二以上の都道府県の区域における看護に関する啓発活動を行うこと。

五 号

前各号に掲げるもののほか、都道府県センターの健全な発展 及び看護師等の確保を図るために必要な業務を行うこと。

1項

第十四条第三項から第五項まで第十六条の四第十七条第十八条 並びに第十九条第二項 及び第三項の規定は、中央センターについて準用する。


この場合において、

これらの規定中
都道府県知事」とあるのは
「厚生労働大臣」と、

第十四条第三項
第一項」とあるのは
第二十条」と、

第十六条の四
第十五条各号」とあるのは
第二十一条各号」と、

第十八条
この節」とあるのは
次節」と、

第十九条第二項
指定を」とあるのは
第二十条の規定による指定(以下この条において「指定」という。)を」と、

第十五条各号」とあるのは
第二十一条各号」と、

この節」とあるのは
次節」と、

同条第三項
前二項」とあるのは
前項」と

読み替えるものとする。

第四章 雑則

1項

この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定 又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

1項

第十六条の四第二十二条において準用する場合を含む。) 及び第十六条の五第二項の規定に違反した者は、一年以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。

1項

次の各号いずれかに該当する者は、二十万円以下の過料に処する。

一 号

第十二条第一項の規定に違反して看護師等確保推進者を置かなかった者

二 号

第十二条第五項の規定による命令に違反した者

1項

第十二条第四項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、十万円以下の過料に処する。