科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律
第二章 研究開発等の推進のための基盤の強化
第一節 科学技術に関する教育の水準の向上及び人材の育成等
科学技術経営(研究開発の成果を資金、設備 その他の資源と組み合わせて有効に活用するとともに、将来の活用の内容を展望して研究開発を計画的に展開することをいう。)その他の科学技術・イノベーション創出の活性化のための経営に関する教育の振興 及び知識の習得の促進を図ること。
国は、前項第一号から第四号までの事項に関し実践的な取組を促進するため、民間事業者からの講師の派遣 その他の民間事業者と当該取組を行う機関との連携を支援するために必要な施策を講ずるものとする。
国は、研究者等(研究者等であった者を含む。)の有する技能 及び知識の有効な活用 及び継承が研究開発能力の強化に極めて重要であることにかんがみ、その技能 及び知識の有効な活用 及び継承を図るために必要な施策を講ずるものとする。
第二節 若年研究者等の能力の活用等
国は、研究開発等の推進における若年者、女性 及び外国人(日本の国籍を有しない者をいう。以下同じ。)である研究者等(以下「若年研究者等」という。)の能力の活用が研究開発能力の強化に極めて重要であることに鑑み、国の資金(国から研究開発法人に提供された資金 その他の国の資金に由来する資金を含む。以下同じ。)により行われる研究開発等の推進における若年研究者等の能力の活用を図るとともに、研究開発法人、大学等 及び民間事業者による若年研究者等の能力の活用の促進に必要な施策を講ずるものとする。
研究開発法人 及び大学等は、若年者である研究者の育成が研究開発能力の強化に極めて重要であることに鑑み、その研究者が、その年齢にかかわりなく知識 及び能力に応じて活躍できるよう、人事評価(人事管理の基礎とするために、研究者がその職務を遂行するに当たり発揮した能力 及び挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価をいう。以下 この項において同じ。)に係る機能の充実強化、人事評価の結果に応じた適切な処遇 その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
国家公務員法第五十五条第一項の規定 その他の法律の規定により任命権を有する者(同条第二項の規定によりその任命権が委任されている場合には、その委任を受けた者。以下「任命権者」という。)は、外国人を研究公務員(第二条第十二項第二号に規定する者を除く。)に任用することができる。
ただし、次に掲げる職員については、この限りでない。
任命権者は、前項の規定により外国人を研究公務員(第二条第十二項第一号 及び第三号に規定する者(一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律第五条第一項に規定する任期付職員 並びに任期付研究員俸給表適用職員 及び同号に規定する者のうち一般職の任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する法律第三条第一項の規定により任期を定めて採用された職員を除く。)に限る。第十六条において同じ。)に任用する場合において、当該外国人を任用するために特に必要であるときには、任期を定めることができる。
第三節 人事交流の促進等
クロスアポイントメント(研究者等が複数の研究開発法人、大学等を設置する者 又は民間事業者(以下 この号において「複数の研究開発法人等」という。)との間で労働契約を締結するとともに、当該複数の研究開発法人等の間で当該研究者等の出向に関する協定等を締結することにより、当該研究者等が当該複数の研究開発法人等において当該協定等において定められた割合で業務に従事する仕組みをいう。)を活用すること。
次の各号に掲げる者の当該各号の労働契約に係る労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第十八条第一項の規定の適用については、
同項中
「五年」とあるのは、
「十年」と
する。
研究者等であって研究開発法人 又は大学等を設置する者との間で期間の定めのある労働契約(以下この条において「有期労働契約」という。)を締結したもの
研究開発等に係る企画立案、資金の確保 並びに知的財産権の取得 及び活用 その他の研究開発等に係る運営 及び管理に係る業務(専門的な知識 及び能力を必要とするものに限る。)に従事する者であって研究開発法人 又は大学等を設置する者との間で有期労働契約を締結したもの
試験研究機関等、研究開発法人 及び大学等以外の者が試験研究機関等、研究開発法人 又は大学等との協定 その他の契約によりこれらと共同して行う研究開発等(次号において「共同研究開発等」という。)の業務に専ら従事する研究者等であって当該試験研究機関等、研究開発法人 及び大学等以外の者との間で有期労働契約を締結したもの
共同研究開発等に係る企画立案、資金の確保 並びに知的財産権の取得 及び活用 その他の共同研究開発等に係る運営 及び管理に係る業務(専門的な知識 及び能力を必要とするものに限る。)に専ら従事する者であって当該共同研究開発等を行う試験研究機関等、研究開発法人 及び大学等以外の者との間で有期労働契約を締結したもの
前項第一号 及び第二号に掲げる者(大学の学生である者を除く。)のうち大学に在学している間に研究開発法人 又は大学等を設置する者との間で有期労働契約(当該有期労働契約の期間のうちに大学に在学している期間を含むものに限る。)を締結していた者の同項第一号 及び第二号の労働契約に係る労働契約法第十八条第一項の規定の適用については、当該大学に在学している期間は、同項に規定する通算契約期間に算入しない。
任命権者は、国家公務員法に基づく人事院規則の定めるところにより、研究公務員の採用について任期を定めることができる。
ただし、第十四条の規定の適用がある場合は、この限りでない。
研究公務員が、国 及び行政執行法人以外の者が国(当該研究公務員が行政執行法人の職員である場合にあっては、当該行政執行法人。以下この条において同じ。)と共同して行う研究 又は国の委託を受けて行う研究(以下 この項において「共同研究等」という。)に従事するため国家公務員法第七十九条 又は自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第四十三条の規定により休職にされた場合において、当該共同研究等への従事が当該共同研究等の効率的実施に特に資するものとして政令で定める要件に該当するときは、研究公務員に関する国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)第六条の四第一項 及び第七条第四項の規定の適用については、当該休職に係る期間は、同法第六条の四第一項に規定する現実に職務をとることを要しない期間には該当しないものとみなす。
前項の規定は、研究公務員が国以外の者から国家公務員退職手当法の規定による退職手当に相当する給付として政令で定めるものの支払を受けた場合には、適用しない。
前項に定めるもののほか、第一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
研究公務員が、科学技術に関する研究集会への参加(その準備行為 その他の研究集会に関連する事務への参加を含む。)を申し出たときは、任命権者は、その参加が、研究に関する国と国以外の者との間の交流 及び行政執行法人と行政執行法人以外の者との間の交流の促進に特に資するものであり、かつ、当該研究公務員の職務に密接な関連があると認められる場合には、当該研究公務員の所属する試験研究機関等の研究業務の運営に支障がない限り、その参加を承認することができる。
第四節 国際交流の促進等
国は、国の資金により行われる研究開発等に関し国際的な交流を促進するに当たっては、条約 その他の国際約束を誠実に履行すべき義務 並びに国際的な平和 及び安全の維持 並びに我が国の国際競争力の維持について配慮しなければならない。
国は、外国 若しくは外国の公共的団体 又は国際機関と共同して行った研究(基盤技術研究円滑化法(昭和六十年法律第六十五号)第四条に規定する基盤技術に関する試験研究を除く。)の成果に係る国有の特許権 及び実用新案権のうち政令で定めるものについて、これらの者 その他の政令で定める者に対し通常実施権の許諾を行うときは、その許諾を無償とし、又は その許諾の対価を時価よりも低く定めることができる。
国は、その委託に係る研究であって本邦法人と外国法人、外国 若しくは外国の公共的団体 又は国際機関(第三号において「外国法人等」という。)とが共同して行うものの成果について、産業技術力強化法(平成十二年法律第四十四号)第十七条第一項に定めるところによるほか、次に掲げる取扱いをすることができる。
当該成果に係る特許権 又は実用新案権のうち政令で定めるものが国と国以外の者であって政令で定めるものとの共有に係る場合において、当該国以外の者のその特許発明 又は登録実用新案の実施について、国の持分に係る対価を受けず、又は時価よりも低い対価を受けること。
国は、外国 若しくは外国の公共的団体 又は国際機関と共同して行う研究のうち政令で定めるものについて、これらの者 その他の政令で定める者(以下この条において「外国等」という。)に対し、次に掲げる国の損害賠償の請求権を放棄することができる。
当該研究が行われる期間において当該研究の活動により国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)第一条第一項 又は防衛省の職員の給与等に関する法律第一条に規定する職員につき生じた公務上の災害に関し、国が国家公務員災害補償法第十条、第十二条から第十三条まで、第十五条 及び第十八条の規定(防衛省の職員の給与等に関する法律第二十七条第一項において準用する場合を含む。)に基づき補償を行ったことにより国家公務員災害補償法第六条第一項の規定(防衛省の職員の給与等に関する法律第二十七条第一項において準用する場合を含む。)に基づき取得した外国等に対する損害賠償の請求権
第五節 研究開発法人における人材活用等に関する方針等
研究開発法人は、内閣総理大臣の定める基準に即して、その研究開発等の推進のための基盤の強化のうち人材の活用等に係るものに関する方針(以下この条において「人材活用等に関する方針」という。)を作成しなければならない。
研究開発法人は、人材活用等に関する方針を作成したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
これを変更したときも同様とする。
国立大学法人等は、研究者等の自主性の尊重 その他の大学等における研究の特性に配慮しつつ、必要に応じて、前各項の規定による研究開発法人の人材の活用等に係る研究開発等の推進のための基盤の強化に準じ、その人材の活用等に係る研究開発等の推進のための基盤の強化を図るよう努めるものとする。
第六節 その他の研究開発等の推進のための基盤の強化
研究開発機関は、その研究者等が研究開発等に係る倫理に関する知識と理解を深めるために必要な取組を実施するとともに、研究開発等に係る不正行為(資金の不正な使用を含む。次項において同じ。)について客観的な根拠に基づき適切に対処するよう努めるものとする。
研究開発法人 及び大学等は、その経営能力の強化を図るに当たっては、その経営に関する専門的知識を有する人材 及びその経営を担うべき人材の育成 及び確保に努めるものとする。
国は、研究開発能力の強化を図るため、国、研究開発法人 及び大学等の研究開発に係る施設 及び設備(第三十五条において「研究開発施設等」という。)、情報処理、情報通信、電磁的記録の保管等に係る施設 及び設備 並びに研究材料、計量の標準、科学技術に関する情報 その他の研究開発の推進のための知的基盤をなすもの(同条において「知的基盤」という。)を整備するために必要な施策を講ずるものとする。