全国通訳案内士試験に合格した者は、全国通訳案内士となる資格を有する。
通訳案内士法
第二章 全国通訳案内士
第一節 全国通訳案内士の資格
次の各号のいずれかに該当する者は、全国通訳案内士となる資格を有しない。
一年以上の懲役 又は禁錮の刑に処せられた者で、刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しないもの
第二十五条(第五十七条において準用する場合を含む。)の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
第二節 全国通訳案内士試験
全国通訳案内士試験は、全国通訳案内士として必要な知識 及び能力を有するかどうかを判定することを目的とする試験とする。
全国通訳案内士試験は、筆記 及び口述の方法により行う。
筆記試験は、次に掲げる科目について行う。
産業、経済、政治 及び文化に関する一般常識
口述試験は、筆記試験に合格した者につき、通訳案内の実務について行う。
次の各号のいずれかに 該当する者に対しては、その申請により、それぞれ当該各号に定める試験を免除する。
一の外国語による筆記試験に合格した者
次回の全国通訳案内士試験の当該外国語による筆記試験
一の外国語による全国通訳案内士試験に合格した者
他の外国語による全国通訳案内士試験の外国語以外の科目についての筆記試験
前条第二項各号に掲げる科目について筆記試験に合格した者と同等以上の知識 又は能力を有する者として国土交通省令で定める者
当該科目についての筆記試験
全国通訳案内士試験は、毎年一回以上、観光庁長官が行う。
全国通訳案内士試験に合格した者には、当該試験に合格したことを証する証書を授与する。
全国通訳案内士試験を受けようとする者は、実費を勘案して国土交通省令で定める額の受験手数料を納付しなければならない。
前項の規定により納付した受験手数料は、全国通訳案内士試験を受けなかつた場合においても返還しない。
観光庁長官は、独立行政法人国際観光振興機構(以下「機構」という。)に、全国通訳案内士試験の実施に関する事務(以下「試験事務」という。)を行わせることができる。
観光庁長官は、前項の規定により機構に試験事務を行わせるときは、その旨を官報で公示しなければならないものとし、この場合には、観光庁長官は、試験事務を行わないものとする。
機構が試験事務を行うときは、前条第一項の規定による受験手数料は、機構に納付するものとする。
この場合において、納付された受験手数料は、機構の収入とする。
機構は、試験事務の開始前に、試験事務の実施に関する規程(以下「試験事務規程」という。)を定め、観光庁長官の認可を受けなければならない。
これを変更しようとするときも、同様とする。
試験事務規程で定めるべき事項は、国土交通省令で定める。
観光庁長官は、第一項の認可をした試験事務規程が試験事務の適正かつ確実な実施上不適当となつたと認めるときは、機構に対し、その変更を命ずることができる。
機構は、試験事務を行う場合において、全国通訳案内士として必要な知識 及び能力を有するかどうかの判定に関する事務については、全国通訳案内士試験委員(以下「試験委員」という。)に行わせなければならない。
機構は、試験委員を選任しようとするときは、国土交通省令で定める要件を備える者のうちから選任しなければならない。
機構は、試験委員を選任したときは、国土交通省令で定めるところにより、観光庁長官にその旨を届け出なければならない。
試験委員に変更があつたときも、同様とする。
観光庁長官は、試験委員が、この法律(この法律に基づく命令 又は処分を含む。) 若しくは試験事務規程に違反する行為をしたとき、又は試験事務に関し著しく不適当な行為をしたときは、機構に対し、試験委員の解任を命ずることができる。
試験事務に従事する機構の役員 若しくは職員(試験委員を含む。次項において同じ。) 又はこれらの職にあつた者は、試験事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
前項に規定する機構の役員 又は職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号) その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
前項の規定により刑法第百九十七条第一項、第百九十七条の二、第百九十七条の三、第百九十七条の五 又は第百九十八条の規定の適用がある場合においては、独立行政法人国際観光振興機構法(平成十四年法律第百八十一号)第十四条 及び第十五条の規定は、適用しない。
観光庁長官は、不正な手段により全国通訳案内士試験に合格しようとした者に対しては、その試験を停止し、又はその合格を無効とする。
観光庁長官は、前項の者に対しては、三年以内において期間を定め、試験を受けさせないことができる。
機構は、試験事務の実施に関し第一項に規定する観光庁長官の職権を行うことができる。
機構が行う試験事務に係る処分 又はその不作為については、観光庁長官に対し審査請求をすることができる。
この場合において、観光庁長官は、行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第二十五条第二項 及び第三項、第四十六条第一項 及び第二項、第四十七条 並びに第四十九条第三項の規定の適用については、機構の上級行政庁とみなす。
この法律に定めるもののほか、全国通訳案内士試験に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。
第三節 全国通訳案内士の登録
全国通訳案内士となる資格を有する者が全国通訳案内士となるには、全国通訳案内士登録簿に、氏名、生年月日、住所 その他国土交通省令で定める事項の登録を受けなければならない。
全国通訳案内士登録簿は、都道府県に備える。
第十八条の登録を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、登録申請書を都道府県知事に提出しなければならない。
前項の登録申請書には、全国通訳案内士となる資格を有することを証する書類を添付しなければならない。
都道府県知事は、前条第一項の規定による登録の申請をした者(以下「申請者」という。)が全国通訳案内士となる資格を有せず、又は心身の障害により全国通訳案内士の業務を適正に行うことができない者として国土交通省令で定めるものに該当すると認めたときは、その登録を拒否しなければならない。
都道府県知事は、申請者が前項に規定する国土交通省令で定める者に該当することを理由にその登録を拒否しようとするときは、あらかじめ、申請者にその旨を通知し、その求めがあつたときは、当該都道府県知事の指定する職員にその意見を聴取させなければならない。
都道府県知事は、全国通訳案内士の登録をしたときは、申請者に第十八条に規定する事項を記載した全国通訳案内士登録証(以下「登録証」という。)を交付する。
全国通訳案内士は、登録を受けた事項に変更があつたときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
全国通訳案内士は、前項の規定による届出をするときは、当該届出に登録証を添えて提出し、その訂正を受けなければならない。
全国通訳案内士は、登録証を亡失し、又は著しく損じたときは、直ちに都道府県知事にその再交付を申請しなければならない。
都道府県知事は、全国通訳案内士が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を取り消さなければならない。
第四条各号のいずれかに該当するに至つたとき。
偽りその他不正の手段により全国通訳案内士の登録を受けたことが判明したとき。
都道府県知事は、全国通訳案内士が第二十一条第一項に規定する国土交通省令で定める者に該当するに至つた場合には、その登録を取り消すことができる。
都道府県知事は、全国通訳案内士が第二十九条第一項 若しくは第二項、第三十条第一項、第三十一条 又は第三十二条の規定に違反した場合には、その登録を取り消し、又は期間を定めて全国通訳案内士の名称の使用の停止を命ずることができる。
都道府県知事は、全国通訳案内士の登録がその効力を失つたときは、その登録を消除しなければならない。
都道府県知事は、全国通訳案内士登録簿を公衆の閲覧に供しなければならない。
この法律に定めるもののほか、全国通訳案内士の登録に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。
第四節 全国通訳案内士の業務
全国通訳案内士は、その業務を行う前に、通訳案内を受ける者に対して、登録証を提示しなければならない。
全国通訳案内士は、その業務を行つている間は、登録証を携帯し、国 若しくは地方公共団体の職員 又は通訳案内を受ける者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
国 又は地方公共団体の職員が前項の請求をするには、その身分を示す証明書を携帯し、全国通訳案内士の要求があるときは、これを示さなければならない。
全国通訳案内士は、三年以上五年以内において国土交通省令で定める期間ごとに、第三十五条から第三十七条までの規定により観光庁長官の登録を受けた者(以下「登録研修機関」という。)が実施する通訳案内に関する研修(以下「通訳案内研修」という。)を受けなければならない。
前項の登録に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。
全国通訳案内士は、次に掲げる行為をしてはならない。
通訳案内を受ける者のためにする物品の購買 その他のあつせんについて、販売業者 その他の関係者に対し金品を要求すること。
通訳案内を受けることを強要すること。
全国通訳案内士は、前条に規定するもののほか、全国通訳案内士の信用 又は品位を害するような行為をしてはならない。
全国通訳案内士は、第三十条第一項に定めるもののほか、外国語に関する講習を受講すること その他の全国通訳案内士として必要な知識 及び能力の維持向上に努めなければならない。
観光庁長官 及び都道府県知事は、全国通訳案内士として必要な知識 及び能力の維持向上を図るため、必要に応じ、講習の実施、資料の提供 その他の措置を講ずるものとする。
都道府県知事は、全国通訳案内士の業務の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、全国通訳案内士に対し、その業務に関し必要な報告を求めることができる。
第五節 登録研修機関
第三十条第一項の登録は、通訳案内研修の実施に関する業務(以下「研修業務」という。)を行おうとする者の申請により行う。
次の各号のいずれかに該当する者は、第三十条第一項の登録を受けることができない。
この法律 又はこの法律に基づく命令に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
第四十六条の規定により第三十条第一項の登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
法人であつて、研修業務を行う役員のうちに前二号のいずれかに該当する者があるもの
観光庁長官は、第三十五条の規定により登録を申請した者の行う通訳案内研修が、別表の上欄に掲げる科目について、それぞれ同表の下欄に掲げる講師によつて行われるものであるときは、その登録をしなければならない。
この場合において、登録に関して必要な手続は、国土交通省令で定める。
第三十条第一項の登録は、登録研修機関登録簿に次に掲げる事項を記載してするものとする。
登録研修機関の氏名 又は名称 及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
登録研修機関が研修業務を行う事務所の所在地
前三号に掲げるもののほか、国土交通省令で定める事項
第三十条第一項の登録は、三年を下らない政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
前三条の規定は、前項の登録の更新について準用する。
登録研修機関は、公正に、かつ、第三十七条第一項の規定 及び国土交通省令で定める基準に適合する方法により研修業務を行わなければならない。
登録研修機関は、第三十七条第二項第二号から第四号までに掲げる事項を変更しようとするときは、変更しようとする日の二週間前までに、その旨を観光庁長官に届け出なければならない。
登録研修機関は、研修業務に関する規程(次項において「研修業務規程」という。)を定め、研修業務の開始前に、観光庁長官に届け出なければならない。
これを変更しようとするときも、同様とする。
研修業務規程には、通訳案内研修の実施方法、通訳案内研修に関する料金 その他の国土交通省令で定める事項を定めておかなければならない。
登録研修機関は、研修業務の全部 又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を観光庁長官に届け出なければならない。
登録研修機関は、毎事業年度経過後三月以内に、その事業年度の財産目録、貸借対照表 及び損益計算書 又は収支計算書 並びに営業報告書 又は事業報告書(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他の人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この条において同じ。)の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。次項 及び第六十六条において「財務諸表等」という。)を作成し、五年間登録研修機関の事務所に備えて置かなければならない。
通訳案内研修を受けようとする者 その他の利害関係人は、登録研修機関の業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
ただし、第二号 又は第四号の請求をするには、登録研修機関の定めた費用を支払わなければならない。
財務諸表等が書面をもつて作成されているときは、当該書面の閲覧 又は謄写の請求
前号の書面の謄本 又は抄本の請求
財務諸表等が電磁的記録をもつて作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を国土交通省令で定める方法により表示したものの閲覧 又は謄写の請求
前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であつて国土交通省令で定めるものにより提供することの請求 又は当該事項を記載した書面の交付の請求
観光庁長官は、登録研修機関が第三十七条第一項の規定に適合しなくなつたと認めるときは、その登録研修機関に対し、同項の規定に適合するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
観光庁長官は、登録研修機関が第三十九条の規定に違反していると認めるときは、その登録研修機関に対し、同条の規定による研修業務を行うべきこと 又は通訳案内研修の方法 その他の業務の方法の改善に関し必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
観光庁長官は、登録研修機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて研修業務の全部 若しくは一部の停止を命ずることができる。
第三十六条第一号 又は第三号に該当するに至つたとき。
第四十条から第四十二条まで、第四十三条第一項 又は次条の規定に違反したとき。
正当な理由がないのに第四十三条第二項各号の規定による請求を拒んだとき。
前二条の規定による命令に違反したとき。
不正の手段により第三十条第一項の登録を受けたとき。
登録研修機関は、国土交通省令で定めるところにより、帳簿を備え、研修業務に関し国土交通省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。
観光庁長官は、研修業務の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、登録研修機関に対し、研修業務の状況に関し必要な報告を求めることができる。
観光庁長官は、研修業務の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、その職員に、登録研修機関の事務所に立ち入り、研修業務の状況 又は設備、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと 解してはならない。
観光庁長官は、第三十条第一項の登録を受けた者がいないとき、第四十二条の規定による研修業務の全部 又は一部の休止 又は廃止の届出があつたとき、第四十六条の規定により第三十条第一項の登録を取り消し、又は登録研修機関に対し研修業務の全部 若しくは一部の停止を命じたとき、登録研修機関が天災 その他の事由により研修業務の全部 又は一部を実施することが困難となつたとき、その他必要があると認めるときは、研修業務の全部 又は一部を自ら行うことができる。
観光庁長官が前項の規定により研修業務の全部 又は一部を自ら行う場合における研修業務の引継ぎ その他の必要な事項については、国土交通省令で定める。
第一項の規定により観光庁長官が行う研修を受けようとする者は、実費を勘案して国土交通省令で定める額の手数料を国に納付しなければならない。
観光庁長官は、次に掲げる場合には、その旨を官報に公示しなければならない。
第三十条第一項の登録をしたとき。
第四十条 又は第四十二条の規定による届出があつたとき。
第四十六条の規定により第三十条第一項の登録を取り消し、又は研修業務の全部 若しくは一部の停止を命じたとき。
前条の規定により研修業務の全部 若しくは一部を自ら行うこととするとき、又は自ら行つていた研修業務の全部 若しくは一部を行わないこととするとき。
第六節 雑則
全国通訳案内士でない者は、全国通訳案内士 又はこれに類似する名称を用いてはならない。