勤労者財産形成促進法

# 昭和四十六年法律第九十二号 #
略称 : 財形法 

第二節 勤労者財産形成基金

分類 法律
カテゴリ   労働
@ 施行日 : 令和四年四月一日 ( 2022年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第七号による改正
最終編集日 : 2024年 07月04日 11時34分


第一款 通則

1項

勤労者財産形成基金(以下「基金」という。)は、事業主が拠出した金銭について信託会社等 又は銀行等と勤労者財産形成基金契約を締結し、その構成員である勤労者(以下「加入員」という。)に対して財産形成基金給付金が支払われるようにすることにより、加入員の財産形成に寄与することを目的とする。

1項
基金は、事業主 及びその雇用する勤労者をもつて組織する。
1項
基金は、法人とする。
2項
基金は、その名称中に勤労者財産形成基金という文字を用いなければならない。
3項
基金でない者は、その名称中に勤労者財産形成基金という文字を用いてはならない。
4項

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律平成十八年法律第四十八号第四条 及び第七十八条の規定は、基金について準用する。

第二款 設立

1項

基金は、一の事業主の全部 又は一部の事業場(当該事業場の勤労者が勤労者財産形成給付金契約に基づき信託の受益者等とされている事業場を除く。以下同じ。)について設立することができる。

2項

二以上の事業主が政令で定める関係にある場合には、基金は、前項の規定にかかわらず、当該二以上の事業主の全部 又は一部の事業場について設立することができる。

1項

基金を設立しようとする事業主(以下この款において「設立発起事業主」という。)は、その設立しようとする事業場について、その設立に関し、当該事業場の勤労者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、当該事業場の勤労者の過半数で組織する労働組合がないときはその勤労者の過半数を代表する者との書面による合意があつたときは、規約を作成し、当該合意に係る事業場の勤労者に対して、当該勤労者のうちから加入員となろうとする者を募集するものとする。

2項

前項の合意に係る事業場の勤労者(第六条の二第一項第二号の政令で定める者を除く)で、勤労者財産形成貯蓄を有しているもの(規約により加入員の資格を定めているときは、当該資格を有する者に限る)は、加入員となる旨の申出をすることができる。

1項

設立発起事業主は、前条第二項の申出をした者の数が政令で定める数に達したときは、厚生労働大臣に対し、規約 その他厚生労働省令で定める書面を提出して、設立の認可を申請しなければならない。

2項

厚生労働大臣は、前項の規定による認可の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ、設立の認可をしてはならない。

一 号
設立の手続 及び規約の内容が法令の規定に適合していること。
二 号
規約に偽りの記載がないこと。
三 号
業務の実施に関する計画が適正なものであり、かつ、その計画を確実に遂行することができること。
四 号

前号に定めるもののほか、業務の運営が健全に行われ、加入員の財産形成に寄与することが確実であること。

1項
基金は、設立の認可を受けた時に成立する。
2項

基金が成立したときは、理事長が選任されるまでの間、設立発起事業主(設立発起事業主が二以上あるときは、これらの者において互選された者)が、理事長の職務を行う。


この場合において、当該設立発起事業主は、この法律の規定の適用については、理事長とみなす。

第三款 管理

1項
基金は、規約で、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 号
名称
二 号
事務所の所在地
三 号

基金の構成員である事業主(以下「構成員事業主」という。)の氏名 又は名称 及び住所 並びに基金に係る事業場(以下「設立事業場」という。)の名称 及び所在地

四 号
代議員会に関する事項
五 号
役員に関する事項
六 号
加入員の加入 及び脱退の手続等に関する事項
七 号
構成員事業主の拠出に関する事項
八 号
勤労者財産形成基金契約に関する事項
九 号
第二種財産形成基金給付金の支払等に関する事項
十 号
財務に関する事項
十一 号
解散 及び清算に関する事項
十二 号
規約の変更に関する事項
十三 号
公告の方法
2項

基金が、加入員の資格を定めようとする場合には、その資格は、規約で定めなければならない。


この場合において、その資格は、特定の者について不当に差別的なものであつてはならない。

3項

規約の変更(政令で定める事項に係るものを除く)は、厚生労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

4項

基金は、前項の政令で定める事項に係る規約の変更をしたときは、遅滞なく、厚生労働大臣に届け出なければならない。

1項

基金は、政令で定めるところにより、基金の名称、事務所の所在地、役員の氏名 その他政令で定める事項を公告しなければならない。

1項
基金に、代議員会を置く。
2項
代議員の定数は、偶数とし、その半数は加入員において互選し、他の半数は加入員のうちから構成員事業主が選定する。
3項

代議員の任期は、二年とする。


ただし、補欠の代議員の任期は、前任者の残任期間とする。

4項

代議員会は、理事長が招集する。代議員の定数の三分の一以上の者が会議に付議すべき事項 及び招集の理由を記載した書面を理事長に提出して代議員会の招集を請求したときは、理事長は、その請求があつた日から二十日以内に代議員会を招集しなければならない。

5項
代議員会に議長を置く。議長は、理事長をもつて充てる。
6項

前各項に定めるもののほか、代議員会の招集、議事の手続 その他代議員会に関し必要な事項は、政令で定める。

1項

この法律に特別の定めがあるもののほか、次に掲げる事項は、代議員会の議決を経なければならない。

一 号
規約の変更
二 号
収支予算の決定 又は変更
三 号

前二号に掲げるもののほか、規約で定める事項

2項
理事長は、代議員会が成立しないとき、又は理事長において代議員会を招集する暇がないと認めるときは、代議員会の議決を経なければならない事項で臨時急施を要するものを処分することができる。
3項

理事長は、前項の規定による処置については、次の代議員会においてこれを報告し、その承認を求めなければならない。

4項
代議員会は、監事に対し、基金の業務に関する監査を求め、その結果の報告を請求することができる。
1項
基金に、役員として理事 及び監事を置く。
2項
理事の定数は、偶数とし、その半数は加入員において互選した代議員において、他の半数は構成員事業主が選定した代議員において、それぞれ互選する。
3項

理事のうち一人を理事長とし、理事が互選する。

4項

監事は、代議員会において、学識経験を有する者、加入員において互選した代議員 及び構成員事業主が選定した代議員のうちから、それぞれ一人を選挙する。

5項

役員の任期は、二年とする。


ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。

6項

役員は、その任期が満了しても、後任の役員が就任するまでの間は、なおその職務を行う。

7項

監事は、理事 又は基金の職員と兼ねることができない

1項
理事長は、基金を代表し、その業務を執行する。理事長に事故があるとき、又は理事長が欠けたときは、理事のうちからあらかじめ理事長が指定する者がその職務を代理し、又はその職務を行う。
2項

基金の業務は、規約に別段の定めがある場合を除くほか、理事の過半数により決し、可否同数のときは、理事長の決するところによる。

3項
監事は、基金の業務を監査する。
4項

基金と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。


この場合においては、学識経験を有する者のうちから選任された監事が基金を代表する。

第四款 加入及び脱退

1項

第七条の八第二項の申出に基づき加入員となつた者のほか、設立事業場の勤労者(第六条の二第一項第二号の政令で定める者を除く)で、勤労者財産形成貯蓄を有しているもの(規約により加入員の資格を定めているときは、当該資格を有する者に限る)は、当該基金の加入員となることができる。

2項

基金は、規約において一定の日を加入日として定めるものとし、前項に規定する要件を満たす勤労者は、当該加入日までに加入員となる旨の申出をすることにより、当該加入日において当該基金の加入員となるものとする。

1項
加入員は、いつでも、当該基金に対し脱退の申出をすることができる。
2項

加入員は、次に掲げる場合のいずれかに該当するに至つた日の翌日において、当該基金の加入員でなくなるものとする。

一 号

前項の脱退の申出をしたとき。

二 号
死亡したとき。
三 号

設立事業場の勤労者でなくなつたとき(引き続き当該基金の構成員事業主の他の設立事業場の勤労者となつたときを除く)。

四 号
規約により定められている資格を喪失したとき。
五 号

第六条の二第一項第二号の政令で定める者に該当することとなつたとき その他政令で定める理由に該当することとなつたとき。

第五款 業務

1項

基金は、第七条の四の目的を達成するため、次の業務を行う。

一 号
勤労者財産形成基金契約の締結を行うこと。
二 号

第一種勤労者財産形成基金契約に基づく信託金等(当該第一種勤労者財産形成基金契約が生命保険に関する契約、生命共済に関する契約 又は損害保険に関する契約である場合には、当該契約に基づき保険金受取人となつた加入員に係る生命保険の剰余金に係る保険料、当該契約に基づき共済金受取人となつた加入員に係る生命共済の割戻金に係る共済掛金 又は当該契約に基づき満期返戻金受取人となつた加入員に係る損害保険の剰余金に係る保険料を含む。)の払込み 及び第二種勤労者財産形成基金契約に基づく預入金等の払込みを行うこと。

三 号
加入員に対する第二種財産形成基金給付金の支払 その他政令で定める金銭の支払を行うこと。
四 号

前三号の業務に附帯する業務を行うこと。

1項

基金が第一種勤労者財産形成基金契約に基づく信託金等の払込み(第六条の三第二項第八号に規定する払込みを除く)及び第二種勤労者財産形成基金契約に基づく預入金等(当該契約に基づき預入された預貯金 若しくは購入された有価証券 又はこれに係る利子 若しくは収益の分配に係る金銭により引き続き同一の銀行等において預貯金の預入 又は有価証券の購入が行われる場合における当該預入 又は購入に係る金銭を除く)の払込み(同条第三項第七号に規定する払込みを除く)に充てるために必要な金銭は、毎事業年度、その構成員事業主がその全額を拠出するものとする。

2項

前項の規定により構成員事業主が拠出した金銭は、返還を受けることができない

1項

基金が同一の加入員に関し二以上の勤労者財産形成基金契約を締結する場合には、基金は、当該勤労者財産形成基金契約の相手方である信託会社等 又は銀行等のうちいずれかの者を、財産形成基金給付金の支払に関する事務を一括して行う者として指定しなければならない。

2項

農業協同組合法第十条第一項第三号の事業 又は同項第十号の事業のうち生命共済の事業を行う農業協同組合連合会は同条の規定にかかわらず、漁業協同組合連合会は水産業協同組合法第八十七条の規定にかかわらず、それぞれ、前項の規定による指定を受けて、財産形成基金給付金の支払に関する事務を一括して行うことができる。

3項

第六条の三第二項第三号 及び同条第三項第二号の規約で定める金額は、特定の者について不当に差別的なものであつてはならない。

4項
基金は、加入員に係る第二種財産形成基金給付金について、政令で定めるところにより、その支払の確保のために必要な措置を講ずるものとする。
1項
基金の業務の執行に要する費用は、その構成員事業主がその全額を負担するものとする。
1項
基金の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。
2項

基金の最初の事業年度は、前項の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、その日の属する年の翌年の三月三十一日(一月一日から三月三十一日までの間に成立した基金については、その年の三月三十一日)に終わるものとする。

第六款 合併等

1項

二以上の基金は、その構成員事業主が同一である場合 又はそれぞれの構成員事業主が第七条の七第二項の政令で定める関係にある場合には、合併することができる。

2項

基金が合併しようとするときは、代議員会において代議員の定数の四分の三以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。

3項

合併によつて基金を設立するには、各基金のそれぞれの代議員会において役員 又は代議員のうちから選任された設立委員が、共同して、規約を作成し、その他設立に必要な行為をするとともに、互選により設立委員のうち一人を、設立後に理事長が選任されるまでの間、理事長の職務を行うべき者として選任しなければならない。

4項

前項の規定により選任された者は、この法律の規定の適用については、理事長とみなす。

5項
合併により設立された基金 又は合併後存続する基金は、合併により消滅した基金の権利義務を承継する。
1項

基金は、次の各号に掲げる事業場(他の基金の設立事業場であるものを除く)について、当該事業場の勤労者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、当該事業場の勤労者の過半数で組織する労働組合がないときはその勤労者の過半数を代表する者の同意を得、かつ、当該各号に規定する事業主の同意を得て、当該事業場をその設立事業場とすることができる。

一 号
構成員事業主の事業場で、当該基金の設立事業場でないもの
二 号

構成員事業主と第七条の七第二項の政令で定める関係にある事業主で、当該基金の構成員事業主でないものの事業場

2項

前項の規定により、同項第二号に掲げる事業場が設立事業場となつた場合には、当該事業主は、当該基金の構成員事業主となるものとする。

第七款 解散及び清算

1項
基金は、次に掲げる理由によつて解散する。
一 号

代議員会における代議員の定数の四分の三以上の多数による議決

二 号
業務の継続の不能
三 号
合併
四 号
加入員の数が政令で定める数未満となつたこと。
五 号
設立の認可の取消し
2項

基金は、前項第一号 又は第二号に掲げる理由により解散しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。

1項
解散した基金は、清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす。
1項

清算人は、第七条の二十六第一項第一号第二号 又は第四号に掲げる理由による解散の場合には代議員会において選任し、同項第五号に掲げる理由による解散の場合には厚生労働大臣が選任する。

1項

前条の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人 若しくは検察官の請求により 又は職権で、清算人を選任することができる。

1項

重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人 若しくは検察官の請求により 又は職権で、清算人を解任することができる。

1項
清算人の職務は、次のとおりとする。
一 号
現務の結了
二 号

債権の取立て 及び債務の弁済

三 号
残余財産の引渡し
2項

清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。

1項

清算人は、その就職の日から二月以内に、少なくとも三回の公告をもつて、債権者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。


この場合において、その期間は、二月下ることができない

2項

前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。


ただし、清算人は、知れている債権者を除斥することができない

3項

清算人は、知れている債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。

4項

第一項の公告は、官報に掲載してする。

1項

前条第一項の期間の経過後に申出をした債権者は、基金の債務が完済された後まだ権利の帰属すべき者に引き渡されていない財産に対してのみ、請求をすることができる。

1項
基金の清算は、裁判所の監督に属する。
2項

裁判所は、職権で、いつでも前項の監督に必要な検査をすることができる。

3項
基金の清算を監督する裁判所は、厚生労働大臣に対し、意見を求め、又は調査を嘱託することができる。
4項

厚生労働大臣は、前項に規定する裁判所に対し、意見を述べることができる。

1項
清算が結了したときは、清算人は、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
1項
基金の清算の監督 及び清算人に関する事件は、その主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
1項

清算人の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない

1項

裁判所は、第七条の二十七の二の規定により清算人を選任した場合には、基金が当該清算人に対して支払う報酬の額を定めることができる。


この場合においては、裁判所は、当該清算人 及び監事の陳述を聴かなければならない。

1項
裁判所は、基金の清算の監督に必要な調査をさせるため、検査役を選任することができる。
2項

前二条の規定は、前項の規定により裁判所が検査役を選任した場合について準用する。


この場合において、

前条
清算人 及び監事」とあるのは、
「基金 及び検査役」と

読み替えるものとする。

第八款 雑則

1項

基金は、厚生労働省令で定めるところにより、その業務についての報告書を厚生労働大臣に提出しなければならない。

2項

厚生労働大臣は、この法律を施行するために必要があると認めるときは、基金に対し、その業務に関し必要な報告を求め、又は当該職員に、基金の事務所に立ち入つて関係者に対して質問し、若しくは帳簿書類(その作成 又は保存に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成 又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。)の検査をさせることができる。

3項

前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

4項

第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

1項

厚生労働大臣は、前条第二項の規定により、報告を求め、又は質問し、若しくは検査をした場合において、基金の事業の管理 若しくは業務の執行が法令、規約 若しくは厚生労働大臣の処分に違反していると認めるとき、基金の事業の管理 若しくは業務の執行が著しく適正でないと認めるとき、又は基金の役員がその事業の管理 若しくは業務の執行を明らかに怠つていると認めるときは、期間を定めて、基金 又はその役員に対し、その違反の是正 又は改善のために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

2項
厚生労働大臣は、基金の事業の健全な運営を確保するために必要があると認めるときは、期間を定めて、当該基金に対し、その規約の変更を命ずることができる。
3項

基金が前二項の規定による命令に違反したとき、又はその事業の継続が困難であると認めるときは、厚生労働大臣は、当該基金の設立の認可を取り消すことができる。

1項

この節に規定するもののほか、基金の設立 及び解散 その他基金に関し必要な事項は、政令で定める。