検疫法

# 昭和二十六年法律第二百一号 #

第二章 検疫

分類 法律
カテゴリ   厚生
@ 施行日 : 令和四年十二月十九日 ( 2022年 12月19日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第九十六号による改正
最終編集日 : 2023年 01月06日 09時50分


1項

次に掲げる船舶 又は航空機(以下それぞれ「外国から来航した船舶」又は「外国から来航した航空機」という。)の長(長に代つてその職務を行う者を含む。以下同じ。)は、検疫済証 又は仮検疫済証の交付(第十七条第二項の通知を含む。第九条除き、以下同じ。)を受けた後でなければ、当該船舶を国内(本州、北海道、四国 及び九州 並びに厚生労働省令で定めるこれらに附属する島の区域内をいう。以下同じ。)の港に入れ、又は当該航空機を検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、若しくは着水させてはならない。


ただし、外国から来航した船舶の長が、検疫を受けるため当該船舶を第八条第一項に規定する検疫区域 若しくは同条第三項の規定により指示された場所に入れる場合 若しくは次条ただし書 第一号の確認を受けた者の上陸 若しくは同号の確認を受けた物 若しくは第十三条の二の指示に係る貨物の陸揚のため当該船舶を港(第八条第一項に規定する検疫区域 又は同条第三項の規定により指示された場所を除く)に入れる場合 又は外国から来航した航空機の長が、検疫所長(検疫所の支所 又は出張所の長を含む。以下同じ。)の許可を受けて当該航空機を着陸させ、若しくは着水させる場合は、この限りでない。

一 号

外国を発航し、又は外国に寄航して来航した船舶 又は航空機

二 号

航行中に、外国を発航し又は外国に寄航した他の船舶 又は航空機(検疫済証 又は仮検疫済証の交付を受けている船舶 又は航空機を除く)から人を乗り移らせ、又は物を運び込んだ船舶 又は航空機

1項

外国から来航した船舶 又は外国から来航した航空機(以下「船舶等」という。)については、その長が検疫済証 又は仮検疫済証の交付を受けた後でなければ、何人も、当該船舶から上陸し、若しくは物を陸揚げし、又は当該航空機 及び検疫飛行場ごとに検疫所長が指定する場所(第一号 及び第十三条の三において「検疫飛行場指定場所」という。)から離れ、若しくは物を運び出してはならない。


ただし次の各号いずれかに該当するときは、この限りでない。

一 号

検疫感染症の病原体に汚染していないことが明らかである旨の検疫所長の確認を受けて、当該船舶から上陸し、若しくは物を陸揚げし、又は当該航空機 及び検疫飛行場指定場所から離れ、若しくは物を運び出すとき。

二 号

第十三条の二の指示に従つて、当該貨物を陸揚げし、又は運び出すとき。

三 号

当該船舶から 検疫港ごとに検疫所長が指定する場所(以下 この号 及び第十三条の三において「検疫港指定場所」という。)に上陸し、又は検疫港指定場所に物を陸揚げするとき。

四 号
緊急やむを得ないと認められる場合において、検疫所長の許可を受けたとき。
1項

検疫を受けようとする船舶等の長は、当該船舶等が検疫港 又は検疫飛行場に近づいたときは、適宜の方法で、当該検疫港 又は検疫飛行場に置かれている検疫所(検疫所の支所 及び出張所を含む。以下同じ。)の長に、検疫感染症の患者 又は死者の有無 その他厚生労働省令で定める事項を通報しなければならない。

1項

船舶の長は、第十七条第二項の通知を受けた場合を除くほか、検疫を受けようとするときは、当該船舶を検疫区域に入れなければならない。

2項

外国から 来航した航空機の長は、当該航空機を最初に検疫飛行場に着陸させ、又は着水させたときは、直ちに、当該航空機を検疫区域に入れなければならない。

3項

前二項の場合において、天候 その他の理由により、検疫所長が、当該船舶等を検疫区域以外の場所に入れるべきことを指示したときは、船舶等の長は、その指示に従わなければならない。

4項

第一項 及び第二項の検疫区域は、厚生労働大臣が、国土交通大臣と協議して、検疫港 又は検疫飛行場ごとに一以上を定め、告示する。

1項

船舶の長は、検疫を受けるため当該船舶を検疫区域 又は前条第三項の規定により指示された場所に入れた時から、検疫済証 又は仮検疫済証の交付を受けるまでの間、厚生労働省令の定めるところにより、当該船舶に検疫信号を掲げなければならない。


船舶が港内に停泊中に、第十九条第一項の規定により仮検疫済証が失効し、又は同条第二項の規定により仮検疫済証が失効した旨の通知を受けた場合において、その失効 又は失効の通知の時から、当該船舶を港外に退去させ、又は更に検疫済証 若しくは仮検疫済証の交付を受けるまでの間も、同様とする。

1項

船舶等が検疫区域 又は第八条第三項の規定により指示された場所に入つたときは、検疫所長は、荒天の場合 その他やむを得ない事由がある場合を除き、すみやかに、検疫を開始しなければならない。


但し、日没後に入つた船舶については、日出まで検疫を開始しないことができる。

1項

検疫を受けるに当たつては、船舶等の長は、検疫所長に船舶等の名称 又は登録番号、発航地名、寄航地名 その他厚生労働省令で定める事項を記載した明告書を提出しなければならない。


ただし、仮検疫済証の失効後に受ける検疫にあつては、検疫所長から求められた場合に限る

2項

検疫所長は、船舶等の長に対して、第一号から 第三号までに掲げる書類の提出 並びに第四号 及び第五号に掲げる書類の提示 又は当該書類の写しの提出を求めることができる。

一 号
乗組員名簿
二 号
乗客名簿
三 号
積荷目録
四 号
航海日誌 又は航空日誌
五 号

その他 検疫のために必要な書類

1項

検疫所長は、船舶等に乗つて来た者 及び水先人 その他船舶等が来航した後これに乗り込んだ者に対して、必要な質問を行い、若しくは書類の提示 その他の適当と認める方法により必要な情報を提出することを求め、又は検疫官をしてこれらを行わせることができる。

1項

検疫所長は、検疫感染症につき、前条に規定する者に対する診察 及び船舶等に対する病原体の有無に関する検査を行い、又は検疫官をしてこれを行わせることができる。

2項

検疫所長は、前項の検査について必要があると認めるときは、死体の解剖を行い、又は検疫官をしてこれを行わせることができる。


この場合において、その死因を明らかにするため解剖を行う必要があり、かつ、その遺族の所在が不明であるか、又は遺族が遠隔の地に居住する等の理由により遺族の諾否が判明するのを待つていては その解剖の目的がほとんど達せられないことが明らかであるときは、遺族の承諾を受けることを要しない。

1項

検疫所長は、船舶等に積載された貨物について当該船舶等において前条第一項の検査を行なうことが困難であると認めるときは、同項の検査を行なうため、当該船舶等の長に対して、当該貨物を検疫所長の指示する場所に陸揚し、又は運び出すべき旨を指示することができる。

1項

検疫所長は、検疫業務の円滑な遂行に支障を及ぼす行為によつて船舶等、検疫港指定場所 又は検疫飛行場指定場所において検疫感染症が発生し、又はまん延するおそれがあると認めるときは、これらの場所における検疫感染症の発生 又はまん延を防止するため必要な限度において、第十二条に規定する者に対し当該行為を防止するため必要な指示を行い、又は検疫官をしてこれを行わせることができる。

1項

検疫所長は、検疫感染症が流行している地域を発航し、又は その地域に寄航して来航した船舶等、航行中に検疫感染症の患者 又は死者があつた船舶等、検疫感染症の患者 若しくは その死体、又はペスト菌を保有し、若しくは保有しているおそれのあるねずみ族が発見された船舶等、その他検疫感染症の病原体に汚染し、又は汚染したおそれのある船舶等について、合理的に必要と判断される限度において、次に掲げる措置の全部 又は一部をとることができる。

一 号

第二条第一号 又は第二号に掲げる感染症の患者を隔離し、又は検疫官をして隔離させること。

二 号

第二条第一号 又は第二号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者を停留し、又は検疫官をして停留させること(外国に当該各号に掲げる感染症が発生し、その病原体が国内に侵入し、国民の生命 及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときに限る)。

三 号

第二条第二号に掲げる感染症の患者 又は当該感染症の病原体に感染したおそれのある者に対し、当該感染症の感染の防止に必要な報告 又は協力を求めること。

四 号

第二条第二号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者に対し、当該感染症の感染の防止に必要な指示をすること。

五 号
検疫感染症の病原体に汚染し、若しくは汚染したおそれのある物 若しくは場所を消毒し、若しくは検疫官をして消毒させ、又は これらの物であつて消毒により難いものの廃棄を命ずること。
六 号

墓地、埋葬等に関する法律昭和二十三年法律第四十八号)の定めるところに従い、検疫感染症の病原体に汚染し、又は汚染したおそれのある死体(死胎を含む。)の火葬を行うこと。

七 号
検疫感染症の病原体に汚染し、若しくは汚染したおそれのある物 若しくは場所の使用を禁止し、若しくは制限し、又は これらの物の移動を禁止すること。
八 号
検疫官 その他適当と認める者をして、ねずみ族 又は虫類の駆除を行わせること。
九 号
必要と認める者に対して予防接種を行い、又は検疫官をしてこれを行わせること。
2項

検疫所長は、前項第一号から 第五号まで 又は第八号に掲げる措置をとる必要がある場合において、当該検疫所の設備の不足等のため、これに応ずることができないと認めるときは、当該船舶等の長に対し、その理由を示して他の検疫港 又は検疫飛行場に回航すべき旨を指示することができる。

1項

前条第一項第一号に規定する隔離は、次の各号に掲げる感染症ごとに、それぞれ当該各号に掲げる医療機関に入院を委託して行う。


ただし、緊急 その他やむを得ない理由があるときは、当該各号に掲げる医療機関以外の病院 又は診療所であつて検疫所長が適当と認めるものにその入院を委託して行うことができる。

一 号

第二条第一号に掲げる感染症

特定感染症指定医療機関(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に規定する特定感染症指定医療機関をいう。以下同じ。) 又は第一種感染症指定医療機関(同法に規定する第一種感染症指定医療機関をいう。以下同じ。

二 号

第二条第二号に掲げる感染症

特定感染症指定医療機関、 第一種感染症指定医療機関 又は第二種感染症指定医療機関(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に規定する第二種感染症指定医療機関をいう。以下同じ。

2項

検疫所長は、前項の措置に係る者を当該措置に係る病院 若しくは診療所に移送し、又は検疫官をしてこれを行わせることができる。

3項

検疫所長は、第一項の措置をとつた場合において、第二条第一号 又は第二号に掲げる感染症の患者について、当該感染症の病原体を保有していないことが確認されたときは、直ちに、当該隔離されている者の隔離を解かなければならない。

4項

第一項の委託を受けた病院 又は診療所の管理者は、前条第一項第一号の規定により隔離されている第二条第一号 又は第二号に掲げる感染症の患者について、当該感染症の病原体を保有していないことを確認したときは、検疫所長にその旨を通知しなければならない。

5項

前条第一項第一号の規定により隔離されている者 又は その保護者(親権を行う者 又は後見人をいう。以下同じ。)は、検疫所長に対し、当該隔離されている者の隔離を解くことを求めることができる。

6項

検疫所長は、前項の規定による求めがあつたときは、当該隔離されている第二条第一号 又は第二号に掲げる感染症の患者について、当該感染症の病原体を保有しているかどうかの確認をしなければならない。

1項

第十四条第一項第二号に規定する停留は、第二条第一号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者については、期間を定めて、特定感染症指定医療機関 又は第一種感染症指定医療機関に入院を委託して行う。


ただし、緊急 その他やむを得ない理由があるときは、特定感染症指定医療機関 及び第一種感染症指定医療機関以外の病院 若しくは診療所であつて検疫所長が適当と認めるものにその入院を委託し、又は船舶の長の同意を得て、船舶内に収容して行うことができる。

2項

第十四条第一項第二号に規定する停留は、第二条第二号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者については、期間を定めて、特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関 若しくは第二種感染症指定医療機関 若しくはこれら以外の病院 若しくは診療所であつて検疫所長が適当と認めるものに入院を委託し、又は宿泊施設(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第四十四条の三第二項に規定する宿泊施設をいう。以下同じ。)の管理者の同意を得て宿泊施設内に収容し、若しくは船舶の長の同意を得て船舶内に収容して行うことができる。

3項

前二項の期間は、第二条第一号に掲げる感染症のうちペストについては百四十四時間を超えてはならず、ペスト以外の同号 又は同条第二号に掲げる感染症については五百四時間を超えない期間であつて当該感染症ごとにそれぞれの潜伏期間を考慮して政令で定める期間を超えてはならない。

4項

検疫所長は、第一項の措置に係る者を当該措置に係る病院 若しくは診療所に移送し、若しくは第二項の措置に係る者を当該措置に係る病院 若しくは診療所 若しくは宿泊施設に移送し、又は検疫官をしてこれらを行わせることができる。

5項

検疫所長は、第一項 又は第二項の措置をとつた場合において、当該停留されている者について、当該停留に係る感染症の病原体を保有していないことが確認されたときは、直ちに、当該停留されている者の停留を解かなければならない。

6項

第一項 又は第二項の委託を受けた病院 又は診療所の管理者は、第十四条第一項第二号の規定により停留されている者について、当該停留に係る感染症の病原体を保有していないことを確認したときは、検疫所長にその旨を通知しなければならない。

7項

第十四条第一項第二号の規定により停留されている者 又は その保護者は、検疫所長に対し、当該停留されている者の停留を解くことを求めることができる。

8項

検疫所長は、前項の規定による求めがあつたときは、当該停留されている者について、当該停留に係る感染症の病原体を保有しているかどうかの確認をしなければならない。

1項

第十四条第一項第三号の規定による求めは、第二条第二号に掲げる感染症の患者については、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の病原体を保有していないことが確認されるまでの間、当該者の体温 その他の健康状態について報告を求め、又は宿泊施設から外出しないこと その他の当該感染症の感染の防止に必要な協力を求めることにより行う。

2項

第十四条第一項第三号の規定による求めは、第二条第二号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者については、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の潜伏期間を考慮して定めた期間内において、当該者の居宅 若しくはこれに相当する場所(第六項 及び次条において「居宅等」という。)又は宿泊施設から外出しないこと その他の当該感染症の感染の防止に必要な協力を求めることにより行う。

3項

第一項の規定により報告を求められた者は、正当な理由がある場合を除き、これに応じなければならず、前二項の規定により協力を求められた者は、これに応ずるよう努めなければならない。

4項

第一項の規定による協力の求めに応じない患者に対する第十五条第一項 及び第二項の規定の適用については、

同条第一項
委託して行う。」とあるのは
「委託し、又は宿泊施設(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第四十四条の三第二項に規定する宿泊施設をいう。第二号 及び次項において同じ。)の管理者の同意を得て当該宿泊施設内に収容して行う。」と、

同項第二号
又は」とあるのは
「若しくは」と、

同じ。)」とあるのは
同じ。)又は宿泊施設」と、

同条第二項
診療所」とあるのは
「診療所 若しくは宿泊施設」と

する。

5項

検疫所長は、第二項の規定により協力を求めた者の関係者に対し、質問 若しくは調査を行い、又は検疫官をしてこれらを行わせることができる。

6項

検疫所長は、第二項の規定により居宅等から外出しないことの協力を求めた者に対し、居宅等から外出していないかどうかについて報告を求めることができる。

1項

第十四条第一項第四号の規定による指示は、前条第二項の規定により居宅等から外出しないことの協力を求めた者であつて、正当な理由なく当該協力の求めに応じないもの又は同条第六項の規定による報告の求めに応じないものに対し、厚生労働省令で定めるところにより、居宅等から外出しないことを指示することにより行う。

2項

検疫所長は、前項の規定による指示をした者に対し、居宅等から外出していないかどうかについて報告を求めることができる。

1項

第十四条第一項第一号の規定により隔離されている者であつて当該隔離の期間が三十日を超えるもの又は その保護者は、当該隔離について文書 又は口頭により、厚生労働大臣に審査請求をすることができる。

2項

厚生労働大臣は、前項の審査請求があつたときは、当該審査請求があつた日から起算して五日以内に、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。

3項

第十四条第一項第一号の規定により隔離されている者であつて当該隔離の期間が三十日を超えないもの又は その保護者が、厚生労働大臣に審査請求をしたときは、厚生労働大臣は、当該審査請求に係る隔離されている者が同号の規定により隔離された日から起算して三十五日以内に、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。

4項

厚生労働大臣は、第二項の裁決 又は前項の裁決(隔離の期間が三十日を超える者に係るものに限る)をしようとするときは、あらかじめ、審議会等(国家行政組織法昭和二十三年法律第百二十号第八条に規定する機関をいう。)で政令で定めるものの意見を聴かなければならない。

5項

第三項の審査請求(隔離の期間が三十日を超えない者に係るものに限る)については、行政不服審査法平成二十六年法律第六十八号第二章第四節の規定は、適用しない

1項

検疫所長は、当該船舶等を介して、検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがないと認めたときは、当該船舶等の長に対して、検疫済証を交付しなければならない。

2項

検疫所長は、船舶の長が第六条の通報をした上 厚生労働省令で定めるところにより厚生労働省令で定める事項を通報した場合において、これらの通報により、当該船舶を介して、検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがないと認めたときは、あらかじめ、当該船舶の長に対して、検疫済証を交付する旨の通知をしなければならない。

1項

検疫所長は、検疫済証を交付することができない場合においても、当該船舶等を介して検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがほとんどないと認めたときは、当該船舶等の長に対して、一定の期間を定めて、仮検疫済証を交付することができる。

2項

前項の場合において、検疫所長は、検疫感染症(第二条第二号に掲げる感染症を除く)の病原体に感染したおそれのある者で停留されないものに対し、出入国管理及び難民認定法昭和二十六年政令第三百十九号第二条第五号に規定する旅券の提示を求め、当該者の国内における居所、連絡先 及び氏名 並びに旅行の日程 その他の厚生労働省令で定める事項について報告を求め、同項の規定により定めた期間内において当該者の体温 その他の健康状態について報告を求め、若しくは質問を行い、又は検疫官をしてこれらを行わせることができる。

3項

検疫所長は、前項の規定による報告 又は質問の結果、健康状態に異状を生じた者を確認したときは、当該者に対し、保健所 その他の医療機関において診察を受けるべき旨 その他検疫感染症の予防上 必要な事項を指示するとともに、当該者の居所の所在地を管轄する都道府県知事(保健所を設置する市 又は特別区にあつては、市長 又は区長とする。第五項 及び第二十六条の三において同じ。)に当該指示した事項 その他の厚生労働省令で定める事項を通知しなければならない。

4項

第一項の場合において、検疫所長は、第二条第二号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者で停留されないものに対し、第二項に規定する旅券の提示を求め、若しくは当該者の国内における居所、連絡先 及び氏名 並びに旅行の日程 その他の厚生労働省令で定める事項について報告を求め、又は検疫官をしてこれらを求めさせることができる。

5項

検疫所長は、前項の規定により報告された事項を同項に規定する者の居所の所在地を管轄する都道府県知事に通知しなければならない。

1項

仮検疫済証の交付を受けた船舶等に、前条第一項の規定により定められた期間内に、検疫感染症の患者 又は検疫感染症による死者が発生したときは、当該仮検疫済証は、その効力を失う。


この場合においては、当該船舶等の長は、直ちに、その旨を最寄りの検疫所長に通報しなければならない。

2項

仮検疫済証を交付した検疫所長は、当該船舶等について更に第十四条第一項各号に掲げる措置をとる必要があると認めたときは、前条第一項の規定により定めた期間内に限り、当該仮検疫済証の効力を失わしめることができる。


この場合においては、当該検疫所長は、直ちに、その旨を当該船舶等の長に通知しなければならない。

3項

前二項の規定により仮検疫済証が失効した場合において、当該船舶が港内に停泊中であり、又は当該航空機が国内の場所(港の水面を含む。)に停止中であるときは、第一項の通報を受けた検疫所長 又は当該仮検疫済証を交付した検疫所長は、当該船舶等の長に対し、当該船舶等を検疫区域 若しくは その指示する場所に入れ、又は当該船舶を港外に退去させ、若しくは当該航空機をその場所から離陸させ、若しくは離水させるべき旨を命ずることができる。

1項

検疫所長は、第十四条第一項各号の一に掲げる措置 又は同条第二項の指示をした場合において、当該船舶等の長 その他の関係者から求められたときは、その旨の証明書を交付しなければならない。

1項

次に掲げる要件のすべてを満たしている船舶の長は、第四条の規定にかかわらず、検疫を受けるため、当該船舶を検疫港以外の港に入れることができる。


ただし、あらかじめその港の最寄りの検疫所の長の許可を受けた場合に限る

一 号

検疫感染症が現に流行し、又は流行するおそれのある地域として厚生労働省令で指定する外国の地域を発航し、又は その地域に寄航して来航したものでないこと。

二 号

航行中に、前号に規定する外国の地域を発航し又は その地域に寄航した他の船舶 又は航空機(検疫済証 又は仮検疫済証の交付を受けている船舶 又は航空機を除く)から人を乗り移らせ、又は物を運び込んだものでないこと。

三 号

航行中に検疫感染症の患者が発生しなかつたこと。

四 号

医師 又は外国の法令によりこれに相当する資格を有する者が船医として乗り組んでいること。

五 号

ねずみ族の駆除が十分に行われた旨 又はねずみ族の駆除を行う必要がない状態にあることを確認した旨を証する証明書(検疫所長 又は外国のこれに相当する機関が六箇月内に発行したものに限る)を有すること。

2項

船舶の長は、前項ただし書の許可を受けようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、同項各号に掲げる事項 その他厚生労働省令で定める事項を通報して申請しなければならない。

3項

検疫所長は、第一項ただし書の許可の申請を受けたときは、すみやかに、許可するかどうかを決定し、これを当該船舶の長に通知しなければならない。

4項

第一項の船舶の長は、当該船舶を検疫港以外の港に入れたときは、直ちに、当該船舶をその港の区域内の検疫所長が指示する場所に入れなければならない。

5項

第九条 及び第十条の規定は、第一項の船舶が前項の規定により指示された場所に入つた場合に準用する。

6項

検疫所長は、第一項の船舶が検疫感染症の病原体に汚染し、若しくは汚染したおそれがあると認めるとき、又は当該船舶を検疫港に回航させた上更に第十三条に規定する診察 若しくは検査を行う必要があると認めるときは、当該船舶の長に対し、その理由を示して、その港における検疫を打ち切ることができる。

7項

前項の規定により検疫港以外の港における検疫が打ち切られたときは、当該船舶の長は、直ちに、当該船舶を港外に退去させなければならない。

8項

第二十条の規定は、検疫所長が第六項の規定により検疫を打ち切つた場合に準用する。

1項

第四条第二号に該当する船舶 又は航空機(同時に同条第一号にも該当する船舶 又は航空機を除く)の長は、当該船舶 又は航空機の性能が長距離の航行に堪えないため、又は その他の理由により、検疫港 又は検疫飛行場に至ることが困難であるときは、第四条の規定にかかわらず、検疫を受けるため、当該船舶を検疫港以外の港に入れ、又は当該航空機を検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、若しくは着水させることができる。

2項

前項の船舶 又は航空機の長は、当該船舶を検疫港以外の港に入れ、又は当該航空機を検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、若しくは着水させたときは、直ちに、最寄りの保健所長に、検疫感染症の患者の有無、第四条第二号に該当するに至つた日時 及び場所 その他厚生労働省令で定める事項を通報しなければならない。


ただし、当該船舶 又は航空機の長が、あらかじめ、最寄りの検疫所長にこれらの事項を通報した場合は、この限りでない。

3項

前項の通報を受けた保健所長は、当該船舶 又は航空機について、検査、消毒 その他検疫感染症の予防上 必要な措置をとることができる。

4項

第一項の船舶 又は航空機については、第五条第四号に規定する許可は、保健所長もすることができる。

5項

第一項の船舶 又は航空機であつて、当該船舶 又は航空機を介して検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがない旨の保健所長の確認を受けたものについては、第四条 及び第五条の規定を適用しない

6項

第九条 及び第十条の規定は第一項の船舶の長が第二項ただし書の通報をした後 当該船舶を検疫港以外の港に入れた場合に、同条の規定は第一項の航空機の長が第二項ただし書の通報をした後 当該航空機を検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、又は着水させた場合に準用する。

1項

検疫済証 又は仮検疫済証の交付を受けていない船舶等の長は、急迫した危難を避けるため、やむを得ず当該船舶等を国内の港に入れ、又は検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、若しくは着水させた場合において、その急迫した危難が去つたときは、直ちに、当該船舶を検疫区域 若しくは検疫所長の指示する場所に入れ、若しくは港外に退去させ、又は当該航空機をその場所から離陸させ、若しくは離水させなければならない。

2項

前項の場合において、やむを得ない理由により当該船舶を検疫区域等に入れ、若しくは港外に退去させ、又は当該航空機をその場所から離陸させ、若しくは離水させることができないときは、船舶等の長は、最寄りの検疫所長、検疫所がないときは保健所長に、検疫感染症の患者の有無、発航地名、寄航地名 その他 厚生労働省令で定める事項を通報しなければならない。

3項

前項の通報を受けた検疫所長 又は保健所長は、当該船舶等について、検査、消毒 その他検疫感染症の予防上必要な措置をとることができる。

4項

第二項の船舶等については、第五条第四号に規定する許可は、保健所長もすることができる。

5項

第二項の船舶等であつて、当該船舶等を介して検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがほとんどない旨の検疫所長 又は保健所長の確認を受けたものについては、当該船舶等がその場所にとどまつている限り、第五条の規定を適用しない

6項

前四項の規定は、国内の港以外の海岸において航行不能となつた船舶等について準用する。

7項

検疫済証 又は仮検疫済証の交付を受けていない船舶等の長は、急迫した危難を避けるため、やむを得ず当該船舶から上陸し、若しくは物を陸揚げし、又は当該航空機から離れ、若しくは物を運び出した者があるときは、直ちに、最寄りの保健所長 又は市町村長に、検疫感染症の患者の有無 その他厚生労働省令で定める事項を届け出なければならない。

1項

検疫所長は、当該検疫所における検疫業務を円滑に行うため必要があると認めるときは、船舶等の所有者 若しくは長 又は検疫港 若しくは検疫飛行場の管理者に対し、第十二条の規定による質問に関する書類の配付、検疫の手続に関する情報の提供 その他必要な協力を求めることができる。

1項

厚生労働大臣 又は検疫所長は、第十三条第一項の診察 若しくは検査を行うため必要があると認めるとき、又は第十四条第一項第一号から 第四号までに掲げる措置をとるため必要があると認めるときは、宿泊施設の開設者、運送事業者 その他関係者に対し、宿泊施設の提供、人 又は物の運送 その他必要な協力を求めることができる。

1項
厚生労働大臣 又は検疫所長は、出入国在留管理庁、税関、警察庁、都道府県警察、海上保安庁 その他の関係行政機関に対し、この章の規定による事務の遂行に関して、必要な協力を求めることができる。
2項
前項の規定による協力を求められた関係行政機関は、本来の任務の遂行を妨げない範囲において、できるだけ その求めに応じなければならない。