この法律は、国内に常在しない感染症の病原体が船舶 又は航空機を介して国内に侵入することを防止するとともに、船舶 又は航空機に関してその他の感染症の予防に必要な措置を講ずることを目的とする。
検疫法
第一章 総則
この法律において「検疫感染症」とは、次に掲げる感染症をいう。
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)に規定する一類感染症
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に規定する新型インフルエンザ等感染症
前二号に掲げるもののほか、国内に常在しない感染症のうちその病原体が国内に侵入することを防止するためその病原体の有無に関する検査が必要なものとして政令で定めるもの
前条第一号に掲げる感染症の疑似症を呈している者については、同号に掲げる感染症の患者とみなして、この法律を適用する。
前条第二号に掲げる感染症の疑似症を呈している者であつて当該感染症の病原体に感染したおそれのあるものについては、同号に掲げる感染症の患者とみなして、この法律を適用する。
前条第一号 又は第二号に掲げる感染症の病原体を保有している者であつて当該感染症の症状を呈していないものについては、それぞれ同条第一号 又は第二号に掲げる感染症の患者とみなして、この法律を適用する。
この法律において「検疫港」又は「検疫飛行場」とは、それぞれ政令で定める港 又は飛行場をいう。
第二章 検疫
次に掲げる船舶 又は航空機(以下それぞれ「外国から来航した船舶」又は「外国から来航した航空機」という。)の長(長に代つてその職務を行う者を含む。以下同じ。)は、検疫済証 又は仮検疫済証の交付(第十七条第二項の通知を含む。第九条を除き、以下同じ。)を受けた後でなければ、当該船舶を国内(本州、北海道、四国 及び九州 並びに厚生労働省令で定めるこれらに附属する島の区域内をいう。以下同じ。)の港に入れ、又は当該航空機を検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、若しくは着水させてはならない。
ただし、外国から来航した船舶の長が、検疫を受けるため当該船舶を第八条第一項に規定する検疫区域 若しくは同条第三項の規定により指示された場所に入れる場合 若しくは次条ただし書 第一号の確認を受けた者の上陸 若しくは同号の確認を受けた物 若しくは第十三条の二の指示に係る貨物の陸揚のため当該船舶を港(第八条第一項に規定する検疫区域 又は同条第三項の規定により指示された場所を除く。)に入れる場合 又は外国から来航した航空機の長が、検疫所長(検疫所の支所 又は出張所の長を含む。以下同じ。)の許可を受けて当該航空機を着陸させ、若しくは着水させる場合は、この限りでない。
外国を発航し、又は外国に寄航して来航した船舶 又は航空機
航行中に、外国を発航し 又は外国に寄航した他の船舶 又は航空機(検疫済証 又は仮検疫済証の交付を受けている船舶 又は航空機を除く。)から人を乗り移らせ、又は物を運び込んだ船舶 又は航空機
外国から来航した船舶 又は外国から来航した航空機(以下「船舶等」という。)については、その長が検疫済証 又は仮検疫済証の交付を受けた後でなければ、何人も、当該船舶から上陸し、若しくは物を陸揚げし、又は当該航空機 及び検疫飛行場ごとに検疫所長が指定する場所(第一号 及び第十三条の三において「検疫飛行場指定場所」という。)から離れ、若しくは物を運び出してはならない。
ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
検疫感染症の病原体に汚染していないことが明らかである旨の検疫所長の確認を受けて、当該船舶から上陸し、若しくは物を陸揚げし、又は当該航空機 及び検疫飛行場指定場所から離れ、若しくは物を運び出すとき。
第十三条の二の指示に従つて、当該貨物を陸揚げし、又は運び出すとき。
当該船舶から検疫港ごとに検疫所長が指定する場所(以下この号 及び第十三条の三において「検疫港指定場所」という。)に上陸し、又は検疫港指定場所に物を陸揚げするとき。
検疫を受けようとする船舶等の長は、当該船舶等が検疫港 又は検疫飛行場に近づいたときは、適宜の方法で、当該検疫港 又は検疫飛行場に置かれている検疫所(検疫所の支所 及び出張所を含む。以下同じ。)の長に、検疫感染症の患者 又は死者の有無 その他厚生労働省令で定める事項を通報しなければならない。
船舶の長は、第十七条第二項の通知を受けた場合を除くほか、検疫を受けようとするときは、当該船舶を検疫区域に入れなければならない。
外国から来航した航空機の長は、当該航空機を最初に検疫飛行場に着陸させ、又は着水させたときは、直ちに、当該航空機を検疫区域に入れなければならない。
前二項の場合において、天候 その他の理由により、検疫所長が、当該船舶等を検疫区域以外の場所に入れるべきことを指示したときは、船舶等の長は、その指示に従わなければならない。
第一項 及び第二項の検疫区域は、厚生労働大臣が、国土交通大臣と協議して、検疫港 又は検疫飛行場ごとに一以上を定め、告示する。
船舶の長は、検疫を受けるため当該船舶を検疫区域 又は前条第三項の規定により指示された場所に入れた時から、検疫済証 又は仮検疫済証の交付を受けるまでの間、厚生労働省令の定めるところにより、当該船舶に検疫信号を掲げなければならない。
船舶が港内に停泊中に、第十九条第一項の規定により仮検疫済証が失効し、又は同条第二項の規定により仮検疫済証が失効した旨の通知を受けた場合において、その失効 又は失効の通知の時から、当該船舶を港外に退去させ、又は更に検疫済証 若しくは仮検疫済証の交付を受けるまでの間も、同様とする。
船舶等が検疫区域 又は第八条第三項の規定により指示された場所に入つたときは、検疫所長は、荒天の場合 その他やむを得ない事由がある場合を除き、すみやかに、検疫を開始しなければならない。
但し、日没後に入つた船舶については、日出まで検疫を開始しないことができる。
検疫を受けるに当たつては、船舶等の長は、検疫所長に船舶等の名称 又は登録番号、発航地名、寄航地名 その他厚生労働省令で定める事項を記載した明告書を提出しなければならない。
ただし、仮検疫済証の失効後に受ける検疫にあつては、検疫所長から求められた場合に限る。
検疫所長は、船舶等の長に対して、第一号から第三号までに掲げる書類の提出 並びに第四号 及び第五号に掲げる書類の提示 又は当該書類の写しの提出を求めることができる。
その他検疫のために必要な書類
検疫所長は、船舶等に乗つて来た者 及び水先人 その他船舶等が来航した後これに乗り込んだ者に対して、必要な質問を行い、若しくは書類の提示 その他の適当と認める方法により必要な情報を提出することを求め、又は検疫官をしてこれらを行わせることができる。
検疫所長は、検疫感染症につき、前条に規定する者に対する診察 及び船舶等に対する病原体の有無に関する検査を行い、又は検疫官をしてこれを行わせることができる。
検疫所長は、前項の検査について必要があると認めるときは、死体の解剖を行い、又は検疫官をしてこれを行わせることができる。
この場合において、その死因を明らかにするため解剖を行う必要があり、かつ、その遺族の所在が不明であるか、又は遺族が遠隔の地に居住する等の理由により遺族の諾否が判明するのを待つていてはその解剖の目的がほとんど達せられないことが明らかであるときは、遺族の承諾を受けることを要しない。
検疫所長は、船舶等に積載された貨物について当該船舶等において前条第一項の検査を行なうことが困難であると認めるときは、同項の検査を行なうため、当該船舶等の長に対して、当該貨物を検疫所長の指示する場所に陸揚し、又は運び出すべき旨を指示することができる。
検疫所長は、検疫業務の円滑な遂行に支障を及ぼす行為によつて船舶等、検疫港指定場所 又は検疫飛行場指定場所において検疫感染症が発生し、又はまん延するおそれがあると認めるときは、これらの場所における検疫感染症の発生 又はまん延を防止するため必要な限度において、第十二条に規定する者に対し当該行為を防止するため必要な指示を行い、又は検疫官をしてこれを行わせることができる。
検疫所長は、検疫感染症が流行している地域を発航し、又はその地域に寄航して来航した船舶等、航行中に検疫感染症の患者 又は死者があつた船舶等、検疫感染症の患者 若しくはその死体、又はペスト菌を保有し、若しくは保有しているおそれのあるねずみ族が発見された船舶等、その他検疫感染症の病原体に汚染し、又は汚染したおそれのある船舶等について、合理的に必要と判断される限度において、次に掲げる措置の全部 又は一部をとることができる。
第二条第一号 又は第二号に掲げる感染症の患者を隔離し、又は検疫官をして隔離させること。
第二条第一号 又は第二号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者を停留し、又は検疫官をして停留させること(外国に当該各号に掲げる感染症が発生し、その病原体が国内に侵入し、国民の生命 及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときに限る。)。
第二条第二号に掲げる感染症の患者 又は当該感染症の病原体に感染したおそれのある者に対し、当該感染症の感染の防止に必要な報告 又は協力を求めること。
第二条第二号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者に対し、当該感染症の感染の防止に必要な指示をすること。
墓地、埋葬等に関する法律(昭和二十三年法律第四十八号)の定めるところに従い、検疫感染症の病原体に汚染し、又は汚染したおそれのある死体(死胎を含む。)の火葬を行うこと。
検疫所長は、前項第一号から第五号まで 又は第八号に掲げる措置をとる必要がある場合において、当該検疫所の設備の不足等のため、これに応ずることができないと認めるときは、当該船舶等の長に対し、その理由を示して他の検疫港 又は検疫飛行場に回航すべき旨を指示することができる。
前条第一項第一号に規定する隔離は、次の各号に掲げる感染症ごとに、それぞれ当該各号に掲げる医療機関に入院を委託して行う。
ただし、緊急 その他やむを得ない理由があるときは、当該各号に掲げる医療機関以外の病院 又は診療所であつて検疫所長が適当と認めるものにその入院を委託して行うことができる。
第二条第一号に掲げる感染症
特定感染症指定医療機関(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に規定する特定感染症指定医療機関をいう。以下同じ。) 又は第一種感染症指定医療機関(同法に規定する第一種感染症指定医療機関をいう。以下同じ。)
第二条第二号に掲げる感染症
特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関、第二種感染症指定医療機関(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に規定する第二種感染症指定医療機関をいう。以下同じ。)又は第一種協定指定医療機関(同法に規定する第一種協定指定医療機関をいう。以下同じ。)
検疫所長は、前項の措置に係る者を当該措置に係る病院 若しくは診療所に移送し、又は検疫官をしてこれを行わせることができる。
検疫所長は、第一項の措置をとつた場合において、第二条第一号 又は第二号に掲げる感染症の患者について、当該感染症の病原体を保有していないことが確認されたときは、直ちに、当該隔離されている者の隔離を解かなければならない。
第一項の委託を受けた病院 又は診療所の管理者は、前条第一項第一号の規定により隔離されている第二条第一号 又は第二号に掲げる感染症の患者について、当該感染症の病原体を保有していないことを確認したときは、検疫所長にその旨を通知しなければならない。
前条第一項第一号の規定により隔離されている者 又はその保護者(親権を行う者 又は後見人をいう。以下同じ。)は、検疫所長に対し、当該隔離されている者の隔離を解くことを求めることができる。
検疫所長は、前項の規定による求めがあつたときは、当該隔離されている第二条第一号 又は第二号に掲げる感染症の患者について、当該感染症の病原体を保有しているかどうかの確認をしなければならない。
第十四条第一項第二号に規定する停留は、第二条第一号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者については、期間を定めて、特定感染症指定医療機関 又は第一種感染症指定医療機関に入院を委託して行う。
ただし、緊急 その他やむを得ない理由があるときは、特定感染症指定医療機関 及び第一種感染症指定医療機関以外の病院 若しくは診療所であつて検疫所長が適当と認めるものにその入院を委託し、又は船舶の長の同意を得て、船舶内に収容して行うことができる。
第十四条第一項第二号に規定する停留は、第二条第二号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者については、期間を定めて、特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関、第二種感染症指定医療機関 若しくは第一種協定指定医療機関 若しくはこれら以外の病院 若しくは診療所であつて検疫所長が適当と認めるものに入院を委託し、又は宿泊施設(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第四十四条の三第二項に規定する宿泊施設をいう。以下同じ。)の管理者の同意を得て宿泊施設内に収容し、若しくは船舶の長の同意を得て船舶内に収容して行うことができる。
前二項の期間は、第二条第一号に掲げる感染症のうちペストについては百四十四時間を超えてはならず、ペスト以外の同号 又は同条第二号に掲げる感染症については五百四時間を超えない期間であつて当該感染症ごとにそれぞれの潜伏期間を考慮して政令で定める期間を超えてはならない。
検疫所長は、第一項の措置に係る者を当該措置に係る病院 若しくは診療所に移送し、若しくは第二項の措置に係る者を当該措置に係る病院 若しくは診療所 若しくは宿泊施設に移送し、又は検疫官をしてこれらを行わせることができる。
検疫所長は、第一項 又は第二項の措置をとつた場合において、当該停留されている者について、当該停留に係る感染症の病原体を保有していないことが確認されたときは、直ちに、当該停留されている者の停留を解かなければならない。
第一項 又は第二項の委託を受けた病院 又は診療所の管理者は、第十四条第一項第二号の規定により停留されている者について、当該停留に係る感染症の病原体を保有していないことを確認したときは、検疫所長にその旨を通知しなければならない。
第十四条第一項第二号の規定により停留されている者 又はその保護者は、検疫所長に対し、当該停留されている者の停留を解くことを求めることができる。
検疫所長は、前項の規定による求めがあつたときは、当該停留されている者について、当該停留に係る感染症の病原体を保有しているかどうかの確認をしなければならない。
第十四条第一項第三号の規定による求めは、第二条第二号に掲げる感染症の患者については、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の病原体を保有していないことが確認されるまでの間、当該者の体温 その他の健康状態について報告を求め、又は宿泊施設から外出しないこと その他の当該感染症の感染の防止に必要な協力を求めることにより行う。
第十四条第一項第三号の規定による求めは、第二条第二号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者については、厚生労働省令で定めるところにより、当該感染症の潜伏期間を考慮して定めた期間内において、当該者の居宅 若しくはこれに相当する場所(第六項 及び次条において「居宅等」という。)又は宿泊施設から外出しないこと その他の当該感染症の感染の防止に必要な協力を求めることにより行う。
第一項の規定により報告を求められた者は、正当な理由がある場合を除き、これに応じなければならず、前二項の規定により協力を求められた者は、これに応ずるよう努めなければならない。
第一項の規定による協力の求めに応じない患者に対する第十五条第一項 及び第二項の規定の適用については、
同条第一項中
「委託して行う。」とあるのは
「委託し、又は宿泊施設(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第四十四条の三第二項に規定する宿泊施設をいう。第二号 及び次項において同じ。)の管理者の同意を得て当該宿泊施設内に収容して行う。」と、
同項第二号中
「又は」とあるのは
「若しくは」と、
「第一種協定指定医療機関をいう。以下同じ。)」とあるのは
「第一種協定指定医療機関をいう。以下同じ。)又は宿泊施設」と、
同条第二項中
「診療所」とあるのは
「診療所 若しくは宿泊施設」と
する。
検疫所長は、第二項の規定により協力を求めた者の関係者に対し、質問 若しくは調査を行い、又は検疫官をしてこれらを行わせることができる。
検疫所長は、第二項の規定により居宅等から外出しないことの協力を求めた者に対し、居宅等から外出していないかどうかについて報告を求めることができる。
第十四条第一項第四号の規定による指示は、前条第二項の規定により居宅等から外出しないことの協力を求めた者であつて、正当な理由なく当該協力の求めに応じないもの又は同条第六項の規定による報告の求めに応じないものに対し、厚生労働省令で定めるところにより、居宅等から外出しないことを指示することにより行う。
検疫所長は、前項の規定による指示をした者に対し、居宅等から外出していないかどうかについて報告を求めることができる。
第十四条第一項第一号の規定により隔離されている者であつて当該隔離の期間が三十日を超えるもの 又はその保護者は、当該隔離について文書 又は口頭により、厚生労働大臣に審査請求をすることができる。
厚生労働大臣は、前項の審査請求があつたときは、当該審査請求があつた日から起算して五日以内に、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。
第十四条第一項第一号の規定により隔離されている者であつて当該隔離の期間が三十日を超えないもの 又はその保護者が、厚生労働大臣に審査請求をしたときは、厚生労働大臣は、当該審査請求に係る隔離されている者が同号の規定により隔離された日から起算して三十五日以内に、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。
厚生労働大臣は、第二項の裁決 又は前項の裁決(隔離の期間が三十日を超える者に係るものに限る。)をしようとするときは、あらかじめ、審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。)で政令で定めるものの意見を聴かなければならない。
第三項の審査請求(隔離の期間が三十日を超えない者に係るものに限る。)については、行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第二章第四節の規定は、適用しない。
検疫所長は、当該船舶等を介して、検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがないと認めたときは、当該船舶等の長に対して、検疫済証を交付しなければならない。
検疫所長は、船舶の長が第六条の通報をした上厚生労働省令で定めるところにより厚生労働省令で定める事項を通報した場合において、これらの通報により、当該船舶を介して、検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがないと認めたときは、あらかじめ、当該船舶の長に対して、検疫済証を交付する旨の通知をしなければならない。
検疫所長は、検疫済証を交付することができない場合においても、当該船舶等を介して検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがほとんどないと認めたときは、当該船舶等の長に対して、一定の期間を定めて、仮検疫済証を交付することができる。
前項の場合において、検疫所長は、検疫感染症(第二条第二号に掲げる感染症を除く。)の病原体に感染したおそれのある者で停留されないものに対し、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第二条第五号に規定する旅券の提示を求め、当該者の国内における居所、連絡先 及び氏名 並びに旅行の日程 その他の厚生労働省令で定める事項について報告を求め、同項の規定により定めた期間内において当該者の体温 その他の健康状態について報告を求め、若しくは質問を行い、又は検疫官をしてこれらを行わせることができる。
検疫所長は、前項の規定による報告 又は質問の結果、健康状態に異状を生じた者を確認したときは、当該者に対し、保健所 その他の医療機関において診察を受けるべき旨 その他検疫感染症の予防上必要な事項を指示するとともに、当該者の居所の所在地を管轄する都道府県知事(保健所を設置する市 又は特別区にあつては、市長 又は区長とする。第五項 及び第二十六条の三において同じ。)に当該指示した事項 その他の厚生労働省令で定める事項を通知しなければならない。
第一項の場合において、検疫所長は、第二条第二号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者で停留されないものに対し、第二項に規定する旅券の提示を求め、若しくは当該者の国内における居所、連絡先 及び氏名 並びに旅行の日程 その他の厚生労働省令で定める事項について報告を求め、又は検疫官をしてこれらを求めさせることができる。
検疫所長は、前項の規定により報告された事項を同項に規定する者の居所の所在地を管轄する都道府県知事に通知しなければならない。
仮検疫済証の交付を受けた船舶等に、前条第一項の規定により定められた期間内に、検疫感染症の患者 又は検疫感染症による死者が発生したときは、当該仮検疫済証は、その効力を失う。
この場合においては、当該船舶等の長は、直ちに、その旨を最寄りの検疫所長に通報しなければならない。
仮検疫済証を交付した検疫所長は、当該船舶等について更に第十四条第一項各号に掲げる措置をとる必要があると認めたときは、前条第一項の規定により定めた期間内に限り、当該仮検疫済証の効力を失わしめることができる。
この場合においては、当該検疫所長は、直ちに、その旨を当該船舶等の長に通知しなければならない。
前二項の規定により仮検疫済証が失効した場合において、当該船舶が港内に停泊中であり、又は当該航空機が国内の場所(港の水面を含む。)に停止中であるときは、第一項の通報を受けた検疫所長 又は当該仮検疫済証を交付した検疫所長は、当該船舶等の長に対し、当該船舶等を検疫区域 若しくはその指示する場所に入れ、又は当該船舶を港外に退去させ、若しくは当該航空機をその場所から離陸させ、若しくは離水させるべき旨を命ずることができる。
検疫所長は、第十四条第一項各号の一に掲げる措置 又は同条第二項の指示をした場合において、当該船舶等の長 その他の関係者から求められたときは、その旨の証明書を交付しなければならない。
次に掲げる要件のすべてを満たしている船舶の長は、第四条の規定にかかわらず、検疫を受けるため、当該船舶を検疫港以外の港に入れることができる。
ただし、あらかじめその港の最寄りの検疫所の長の許可を受けた場合に限る。
検疫感染症が現に流行し、又は流行するおそれのある地域として厚生労働省令で指定する外国の地域を発航し、又はその地域に寄航して来航したものでないこと。
航行中に、前号に規定する外国の地域を発航し又はその地域に寄航した他の船舶 又は航空機(検疫済証 又は仮検疫済証の交付を受けている船舶 又は航空機を除く。)から人を乗り移らせ、又は物を運び込んだものでないこと。
航行中に検疫感染症の患者が発生しなかつたこと。
医師 又は外国の法令によりこれに相当する資格を有する者が船医として乗り組んでいること。
ねずみ族の駆除が十分に行われた旨 又はねずみ族の駆除を行う必要がない状態にあることを確認した旨を証する証明書(検疫所長 又は外国のこれに相当する機関が六箇月内に発行したものに限る。)を有すること。
船舶の長は、前項ただし書の許可を受けようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、同項各号に掲げる事項 その他厚生労働省令で定める事項を通報して申請しなければならない。
検疫所長は、第一項ただし書の許可の申請を受けたときは、すみやかに、許可するかどうかを決定し、これを当該船舶の長に通知しなければならない。
第一項の船舶の長は、当該船舶を検疫港以外の港に入れたときは、直ちに、当該船舶をその港の区域内の検疫所長が指示する場所に入れなければならない。
第九条 及び第十条の規定は、第一項の船舶が前項の規定により指示された場所に入つた場合に準用する。
検疫所長は、第一項の船舶が検疫感染症の病原体に汚染し、若しくは汚染したおそれがあると認めるとき、又は当該船舶を検疫港に回航させた上更に第十三条に規定する診察 若しくは検査を行う必要があると認めるときは、当該船舶の長に対し、その理由を示して、その港における検疫を打ち切ることができる。
前項の規定により検疫港以外の港における検疫が打ち切られたときは、当該船舶の長は、直ちに、当該船舶を港外に退去させなければならない。
第二十条の規定は、検疫所長が第六項の規定により検疫を打ち切つた場合に準用する。
第四条第二号に該当する船舶 又は航空機(同時に同条第一号にも該当する船舶 又は航空機を除く。)の長は、当該船舶 又は航空機の性能が長距離の航行に堪えないため、又はその他の理由により、検疫港 又は検疫飛行場に至ることが困難であるときは、第四条の規定にかかわらず、検疫を受けるため、当該船舶を検疫港以外の港に入れ、又は当該航空機を検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、若しくは着水させることができる。
前項の船舶 又は航空機の長は、当該船舶を検疫港以外の港に入れ、又は当該航空機を検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、若しくは着水させたときは、直ちに、最寄りの保健所長に、検疫感染症の患者の有無、第四条第二号に該当するに至つた日時 及び場所 その他厚生労働省令で定める事項を通報しなければならない。
ただし、当該船舶 又は航空機の長が、あらかじめ、最寄りの検疫所長にこれらの事項を通報した場合は、この限りでない。
前項の通報を受けた保健所長は、当該船舶 又は航空機について、検査、消毒 その他検疫感染症の予防上必要な措置をとることができる。
第一項の船舶 又は航空機については、第五条第四号に規定する許可は、保健所長もすることができる。
第一項の船舶 又は航空機であつて、当該船舶 又は航空機を介して検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがない旨の保健所長の確認を受けたものについては、第四条 及び第五条の規定を適用しない。
第九条 及び第十条の規定は第一項の船舶の長が第二項ただし書の通報をした後当該船舶を検疫港以外の港に入れた場合に、同条の規定は第一項の航空機の長が第二項ただし書の通報をした後当該航空機を検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、又は着水させた場合に準用する。
検疫済証 又は仮検疫済証の交付を受けていない船舶等の長は、急迫した危難を避けるため、やむを得ず当該船舶等を国内の港に入れ、又は検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、若しくは着水させた場合において、その急迫した危難が去つたときは、直ちに、当該船舶を検疫区域 若しくは検疫所長の指示する場所に入れ、若しくは港外に退去させ、又は当該航空機をその場所から離陸させ、若しくは離水させなければならない。
前項の場合において、やむを得ない理由により当該船舶を検疫区域等に入れ、若しくは港外に退去させ、又は当該航空機をその場所から離陸させ、若しくは離水させることができないときは、船舶等の長は、最寄りの検疫所長、検疫所がないときは保健所長に、検疫感染症の患者の有無、発航地名、寄航地名 その他厚生労働省令で定める事項を通報しなければならない。
前項の通報を受けた検疫所長 又は保健所長は、当該船舶等について、検査、消毒 その他検疫感染症の予防上必要な措置をとることができる。
第二項の船舶等については、第五条第四号に規定する許可は、保健所長もすることができる。
第二項の船舶等であつて、当該船舶等を介して検疫感染症の病原体が国内に侵入するおそれがほとんどない旨の検疫所長 又は保健所長の確認を受けたものについては、当該船舶等がその場所にとどまつている限り、第五条の規定を適用しない。
前四項の規定は、国内の港以外の海岸において航行不能となつた船舶等について準用する。
検疫済証 又は仮検疫済証の交付を受けていない船舶等の長は、急迫した危難を避けるため、やむを得ず当該船舶から上陸し、若しくは物を陸揚げし、又は当該航空機から離れ、若しくは物を運び出した者があるときは、直ちに、最寄りの保健所長 又は市町村長に、検疫感染症の患者の有無 その他厚生労働省令で定める事項を届け出なければならない。
検疫所長は、当該検疫所における検疫業務を円滑に行うため必要があると認めるときは、船舶等の所有者 若しくは長 又は検疫港 若しくは検疫飛行場の管理者に対し、第十二条の規定による質問に関する書類の配付、検疫の手続に関する情報の提供 その他必要な協力を求めることができる。
厚生労働大臣 又は検疫所長は、第十三条第一項の診察 若しくは検査を行うため必要があると認めるとき、又は第十四条第一項第一号から第四号までに掲げる措置をとるため必要があると認めるときは、宿泊施設の開設者、運送事業者 その他関係者に対し、宿泊施設の提供、人 又は物の運送 その他必要な協力を求めることができる。
検疫所長は、第十四条第一項第一号 及び第二号に規定する措置(第三十四条の二第三項の規定により実施される場合を含む。以下この項において同じ。)について、措置 及び感染症ごとにそれぞれ第十五条第一項各号、第十六条第一項本文、同条第二項、第三十四条の三第一項本文 又は第三十四条の四第一項本文に規定する医療機関に迅速かつ適確に入院を委託することができる体制を整備するため、これらの医療機関の管理者と協議し、合意が成立したときは、当該医療機関が検疫所長からの求めに応じて第十四条第一項第一号 又は第二号に規定する措置に係る入院の委託を受けること その他厚生労働省令で定める事項をその内容に含む協定を締結するものとする。
検疫所長は、前項の協定(第二条第一号に掲げる感染症に係る措置に係る入院の委託に関するものを除く。次項において同じ。)を締結しようとするときは、あらかじめ、当該協定に係る医療機関の所在地を管轄する都道府県知事の意見を聴かなければならない。
検疫所長は、第一項の協定を締結したときは、当該協定に係る医療機関の所在地を管轄する都道府県知事に対し、遅滞なく、当該協定の内容を通知しなければならない。
検疫所長 及び都道府県知事は、検疫所長が第十四条第一項第一号 又は第二号に規定する措置をとろうとするときは、当該措置に係る入院の委託先の調整が円滑に行われるよう、相互の緊密な連携の確保に努めるものとする。
第三章 検疫所長の行うその他の衛生業務
検疫所長は、検疫を行うに当たり、当該船舶等内に、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第六条第三項から第五項まで 及び第八項に規定する感染症で検疫感染症以外のものの患者 若しくは死者を発見した場合 又は当該船舶等がこれらの感染症の病原体に汚染し、若しくは汚染したおそれがあると認めた場合において、緊急の必要があるときは、診察、消毒等 その予防に必要な応急措置を行い、又は検疫官をしてこれを行わせなければならない。
検疫所長は、検疫を行うに当り、当該船舶においてねずみ族の駆除が十分に行われていないと認めたときは、当該船舶の長に対し、ねずみ族を駆除すべき旨を命ずることができる。
ただし、当該船舶の長が、ねずみ族の駆除が十分に行われた旨 又はねずみ族の駆除を行う必要がない状態にあることを確認した旨を証する証明書(検疫所長 又は外国のこれに相当する機関が六箇月内に発行したものに限る。)を呈示したときは、この限りでない。
検疫所長は、船舶 又は航空機の所有者 又は長が、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めて、当該船舶 若しくは航空機に対する検疫感染症の病原体の有無に関する検査、消毒、若しくはねずみ族 若しくは虫類の駆除、その乗組員等に対する診察 若しくは予防接種、又はこれらの事項に関する証明書の交付を求めたときは、当該検疫所における検疫業務に支障のない限り、これに応ずることができる。
検疫所長は、外国に行こうとする者が、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めて、検疫感染症に関する診察、病原体の有無に関する検査 若しくは予防接種 又はこれらの事項に関する証明書の交付を求めたときは、当該検疫所における検疫業務に支障のない限り、これに応ずることができる。
検疫所長は、貨物を輸出しようとする者が、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めて、輸出しようとする貨物に対する検疫感染症の病原体の有無に関する検査、消毒 若しくは虫類の駆除 又はこれらの事項に関する証明書の交付を求めたときは、当該検疫所における検疫業務に支障のない限り、これに応ずることができる。
検疫所長は、外国に行こうとする者 又は第十二条に規定する者が、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めて、感染症の予防 及び感染症の患者に対する医療に関する法律第六条第三項から第六項まで 及び第八項に規定する感染症で検疫感染症以外のもののうち政令で定める感染症に関する診察、病原体の有無に関する検査 若しくは予防接種 又はこれらの事項に関する証明書の交付を求めたときは、当該検疫所における検疫業務に支障のない限り、これに応ずることができる。
検疫所長は、第十三条第一項、第二十四条、第二十六条第一項 又は前条に規定する診察の結果に基づき、当該診察を受けた者が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第六条第二項から第五項まで、第七項 又は第八項に規定する感染症の病原体を保有していることが明らかになつた場合には、厚生労働省令で定める場合を除き、当該者の居住地(居住地がないか、又は明らかでないときは、現在地)を管轄する都道府県知事に厚生労働省令で定める事項を通知しなければならない。
検疫所長は、検疫感染症 及びこれに準ずる感染症で政令で定めるものの病原体を媒介する虫類の有無 その他これらの感染症に関する当該港 又は飛行場の衛生状態を明らかにするため、検疫港 又は検疫飛行場ごとに政令で定める区域内に限り、当該区域内にある船舶 若しくは航空機について、食品、飲料水、汚物、汚水、ねずみ族 及び虫類の調査を行い、若しくは当該区域内に設けられている施設、建築物 その他の場所について、海水、汚物、汚水、ねずみ族 及び虫類の調査を行い、又は検疫官をしてこれを行わせることができる。
検疫所長は、前項に規定する感染症が流行し、又は流行するおそれがあると認めるときは、同項の規定に基づく政令で定める区域内に限り、当該区域内にある船舶 若しくは航空機 若しくは当該区域内に設けられている施設、建築物 その他の場所について、ねずみ族 若しくは虫類の駆除、清掃 若しくは消毒を行い、若しくは当該区域内で労働に従事する者について、健康診断 若しくは虫類の駆除を行い、又は検疫官 その他適当と認める者をしてこれを行わせることができる。
検疫所長は、前項の措置をとつたときは、すみやかに、その旨を関係行政機関の長に通報しなければならない。
検疫所長は、外国に行こうとする者 又は外国から来た者に対し、検疫感染症の外国における発生の状況 及びその予防の方法についての情報の提供を行い、その周知を図らなければならない。
検疫所長は、前項に規定する情報の提供を適確に行うために検疫感染症に関する情報の収集、整理 及び分析に努めなければならない。
第四章 雑則
この法律に規定する事務に従事させるため、厚生労働省に検疫官を置く。
検疫所長 及び検疫官は、この法律の規定による職務を行うため必要があるときは、船舶、航空機 又は第二十七条第一項 及び第二項に規定する施設、建築物 その他の場所に立ち入ることができる。
この法律の規定による検疫所長 及び検疫官の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
検疫所長 及び検疫官は、この法律の規定による職務を行うときは、制服を着用し、且つ、その身分を示す証票を携帯し、関係者の要求があるときは、これを呈示しなければならない。
検疫所長 及び検疫官の服制は、厚生労働大臣が定める。
検疫所長は、次に掲げる場合においては、船舶等の所有者 又は長から、政令の定めるところにより、その実費を徴収しなければならない。
第十四条第一項第五号、第六号 又は第八号に規定する措置をとつたとき。
船舶等の乗組員に対して第十四条第一項第一号 又は第二号に規定する措置をとつたとき。
検疫所長は、前項の規定により実費を負担しなければならない者が、経済的事情により、その実費の全部 又は一部を負担することが困難であると認められる場合においては、同項の規定にかかわらず、その全部 又は一部を徴収しないことができる。
前二項の規定は、第二十二条第三項 又は第二十三条第三項(同条第六項において準用する場合を含む。)の規定により、検疫所長 又は保健所長が必要な措置をとつた場合に準用する。
第二十二条第三項 又は第二十三条第三項(同条第六項において準用する場合を含む。)の規定により保健所長がとる措置に要する費用は、当該保健所を設置する都道府県、市 又は特別区が支弁し、国庫は、政令の定めるところにより、これを負担しなければならない。
外国に検疫感染症以外の感染症(次条第一項に規定する新感染症を除く。)が発生し、これについて検疫を行わなければ、その病原体が国内に侵入し、国民の生命 及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるときは、政令で、感染症の種類を指定し、一年以内の期間を限り、当該感染症について、第二条の二、第二章 及びこの章(次条から第四十条までを除く。)の規定の全部 又は一部を準用することができる。
この場合において、停留の期間については、当該感染症の潜伏期間を考慮して、当該政令で特別の規定を設けることができる。
前項の政令で定められた期間は、当該政令で指定された感染症の種類について、当該感染症の外国 及び国内における発生 及びまん延の状況 その他の事情に鑑み、当該政令により準用することとされた規定を当該期間の経過後 なお準用することが特に必要であると認められる場合は、一年以内の政令で定める期間に限り延長することができる。
厚生労働大臣は、外国に新感染症(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に規定する新感染症であつて同法第五十三条の規定により政令で定められる新感染症以外のものをいう。以下この条において同じ。)が発生した場合において、当該新感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、検疫所長に、当該新感染症にかかつていると疑われる者に対する診察を行わせることができる。
この場合において、検疫所長は、検疫官をして当該診察を行わせることができる。
検疫所長は、第十三条第一項、第二十四条、第二十六条第一項、第二十六条の二 又は前項に規定する診察において、新感染症の所見がある者を診断したときは、直ちに、厚生労働大臣に当該所見がある者の氏名、年齢、性別 その他厚生労働省令で定める事項を報告しなければならない。
検疫所長は、前項の報告をした場合には、厚生労働大臣の指示に従い、当該新感染症を第二条第一号(第十八条第四項 及び第五項に規定する事務にあつては、第二条第二号)に掲げる感染症とみなして、第十三条から第十三条の三まで、第十四条第一項第一号、第二号 及び第五号から第八号まで、第十七条、第十八条、第十九条第二項 及び第三項 並びに第二十条に規定する事務の全部 又は一部を実施することができる。
前項の規定により仮検疫済証を交付した船舶等については、当該新感染症について第十九条第一項の規定を準用する。
厚生労働大臣は、第三項の規定により検疫所長に指示を行おうとするときは、あらかじめ、厚生科学審議会の意見を聴かなければならない。
前条第三項の規定により検疫所長が実施する第十四条第一項第一号に規定する隔離は、特定感染症指定医療機関 又は第一種協定指定医療機関に入院を委託して行う。
ただし、緊急 その他やむを得ない理由があるときは、特定感染症指定医療機関 及び第一種協定指定医療機関以外の病院 又は診療所であつて当該検疫所長が適当と認めるものにその入院を委託して行うことができる。
検疫所長は、前項の措置に係る者を当該措置に係る病院 若しくは診療所に移送し、又は検疫官をしてこれを行わせることができる。
検疫所長は、第一項の措置をとつた場合において、厚生労働大臣の指示に従い、当該隔離に係る新感染症を公衆にまん延させるおそれがないことが確認されたときは、直ちに、当該隔離されている者の隔離を解かなければならない。
第一項の委託を受けた病院の管理者は、前条第三項の規定により隔離されている者について、検疫所長に当該隔離に係る新感染症を公衆にまん延させるおそれがない旨の意見を述べることができる。
前条第三項の規定により隔離されている者 又はその保護者は、検疫所長に対し、当該隔離されている者の隔離を解くことを求めることができる。
検疫所長は、前項の規定による求めがあつたときは、当該隔離されている者について、厚生労働大臣の指示に従い、当該隔離に係る新感染症を公衆にまん延させるおそれがないかどうかの確認をしなければならない。
厚生労働大臣は、第三項 又は前項の規定により検疫所長に指示を行おうとするときは、あらかじめ、厚生科学審議会の意見を聴かなければならない。
第三十四条の二第三項の規定により検疫所長が実施する第十四条第一項第二号に規定する停留は、特定感染症指定医療機関 又は第一種協定指定医療機関に入院を委託して行う。
ただし、緊急 その他やむを得ない理由があるときは、特定感染症指定医療機関 及び第一種協定指定医療機関以外の病院 又は診療所であつて当該検疫所長が適当と認めるものにその入院を委託して行うことができる。
検疫所長は、前項の措置に係る者を当該措置に係る病院 若しくは診療所に移送し、又は検疫官をしてこれを行わせることができる。
検疫所長は、第一項の措置をとつた場合において、厚生労働大臣の指示に従い、当該停留に係る新感染症を公衆にまん延させるおそれがないことが確認されたときは、直ちに、当該停留されている者の停留を解かなければならない。
第一項の委託を受けた病院の管理者は、第三十四条の二第三項の規定により停留されている者について、検疫所長に当該停留に係る新感染症を公衆にまん延させるおそれがない旨の意見を述べることができる。
第三十四条の二第三項の規定により停留されている者 又はその保護者は、検疫所長に対し、当該停留されている者の停留を解くことを求めることができる。
検疫所長は、前項の規定による求めがあつたときは、当該停留されている者について、厚生労働大臣の指示に従い、当該停留に係る新感染症を公衆にまん延させるおそれがないかどうかの確認をしなければならない。
厚生労働大臣は、第三項 又は前項の規定により検疫所長に指示を行おうとするときは、あらかじめ、厚生科学審議会の意見を聴かなければならない。
第二十二条第二項から第五項まで、第二十三条第二項から第五項まで(同条第六項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)及び第七項 並びに第二十六条の三の規定により都道府県、保健所を設置する市 又は特別区が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。
第二十三条第七項の規定により市町村が処理することとされている事務は、地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。
この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定 又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、一年以下の懲役 又は百万円以下の罰金に処する。
第五条の規定に違反したとき。
隔離 又は停留の処分を受け、その処分の継続中に逃げたとき。
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、六月以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。
第十一条第一項の規定に違反して明告書を提出せず、又は虚偽の事実を記載した明告書を提出したとき。
第十一条第二項の規定により、書類の提出 又は提示 若しくは写しの提出を求められて、これを提出せず、若しくは提示 若しくは写しの提出をせず、又は虚偽の事実を記載したこれらの書類を提出し、若しくは提示 若しくは写しの提出をしたとき。
第十二条の規定による質問に対し、答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又は同条の規定による情報の提出の求めに対し、虚偽の情報を提出したとき。
第十三条の規定により検疫所長 又は検疫官が行う診察(第三十四条の二第三項の規定により実施される場合を含む。) 又は検査(同項の規定により実施される場合を含む。)を拒み、妨げ、又は忌避したとき。
第十三条の三の規定による指示(第三十四条の二第三項の規定により実施される場合を含む。)に違反したとき。
第十四条第一項第一号、第二号、第五号、第八号 又は第九号の規定により検疫所長 又は検疫官が行う措置(第三十四条の二第三項の規定により実施される場合を含む。)を拒み、妨げ、又は忌避したとき。
第十四条第一項第七号の処分(第三十四条の二第三項の規定により実施される場合を含む。)に違反したとき。
第十六条の三第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
第十八条第二項の規定による旅券の提示(第三十四条の二第三項の規定により実施される場合を含む。)をせず、又は報告(同項の規定により実施される場合を含む。)をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは質問(同項の規定により実施される場合を含む。)に対し、答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。
第十八条第四項の規定による旅券の提示(第三十四条の二第三項の規定により実施される場合を含む。)をせず、又は報告(同項の規定により実施される場合を含む。)をせず、若しくは虚偽の報告をしたとき。
第二十四条の規定により検疫所長 又は検疫官が行う措置を拒み、妨げ、又は忌避したとき。
第二十九条の規定による検疫所長 又は検疫官の立入りを拒み、妨げ、又は忌避したとき。
第三十四条の二第一項の規定により検疫所長 又は検疫官が行う診察を拒み、妨げ、又は忌避したとき。
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
第四条の規定に違反したとき。
第十九条第一項(第三十四条の二第四項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
第十九条第三項の規定に基づく命令(第三十四条の二第三項の規定により実施される場合を含む。)に違反したとき。
第二十一条第一項ただし書の許可を申請するに際し、同項各号に掲げる事項に関し虚偽の通報をしてその許可を受けたとき。
第二十一条第七項の規定に違反したとき。
第二十二条第二項の規定に違反したとき。
第二十三条第一項 若しくは第二項(同条第六項において準用する場合を含む。) 又は同条第七項の規定に違反したとき。
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、二十万円以下の罰金に処する。
第九条(第二十一条第五項 及び第二十二条第六項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
第二十五条の規定に基づく命令に違反したとき。
法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者が、その法人 又は人の業務に関して、第三十五条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人 又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。
第三十四条第一項の場合(同条第二項の政令により、同条第一項の政令で定められた期間が延長される場合を含む。)においては、当該政令で準用する規定に係る前五条の罰則の規定もまた、準用されるものとする。
この法律で政令に委任するものを除く外、この法律の実施のための手続 その他その執行について必要な事項は、厚生労働省令で定める。