定置漁業 及び区画漁業は、漁業権 又は入漁権に基づくものでなければ、 営んではならない。
漁業法
第三節 漁業権
⤏ 第一款 漁業の免許
漁業権の内容たる 漁業の免許を受けようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、 都道府県知事に申請しなければならない。
前項の免許を受けた者は、 当該漁業権を取得する。
前条第一項の申請があつたときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
次の各号のいずれかに該当する場合は、都道府県知事は、 漁業の免許をしてはならない。
申請者が次条に規定する適格性を有する者でないとき。
海区漁場計画 又は内水面漁場計画の内容と 異なる申請があつたとき。
その申請に係る漁業と同種の漁業を内容とする漁業権の不当な集中に至るおそれがあるとき。
免許を受けようとする漁場の敷地が他人の所有に属する場合又は水面が他人の占有に係る場合において、その所有者 又は占有者の同意がないとき。
前項第四号の場合において同号の所有者 又は占有者の住所 又は居所が明らかでないため同意が得られないときは、最高裁判所の定める手続により、裁判所の許可をもつて その者の同意に代えることができる。
前項の許可に対する裁判に関しては、最高裁判所の定める手続により、 上訴することができる。
第一項第四号の所有者 又は占有者は、正当な事由がなければ、同意を拒むことができない。
海区漁業調整委員会は、 都道府県知事に対し、当該申請が第一項各号のいずれかに該当する旨の意見を述べようとするときは、あらかじめ、当該申請者に同項各号のいずれかに該当する理由を文書をもつて通知し、公開による意見の聴取を行わなければならない。
前項の意見の聴取に際しては、 当該申請者 又は その代理人は、当該事案について弁明し、 かつ、証拠を提出することができる。
個別漁業権の内容たる漁業の免許について適格性を有する者は、次の各号のいずれにも該当しない者とする。
漁業 又は労働に関する法令を遵守せず、かつ、引き続き遵守することが見込まれない者であること。
法人であつて、その役員 又は政令で定める使用人のうちに前二号のいずれかに該当する者があるものであること。
暴力団員等がその事業活動を支配する者であること。
団体漁業権の内容たる漁業の免許について適格性を有する者は、当該団体漁業権の関係地区の全部 又は一部をその地区内に含む漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会であつて、次の各号に掲げる団体漁業権の種類に応じ、当該各号に定めるものとする。
現に存する区画漁業権の存続期間の満了に際し、漁場の位置 及び区域 並びに漁業の種類が当該現に存する区画漁業権とおおむね等しいと認められるものとして設定される団体漁業権 その組合員(漁業協同組合連合会の場合には、その会員たる漁業協同組合の組合員)のうち関係地区内に住所を有し当該漁業を営む者の属する世帯の数が、関係地区内に住所を有し当該漁業を営む者の属する世帯の数の三分の二以上であるもの
団体漁業権(前号に掲げるものを除く。) その組合員(漁業協同組合連合会の場合には、その会員たる漁業協同組合の組合員)のうち関係地区内に住所を有し一年に九十日以上沿岸漁業(海面における漁業のうち総トン数二十トン以上の動力漁船を使用して行う漁業以外の漁業をいう。以下 この条 及び第百六条第四項において同じ。)を営む者(河川以外の内水面における漁業を内容とする漁業権にあつては当該内水面において一年に三十日以上漁業を営む者、河川における漁業を内容とする漁業権にあつては当該河川において一年に三十日以上水産動植物の採捕 又は養殖をする者。以下 この号 及び第五項において同じ。)の属する世帯の数が、関係地区内に住所を有し一年に九十日以上沿岸漁業を営む者の属する世帯の数の三分の二以上であるもの
前項の規定により世帯の数を計算する場合において、当該漁業を営む者が法人であるときは、当該法人(株式会社にあつては、公開会社(会社法(平成十七年法律第八十六号)第二条第五号に規定する公開会社をいう。)でないものに限る。以下 この項において同じ。)の組合員、社員 若しくは株主 又は当該法人の組合員、社員 若しくは株主である法人の組合員、社員 若しくは株主のうち当該漁業の漁業従事者である者の属する世帯の数により計算するものとする。
第二項の規定は、二以上の漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会が共同してした申請について準用する。
この場合において、
同項中
「その組合員」とあるのは
「それらの組合員」と、
「その会員」とあるのは
「それらの会員」と
読み替えるものとする。
第二項第一号に掲げる団体漁業権の関係地区内に住所を有し当該団体漁業権の内容たる漁業を営む者を組合員とする漁業協同組合 若しくは その漁業協同組合を会員とする漁業協同組合連合会が同号に定める漁業協同組合 若しくは漁業協同組合連合会に対して当該漁業の免許を共同して申請することを申し出た場合
又は同項第二号に掲げる団体漁業権の関係地区内に住所を有し一年に九十日以上沿岸漁業を営む者を組合員とする漁業協同組合 若しくは その漁業協同組合を会員とする漁業協同組合連合会が同号に定める漁業協同組合 若しくは漁業協同組合連合会に対して当該漁業の免許を共同して申請することを申し出た場合には、申出を受けた漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会は、正当な事由がなければ、これを拒むことができない。
第二項(第四項において準用する場合を含む。)の規定により適格性を有する漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会が団体漁業権の内容たる漁業の免許を受けた場合には、その免許の際に当該団体漁業権の関係地区内に住所を有し当該漁業を営む者であつた者を組合員とする漁業協同組合 又は その漁業協同組合を会員とする漁業協同組合連合会は、都道府県知事の認可を受けて、当該免許を受けた漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会に対し当該団体漁業権を共有すべきことを請求することができる。
この場合には、第七十九条第一項の規定は、適用しない。
前項の認可の申請があつたときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会が第一種共同漁業 又は第五種共同漁業を内容とする共同漁業権を取得した場合においては、海区漁業調整委員会は、当該漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会と関係地区内に住所を有する漁業者(個人に限る。)又は漁業従事者であつて その組合員(漁業協同組合連合会の場合には、その会員たる漁業協同組合の組合員)でないものとの関係において当該共同漁業権の行使を適切にするため、第百二十条第一項の規定に従い、必要な指示をするものとする。
都道府県知事は、第六十四条第六項の申請期間内に漁業の免許を申請した者に対しては、第七十一条第一項各号のいずれかに該当する場合を除き、免許をしなければならない。
前項の場合において、同一の漁業権について免許の申請が複数あるときは、都道府県知事は、次の各号に掲げる場合に応じ、当該各号に定める者に対して免許をするものとする。
漁業権の存続期間の満了に際し、漁場の位置 及び区域 並びに漁業の種類が当該満了する漁業権(以下 この号において「満了漁業権」という。)とおおむね等しいと認められるものとして設定される漁業権について当該満了漁業権を有する者による申請がある場合であつて、その者が当該満了漁業権に係る漁場を適切かつ有効に活用していると認められる場合
当該者
前号に掲げる場合以外の場合
免許の内容たる漁業による漁業生産の増大 並びにこれを通じた漁業所得の向上 及び就業機会の確保 その他の地域の水産業の発展に最も寄与すると認められる者
⤏ 第二款 漁業権の性質等
漁業権を有する者(以下 この節 及び第百七十条第七項において「漁業権者」という。)は、当該漁業権に係る漁場を適切かつ有効に活用するよう努めるものとする。
団体漁業権を有する漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会は、当該団体漁業権に係る漁場における漁業生産力を発展させるため、農林水産省令で定めるところにより、組合員(漁業協同組合連合会にあつては、その会員たる漁業協同組合の組合員。以下 この項において同じ。)が相互に協力して行う生産の合理化、組合員による生産活動のための法人の設立 その他の方法による経営の高度化の促進に関する計画を作成し、定期的に点検を行うとともに、その実現に努めるものとする。
漁業権の存続期間は、 免許の日から起算して、区画漁業権(真珠養殖業を内容とするものその他の農林水産省令で定めるものに限る。) 及び共同漁業権にあつては十年、その他の漁業権にあつては五年とする。
都道府県知事が海区漁場計画 又は内水面漁場計画において前項の期間より短い期間を定めた漁業権の存続期間は、同項の規定にかかわらず、 当該都道府県知事が定めた期間とする。
漁業権を分割し、又は変更しようとする者は、都道府県知事に申請して、その免許を受けなければならない。
都道府県知事は、海区漁場計画 又は内水面漁場計画に適合するものでなければ、前項の免許をしてはならない。
第一項の場合においては、第七十条 及び第七十一条の規定を準用する。
漁業権は、物権とみなし、 土地に関する規定を準用する。
民法(明治二十九年法律第八十九号)第二編第九章の規定は個別漁業権に、同編第八章から 第十章までの規定は 団体漁業権に、いずれも適用しない。
個別漁業権について抵当権を設定した場合において、その漁場に定着した工作物は、民法第三百七十条の規定の準用に関しては、漁業権に付加してこれと一体を成す物とみなす。
個別漁業権が先取特権の目的である場合も、同様とする。
個別漁業権を目的とする抵当権の設定は、都道府県知事の認可を受けなければ、 その効力を生じない。
前項の規定により認可をしようとするときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
漁業権は、相続 又は 法人の合併 若しくは分割による場合を除き、移転の目的とすることができない。
ただし、個別漁業権については、滞納処分による場合、先取特権者 若しくは抵当権者がその権利を実行する場合 又は次条第二項の通知を受けた者が譲渡する場合において、都道府県知事の認可を受けたときは、この限りでない。
都道府県知事は、第七十二条第一項 又は第二項(同条第四項において準用する場合を含む。)に規定する適格性を有する者に移転する場合でなければ、前項の認可をしてはならない。
第一項の規定により認可をしようとするときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
相続 又は 法人の合併 若しくは分割によつて 個別漁業権を取得した者は、取得の日から二月以内にその旨を都道府県知事に届け出なければならない。
都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴き、前項の者が第七十二条第一項に規定する適格性を有する者でないと認めるときは、一定期間内に譲渡しなければその漁業権を取り消すべき旨をその者に通知しなければならない。
漁業権者が有する水面使用に関する権利義務(当該漁業権者が当該漁業に関し行政庁の許可、認可 その他の処分に基づいて有する権利義務を含む。)は、漁業権の処分に従う。
漁業権は、貸付けの目的とすることができない。
漁業権は、第百十七条第一項の規定により登録した先取特権 若しくは抵当権を有する者(以下「登録先取特権者等」という。)又は同項の規定により登録した入漁権を有する者の同意を得なければ、分割し、変更し、又は放棄することができない。
第七十一条第二項から 第四項までの規定は、前項の同意について準用する。
漁業権の各共有者は、他の共有者の三分の二以上の同意を得なければ、その持分を処分することができない。
第七十一条第二項から 第四項までの規定は、前項の同意について準用する。
漁業権の各共有者がその共有に属する漁業権を変更するために他の共有者の同意を得ようとする場合においては、第七十一条第二項から 第四項までの規定を準用する。
都道府県知事は、漁業調整 その他公益上 必要があると認めるときは、漁業権に条件を付けることができる。
前項の条件を付けようとするときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
農林水産大臣は、 都道府県の区域を超えた広域的な見地から、漁業調整のため特に必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第一項の規定により漁業権に条件を付けるべきことを指示することができる。
免許後に第一項の条件を付けようとする場合における第二項の海区漁業調整委員会の意見については、第八十九条第四項から 第七項までの規定を準用する。
この場合において、
同条第四項中
「前項の場合において、漁業権を取り消すべき旨」とあるのは、
「第八十六条第一項の規定により漁業権に条件を付けるべき旨」と
読み替えるものとする。
個別漁業権を有する者が当該個別漁業権の内容たる漁業を一漁業時期以上にわたつて休業しようとするときは、休業期間を定め、あらかじめ都道府県知事に届け出なければならない。
前条の休業中においては、第七十二条第一項に規定する適格性を有する者は、第六十八条の規定にかかわらず、都道府県知事の許可を受けて当該休業中の個別漁業権の内容たる漁業を営むことができる。
前項の許可の申請があつたときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
都道府県知事は、漁業調整 その他公益に支障を及ぼすと認める場合は、第一項の許可をしてはならない。
第一項の許可については、第七十一条第五項 及び第六項、第八十六条、前条 並びに次条から 第九十四条までの規定を準用する。
この場合において、
第七十一条第五項中
「第一項各号のいずれか」とあり、
及び
「同項各号のいずれか」とあるのは
「第八十八条第三項に規定する場合」と、
第九十二条第一項中
「第七十二条第一項 又は第二項(同条第四項において準用する場合を含む。)」とあるのは
「第七十二条第一項」と
読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
前各項の規定は、第九十二条第二項の規定に基づく処分により個別漁業権の行使を停止された期間中他の者が当該個別漁業権の内容たる 漁業を営もうとする場合について準用する。
都道府県知事は、漁業権者がその有する漁業権の内容たる漁業の免許の日 又は移転に係る認可の日から一年間 又は引き続き二年間休業したときは、当該漁業権を取り消すことができる。
漁業権者の責めに帰すべき事由による場合を除き、第九十三条第一項の規定により漁業権の行使を停止された期間 及び第百十九条第一項 若しくは第二項の規定に基づく命令、第百二十条第一項の規定による指示、同条第十一項の規定による命令、第百二十一条第一項の規定による指示 又は同条第四項において読み替えて準用する第百二十条第十一項の規定による命令により漁業権の内容たる漁業を禁止された期間は、前項の期間に算入しない。
第一項の規定により漁業権を取り消そうとするときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
海区漁業調整委員会は、前項の場合において、漁業権を取り消すべき旨の意見を述べようとするときは、あらかじめ、当該漁業権者にその理由を文書をもつて通知し、公開による意見の聴取を行わなければならない。
前項の意見の聴取に際しては、当該漁業権者 又は その代理人は、当該事案について弁明し、かつ、証拠を提出することができる。
当該漁業権者 又は その代理人は、第四項の規定による通知があつた時から意見の聴取が終結する時までの間、都道府県知事に対し、当該事案についてした調査の結果に係る調書 その他の当該申請の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる。
この場合において、都道府県知事は、第三者の利益を害するおそれがあるとき その他 正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。
前三項に定めるもののほか、海区漁業調整委員会が行う第四項の意見の聴取に関し必要な事項は、政令で定める。
漁業権者は、農林水産省令で定めるところにより、その有する漁業権の内容たる漁業における資源管理の状況、漁場の活用の状況 その他の農林水産省令で定める事項を都道府県知事に報告しなければならない。
ただし、第二十六条第一項 又は第三十条第一項の規定により都道府県知事に報告した事項については、この限りでない。
都道府県知事は、農林水産省令で定めるところにより、海区漁業調整委員会に対し、前項の規定により報告を受けた事項について必要な報告をするものとする。
都道府県知事は、漁業権者が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該漁業権者に対して、漁場の適切かつ有効な活用を図るために必要な措置を講ずべきことを指導するものとする。
漁場を適切に利用しないことにより、他の漁業者が営む 漁業の生産活動に支障を及ぼし、又は海洋環境の悪化を引き起こしているとき。
合理的な理由がないにもかかわらず 漁場の一部を利用していないとき。
都道府県知事は、前項の規定により指導した者が、 その指導に従つていないと認めるときは、その者に対して、当該指導に係る措置を講ずべきことを勧告するものとする。
前二項の規定により指導し、 又は勧告しようとするときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
漁業の免許を受けた後に漁業権者が第七十二条第一項 又は第二項(同条第四項において準用する場合を含む。)に規定する適格性を有する者でなくなつたときは、都道府県知事は、その漁業権を取り消さなければならない。
都道府県知事は、漁業権者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、その漁業権を取り消し、又は その行使の停止を命ずることができる。
漁業に関する法令の規定に違反したとき。
前条第二項の規定による勧告に従わないとき。
前二項の場合には、第八十九条第三項から 第七項までの規定を準用する。
漁業調整、船舶の航行、停泊 又は係留、水底電線の敷設 その他 公益上必要があると認めるときは、都道府県知事は、漁業権を変更し、取り消し、又は その行使の停止を命ずることができる。
都道府県知事は、前項の規定により漁業権を変更するときは、併せて、海区漁場計画 又は内水面漁場計画を変更しなければならない。
第一項の場合には、第八十九条第三項から 第七項までの規定を準用する。
農林水産大臣は、都道府県の区域を超えた広域的な見地から、漁業調整、船舶の航行、停泊 又は係留、水底電線の敷設 その他 公益上特に必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、第一項の規定により漁業権を変更し、取り消し、又は その行使の停止を命ずべきことを指示することができる。
錯誤により免許をした場合においてこれを取り消そうとするときは、都道府県知事は、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
漁業権を取り消したときは、都道府県知事は、直ちに、登録先取特権者等にその旨を通知しなければならない。
登録先取特権者等は、前項の通知を受けた日から三十日以内に漁業権の競売を請求することができる。
ただし、第九十三条第一項の規定による取消し 又は錯誤によつてした免許の取消しの場合は、この限りでない。
漁業権は、前項の期間内 又は競売の手続完結の日まで、競売の目的の範囲内においては、なお存続するものとみなす。
競売による売却代金は、競売の費用 及び登録先取特権者等に対する債務の弁済に充て、その残金は国庫に帰属する。
買受人が代金を納付したときは、漁業権の取消しは、その効力を生じなかつたものとみなす。
漁場に定着する工作物を設置して漁業権の価値を増大させた漁業権者は、その漁業権が消滅したときは、その消滅後に当該工作物の利用によつて 利益を受ける漁業の免許を受けた者に対し、時価で 当該工作物を買い取るべきことを請求することができる。
⤏ 第三款 入漁権
漁業協同組合 及び漁業協同組合連合会以外の者は、入漁権を取得することができない。
入漁権は、譲渡 又は法人の合併 若しくは分割による取得の目的となるほか、権利の目的となることができない。
入漁権は、漁業権者の同意を得なければ、譲渡することができない。
入漁権については、書面により次に掲げる事項を明らかにしなければならない。
入漁すべき漁業の種類 及び漁獲物の種類 並びに漁業時期
存続期間の定めがあるときは その期間
入漁料の定めがあるときは その事項
漁業の方法について定めがあるときは その事項
漁船、漁具 又は漁業者の数について定めがあるときは その事項
入漁者の資格について定めがあるときは その事項
その他 入漁の内容
入漁権の設定を求めた場合において漁業権者が不当にその設定を拒み、又は入漁権の内容が適正でないと認めて その変更 若しくは消滅を求めた場合において相手方が不当にその変更 若しくは消滅を拒んだときは、入漁権の設定、変更 又は消滅を拒まれた者は、海区漁業調整委員会に対して、入漁権の設定、変更 又は消滅に関する裁定を申請することができる。
前項の規定による裁定の申請があつたときは、海区漁業調整委員会は、相手方にその旨を通知し、かつ、農林水産省令の定めるところにより、これを公示しなければならない。
第一項の規定による裁定の申請の相手方は、前項の公示の日から二週間以内に海区漁業調整委員会に意見書を提出することができる。
海区漁業調整委員会は、前項の期間を経過した後に審議を開始しなければならない。
裁定は、その申請の範囲を超えることができない。
裁定においては、次に掲げる 事項を定めなければならない。
入漁権の設定に関する裁定の申請の場合にあつては、設定するかどうか、設定する場合は その内容 及び設定の時期
入漁権の変更に関する裁定の申請の場合にあつては、変更するかどうか、変更する場合は その内容 及び変更の時期
入漁権の消滅に関する裁定の申請の場合にあつては、消滅させるかどうか、消滅させる場合は消滅の時期
海区漁業調整委員会は、裁定をしたときは、遅滞なく、その旨を裁定の申請の相手方に通知し、かつ、農林水産省令の定めるところにより、これを公示しなければならない。
前項の公示があつたときは、その時に、裁定の定めるところにより当事者間に協議が調つたものとみなす。
存続期間について別段の定めがない入漁権は、その目的たる漁業権の存続期間中存続するものとみなす。
ただし、入漁権を有する者(第百三条において「入漁権者」という。)は、いつでも その権利を放棄することができる。
第八十四条 及び第八十五条の規定は、 入漁権を共有する場合について準用する。
入漁権者が入漁料の支払を怠つたときは、漁業権者は、その入漁を拒むことができる。
入漁権者が引き続き二年以上入漁料の支払を怠り、又は破産手続開始の決定を受けたときは、漁業権者は、入漁権の消滅を請求することができる。
入漁料は、入漁しないときは、支払わなくてもよい。
⤏ 第四款 漁業権行使規則等
団体漁業権 若しくは入漁権を有する漁業協同組合の組合員 又は団体漁業権 若しくは入漁権を有する漁業協同組合連合会の会員たる漁業協同組合の組合員(いずれも漁業者 又は漁業従事者であるものに限る。)であつて、当該団体漁業権 又は入漁権に係る漁業権行使規則 又は入漁権行使規則で規定する資格に該当するものは、当該漁業権行使規則 又は入漁権行使規則に基づいて当該団体漁業権 又は入漁権の範囲内において漁業を営む権利(以下「組合員行使権」という。)を有する。
漁業権行使規則は、団体漁業権を有する漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会において、団体漁業権ごとに制定するものとする。
入漁権行使規則は、入漁権を有する漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会において、入漁権ごとに制定するものとする。
漁業権行使規則 及び入漁権行使規則(以下この条において「行使規則」という。)には、次に掲げる事項を規定するものとする。
組合員行使権を有する者(以下 この項において「組合員行使権者」という。)の資格
漁業権 又は入漁権の内容たる漁業につき、漁業を営むべき区域 又は期間、当該漁業の方法 その他 組合員行使権者が当該漁業を営む場合において遵守すべき事項
組合員行使権者がその有する組合員行使権に基づいて 漁業を営む場合において、当該漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会が当該組合員行使権者に金銭を賦課するときは、その額
区画漁業 又は第一種共同漁業を内容とする団体漁業権を有する漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会は、その有する団体漁業権について漁業権行使規則を定めようとするときは、水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)の規定による総会(総会の部会 及び総代会を含む。)の決議前に、その組合員(漁業協同組合連合会の場合には、その会員たる漁業協同組合の組合員)のうち、 当該漁業権に係る漁業の免許の際において当該漁業権の内容たる 漁業を営む者(第七十二条第二項第二号の要件に該当することにより同項(同条第四項において準用する場合を含む。)の規定により適格性を有するとされた者に係る団体漁業権にあつては、当該沿岸漁業を営む者(河川以外の内水面における漁業を内容とする団体漁業権にあつては当該内水面において漁業を営む者、河川における漁業を内容とする団体漁業権にあつては当該河川において水産動植物の採捕 又は養殖をする者))であつて 当該漁業権の関係地区の区域内に住所を有するものの三分の二以上の書面による同意を得なければならない。
前項の場合において、水産業協同組合法第二十一条第三項(同法第八十九条第三項において準用する場合を含む。)の規定により電磁的方法(同法第十一条の三第四項に規定する電磁的方法をいう。)により議決権を行うことが定款で定められているときは、当該書面による同意に代えて、当該漁業権行使規則についての同意を当該電磁的方法により得ることができる。
この場合において、当該漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会は、当該書面による同意を得たものとみなす。
前項前段の電磁的方法(水産業協同組合法第十一条の三第五項の農林水産省令で定める方法を除く。)により得られた 当該漁業権行使規則についての同意は、漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会に到達したものとみなす。
行使規則は、都道府県知事の認可を受けなければ、 その効力を生じない。
都道府県知事は、申請に係る行使規則が不当に差別的であると認めるときは、これを認可してはならない。
第四項から 第六項までの規定は漁業権行使規則の変更 又は廃止について、第七項の規定は行使規則の変更 又は廃止について、前項の規定は行使規則の変更について準用する。
この場合において、
第四項中
「当該漁業権に係る漁業の免許の際において当該漁業権の内容たる漁業を営む者」とあるのは、
「当該漁業権の内容たる漁業を営む者」と
読み替えるものとする。
行使規則は、当該行使規則を制定した 漁業協同組合の組合員又は漁業協同組合連合会の会員たる 漁業協同組合の組合員以外の者に対しては、効力を有しない。
団体漁業権を有する漁業協同組合が当該団体漁業権に係る総会の部会(水産業協同組合法第五十一条の二第一項に規定する総会の部会をいう。)を設けている場合においては、当該総会の部会は、当該団体漁業権の存続期間の満了に際し、漁場の位置 及び区域 並びに漁業の種類が当該満了する団体漁業権とおおむね等しいと認められるものとして設定される団体漁業権の取得について、総会の権限を行うことができる。
第百六条第四項から 第六項までの規定は、漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会がその有する団体漁業権を分割し、変更し、又は放棄しようとする場合について準用する。
この場合において、
同条第四項中
「当該漁業権に係る漁業の免許の際において当該漁業権の内容たる漁業を営む者」とあるのは、
「当該漁業権の内容たる漁業を営む者」と
読み替えるものとする。