漁業法

# 昭和二十四年法律第二百六十七号 #

第六章 漁業調整委員会等

分類 法律
カテゴリ   水産業
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2024年 03月04日 08時40分


第一節 総則

1項

漁業調整委員会は、海区漁業調整委員会、連合海区漁業調整委員会 及び広域漁業調整委員会とする。

2項

海区漁業調整委員会は都道府県知事の監督に、連合海区漁業調整委員会は その設置された海区を管轄する都道府県知事の監督に、広域漁業調整委員会は農林水産大臣の監督に属する。

1項

漁業調整委員会は、その設置された海区 又は海域の区域内における漁業に関する事項を処理する。

第二節 海区漁業調整委員会

1項

海区漁業調整委員会は、海面につき農林水産大臣が定める海区に置く。

2項

農林水産大臣は、前項の規定により海区を定めたときは、これを公示する。

1項

海区漁業調整委員会は、委員をもつて組織する。

2項

海区漁業調整委員会に会長を置く。


会長は、委員が互選する。


ただし、委員が会長を互選することができないときは、都道府県知事が委員の中からこれを選任する。

3項

海区漁業調整委員会は、その所掌事務を行うにつき会長を不適当と認めるときは、その決議によりこれを解任することができる。

4項

都道府県知事は、専門の事項を調査審議させるために必要があると認めるときは、委員会に専門委員を置くことができる。

5項

専門委員は、 学識経験がある者の中から、都道府県知事が選任する。

6項

委員会には、書記 又は補助員を置くことができる。

1項

委員は、漁業に関する識見を有し、海区漁業調整委員会の所掌に属する事項に関し その職務を適切に行うことができる者のうちから、都道府県知事が、議会の同意を得て、任命する。

2項

委員の定数は、十五人農林水産大臣が指定する海区に設置される海区漁業調整委員会にあつては、十人)とする。


ただし十人から 二十人までの範囲内において、条例で その定数を増加し、又は減少することができる。

3項

前項の定数の変更は、委員の任期満了の場合でなければ、行うことができない

4項

次の各号いずれかに該当する者は、委員となることができない

一 号

年齢満十八年未満の者

二 号

破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

三 号

禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで 又はその執行を受けることがなくなるまでの者

5項

都道府県知事は、第一項の規定による委員の任命に当たつては、海区漁業調整委員会が設置される海区に沿う市町村(海に沿わない市町村であつて、当該海区において漁業を営み、又はこれに従事する者が相当数 その区域内に住所 又は事業場を有していること その他の特別の事由によつて農林水産大臣が指定したものを含む。)の区域内に住所 又は事業場を有する漁業者 又は漁業従事者(一年に九十日以上、漁船を使用する漁業を営み、又は漁業者のために漁船を使用して行う水産動植物の採捕 若しくは養殖に従事する者に限る)が委員の過半数を占めるようにしなければならない。


この場合において、都道府県知事は、漁業者 又は漁業従事者が営み、又は従事する漁業の種類、操業区域 その他の農林水産省令で定める事項に著しい偏りが生じないように配慮しなければならない。

6項

都道府県知事は、当該海区の特殊な事情により、当該海区漁業調整委員会の意見を聴いて、前項の漁業者 又は漁業従事者の範囲を拡張し、又は限定することができる。

7項

都道府県知事は、第五項に定めるもののほか第一項の規定による委員の任命に当たつては、資源管理 及び漁業経営に関する学識経験を有する者 並びに海区漁業調整委員会の所掌に属する事項に関し利害関係を有しない者が含まれるようにしなければならない。

8項

都道府県知事は、第一項の規定による委員の任命に当たつては、委員の年齢 及び性別に著しい偏りが生じないように配慮しなければならない。

9項

都道府県知事は、第百七十一条第一項ただし書の規定により内水面漁場管理委員会を置かない場合における第一項の規定による委員の任命に当たつては、第五項 及び第七項に定めるもののほか、内水面における漁業に関する識見を有する者が含まれるようにしなければならない。

1項

都道府県知事は、前条第一項の規定により委員を任命しようとするときは、農林水産省令で定めるところにより、あらかじめ、漁業者、漁業者が組織する団体 その他の関係者に対し候補者の推薦を求めるとともに、委員になろうとする者の募集をしなければならない。

2項

都道府県知事は、農林水産省令で定めるところにより、前項の規定による推薦を受けた者 及び同項の規定による募集に応募した者に関する情報を整理し、これを公表しなければならない。

3項

都道府県知事は、前条第一項の規定による委員の任命に当たつては、第一項の規定による推薦 及び募集の結果を尊重しなければならない。

1項

委員は、都道府県の議会の議員と兼ねることができない

1項

委員は、正当な事由があるときは、都道府県知事 及び海区漁業調整委員会の同意を得て 辞任することができる。

1項

委員は、第百三十八条第四項各号いずれかに該当するに至つた場合には、その職を失う。

1項

委員の任期は、四年とする。

2項

補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

3項

委員は、その任期が満了しても、後任の委員が就任するまでの間は、なおその職務を行う。

1項

都道府県知事は、委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認める場合 又は職務上の義務に違反した場合 その他委員たるに適しない非行があると認める場合には、議会の同意を得て、これを罷免することができる。

2項

委員は、前項の場合を除き、その意に反して罷免されることがない。

1項

海区漁業調整委員会は、定員の過半数に当たる委員が出席しなければ会議を開くことができない

2項

議事は、出席委員の過半数で決する。


可否同数のときは、会長の決するところによる。

3項

海区漁業調整委員会の会議は、 公開する。

4項

会長は、農林水産省令で定めるところにより、 議事録を作成し、これをインターネットの利用 その他の適切な方法により公表しなければならない。

1項

委員は、自己 又は同居の親族 若しくは その配偶者に関する事件については、議事に参与することができない


ただし、海区漁業調整委員会の承認があつたときは、会議に出席し、発言することができる。

第三節 連合海区漁業調整委員会

1項

都道府県知事は、必要があると認めるときは、特定の目的のために、二以上の海区の区域を合した海区に連合海区漁業調整委員会を置くことができる。

2項

農林水産大臣は、必要があると認めるときは、都道府県知事に対して、連合海区漁業調整委員会を設置すべきことを勧告することができる。


この場合には、都道府県知事は、当該勧告を尊重しなければならない。

3項

都道府県知事が第一項の規定により連合海区漁業調整委員会を置こうとする場合において、その海区の一部が他の都道府県知事の管轄に属するときは、当該都道府県知事と協議しなければならない。

4項

海区漁業調整委員会は、必要があると認めるときは、特定の目的のために、他の海区漁業調整委員会と協議して、その区域と当該他海区漁業調整委員会の区域とを合した海区に連合海区漁業調整委員会を置くことができる。

5項

前項の協議が調わないときは、海区漁業調整委員会は、これを監督する都道府県知事に対して、これに代わるべき定めをすべきことを申請することができる。


この場合において、各海区漁業調整委員会を監督する都道府県知事が異なるときは、その協議によつて定める。

6項

第三項 又は前項の協議が調わないときは、都道府県知事は、農林水産大臣に対して、これに代わるべき定めをすべきことを申請することができる。

7項

前二項の規定により都道府県知事 又は農林水産大臣が定めをしたときは、その定めるところにより協議が調つたものとみなす。

1項

連合海区漁業調整委員会は、 委員をもつて組織する。

2項

委員は、その海区の区域内に設置された各海区漁業調整委員会の委員の中から その定めるところにより選出された各同数の委員をもつて充てる。


ただし、海区漁業調整委員会の数が次項の規定による委員の定数を超える場合にあつては、各海区漁業調整委員会の委員の中から一人を選出し、その者が互選した者をもつて充てる。

3項

委員の定数は、前条第一項に規定する場合にあつては、同条第三項に規定する場合を除き、都道府県知事が、同項に規定する場合にあつては各都道府県知事が協議して、同条第四項に規定する場合にあつては各海区漁業調整委員会が協議して定める。

4項

前条第一項の規定により連合海区漁業調整委員会を設置した都道府県知事 又は同条第四項の規定により連合海区漁業調整委員会を設置した海区漁業調整委員会を監督する都道府県知事は、必要があると認めるときは、第二項の規定により選出される委員のほか、学識経験がある者の中から、その三分の二以下の人数を限り、委員を選任することができる。

5項

前項の委員の選任については、前条第三項に規定する場合 及び同条第五項後段に規定する場合にあつては、当該都道府県知事と協議しなければならない。

6項

第三項の海区漁業調整委員会の協議が調わないときは、前条第五項の規定を準用する。

7項

第三項第五項 又は前項において準用する前条第五項の都道府県知事の協議が調わないときは、同条第六項の規定を準用する。

8項

前三項の場合には、前条第七項の規定を準用する。

1項

前条第二項の規定により選出された委員の任期 及び解任に関して必要な事項は、各委員の属する海区漁業調整委員会の定めるところによる。

1項

第百四十八条第二項の規定により選出された委員は、海区漁業調整委員会の委員でなくなつたときは、その職を失う。

1項

第百三十七条第二項から 第六項まで第百四十一条第百四十三条第三項 及び第百四十四条から 第百四十六条までの規定は、連合海区漁業調整委員会に準用する。


この場合において、

第百三十七条第二項ただし書 及び第五項
都道府県知事が」とあるのは
第百四十八条第四項の委員の選任方法に準じて」と、

第百四十一条 及び第百四十四条第一項
都道府県知事」とあるのは
第百四十八条第四項に規定する都道府県知事」と、

同項
議会の同意を得て」とあるのは
「その選任方法に準じて」と

読み替えるものとする。

第四節 広域漁業調整委員会

1項

太平洋に太平洋広域漁業調整委員会を、日本海・九州西海域に日本海・九州西広域漁業調整委員会を、瀬戸内海に瀬戸内海広域漁業調整委員会を置く。

2項

前項の規定において「太平洋」、「日本海・九州西海域」又は「瀬戸内海」とは、我が国の排他的経済水域、領海 及び内水(内水面を除く)のうち、それぞれ、太平洋の海域、日本海 及び九州の西側の海域 又は瀬戸内海の海域(これらに隣接する海域を含む。)で政令で定めるものをいう。

1項

広域漁業調整委員会は、委員をもつて組織する。

2項

太平洋広域漁業調整委員会の委員は、 次に掲げる者をもつて充てる。

一 号

太平洋の区域内に設置された 海区漁業調整委員会の委員が都道県ごとに互選した者

一人

二 号

太平洋の区域内において漁業を営む者の中から 農林水産大臣が選任した者

七人

三 号

学識経験がある者の中から 農林水産大臣が選任した者

三人

3項

日本海・九州西広域漁業調整委員会の委員は、 次に掲げる者をもつて充てる。

一 号

日本海・九州西海域の区域内に設置された海区漁業調整委員会の委員が道府県ごとに互選した者

一人

二 号

日本海・九州西海域の区域内において漁業を営む者の中から 農林水産大臣が選任した者

七人

三 号

学識経験がある者の中から 農林水産大臣が選任した者

三人

4項

瀬戸内海広域漁業調整委員会の委員は、 次に掲げる者をもつて充てる。

一 号

瀬戸内海の区域内に設置された 海区漁業調整委員会の委員が府県ごとに互選した者

一人

二 号

学識経験がある者の中から 農林水産大臣が選任した者

三人

1項

農林水産大臣は、広域漁業調整委員会の議決が法令に違反し、又は著しく不当であると認めるときは、理由を示してこれを再議に付することができる。


ただし、議決があつた日から一月を経過したときは、この限りでない。

1項

農林水産大臣は、広域漁業調整委員会が議決を怠り、 又は その議決が法令に違反し、若しくは著しく不当であると認めて 水産政策審議会が請求したときは、その解散を命ずることができる。

2項

前項の規定による農林水産大臣の解散命令を違法であるとしてその取消しを求める訴えは、当事者がその処分のあつたことを知つた日から 一月以内に提起しなければならない。


この期間は、不変期間とする。

1項

第百三十七条第二項から 第六項まで第百四十一条第百四十三条から 第百四十六条まで 及び第百五十条の規定は、広域漁業調整委員会に準用する。


この場合において、

第百三十七条第二項ただし書、第四項 及び第五項第百四十一条 並びに第百四十四条第一項
都道府県知事」とあるのは
「農林水産大臣」と、

第百三十七条第二項
委員の」とあるのは
「太平洋広域漁業調整委員会にあつては第百五十三条第二項第三号の委員、日本海・九州西広域漁業調整委員会にあつては同条第三項第三号の委員、瀬戸内海広域漁業調整委員会にあつては同条第四項第二号の委員の」と、

第百四十四条第一項
委員が」とあるのは
第百五十三条第二項第二号 及び第三号同条第三項第二号 及び第三号 並びに同条第四項第二号の委員が」と、

議会の同意を得て、これを」とあるのは
「これを」と、

第百五十条
第百四十八条第二項の規定により選出された」とあるのは
第百五十三条第二項第一号同条第三項第一号 又は同条第四項第一号の規定により互選した者をもつて充てられた」と

読み替えるものとする。

第五節 雑則

1項

漁業調整委員会 又は水産政策審議会は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理するために必要があると認めるときは、漁業者、漁業従事者 その他 関係者に対し その出頭を求め、若しくは必要な報告を徴し、又は委員 若しくは委員会 若しくは審議会の事務に従事する者をして漁場、船舶、事業場 若しくは事務所について所要の調査をさせることができる。

2項

漁業調整委員会 又は水産政策審議会は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理するために必要があると認めるときは、その委員 又は委員会 若しくは審議会の事務に従事する者をして他人の土地に立ち入つて、測量し、検査し、又は測量 若しくは検査の障害になる物を移転し、若しくは除去させることができる。

1項

農林水産大臣は、広域漁業調整委員会 及び水産政策審議会に対し、監督上必要な命令 又は処分をすることができる。

1項

国は、漁業調整委員会(広域漁業調整委員会を除く次項において同じ。)に関する費用の財源に充てるため、都道府県に対し、交付金を交付する。

2項

農林水産大臣は、前項の規定による都道府県への交付金の交付については、各都道府県の海区の数、海面において漁業を営む者の数 及び海岸線の長さを基礎とし、海面の利用の状況 その他の各都道府県における漁業調整委員会の運営に関する特別の事情を考慮して政令で定める基準に従つて決定しなければならない。

1項

この章に規定するもののほか、漁業調整委員会に関して必要な事項は、政令で定める。