所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法

# 平成三十年法律第四十九号 #
略称 : 所有者不明土地法 

第三章 所有者不明土地の利用の円滑化及び管理の適正化のための特別の措置

分類 法律
カテゴリ   土地
@ 施行日 : 令和五年四月一日 ( 2023年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第三十八号による改正
最終編集日 : 2024年 06月13日 06時27分


第一節 地域福利増進事業の実施のための措置

第一款 地域福利増進事業の実施の準備

1項

地域福利増進事業を実施しようとする者は、その準備のため他人の土地(特定所有者不明土地に限る次条第一項 及び第八条第一項において同じ。)又は当該土地にある簡易建築物等 その他の工作物に立ち入って測量 又は調査を行う必要があるときは、その必要の限度において、当該土地 又は工作物に、自ら立ち入り、又はその命じた者 若しくは委任した者に立ち入らせることができる。


ただし、地域福利増進事業を実施しようとする者が国 及び地方公共団体以外の者であるときは、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、当該土地の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けた場合に限る

1項

前条の規定により他人の土地 又は工作物に立ち入って測量 又は調査を行う者は、その測量 又は調査を行うに当たり、やむを得ない必要があって、障害となる植物 又は垣、柵 その他の工作物(以下「障害物」という。)の伐採 又は除去(以下「伐採等」という。)をしようとするときは、国土交通省令で定めるところにより当該障害物の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けて、伐採等をすることができる。


この場合において、都道府県知事は、許可を与えようとするときは、あらかじめ、当該障害物の確知所有者(所有者で知れているものをいう。以下同じ。)に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。

2項

前項の規定により障害物の伐採等をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、その旨を、伐採等をしようとする日の十五日前までに公告するとともに、伐採等をしようとする日の三日前までに当該障害物の確知所有者に通知しなければならない。

3項

第一項の規定により障害物の伐採等をしようとする者は、その現状を著しく損傷しないときは、前二項の規定にかかわらず、国土交通省令で定めるところにより当該障害物の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けて、直ちに伐採等をすることができる。


この場合においては、伐採等をした後遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その旨を、公告するとともに、当該障害物の確知所有者に通知しなければならない。

1項

第六条の規定により他人の土地 又は工作物に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書(国 及び地方公共団体以外の者にあっては、その身分を示す証明書 及び同条ただし書の許可を受けたことを証する書面)を携帯しなければならない。

2項

前条第一項 又は第三項の規定により障害物の伐採等をしようとする者は、その身分を示す証明書 及び同条第一項 又は第三項の許可を受けたことを証する書面を携帯しなければならない。

3項

前二項の証明書 又は書面は、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

1項

地域福利増進事業を実施しようとする者は、第六条 又は第七条第一項 若しくは第三項の規定による行為により他人に損失を与えたときは、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。

2項

前項の規定による損失の補償については、損失を与えた者と損失を受けた者とが協議しなければならない。

3項

前項の規定による協議が成立しないときは、損失を与えた者 又は損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法第九十四条第二項の規定による裁決を申請することができる。

第二款 裁定による特定所有者不明土地の使用

1項

地域福利増進事業を実施する者(以下「事業者」という。)は、当該事業を実施する区域(以下「事業区域」という。)内にある特定所有者不明土地を使用しようとするときは、当該特定所有者不明土地の所在地を管轄する都道府県知事に対し、次に掲げる権利(以下「土地使用権等」という。)の取得についての裁定を申請することができる。

一 号

当該特定所有者不明土地の使用権(以下「土地使用権」という。

二 号

当該特定所有者不明土地にある所有者不明物件(相当な努力が払われたと認められるものとして政令で定める方法により探索を行ってもなお その所有者の全部 又は一部を確知することができない物件をいう。第三項第二号において同じ。)の所有権(次項第七号において「物件所有権」という。)又はその使用権(同項第八号において「物件使用権」という。

2項

前項の規定による裁定の申請(以下この款において「裁定申請」という。)をしようとする事業者は、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した裁定申請書を都道府県知事に提出しなければならない。

一 号

事業者の氏名 又は名称 及び住所

二 号

事業の種別(第二条第三項各号に掲げる事業の別をいう。

三 号
事業区域
四 号
裁定申請をする理由
五 号

土地使用権の目的となる特定所有者不明土地(以下この款次条第一項第二号除く)において単に「特定所有者不明土地」という。)の所在、地番、地目 及び地積

六 号

特定所有者不明土地の所有者の全部 又は一部を確知することができない事情

七 号

土地使用権等の始期(物件所有権にあっては、その取得の時期。第十三条第二項第二号 及び第二十四条において同じ。

八 号

土地等使用権(土地使用権 又は物件使用権をいう。以下同じ。)の存続期間

3項

前項の裁定申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。

一 号

次に掲げる事項を記載した事業計画書

事業により整備する施設の種類、位置、規模、構造 及び利用条件

事業区域

事業区域内にある土地で特定所有者不明土地以外のもの 及び当該土地にある物件に関する所有権 その他の権利の取得に関する計画(次条第一項第五号において「権利取得計画」という。

資金計画

土地等使用権の存続期間の満了後に特定所有者不明土地を原状に回復するための措置の内容

その他国土交通省令で定める事項
二 号

次に掲げる事項を記載した補償金額見積書

特定所有者不明土地の面積(特定所有者不明土地を含む一団の土地が分割されることとなる場合にあっては、当該一団の土地の全部の面積を含む。

特定所有者不明土地にある所有者不明物件の種類 及び数量

特定所有者不明土地等(特定所有者不明土地 又は当該特定所有者不明土地にある所有者不明物件をいう。以下この款において同じ。)の確知所有者の全部の氏名 又は名称 及び住所

特定所有者不明土地等の確知権利者(土地 又は当該土地にある物件に関し所有権以外の権利を有する者であって、相当な努力が払われたと認められるものとして政令で定める方法により探索を行ってもなお確知することができないもの以外の者をいう。次条第五項 及び第十七条第一項において同じ。)の全部の氏名 又は名称 及び住所 並びにその権利の種類 及び内容

土地使用権等を取得することにより特定所有者不明土地所有者等(特定所有者不明土地等に関し所有権 その他の権利を有する者をいう。以下この款において同じ。)が受ける損失の補償金の見積額 及びその内訳 並びに当該補償金の支払の時期

三 号

事業区域の利用について法令の規定による制限があるときは、当該法令の施行について権限を有する行政機関の長の意見書

四 号

事業の実施に関して行政機関の長の許可、認可 その他の処分を必要とする場合においては、これらの処分があったことを証する書類 又は当該行政機関の長の意見書

五 号
その他国土交通省令で定める書類
4項

前項第三号 及び第四号の意見書は、事業者が意見を求めた日から三週間を経過してもこれを得ることができなかったときは、添付することを要しない。


この場合においては、意見書を得ることができなかった事情を疎明する書類を添付しなければならない。

5項

事業者は、裁定申請をしようとするときは、当該裁定申請に係る事業の内容について、あらかじめ、協議会の開催 その他の国土交通省令で定める方法により、住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

1項

都道府県知事は、裁定申請があったときは、当該裁定申請に係る事業が次の各号に掲げる要件のいずれにも該当するかどうかを確認しなければならない。

一 号

事業が地域福利増進事業に該当し、かつ、土地の適正かつ合理的な利用に寄与するものであること。

二 号

土地使用権の目的となる土地が特定所有者不明土地に該当するものであること。

三 号

土地等使用権の存続期間が事業の実施のために必要な期間を超えないものであること。

四 号

事業により整備される施設の利用条件がその公平かつ適正な利用を図る観点から適切なものであること。

五 号

権利取得計画 及び資金計画が事業を確実に遂行するため適切なものであること。

六 号

土地等使用権の存続期間の満了後に第二号の土地を原状に回復するための措置が適正かつ確実に行われると見込まれるものであること。

七 号

事業者が事業を遂行する十分な意思と能力を有する者であること。

八 号

その他基本方針に照らして適切なものであること。

2項

都道府県知事は、前項の規定による確認をしようとするときは、あらかじめ、地域住民 その他の者の共同の福祉 又は利便の増進を図る見地からの関係市町村長の意見を聴かなければならない。

3項

都道府県知事は、第一項の規定による確認をしようとする場合において、前条第四項の規定により意見書の添付がなかったときその他必要があると認めるときは、裁定申請に係る事業の実施について関係のある行政機関の長の意見を求めなければならない。

4項

都道府県知事は、第一項の規定による確認の結果、裁定申請に係る事業が同項各号に掲げる要件のいずれにも該当すると認めるときは、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を公告し、前条第二項の裁定申請書 及びこれに添付された同条第三項各号に掲げる書類を当該公告の日から二月間公衆の縦覧に供しなければならない。

一 号
裁定申請があった旨
二 号

特定所有者不明土地の所在、地番 及び地目

三 号

次の 又はに掲げる者は、縦覧期間内に、国土交通省令で定めるところにより、その権原を証する書面を添えて、都道府県知事に当該 又はに定める事項を申し出るべき旨

特定所有者不明土地 又は当該特定所有者不明土地にある物件に関し所有権 その他の権利を有する者であって、前条第二項の裁定申請書、同条第三項第一号の事業計画書 又は同項第二号の補償金額見積書に記載された事項(裁定申請書にあっては、同条第二項第一号 及び第六号に掲げる事項を除く)について異議のあるもの

当該異議の内容 及びその理由

特定所有者不明土地の所有者であって、前条第三項第二号の補償金額見積書に特定所有者不明土地の確知所有者として記載されていないもの(に掲げる者を除く

当該特定所有者不明土地の所有者である旨

四 号

その他国土交通省令で定める事項

5項

都道府県知事は、前項の規定による公告をしようとするときは、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、裁定申請があった旨を、前条第三項第二号の補償金額見積書に記載された特定所有者不明土地等の確知所有者 及び確知権利者に通知しなければならない。

1項

都道府県知事は、前条第一項の規定による確認の結果、裁定申請に係る事業が同項各号に掲げる要件のいずれかに該当しないと認めるときは、当該裁定申請を却下しなければならない。

2項

都道府県知事は、前条第四項の規定による公告をした場合において、同項の縦覧期間内に同項第三号イの規定による申出があったとき 又は同号ロに掲げる者の全てから同号ロの規定による申出があったときは、当該公告に係る裁定申請を却下しなければならない。

3項

都道府県知事は、前二項の規定により裁定申請を却下したときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その理由を示して、その旨を当該裁定申請をした事業者に通知しなければならない。

1項

都道府県知事は、前条第一項 又は第二項の規定により裁定申請を却下する場合を除き、裁定申請をした事業者が土地使用権等を取得することが当該裁定申請に係る事業を実施するため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、土地使用権等の取得についての裁定をしなければならない。

2項

前項の裁定(以下この条から第十八条までにおいて単に「裁定」という。)においては、次に掲げる事項を定めなければならない。

一 号

特定所有者不明土地の所在、地番、地目 及び面積

二 号
土地使用権等の始期
三 号
土地等使用権の存続期間
四 号
土地使用権等を取得することにより特定所有者不明土地所有者等が受ける損失の補償金の額 及びその支払の時期
3項

裁定は、前項第一号に掲げる事項については裁定申請の範囲を超えてはならず、同項第三号の存続期間については裁定申請の範囲内かつ十年第二条第三項第一号第六号 及び第八号から第十号までに掲げる事業のうち、当該事業の内容 その他の事情を勘案して長期にわたる土地の使用を要するものとして政令で定める事業にあっては、二十年)を限度としなければならず、前項第四号の補償金の額については裁定申請に係る補償金の見積額を下限としなければならない。

4項

都道府県知事は、裁定をしようとするときは、第二項第四号に掲げる事項(同号の補償金の額に係るものに限る)について、あらかじめ、収用委員会の意見を聴かなければならない。

5項

収用委員会は、前項の規定により意見を述べるため必要があると認めるときは、その委員 又はその事務を整理する職員に、裁定申請に係る特定所有者不明土地 又は当該特定所有者不明土地にある簡易建築物等 その他の工作物に立ち入り、その状況を調査させることができる。

6項

前項の規定により立入調査をする委員 又は職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

7項

第五項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

1項

都道府県知事は、裁定をしたときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その旨 及び前条第二項各号に掲げる事項を、裁定申請をした事業者 及び当該事業に係る特定所有者不明土地所有者等で知れているものに文書で通知するとともに、公告しなければならない。

1項

裁定について前条の規定による公告があったときは、当該裁定の定めるところにより、裁定申請をした事業者は、土地使用権等を取得し、特定所有者不明土地等に関するその他の権利は、当該事業者による該特定所有者不明土地等の使用のため必要な限度においてその行使を制限される。

1項

裁定申請をした事業者は、次項から第六項までに定めるところにより、土地使用権等を取得することにより特定所有者不明土地所有者等が受ける損失を補償しなければならない。

2項

損失の補償は、金銭をもってするものとする。

3項

土地使用権等の取得の対価の額に相当する補償金の額は、近傍類似の土地 又は近傍同種の物件の借賃 その他の当該補償金の額の算定の基礎となる事項を考慮して定める相当の額(土地等使用権の取得に係る当該補償金の額にあっては、当該相当の額から特定所有者不明土地等の管理に要する費用に相当する額を控除して得た額)とする。

4項

特定所有者不明土地の一部を使用することにより残地の価格が減じ、その他残地に関して損失が生ずるときは、当該損失を補償しなければならない。

5項

特定所有者不明土地の一部を使用することにより残地に通路、溝、垣 その他の工作物の新築、改築、増築 若しくは修繕 又は盛土 若しくは切土をする必要が生ずるときは、これに要する費用を補償しなければならない。

6項

前三項の規定による補償のほか、土地使用権等を取得することにより特定所有者不明土地所有者等が通常受ける損失は、補償しなければならない。

1項

裁定申請をした事業者は、裁定において定められた補償金の支払の時期までに、当該裁定において定められた補償金を特定所有者不明土地所有者等で確知することができないもの(補償金の供託の対象となる特定所有者不明土地等の共有持分の割合が明らかでない場合にあっては、当該特定所有者不明土地等の確知所有者 及び確知権利者を含む。)のために供託しなければならない。

2項

前項の規定による補償金の供託は、当該特定所有者不明土地の所在地の供託所にするものとする。

1項
裁定申請をした事業者が裁定において定められた補償金の支払の時期までに当該裁定において定められた補償金の供託をしないときは、当該裁定は、その時以後 その効力を失う。
1項

第十五条の規定により土地使用権等を取得した事業者(以下「使用権者」という。)は、第十三条第一項の裁定において定められた土地等使用権の存続期間(第四項において準用する第十五条の規定により土地等使用権の存続期間が延長された場合にあっては、当該延長後の存続期間。第三項 及び第二十四条において同じ。)を延長して使用権設定土地(第十五条の規定により取得された土地使用権の目的となっている土地をいう。以下同じ。)の全部 又は一部を使用しようとするときは、当該存続期間の満了の日の七月前から四月前までの間に、当該使用権設定土地の所在地を管轄する都道府県知事に対し、土地等使用権の存続期間の延長についての裁定を申請することができる。

2項

第十条(第一項 及び第五項を除く。)から第十二条までの規定は、前項の規定による裁定の申請について準用する。


この場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第十条第二項
次に掲げる事項
第一号から 第六号まで 及び第八号に掲げる事項
第十条第二項第五号
土地使用権の目的となる特定所有者不明土地(以下 この款(次条第一項第二号を除く。)において 単に「特定所有者不明土地」という。
第十九条第一項に規定する使用権設定土地(その一部を使用しようとする場合にあっては、当該使用に係る土地の部分に限る。以下単に「使用権設定土地」という。
第十条第二項第六号 並びに第三項第一号ハ 及びホ 並びに第二号イ 及びロ 並びに第十一条第四項第二号 及び第三号
特定所有者不明土地
使用権設定土地
第十条第二項第八号
存続期間
存続期間を延長する期間 及び当該延長後の存続期間
第十条第三項第一号ホ 及び第十一条第一項第六号
存続期間
延長後の存続期間
第十条第三項第二号ハから ホまで 及び第十一条第五項
特定所有者不明土地等
使用権設定土地等
第十条第三項第二号ハ
特定所有者不明土地 又は当該特定所有者不明土地
使用権設定土地 又は当該使用権設定土地
第十条第三項第二号ホ
土地使用権等を取得する
土地等使用権の存続期間を延長する
 
特定所有者不明土地所有者等
使用権設定土地所有者等
第十一条第一項第二号
特定所有者不明土地
所有者不明土地
第十一条第一項第三号
存続期間
存続期間を延長する期間
第十一条第四項
二月間
一月間
3項

都道府県知事は、前項において準用する第十二条第一項 又は第二項の規定により第一項の規定による裁定の申請を却下する場合を除き同項の規定による裁定の申請をした使用権者が有する土地等使用権の存続期間を延長することが当該申請に係る事業を実施するため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、土地等使用権の存続期間の延長についての裁定をしなければならない。

4項

第十三条(第一項を除く。)から前条までの規定は、前項の裁定について準用する。


この場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第十三条第二項
次に掲げる事項
第一号、第三号 及び第四号に掲げる事項
第十三条第二項第一号
特定所有者不明土地
第十九条第一項に規定する使用権設定土地(その一部を使用しようとする場合にあっては、当該使用に係る土地の部分に限る。以下単に「使用権設定土地」という。
第十三条第二項第三号
存続期間
存続期間を延長する期間 及び当該延長後の存続期間
第十三条第二項第四号 並びに第十六条第一項 及び第六項
土地使用権等を取得する
土地等使用権の存続期間を延長する
第十三条第二項第四号
特定所有者不明土地所有者等
使用権設定土地所有者等(使用権設定土地等(使用権設定土地 又は当該使用権設定土地にある第十条第一項第二号に規定する所有者不明物件をいう。以下同じ。)に関し所有権 その他の権利を有する者をいう。以下同じ。
第十三条第三項
存続期間
土地等使用権の存続期間を延長する期間
第十三条第五項、第十六条第四項 及び第五項 並びに第十七条第二項
特定所有者不明土地
使用権設定土地
第十四条、第十六条第一項 及び第六項 並びに第十七条第一項
特定所有者不明土地所有者等
使用権設定土地所有者等
第十五条
は、土地使用権等を取得し
が有する土地等使用権の存続期間は、延長され
第十五条、第十六条第三項 及び第十七条第一項
特定所有者不明土地等
使用権設定土地等
第十六条第三項
土地使用権等の取得
土地等使用権の存続期間の延長
 
土地等使用権の取得に係る当該補償金の額にあっては、当該相当の額から
から
 
額)
1項

使用権者は、国土交通省令で定めるところにより、使用権設定土地の区域内に、当該使用権設定土地が地域福利増進事業の用に供されている旨を表示した標識を設けなければならない。


ただし、当該区域内に設けることが困難であるときは、事業区域内の見やすい場所にこれを設けることができる。

2項

何人も、前項の規定により設けられた標識を使用権者の承諾を得ないで移転し、若しくは除却し、又は汚損し、若しくは損壊してはならない。

1項

相続人、合併 又は分割により設立される法人 その他の使用権者の一般承継人(分割による承継の場合にあっては、当該使用権者が実施する事業の全部を承継する法人に限る)は、当該使用権者が有していた第十三条第一項の裁定(第十九条第三項の裁定を含む。以下この款において単に「裁定」という。)に基づく地位を承継する。

1項

使用権者は、土地使用権等の全部 又は一部を譲り渡そうとするときは、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事の承認を受けなければならない。


この場合において、当該使用権者は、土地使用権等の全部を譲り渡そうとするときはその実施する事業の全部を、土地使用権等の一部を譲り渡そうとするときはその実施する事業のうち当該土地使用権等の一部に対応する部分を併せて譲り渡さなければならない。

2項

都道府県知事は、前項の承認をしたときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。

3項

第一項の承認に係る土地使用権等の全部 又は一部を譲り受けた者は、使用権者が有していた裁定に基づく地位を承継する。

1項

都道府県知事は、使用権者が次の各号いずれかに該当するときは、裁定(前条第一項の承認を含む。以下この条において同じ。)を取り消すことができる。

一 号

この法律 又はこの法律に基づく命令の規定に違反したとき。

二 号

実施する事業が第十一条第一項各号第二号除き第十九条第二項において準用する場合を含む。)に掲げる要件のいずれかに該当しないこととなったとき。

三 号

正当な理由なく裁定申請(第十九条第一項の規定による裁定の申請を含む。)に係る事業計画に従って事業を実施していないと認められるとき。

2項

都道府県知事は、前項の規定により裁定を取り消したときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。

3項

裁定は、前項の規定による公告があった日以後 その効力を失う。

1項

使用権者は、土地等使用権の存続期間が満了したとき、土地使用権等の始期後に第十八条第十九条第四項において準用する場合を含む。)の規定により裁定が失効したとき 又は前条第一項の規定により裁定が取り消されたときは、使用権設定土地を原状に回復し、これを返還しなければならない。


ただし、当該使用権設定土地を原状に回復しないことについてその確知所有者の全ての同意が得られたときは、この限りでない。

1項

都道府県知事は、前条の規定に違反した者に対し、相当の期限を定めて、使用権設定土地を原状に回復することを命ずることができる。

2項

都道府県知事は、前項の規定により使用権設定土地の原状回復を命じようとする場合において、過失がなくて当該原状回復を命ずべき者を確知することができず、かつ、その違反を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、その者の負担において、当該原状回復を自ら行い、又はその命じた者 若しくは委任した者に行わせることができる。


この場合においては、相当の期限を定めて、当該原状回復を行うべき旨 及びその期限までに当該原状回復を行わないときは、都道府県知事 又はその命じた者 若しくは委任した者が当該原状回復を行うべき旨を、あらかじめ公告しなければならない。

3項

前項の規定により使用権設定土地の原状回復を行おうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

1項

都道府県知事は、この款の規定の施行に必要な限度において、使用権者(裁定申請をしている事業者でまだ土地使用権等を取得していないもの 及び使用権者であった者を含む。以下この項において同じ。)に対し、その事業に関し報告をさせ、又はその職員に、使用権者の事務所、使用権設定土地 その他の場所に立ち入り、その事業の状況 若しくは事業に係る施設、帳簿、書類 その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

2項

第十三条第六項 及び第七項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。

第二節 特定所有者不明土地の収用又は使用に関する土地収用法の特例

第一款 収用適格事業のための特定所有者不明土地の収用又は使用に関する特例

1項

起業者(土地収用法第八条第一項に規定する起業者をいう。以下同じ。)は、同法第二十条の事業の認定を受けた収用適格事業について、その起業地(同法第十七条第一項第二号に規定する起業地をいう。)内にある特定所有者不明土地を収用し、又は使用しようとするときは、同法第二十六条第一項の規定による告示があった日(同法第三十一条の規定により収用 又は使用の手続が保留されていた特定所有者不明土地にあっては、同法第三十四条の三の規定による告示があった日)から一年以内に、当該特定所有者不明土地の所在地を管轄する都道府県知事に対し、特定所有者不明土地の収用 又は使用についての裁定を申請することができる。

2項

前項の規定による裁定の申請(以下この款において「裁定申請」という。)をしようとする起業者は、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した裁定申請書を都道府県知事に提出しなければならない。

一 号
起業者の氏名 又は名称 及び住所
二 号
事業の種類
三 号

収用し、又は使用しようとする特定所有者不明土地(以下この款次条第一項各号列記以外の部分 及び第二十九条第一項除く)において単に「特定所有者不明土地」という。)の所在、地番、地目 及び地積

四 号

特定所有者不明土地の所有者の全部 又は一部を確知することができない事情

五 号

特定所有者不明土地に関する所有権 その他の権利を取得し、又は消滅させる時期

六 号

特定所有者不明土地等(特定所有者不明土地 又は当該特定所有者不明土地にある物件をいう。次項第二号ハ 及び第三十一条第三項において同じ。)の引渡し 又は当該物件の移転の期限(第三十二条第二項第三号において「特定所有者不明土地等の引渡し等の期限」という。

七 号

特定所有者不明土地を使用しようとする場合においては、その方法 及び期間

3項

前項の裁定申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。

一 号

土地収用法第四十条第一項第一号の事業計画書に記載すべき事項に相当するものとして国土交通省令で定める事項を記載した事業計画書

二 号

次に掲げる事項を記載した補償金額見積書

特定所有者不明土地の面積(特定所有者不明土地を含む一団の土地が分割されることとなる場合にあっては、当該一団の土地の全部の面積を含む。

特定所有者不明土地にある物件の種類 及び数量

特定所有者不明土地等の確知所有者の全部の氏名 又は名称 及び住所

特定所有者不明土地の確知関係人(土地収用法第八条第三項に規定する関係人(において単に「関係人」という。)であって、相当な努力が払われたと認められるものとして政令で定める方法により探索を行ってもなお確知することができないもの以外の者をいう。次条第二項において同じ。)の全部の氏名 又は名称 及び住所 並びにその権利の種類 及び内容

特定所有者不明土地を収用し、又は使用することにより特定所有者不明土地所有者等(特定所有者不明土地の所有者 又は関係人をいう。以下同じ。)が受ける損失の補償金の見積額 及びその内訳

三 号

その他国土交通省令で定める書類

1項

都道府県知事は、裁定申請があった場合においては、起業者が収用し、又は使用しようとする土地が特定所有者不明土地に該当しないと認めるとき その他当該裁定申請が相当でないと認めるときを除き、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を公告し、前条第二項の裁定申請書 及びこれに添付された同条第三項各号に掲げる書類を当該公告の日から二週間公衆の縦覧に供しなければならない。

一 号
裁定申請があった旨
二 号

特定所有者不明土地の所在、地番 及び地目

三 号

次の 又はに掲げる者は、縦覧期間内に、国土交通省令で定めるところにより、その権原を証する書面を添えて、都道府県知事に当該 又はに定める事項を申し出るべき旨

特定所有者不明土地所有者等 又は特定所有者不明土地の準関係人(土地収用法第四十三条第二項に規定する準関係人をいう。)であって、前条第二項の裁定申請書 又は同条第三項第二号の補償金額見積書に記載された事項(裁定申請書にあっては、同条第二項第一号第二号 及び第四号に掲げる事項を除く)について異議のあるもの

当該異議の内容 及びその理由

特定所有者不明土地の所有者であって、前条第三項第二号の補償金額見積書に特定所有者不明土地の確知所有者として記載されていないもの(に掲げる者を除く

当該特定所有者不明土地の所有者である旨

四 号
その他国土交通省令で定める事項
2項

都道府県知事は、前項の規定による公告をしようとするときは、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、裁定申請があった旨を、前条第三項第二号の補償金額見積書に記載された特定所有者不明土地の確知所有者 及び確知関係人に通知しなければならない。

1項

都道府県知事は、裁定申請があった場合において、起業者が収用し、又は使用しようとする土地が特定所有者不明土地に該当しないと認めるとき その他当該裁定申請が相当でないと認めるときは、当該裁定申請を却下しなければならない。

2項

都道府県知事は、前条第一項の規定による公告をした場合において、同項の縦覧期間内に同項第三号イの規定による申出があったとき 又は同号ロに掲げる者の全てから同号ロの規定による申出があったときは、当該公告に係る裁定申請を却下しなければならない。

3項

都道府県知事は、前二項の規定により裁定申請を却下したときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その理由を示して、その旨を当該裁定申請をした起業者に通知しなければならない。

1項

都道府県知事は、裁定申請があった場合においては、前条第一項 又は第二項の規定により該裁定申請を却下するときを除き第二十八条第一項の縦覧期間の経過後遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、特定所有者不明土地の収用 又は使用についての裁定手続の開始を決定してその旨を公告し、かつ、当該特定所有者不明土地の所在地を管轄する登記所に、当該特定所有者不明土地 及び当該特定所有者不明土地に関する権利について、特定所有者不明土地の収用 又は使用についての裁定手続の開始の登記を嘱託しなければならない。

2項

土地収用法第四十五条の三の規定は、前項の裁定手続の開始の登記について準用する。

3項

第一項の規定による裁定手続の開始の決定については、行政手続法平成五年法律第八十八号第三章の規定は、適用しない

1項

裁定申請に係る特定所有者不明土地については土地収用法第三十九条第一項の規定による裁決の申請をすることができず、同項の規定による裁決の申請に係る特定所有者不明土地については裁定申請をすることができない

2項

裁定申請に係る特定所有者不明土地については、土地収用法第二十九条第一項の規定は、適用しない

3項

裁定申請に係る特定所有者不明土地等については、土地収用法第三十六条第一項の規定にかかわらず同項の土地調書 及び物件調書を作成することを要しない。

4項

裁定申請に係る特定所有者不明土地について、第二十八条第一項の規定による公告があるまでの間に土地収用法第三十九条第二項の規定による請求があったときは、当該裁定申請は、なかったものとみなす。

5項

裁定申請について第二十八条第一項の規定による公告があったときは、当該裁定申請に係る特定所有者不明土地については、土地収用法第三十九条第二項の規定による請求をすることができない

6項

第二十九条第二項の規定により裁定申請が却下された場合における当該裁定申請に係る特定所有者不明土地についての土地収用法第二十九条第一項 及び第三十九条第一項の規定の適用については、

これらの規定中
一年以内」とあるのは、
「特定期間(当該事業に係る特定所有者不明土地(所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法平成三十年法律第四十九号第二条第二項に規定する特定所有者不明土地をいう。)について同法第二十七条第一項の規定による裁定の申請があつた日から同法第二十九条第二項の規定による処分に係る同条第三項の規定による通知があつた日までの期間をいう。)を除いて一年以内」と

する。

1項

都道府県知事は、第二十九条第一項 又は第二項の規定により裁定申請を却下するとき 及び裁定申請が次の各号いずれかに該当するときを除き、裁定申請をした起業者が当該裁定申請に係る事業を実施するため必要な限度において、特定所有者不明土地の収用 又は使用についての裁定をしなければならない。

一 号

裁定申請に係る事業が土地収用法第二十六条第一項の規定により告示された事業と異なるとき。

二 号

裁定申請に係る事業計画が土地収用法第十八条第二項の規定により事業認定申請書に添付された事業計画書に記載された計画と著しく異なるとき。

2項

前項の裁定(以下この款において単に「裁定」という。)においては、次に掲げる事項を定めなければならない。

一 号

特定所有者不明土地の所在、地番、地目 及び面積

二 号

特定所有者不明土地に関する所有権 その他の権利を取得し、又は消滅させる時期

三 号

特定所有者不明土地等の引渡し等の期限

四 号

特定所有者不明土地を使用する場合においては、その方法 及び期間

五 号

特定所有者不明土地を収用し、又は使用することにより特定所有者不明土地所有者等が受ける損失の補償金の額

六 号

第三十五条第二項の規定による請求書 又は要求書の提出があった場合においては、その採否の決定 その他当該請求 又は要求に係る損失の補償の方法に関し必要な事項

3項

裁定は、前項第一号 及び第四号に掲げる事項については裁定申請の範囲を超えてはならず、同項第五号の補償金の額については裁定申請に係る補償金の見積額を下限としなければならない。

4項

都道府県知事は、裁定をしようとするときは、第二項第五号に掲げる事項について、あらかじめ、収用委員会の意見を聴かなければならない。

5項

収用委員会は、前項の規定により意見を述べるため必要があると認めるときは、その委員 又はその事務を整理する職員に、裁定申請に係る特定所有者不明土地 又は当該特定所有者不明土地にある簡易建築物等 その他の工作物に立ち入り、その状況を調査させることができる。

6項

第十三条第六項 及び第七項の規定は、前項の規定による立入調査について準用する。

1項

都道府県知事は、裁定をしたときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その旨 及び前条第二項各号に掲げる事項を、裁定申請をした起業者 及び当該事業に係る特定所有者不明土地所有者等で知れているものに文書で通知するとともに、公告しなければならない。

1項

裁定について前条の規定による公告があったときは、当該裁定に係る特定所有者不明土地について土地収用法第四十八条第一項の権利取得裁決 及び同法第四十九条第一項の明渡裁決があったものとみなして、同法第七章の規定を適用する。

1項

土地収用法第六章第一節第七十六条第七十七条後段、第七十八条第八十一条から第八十三条まで第八十六条第八十七条 及び第九十条の二から第九十条の四まで除く)の規定は、裁定に係る特定所有者不明土地を収用し、又は使用することにより特定所有者不明土地所有者等が受ける損失の補償について準用する。


この場合において、

同法第七十条ただし書中
第八十二条から第八十六条まで」とあるのは
所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法平成三十年法律第四十九号。以下「所有者不明土地法」という。第三十五条第一項において準用する第八十四条 又は第八十五条」と、

収用委員会の裁決」とあるのは
「都道府県知事の裁定」と、

同法第七十一条
権利取得裁決」とあり、並びに同法第七十三条第八十四条第二項 及び第八十五条第二項
明渡裁決」とあるのは
所有者不明土地法第三十二条第一項の裁定」と、

同法第八十条
前二条」とあるのは
所有者不明土地法第三十五条第一項において準用する前条」と、

同法第八十四条第一項
起業者、土地所有者 又は関係人」とあるのは
「起業者」と、

同項 及び同条第二項同条第三項において準用する同法第八十三条第三項から第六項まで 並びに同法第八十五条
収用委員会」とあるのは
「都道府県知事」と、

同法第八十四条第二項同条第三項において準用する同法第八十三条第三項 及び同法第八十五条第二項
裁決を」とあるのは
「裁定を」と、

同条第一項
起業者 又は物件の所有者」とあるのは
「起業者」と

読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

2項

前項において準用する土地収用法第七十九条の規定による請求 又は同項において準用する同法第八十四条第一項 若しくは第八十五条第一項の規定による要求をしようとする起業者は、裁定申請をする際に、併せて当該請求 又は要求の内容 その他国土交通省令で定める事項を記載した請求書 又は要求書を都道府県知事に提出しなければならない。

1項

都道府県知事は、この款の規定の施行に必要な限度において、その職員に、裁定申請に係る特定所有者不明土地 又は当該特定所有者不明土地にある簡易建築物等 その他の工作物に立ち入り、その状況を調査させることができる。

2項

第十三条第六項 及び第七項の規定は、前項の規定による立入調査について準用する。

第二款 都市計画事業のための特定所有者不明土地の収用又は使用に関する特例

1項

施行者(都市計画法昭和四十三年法律第百号第四条第十六項に規定する施行者をいう。第三項において同じ。)は、同法第五十九条第一項から第四項までの認可 又は承認を受けた都市計画事業(同法第四条第十五項に規定する都市計画事業をいう。第四十三条第一項 及び第五十八条第二号において同じ。)について、その事業地(同法第六十条第二項第一号に規定する事業地をいう。)内にある特定所有者不明土地を収用し、又は使用しようとするときは、当該特定所有者不明土地の所在地を管轄する都道府県知事に対し、特定所有者不明土地の収用 又は使用についての裁定を申請することができる。

2項

第二十七条第二項 及び第三項第二十八条から第三十条まで 並びに第三十一条第一項 及び第三項から第五項までの規定は、前項の規定による裁定の申請について準用する。


この場合において、

第二十七条第二項
起業者は」とあるのは
「施行者(都市計画法第四条第十六項に規定する施行者をいう。以下同じ。)は」と、

同項第一号第二十八条第一項 並びに第二十九条第一項 及び第三項
起業者」とあるのは
「施行者」と、

第二十七条第三項第一号 及び第二号ニ第二十八条第一項第三号イ第三十条第二項 並びに第三十一条第一項 及び第三項から第五項までの規定中
土地収用法」とあるのは
都市計画法第六十九条の規定により適用される土地収用法」と

読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

3項

都道府県知事は、前項において準用する第二十九条第一項 又は第二項の規定により第一項の規定による裁定の申請(以下この項において「裁定申請」という。)を却下するとき及び裁定申請が次の各号いずれかに該当するときを除き、裁定申請をした施行者が当該裁定申請に係る事業を実施するため必要な限度において、特定所有者不明土地の収用 又は使用についての裁定をしなければならない。

一 号

裁定申請に係る事業が都市計画法第六十二条第一項の規定により告示された事業と異なるとき。

二 号

裁定申請に係る事業計画が都市計画法第六十条第一項第三号同法第六十三条第二項において準用する場合を含む。)の事業計画と著しく異なるとき。

4項

第三十二条(第一項を除く。)から前条までの規定は、前項の裁定について準用する。


この場合において、

第三十三条
起業者」とあるのは
「施行者(都市計画法第四条第十六項に規定する施行者をいう。以下同じ。)」と、

第三十四条 及び第三十五条
土地収用法」とあり、及び「同法」とあるのは
都市計画法第六十九条の規定により適用される土地収用法」と、

同条第一項
起業者」」とあるのは
施行者」」と、

同条第二項
起業者」とあるのは
「施行者」と

読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第三節 所有者不明土地の管理の適正化のための措置

1項

市町村長は、所有者不明土地のうち、所有者による管理が実施されておらず、かつ、引き続き管理が実施されないことが確実であると見込まれるもの(以下「管理不全所有者不明土地」という。)による次に掲げる事態の発生を防止するために必要かつ適当であると認める場合には、その必要の限度において、当該管理不全所有者不明土地の確知所有者に対し、期限を定めて、当該事態の発生の防止のために必要な措置(次条 及び第四十条第一項において「災害等防止措置」という。)を講ずべきことを勧告することができる。

一 号
当該管理不全所有者不明土地における土砂の流出 又は崩壊 その他の事象によりその周辺の土地において災害を発生させること。
二 号
当該管理不全所有者不明土地の周辺の地域において環境を著しく悪化させること。
2項

市町村長は、前項の規定による勧告をする場合において、当該勧告に係る管理不全所有者不明土地に隣接する土地であって、地目、地形 その他の条件が類似し、かつ、当該土地の管理の状況が当該管理不全所有者不明土地と同一の状況にあるもの(以下「管理不全隣接土地」という。)による次に掲げる事態の発生を防止するために必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該管理不全隣接土地の所有者に対しても、期限を定めて、当該管理不全隣接土地について、当該事態の発生の防止のために必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。

一 号
当該管理不全隣接土地 及び当該管理不全隣接土地に係る管理不全所有者不明土地における土砂の流出 又は崩壊 その他の事象によりその周辺の土地において災害を発生させること。
二 号
当該管理不全隣接土地 及び当該管理不全隣接土地に係る管理不全所有者不明土地の周辺の地域において環境を著しく悪化させること。
1項

市町村長は、前条第一項の勧告に係る確知所有者が正当な理由がなくて当該勧告に係る災害等防止措置を講じないときは、当該確知所有者に対し、相当の期限を定めて、当該災害等防止措置を講ずべきことを命ずることができる。


ただし、当該確知所有者が当該災害等防止措置の実施に必要な共有持分を有しない者である場合は、この限りでない。

1項

市町村長は、次の各号いずれかに該当する場合において、管理不全所有者不明土地における災害等防止措置に係る事態を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該管理不全所有者不明土地の所有者の負担において、当該災害等防止措置を自ら講じ、又はその命じた者 若しくは委任した者(以下この項において「措置実施者」という。)に当該災害等防止措置を講じさせることができる。


この場合において、第一号 又は第二号に該当すると認めるときは、市町村長は、相当の期限を定めて、当該災害等防止措置を講ずべき旨 及びその期限までに当該災害等防止措置を講じないときは市町村長 又は措置実施者が当該災害等防止措置を講ずる旨を、あらかじめ公告しなければならない。

一 号
管理不全所有者不明土地の確知所有者がいない場合
二 号

前条ただし書に規定する場合

三 号

前条の規定により災害等防止措置を講ずべきことを命ぜられた確知所有者が、当該命令に係る期限までに当該命令に係る災害等防止措置を講じない場合、講じても十分でない場合 又は講ずる見込みがない場合

2項

前項の規定により負担させる費用の徴収については、行政代執行法昭和二十三年法律第四十三号第五条 及び第六条の規定を準用する。

1項

市町村長は、この節の規定の施行に必要な限度において、その職員に、管理不全所有者不明土地 又は管理不全隣接土地に立ち入り、その状況を調査させることができる。

2項

第十三条第六項 及び第七項の規定は、前項の規定による立入調査について準用する。

第四節 所有者不明土地の管理に関する民法の特例

1項

国の行政機関の長 又は地方公共団体の長(次項 及び第五項 並びに次条第二項 及び第五項において「国の行政機関の長等」という。)は、所有者不明土地につき、その適切な管理のため特に必要があると認めるときは、家庭裁判所に対し、民法明治二十九年法律第八十九号第二十五条第一項の規定による命令 又は同法第九百五十二条第一項の規定による相続財産の清算人の選任の請求をすることができる。

2項

国の行政機関の長等は、所有者不明土地につき、その適切な管理のため特に必要があると認めるときは、地方裁判所に対し、民法第二百六十四条の二第一項の規定による命令の請求をすることができる。

3項

市町村長は、管理不全所有者不明土地につき、次に掲げる事態の発生を防止するため特に必要があると認めるときは、地方裁判所に対し、民法第二百六十四条の九第一項の規定による命令の請求をすることができる。

一 号
当該管理不全所有者不明土地における土砂の流出 又は崩壊 その他の事象によりその周辺の土地において災害を発生させること。
二 号
当該管理不全所有者不明土地の周辺の地域において環境を著しく悪化させること。
4項

市町村長は、管理不全隣接土地につき、次に掲げる事態の発生を防止するため特に必要があると認めるときは、地方裁判所に対し、民法第二百六十四条の九第一項の規定による命令の請求をすることができる。

一 号
当該管理不全隣接土地 及び当該管理不全隣接土地に係る管理不全所有者不明土地における土砂の流出 又は崩壊 その他の事象によりその周辺の土地において災害を発生させること。
二 号
当該管理不全隣接土地 及び当該管理不全隣接土地に係る管理不全所有者不明土地の周辺の地域において環境を著しく悪化させること。
5項

国の行政機関の長等は、第二項市町村長にあっては、前三項)の規定による請求をする場合において、当該請求に係る土地にある建物につき、その適切な管理のため特に必要があると認めるときは、地方裁判所に対し、当該請求と併せて民法第二百六十四条の八第一項 又は第二百六十四条の十四第一項の規定による命令の請求をすることができる。