法務大臣は、証人等の被害についての給付に関する法律(以下「法」という。)の実施に関し、法による給付を受ける権利を裁定するほか、次に掲げる権限を有する。
証人等の被害についての給付に関する法律施行令
制定に関する表明
内閣は、証人等の被害についての給付に関する法律(昭和三十三年法律第百九号)第六条 及び第十二条の規定に基き、この政令を制定する。
第三条の規定による病院 又は診療所の指定
第四条の規定による給付基礎額の決定
法第五条第二項に規定する休業給付を行うかどうかの決定
法第五条第一項第一号に規定する療養給付の範囲は、次に掲げるものであつて療養上相当と認められるもの 又はこれに要する費用とする。
居宅における療養上の管理 及びその療養に伴う世話 その他の看護
病院 又は診療所への入院 及びその療養に伴う世話 その他の看護
療養給付(療養に要する費用の給付を除く。)は、法務大臣が包括的に 又は療養給付を行うべき事件ごとにその開設者の同意を得て指定する病院 又は診療所において行うものとする。
法第五条に規定する給付(療養給付 及び介護給付を除く。)は、給付基礎額を基準として行うものとする。
給付基礎額は、九千百円とする。
ただし、その額が、被害者の通常得ている収入の日額に比して公正を欠くと認められるときは、一万四千二百円を超えない範囲内においてこれを増額した額をもつて給付基礎額とすることができる。
負傷 若しくは疾病 又は死亡の原因となつた加害行為が行われた時(以下「加害行為時」という。)において、次の各号のいずれかに該当し、かつ、法第三条に規定する証人等の範囲に属する者(加害行為時において他に生計のみちがなく、主として当該被害者の扶養を受けていた者に限る。以下この条において「扶養親族」という。)を有していた被害者に係る給付については、前項の金額に、第一号 及び第三号から第六号までのいずれかに該当する扶養親族については一人につき 二百十七円を、第二号に該当する扶養親族については一人につき 三百三十三円をそれぞれ加算して得た額をもつて給付基礎額とする。
配偶者(婚姻の届出をしないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)
二十二歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある子
二十二歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある孫
六十歳以上の父母 及び祖父母
二十二歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある弟妹
扶養親族である子のうちに十五歳に達する日後の最初の四月一日から二十二歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間(以下「特定期間」という。)にある子がいる場合における給付基礎額は、前項の規定にかかわらず、百六十七円に特定期間にある当該扶養親族である子の数を乗じて得た額を同項の規定による額に加算した額とする。
法第五条第一項第二号に規定する傷病給付は、被害者が負傷し、又は疾病にかかり、当該負傷 又は疾病に係る療養の開始後一年六月を経過した日において次の各号のいずれにも該当する場合 又は同日後次の各号のいずれにも該当することとなつた場合に、その状態が継続している期間、傷病給付年金を支給して行う。
当該負傷 又は疾病が治つていないこと。
当該負傷 又は疾病による障害の程度が、次条第二項に規定する一級から三級までの各障害等級に相当するものとして法務省令で定める一級、二級 又は三級の傷病等級に該当すること。
傷病給付年金の額は、当該負傷 又は疾病による障害の程度が次の各号に掲げる傷病等級(前項第二号の傷病等級をいう。第四項において同じ。)のいずれに該当するかに応じ、一年につき給付基礎額に当該各号に定める倍数を乗じて得た額とする。
一級
三百十三
二級
二百七十七
三級
二百四十五
傷病給付を受ける者には、休業給付は、行わない。
傷病給付を受ける者の当該障害の程度に変更があつたため、新たに第二項各号に掲げる他の傷病等級に該当するに至つた場合においては、新たに該当するに至つた傷病等級に応ずる傷病給付を行うものとし、その後は、従前の傷病給付は、行わない。
法第五条第一項第三号に規定する障害給付は、次項に規定する一級から七級までの障害等級に該当する障害がある場合には、当該障害が存する期間、障害給付年金を毎年支給して行い、同項に規定する八級から十四級までの障害等級に該当する障害がある場合には、障害給付一時金を支給して行う。
障害等級は、その障害の程度に応じて重度のものから順に、一級から十四級までに区分するものとする。
この場合において、各障害等級に該当する障害は、法務省令で定める。
障害給付年金の額は、一年につき、次の各号に掲げる障害等級(前項に規定する障害等級をいう。以下同じ。)に応じ、給付基礎額に当該各号に定める倍数を乗じて得た額とする。
一級
三百十三
二級
二百七十七
三級
二百四十五
四級
二百十三
五級
百八十四
六級
百五十六
七級
百三十一
障害給付一時金の額は、次の各号に掲げる障害等級に応じ、給付基礎額に当該各号に定める倍数を乗じて得た額とする。
八級
五百三
九級
三百九十一
十級
三百二
十一級
二百二十三
十二級
百五十六
十三級
百一
十四級
五十六
障害等級に該当する程度の障害が二以上ある場合の障害等級は、重い障害に応ずる障害等級による。
次に掲げる場合の障害等級は、次の各号のうち被害者に最も有利なものによる。
十三級以上に該当する障害が二以上ある場合には、前項の規定による障害等級の一級上位の障害等級
八級以上に該当する障害が二以上ある場合には、前項の規定による障害等級の二級上位の障害等級
五級以上に該当する障害が二以上ある場合には、前項の規定による障害等級の三級上位の障害等級
前項第一号の規定による障害給付の金額は、それぞれの障害に応ずる障害等級による障害給付の金額を合算した金額を超えてはならない。
ただし、同号の規定による障害等級が七級以上になる場合は、この限りでない。
既に障害のある被害者が、法による給付の原因となる負傷 又は疾病によつて同一部位について障害の程度を加重した場合において行う 障害給付の金額の計算については、その者の加重後の障害の障害等級に応ずる障害給付の金額から、次の各号に掲げる場合の区分に応じてそれぞれ当該各号に定める金額を差し引くものとする。
その者の加重前の障害の障害等級が七級以上である場合
その者の加重前の障害の障害等級に応ずる障害給付年金の額
その者の加重前の障害の障害等級が八級以下であり、かつ、加重後の障害の障害等級が七級以上である場合
その者の加重前の障害の障害等級に応ずる障害給付一時金の額を二十五で除して得た金額
その者の加重後の障害の障害等級が八級以下である場合
その者の加重前の障害の障害等級に応ずる障害給付一時金の額
障害給付年金を受ける者の当該障害の程度に変更があつたため、新たに他の障害等級に該当するに至つた場合においては、新たに該当するに至つた障害等級に応ずる障害給付を行うものとし、その後は、従前の障害給付は、行わない。
法第五条第一項第四号に規定する介護給付は、傷病給付年金 又は障害給付年金を受ける権利を有する者が、当該傷病給付年金 又は障害給付年金の支給原因となつた障害であつて法務省令で定める障害に該当するものにより、常時 又は随時介護を要する状態にあり、かつ、常時 又は随時介護を受けている場合に、当該介護を受けている期間、次項に定める金額を支給して行う。
ただし、次に掲げる場合には、その入院し、又は入所している期間については、介護給付は、行わない。
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第五条第十一項に規定する障害者支援施設(次号において「障害者支援施設」という。)に入所している場合(同条第七項に規定する生活介護(同号において「生活介護」という。)を受けている場合に限る。)
障害者支援施設(生活介護を行うものに限る。)に準ずる施設として法務大臣が定めるものに入所している場合
介護給付は、月を単位として行うものとし、その額は、一月につき、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める額とする。
介護給付に係る障害(障害の状態に変更があつた場合は、その月における最初の変更の前の障害。第三号において同じ。)が常時介護を要する程度の障害として法務省令で定めるものに該当する場合(次号において「常時介護を要する場合」という。)において、その月に介護に要する費用を支出して介護を受けた日があるとき(同号に掲げるときを除く。)
その月における介護に要する費用として支出された額(その額が十七万七千九百五十円を超えるときは、十七万七千九百五十円)
常時介護を要する場合において、その月(新たに介護給付の支給原因たる事実が生じた月を除く。以下この号 及び第四号において同じ。)に親族 又はこれに準ずる者による介護を受けた日があるとき(その月に介護に要する費用を支出して介護を受けた日がある場合にあつては、当該介護に要する費用として支出された額が八万千二百九十円以下である場合に限る。)
八万千二百九十円
介護給付に係る障害が随時介護を要する程度の障害として法務省令で定めるものに該当する場合(次号において「随時介護を要する場合」という。)において、その月に介護に要する費用を支出して介護を受けた日があるとき(同号に掲げるときを除く。)
その月における介護に要する費用として支出された額(その額が八万八千九百八十円を超えるときは、八万八千九百八十円)
随時介護を要する場合において、その月に親族 又はこれに準ずる者による介護を受けた日があるとき(その月に介護に要する費用を支出して介護を受けた日がある場合にあつては、当該介護に要する費用として支出された額が四万六百円以下である場合に限る。)
四万六百円
法第五条第一項第五号に規定する遺族給付は、遺族給付年金 又は遺族給付一時金として支給する。
遺族給付年金を受けることができる遺族は、被害者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、被害者の死亡の当時事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。以下同じ。)、子、父母、孫、祖父母 及び兄弟姉妹であつて、被害者の死亡の当時 その収入によつて生計を維持していたものとする。
ただし、妻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。以下同じ。)以外の者にあつては、被害者の死亡の当時次に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。
夫(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。以下同じ。)、父母 又は祖父母については、六十歳以上であること。
子 又は孫については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあること。
兄弟姉妹については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあること又は六十歳以上であること。
前三号の要件に該当しない夫、子、父母、孫、祖父母 又は兄弟姉妹については、法務省令で定める障害の状態にあること。
被害者の死亡の当時 胎児であつた子が出生したときは、前項の規定の適用については、将来に向かつて、その子は、被害者の死亡の当時 その収入によつて生計を維持していた子とみなす。
遺族給付年金を受けるべき遺族の順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母 及び兄弟姉妹の順序とし、父母については、養父母を先にし、実父母を後にする。
遺族給付年金の額は、一年につき、次の各号に掲げる遺族給付年金を受ける権利を有する遺族 及びその者と生計を同じくしている遺族給付年金を受けることができる遺族の人数の区分に応じ、当該各号に定める額とする。
一人
給付基礎額に百五十三を乗じて得た額。
二人
給付基礎額に二百一を乗じて得た額
三人
給付基礎額に二百二十三を乗じて得た額
四人以上
給付基礎額に二百四十五を乗じて得た額
遺族給付年金を受ける権利を有する者が二人以上あるときは、遺族給付年金の額は、前項の規定にかかわらず、同項に規定する額をその人数で除して得た額とする。
遺族給付年金の額の算定の基礎となる遺族の数に増減を生じたときは、その増減を生じた月の翌月から、遺族給付年金の額を改定する。
遺族給付年金を受ける権利を有する遺族が妻であり、かつ、当該妻と生計を同じくしている遺族給付年金を受けることができる遺族がない場合において、当該妻が次の各号のいずれかに 該当するに至つたときは、その該当するに至つた月の翌月から、遺族給付年金の額を改定する。
五十五歳に達したとき(前条第一項第四号に規定する状態にあるときを除く。)。
前条第一項第四号に規定する状態になり、又はその事情がなくなつたとき(五十五歳以上であるときを除く。)。
遺族給付年金を受ける権利は、その権利を有する遺族が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
この場合において、同順位者がなくて後順位者があるときは、次順位者に遺族給付年金を支給する。
婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしたとき。
直系血族 又は直系姻族以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となつたとき。
離縁によつて、死亡した被害者との親族関係が終了したとき。
子、孫 又は兄弟姉妹については、十八歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了したとき(被害者の死亡の時から引き続き第七条第一項第四号に規定する状態にあるときを除く。)。
第七条第一項第四号に規定する状態にある夫、子、父母、孫、祖父母 又は兄弟姉妹については、その事情がなくなつたとき(夫、父母 又は祖父母については、被害者の死亡の当時六十歳以上であつたとき、子 又は孫については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるとき、兄弟姉妹については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるか 又は被害者の死亡の当時六十歳以上であつたときを除く。)。
遺族給付年金を受けることができる遺族が前項各号のいずれかに該当するに至つたときは、その者は、遺族給付年金を受けることができる遺族でなくなる。
遺族給付年金を受ける権利を有する者の所在が一年以上明らかでない場合には、当該遺族給付年金は、同順位者があるときは同順位者の、同順位者がないときは次順位者の申請によつて、その所在が明らかでない間、その支給を停止する。
この場合において、同順位者がないときは、その間、次順位者を先順位者とする。
前項の規定により遺族給付年金の支給を停止された遺族は、いつでも、その支給の停止の解除を申請することができる。
第八条第三項の規定は、第一項の規定により遺族給付年金の支給が停止され、又は前項の規定によりその停止が解除された場合に準用する。
この場合において、
同条第三項中
「増減を生じた月」とあるのは、
「支給が停止され、又はその停止が解除された月」と
読みかえるものとする。
遺族給付一時金は、次の場合に支給する。
被害者の死亡の当時遺族給付年金を受けることができる遺族がないとき。
遺族給付年金を受ける権利を有する者の権利が消滅した場合において、他に当該遺族給付年金を受けることができる遺族がなく、かつ、当該被害者の死亡に関しすでに支給された遺族給付年金の額の合計額が前号の場合に支給される遺族給付一時金の額に満たないとき。
遺族給付一時金を受けることができる遺族は、被害者の死亡の当時において次の各号の一に該当する者とする。
被害者の収入によつて生計を維持していた子、父母、孫、祖父母 及び兄弟姉妹
前二号に掲げる者以外の者で主として被害者の収入によつて生計を維持していたもの
第二号に該当しない子、父母、孫、祖父母 及び兄弟姉妹
遺族給付一時金を受けるべき遺族の順位は、前項各号の順序とし、同項第二号 及び第四号に掲げる者のうちにあつては、それぞれ当該各号に掲げる順序とし、父母については、養父母を先にし、実父母を後にする。
被害者が遺言 又は法務大臣に対する予告で、第一項第三号 及び第四号に掲げる者のうち特に指定した者があるときは、その指定された者は、同項第三号 及び第四号に掲げる他の者に優先して遺族給付一時金を受けるものとする。
遺族給付一時金の額は、給付基礎額に、次の各号に掲げる者の区分に応じて当該各号に定める倍数を乗じて得た額(第十一条第二号の場合にあつては、その額からすでに支給された遺族給付年金の額の合計額を控除した額)とする。
前条第一項第一号、第二号 又は第四号に該当する者
千倍
前条第一項第三号に該当する者のうち、被害者の死亡の当時十八歳未満 若しくは五十五歳以上の三親等内の親族又は第七条第一項第四号に規定する状態にある三親等内の親族
七百倍
前条第一項第三号に該当する者のうち、前号に掲げる者以外の者
四百倍
第八条第二項の規定は、遺族給付一時金の額について準用する。
被害者を故意に死亡させた者は、遺族給付を受けることができる遺族としない。
被害者の死亡前に、当該被害者の死亡によつて遺族給付年金を受けることができる先順位 又は同順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者は、遺族給付年金を受けることができる遺族としない。
被害者の死亡前 又は遺族給付年金を受けることができる遺族の当該遺族給付年金を受ける権利の消滅前に、当該被害者の死亡 又は当該権利の消滅によつて遺族給付一時金を受けることができる先順位 又は同順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者は、遺族給付一時金を受けることができる遺族としない。
遺族給付年金を受けることができる遺族を故意に死亡させた者は、遺族給付一時金を受けることができる遺族としない。
被害者の死亡前に、当該被害者の死亡によつて遺族給付年金を受けることができる遺族となるべき者を故意に死亡させた者も、同様とする。
遺族給付年金を受けることができる遺族が、遺族給付年金を受けることができる先順位 又は同順位の他の遺族を故意に死亡させたときは、その者は、遺族給付年金を受けることができる遺族でなくなる。
この場合において、その者が遺族給付年金を受ける権利を有する者であるときは、その権利は、消滅する。
第九条第一項後段の規定は、前項後段の場合に準用する。
傷病給付年金、障害給付年金 又は遺族給付年金(以下「年金たる給付」という。)の額に五十円未満の端数があるときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数があるときは、これを百円に切り上げるものとする。
年金たる給付の支給は、支給すべき事由が生じた月の翌月から始め、支給を受ける権利が消滅した月で終わるものとする。
年金たる給付は、その支給を停止すべき事由が生じたときは、その事由が生じた月の翌月からその事由が消滅した月までの間は、支給しない。
年金たる給付は、毎年二月、四月、六月、八月、十月 及び十二月の六期に、それぞれその前月分までを支払う。
ただし、支給を受ける権利が消滅した場合におけるその期の年金たる給付は、支払期月でない月であつても、支払うものとする。
前項の規定により年金たる給付の支払を行なう場合には、当該給付の年額を十二で除して得た額に支払うべき月数を乗じて得た額を支払うものとする。
年金たる給付の支給を停止すべき事由が生じたにもかかわらず、その停止すべき期間の分として年金たる給付が支払われたときは、その支払われた年金たる給付は、その後に支払うべき年金たる給付の内払とみなすことができる。
年金たる給付を減額して改定すべき事由が生じたにもかかわらず、その事由が生じた月の翌月以後の分として減額しない額の年金たる給付が支払われた場合における当該年金たる給付の当該減額すべきであつた部分についても、同様とする。
法第五条第一項第二号による傷病給付を受ける権利を有する者が同一の負傷 又は疾病(次項において「同一の傷病」という。)に関し、休業給付 又は障害給付を受ける権利を有することとなつた場合において、当該傷病給付を受ける権利が消滅した月の翌月以後の分として傷病給付が支払われたときは、その支払われた傷病給付は、当該休業給付 又は障害給付の内払とみなす。
同一の傷病に関し、休業給付を受けている者が傷病給付 又は障害給付を受ける権利を有することとなり、かつ、当該休業給付を行わないこととなつた場合において、その後も休業給付が支払われたときは、その支払われた休業給付は、当該傷病給付 又は障害給付の内払とみなす。
年金たる給付を受ける権利を有する者が死亡したためその支給を受ける権利が消滅したにもかかわらず、その死亡の日の属する月の翌月以後の分として当該年金たる給付の過誤払が行われた場合において、当該過誤払による返還金に係る債権(以下この条において「返還金債権」という。)に係る債務の弁済をすべき者に支払うべき給付で次に掲げるものがあるときは、当該給付の支払金の金額を当該過誤払による返還金債権の金額に充当することができる。
年金たる給付を受ける権利を有する者の死亡に係る遺族給付年金、遺族給付一時金 又は葬祭給付
過誤払による返還金債権に係る遺族給付年金と同順位で支給されるべき遺族給付年金
法第五条第一項第六号に規定する葬祭給付の金額は、三十一万五千円に給付基礎額の三十倍に相当する額を加えた額とする。
給付を受ける権利を有する者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母 又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの(遺族給付年金については、当該遺族給付年金を受けることができる他の遺族)に、これを支給する。
前項の規定による給付を受けるべき者の順位は、同項に規定する順序(遺族給付年金については、第七条第三項に規定する順序)とする。
第一項の規定による給付を受けるべき同順位者が二人以上あるときは、その全額をその一人に支給することができるものとし、この場合において、その一人にした支給は、全員に対してしたものとみなす。
法第五条第二項に規定する休業給付の金額は、一日につき、給付基礎額の百分の六十に相当する額以内とする。
休業給付は、被害者が刑事施設、労役場、少年院 その他これらに準ずる施設に拘禁 又は収容されている期間であつて、法務省令で定める期間については、行わないものとする。
法務大臣は、療養給付については、これを受ける権利を裁定し 及び給付金額を決定する権限(第三条の規定により当該療養給付につき 病院 又は診療所を指定する権限を含む。)を加害行為地を管轄する地方裁判所に対応する検察庁の検事正に委任することができる。
この政令に定めるもののほか、給付の実施に関する細目は、法務省令で定める。