地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律
第一章 総則
この法律において「地域包括ケアシステム」とは、地域の実情に応じて、高齢者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防(要介護状態 若しくは要支援状態となることの予防 又は要介護状態 若しくは要支援状態の軽減 若しくは悪化の防止をいう。)、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制をいう。
この法律において「介護給付等対象サービス等」とは、介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第二十四条第二項に規定する介護給付等対象サービス 及び老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)に基づく福祉サービスをいう。
この法律において「公的介護施設等」とは、地域において介護給付等対象サービス等を提供する施設 その他これに類する施設 又は設備のうち厚生労働省令で定めるもの(次項に規定する特定民間施設を除く。)をいう。
この法律において「特定民間施設」とは、介護給付等対象サービス等との連携の下に地域において保健サービス 及び福祉サービスを総合的に提供する一群の施設であって、民間事業者が整備する次に掲げる施設から構成されるものをいう。
住民の老後における疾病予防のため有酸素運動(継続的に酸素を摂取して全身持久力に関する生理機能の維持 又は回復のために行う身体の運動をいう。)を行わせるとともに、老人に対して機能訓練を行う施設であって、診療所が附置されていること その他の政令で定める要件に適合するもの
老人に対して、各種の相談に応ずるとともに、教養の向上 及びレクリエーションのための便宜を総合的に供与する施設(老人福祉法第二十条の七に規定する老人福祉センターを除く。)
イに掲げる施設であってロに掲げる施設が併せて設置されるもの
身体上 若しくは精神上の障害があって日常生活を営むのに支障がある老人 又はその者を現に養護する者を通わせ、入浴 若しくは給食 又は介護方法の指導の実施 その他の厚生労働省令で定める便宜を供与する施設
身体上 又は精神上の障害があって日常生活を営むのに支障がある老人につき その者の居宅において入浴、排せつ、食事等の介護を行う事業 その他の その者が 居宅において日常生活を営むのに必要な便宜を供与する事業であって政令で定めるもののために必要な施設
第二章 地域における医療及び介護の総合的な確保
厚生労働大臣は、地域において効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するとともに地域包括ケアシステムを構築することを通じ、地域における医療 及び介護を総合的に確保するための基本的な方針(以下「総合確保方針」という。)を定めなければならない。
地域における医療 及び介護の総合的な確保に関し、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第三十条の三第一項に規定する基本方針 及び介護保険法第百十六条第一項に規定する基本指針の基本となるべき事項
次条第一項に規定する都道府県計画 及び第五条第一項に規定する市町村計画の作成 並びにこれらの整合性の確保に関する基本的な事項
前二号に掲げるもののほか、地域における医療 及び介護の総合的な確保に関し、次条第一項に規定する都道府県計画、医療法第三十条の四第一項に規定する医療計画(以下「医療計画」という。)及び介護保険法第百十八条第一項に規定する都道府県介護保険事業支援計画(以下「都道府県介護保険事業支援計画」という。)の整合性の確保に関する事項
公正性 及び透明性の確保 その他第六条の基金を充てて実施する同条に規定する都道府県事業に関する基本的な事項
厚生労働大臣は、総合確保方針の案を作成し、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、医療 又は介護を受ける立場にある者、都道府県知事、市町村長(特別区の区長を含む。次条第四項 及び第十条において同じ。)、介護保険法第七条第七項に規定する医療保険者(以下「医療保険者」という。)、医療機関、同法第百十五条の三十二第一項に規定する介護サービス事業者(次条第四項 及び第五条第四項において「介護サービス事業者」という。)、診療 又は調剤に関する学識経験者の団体 その他の関係団体、学識経験を有する者 その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
厚生労働大臣は、総合確保方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
都道府県は、総合確保方針に即して、かつ、地域の実情に応じて、当該都道府県の地域における医療 及び介護の総合的な確保のための事業の実施に関する計画(以下「都道府県計画」という。)を作成することができる。
医療介護総合確保区域(地理的条件、人口、交通事情 その他の社会的条件、医療機関の施設 及び設備 並びに公的介護施設等 及び特定民間施設の整備の状況 その他の条件からみて医療 及び介護の総合的な確保の促進を図るべき区域をいう。以下同じ。)ごとの当該区域における医療 及び介護の総合的な確保に関する目標 及び計画期間
前号の目標を達成するために必要な次に掲げる事業に関する事項
医療法第三十条の四第二項第七号に規定する地域医療構想(以下単に「地域医療構想」という。)の達成に向けた医療機関の施設 又は設備の整備に関する事業
地域医療構想の達成に向けた医療機関(地域における病床の機能(医療法第三十条の三第二項第六号に規定する病床の機能をいう。以下同じ。)の分化 及び連携を推進するために当該地域における病床数の変更を伴う取組を行うものに限る。)の運営の支援に関する事業
地域における医療 及び介護の総合的な確保のための医療介護総合確保区域における居宅等(居宅 その他厚生労働省令で定める場所をいう。次条第二項第二号イにおいて同じ。)における医療の提供に関する事業(同条第五項の規定により提出された市町村計画に掲載された同号イに掲げる事業を含む。)
公的介護施設等の整備に関する事業(次条第五項の規定により提出された市町村計画に掲載された同条第二項第二号ロ 及びハに掲げる事業を含む。)
その他地域における医療 及び介護の総合的な確保のために実施する必要があるものとして厚生労働省令で定める事業(次条第五項の規定により提出された市町村計画に掲載された同条第二項第二号ニに掲げる事業を含む。)
都道府県は、都道府県計画を作成し、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、市町村長、医療 又は介護を受ける立場にある者、医療保険者、医療機関、介護サービス事業者、診療 又は調剤に関する学識経験者の団体 その他の関係団体、学識経験を有する者 その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
都道府県は、都道府県計画を作成し、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを厚生労働大臣に提出しなければならない。
市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、総合確保方針に即して、かつ、地域の実情に応じて、当該市町村の地域における医療 及び介護の総合的な確保のための事業の実施に関する計画(以下「市町村計画」という。)を作成することができる。
老人福祉法第二十条の六に規定する軽費老人ホーム(以下「軽費老人ホーム」という。)
その他地域における医療 及び介護の総合的な確保のために実施する必要があるものとして厚生労働省令で定める事業
市町村は、市町村計画を作成し、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、都道府県知事、医療 又は介護を受ける立場にある者、医療保険者、医療機関、介護サービス事業者、診療 又は調剤に関する学識経験者の団体 その他の関係団体、学識経験を有する者 その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
市町村は、市町村計画を作成し、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを当該市町村の属する都道府県に提出しなければならない。
都道府県が、都道府県計画に掲載された第四条第二項第二号に掲げる事業(第九条において「都道府県事業」という。)に要する経費の全部 又は一部を支弁するため、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十一条の基金を設ける場合には、国は、政令で定めるところにより、その財源に充てるために必要な資金の三分の二(第四条第二項第二号ロに掲げる事業に要する経費に係るものについては、その全額)を負担するものとする。
前条の基金の財源に充てるために、同条の規定により国が負担する費用については、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律(平成二十四年法律第六十八号)の施行により増加する消費税の収入をもって充てるものとする。
第六条の基金を充てて実施する医療計画に基づく事業に要する費用 又は老人福祉法に定める老人の福祉のための事業に要する費用については、医療法第三十条の九 又は老人福祉法第二十六条第二項の規定に基づく国の補助は、これらの規定にかかわらず、行わないものとする。
都道府県事業により整備される施設(以下 この条 及び次条において「都道府県整備施設」という。)に係る施設を設置する者が、当該都道府県整備施設につき老人福祉法第十四条 若しくは第十五条第二項 若しくは第三項 又は社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第六十二条第一項の規定により届出を行わなければならない場合には、それぞれ当該規定にかかわらず、事業の開始の日 又は施設の設置の日から一月以内に、その旨を当該都道府県整備施設の所在地を管轄する都道府県知事に届け出ることをもって足りる。
都道府県整備施設(市町村計画に掲載された事業に係る施設に限る。)に係る施設を設置する者(以下この条において「施設設置者」という。)は、前条の規定による届出をする場合には、当該届出を、当該施設設置者に係る都道府県整備施設の所在地を管轄する市町村長を経由してすることができる。
この法律中都道府県が処理することとされている事務で政令で定めるものは、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)及び同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下「中核市」という。)においては、政令で定めるところにより、指定都市 又は中核市(以下「指定都市等」という。)が処理するものとする。この場合においては、この法律中都道府県に関する規定は、指定都市等に関する規定として、指定都市等に適用があるものとする。
第三章 国民の保健医療の向上及び福祉の増進に資する情報の分析等の推進
高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)第十七条の規定により厚生労働大臣から委託を受けて同法第十六条第一項に規定する医療保険等関連情報(以下 この項において「医療保険等関連情報」という。)を収集する者、介護保険法第百十八条の十の規定により厚生労働大臣から委託を受けて同法第百十八条の二第一項に規定する介護保険等関連情報(以下 この項において「介護保険等関連情報」という。)を収集する者 その他の保健医療等情報(法律の規定に基づき調査 若しくは分析 又は利用 若しくは提供が行われる医療保険等関連情報、介護保険等関連情報 その他の情報であってその調査 若しくは分析 又は利用 若しくは提供が国民の保健医療の向上 及び福祉の増進に資するものとして厚生労働省令で定める情報をいう。以下 この項において同じ。)を収集する者として厚生労働省令で定める者(以下この条において「連結情報照会者」という。)は、保健医療等情報を正確に連結するため、社会保険診療報酬支払基金(以下「支払基金」という。)又は国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第四十五条第五項に規定する国民健康保険団体連合会(以下「連合会」という。)に対し、当該保健医療等情報に係る医療保険被保険者番号等(健康保険法(大正十一年法律第七十号)第百九十四条の二第一項に規定する被保険者等記号・番号等、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)第百四十三条の二第一項に規定する被保険者等記号・番号等、私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号)第四十五条第一項に規定する加入者等記号・番号等、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)第百十二条の二第一項に規定する組合員等記号・番号等、国民健康保険法第百十一条の二第一項に規定する被保険者記号・番号等、地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)第百四十四条の二十四の二第一項に規定する組合員等記号・番号等 及び高齢者の医療の確保に関する法律第百六十一条の二第一項に規定する被保険者番号等をいう。次項において同じ。)を提供した上で、保健医療等情報を正確に連結するために必要な情報として厚生労働省令で定めるものの提供を求めることができる。
支払基金 又は連合会は、前項の規定による求めがあったときは、連結情報照会者に対し、健康保険法第二百五条の四第一項(第二号 又は第三号に係る部分に限る。)、船員保険法第百五十三条の十第一項(第二号 又は第三号に係る部分に限る。)、私立学校教職員共済法第四十七条の三第一項(第二号 又は第三号に係る部分に限る。)、国家公務員共済組合法第百十四条の二第一項(第二号 又は第三号に係る部分に限る。)、国民健康保険法第百十三条の三第一項、地方公務員等共済組合法第百四十四条の三十三第一項(第二号 又は第三号に係る部分に限る。)又は高齢者の医療の確保に関する法律第百六十五条の二第一項の規定により委託を受けて行う電子資格確認(健康保険法第三条第十三項、船員保険法第二条第十二項、国家公務員共済組合法第五十五条第一項(私立学校教職員共済法第二十五条において準用する場合を含む。)、国民健康保険法第三十六条第三項、地方公務員等共済組合法第五十七条第一項 又は高齢者の医療の確保に関する法律第六十四条第三項に規定する電子資格確認をいう。)の事務に係る医療保険被保険者番号等を利用し、前項の厚生労働省令で定める情報を提供することができる。
前項の規定により情報の提供を受ける連結情報照会者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を支払基金 又は連合会に納めなければならない。
第三章の二 電磁的方法による処方箋の提供等の推進
医師 又は歯科医師は、患者 又は現にその看護に当たっている者の求めに応じて、医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第二十二条第一項 又は歯科医師法(昭和二十三年法律第二百二号)第二十一条第一項の規定によるこれらの者に対する処方箋(書面に代えて当該処方箋に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)を作成した場合における当該電磁的記録を含む。以下同じ。)の交付に代えて、支払基金 又は連合会に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該処方箋を電子情報処理組織を使用する方法 その他の情報通信の技術を利用する方法(以下 この条 及び第三十八条において「電磁的方法」という。)により提供することができる。
前項の規定により処方箋の提供を受けた支払基金 又は連合会は、厚生労働省令で定めるところにより、当該患者が電磁的方法により当該処方箋に記録された情報を閲覧することができるようにするとともに、当該患者 又は現にその看護に当たっている者の求めに応じて、調剤を実施する薬局に対し当該処方箋を電磁的方法により提供しなければならない。
薬剤師は、前項の規定により提供された処方箋により調剤したときその他厚生労働省令で定めるときは、支払基金 又は連合会に対し、薬剤師法(昭和三十五年法律第百四十六号)第二十六条に規定する事項 その他厚生労働省令で定める事項を含む情報を、厚生労働省令で定めるところにより、電磁的方法により提供することができる。
前項の規定により情報の提供を受けた支払基金 又は連合会は、第一項の規定により当該情報に係る処方箋の提供を行った医師 又は歯科医師 その他の厚生労働省令で定める者の求めに応じて、これらの者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該情報を電磁的方法により提供しなければならない。
医師 又は歯科医師は、医師法第二十二条第一項 又は歯科医師法第二十一条第一項の規定により処方箋を交付した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、支払基金 又は連合会に対し、当該処方箋に記載し、又は記録した情報を電磁的方法により提供することができる。
医師 又は歯科医師は、医師法第二十二条第一項 若しくは歯科医師法第二十一条第一項の規定による処方箋の交付 又は第一項の規定による電磁的方法による処方箋の提供を行うに当たり、厚生労働省令で定めるところにより、支払基金 又は連合会に対し、患者の生命 又は身体の保護のために必要な情報として厚生労働省令で定める情報の提供を求めることができる。
前二項の規定により情報の提供の求めを受けた支払基金 又は連合会は、当該求めに応じて、厚生労働省令で定めるところにより、当該医師 若しくは歯科医師 又は薬剤師に対し当該情報を電磁的方法により提供しなければならない。
第三章の三 再編計画の認定
医療機関の開設者は、単独で又は共同して、地域医療構想の達成に向けた病床の機能の分化 及び連携を推進するための二以上の医療機関の再編の事業(以下「医療機関の再編の事業」という。)に関する計画(以下「再編計画」という。)を作成し、厚生労働省令で定めるところにより、これを厚生労働大臣に提出して、当該再編計画が適当である旨の認定を受けることができる。
再編計画においては、次に掲げる事項を記載しなければならない。
第一項の認定(以下「再編計画の認定」という。)の申請は、その計画に係る医療機関の所在地を管轄する都道府県知事を経由してするものとする。
厚生労働大臣は、再編計画の認定の申請があった場合において、当該申請に係る再編計画が次の各号に適合すると認めるときは、再編計画の認定をするものとする。
前条第二項各号に掲げる事項が、医療法第三十条の十四第一項に規定する協議の場における協議に基づくものであること。
前二号に掲げるもののほか、地域医療構想の達成の推進のために必要なものとして厚生労働省令で定める基準に適合するものであること。
厚生労働大臣は、再編計画の認定をしようとするときは、あらかじめ、関係都道府県の意見を聴かなければならない。
厚生労働大臣は、再編計画の認定をしたときは、速やかに、その旨を関係都道府県に通知しなければならない。
再編計画の認定を受けた医療機関の開設者は、当該再編計画の認定を受けた再編計画の変更をしようとするときは、厚生労働大臣の認定を受けなければならない。
ただし、厚生労働省令で定める軽微な変更については、この限りでない。
再編計画の認定を受けた医療機関の開設者は、前項ただし書の厚生労働省令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を当該再編計画に係る医療機関の所在地を管轄する都道府県知事を経由して厚生労働大臣に届け出なければならない。
第十二条の二の二第三項 及び前三条の規定は、第一項の変更の認定について準用する。
厚生労働大臣は、再編計画の認定を受けた再編計画(前条第一項の変更の認定 又は同条第二項の変更の届出があったときは、その変更後のもの。以下「認定再編計画」という。)に係る医療機関の再編の事業を行う医療機関の開設者(以下「認定医療機関開設者」という。)に対し、当該認定再編計画に係る医療機関の再編の事業の実施状況に関し報告をさせることができる。
厚生労働大臣は、認定再編計画が第十二条の三各号のいずれかに適合しなくなったと認めるとき、又は認定医療機関開設者が認定再編計画に従って医療機関の再編の事業を実施しないときは、再編計画の認定を取り消すことができる。
第十二条の四 及び第十二条の五の規定は、前項の規定による取消しについて準用する。
第四章 特定民間施設の整備
厚生労働大臣は、特定民間施設の整備に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
厚生労働大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、総務大臣 その他関係行政機関の長に協議しなければならない。
厚生労働大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
特定民間施設の整備の事業を行おうとする者(当該事業を行う法人を設立しようとする者を含む。)は、当該特定民間施設の整備の事業に関する計画(以下「整備計画」という。)を作成し、これを厚生労働大臣に提出して、当該整備計画が適当である旨の認定を受けることができる。
整備計画においては、次に掲げる事項を記載しなければならない。
特定民間施設が立地する市町村 又はその周辺の市町村に含まれる地域であって、その住民が当該特定民間施設を利用することが想定されるもの(以下「対象地域」という。)の区域
第一項の認定(以下「計画の認定」という。)の申請は、その計画に係る特定民間施設の所在地を管轄する都道府県知事を経由してするものとする。
厚生労働大臣は、計画の認定の申請があった場合において、当該申請に係る整備計画が次の各号に適合すると認めるときは、計画の認定をするものとする。
前条第二項第一号から第七号まで 及び第十号に掲げる事項が基本方針に照らし当該特定民間施設の整備の目的を達成し、当該特定民間施設の機能を発揮させるため適切なものであること。
前条第二項第四号、第八号 及び第九号に掲げる事項が当該特定民間施設の整備の事業を確実に遂行するため適切なものであること。
厚生労働大臣は、計画の認定をしようとするときは、あらかじめ、関係都道府県(対象地域の全部 又は一部が指定都市の区域内である場合には、当該指定都市を含む。以下同じ。)の意見を聴かなければならない。
前項の場合において、都道府県が意見を述べようとするときは、あらかじめ、関係市町村(指定都市を除く。以下同じ。)の意見を聴かなければならない。
厚生労働大臣は、計画の認定をしたときは、速やかに、その旨を関係都道府県に通知しなければならない。
前項の通知を受けた都道府県は、速やかに、当該通知に係る事項を関係市町村に通知しなければならない。
計画の認定を受けた者(その者の設立に係る第十四条第一項の法人を含む。)は、当該計画の認定を受けた整備計画の変更をしようとするときは、厚生労働大臣の認定を受けなければならない。
第十四条第三項 及び前三条の規定は、前項の変更の認定の申請があった場合について準用する。
厚生労働大臣は、計画の認定を受けた整備計画(前条第一項の変更の認定があったときは、その変更後のもの。以下「認定計画」という。)に係る特定民間施設の整備の事業を行う者(以下「認定事業者」という。)に対し、当該認定計画に係る特定民間施設の整備の事業の実施状況に関し報告をさせることができる。
厚生労働大臣は、認定事業者が認定計画に従って特定民間施設の整備の事業を実施しないとき、又は前条の規定による厚生労働大臣の処分に違反したときは、計画の認定を取り消すことができる。
第十七条の規定は、前項の規定による取消しについて準用する。
軽費老人ホームを設置しようとする認定事業者(公益社団法人 又は公益財団法人に限る。)は、あらかじめ厚生労働省令で定める事項をその設置し、経営しようとする地を管轄する都道府県知事に届け出たときは、老人福祉法第十五条第五項 及び社会福祉法第六十二条第二項の規定にかかわらず、同項の許可を受けないで、当該軽費老人ホームを設置し、経営することができる。
前項の規定による届出に係る軽費老人ホームを設置し、経営する者に関しては、同項の規定による届出を社会福祉法第六十二条第一項の規定による届出とみなして、同法第六十三条第一項、第六十四条、第七十一条 並びに第七十二条第一項 及び第二項の規定を適用する。
第五章 社会保険診療報酬支払基金の業務
支払基金は、社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)第十五条に規定する業務のほか、第一条に規定する目的を達成するため、次に掲げる業務を行う。
健康保険法第六十三条第三項各号に掲げる病院 若しくは診療所 若しくは薬局 又は同法第八十八条第一項に規定する指定訪問看護事業者(以下「医療機関等」という。)が行う電子資格確認(同法第三条第十三項に規定する電子資格確認をいう。以下同じ。)の実施に必要な費用 その他地域において効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するための医療機関等の提供する医療に係る情報化の促進に要する費用を補助する業務
第十二条第二項の規定に基づき情報を提供する業務
前二号に掲げる業務に附帯する業務
支払基金は、社会保険診療報酬支払基金法第十五条に規定する業務 及び前項各号に掲げる業務のほか、第一条に規定する目的を達成するとともに、医療保険者が行う高齢者の医療の確保に関する法律第七条第一項に規定する医療保険各法の規定による保健事業 若しくは福祉事業、後期高齢者医療広域連合(同法第四十八条に規定する後期高齢者医療広域連合をいう。第三十九条の二第一項において同じ。)が行う同法第百二十五条第一項に規定する高齢者保健事業 又は法令の規定により医療に関する給付 その他の事務を行う者であって厚生労働省令で定めるものが行う健康の保持 及び増進を図るための厚生労働省令で定める事業(第三十五条第二項において「保健事業等」と総称する。)に資するため、次に掲げる業務を行う。
第十二条の二第一項の規定により処方箋の提供を受け、同条第二項の規定に基づき当該処方箋に記録された情報を閲覧することができるようにするとともに、同項の規定により、患者 又は現にその看護に当たっている者の求めに応じて、調剤を実施する薬局に対し当該処方箋を提供し、同条第三項 及び第五項の規定により情報の提供を受ける業務
第十二条の二第一項の規定により提供を受けた処方箋に記録された情報 並びに同条第三項 及び第五項の規定により提供を受けた情報を記録し、管理し、及び活用するとともに、処方され、又は調剤された薬剤に関する情報を医療機関 及び薬局が相互に共有することに資する業務
第十二条の二第四項の規定により、同項の厚生労働省令で定める者の求めに応じて、当該者に対し同条第三項の規定により提供を受けた情報を提供する業務
第十二条の二第八項の規定により、医師 若しくは歯科医師 又は薬剤師の求めに応じて、同条第六項 又は第七項に規定する情報を提供する業務
薬局の開設者からの委託を受けて、当該薬局で調剤済みとなった処方箋(第十二条の二第二項の規定により提供されたものに限る。)を保管する業務
前各号に掲げる業務に附帯する業務
支払基金は、前条の規定により行う同条第一項第一号に掲げる業務 及びこれに附帯する業務(以下「医療機関等情報化補助業務」という。)、同項第二号に掲げる業務 及びこれに附帯する業務(以下「支払基金連結情報提供業務」という。)並びに同条第二項各号に掲げる業務(以下「支払基金電子処方箋管理業務」という。)に関し、当該業務の開始前に、業務方法書を作成し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更するときも、同様とする。
前項の業務方法書に記載すべき事項は、厚生労働省令で定める。
支払基金は、医療機関等情報化補助業務、支払基金連結情報提供業務 及び支払基金電子処方箋管理業務に関し、毎事業年度、予算、事業計画 及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
これを変更するときも、同様とする。
支払基金は、医療機関等情報化補助業務、支払基金連結情報提供業務 及び支払基金電子処方箋管理業務に関し、毎事業年度、財産目録、貸借対照表 及び損益計算書(以下この条において「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に厚生労働大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
支払基金は、前項の規定により財務諸表を厚生労働大臣に提出するときは、厚生労働省令で定めるところにより、これに当該事業年度の事業報告書 及び予算の区分に従い作成した決算報告書 並びに財務諸表 及び決算報告書に関する監事の意見書を添付しなければならない。
支払基金は、第一項の規定による厚生労働大臣の承認を受けたときは、遅滞なく、財務諸表 又はその要旨を官報に公告し、かつ、財務諸表 及び附属明細書 並びに前項の事業報告書、決算報告書 及び監事の意見書を、主たる事務所に備えて置き、厚生労働省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。
信託業務を営む金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関をいう。第三十三条第三項第三号において同じ。)への金銭信託で元本補塡の契約があるもの
厚生労働大臣は、前項第一号 又は第二号の指定をしようとするときは、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。
厚生労働大臣は、支払基金 又は第二十九条の規定による委託を受けた者(以下「受託者」という。)について、医療機関等情報化補助業務 及び支払基金電子処方箋管理業務に関し必要があると認めるときは、これらの業務 又は財産の状況に関する報告をさせ、又は当該職員に実地にその状況を検査させることができる。
ただし、受託者に対しては、当該受託業務の範囲内に限る。
前二項の規定による検査を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
第一項 及び第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
厚生労働大臣は、前項第一号 又は第二号の指定をしようとするときは、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。
前項の規定により政府が交付する補助金の財源については、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律の施行により増加する消費税の収入をもって充てるものとする。
この法律に定めるもののほか、医療機関等情報化補助業務、支払基金連結情報提供業務 及び支払基金電子処方箋管理業務に係る支払基金の財務 及び会計に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
第六章 国民健康保険団体連合会の業務
連合会は、国民健康保険法第八十五条の三に規定する業務のほか、第一条に規定する目的を達成するため、第十二条第二項の規定に基づき情報を提供する業務 及びこれに附帯する業務を行う。
連合会は、国民健康保険法第八十五条の三に規定する業務 及び前項に規定する業務のほか、第一条に規定する目的を達成するとともに、保健事業等に資するため、第二十四条第二項各号に掲げる業務を行う。
連合会は、前条の規定により行う同条第一項に規定する業務(次条第一項 及び第四十条において「連合会連結情報提供業務」という。)及び前条第二項に規定する業務(以下「連合会電子処方箋管理業務」という。)に係る経理については、その他の経理と区分して整理しなければならない。
第三十一条第三項の規定は前項の規定による検査について、同条第四項の規定は前項の規定による権限について、それぞれ準用する。
第七章 雑則
前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。
政府は、予算の範囲内において、支払基金 又は連合会に対し、第十二条第二項の規定による情報の提供に要する費用の一部を補助することができる。
支払基金 又は連合会は、第二十四条第二項の規定により支払基金が行う同項第五号に掲げる業務 又は第三十五条第二項の規定により連合会が行う同号に掲げる業務を行う場合は、前項の規定にかかわらず、当該業務を支払基金 又は連合会に委託する薬局の開設者から、実費を勘案して政令で定める額の手数料を徴収することができる。
第八章 罰則
支払基金 若しくは連合会の役員 若しくは職員 又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、支払基金連結情報提供業務 若しくは支払基金電子処方箋管理業務 又は連合会連結情報提供業務 若しくは連合会電子処方箋管理業務に関して知り得た秘密を漏らしたときは、一年以下の懲役 又は百万円以下の罰金に処する。
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
支払基金 又は受託者の役員 又は職員が、第三十一条第一項の規定により報告を求められて、これに従わず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
支払基金の役員 又は職員が、第三十一条第二項の規定により報告を求められて、これに従わず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
連合会の役員 又は職員が、第三十七条第一項の規定により報告を求められて、これに従わず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
第十二条の七 又は第十九条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした場合には、当該違反行為をした者は、十万円以下の罰金に処する。
法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者が、その法人 又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人 又は人に対して同項の刑を科する。
支払基金の役員が次の各号のいずれかに該当するときは、二十万円以下の過料に処する。
第五章の規定により厚生労働大臣の認可 又は承認を受けなければならない場合において、その認可 又は承認を受けなかったとき。
第三十条第一項の規定に違反して支払基金連結情報提供業務 若しくは支払基金電子処方箋管理業務に係る業務上の余裕金を運用したとき、又は第三十三条第三項の規定に違反して医療情報化支援基金に係る余裕金を運用したとき。