更生保護法

# 平成十九年法律第八十八号 #

第三章 保護観察

分類 法律
カテゴリ   刑事
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第五十二号による改正
最終編集日 : 2024年 04月28日 00時28分


第一節 通則

1項

次に掲げる者(以下「保護観察対象者」という。)に対する保護観察の実施については、この章の定めるところによる。

一 号

少年法第二十四条第一項第一号 又は第六十四条第一項第一号 若しくは第二号の保護処分に付されている者(以下「保護観察処分少年」という。

二 号

少年院からの仮退院を許されて第四十二条において準用する第四十条の規定により保護観察に付されている者(以下「少年院仮退院者」という。

三 号

仮釈放を許されて第四十条の規定により保護観察に付されている者(以下「仮釈放者」という。

四 号

刑法第二十五条の二第一項 若しくは第二十七条の三第一項 又は薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律平成二十五年法律第五十号第四条第一項の規定により保護観察に付されている者(以下「保護観察付執行猶予者」という。

1項

保護観察は、保護観察対象者の改善更生を図ることを目的として、その犯罪 又は非行に結び付く要因 及び改善更生に資する事項を的確に把握しつつ、第五十七条 及び第六十五条の三第一項に規定する指導監督 並びに第五十八条に規定する補導援護を行うことにより実施するものとする。

2項

保護観察処分少年 又は少年院仮退院者に対する保護観察は、保護処分の趣旨を踏まえ、その者の健全な育成を期して実施しなければならない。

3項

保護観察所の長は、保護観察を適切に実施するため、保護観察対象者の改善更生に資する援助を行う関係機関等に対し第三十条の規定により必要な情報の提供を求めるなどして、当該関係機関等との間の緊密な連携の確保に努めるものとする。

1項

保護観察対象者は、次に掲げる事項(以下「一般遵守事項」という。)を遵守しなければならない。

一 号

再び犯罪をすることがないよう、又は非行をなくすよう健全な生活態度を保持すること。

二 号

次に掲げる事項を守り、保護観察官 及び保護司による指導監督を誠実に受けること。

保護観察官 又は保護司の呼出し 又は訪問を受けたときは、これに応じ、面接を受けること。

保護観察官 又は保護司から、労働 又は通学の状況、収入 又は支出の状況、家庭環境、交友関係 その他の生活の実態を示す事実であって指導監督を行うため把握すべきものを明らかにするよう求められたときは、これに応じ、その事実を申告し、又はこれに関する資料を提示すること。

保護観察官 又は保護司から、健全な生活態度を保持するために実行し、又は継続している行動の状況、特定の犯罪的傾向を改善するための専門的な援助を受けることに関してとった行動の状況、被害者等の被害を回復し、又は軽減するためにとった行動の状況その他の行動の状況を示す事実であって指導監督を行うため把握すべきものを明らかにするよう求められたときは、これに応じ、その事実を申告し、又はこれに関する資料を提示すること。

三 号

保護観察に付されたときは、速やかに、住居を定め、その地を管轄する保護観察所の長にその届出をすること(第三十九条第三項第四十二条において準用する場合を含む。次号において同じ。)又は第七十八条の二第一項の規定により住居を特定された場合 及び次条第二項第五号の規定により宿泊すべき特定の場所を定められた場合を除く)。

四 号

前号の届出に係る住居(第三十九条第三項第四十二条 及び第四十七条の三において準用する場合を含む。)又は第六十八条の七第一項第七十八条の二第一項において準用する場合を含む。)の規定により住居を特定された場合には当該住居、次号の転居の許可を受けた場合には当該許可に係る住居)に居住すること(次条第二項第五号の規定により宿泊すべき特定の場所を定められた場合を除く)。

五 号

転居(第四十七条の二の決定 又は少年法第六十四条第二項の規定により定められた期間(以下「収容可能期間」という。)の満了により釈放された場合に前号の規定により居住することとされている住居に転居する場合を除く)又は七日以上の旅行をするときは、あらかじめ、保護観察所の長の許可を受けること。

2項

刑法第二十七条の三第一項 又は薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律第四条第一項の規定により保護観察に付する旨の言渡しを受けた者(以下「保護観察付一部猶予者」という。)が仮釈放中の保護観察に引き続きこれらの規定による保護観察に付されたときは、第七十八条の二第一項において準用する第六十八条の七第一項の規定により住居を特定された場合 及び次条第二項第五号の規定により宿泊すべき特定の場所を定められた場合を除き、仮釈放中の保護観察の終了時に居住することとされていた前項第三号の届出に係る住居(第三十九条第三項の規定により住居を特定された場合には当該住居、前項第五号の転居の許可を受けた場合には当該許可に係る住居)につき、同項第三号の届出をしたものとみなす。

1項

保護観察対象者は、一般遵守事項のほか、遵守すべき特別の事項(以下「特別遵守事項」という。)が定められたときは、これを遵守しなければならない。

2項

特別遵守事項は、次条に定める場合を除き第五十二条の定めるところにより、これに違反した場合に第七十二条第一項 及び第七十三条の二第一項刑法第二十六条の二第二十七条の五 及び第二十九条第一項 並びに少年法第二十六条の四第一項 及び第六十六条第一項に規定する処分がされることがあることを踏まえ、次に掲げる事項について、保護観察対象者の改善更生のために特に必要と認められる範囲内において、具体的に定めるものとする。

一 号

犯罪性のある者との交際、いかがわしい場所への出入り、遊興による浪費、過度の飲酒 その他の犯罪 又は非行に結び付くおそれのある特定の行動をしてはならないこと。

二 号

労働に従事すること、通学すること その他の再び犯罪をすることがなく 又は非行のない健全な生活態度を保持するために必要と認められる特定の行動を実行し、又は継続すること。

三 号

七日未満の旅行、離職、身分関係の異動 その他の指導監督を行うため事前に把握しておくことが特に重要と認められる生活上又は身分上の特定の事項について、緊急の場合を除きあらかじめ、保護観察官 又は保護司に申告すること。

四 号

医学、心理学、教育学、社会学 その他の専門的知識に基づく特定の犯罪的傾向を改善するための体系化された手順による処遇として法務大臣が定めるものを受けること。

五 号

法務大臣が指定する施設、保護観察対象者を監護すべき者の居宅 その他の改善更生のために適当と認められる特定の場所であって、宿泊の用に供されるものに一定の期間宿泊して指導監督を受けること。

六 号

善良な社会の一員としての意識の涵養 及び規範意識の向上に資する地域社会の利益の増進に寄与する社会的活動を一定の時間行うこと。

七 号

更生保護事業法平成七年法律第八十六号)の規定により更生保護事業を営む者 その他の適当な者が行う特定の犯罪的傾向を改善するための専門的な援助であって法務大臣が定める基準に適合するものを受けること。

八 号
その他指導監督を行うため特に必要な事項
1項

薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律第四条第一項の規定により保護観察に付する旨の言渡しを受けた者については、次条第四項の定めるところにより、規制薬物等(同法第二条第一項に規定する規制薬物等をいう。以下同じ。)の使用を反復する犯罪的傾向を改善するための前条第二項第四号に規定する処遇を受けることを猶予期間中の保護観察における特別遵守事項として定めなければならない。


ただし、これに違反した場合に刑法第二十七条の五に規定する処分がされることがあることを踏まえ、その改善更生のために特に必要とは認められないときは、この限りでない。

2項

第四項の場合を除き前項の規定により定められた猶予期間中の保護観察における特別遵守事項を刑法第二十七条の二の規定による猶予の期間の開始までの間に取り消す場合における第五十三条第四項の規定の適用については、

同項
必要」とあるのは、
「特に必要」と

する。

3項

第一項の規定は、同項に規定する者について、次条第二項 及び第三項の定めるところにより仮釈放中の保護観察における特別遵守事項を釈放の時までに定める場合に準用する。


この場合において、

第一項ただし書
第二十七条の五」とあるのは、
第二十九条第一項」と

読み替えるものとする。

4項

第一項に規定する者について、仮釈放を許す旨の決定をした場合においては、前項の規定による仮釈放中の保護観察における特別遵守事項の設定 及び第一項の規定による猶予期間中の保護観察における特別遵守事項の設定は、釈放の時までに行うものとする。

5項

前項の場合において、第三項において準用する第一項の規定により定められた仮釈放中の保護観察における特別遵守事項を釈放までの間に取り消す場合における第五十三条第二項の規定の適用については、

同項
必要」とあるのは、
「特に必要」とし、

第一項の規定により定められた猶予期間中の保護観察における特別遵守事項を釈放までの間に取り消す場合における同条第四項の規定の適用については、

同項
刑法第二十七条の二の規定による猶予の期間の開始までの間に、必要」とあるのは、
「釈放までの間に、特に必要」と

する。

1項

保護観察所の長は、保護観察処分少年について、法務省令で定めるところにより、少年法第二十四条第一項第一号 又は第六十四条第一項第一号 若しくは第二号の保護処分をした家庭裁判所の意見を聴き、これに基づいて、特別遵守事項を定めることができる。


これを変更するときも、同様とする。

2項

地方委員会は、少年院仮退院者 又は仮釈放者について、保護観察所の長の申出により、法務省令で定めるところにより、決定をもって、特別遵守事項を定めることができる。


保護観察所の長の申出により、これを変更するときも、同様とする。

3項

前項の場合において、少年院からの仮退院 又は仮釈放を許す旨の決定による釈放の時までに特別遵守事項を定め、又は変更するときは、保護観察所の長の申出を要しないものとする。

4項

地方委員会は、保護観察付一部猶予者について、刑法第二十七条の二の規定による猶予の期間の開始の時までに、法務省令で定めるところにより、決定をもって、特別遵守事項(猶予期間中の保護観察における特別遵守事項に限る。以下この項 及び次条第四項において同じ。)を定め、又は変更することができる。


この場合において、仮釈放中の保護観察付一部猶予者について、特別遵守事項を定め、又は変更するときは、保護観察所の長の申出によらなければならない。

5項

保護観察所の長は、刑法第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付されている保護観察付執行猶予者について、その保護観察の開始に際し、法務省令で定めるところにより、同項の規定により保護観察に付する旨の言渡しをした裁判所の意見を聴き、これに基づいて、特別遵守事項を定めることができる。

6項

保護観察所の長は、前項の場合のほか、保護観察付執行猶予者について、法務省令で定めるところにより、当該保護観察所の所在地を管轄する地方裁判所、家庭裁判所 又は簡易裁判所に対し、定めようとする 又は変更しようとする特別遵守事項の内容を示すとともに、必要な資料を提示して、その意見を聴いた上、特別遵守事項を定め、又は変更することができる。


ただし、当該裁判所が不相当とする旨の意見を述べたものについては、この限りでない。

1項

保護観察所の長は、保護観察処分少年 又は保護観察付執行猶予者について定められている特別遵守事項(遵守すべき期間が定められている特別遵守事項であって当該期間が満了したものその他その性質上一定の事実が生ずるまでの間遵守すべきこととされる特別遵守事項であって当該事実が生じたものを除く。以下この条において同じ。)につき、必要がなくなったと認めるときは、法務省令で定めるところにより、これを取り消すものとする。

2項

地方委員会は、保護観察所の長の申出により、少年院仮退院者 又は仮釈放者について定められている特別遵守事項につき、必要がなくなったと認めるときは、法務省令で定めるところにより、決定をもって、これを取り消すものとする。

3項

前条第三項の規定は、前項の規定により特別遵守事項を取り消す場合について準用する。

4項

地方委員会は、保護観察付一部猶予者について定められている特別遵守事項につき、刑法第二十七条の二の規定による猶予の期間の開始までの間に、必要がなくなったと認めるときは、法務省令で定めるところにより、決定をもって、これを取り消すものとする。


この場合において、仮釈放中の保護観察付一部猶予者について定められている特別遵守事項を取り消すときは、保護観察所の長の申出によらなければならない。

1項

保護観察所の長は、少年法第二十四条第一項第一号 若しくは第六十四条第一項第一号 若しくは第二号保護処分があったとき 又は刑法第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付する旨の言渡しがあったときは、法務省令で定めるところにより、保護観察処分少年 又は保護観察付執行猶予者に対し、一般遵守事項の内容を記載した書面を交付しなければならない。

2項

刑事施設の長 又は少年院の長は、第三十九条第一項の決定により懲役 若しくは禁錮の刑の執行のため収容している者を釈放するとき、刑の一部の執行猶予の言渡しを受けてその刑のうち執行が猶予されなかった部分の期間の執行を終わり、若しくはその執行を受けることがなくなったこと(その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった時に他に執行すべき懲役 又は禁錮の刑があるときは、その刑の執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなったこと。次条第二項において同じ。)により保護観察付一部猶予者を釈放するとき、又は第四十一条 若しくは第四十七条の二の決定 若しくは収容可能期間の満了により保護処分の執行のため収容している者を釈放するときは、法務省令で定めるところにより、その者に対し、一般遵守事項の内容を記載した書面を交付しなければならない。

1項

刑事施設の長 又は少年院の長は、懲役 若しくは禁錮の刑の執行のため収容している者について第三十九条第一項の決定による釈放の時までに特別遵守事項(その者が保護観察付一部猶予者である場合には、猶予期間中の保護観察における特別遵守事項を含む。)が定められたとき、保護観察付一部猶予者についてその刑のうち執行が猶予されなかった部分の期間の執行を終わり、若しくはその執行を受けることがなくなったことによる釈放の時までに特別遵守事項が定められたとき、又は保護処分の執行のため収容している者について第四十一条の決定による釈放の時までに特別遵守事項が定められたとき、若しくは第四十七条の二の決定 若しくは収容可能期間の満了による釈放の時までに特別遵守事項が定められたときは、法務省令で定めるところにより、その釈放の時に当該特別遵守事項(釈放の時までに変更された場合には、変更後のもの)の内容を記載した書面を交付しなければならない。


ただし、その釈放の時までに当該特別遵守事項が取り消されたときは、この限りでない。

2項

刑事施設の長 又は少年院の長は、懲役 若しくは禁錮の刑の執行のため収容している者について第三十九条第一項の決定による釈放の時までに特別遵守事項(その者が保護観察付一部猶予者である場合には、猶予期間中の保護観察における特別遵守事項を含む。)が定められたとき、保護観察付一部猶予者についてその刑のうち執行が猶予されなかった部分の期間の執行を終わり、若しくはその執行を受けることがなくなったことによる釈放の時までに特別遵守事項が定められたとき、又は保護処分の執行のため収容している者について第四十一条の決定による釈放の時までに特別遵守事項が定められたときは、法務省令で定めるところにより、その釈放の時に当該特別遵守事項(釈放の時までに変更された場合には、変更後のもの)の内容を記載した書面を交付しなければならない。


ただし、その釈放の時までに当該特別遵守事項が取り消されたときは、この限りでない。

1項

保護観察所の長は、保護観察対象者について、保護観察における指導監督を適切に行うため必要があると認めるときは、法務省令で定めるところにより、当該保護観察対象者の改善更生に資する生活 又は行動の指針(以下「生活行動指針」という。)を定めることができる。

2項

保護観察所の長は、前項の規定により生活行動指針を定めたときは、法務省令で定めるところにより、保護観察対象者に対し、当該生活行動指針の内容を記載した書面を交付しなければならない。

3項

保護観察対象者は、第一項の規定により生活行動指針が定められたときは、これに即して生活し、及び行動するよう努めなければならない。

1項

保護観察における指導監督は、次に掲げる方法によって行うものとする。

一 号

面接 その他の適当な方法により保護観察対象者と接触を保ち、その行状を把握すること。

二 号

保護観察対象者が一般遵守事項 及び特別遵守事項(以下「遵守事項」という。)を遵守し、並びに生活行動指針に即して生活し、及び行動するよう、必要な指示 その他の措置をとること(第四号に定めるものを除く)。

三 号

特定の犯罪的傾向を改善するための専門的処遇を実施すること。

四 号
保護観察対象者が、更生保護事業法の規定により更生保護事業を営む者 その他の適当な者が行う特定の犯罪的傾向を改善するための専門的な援助であって法務大臣が定める基準に適合するものを受けるよう、必要な指示 その他の措置をとること。
五 号
保護観察対象者が、当該保護観察対象者が刑 又は保護処分を言い渡される理由となった犯罪 又は刑罰法令に触れる行為に係る被害者等の被害の回復 又は軽減に誠実に努めるよう、必要な指示 その他の措置をとること。
2項

保護観察所の長は、前項の指導監督を適切に行うため特に必要があると認めるときは、保護観察対象者に対し、当該指導監督に適した宿泊場所を供与することができる。

3項

保護観察所の長は、第一項第四号に規定する措置をとろうとするときは、あらかじめ同号に規定する援助を受けることが保護観察対象者の意思に反しないことを確認するとともに、当該援助を提供することについて、これを行う者に協議しなければならない。


ただし第五十一条第二項第七号の規定により当該援助を受けることを特別遵守事項として定めている場合は、保護観察対象者の意思に反しないことを確認することを要しない。

4項

保護観察所の長は、第一項第四号に規定する措置をとったときは、同号に規定する援助の状況を把握するとともに、当該援助を行う者と必要な協議を行うものとする。

5項

第五十一条第二項第四号に規定する処遇を受けることを特別遵守事項として定められた保護観察対象者について、第一項第四号に規定する措置をとったときは、当該処遇は、当該保護観察対象者が受けた同号に規定する援助の内容に応じ、その処遇の一部を受け終わったものとして実施することができる。

6項

保護観察所の長は、第一項第五号に規定する措置をとる場合において、第三十八条第三項の規定により同項に規定する事項が通知され 又は第六十五条第一項の規定により同項に規定する心情等を聴取したときは、当該通知された事項 又は当該聴取した心情等を踏まえるものとする。

1項

保護観察における補導援護は、保護観察対象者が自立した生活を営むことができるようにするため、その自助の責任を踏まえつつ、次に掲げる方法によって行うものとする。

一 号

適切な住居 その他の宿泊場所を得ること 及び当該宿泊場所に帰住することを助けること。

二 号

医療 及び療養を受けることを助けること。

三 号

職業を補導し、及び就職を助けること。

四 号

教養訓練の手段を得ることを助けること。

五 号

生活環境を改善し、及び調整すること。

六 号

社会生活に適応させるために必要な生活指導を行うこと。

七 号

前各号に掲げるもののほか、保護観察対象者が健全な社会生活を営むために必要な助言 その他の措置をとること。

1項

保護観察所の長は、必要があると認めるときは、保護観察に付されている少年(少年法第二条第一項に規定する少年であって、保護観察処分少年 又は少年院仮退院者に限る)の保護者(同条第二項に規定する保護者をいう。)に対し、その少年の監護に関する責任を自覚させ、その改善更生に資するため、指導、助言 その他の適当な措置をとることができる。

1項

保護観察は、保護観察対象者の居住地(住居がないか、又は明らかでないときは、現在地 又は明らかである最後の居住地 若しくは所在地)を管轄する保護観察所がつかさどる。

1項

保護観察における指導監督 及び補導援護は、保護観察対象者の特性、とるべき措置の内容 その他の事情を勘案し、保護観察官 又は保護司をして行わせるものとする。

2項

前項の補導援護は、保護観察対象者の改善更生を図るため有効かつ適切であると認められる場合には、更生保護事業法の規定により更生保護事業を営む者 その他の適当な者に委託して行うことができる。

1項

保護観察所の長は、保護観察対象者が、適切な医療、食事、住居 その他の健全な社会生活を営むために必要な手段を得ることができないため、その改善更生が妨げられるおそれがある場合には、当該保護観察対象者が公共の衛生福祉に関する機関 その他の機関からその目的の範囲内で必要な応急の救護を得られるよう、これを援護しなければならない。

2項

前項の規定による援護によっては必要な応急の救護が得られない場合には、保護観察所の長は、予算の範囲内で、自らその救護を行うものとする。

3項

前項の救護は、更生保護事業法の規定により更生保護事業を営む者 その他の適当な者に委託して行うことができる。

4項

保護観察所の長は、第一項 又は第二項の規定による措置をとるに当たっては、保護観察対象者の自助の責任の自覚を損なわないよう配慮しなければならない。

1項

地方委員会 又は保護観察所の長は、その職務を行うため必要があると認めるときは、保護観察対象者に対し、出頭を命ずることができる。

2項

保護観察所の長は、保護観察対象者について、次の各号いずれかに該当すると認める場合には、裁判官のあらかじめ発する引致状により、当該保護観察対象者を引致することができる。

一 号

正当な理由がないのに、第五十条第一項第四号に規定する住居に居住しないとき(第五十一条第二項第五号の規定により宿泊すべき特定の場所を定められた場合には、当該場所に宿泊しないとき)。

二 号

遵守事項を遵守しなかったことを疑うに足りる十分な理由があり、かつ、正当な理由がないのに、前項の規定による出頭の命令に応ぜず、又は応じないおそれがあるとき。

3項

地方委員会は、少年院仮退院者 又は仮釈放者について前項各号いずれかに該当すると認める場合には、裁判官のあらかじめ発する引致状により、当該少年院仮退院者 又は仮釈放者を引致することができる。

4項

第二項の引致状は保護観察所の長の請求により、前項の引致状は地方委員会の請求により、その所在地を管轄する地方裁判所、家庭裁判所 又は簡易裁判所の裁判官が発する。

5項

第二項 又は第三項の引致状は、判事補が一人で発することができる。

6項

第二項 又は第三項の引致状は、保護観察官に執行させるものとする。


ただし、保護観察官に執行させることが困難であるときは、警察官にその執行を嘱託することができる。

7項

刑事訴訟法昭和二十三年法律第百三十一号第六十四条第七十三条第一項前段 及び第三項第七十四条 並びに第七十六条第一項本文 及び第三項の規定(勾引に関する部分に限る)は、第二項 又は第三項の引致状 及びこれらの規定による保護観察対象者の引致について準用する。


この場合において、

同法第六十四条第一項
罪名、公訴事実の要旨」とあり、
同法第七十三条第三項
公訴事実の要旨」とあり、
及び同法第七十六条第一項本文中
公訴事実の要旨 及び弁護人を選任することができる旨 並びに貧困 その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨」とあるのは
「引致の理由」と、

同法第六十四条第一項
裁判長 又は受命裁判官」とあるのは
「裁判官」と、

同法第七十四条
刑事施設」とあるのは
「刑事施設 又は少年鑑別所」と、

同法第七十六条第三項
告知 及び前項の教示」とあるのは
「告知」と、

合議体の構成員 又は裁判所書記官」とあるのは
「地方更生保護委員会が引致した場合においては委員 又は保護観察官、保護観察所の長が引致した場合においては保護観察官」と

読み替えるものとする。

8項

第二項 又は第三項の引致状により引致された者については、引致すべき場所に引致された時から二十四時間以内に釈放しなければならない。


ただし、その時間内に第六十八条の三第一項第七十三条第一項第七十三条の四第一項第七十六条第一項 又は第八十条第一項の規定によりその者が留置されたときは、この限りでない。

9項

地方委員会が行う第一項の規定による命令、第三項の規定による引致に係る判断 及び前項本文の規定による釈放に係る判断は、三人の委員をもって構成する合議体(第七十一条の規定による申請、第七十三条の二第一項の決定 又は第七十五条第一項の決定をするか否かに関する審理の開始後においては、当該審理を担当する合議体)で行う。


ただし前項本文の規定による釈放に係る地方委員会の判断については、急速を要するときは、あらかじめ地方委員会が指名する一人の委員で行うことができる。

10項

第十三条第二十三条第三項 並びに第二十五条第一項 及び第二項の規定は前項に規定する措置のための合議体 又は委員による調査について、第二十三条第二項の規定は前項の合議体の議事について、それぞれ準用する。


この場合において、

第十三条
、地方更生保護委員会 及び保護観察所の長」とあるのは、
「及び保護観察所の長」と

読み替えるものとする。

1項

保護観察所の長は、保護観察のための調査において、必要があると認めるときは、関係人に対し、質問をし、及び資料の提示を求めることができる。

2項

前項の規定による質問 及び資料の提示の求めは、保護観察官 又は保護司をして行わせるものとする。

3項

第二十五条第二項の規定は、第一項の規定による質問 及び資料の提示の求めについて準用する。

1項

保護観察所の長は、法務省令で定めるところにより、保護観察対象者が刑 又は保護処分を言い渡される理由となった犯罪 又は刑罰法令に触れる行為に係る被害者等から、被害に関する心情、当該被害者等の置かれている状況 又は保護観察対象者の生活 若しくは行動に関する意見(以下この条において「心情等」という。)を述べたい旨の申出があったときは、当該心情等を聴取するものとする。


ただし、当該被害に係る事件の性質 その他の事情を考慮して相当でないと認めるときは、この限りでない。

2項

保護観察所の長は、法務省令で定めるところにより、保護観察対象者について、前項の被害者等から、同項の規定により聴取した心情等の伝達の申出があったときは、当該保護観察対象者に伝達するものとする。


ただし、その伝達をすることが当該保護観察対象者の改善更生を妨げるおそれがあり、又は当該被害に係る事件の性質、保護観察の実施状況 その他の事情を考慮して相当でないと認めるときは、この限りでない。

3項

保護観察所の長は、第一項の被害者等の居住地を管轄する他の保護観察所の長に対し、前二項の申出の受理 及び第一項の規定による心情等の聴取に関する事務を嘱託することができる。


この場合において、前項ただし書の規定により当該保護観察所の長が心情等の伝達をしないこととするときは、あらかじめ、当該他の保護観察所の長の意見を聴かなければならない。

第一節の二 規制薬物等に対する依存がある保護観察対象者に関する特則

1項

規制薬物等に対する依存がある保護観察対象者に対する保護観察は、その改善更生を図るためその依存を改善することが重要であることに鑑み、これに資する医療 又は援助を行う病院、公共の衛生福祉に関する機関 その他の者との緊密な連携を確保しつつ実施しなければならない。

1項

規制薬物等に対する依存がある保護観察対象者に対する保護観察における指導監督は、第五十七条第一項に掲げるもののほか、次に掲げる方法によって行うことができる。

一 号

規制薬物等に対する依存の改善に資する医療を受けるよう、必要な指示 その他の措置をとること。

二 号

公共の衛生福祉に関する機関 その他の適当な者が行う規制薬物等に対する依存を改善するための専門的な援助であって法務大臣が定める基準に適合するものを受けるよう、必要な指示 その他の措置をとること。

2項

第五十七条第三項 及び第四項の規定は前項各号に規定する措置について、同条第五項の規定は前項第二号に規定する措置について、それぞれ準用する。


この場合において、

第五十七条第三項 及び第四項
援助」とあるのは
医療 又は援助」と、

同条第五項
第五十一条第二項第四号に規定する処遇」とあるのは
「規制薬物等の使用を反復する犯罪的傾向を改善するための第五十一条第二項第四号に規定する処遇」と

読み替えるものとする。

1項

保護観察所の長は、規制薬物等に対する依存がある保護観察対象者について、第三十条の規定により病院、公共の衛生福祉に関する機関 その他の者に対し病状、治療状況 その他の必要な情報の提供を求めるなどして、その保護観察における指導監督が当該保護観察対象者の心身の状況を的確に把握した上で行われるよう必要な措置をとるものとする。

第二節 保護観察処分少年

1項

保護観察処分少年(少年法第二十四条第一項第一号の保護処分に付されているものに限る次条 及び第六十八条において同じ。)に対する保護観察の期間は、当該保護観察処分少年が二十歳に達するまで(その期間が二年に満たない場合には、二年)とする。


ただし同条第三項の規定により保護観察の期間が定められたときは、当該期間とする。

1項

保護観察所の長は、保護観察処分少年が、遵守事項を遵守しなかったと認めるときは、当該保護観察処分少年に対し、これを遵守するよう警告を発することができる。

2項

保護観察所の長は、前項の警告を受けた保護観察処分少年が、なお遵守事項を遵守せず、その程度が重いと認めるときは、少年法第二十六条の四第一項の決定の申請をすることができる。

1項

保護観察所の長は、保護観察処分少年について、新たに少年法第三条第一項第三号に掲げる事由があると認めるときは、家庭裁判所に通告することができる。

2項

前項の規定による通告があった場合において、当該通告に係る保護観察処分少年が十八歳以上であるときは、これを十八歳に満たない少年法第二条第一項の少年とみなして、同法第二章の規定を適用する。

3項

家庭裁判所は、前項の規定により十八歳に満たない少年法第二条第一項の少年とみなされる保護観察処分少年に対して同法第二十四条第一項第一号 又は第三号の保護処分をする場合において、当該保護観察処分少年が二十歳以上であるときは、保護処分の決定と同時に、その者が二十三歳を超えない期間内において、保護観察の期間 又は少年院に収容する期間を定めなければならない。

1項

保護観察所の長は、特定保護観察処分少年(保護観察処分少年のうち、少年法第六十四条第一項第二号の保護処分に付されているものをいう。以下同じ。)が、遵守事項を遵守せず、その程度が重いと認めるときは、同法第六十六条第一項の決定の申請をすることができる。


ただし、当該特定保護観察処分少年について、その収容可能期間が満了しているときは、この限りでない。

1項

保護観察所の長は、第六十三条第二項の引致状により引致した特定保護観察処分少年について、前条の規定による申請をするか否かに関する審理を開始する必要があると認めるときは、当該特定保護観察処分少年を刑事施設 又は少年鑑別所に留置することができる。

2項

前項の規定による留置の期間は、引致すべき場所に引致した日から起算して十日以内とする。


ただし、その期間中であっても、前条の規定による申請をする必要がなくなったとき その他留置の必要がなくなったときは、直ちに特定保護観察処分少年を釈放しなければならない。

3項

保護観察所の長は、第一項の規定により留置されている特定保護観察処分少年について、前条の規定による申請をしたときは、前項の規定にかかわらず、当該申請に係る家庭裁判所からの決定の通知があるまでの間 又は少年法第六十六条第二項の規定によりその例によることとされる同法第十七条第一項第二号の観護の措置がとられるまでの間、継続して留置することができる。


ただし、留置の期間は、通じて二十日を超えることができない

4項

第一項の規定による留置については、審査請求をすることができない

1項

特定保護観察処分少年について、少年法第六十六条第一項の決定があったときは、第四十七条の二の決定による釈放までの間 又は収容可能期間の満了までの間、当該特定保護観察処分少年の保護観察は、停止するものとする。

2項

前項の規定により保護観察を停止されている特定保護観察処分少年については、第四十九条第五十条第五十一条第一項第五十二条第五十三条第五十六条から第五十八条まで第六十条から第六十五条の四まで第六十八条の二第六十九条 及び第七十条の規定は、適用しない

3項

特定保護観察処分少年の保護観察の期間は、少年法第六十六条第一項の決定によってその進行を停止し、第四十七条の二の決定により釈放された時 又は収容可能期間が満了した時からその進行を始める。

1項

地方委員会は、少年法第六十六条第一項の決定により少年院に収容されている特定保護観察処分少年(以下「収容中の特定保護観察処分少年」という。)について、第四十七条の二の決定による釈放の時 又は収容可能期間の満了の時までに、法務省令で定めるところにより、決定をもって、特別遵守事項を定め、又は変更することができる。

2項

地方委員会は、収容中の特定保護観察処分少年について定められている特別遵守事項につき、必要がなくなったと認めるときは、第四十七条の二の決定による釈放までの間 又は収容可能期間の満了までの間に、法務省令で定めるところにより、決定をもって、これを取り消すものとする。

3項

収容中の特定保護観察処分少年について、少年法第六十六条第一項の決定があったときにその者に対する保護観察をつかさどっていた保護観察所の長(第四十七条の三において準用する第三十九条第三項の規定 又は第六十八条の七第一項の規定により当該収容中の特定保護観察処分少年の住居が特定された場合には、その地を管轄する保護観察所の長)は、その保護観察の実施状況 その他の事情を考慮し必要があると認めるときは、特別遵守事項の設定、変更 又は取消しに関し、地方委員会に対して意見を述べるものとする。

1項

特定保護観察処分少年が少年法第六十六条第一項の決定により少年院に収容されたときは、当該決定があったときにその者に対する保護観察をつかさどっていた保護観察所の長は、その保護観察の実施状況 その他の事情を考慮し、少年院における矯正教育に関し、少年院の長に対して意見を述べるものとする。

2項

前条第三項の保護観察所の長は、収容中の特定保護観察処分少年について、少年院における矯正教育の状況を把握するとともに、必要があると認めるときは、第四十七条の二の決定による釈放後 又は収容可能期間の満了後の保護観察の実施に関し、少年院の長の意見を聴くものとする。

1項

地方委員会は、収容中の特定保護観察処分少年について、収容可能期間の満了の時までに、第八十二条第一項の規定による住居の調整の結果に基づき、法務省令で定めるところにより、決定をもって、その者が居住すべき住居を特定することができる。

2項

地方委員会は、前項の決定をした場合において、当該決定を受けた者について、収容可能期間の満了までの間に、当該決定により特定された住居に居住することが相当でないと認められる事情が生じたと認めるときは、法務省令で定めるところにより、決定をもって、住居の特定を取り消すものとする。

3項

第三十六条第二項の規定は前二項の決定に関する審理における調査について、第三十七条第二項の規定は当該審理について、それぞれ準用する。

1項

保護観察所の長は、保護観察処分少年について、保護観察を継続する必要がなくなったと認めるときは、保護観察を解除するものとする

1項

保護観察所の長は、保護観察処分少年について、その改善更生に資すると認めるときは、期間を定めて、保護観察を一時的に解除することができる。

2項

前項の規定により保護観察を一時的に解除されている保護観察処分少年については、第四十九条第五十一条第五十二条から第五十九条まで第六十一条第六十二条第六十五条から第六十五条の四まで及び第六十七条から第六十八条の二までの規定は、適用しない

3項

第一項の規定により保護観察を一時的に解除されている保護観察処分少年に対する第五十条第一項 及び第六十三条の規定の適用については、

同項
以下「一般遵守事項」という」とあるのは
第二号ロ 及び 並びに第三号に掲げる事項を除く」と、

同項第二号
守り、保護観察官 及び保護司による指導監督を誠実に受ける」とあるのは
「守る」と、

同項第五号
転居(第四十七条の二の決定 又は少年法第六十四条第二項の規定により定められた期間(以下「収容可能期間」という。)の満了により釈放された場合に前号の規定により居住することとされている住居に転居する場合を除く。)又は七日以上の旅行」とあるのは
「転居」と、

第六十三条第二項第二号
遵守事項」とあるのは
第七十条第三項の規定により読み替えて適用される第五十条第一項に掲げる事項」と

する。

4項

第一項の規定による処分があったときは、その処分を受けた保護観察処分少年について定められている特別遵守事項は、その処分と同時に取り消されたものとみなす。

5項

保護観察所の長は、第一項の規定により保護観察を一時的に解除されている保護観察処分少年について、再び保護観察を実施する必要があると認めるときは、同項の規定による処分を取り消さなければならない。

6項

前項の場合において、保護観察所の長は、保護観察処分少年が第一項の規定により保護観察を一時的に解除されている間に第三項の規定により読み替えて適用される第五十条第一項に掲げる事項を遵守しなかったことを理由として、第六十七条第一項の規定による警告を発し、又は同条第二項 若しくは第六十八条の二の規定による申請をすることができない

第三節 少年院仮退院者

1項

地方委員会は、保護観察所の長の申出により、少年院仮退院者(少年法第二十四条第一項第三号の保護処分に付されているものに限る。以下この条から第七十三条までにおいて同じ。)が遵守事項を遵守しなかったと認めるときは、当該少年院仮退院者を少年院に送致した家庭裁判所に対し、これを少年院に戻して収容する旨の決定の申請をすることができる。


ただし二十三歳に達している少年院仮退院者については、少年院法第百三十九条第一項に規定する事由に該当すると認めるときに限る

1項

前条の申請を受けた家庭裁判所は、当該申請に係る少年院仮退院者について、相当と認めるときは、これを少年院に戻して収容する旨の決定をすることができる。

2項

家庭裁判所は、前項の決定をする場合において、二十三歳に満たない少年院仮退院者を二十歳を超えて少年院に収容する必要があると認めるときは、当該決定と同時に、その者が二十三歳を超えない期間内において、少年院に収容する期間を定めることができる。


その者が既に二十歳に達しているときは、当該決定と同時に、二十三歳を超えない期間内において、少年院に収容する期間を定めなければならない。

3項

家庭裁判所は、二十三歳に達している少年院仮退院者について第一項の決定をするときは、当該決定と同時に、その者が二十六歳を超えない期間内において、少年院に収容する期間を定めなければならない。

4項

家庭裁判所は、第一項の決定に係る事件の審理に当たっては、医学、心理学、教育学、社会学 その他の専門的知識を有する者 及び保護観察所の長の意見を聴かなければならない。

5項

前三項に定めるもののほか第一項の決定に係る事件の手続は、その性質に反しない限り、十八歳に満たない少年の保護処分に係る事件の手続の例による。

1項

地方委員会は、第六十三条第二項 又は第三項の引致状により引致された少年院仮退院者について、第七十一条の申出があり同条の規定による申請をするか否かに関する審理を開始するときは、当該少年院仮退院者を刑事施設 又は少年鑑別所に留置することができる。

2項

前項の規定による留置の期間は、引致すべき場所に引致された日から起算して十日以内とする。


ただし、その期間中であっても、留置の必要がなくなったと認めるときは、直ちに少年院仮退院者を釈放しなければならない。

3項

第一項の規定による留置 及び前項ただし書の規定による釈放に係る判断は、三人の委員をもって構成する合議体(第七十一条の規定による申請をするか否かに関する審理の開始後においては、当該審理を担当する合議体)で行う。


ただし、急速を要するときは、あらかじめ地方委員会が指名する一人の委員で行うことができる。

4項

第六十八条の三第三項 及び第四項の規定は、第一項の規定により留置されている少年院仮退院者 及びその留置について準用する。


この場合において、

同条第三項
前条」とあるのは
第七十一条」と、

少年法第六十六条第二項」とあるのは
第七十二条第五項」と

読み替えるものとする。

5項

第十三条第二十三条第三項 並びに第二十五条第一項 及び第二項の規定は第三項に規定する措置のための合議体 又は委員による調査について、第二十三条第二項の規定は第三項の合議体の議事について、それぞれ準用する。


この場合において、

第十三条
、地方更生保護委員会 及び保護観察所の長」とあるのは、
「及び保護観察所の長」と

読み替えるものとする。

1項

地方委員会は、保護観察所の長の申出により、少年院仮退院者(少年法第六十四条第一項第三号の保護処分に付されているものに限る第七十三条の四第一項において同じ。)が遵守事項を遵守せず、少年院に収容するのを相当と認めるときは、決定をもって、第四十一条の規定による仮退院を許す処分を取り消すものとする。

2項

前項の規定により仮退院を許す処分が取り消されたときは、仮退院中の日数は、少年法第六十四条第三項の規定により定められた期間に算入するものとする。

1項

地方委員会は、前条第一項の決定をしたときは、保護観察官をして、その決定を執行させるものとする。


ただし、必要があると認めるときは、刑事施設の長、少年鑑別所の長 又は保護観察所の長にその執行を嘱託することができる。

2項

地方委員会は、前項の執行のため必要があると認めるときは、前条第一項の決定を受けた者に対し、出頭を命ずることができる。

3項

地方委員会は、前条第一項の決定を受けた者について、正当な理由がないのに、前項の規定による出頭の命令に応ぜず、又は応じないおそれがあるときは、裁判官のあらかじめ発する引致状により、当該者を引致することができる。

4項

第六十三条第四項から第八項までの規定は、前項の引致状 及び同項の規定による前条第一項の決定を受けた者の引致について準用する。


この場合において、

第六十三条第四項
第二項の引致状は保護観察所の長の請求により、前項の引致状は」とあるのは
第七十三条の三第三項の引致状は、」と、

同条第七項
地方更生保護委員会が引致した場合においては委員 又は保護観察官、保護観察所の長が引致した場合においては保護観察官」とあるのは
「委員 又は保護観察官」と、

同条第八項ただし書中
第六十八条の三第一項、第七十三条第一項、第七十三条の四第一項、第七十六条第一項 又は第八十条第一項の規定によりその者が留置された」とあるのは
第七十三条の三第一項の規定による執行が開始された」と

読み替えるものとする。

5項

地方委員会が行う第一項の規定による執行に係る判断、第二項の規定による命令、第三項の規定による引致に係る判断 及び前項において準用する第六十三条第八項本文の規定による釈放に係る判断は、三人の委員をもって構成する合議体で行う。


ただし前項において準用する同条第八項本文の規定による釈放に係る地方委員会の判断については、急速を要するときは、あらかじめ地方委員会が指名する一人の委員で行うことができる。

6項

第十三条第二十三条第三項 並びに第二十五条第一項 及び第二項の規定は前項に規定する措置のための合議体 又は委員による調査について、第二十三条第二項の規定は前項の合議体の議事について、それぞれ準用する。


この場合において、

第十三条
、地方更生保護委員会 及び保護観察所の長」とあるのは、
「及び保護観察所の長」と

読み替えるものとする。

1項

地方委員会は、第六十三条第二項 又は第三項の引致状により引致された少年院仮退院者について、第七十三条の二第一項の申出があり同項の決定をするか否かに関する審理を開始するときは、当該少年院仮退院者を刑事施設 又は少年鑑別所に留置することができる。

2項

第六十八条の三第四項 並びに第七十三条第二項 及び第三項の規定は、前項の規定による留置について準用する。


この場合において、

同条第三項
第七十一条の規定による申請」とあるのは、
第七十三条の二第一項の決定」と

読み替えるものとする。

3項

第十三条第二十三条第三項 並びに第二十五条第一項 及び第二項の規定は前項において準用する第七十三条第三項に規定する措置のための合議体 又は委員による調査について、第二十三条第二項の規定は前項において準用する第七十三条第三項の合議体の議事について、それぞれ準用する。


この場合において、

第十三条
、地方更生保護委員会 及び保護観察所の長」とあるのは、
「及び保護観察所の長」と

読み替えるものとする。

1項

地方委員会は、少年院仮退院者について、保護観察所の長の申出があった場合において、保護観察を継続する必要がなくなったと認めるとき(二十三歳を超える少年院仮退院者については、少年院法第百三十九条第一項に規定する事由に該当しなくなったと認めるとき その他保護観察を継続する必要がなくなったと認めるとき)は、決定をもって、退院を許さなければならない。

2項

第四十六条第二項の規定は、前項の決定について準用する。

第四節 仮釈放者

1項

刑法第二十九条第一項の規定による仮釈放の取消しは、仮釈放者に対する保護観察をつかさどる保護観察所の所在地を管轄する地方委員会が、決定をもってするものとする。

2項

刑法第二十九条第一項第四号に該当することを理由とする前項の決定は、保護観察所の長の申出によらなければならない。

3項

刑事訴訟法第四百八十四条から第四百八十九条までの規定は、仮釈放を取り消された者の収容について適用があるものとする。

1項

地方委員会は、第六十三条第二項 又は第三項の引致状により引致された仮釈放者について、刑法第二十九条第一項第一号から第三号までに該当する場合であって前条第一項の決定をするか否かに関する審理を開始する必要があると認めるとき、又は同条第二項の申出がありその審理を開始するときは、当該仮釈放者を刑事施設 又は少年鑑別所に留置することができる。

2項

前項の規定により仮釈放者が留置された場合において、その者の仮釈放が取り消されたときは、刑法第二十九条第三項の規定にかかわらず、その留置の日数は、刑期に算入するものとする。

3項

第六十八条の三第四項 並びに第七十三条第二項 及び第三項の規定は、第一項の規定による留置について準用する。


この場合において、

同条第三項
第七十一条の規定による申請」とあるのは、
第七十五条第一項の決定」と

読み替えるものとする。

4項

第十三条第二十三条第三項 並びに第二十五条第一項 及び第二項の規定は前項において準用する第七十三条第三項に規定する措置のための合議体 又は委員による調査について、第二十三条第二項の規定は前項において準用する第七十三条第三項の合議体の議事について、それぞれ準用する。


この場合において、

第十三条
、地方更生保護委員会 及び保護観察所の長」とあるのは、
「及び保護観察所の長」と

読み替えるものとする。

1項

地方委員会は、保護観察所の長の申出により、仮釈放者の所在が判明しないため保護観察が実施できなくなったと認めるときは、決定をもって、保護観察を停止することができる。

2項

前項の規定により保護観察を停止されている仮釈放者の所在が判明したときは、その所在の地を管轄する地方委員会は、直ちに、決定をもって、その停止を解かなければならない。

3項

前項の決定は、急速を要するときは、第二十三条第一項の規定にかかわらず一人の委員ですることができる。

4項

第一項の規定により保護観察を停止されている仮釈放者が第六十三条第二項 又は第三項の引致状により引致されたときは、第二項の決定があったものとみなす。

5項

仮釈放者の刑期は、第一項の決定によってその進行を停止し、第二項の決定があった時からその進行を始める。

6項

地方委員会は、仮釈放者が第一項の規定により保護観察を停止されている間に遵守事項を遵守しなかったことを理由として、仮釈放の取消しをすることができない

7項

地方委員会は、第一項の決定をした後、保護観察の停止の理由がなかったことが明らかになったときは、決定をもって、同項の決定を取り消さなければならない。

8項

前項の規定により第一項の決定が取り消された場合における仮釈放者の刑期の計算については、第五項の規定は、適用しない

1項

地方委員会は、不定期刑に処せられ、仮釈放を許されている者であって、仮釈放前 又は仮釈放中にその刑の短期が経過したものについて、保護観察所の長の申出により、刑の執行を終了するのを相当と認めるときは、少年法第五十九条第二項の規定にかかわらず、決定をもって、刑の執行を受け終わったものとしなければならない。

2項

第四十六条第二項の規定は、前項の決定について準用する。

第五節 保護観察付執行猶予者

1項

第六十八条の七第一項 及び第二項の規定は、保護観察付一部猶予者について準用する。


この場合において、

同条第一項 及び第二項
収容可能期間の満了」とあるのは、
刑法第二十七条の二の規定による猶予の期間の開始」と

読み替えるものとする。

2項

第三十六条第二項の規定は前項において準用する第六十八条の七第一項 及び第二項の決定に関する審理における調査について、第三十七条第二項の規定は当該審理について、それぞれ準用する。

1項

保護観察所の長は、保護観察付執行猶予者について、刑法第二十六条の二第二号 又は第二十七条の五第二号の規定により刑の執行猶予の言渡しを取り消すべきものと認めるときは、刑事訴訟法第三百四十九条第一項に規定する地方裁判所、家庭裁判所 又は簡易裁判所に対応する検察庁の検察官に対し、書面で、同条第二項に規定する申出をしなければならない。

1項

保護観察所の長は、第六十三条第二項の引致状により引致した保護観察付執行猶予者について、前条の申出をするか否かに関する審理を開始する必要があると認めるときは、当該保護観察付執行猶予者を刑事施設 又は少年鑑別所に留置することができる。

2項

前項の規定による留置の期間は、引致すべき場所に引致した日から起算して十日以内とする。


ただし、その期間中であっても、前条の申出をする必要がなくなったとき、検察官が刑事訴訟法第三百四十九条第一項の請求をしないことが明らかになったとき その他留置の必要がなくなったときは、直ちに保護観察付執行猶予者を釈放しなければならない。

3項

第一項の規定により留置されている保護観察付執行猶予者について、刑事訴訟法第三百四十九条第一項の請求があったときは、前項の規定にかかわらず同法第三百四十九条の二第一項の決定の告知があるまでの間、継続して留置することができる。


ただし、留置の期間は、通じて二十日を超えることができない。

4項

刑事訴訟法第三百四十九条の二第二項の規定による口頭弁論の請求があったときは、裁判所は、決定をもって、十日間に限り、前項ただし書の期間を延長することができる。


この場合において、その決定の告知については、同法による決定の告知の例による。

5項

第三項に規定する決定が保護観察付執行猶予者の刑の執行猶予の言渡しを取り消すものであるときは、同項の規定にかかわらず、その決定が確定するまでの間、その者を継続して留置することができる。

6項

第一項の規定により保護観察付執行猶予者が留置された場合において、その刑の執行猶予の言渡しが取り消されたときは、その留置の日数は、刑期に算入するものとする。

7項

第六十八条の三第四項の規定は、第一項の規定による留置について準用する。

1項

刑法第二十五条の二第二項 又は第二十七条の三第二項薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律第四条第二項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による保護観察を仮に解除する処分は、保護観察所の長が、保護観察付執行猶予者について、遵守事項 及び生活行動指針の遵守状況 その他法務省令で定める事項を考慮し、現に健全な生活態度を保持しており、保護観察を仮に解除しても、当該生活態度を保持し、善良な社会の一員として自立し、改善更生することができると認めるときにするものとする。

2項

刑法第二十五条の二第二項 又は第二十七条の三第二項の規定により保護観察を仮に解除されている保護観察付執行猶予者については、第四十九条第五十一条から第五十八条まで第六十一条第六十二条第六十五条から第六十五条の四まで第七十九条 及び前条の規定は、適用しない

3項

刑法第二十五条の二第二項 又は第二十七条の三第二項の規定により保護観察を仮に解除されている保護観察付執行猶予者に対する第五十条 及び第六十三条の規定の適用については、

第五十条第一項
以下「一般遵守事項」という」とあるのは
第二号ロ 及び 並びに第三号に掲げる事項を除く」と、

同項第二号
守り、保護観察官 及び保護司による指導監督を誠実に受ける」とあるのは
「守る」と、

同項第五号
転居(第四十七条の二の決定 又は少年法第六十四条第二項の規定により定められた期間(以下「収容可能期間」という。)の満了により釈放された場合に前号の規定により居住することとされている住居に転居する場合を除く。)又は七日以上の旅行」とあるのは
「転居」と、

第六十三条第二項第二号
遵守事項」とあるのは
第八十一条第三項の規定により読み替えて適用される第五十条第一項に掲げる事項」と

する。

4項

第一項に規定する処分があったときは、その処分を受けた保護観察付執行猶予者について定められている特別遵守事項は、その処分と同時に取り消されたものとみなす。

5項

保護観察所の長は、刑法第二十五条の二第二項 又は第二十七条の三第二項の規定により保護観察を仮に解除されている保護観察付執行猶予者について、その行状に鑑み再び保護観察を実施する必要があると認めるときは、これらの規定による処分を取り消さなければならない。