各高等裁判所は、高等裁判所長官 及び相応な員数の判事でこれを構成する。
裁判所法
第三編 下級裁判所
第一章 高等裁判所
高等裁判所は、左の事項について裁判権を有する。
地方裁判所の第一審判決、家庭裁判所の判決 及び簡易裁判所の刑事に関する判決に対する控訴
第七条第二号の抗告を除いて、地方裁判所 及び家庭裁判所の決定 及び命令 並びに簡易裁判所の刑事に関する決定 及び命令に対する抗告
刑事に関するものを除いて、地方裁判所の第二審判決 及び簡易裁判所の判決に対する上告
刑法第七十七条乃至第七十九条の罪に係る訴訟の第一審
高等裁判所は、この法律に定めるものの外、他の法律において特に定める権限を有する。
高等裁判所は、裁判官の合議体でその事件を取り扱う。
但し、法廷ですべき審理 及び裁判を除いて、その他の事項につき他の法律に特別の定があるときは、その定に従う。
前項の合議体の裁判官の員数は、三人とし、そのうち一人を裁判長とする。
但し、第十六条第四号の訴訟については、裁判官の員数は、五人とする。
高等裁判所は、裁判事務の取扱上さし迫つた必要があるときは、その管轄区域内の地方裁判所 又は家庭裁判所の判事にその高等裁判所の判事の職務を行わせることができる。
前項の規定により当該高等裁判所のさし迫つた必要をみたすことができない特別の事情があるときは、最高裁判所は、他の高等裁判所 又はその管轄区域内の地方裁判所 若しくは家庭裁判所の判事に当該高等裁判所の判事の職務を行わせることができる。
各高等裁判所が司法行政事務を行うのは、裁判官会議の議によるものとし、各高等裁判所長官が、これを総括する。
各高等裁判所の裁判官会議は、その全員の裁判官でこれを組織し、各高等裁判所長官が、その議長となる。
各高等裁判所の庶務を掌らせるため、各高等裁判所に事務局を置く。
最高裁判所は、高等裁判所の事務の一部を取り扱わせるため、その高等裁判所の管轄区域内に、高等裁判所の支部を設けることができる。
最高裁判所は、高等裁判所の支部に勤務する裁判官を定める。
第二章 地方裁判所
各地方裁判所は、相応な員数の判事 及び判事補でこれを構成する。
地方裁判所は、次の事項について裁判権を有する。
第三十三条第一項第一号の請求以外の請求に係る訴訟(第三十一条の三第一項第二号の人事訴訟を除く。)及び第三十三条第一項第一号の請求に係る訴訟のうち不動産に関する訴訟の第一審
第十六条第四号の罪 及び罰金以下の刑に当たる罪以外の罪に係る訴訟の第一審
第十六条第一号の控訴を除いて、簡易裁判所の判決に対する控訴
第七条第二号 及び第十六条第二号の抗告を除いて、簡易裁判所の決定 及び命令に対する抗告
地方裁判所は、この法律に定めるものの外、他の法律において特に定める権限 及び他の法律において裁判所の権限に属するものと定められた事項の中で地方裁判所以外の裁判所の権限に属させていない事項についての権限を有する。
地方裁判所は、第二項に規定する場合を除いて、一人の裁判官でその事件を取り扱う。
次に掲げる事件は、裁判官の合議体でこれを取り扱う。
ただし、法廷ですべき審理 及び裁判を除いて、その他の事項につき他の法律に特別の定めがあるときは、その定めに従う。
合議体で審理 及び裁判をする旨の決定を合議体でした事件
死刑 又は無期 若しくは短期一年以上の懲役 若しくは禁錮に当たる罪(刑法第二百三十六条、第二百三十八条 又は第二百三十九条の罪 及び その未遂罪、暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)第一条ノ二第一項 若しくは第二項 又は第一条ノ三第一項の罪 並びに盗犯等の防止及び処分に関する法律(昭和五年法律第九号)第二条 又は第三条の罪を除く。)に係る事件
簡易裁判所の判決に対する控訴事件 並びに簡易裁判所の決定 及び命令に対する抗告事件
その他他の法律において合議体で審理 及び裁判をすべきものと定められた事件
前項の合議体の裁判官の員数は、三人とし、そのうち一人を裁判長とする。
判事補は、他の法律に特別の定のある場合を除いて、一人で裁判をすることができない。
判事補は、同時に二人以上合議体に加わり、又は裁判長となることができない。
地方裁判所において裁判事務の取扱上さし迫つた必要があるときは、その所在地を管轄する高等裁判所は、その管轄区域内の他の地方裁判所、家庭裁判所 又はその高等裁判所の裁判官に当該地方裁判所の裁判官の職務を行わせることができる。
前項の規定により当該地方裁判所のさし迫つた必要をみたすことができない特別の事情があるときは、最高裁判所は、その地方裁判所の所在地を管轄する高等裁判所以外の高等裁判所の管轄区域内の地方裁判所、家庭裁判所 又はその高等裁判所の裁判官に当該地方裁判所の裁判官の職務を行わせることができる。
最高裁判所は、各地方裁判所の判事のうち一人に各地方裁判所長を命ずる。
各地方裁判所が司法行政事務を行うのは、裁判官会議の議によるものとし、各地方裁判所長が、これを総括する。
各地方裁判所の裁判官会議は、その全員の判事でこれを組織し、各地方裁判所長が、その議長となる。
各地方裁判所の庶務を掌らせるため、各地方裁判所に事務局を置く。
最高裁判所は、地方裁判所の事務の一部を取り扱わせるため、その地方裁判所の管轄区域内に、地方裁判所の支部 又は出張所を設けることができる。
最高裁判所は、地方裁判所の支部に勤務する裁判官を定める。
第三章 家庭裁判所
各家庭裁判所は、相応な員数の判事 及び判事補でこれを構成する。
家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)で定める家庭に関する事件の審判 及び調停
人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)で定める人事訴訟の第一審の裁判
少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)で定める少年の保護事件の審判
家庭裁判所は、この法律に定めるものの外、他の法律において特に定める権限を有する。
家庭裁判所は、審判 又は裁判を行うときは、次項に規定する場合を除いて、一人の裁判官でその事件を取り扱う。
次に掲げる事件は、裁判官の合議体でこれを取り扱う。
ただし、審判を終局させる決定 並びに法廷ですべき審理 及び裁判を除いて、その他の事項につき他の法律に特別の定めがあるときは、その定めに従う。
合議体で審判 又は審理 及び裁判をする旨の決定を合議体でした事件
他の法律において合議体で審判 又は審理 及び裁判をすべきものと定められた事件
前項の合議体の裁判官の員数は、三人とし、そのうち一人を裁判長とする。
第二十七条乃至第三十一条の規定は、家庭裁判所にこれを準用する。
第四章 簡易裁判所
各簡易裁判所に相応な員数の簡易裁判所判事を置く。
簡易裁判所は、次の事項について第一審の裁判権を有する。
訴訟の目的の価額が百四十万円を超えない請求(行政事件訴訟に係る請求を除く。)
罰金以下の刑に当たる罪、選択刑として罰金が定められている罪 又は刑法第百八十六条、第二百五十二条 若しくは第二百五十六条の罪に係る訴訟
簡易裁判所は、禁錮以上の刑を科することができない。
ただし、刑法第百三十条の罪 若しくはその未遂罪、同法第百八十六条の罪、同法第二百三十五条の罪 若しくはその未遂罪、同法第二百五十二条、第二百五十四条 若しくは第二百五十六条の罪、古物営業法(昭和二十四年法律第百八号)第三十一条から第三十三条までの罪 若しくは質屋営業法(昭和二十五年法律第百五十八号)第三十条から第三十二条までの罪に係る事件 又はこれらの罪と他の罪とにつき刑法第五十四条第一項の規定によりこれらの罪の刑をもつて処断すべき事件においては、三年以下の懲役を科することができる。
簡易裁判所は、前項の制限を超える刑を科するのを相当と認めるときは、訴訟法の定めるところにより事件を地方裁判所に移さなければならない。
簡易裁判所は、この法律に定めるものの外、他の法律において特に定める権限を有する。
簡易裁判所は、一人の裁判官でその事件を取り扱う。
簡易裁判所において裁判事務の取扱上 さし迫つた必要があるときは、その所在地を管轄する地方裁判所は、その管轄区域内の他の簡易裁判所の裁判官 又はその地方裁判所の判事に当該簡易裁判所の裁判官の職務を行わせることができる。
前項の規定により当該簡易裁判所のさし迫つた必要をみたすことができない特別の事情があるときは、その簡易裁判所の所在地を管轄する高等裁判所は、同項に定める裁判官以外のその管轄区域内の簡易裁判所の裁判官 又は地方裁判所の判事に当該簡易裁判所の裁判官の職務を行わせることができる。
各簡易裁判所の司法行政事務は、簡易裁判所の裁判官が、一人のときは、その裁判官が、二人以上のときは、最高裁判所の指名する一人の裁判官がこれを掌理する。
簡易裁判所において特別の事情によりその事務を取り扱うことができないときは、その所在地を管轄する地方裁判所は、その管轄区域内の他の簡易裁判所に当該簡易裁判所の事務の全部 又は一部を取り扱わせることができる。