内閣総理大臣は、第三十一条の二第一項に規定する事実があると認める場合(同条第二項の規定により課徴金を納付させることを命じない場合を除く。)又は第三十四条の二十一の二第一項に規定する事実があると認める場合(同条第二項の規定により課徴金を納付させることを命じない場合を除く。)には、当該事実に係る事件について審判手続開始の決定をしなければならない。
公認会計士法
第五章の六 審判手続等
第三十条第一項 若しくは第二項 又は第三十四条の二十一第二項第一号 若しくは第二号に規定する証明をした財務書類に係る会社 その他の者の会計期間の末日から七年を経過したときは、内閣総理大臣は、当該証明に係る事件について審判手続開始の決定をすることができない。
審判手続開始の決定は、文書によつて行わなければならない。
審判手続開始の決定に係る決定書(次項 及び第三十四条の四十五において「審判手続開始決定書」という。)には、審判の期日 及び場所、課徴金に係る第三十一条の二第一項 又は第三十四条の二十一の二第一項に規定する事実 並びに納付すべき課徴金の額 及びその計算の基礎を記載しなければならない。
審判手続は、課徴金の納付を命じようとする者(以下この章において「被審人」という。)に審判手続開始決定書の謄本を送達することにより、開始する。
審判手続(審判手続開始の決定 及び第三十四条の五十三第七項に規定する決定を除く。)は、三人の審判官をもつて構成する合議体が行う。
ただし、簡易な事件については、一人の審判官が行う。
内閣総理大臣は、各審判事件について、前項本文の合議体を構成する審判官 又は同項ただし書の一人の審判官を指定しなければならない。
内閣総理大臣は、合議体に審判手続を行わせることとしたときは、前項の規定により指定した審判官のうち一人を審判長として指定しなければならない。
内閣総理大臣は、当該事件について調査に関与したことのある者を審判官として指定することはできない。
内閣総理大臣は、当該職員でその指定するもの(次項において「指定職員」という。)を審判手続に参加させることができる。
審判は、公開して行う。
ただし、公益上必要があると認めるときは、この限りでない。
被審人は、審判手続開始決定書の謄本の送達を受けたときは、これに対する答弁書を、遅滞なく、審判官に提出しなければならない。
被審人が、審判手続開始決定書に記載された審判の期日前に、課徴金に係る第三十一条の二第一項 又は第三十四条の二十一の二第一項に規定する事実 及び納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書を提出したときは、審判の期日を開くことを要しない。
審判官は、被審人の申立てにより又は職権で、参考人に出頭を求めて審問することができる。
この場合においては、被審人も、その参考人に質問することができる。
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第百九十条、第百九十一条、第百九十六条、第百九十七条 及び第二百一条第一項から第四項までの規定は、前項の規定により参考人を審問する手続について準用する。
審判官は、被審人の申立てにより又は職権で、被審人を審問することができる。
被審人は、審判に際し、証拠書類 又は証拠物を提出することができる。
ただし、審判官が証拠書類 又は証拠物を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内に提出しなければならない。
審判官は、被審人の申立てにより又は職権で、書類 その他の物件の所持人に対し、その物件の提出を求め、かつ、その提出された物件を留め置くことができる。
民事訴訟法第百九十一条、第百九十七条、第二百一条第一項 及び第二百十二条の規定は、第一項の規定により鑑定人に鑑定を命ずる手続について準用する。
前項の規定により立入検査をしようとする審判官は、その身分を示す証票を携帯し、事件関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
審判官は、審判手続を経た後、審判事件についての決定案を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならない。
内閣総理大臣は、前条の規定による決定案の提出を受けた場合において、第三十一条の二第一項 又は第三十四条の二十一の二第一項に規定する事実があると認めるときは、被審人に対し、第三十一条の二第一項 又は第三十四条の二十一の二第一項の規定による課徴金を国庫に納付することを命ずる旨の決定をしなければならない。
内閣総理大臣は、会社 その他の者の同一の会計期間に係る財務書類の二以上の証明について前項の決定(第三十一条の二第一項の規定に係るものに限る。以下この項において同じ。)をしなければならない場合には、同条第一項の規定による額に代えて、それぞれの決定に係る事実について同項の規定により計算した額(以下この項 及び次項において「個別決定ごとの算出額」という。)のうち最も高い額を内閣府令で定めるところにより当該個別決定ごとの算出額に応じてあん分して得た額に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命ずる旨の決定をしなければならない。
内閣総理大臣は、第一項の決定(第三十一条の二第一項の規定に係るものに限る。以下この項において同じ。)又は前項の決定をしなければならない場合において、既に第一項 又は前項の規定によりされた一以上の決定(以下この項において「既決定」という。)に係る会社 その他の者の財務書類の証明と同一の会計期間に係る当該会社 その他の者の他の財務書類の証明について一以上の決定(以下この項において「新決定」という。)をしなければならないときは、当該新決定について、同条第一項 又は前項の規定による額に代えて、第一号に掲げる額から第二号に掲げる額を控除した額を内閣府令で定めるところによりそれぞれの新決定に係る事実について個別決定ごとの算出額に応じてあん分して得た額に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命ずる旨の決定をしなければならない。
ただし、第一号に掲げる額が第二号に掲げる額を超えないときは、同条第一項 又は前項の規定による課徴金の納付を命ずることができない。
既決定に係る第三十一条の二第一項 又は前項の規定による課徴金の額を合計した額
内閣総理大臣は、会社 その他の者の同一の会計期間に係る財務書類の二以上の証明について第一項の決定(第三十四条の二十一の二第一項の規定に係るものに限る。以下この項において同じ。)をしなければならない場合には、同条第一項の規定による額に代えて、それぞれの決定に係る事実について同項の規定により計算した額(以下この項 及び次項において「個別決定ごとの算出額」という。)のうち最も高い額を内閣府令で定めるところにより当該個別決定ごとの算出額に応じてあん分して得た額に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命ずる旨の決定をしなければならない。
内閣総理大臣は、第一項の決定(第三十四条の二十一の二第一項の規定に係るものに限る。以下この項において同じ。)又は前項の決定をしなければならない場合において、既に第一項 又は前項の規定によりされた一以上の決定(以下この項において「既決定」という。)に係る会社 その他の者の財務書類の証明と同一の会計期間に係る当該会社 その他の者の他の財務書類の証明について一以上の決定(以下この項において「新決定」という。)をしなければならないときは、当該新決定について、同条第一項 又は前項の規定による額に代えて、第一号に掲げる額から第二号に掲げる額を控除した額を内閣府令で定めるところによりそれぞれの新決定に係る事実について個別決定ごとの算出額に応じてあん分して得た額に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命ずる旨の決定をしなければならない。
ただし、第一号に掲げる額が第二号に掲げる額を超えないときは、同条第一項 又は前項の規定による課徴金の納付を命ずることができない。
既決定に係る第三十四条の二十一の二第一項 又は前項の規定による課徴金の額を合計した額
内閣総理大臣は、前条の規定による決定案の提出を受けた場合において、第三十一条の二第一項 又は第三十四条の二十一の二第一項に規定する事実がないと認めるときは、その旨を明らかにする決定をしなければならない。
前各項の決定は、文書によつて、前条の規定により審判官が提出した決定案に基づいて行わなければならない。
前項に規定する決定に係る決定書には、内閣総理大臣が認定した事実 及びこれに対する法令の適用(第一項から第五項までの決定にあつては、課徴金の計算の基礎 及び納付期限を含む。)を記載しなければならない。
前項の納付期限は、同項に規定する決定書(第一項から第五項までの決定に係るものに限る。)の謄本を発した日から二月を経過した日とする。
第七項に規定する決定は、被審人に当該決定に係る決定書の謄本を送達することによつて、その効力を生ずる。
送達すべき書類は、この法律に規定するもののほか、内閣府令で定める。
書類の送達については、民事訴訟法第九十九条、第百一条から第百三条まで、第百五条、第百六条、第百七条第一項(第二号 及び第三号を除く。)及び第三項、第百八条 並びに第百九条の規定を準用する。
この場合において、
同法第九十九条第一項中
「執行官」とあり、
及び同法第百七条第一項中
「裁判所書記官」とあるのは
「金融庁の職員」と、
同法第百八条中
「裁判長」とあるのは
「内閣総理大臣 又は審判長(公認会計士法第三十四条の四十二第一項ただし書の場合にあっては、審判官)」と、
同法第百九条中
「裁判所」とあるのは
「内閣総理大臣 又は審判官」と
読み替えるものとする。
前条において準用する民事訴訟法第百七条第一項(第二号 及び第三号を除く。)の規定により送達をすることができない場合
外国においてすべき送達について、前条において準用する民事訴訟法第百八条の規定によることができず、又はこれによつても送達をすることができないと認めるべき場合
前条において準用する民事訴訟法第百八条の規定により外国の管轄官庁に嘱託を発した後六月を経過しても その送達を証する書面の送付がない場合
公示送達は、前項の規定による掲示を始めた日から二週間を経過することによつて、その効力を生ずる。
外国においてすべき送達についてした公示送達にあつては、前項の期間は、六週間とする。
金融庁の職員が、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第三条第九号に規定する処分通知等であつてこの章 又は内閣府令の規定により書類の送達により行うこととしているものを、同法第七条第一項の規定により同法第六条第一項に規定する電子情報処理組織を使用して行つたときは、第三十四条の五十五において準用する民事訴訟法第百九条の規定にかかわらず、当該処分通知等の内容を当該電子情報処理組織を使用して金融庁の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。)に備えられたファイルに記録することをもつて、同条に規定する書面の作成 及び提出に代えることができる。
利害関係人は、内閣総理大臣に対し、審判手続開始の決定後、事件記録の閲覧 若しくは謄写 又は第三十四条の五十三第七項に規定する決定に係る決定書の謄本 若しくは抄本の交付を求めることができる。
内閣総理大臣は、課徴金をその納付期限までに納付しない者があるときは、督促状により期限を指定してその納付を督促しなければならない。
内閣総理大臣は、前項の規定による督促をしたときは、同項の課徴金の額につき年十四・五パーセントの割合で、納付期限の翌日からその納付の日までの日数により計算した延滞金を徴収することができる。
ただし、延滞金の額が千円未満であるときは、この限りでない。
前項の規定により計算した延滞金の額に百円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
前条第一項の規定により督促を受けた者がその指定する期限までにその納付すべき金額を納付しないときは、内閣総理大臣の命令で、第三十四条の五十三第一項から第五項までの決定(以下この条 及び次条において「課徴金納付命令」という。)を執行する。
この命令は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。
課徴金納付命令の執行は、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)その他強制執行の手続に関する法令の規定に従つてする。
破産法 及び民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)の規定の適用については、課徴金納付命令に係る課徴金の請求権 及び第三十四条の五十九第二項の規定による延滞金の請求権は、過料の請求権とみなす。
この章に規定するもののほか、審判手続に関し必要な事項は、内閣府令で定める。
第三十四条の五十三第一項から第五項までの決定の取消しの訴えは、決定がその効力を生じた日から三十日以内に提起しなければならない。
前項の期間は、不変期間とする。
第三十四条の四十七第一項 又は第三十四条の五十第一項の規定により出頭 又は鑑定を命ぜられた参考人 又は鑑定人は、政令で定めるところにより、旅費 及び手当を請求することができる。
内閣総理大臣が第三十一条の二、第三十四条の二十一の二 及び第三十四条の四十から第三十四条の六十二までの規定によつてする決定 その他の処分(これらの規定によつて審判官がする処分を含む。)については、行政手続法第二章 及び第三章の規定は、適用しない。
ただし、第三十一条の二 及び第三十四条の二十一の二の規定に係る同法第十二条の規定の適用については、この限りでない。
内閣総理大臣が第三十一条の二、第三十四条の二十一の二 及び第三十四条の四十から第三十四条の六十二までの規定により行う決定 その他の処分(これらの規定により審判官が行う処分を含む。)又はその不作為については、審査請求をすることができない。