津波防護施設の新設、改良 その他の管理は、都道府県知事が行うものとする。
津波防災地域づくりに関する法律
第七章 津波防護施設等
第一節 津波防護施設の管理
前項の規定にかかわらず、市町村長が管理することが適当であると認められる津波防護施設で都道府県知事が指定したものについては、当該津波防護施設の存する市町村の長がその管理を行うものとする。
都道府県知事は、前項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ当該市町村長の意見を聴かなければならない。
都道府県知事は、第二項の規定により指定をするときは、国土交通省令で定めるところにより、これを公示しなければならない。
これを変更するときも、同様とする。
津波防護施設の新設 又は改良は、推進計画区域内において、推進計画に即して行うものとする。
都府県の境界に係る津波防護施設については、関係都府県知事は、協議して別にその管理の方法を定めることができる。
前項の規定による協議が成立した場合においては、関係都府県知事は、国土交通省令で定めるところにより、その成立した協議の内容を公示しなければならない。
第一項の規定による協議に基づき、一の都府県知事が他の都府県の区域内に存する津波防護施設について管理を行う場合においては、その都府県知事は、政令で定めるところにより、当該他の都府県知事に代わってその権限を行うものとする。
津波防護施設管理者は、次に掲げる土地の区域を津波防護施設区域として指定するものとする。
津波防護施設の敷地である土地の区域
前号の土地の区域に隣接する土地の区域であって、当該津波防護施設を保全するため必要なもの
前項第二号に掲げる土地の区域についての津波防護施設区域の指定は、当該津波防護施設を保全するため必要な最小限度の土地の区域に限ってするものとする。
津波防護施設管理者は、津波防護施設区域を指定するときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
これを変更し、又は廃止するときも、同様とする。
津波防護施設区域の指定、変更 又は廃止は、前項の規定による公示によってその効力を生ずる。
津波防護施設区域内の土地(津波防護施設管理者以外の者がその権原に基づき管理する土地を除く。)を占用しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、津波防護施設管理者の許可を受けなければならない。
津波防護施設管理者は、前項の許可の申請があった場合において、その申請に係る事項が津波防護施設の保全に著しい支障を及ぼす おそれがあると認めるときは、これを許可してはならない。
津波防護施設区域内の土地において、次に掲げる行為をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、津波防護施設管理者の許可を受けなければならない。
ただし、津波防護施設の保全に支障を及ぼすおそれがないものとして政令で定める行為については、この限りでない。
津波防護施設以外の施設 又は工作物(以下この章において「他の施設等」という。)の新築 又は改築
土地の掘削、盛土 又は切土
前二号に掲げるもののほか、津波防護施設の保全に支障を及ぼすおそれがあるものとして政令で定める行為
前条第二項の規定は、前項の許可について準用する。
津波防護施設区域の指定の際 現に権原に基づき、第二十二条第一項 若しくは前条第一項の規定により許可を要する行為を行っている者 又は同項の規定によりその設置について許可を要する他の施設等を設置している者は、従前と同様の条件により、当該行為 又は他の施設等の設置について当該規定による許可を受けたものとみなす。
同項ただし書 若しくは同項第三号の政令 又はこれを改廃する政令の施行の際現に権原に基づき、当該政令の施行に伴い新たに許可を要することとなる行為を行い、又は他の施設等を設置している者についても、同様とする。
国 又は地方公共団体が行う事業についての第二十二条第一項 及び第二十三条第一項の規定の適用については、国 又は地方公共団体と津波防護施設管理者との協議が成立することをもって、これらの規定による許可があったものとみなす。
津波防護施設管理者は、国土交通省令で定める基準に従い、第二十二条第一項の許可を受けた者から占用料を徴収することができる。
津波防護施設管理者は、次の各号のいずれかに該当する者に対して、その許可を取り消し、若しくはその条件を変更し、又はその行為の中止、他の施設等の改築、移転 若しくは除却、他の施設等により生ずべき津波防護施設の保全上の障害を予防するために必要な施設の設置 若しくは原状回復を命ずることができる。
第二十二条第一項 又は第二十三条第一項の規定に違反した者
第二十二条第一項 又は第二十三条第一項の許可に付した条件に違反した者
偽りその他不正な手段により第二十二条第一項 又は第二十三条第一項の許可を受けた者
津波防護施設管理者は、次の各号のいずれかに 該当する場合においては、第二十二条第一項 又は第二十三条第一項の許可を受けた者に対し、前項に規定する処分をし、又は同項に規定する必要な措置を命ずることができる。
津波防護施設に関する工事のためやむを得ない必要が生じたとき。
津波防護施設の保全上著しい支障が生じたとき。
津波防護施設の保全上の理由以外の理由に基づく公益上やむを得ない必要が生じたとき。
前二項の規定により必要な措置をとることを命じようとする場合において、過失がなくて当該措置を命ずべき者を確知することができないときは、津波防護施設管理者は、当該措置を自ら行い、又はその命じた者 若しくは委任した者にこれを行わせることができる。
この場合においては、相当の期限を定めて、当該措置を行うべき旨 及びその期限までに当該措置を行わないときは、津波防護施設管理者 又はその命じた者 若しくは委任した者が当該措置を行う旨を、あらかじめ公告しなければならない。
津波防護施設管理者は、前項の規定により他の施設等を除却し、又は除却させたときは、当該他の施設等を保管しなければならない。
津波防護施設管理者は、前項の規定により他の施設等を保管したときは、当該他の施設等の所有者、占有者 その他当該他の施設等について権原を有する者(第九項において「所有者等」という。)に対し当該他の施設等を返還するため、政令で定めるところにより、政令で定める事項を公示しなければならない。
津波防護施設管理者は、第四項の規定により保管した他の施設等が滅失し、若しくは破損するおそれがあるとき、又は前項の規定による公示の日から起算して三月を経過してもなお当該他の施設等を返還することができない場合において、政令で定めるところにより評価した当該他の施設等の価額に比し、その保管に不相当な費用 若しくは手数を要するときは、政令で定めるところにより、当該他の施設等を売却し、その売却した代金を保管することができる。
津波防護施設管理者は、前項の規定による他の施設等の売却につき買受人がない場合において、同項に規定する価額が著しく低いときは、当該他の施設等を廃棄することができる。
第六項の規定により売却した代金は、売却に要した費用に充てることができる。
第三項から第六項までに規定する他の施設等の除却、保管、売却、公示 その他の措置に要した費用は、当該他の施設等の返還を受けるべき所有者等 その他第三項に規定する当該措置を命ずべき者の負担とする。
第五項の規定による公示の日から起算して六月を経過してもなお第四項の規定により保管した他の施設等(第六項の規定により売却した代金を含む。以下この項において同じ。)を返還することができないときは、当該他の施設等の所有権は、都道府県知事が保管する他の施設等にあっては当該都道府県知事が統括する都道府県、市町村長が保管する他の施設等にあっては当該市町村長が統括する市町村に帰属する。
津波防護施設管理者は、前条第二項の規定による処分 又は命令により損失を受けた者に対し通常生ずべき損失を補償しなければならない。
前項の規定による損失の補償については、津波防護施設管理者と損失を受けた者とが協議しなければならない。
前項の規定による協議が成立しない場合においては、津波防護施設管理者は、自己の見積もった金額を損失を受けた者に支払わなければならない。
この場合において、当該金額について不服がある者は、政令で定めるところにより、補償金の支払を受けた日から三十日以内に、収用委員会に土地収用法第九十四条第二項の規定による裁決を申請することができる。
津波防護施設管理者は、第一項の規定による補償の原因となった損失が前条第二項第三号に該当する場合における同項の規定による処分 又は命令によるものであるときは、当該補償金額を当該理由を生じさせた者に負担させることができる。
津波防護施設は、地形、地質、地盤の変動 その他の状況を考慮し、自重、水圧 及び波力 並びに地震の発生、漂流物の衝突 その他の事由による振動 及び衝撃に対して安全な構造のものでなければならない。
前項に定めるもののほか、津波防護施設の形状、構造 及び位置について、津波による人的災害の防止 又は軽減のため必要とされる技術上の基準は、国土交通省令で定める基準を参酌して都道府県(第十八条第二項の規定により市町村長が津波防護施設を管理する場合にあっては、当該市町村長が統括する市町村)の条例で定める。
津波防護施設と他の施設等とが相互に効用を兼ねる場合においては、津波防護施設管理者 及び他の施設等の管理者は、協議して別に管理の方法を定め、当該津波防護施設 及び他の施設等の工事、維持 又は操作を行うことができる。
津波防護施設管理者は、前項の規定による協議に基づき、他の施設等の管理者が津波防護施設の工事、維持 又は操作を行う場合においては、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
津波防護施設管理者は、津波防護施設に関する工事以外の工事(以下この章において「他の工事」という。)又は津波防護施設に関する工事 若しくは津波防護施設の維持の必要を生じさせた行為(以下この章において「他の行為」という。)により必要を生じた津波防護施設に関する工事 又は津波防護施設の維持を当該他の工事の施行者 又は他の行為の行為者に施行させることができる。
前項の場合において、他の工事が河川工事(河川法が適用され、又は準用される河川の河川工事をいう。以下同じ。)、道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)による道路をいう。以下同じ。)に関する工事、地すべり防止工事(地すべり等防止法(昭和三十三年法律第三十号)第二条第四項に規定する地すべり防止工事をいう。以下同じ。)、急傾斜地崩壊防止工事(急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和四十四年法律第五十七号)第二条第三項に規定する急傾斜地崩壊防止工事をいう。第四十三条第二項において同じ。)又は海岸保全施設に関する工事であるときは、当該津波防護施設に関する工事については、河川法第十九条、道路法第二十三条第一項、地すべり等防止法第十五条第一項、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第十六条第一項 又は海岸法第十七条第一項の規定を適用する。
津波防護施設管理者は、津波防護施設に関する工事により必要を生じた他の工事 又は津波防護施設に関する工事を施行するため必要を生じた他の工事をその津波防護施設に関する工事と併せて施行することができる。
前項の場合において、他の工事が河川工事、道路に関する工事、砂防工事(砂防法(明治三十年法律第二十九号)第一条に規定する砂防工事をいう。第四十四条第二項において同じ。)、地すべり防止工事 又は海岸保全施設等(海岸法第八条の二第一項第一号に規定する海岸保全施設等をいう。第四十四条第二項において同じ。)に関する工事であるときは、当該他の工事の施行については、河川法第十八条、道路法第二十二条第一項、砂防法第八条、地すべり等防止法第十四条第一項 又は海岸法第十六条第一項の規定を適用する。
津波防護施設管理者以外の者は、第二十条第一項、第三十条第一項 及び第三十一条の規定による場合のほか、あらかじめ、政令で定めるところにより津波防護施設管理者の承認を受けて、津波防護施設に関する工事 又は津波防護施設の維持を行うことができる。
ただし、政令で定める軽易なものについては、津波防護施設管理者の承認を受けることを要しない。
国 又は地方公共団体が行う事業についての前項の規定の適用については、国 又は地方公共団体と津波防護施設管理者との協議が成立することをもって、同項の規定による承認があったものとみなす。
津波防護施設管理者 又はその命じた者 若しくは委任した者は、津波防護施設区域に関する調査 若しくは測量 又は津波防護施設に関する工事のためにやむを得ない必要があるときは、その必要な限度において、他人の占有する土地に立ち入り、又は特別の用途のない他人の土地を材料置場 若しくは作業場として一時使用することができる。
第七条(第一項を除く。)の規定は、前項の規定による立入り及び一時使用について準用する。
この場合において、
同条第八項から第十項までの規定中
「都道府県 又は国」とあるのは、
「津波防護施設管理者」と
読み替えるものとする。
土地収用法第九十三条第一項の規定による場合を除き、津波防護施設管理者が津波防護施設を新設し、又は改良したことにより、当該津波防護施設に面する土地について、通路、溝、垣、柵 その他の施設 若しくは工作物を新築し、増築し、修繕し、若しくは移転し、又は盛土 若しくは切土をするやむを得ない必要があると認められる場合においては、津波防護施設管理者は、これらの工事をすることを必要とする者(以下この条において「損失を受けた者」という。)の請求により、これに要する費用の全部 又は一部を補償しなければならない。
この場合において、津波防護施設管理者 又は損失を受けた者は、補償金の全部 又は一部に代えて、津波防護施設管理者が当該工事を施行することを要求することができる。
前項の規定による損失の補償は、津波防護施設に関する工事の完了の日から一年を経過した後においては、請求することができない。
第一項の規定による損失の補償については、津波防護施設管理者と損失を受けた者とが協議しなければならない。
前項の規定による協議が成立しない場合においては、津波防護施設管理者 又は損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法第九十四条第二項の規定による裁決を申請することができる。
津波防護施設管理者は、津波防護施設台帳を調製し、これを保管しなければならない。
津波防護施設管理者は、津波防護施設台帳の閲覧を求められたときは、正当な理由がなければこれを拒むことができない。
津波防護施設台帳の記載事項その他その調製 及び保管に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。
津波防護施設管理者は、第二十二条第一項 若しくは第二十三条第一項の許可 又は第三十三条第一項の承認には、津波防護施設の保全上必要な条件を付することができる。
第二節 津波防護施設に関する費用
津波防護施設管理者が津波防護施設を管理するために要する費用は、この法律 及び他の法律に特別の規定がある場合を除き、当該津波防護施設管理者の属する地方公共団体の負担とする。
国は、津波防護施設の新設 又は改良に関する工事で政令で定めるものを行う地方公共団体に対し、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、当該工事に要する費用の一部を補助することができる。
都府県の境界に係る津波防護施設について第二十条第一項の規定による協議に基づき関係都府県知事が別に管理の方法を定めた場合においては、当該津波防護施設の管理に要する費用については、関係都府県知事は、協議してその分担すべき金額 及び分担の方法を定めることができる。
前三条の規定により都道府県が負担する費用のうち、その工事 又は維持が当該都道府県の区域内の市町村を利するものについては、当該工事 又は維持による受益の限度において、当該市町村に対し、その工事 又は維持に要する費用の一部を負担させることができる。
前項の費用について同項の規定により市町村が負担すべき金額は、当該市町村の意見を聴いた上、当該都道府県の議会の議決を経て定めなければならない。
津波防護施設が他の施設等の効用を兼ねるときは、当該津波防護施設の管理に要する費用の負担については、津波防護施設管理者と 当該他の施設等の管理者とが協議して定めるものとする。
津波防護施設管理者は、他の工事 又は他の行為により必要を生じた津波防護施設に関する工事 又は津波防護施設の維持の費用については、その必要を生じた限度において、他の工事 又は他の行為につき費用を負担する者にその全部 又は一部を負担させるものとする。
前項の場合において、他の工事が河川工事、道路に関する工事、地すべり防止工事、急傾斜地崩壊防止工事 又は海岸保全施設に関する工事であるときは、当該津波防護施設に関する工事の費用については、河川法第六十八条、道路法第五十九条第一項 及び第三項、地すべり等防止法第三十五条第一項 及び第三項、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第二十二条第一項 又は海岸法第三十二条第一項 及び第三項の規定を適用する。
津波防護施設に関する工事により必要を生じた他の工事 又は津波防護施設に関する工事を施行するため必要を生じた他の工事に要する費用は、第二十二条第一項 及び第二十三条第一項の許可に付した条件に特別の定めがある場合 並びに第二十五条の規定による協議による場合を除き、その必要を生じた限度において、当該津波防護施設に関する工事について費用を負担する者がその全部 又は一部を負担するものとする。
前項の場合において、他の工事が河川工事、道路に関する工事、砂防工事、地すべり防止工事 又は海岸保全施設等に関する工事であるときは、他の工事に要する費用については、河川法第六十七条、道路法第五十八条第一項、砂防法第十六条、地すべり等防止法第三十四条第一項 又は海岸法第三十一条第一項の規定を適用する。
津波防護施設管理者は、第一項の津波防護施設に関する工事が他の工事 又は他の行為のため必要となったものである場合においては、同項の他の工事に要する費用の全部 又は一部をその必要を生じた限度において、その原因となった工事 又は行為につき費用を負担する者に負担させることができる。
津波防護施設管理者は、津波防護施設に関する工事によって著しく利益を受ける者がある場合においては、その利益を受ける限度において、当該工事に要する費用の一部を負担させることができる。
前項の場合において、負担金の徴収を受ける者の範囲 及びその徴収方法については、都道府県知事が負担させるものにあっては当該都道府県知事が統括する都道府県の条例で、市町村長が負担させるものにあっては当該市町村長が統括する市町村の条例で定める。
第二十七条 及び前三条の規定による負担金の額の通知 及び納入手続 その他負担金に関し必要な事項は、政令で定める。
第二十六条の規定に基づく 占用料 並びに第二十七条第九項、第四十二条、第四十三条第一項、第四十四条第三項 及び第四十五条第一項の規定に基づく 負担金(以下この条 及び次条においてこれらを「負担金等」と総称する。)を納付しない者があるときは、津波防護施設管理者は、督促状によって納付すべき期限を指定して督促しなければならない。
前項の場合においては、津波防護施設管理者は、国土交通省令で定めるところにより延滞金を徴収することができる。
ただし、延滞金は、年十四・五パーセントの割合を乗じて計算した額を超えない範囲内で定めなければならない。
第一項の規定による督促を受けた者がその指定する期限までにその納付すべき金額を納付しないときは、津波防護施設管理者は、国税滞納処分の例により、前二項に規定する負担金等 及び延滞金を徴収することができる。
この場合における負担金等 及び延滞金の先取特権の順位は、国税 及び地方税に次ぐものとする。
延滞金は、負担金等に先立つものとする。
負担金等 及び延滞金を徴収する権利は、これらを行使することができる時から五年間行使しないときは、時効により消滅する。
負担金等 及び前条第二項の延滞金は、都道府県知事が負担させるものにあっては当該都道府県知事が統括する都道府県、市町村長が負担させるものにあっては当該市町村長が統括する市町村の収入とする。
前節の規定 又は同節の規定に基づく処分による義務を履行するために必要な費用は、同節 又はこの節に特別の規定がある場合を除き、当該義務者が負担しなければならない。
第三節 指定津波防護施設
都道府県知事は、浸水想定区域(推進計画区域内のものに限る。以下この項において同じ。)内に存する第二条第十項の政令で定める施設(海岸保全施設、港湾施設、漁港施設、河川管理施設、保安施設事業に係る施設 及び津波防護施設であるものを除く。)が、当該浸水想定区域における津波による人的災害を防止し、又は軽減するために有用であると認めるときは、当該施設を指定津波防護施設として指定することができる。
都道府県知事は、前項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、当該指定をしようとする施設が存する市町村の長の意見を聴くとともに、当該施設の所有者の同意を得なければならない。
都道府県知事は、第一項の規定による指定をするときは、国土交通省令で定めるところにより、当該指定津波防護施設を公示するとともに、その旨を当該指定津波防護施設が存する市町村の長及び当該指定津波防護施設の所有者に通知しなければならない。
第一項の規定による指定は、前項の規定による公示によってその効力を生ずる。
前三項の規定は、第一項の規定による指定の解除について準用する。
都道府県知事は、前条第一項の規定により指定津波防護施設を指定したときは、国土交通省令で定める基準を参酌して都道府県の条例で定めるところにより、指定津波防護施設 又はその敷地である土地の区域内に、それぞれ指定津波防護施設である旨 又は指定津波防護施設が当該区域内に存する旨を表示した標識を設けなければならない。
指定津波防護施設 又はその敷地である土地の所有者、管理者 又は占有者は、正当な理由がない限り、前項の標識の設置を拒み、又は妨げてはならない。
何人も、第一項の規定により設けられた標識を都道府県知事の承諾を得ないで移転し、若しくは除却し、又は汚損し、若しくは損壊してはならない。
都道府県は、第一項の規定による行為により損失を受けた者がある場合においては、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
前項の規定による損失の補償については、都道府県と損失を受けた者とが協議しなければならない。
前項の規定による協議が成立しない場合においては、都道府県 又は損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法第九十四条第二項の規定による裁決を申請することができる。
指定津波防護施設について、次に掲げる行為をしようとする者は、当該行為に着手する日の三十日前までに、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計 又は施行方法、着手予定日 その他国土交通省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。
ただし、通常の管理行為、軽易な行為 その他の行為で政令で定めるもの及び非常災害のため必要な応急措置として行う行為については、この限りでない。
当該指定津波防護施設の敷地である土地の区域における土地の掘削、盛土 又は切土 その他土地の形状を変更する行為
当該指定津波防護施設の改築 又は除却
都道府県知事は、前項の規定による届出を受けたときは、国土交通省令で定めるところにより、当該届出の内容を、当該指定津波防護施設が存する市町村の長に通知しなければならない。
都道府県知事は、第一項の規定による届出があった場合において、当該指定津波防護施設が有する津波による人的災害を防止し、又は軽減する機能の保全のため必要があると認めるときは、当該届出をした者に対して、必要な助言 又は勧告をすることができる。