この法律は、伝染のおそれがある疾病の発生 及びまん延を予防するために公衆衛生の見地から予防接種の実施 その他必要な措置を講ずることにより、国民の健康の保持に寄与するとともに、予防接種による健康被害の迅速な救済を図ることを目的とする。
予防接種法
第一章 総則
この法律において「予防接種」とは、疾病に対して免疫の効果を得させるため、疾病の予防に有効であることが確認されているワクチンを、人体に注射し、又は接種することをいう。
この法律において「A類疾病」とは、次に掲げる疾病をいう。
肺炎球菌感染症(小児がかかるものに限る。)
新型インフルエンザ等感染症(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号。以下「感染症法」という。)第六条第七項に規定する新型インフルエンザ等感染症をいう。次項第二号 及び第二十九条第一項第一号において同じ。)、指定感染症(感染症法第六条第八項に規定する指定感染症をいう。次項第二号 及び第二十九条第一項第二号において同じ。)又は新感染症(感染症法第六条第九項に規定する新感染症をいう。次項第二号 及び第二十九条第一項第三号において同じ。)であって、その全国的かつ急速なまん延により国民の生命 及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められる疾病として政令で定める疾病
前各号に掲げる疾病のほか、人から人に伝染することによるその発生 及びまん延を予防するため、又はかかった場合の病状の程度が重篤になり、若しくは重篤になるおそれがあることからその発生 及びまん延を予防するため特に予防接種を行う必要があると認められる疾病として政令で定める疾病
この法律において「B類疾病」とは、次に掲げる疾病をいう。
前二号に掲げる疾病のほか、個人の発病 又はその重症化を防止し、併せてこれによりそのまん延の予防に資するため特に予防接種を行う必要があると認められる疾病として政令で定める疾病
この法律において「定期の予防接種」とは、第五条第一項の規定による予防接種をいう。
この法律において「臨時の予防接種」とは、第六条第一項から第三項までの規定による予防接種をいう。
この法律において「定期の予防接種等」とは、定期の予防接種 又は臨時の予防接種をいう。
この法律において「保護者」とは、親権を行う者 又は後見人をいう。
第二章 予防接種基本計画等
厚生労働大臣は、予防接種に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、予防接種に関する基本的な計画(以下この章 及び第二十四条第二号において「予防接種基本計画」という。)を定めなければならない。
予防接種基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
予防接種に関する施策の総合的かつ計画的な推進に関する基本的な方向
国、地方公共団体 その他関係者の予防接種に関する役割分担に関する事項
予防接種に関する施策の総合的かつ計画的な推進に係る目標に関する事項
予防接種の適正な実施に関する施策を推進するための基本的事項
予防接種の研究開発の推進 及びワクチンの供給の確保に関する施策を推進するための基本的事項
予防接種の有効性 及び安全性の向上に関する施策を推進するための基本的事項
予防接種に関する国際的な連携に関する事項
その他予防接種に関する施策の総合的かつ計画的な推進に関する重要事項
厚生労働大臣は、少なくとも五年ごとに予防接種基本計画に再検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更するものとする。
厚生労働大臣は、予防接種基本計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。
厚生労働大臣は、予防接種基本計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
厚生労働大臣は、A類疾病 及びB類疾病のうち、特に総合的に予防接種を推進する必要があるものとして厚生労働省令で定めるものについて、当該疾病ごとに当該疾病に応じた予防接種の推進を図るための指針(以下この条 及び第二十四条第二号において「個別予防接種推進指針」という。)を予防接種基本計画に即して定めなければならない。
個別予防接種推進指針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
当該疾病に係る予防接種の意義、有効性 及び安全性に関する事項
当該疾病に係る予防接種に関する啓発 及び知識の普及に関する事項
当該疾病に係る予防接種の適正な実施のための方策に関する事項
当該疾病に係る予防接種の研究開発の推進 及びワクチンの供給の確保に関する事項
その他当該疾病に係る予防接種の推進に関する重要事項
当該疾病について感染症法第十一条第一項の規定により同項に規定する特定感染症予防指針が作成されるときは、個別予防接種推進指針は、当該特定感染症予防指針と一体のものとして定められなければならない。
厚生労働大臣は、個別予防接種推進指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
第三章 定期の予防接種等の実施
市町村長は、A類疾病 及びB類疾病のうち政令で定めるものについて、当該市町村の区域内に居住する者であって政令で定めるものに対し、保健所長(特別区 及び地域保健法(昭和二十二年法律第百一号)第五条第一項の規定に基づく政令で定める市(第十条において「保健所を設置する市」という。)にあっては、都道府県知事)の指示を受け期日 又は期間を指定して、予防接種を行わなければならない。
都道府県知事は、前項に規定する疾病のうち政令で定めるものについて、当該疾病の発生状況等を勘案して、当該都道府県の区域のうち当該疾病に係る予防接種を行う必要がないと認められる区域を指定することができる。
前項の規定による指定があったときは、その区域の全部が当該指定に係る区域に含まれる市町村の長は、第一項の規定にかかわらず、当該指定に係る疾病について予防接種を行うことを要しない。
都道府県知事は、A類疾病 及びB類疾病のうち厚生労働大臣が定めるもののまん延予防上緊急の必要があると認めるときは、その対象者 及びその期日 又は期間を指定して、臨時に予防接種を行い、又は市町村長に行うよう指示することができる。
厚生労働大臣は、前項に規定する疾病のまん延予防上緊急の必要があると認めるときは、その対象者 及びその期日 又は期間を指定して、都道府県知事に対し、又は都道府県知事を通じて市町村長に対し、臨時に予防接種を行うよう指示することができる。
厚生労働大臣は、A類疾病のうち当該疾病の全国的かつ急速なまん延により国民の生命 及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものとして厚生労働大臣が定めるもののまん延予防上緊急の必要があると認めるときは、その対象者 及びその期日 又は期間を指定して、都道府県知事に対し、又は都道府県知事を通じて市町村長に対し、臨時に予防接種を行うよう指示することができる。
市町村長が前二項の規定による予防接種を行う場合において、都道府県知事は、当該都道府県の区域内で円滑に当該予防接種が行われるよう、当該市町村長に対し、必要な協力をするものとする。
市町村長 又は都道府県知事は、定期の予防接種等を行うに当たっては、当該定期の予防接種等を受けようとする者について、厚生労働省令で定める方法により健康状態を調べ、当該定期の予防接種等を受けることが適当でない者として厚生労働省令で定めるものに該当すると認めるときは、その者に対して当該定期の予防接種等を行ってはならない。
市町村長 又は都道府県知事は、定期の予防接種であってA類疾病に係るもの 又は臨時の予防接種の対象者に対し、これらの予防接種を受けることを勧奨するものとする。
市町村長 又は都道府県知事は、前項の対象者が十六歳未満の者 又は成年被後見人であるときは、その保護者に対し、その者に定期の予防接種であってA類疾病に係るもの 又は臨時の予防接種を受けさせることを勧奨するものとする。
定期の予防接種であってA類疾病に係るもの又は臨時の予防接種(B類疾病のうち当該疾病にかかった場合の病状の程度を考慮して厚生労働大臣が定めるもの(第二十四条第六号 及び第二十八条において「特定B類疾病」という。)に係るものを除く。次項 及び次条において同じ。)の対象者は、これらの予防接種を受けるよう努めなければならない。
前項の対象者が十六歳未満の者 又は成年被後見人であるときは、その保護者は、その者に定期の予防接種であってA類疾病に係るもの 又は臨時の予防接種を受けさせるため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
臨時の予防接種については、前二条の規定は、その対象とする疾病のまん延の状況 並びに当該疾病に係る予防接種の有効性 及び安全性に関する情報 その他の情報を踏まえ、政令で、当該規定ごとに対象者を指定して適用しないこととすることができる。
市町村長 又は都道府県知事は、定期の予防接種等を行ったときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、当該定期の予防接種等に関する記録を作成し、保存しなければならない。
定期の予防接種等に相当する予防接種を受けた者 又は当該定期の予防接種等に相当する予防接種を行った者から当該定期の予防接種等に相当する予防接種に関する証明書の提出を受けた場合 又はその内容を記録した電磁的記録(電磁的方式(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によっては認識することができない方式をいう。)で作られる記録をいう。)の提供を受けた場合における当該定期の予防接種等に相当する予防接種についても、同様とする。
この章に規定するもののほか、予防接種の実施に係る公告 及び周知に関して必要な事項は政令で、その他予防接種の実施に関して必要な事項は厚生労働省令で定める。
第四章 定期の予防接種等の適正な実施のための措置
病院 若しくは診療所の開設者 又は医師は、定期の予防接種等を受けた者が、当該定期の予防接種等を受けたことによるものと疑われる症状として厚生労働省令で定めるものを呈していることを知ったときは、その旨を厚生労働省令で定めるところにより厚生労働大臣に報告しなければならない。
厚生労働大臣は、前項の規定による報告があったときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、その内容を当該定期の予防接種等を行った市町村長 又は都道府県知事に通知するものとする。
厚生労働大臣は、毎年度、前条第一項の規定による報告の状況について厚生科学審議会に報告し、必要があると認めるときは、その意見を聴いて、定期の予防接種等の安全性に関する情報の提供 その他の定期の予防接種等の適正な実施のために必要な措置を講ずるものとする。
厚生科学審議会は、前項の規定による措置のほか、定期の予防接種等の安全性に関する情報の提供 その他の定期の予防接種等の適正な実施のために必要な措置について、調査審議し、必要があると認めるときは、厚生労働大臣に意見を述べることができる。
厚生労働大臣は、第一項の規定による報告 又は措置を行うに当たっては、前条第一項の規定による報告に係る情報の整理 又は当該報告に関する調査を行うものとする。
厚生労働大臣は、定期の予防接種等の適正な実施のため必要があると認めるときは、地方公共団体、病院 又は診療所の開設者、医師、ワクチン製造販売業者(医薬品、医療機器等の品質、有効性 及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第十二条第一項の医薬品の製造販売業の許可を受けた者であって、ワクチンの製造販売(同法第二条第十三項に規定する製造販売をいう。以下この項において同じ。)について同法第十四条の承認を受けているもの(当該承認を受けようとするものを含む。)又は同法第十三条の三第一項の医薬品等外国製造業者の認定を受けた者であって、ワクチンの製造販売について同法第十九条の二第一項の承認を受けているもの(当該承認を受けようとするものを含む。)が同条第三項の規定により選任したものをいう。第二十三条第五項 及び第二十九条第一項において同じ。)、定期の予防接種等を受けた者 又はその保護者 その他の関係者に対して前項の規定による調査を実施するため必要な協力を求めることができる。
厚生労働大臣は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下この条において「機構」という。)に、前条第三項に規定する情報の整理を行わせることができる。
厚生労働大臣は、前条第一項の規定による報告 又は措置を行うため必要があると認めるときは、機構に、同条第三項の規定による調査を行わせることができる。
厚生労働大臣が第一項の規定により機構に情報の整理を行わせることとしたときは、第十二条第一項の規定による報告をしようとする者は、同項の規定にかかわらず、厚生労働省令で定めるところにより、機構に報告しなければならない。
機構は、第一項の規定による情報の整理 又は第二項の規定による調査を行ったときは、遅滞なく、当該情報の整理 又は調査の結果を厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に通知しなければならない。
第五章 定期の予防接種等による健康被害の救済措置
市町村長は、当該市町村の区域内に居住する間に定期の予防接種等を受けた者が、疾病にかかり、障害の状態となり、又は死亡した場合において、当該疾病、障害 又は死亡が当該定期の予防接種等を受けたことによるものであると厚生労働大臣が認定したときは、次条 及び第十七条に定めるところにより、給付を行う。
厚生労働大臣は、前項の認定を行うに当たっては、審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。)で政令で定めるものの意見を聴かなければならない。
A類疾病に係る定期の予防接種等 又はB類疾病に係る臨時の予防接種を受けたことによる疾病、障害 又は死亡について行う前条第一項の規定による給付は、次の各号に掲げるとおりとし、それぞれ当該各号に定める者に対して行う。
医療費 及び医療手当
予防接種を受けたことによる疾病について医療を受ける者
障害児養育年金
予防接種を受けたことにより政令で定める程度の障害の状態にある十八歳未満の者を養育する者
障害年金
予防接種を受けたことにより政令で定める程度の障害の状態にある十八歳以上の者
死亡一時金
予防接種を受けたことにより死亡した者の政令で定める遺族
葬祭料
予防接種を受けたことにより死亡した者の葬祭を行う者
B類疾病に係る定期の予防接種を受けたことによる疾病、障害 又は死亡について行う前条第一項の規定による給付は、次の各号に掲げるとおりとし、それぞれ当該各号に定める者に対して行う。
医療費 及び医療手当
予防接種を受けたことによる疾病について政令で定める程度の医療を受ける者
障害児養育年金
予防接種を受けたことにより政令で定める程度の障害の状態にある十八歳未満の者を養育する者
障害年金
予防接種を受けたことにより政令で定める程度の障害の状態にある十八歳以上の者
遺族年金 又は遺族一時金
予防接種を受けたことにより死亡した者の政令で定める遺族
葬祭料
予防接種を受けたことにより死亡した者の葬祭を行う者
前条に定めるもののほか、第十五条第一項の規定による給付(以下「給付」という。)の額、支給方法 その他給付に関して必要な事項は、政令で定める。
前条第二項第一号から第四号までの政令 及び同項の規定による給付に係る前項の規定に基づく政令は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成十四年法律第百九十二号)第十五条第一項第一号イに規定する副作用救済給付に係る同法第十六条第一項第一号から第四号までの政令 及び同条第三項の規定に基づく政令の規定を参酌して定めるものとする。
市町村長は、給付を受けるべき者が同一の事由について損害賠償を受けたときは、その価額の限度において、給付を行わないことができる。
市町村長は、給付を受けた者が同一の事由について損害賠償を受けたときは、その価額の限度において、その受けた給付の額に相当する金額を返還させることができる。
市町村長は、偽りその他不正の手段により給付を受けた者があるときは、国税徴収の例により、その者から、その受けた給付の額に相当する金額の全部 又は一部を徴収することができる。
前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税 及び地方税に次ぐものとする。
給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。
租税 その他の公課は、給付として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。
国は、第十六条第一項第一号から第三号まで 又は同条第二項第一号から第三号までに掲げる給付の支給に係る者であって居宅において介護を受けるものの医療、介護等に関し、その家庭からの相談に応ずる事業 その他の保健福祉事業の推進を図るものとする。
第六章 雑則
国は、国民が正しい理解の下に予防接種を受けるよう、予防接種に関する啓発及び知識の普及を図るものとする。
国は、予防接種の円滑かつ適正な実施を確保するため、予防接種の研究開発の推進 及びワクチンの供給の確保等必要な措置を講ずるものとする。
国は、予防接種による健康被害の発生を予防するため、予防接種事業に従事する者に対する研修の実施等必要な措置を講ずるものとする。
国は、予防接種による免疫の獲得の状況に関する調査、予防接種による健康被害の発生状況に関する調査 その他予防接種の有効性 及び安全性の向上を図るために必要な調査 及び研究を行うものとする。
病院 又は診療所の開設者、医師、ワクチン製造販売業者、予防接種を受けた者 又はその保護者 その他の関係者は、前各項の国の責務の遂行に必要な協力をするよう努めるものとする。
厚生労働大臣は、次に掲げる場合には、あらかじめ、厚生科学審議会の意見を聴かなければならない。
第二条第二項第十二号 及び第十三号 並びに第三項第二号 及び第三号、第五条第一項 及び第二項 並びに第九条の二の政令の制定 又は改廃の立案をしようとするとき。
予防接種基本計画 及び個別予防接種推進指針を定め、又は変更しようとするとき。
第六条第一項 及び第三項に規定する疾病を定めようとするとき。
第六条第二項 及び第三項の規定による指示をしようとするとき。
第七条の定期の予防接種等を受けることが適当でない者を定める厚生労働省令、第十一条の厚生労働省令(医学的知見に基づき定めるべき事項に限る。)及び第十二条第一項の定期の予防接種等を受けたことによるものと疑われる症状を定める厚生労働省令を制定し、又は改廃しようとするとき。
給付に要する費用は、市町村の支弁とする。
都道府県は、政令の定めるところにより、前条第一項の規定により市町村の支弁する額(第六条第一項の規定による予防接種に係るものに限る。)の三分の二を負担する。
都道府県は、政令の定めるところにより、前条第一項の規定により市町村の支弁する額(第六条第二項の規定による予防接種に係るものに限る。)及び前条第二項の規定により市町村の支弁する額の四分の三を負担する。
国庫は、政令の定めるところにより、第二十五条第一項の規定により都道府県の支弁する額(第六条第一項 及び第二項の規定による予防接種に係るものに限る。)及び前条第一項の規定により都道府県の負担する額の二分の一を負担する。
国庫は、政令の定めるところにより、第二十五条第一項の規定により都道府県 又は市町村の支弁する額(第六条第三項の規定による予防接種に係るものに限る。)の全額を負担する。
国庫は、前条第二項の規定により都道府県の負担する額の三分の二を負担する。
定期の予防接種 又は臨時の予防接種(特定B類疾病に係るものに限る。)を行った者は、予防接種を受けた者 又はその保護者から、政令の定めるところにより、実費を徴収することができる。
ただし、これらの者が、経済的理由により、その費用を負担することができないと認めるときはこの限りでない。
政府は、次の各号に掲げる疾病に係るワクチンについて、世界的規模で需給が著しくひっ迫し、又はひっ迫するおそれがあり、これを早急に確保しなければ当該疾病の全国的かつ急速なまん延により国民の生命 及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるときは、それぞれ当該各号に定める期間を限り、次項 又は第三項の規定による閣議の決定をし、かつ、第四項の規定による国会の承認を得た上で、厚生労働大臣が当該疾病に係るワクチンの供給に関する契約を締結する当該疾病に係るワクチン製造販売業者 又はそれ以外の当該疾病に係るワクチンの開発 若しくは製造に関係する者を相手方として、当該契約に係るワクチンを使用する予防接種による健康被害に係る損害を賠償することにより生ずる損失 その他当該契約に係るワクチンの性質等を踏まえ国が補償することが必要な損失を政府が補償することを約する契約(以下この項 及び次項において「損失補償契約」という。)を締結することができる。
ただし、緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで当該損失補償契約(第四項の規定による国会の承認を受けることをその効力の発生の条件とするものに限る。)を締結することができる。
新型インフルエンザ等感染症
感染症法第四十四条の二第一項の規定による公表が行われたときから同条第三項の規定による公表が行われるまでの間
指定感染症(当該指定感染症にかかった場合の病状の程度が重篤であり、かつ、全国的かつ急速なまん延のおそれのあるものと厚生労働大臣が認めたものに限る。)
感染症法第四十四条の七第一項の規定による公表が行われたときから同条第三項の規定による公表が行われるまでの間
新感染症
感染症法第四十四条の十第一項の規定による公表が行われたときから感染症法第五十三条第一項の政令の廃止が行われるまでの間
前項の規定による閣議の決定後、その変更の必要が生じたときは、閣議において、当該閣議の決定の変更を決定しなければならない。
政府は、前二項の規定による閣議の決定があったときは、当該閣議の決定に係る事項につき、速やかに、国会の承認を求めなければならない。
第六条、第九条の三(臨時の予防接種に係る部分に限る。以下同じ。)及び第九条の四(臨時の予防接種に係る部分に限る。以下同じ。)の規定により都道府県が処理することとされている事務 並びに第六条第一項から第三項まで、第九条の三、第九条の四、第十五条第一項、第十八条 及び第十九条第一項の規定により市町村が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。