外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律

# 平成二十八年法律第八十九号 #
略称 : 技能実習法 

第三章 外国人技能実習機構

分類 法律
カテゴリ   外事
@ 施行日 : 令和四年十月一日 ( 2022年 10月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第十二号による改正
最終編集日 : 2023年 02月26日 12時36分


第一節 総則

1項

外国人技能実習機構(以下「機構」という。)は、外国人の技能等の修得等に関し、技能実習の適正な実施 及び技能実習生の保護を図り、もって人材育成を通じた開発途上地域等への技能等の移転による国際協力を推進することを目的とする。

1項
機構は、法人とする。
1項

機構は、一を限り、設立されるものとする。

1項

機構の資本金は、その設立に際し、政府 及び政府以外の者が出資する額の合計額とする。

2項

機構は、必要があるときは、主務大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。

1項

機構は、その名称中に外国人技能実習機構という文字を用いなければならない。

2項

機構でない者は、その名称中に外国人技能実習機構という文字を用いてはならない。

1項

機構は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。

2項

前項の規定により登記しなければならない事項は、 登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない

1項

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律平成十八年法律第四十八号第四条 及び第七十八条の規定は、機構について準用する。

第二節 設立

1項

機構を設立するには、技能実習に関して専門的な知識と経験を有する者三人以上が発起人になることを必要とする。

1項

発起人は、速やかに、機構の定款を作成し、 政府以外の者に対し機構に対する出資を募集しなければならない。

2項

前項の定款には、次の事項を記載しなければならない。

一 号
目的
二 号
名称
三 号
事務所の所在地
四 号
資本金 及び出資に関する事項
五 号
役員に関する事項
六 号
評議員会に関する事項
七 号
業務 及び その執行に関する事項
八 号
財務 及び会計に関する事項
九 号
定款の変更に関する事項
十 号
公告の方法
1項

発起人は、前条第一項の募集が終わったときは、 速やかに、定款を主務大臣に提出して、設立の認可を申請しなければならない。

2項

主務大臣は、機構の理事長となるべき者 及び監事となるべき者を指名する。

3項

前項の規定により指名された機構の理事長となるべき者 及び監事となるべき者は、 機構の成立の時において、第七十一条第一項の規定により、それぞれ理事長 及び監事に任命されたものとする。

1項

発起人は、前条第一項の認可を受けたときは、 遅滞なく、その事務を同条第二項の規定により指名された機構の理事長となるべき者に引き継がなければならない。

2項

前条第二項の規定により指名された機構の理事長となるべき者は、前項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、 遅滞なく、政府 及び出資の募集に応じた政府以外の者に対し、出資金の払込みを求めなければならない。

1項

第六十六条第二項の規定により指名された機構の理事長となるべき者は、前条第二項の規定による出資金の払込みがあったときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。

2項

機構は、設立の登記をすることにより成立する。

第三節 役員等

1項

機構に、役員として理事長一人、理事三人以内 及び監事二人以内を置く。

1項

理事長は、機構を代表し、その業務を総理する。

2項

理事は、理事長の定めるところにより、機構を代表し、理事長を補佐して機構の業務を掌理し、理事長に事故があるときは その職務を代理し、 理事長が欠員のときは その職務を行う。

3項

監事は、機構の業務を監査する。

4項

監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、 理事長 又は主務大臣に意見を提出することができる。

1項

理事長 及び監事は、主務大臣が任命する。

2項

理事は、理事長が主務大臣の認可を受けて任命する。

1項

役員の任期は、二年とする。


ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。

2項

役員は、再任されることができる。

1項

政府 又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く)は、役員となることができない

1項

主務大臣 又は理事長は、それぞれ その任命に係る役員が前条の規定に該当するに至ったときは、 その役員を解任しなければならない。

2項

主務大臣 又は理事長は、それぞれ その任命に係る役員が次の各号いずれかに該当するに至ったとき その他 役員たるに適しないと認めるときは、第七十一条の規定の例により、その役員を解任することができる。

一 号

破産手続開始の決定を受けたとき。

二 号

禁錮以上の刑に処せられたとき。

三 号

心身の故障のため職務を執行することができないと認められるとき。

四 号
職務上の義務違反があるとき。
1項

役員(非常勤の者を除く)は、営利を目的とする団体の役員となり、又は 自ら営利事業に従事してはならない。


ただし、主務大臣の承認を受けたときは、この限りでない。

1項

監事は、理事長、理事、評議員 又は機構の職員を兼ねてはならない。

1項

機構と理事長 又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。


この場合においては、監事が機構を代表する。

1項

理事長は、機構の職員のうちから、 機構の業務の一部に関する一切の裁判上 又は裁判外の行為を行う権限を有する代理人を選任することができる

1項

機構の職員は、理事長が任命する。

1項

機構の役員 若しくは職員 又は これらの職にあった者は、 正当な理由なく、その職務上知ることができた秘密を漏らし、又は盗用してはならない。

1項

機構の役員 及び職員は、刑法 その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

第四節 評議員会

1項

機構に、第八十七条の業務(同条第一号に掲げる業務 及びこれに附帯する業務を除く。以下この条において同じ。)の円滑な運営を図るため、評議員会を置く。

2項

評議員会は、第八十七条の業務の運営に関する重要事項を審議する。

3項

評議員会は、前項に規定するもののほか第八十七条の業務の運営に関し、 理事長の諮問に応じて重要事項について意見を述べ、又は必要と認める事項について理事長に建議することができる。

1項

評議員会は、評議員十五人以内をもって組織する。

1項

評議員は、労働者を代表する者、事業主を代表する者 及び技能実習に関して専門的な知識と経験を有する者のうちから、 理事長が主務大臣の認可を受けて任命する。

2項

評議員のうち、労働者を代表する者 及び事業主を代表する者は、各同数とする。

3項

評議員の任期は、四年とする。


ただし、補欠の評議員の任期は、前任者の残任期間とする。

4項

評議員は、再任されることができる。

1項

理事長は、評議員が第七十四条第二項各号いずれかに該当するに至ったときは、前条第一項の規定の例により、その評議員を解任することができる。

1項

第八十条 及び第八十一条の規定は、評議員について準用する。

第五節 業務

1項

機構は、第五十七条の目的を達成するため、次に掲げる業務を行う。

一 号

技能実習に関し行う次に掲げる業務

第十二条第一項の規定により認定事務を行うこと。

第十四条第一項の規定により報告 若しくは帳簿書類の提出 若しくは提示を求め、 又は その職員をして、質問させ、若しくは検査させること。

第十八条第一項第十九条第三項第二十一条第二項第二十七条第三項第三十二条第七項第三十三条第二項第三十四条第二項 及び第四十二条第三項において準用する場合を含む。)の規定により届出、報告書、監査報告書 又は事業報告書を受理すること。

第二十四条第一項第三十一条第五項 及び第三十二条第二項において準用する場合を含む。)の規定により事実関係の調査を行うこと。

第二十四条第三項第三十一条第五項 及び第三十二条第二項において準用する場合を含む。)の規定により申請書を受理すること。

第二十九条第四項第三十一条第五項 並びに第三十二条第二項 及び第七項において準用する場合を含む。)の規定により許可証の交付 又は再交付に係る事務を行うこと。

二 号

技能実習の適正な実施 及び技能実習生の保護を図るために技能実習生からの相談に応じ、 必要な情報の提供、助言 その他の援助を行う業務(次号に掲げる業務に該当するものを除く

三 号

技能実習を行うことが困難となった技能実習生であって引き続き技能実習を行うことを希望するものが技能実習を行うことができるよう、 技能実習生からの相談に応じ、必要な情報の提供、助言 その他の援助を行うとともに、実習実施者、監理団体 その他 関係者に対する必要な指導 及び助言を行う業務

四 号

技能実習に関し、調査 及び研究を行う業務

五 号

その他 技能実習の適正な実施 及び技能実習生の保護に関する業務

六 号

前各号に掲げる業務(これらに附帯する業務を含み、主務省令で定める業務を除く)に係る手数料を徴収する業務

七 号

前各号に掲げる業務に附帯する業務

1項

機構は、主務大臣の認可を受けて、前条の業務(同条第一号に掲げる業務 及びこれに附帯する業務を除く)の一部を委託することができる。

2項

第八十条 及び第八十一条の規定は、前項の規定による委託を受けた者(その者が法人である場合にあっては、その役員)又は その職員 その他の当該委託を受けた業務に従事する者について準用する。

1項

機構は、業務開始の際、業務方法書を作成し、主務大臣の認可を受けなければならない。


これを変更しようとするときも、同様とする。

2項

前項の業務方法書には、主務省令で定める事項を記載しなければならない。

1項

国 又は地方公共団体は、機構がその業務を行うため特に必要があると認めて要請をしたときは、 機構に対し、必要な資料を交付し、又は これを閲覧させることができる。

2項

機構は、その業務を行うため必要があると認めるときは、国の行政機関の長 及び地方公共団体の長 その他の執行機関に対して、資料の提供、意見の表明、説明 その他必要な協力を求めることができる。

第六節 財務及び会計

1項

機構の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。

1項

機構は、毎事業年度、予算 及び事業計画を作成し、当該事業年度の開始前に、主務大臣の認可を受けなければならない。


これを変更しようとするときも、同様とする。

2項

主務大臣は、前項の認可をしようとするときは、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。

1項

機構は、毎事業年度、貸借対照表、損益計算書 その他 主務省令で定める書類 及び これらの附属明細書(以下この条において「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後 三月以内に主務大臣に提出し、その承認を受けなければならない。

2項

機構は、前項の規定により財務諸表を主務大臣に提出するときは、 これに当該事業年度の事業報告書 及び予算の区分に従い作成した決算報告書 並びに財務諸表 及び決算報告書に関する監事の意見書を添付しなければならない。

3項

機構は、第一項の規定による主務大臣の承認を受けたときは、遅滞なく、財務諸表を官報に公告し、かつ、財務諸表 並びに前項の事業報告書、決算報告書 及び監事の意見書(以下この条において「財務諸表等」という。)を、各事務所に備え置き、主務省令で定める期間、公衆の縦覧に供しなければならない。

4項

財務諸表等は、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして主務省令で定めるものをいう。次項において同じ。)をもって作成することができる。

5項

財務諸表等が電磁的記録をもって作成されているときは、機構の事務所において、当該電磁的記録に記録された情報を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法 その他の情報通信の技術を利用する方法であって主務省令で定めるものをいう。)により不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置として主務省令で定めるものをとることができる。


この場合においては、財務諸表等を、第三項の規定により備え置き、公衆の縦覧に供したものとみなす。

1項

機構は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、 前事業年度から繰り越した損失を埋め、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。

2項

機構は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、 なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。

3項

機構は、予算をもって定める額に限り、第一項の規定による積立金を第八十七条の業務に要する費用に充てることができる。

1項

機構は、その業務に要する費用に充てるため必要な場合において、 主務大臣の認可を受けて、短期借入金をすることができる。

2項

前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。


ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、主務大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。

3項

前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内償還しなければならない。

4項

主務大臣は、第一項 及び第二項の認可をしようとするときは、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。

5項

機構は、長期借入金 及び債券発行をすることができない。

1項

政府は、予算の範囲内において、 機構に対し、その業務に要する費用に相当する金額を交付するものとする。

1項

機構は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。

一 号

国債 その他主務大臣の指定する有価証券の保有

二 号

主務大臣の指定する金融機関への預金

三 号

その他 主務省令で定める方法

1項

この法律に定めるもののほかこの節の規定の実施に関し必要な事項は、主務省令で定める。

第七節 監督

1項

機構は、主務大臣が監督する。

2項

主務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、 機構に対し、その業務に関して監督上 必要な命令をすることができる。

1項

主務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、機構に対し その業務に関し報告をさせ、 又は当該職員に機構の事務所に立ち入り、帳簿、書類 その他の物件を検査させることができる。

2項

第十三条第二項の規定は前項の規定による立入検査について、同条第三項の規定は前項の規定による権限について、それぞれ準用する。

第八節 補則

1項

機構の定款の変更は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

1項

機構は、解散した場合において、その債務を弁済してなお残余財産があるときは、 これを各出資者に対し、その出資額を限度として分配するものとする。

2項

前項に規定するもののほか、機構の解散については、別に法律で定める。