文化芸術基本法

# 平成十三年法律第百四十八号 #

第三章 文化芸術に関する基本的施策

分類 法律
カテゴリ   文化
@ 施行日 : 令和元年六月七日 ( 2019年 6月7日 )
@ 最終更新 : 令和元年法律第二十六号による改正
最終編集日 : 2024年 03月02日 09時03分


1項

国は、文学、音楽、美術、写真、演劇、舞踊 その他の芸術(次条に規定するメディア芸術を除く)の振興を図るため、これらの芸術の公演、展示等への支援、これらの芸術の制作等に係る物品の保存への支援、これらの芸術に係る知識 及び技能の継承への支援、芸術祭等の開催 その他の必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、映画、漫画、アニメーション 及びコンピュータ その他の電子機器等を利用した芸術(以下「メディア芸術」という。)の振興を図るため、メディア芸術の制作、上映、展示等への支援、メディア芸術の制作等に係る物品の保存への支援、メディア芸術に係る知識 及び技能の継承への支援、芸術祭等の開催 その他の必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、雅楽、能楽、文楽、歌舞伎、組踊 その他の我が国古来の伝統的な芸能(以下「伝統芸能」という。)の継承 及び発展を図るため、伝統芸能の公演、これに用いられた物品の保存等への支援 その他の必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、講談、落語、浪曲、漫談、漫才、歌唱 その他の芸能(伝統芸能を除く)の振興を図るため、これらの芸能の公演、これに用いられた物品の保存等への支援、これらの芸能に係る知識 及び技能の継承への支援 その他の必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、生活文化(茶道、華道、書道、食文化 その他の生活に係る文化をいう。)の振興を図るとともに、国民娯楽(囲碁、将棋 その他の国民的娯楽をいう。) 並びに出版物 及びレコード等の普及を図るため、これらに関する活動への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、有形 及び無形の文化財 並びにその保存技術(以下「文化財等」という。)の保存 及び活用を図るため、文化財等に関し、修復、防災対策、公開等への支援 その他の必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、各地域における文化芸術の振興 及びこれを通じた地域の振興を図るため、各地域における文化芸術の公演、展示、 芸術祭等への支援、地域固有の伝統芸能 及び民俗芸能(地域の人々によって行われる民俗的な芸能をいう。)に関する活動への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、文化芸術に係る国際的な交流 及び貢献の推進を図ることにより、我が国 及び世界の文化芸術活動の発展を図るため、文化芸術活動を行う者の国際的な交流 及び芸術祭その他の文化芸術に係る国際的な催しの開催 又はこれへの参加、海外における我が国の文化芸術の現地の言語による展示、公開 その他の普及への支援、海外の文化遺産の修復に関する協力、海外における著作権に関する制度の整備に関する協力、文化芸術に関する国際機関等の業務に従事する人材の養成 及び派遣その他の必要な施 策を講ずるものとする。

2項

国は、前項の施策を講ずるに当たっては、我が国の文化芸術を総合的に世界に発信するよう努めなければならない。

1項

国は、文化芸術に関する創造的活動を行う者、伝統芸能の伝承者、文化財等の保存 及び活用に関する専門的知識 及び技能を有する者、文化芸術活動に関する企画 又は制作を行う者、文化芸術活動に関する技術者、文化施設の管理 及び運営を行う者 その他の文化芸術を担う者(以下「芸術家等」という。)の養成 及び確保を図るため、国内外における研修、教育訓練等の人材育成への支援、研修成果の発表の機会の確保、文化芸術に関する作品の流通の促進、芸術家等の文化芸術に関する創造的活動等の環境の整備 その他の必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、芸術家等の養成 及び文化芸術に関する調査研究の充実を図るため、文化芸術に係る大学 その他の教育研究機関等の整備 その他の必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、国語が文化芸術の基盤をなすことにかんがみ、国語について正しい理解を深めるため、国語教育の充実、国語に関する調査研究 及び知識の普及 その他の必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、外国人の我が国の文化芸術に関する理解に資するよう、外国人に対する日本語教育の充実を図るため、日本語教育に従事する者の養成 及び研修体制の整備、日本語教育に関する教材の開発、日本語教育を行う機関における教育の水準の向上 その他の必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、文化芸術の振興の基盤をなす著作者の権利 及びこれに隣接する権利(以下この条において「著作権等」という。)について、著作権等に関する内外の動向を踏まえつつ、著作権等の保護 及び公正な利用を図るため、著作権等に関する制度 及び著作物の適正な流通を確保するための環境の整備、著作権等の侵害に係る対策の推進、著作権等に関する調査研究 及び普及啓発 その他の必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、広く国民が自主的に文化芸術を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造する機会の充実を図るため、各地域における文化芸術の公演、展示等への支援、これらに関する情報の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、高齢者、障害者等が行う文化芸術活動の充実を図るため、これらの者の行う創造的活動、公演等への支援、これらの者の文化芸術活動が活発に行われるような環境の整備 その他の必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、青少年が行う文化芸術活動の充実を図るため、青少年を対象とした文化芸術の公演、展示等への支援、青少年による文化芸術活動への支援 その他の必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、学校教育における文化芸術活動の充実を図るため、文化芸術に関する体験学習等 文化芸術に関する教育の充実、芸術家等 及び文化芸術団体による学校における文化芸術活動に対する協力への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、劇場、音楽堂等の充実を図るため、これらの施設に関し、自らの設置等に係る施設の整備、公演等への支援、芸術家等の配置等への支援、 情報の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、美術館、博物館、図書館等の充実を図るため、これらの施設に関し、自らの設置等に係る施設の整備、展示等への支援、芸術家等の配置等への支援、文化芸術に関する作品等の記録 及び保存への支援 その他の必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、国民に身近な文化芸術活動の場の充実を図るため、各地域における文化施設、学校施設、社会教育施設等を容易に利用できるようにするための措置 その他の必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、公共の建物等の建築に当たっては、その外観等について、周囲の自然的環境、地域の歴史 及び文化等との調和を保つよう努めるものとする。

2項

国は、公共の建物等において、文化芸術に関する作品の展示 その他の文化芸術の振興に資する取組を行うよう努めるものとする。

1項

国は、文化芸術活動における情報通信技術の活用の推進を図るため、文化芸術活動に関する情報通信ネットワークの構築、美術館等における情報通信技術を活用した展示への支援、情報通信技術を活用した文化芸術に関する作品等の記録 及び公開への支援 その他の必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、文化芸術に関する施策の推進を図るため、文化芸術の振興に必要な調査研究 並びに国の内外の情報の収集、整理 及び提供 その他の必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、地方公共団体 及び民間の団体等が行う文化芸術の振興のための取組を促進するため、情報の提供 その他の必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、個人 又は民間の団体が文化芸術活動に対して行う支援活動の活性化を図るとともに、文化芸術活動を行う者の活動を支援するため、文化芸術団体が個人 又は民間の団体からの寄附を受けることを容易にする等のための税制上の措置、文化芸術団体が行う文化芸術活動への支援 その他の必要な施策を講ずるよう努めなければならない。

1項

国は、第八条から前条までの施策を講ずるに当たっては、芸術家等、文化芸術団体、学校等、文化施設、社会教育施設、民間事業者 その他の関係機関等の間の連携が図られるよう配慮しなければならない。

2項

国は、芸術家等 及び文化芸術団体が、学校等、文化施設、社会教育施設、福祉施設、医療機関、民間事業者等と協力して、地域の人々が文化芸術を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造する機会を提供できるようにするよう努めなければならない。

1項

国は、文化芸術活動で顕著な成果を収めた者 及び文化芸術の振興に寄与した者の顕彰に努めるものとする。

1項

国は、文化芸術に関する政策形成に民意を反映し、その過程の公正性 及び透明性を確保するため、芸術家等、学識経験者 その他広く国民の意見を求め、これを十分考慮した上で政策形成を行う仕組みの活用等を図るものとする。

1項

地方公共団体は、第八条から前条までの国の施策を勘案し、その地域の特性に応じた文化芸術に関する施策の推進を図るよう努めるものとする。