物品管理法

昭和三十一年法律第百十三号
分類 法律
カテゴリ   国有財産
@ 施行日 : 令和元年十二月十六日 ( 2019年 12月16日 )
@ 最終更新 : 令和元年法律第十六号による改正
最終編集日 : 2024年 03月06日 02時21分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 物品の管理の機関

  • 第三章 物品の管理

    • 第一節 通則
    • 第二節 取得及び供用
    • 第三節 保管
    • 第四節 処分
  • 第四章 物品管理職員等の責任

  • 第五章 雑則

第一章 総則

1項

この法律は、物品の取得、保管、供用 及び処分(以下「管理」という。)に関する基本的事項を規定することにより、物品の適正かつ効率的な供用 その他良好な管理を図ることを目的とする。

1項

この法律において「物品」とは、国が所有する動産のうち次に掲げるもの以外のもの 及び国が供用のために保管する動産をいう。

一 号
現金
二 号

法令の規定により日本銀行に寄託すべき有価証券

三 号

国有財産法昭和二十三年法律第七十三号第二条第一項第二号 又は第三号に掲げる国有財産

2項

この法律において「供用」とは、物品をその用途に応じて国において使用させることをいう。

3項

この法律において「各省各庁の長」とは、財政法昭和二十二年法律第三十四号第二十条第二項に規定する各省各庁の長をいい、「各省各庁」とは、同法第二十一条に規定する各省各庁をいう。

1項

各省各庁の長は、その所管に属する物品について、物品の適正な供用 及び処分(国の事務 又は事業の目的に従い用途に応じて行う処分に限る第十九条第一項中契約等担当職員の意義に係る部分、第三章第四節の節名 及び第三十一条第一項除き、以下同じ。)を図るため、供用 及び処分の目的に従い、分類を設けるものとする。

2項

前項の分類は、各省各庁の予算で定める物品に係る経費の目的に反しないものでなければならない。


ただし、当該経費の目的に従つて分類を設けることが、その用途を勘案し、適正かつ効率的な供用 及び処分の上から、不適当であると認められる物品については、これに係る事務 又は事業の遂行のため必要な範囲内で、当該経費の目的によらない分類をすることは、さしつかえない。

3項

各省各庁の長は、物品の管理のため必要があるときは、第一項の分類に基き、細分類を設けることができる。

1項

第八条第三項 又は第六項に規定する物品管理官 又は分任物品管理官は、その管理する物品の属すべき分類(前条第三項の規定による細分類を含む。以下同じ。)を、前条の規定による分類の趣旨に従つて、決定しなければならない。

1項

各省各庁の長 又は政令で定めるところによりその委任を受けた当該各省各庁所属の職員は、物品の効率的な供用 又は処分のため必要があると認めるときは、前条の物品管理官 又は分任物品管理官に対して、物品の分類換(物品をその属する分類から 他の分類に所属を移すことをいう。以下同じ。)を命ずることができる。

2項

物品管理官 又は分任物品管理官は、前項の規定による命令に基づいて分類換をする場合を除くほか、物品の効率的な供用 又は処分のため必要があると認めるときは、各省各庁の長(前項の委任を受けた職員があるときは、当該職員)の承認を経て、物品の分類換をすることができる。

1項

物品の管理については、他の法律 又はこれに基く命令に特別の定がある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。

第二章 物品の管理の機関

1項

各省各庁の長は、その所管に属する物品を管理するものとする。

1項

各省各庁の長は、政令で定めるところにより、当該各省各庁所属の職員に、その所管に属する物品の管理に関する事務を委任することができる。

2項

各省各庁の長は、必要があるときは、政令で定めるところにより、他の各省各庁所属の職員に、前項の事務を委任することができる。

3項

各省各庁の長 又は前二項の規定により物品の管理に関する事務の委任を受けた職員は、物品管理官という。

4項

各省各庁の長は、必要があるときは、政令で定めるところにより、当該各省各庁所属の職員 又は他の各省各庁所属の職員に、物品管理官の事務の一部を分掌させることができる。

5項

第一項第二項 又は前項の場合において、各省各庁の長は、当該各省各庁 又は他の各省各庁に置かれた官職を指定することにより、その官職にある者に当該事務を委任し、又は分掌させることができる。

6項

第四項の規定により物品管理官の事務の一部を分掌する職員は、分任物品管理官という。

1項

物品管理官(分任物品管理官を含む。以下同じ。)は、政令で定めるところにより、その所属する各省各庁所属の職員に、その管理する物品の出納 及び保管に関する事務(出納命令に係る事務を除く)を委任するものとする。

2項

前項の規定により物品の出納 及び保管に関する事務の委任を受けた職員は、物品出納官という。

3項

物品管理官は、必要があるときは、政令で定めるところにより、その所属する各省各庁所属の職員に、物品出納官の事務の一部を分掌させることができる。

4項

前条第五項の規定は、第一項 又は前項の場合について準用する。

5項

第三項の規定により物品出納官の事務の一部を分掌する職員は、分任物品出納官という。

1項

物品管理官は、必要があるときは、政令で定めるところにより、その所属する各省各庁所属の職員に、物品の供用に関する事務を委任することができる。

2項

前項の規定により物品の供用に関する事務の委任を受けた職員は、物品供用官という。

3項

第八条第五項の規定は、第一項の場合について準用する。

1項

各省各庁の長は、物品管理官 若しくは物品出納官(分任物品出納官を含む。以下同じ。) 又は物品供用官に事故がある場合(これらの者が第八条第五項第九条第四項 及び前条第三項において準用する場合を含む。)の規定により指定された官職にある者である場合には、その官職にある者が欠けたときを含む。)において必要があるときは、政令で定めるところにより、当該各省各庁所属の職員 又は 他の各省各庁所属の職員にその事務を代理させることができる。

2項

各省各庁の長は、必要があるときは、政令で定めるところにより、当該各省各庁所属の職員 又は 他の各省各庁所属の職員に、物品管理官(前項の規定によりその事務を代理する職員を含む。)の事務の一部を処理させることができる。

1項

国は、政令で定めるところにより、物品の管理に関する事務(第三十九条の規定による検査を含む。次項において同じ。)を都道府県の知事 又は知事の指定する職員が行うこととすることができる。

2項

前項の規定により都道府県が行う物品の管理に関する事務については、この法律 その他の物品の管理に関する法令の当該事務の取扱に関する規定を準用する。

3項

第一項の規定により都道府県が行うこととされる事務は、地方自治法昭和二十二年法律第六十七号第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

1項

財務大臣は、物品の管理の適正を期するため、 物品の管理に関する制度を整え、その管理に関する事務を統一し、その増減 及び現在額を明らかにし、並びにその管理について必要な調整をするものとする。

2項

財務大臣は、物品の管理の適正を期するため必要があると認めるときは、各省各庁の長に対し、その所管に属する物品について、その状況に関する報告を求め、当該職員に実地監査を行わせ、又は閣議の決定を経て、分類換、第十六条第一項に規定する管理換 その他 必要な措置を求めることができる。

第三章 物品の管理

第一節 通則

1項

物品管理官は、毎会計年度、政令で定めるところにより、その管理する物品の効率的な供用 又は処分を図るため、予算 及び事務 又は事業の予定を勘案して、物品の管理に関する計画を定めなければならない。

2項

物品管理官は、前項の計画を定めたときは、当該計画のうち供用に係る部分を物品供用官に通知しなければならない。

1項

物品は、その属する分類の目的に従い、 かつ、第十三条第一項の計画に基づいて、供用 又は処分をしなければならない。

1項

各省各庁の長 又は政令で定めるところによりその委任を受けた当該各省各庁所属の職員は、物品の効率的な供用 又は処分のため必要があると認めるときは、物品管理官に対して、物品の管理換(物品管理官の間において物品の所属を移すことをいう。以下同じ。)を命ずることができる。

2項

物品管理官は、前項の規定による命令に基づいて管理換をする場合を除くほか、物品の効率的な供用 又は処分のため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、各省各庁の長(前項の委任を受けた職員があるときは、当該職員)の承認を経て、物品の管理換をすることができる。

3項

異なる会計の間において管理換をする場合には、政令で定める場合を除くほか、有償として整理するものとする。

1項

物品の管理に関する事務を行う職員は、この法律 その他の物品の管理に関する法令の規定に従うほか、善良な管理者の注意をもつてその事務を行わなければならない。

1項

物品に関する事務を行う職員は、その取扱に係る物品(政令で定める物品を除く)を国から譲り受けることができない

2項

前項の規定に違反してした行為は、無効とする。

第二節 取得及び供用

1項

物品管理官は、第十三条第一項の計画に基づいて、物品の供用 又は処分のため必要な範囲内で、契約等担当職員(国のために契約 その他物品の取得 又は処分の原因となる行為をする職員をいう。以下同じ。)に対し、取得のため必要な措置を請求しなければならない。

2項

契約等担当職員は、前項の請求に基づき、かつ、予算を要するものにあつては その範囲内で、物品の取得のため必要な措置をするものとする。

1項

物品供用官は、その供用すべき物品について、物品管理官に対し、供用のための払出しを請求しなければならない。

2項

物品管理官は、物品の供用のための第二十三条の規定による命令をし、又は払出しをするときは、供用の目的を明らかにして、その旨を物品供用官に知らせなければならない。

1項

物品供用官は、供用中の物品で供用の必要がないもの、修繕 若しくは改造を要するもの 又は供用することができないものがあると認めるときは、その旨を物品管理官に報告しなければならない。

2項

物品管理官は、前項の報告等により同項に規定する物品があると認めるときは、物品供用官に対し、当該物品の返納を命じなければならない。

3項

前二項の規定は、供用中の物品で物品管理官が定める軽微な修繕 又は改造を要するものについては、適用しない

第三節 保管

1項

物品は、国の施設において、良好な状態で常に供用 又は処分をすることができるように保管しなければならない。


ただし、物品管理官が国の施設において保管することを物品の供用 又は処分の上から不適当であると認める場合 その他特別の理由がある場合は、国以外の者の施設に保管することを妨げない。

1項

物品管理官は、物品を出納させようとするときは、物品出納官に対し、出納すべき物品の分類を明らかにして、その出納を命じなければならない。

1項

物品出納官は、前条の規定による命令がなければ、物品を出納することができない

1項

物品出納官は、その保管中の物品(修繕 若しくは改造を要するもの又は供用できないものとして、第二十一条第二項の規定により返納された物品を除く)のうちに供用 若しくは処分をすることができないもの 又は修繕 若しくは改造を要するものがあると認めるときは、その旨を物品管理官に報告しなければならない。

2項

物品管理官 又は物品供用官は、修繕 又は改造を要する物品(物品供用官にあつては、第二十一条第三項に規定する物品に限る)があると認めるときは、契約等担当職員 その他関係の職員に対し、修繕 又は改造のため必要な措置を請求しなければならない。

3項

第十九条第二項の規定は、前項の規定による請求があつた場合について準用する。

第四節 処分

1項

物品管理官は、供用 及び処分の必要がない物品について管理換 若しくは分類換により適切な処理をすることができないとき、又は供用 及び処分をすることができない物品があるときは、これらの物品について不用の決定をすることができる。


この場合において、政令で定める物品については、あらかじめ、各省各庁の長 又は政令で定めるところによりその委任を受けた当該各省各庁所属の職員の承認を受けなければならない。

2項

物品管理官は、前項の規定により不用の決定をした物品のうち売り払うことが不利 又は不適当であると認めるもの 及び売り払うことができないものは、廃棄することができる。

1項

物品は、売払を目的とするもの 又は不用の決定をしたものでなければ、売り払うことができない

2項

物品管理官は、第十三条第一項の計画に基づいて、契約等担当職員に対し、前項の物品の売払のため必要な措置を請求しなければならない。

3項

契約等担当職員は、前項の請求に基づき、物品の売払のため必要な措置をするものとする。

1項

物品は、貸付を目的とするもの 又は貸し付けても国の事務 若しくは事業に支障を及ぼさないと認められるものでなければ、貸し付けることができない

2項

前条第二項 及び第三項の規定は、前項の物品を貸し付ける場合について準用する。

1項

物品は、法律に基く場合を除くほか、出資の目的とし、又は これに私権を設定することができない

第四章 物品管理職員等の責任

1項

次に掲げる職員(以下「物品管理職員」という。)は、故意 又は重大な過失により、この法律の規定に違反して物品の取得、所属分類の決定、分類換、管理換、出納命令、出納、保管、供用、不用の決定 若しくは処分(以下「物品の管理行為」という。)をしたこと 又はこの法律の規定に従つた物品の管理行為をしなかつたことにより、物品を亡失し、又は損傷し、その他国に損害を与えたときは、弁償の責に任じなければならない。

一 号
物品管理官
二 号
物品出納官
三 号
物品供用官
四 号

第十条の二第一項の規定により前三号に掲げる者の事務を代理する職員

五 号

第十条の二第二項の規定により第一号に掲げる者(その者の事務を代理する前号の職員を含む。)の事務の一部を処理する職員

六 号

第十一条の規定により前各号に掲げる者の事務を行う都道府県の知事 又は知事の指定する職員

七 号

前各号に掲げる者の補助者

2項

物品を使用する職員は、故意 又は重大な過失によりその使用に係る物品を亡失し、又は損傷したときは、その損害を弁償する責めに任じなければならない。

3項

前二項の規定により弁償すべき国の損害の額は、物品の亡失 又は損傷の場合にあつては、亡失した物品の価額 又は損傷による物品の減価額とし、


その他の場合にあつては、当該物品の管理行為に関し通常生ずべき損害の額とする。

1項

各省各庁の長は、その所管に属する物品が亡失し、若しくは損傷したとき、又は物品管理職員がこの法律の規定に違反して物品の管理行為をしたこと 若しくはこの法律の規定に従つた物品の管理行為をしなかつたことにより国に損害を与えたと認めるときは、政令で定めるところにより、財務大臣 及び会計検査院に通知しなければならない。

1項

各省各庁の長 又は政令で定めるところによりその委任を受けた当該各省各庁所属の職員は、物品管理職員が第三十一条第一項の規定に該当すると認めるときは、会計検査院の検定前においても、その物品管理職員に対して弁償を命ずることができる。

2項

前項の規定により弁償を命じた場合において、会計検査院が物品管理職員に対し、弁償の責がないと検定したときは、その既納に係る弁償金は、直ちに還付しなければならない。

第五章 雑則

1項

この法律(第三条から 第五条まで第十条第十三条から 第十六条まで第十九条から 第二十一条まで第二十五条から 第二十九条まで第三十一条第二項第三十四条第三十七条 及び第三十八条除く)の規定は、物品以外の動産で国が保管するもののうち政令で定めるものについて準用する。

1項

物品管理官、物品出納官 及び物品供用官は、政令で定めるところにより、帳簿を備え、これに必要な事項を記載し、又は記録しなければならない。

1項

各省各庁の長は、国が所有する物品のうち重要なものとして政令で定めるものにつき、毎会計年度間における増減 及び毎会計年度末における現在額の報告書を作成し、翌年度の七月三十一日までに、財務大臣に送付しなければならない。

1項

財務大臣は、前条の報告書に基づき、物品増減 及び現在額総計算書を作成しなければならない。

2項

内閣は、前項の物品増減 及び現在額総計算書を前条の報告書とともに、翌年度十月三十一日までに、会計検査院に送付しなければならない。

3項

内閣は、第一項の物品増減 及び現在額総計算書に基づき、毎会計年度間における物品の増減 及び毎会計年度末における物品の現在額について、当該年度の歳入歳出決算の提出とともに、国会に報告しなければならない。

1項

各省各庁の長は、政令で定めるところにより、定期的に、及び物品管理官、物品出納官 又は物品供用官が交替する場合その他必要がある場合は 随時、その所管に属する物品の管理について検査しなければならない。

1項

国の事務の運営に必要な書類 その他政令で定める物品の管理については、政令で定めるところにより、この法律の一部を適用しないことができる。

1項

この法律 又は この法律に基づく命令の規定により作成することとされている報告書等(報告書、物品増減 及び現在額総計算書 その他文字、図形 その他の人の知覚によつて認識することができる情報が記載された紙 その他の有体物をいう。次条において同じ。)については、当該報告書等に記載すべき事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして財務大臣が定めるものをいう。同条第一項において同じ。)の作成をもつて、当該報告書等の作成に代えることができる。


この場合において、当該電磁的記録は、当該報告書等とみなす。

1項

この法律 又はこの法律に基づく命令の規定による報告書等の提出については、当該報告書等が電磁的記録で作成されている場合には、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法 その他の情報通信の技術を利用する方法であつて財務大臣が定めるものをいう。次項において同じ。)をもつて行うことができる。

2項

前項の規定により報告書等の提出が電磁的方法によつて行われたときは、当該報告書等の提出を受けるべき者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該提出を受けるべき者に到達したものとみなす。

1項

この法律に定めるもののほか、 この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。