知的財産基本法

平成十四年法律第百二十二号
略称 : 知財法 
分類 法律
カテゴリ   産業通則
@ 施行日 : 令和三年四月一日 ( 2021年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和二年法律第六十三号による改正
最終編集日 : 2021年 09月15日 01時51分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 基本的施策

  • 第三章 知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画

  • 第四章 知的財産戦略本部

第一章 総則

1項

この法律は、
内外の社会経済情勢の変化に伴い、

我が国 産業の国際競争力の強化を図ることの
必要性が増大している状況にかんがみ、

新たな知的財産の創造
及び その効果的な活用による

付加価値の創出を
基軸とする活力ある経済社会を実現するため、

知的財産の創造、保護 及び活用に関し、
基本理念 及び その実現を図るために
基本となる事項を定め、

  • 国、
  • 地方公共団体、
  • 大学等

及び事業者の責務を明らかにし、
並びに知的財産の創造、保護

及び活用に関する
推進計画の作成について定めるとともに、

知的財産戦略本部を設置することにより、

知的財産の創造、保護 及び活用に関する施策を
集中的かつ計画的に推進することを目的とする。

1項

この法律で
知的財産」とは、

  • 発明、
  • 考案、
  • 植物の新品種、
  • 意匠、
  • 著作物

その他の人間の創造的活動により
生み出されるもの(発見 又は解明がされた自然の 法則 又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、

  • 商標、
  • 商号

その他事業活動に用いられる商品
又は役務を表示するもの 及び営業秘密

その他の事業活動に有用な技術上 又は営業上の情報をいう。

2項

この法律で
知的財産権」とは、

  • 特許権、
  • 実用新案権、
  • 育成者権、
  • 意匠権、
  • 著作権、
  • 商標権

その他の知的財産に関して法令により定められた権利
又は 法律上保護される利益に係る権利をいう。

3項

この法律で「大学等」とは、

大学 及び高等専門学校(学校教育法昭和二十二年法律第二十六号第一条に規定する 大学 及び高等専門学校をいう。第七条第三項において同じ。)、
大学共同利用機関(国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第四項に規定する 大学共同利用機関をいう。第七条第三項において同じ。)、

独立行政法人(独立行政法人通則法平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する 独立行政法人をいう。第三十条第一項において同じ。
及び地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。第三十条第一項において同じ。)であって

試験研究に関する業務を行うもの、
特殊法人(法律により 直接に設立された法人 又は特別の法律により 特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法平成十一年法律第九十一号第四条第一項第九号の規定の適用を受けるものをいう。第三十条第一項において同じ。)であって

研究開発を目的とするもの
並びに国 及び地方公共団体の試験研究機関をいう。

1項

知的財産の創造、保護 及び活用に関する施策の推進は、

創造力の豊かな人材が育成され、
その創造力が十分に発揮され、

技術革新の進展にも対応した知的財産の
国内 及び国外における迅速かつ適正な保護が図られ、

並びに経済社会において知的財産が積極的に活用されつつ、
その価値が最大限に発揮されるために必要な環境の整備を行うことにより、
広く国民が知的財産の恵沢を享受できる社会を実現するとともに、

将来にわたり新たな知的財産の創造がなされる基盤を確立し、

もって国民経済の健全な発展 及び豊かな文化の創造に
寄与するものとなることを旨として、行われなければならない。

1項

知的財産の創造、保護 及び活用に関する施策の推進は、
創造性のある研究 及び開発の成果の円滑な企業化を図り、

知的財産を基軸とする新たな事業分野の開拓
並びに経営の革新 及び創業を促進することにより、
我が国産業の技術力の強化 及び活力の再生、
地域における経済の活性化、並びに就業機会の増大をもたらし、

もって 我が国産業の国際競争力の強化 及び内外の経済的環境の変化に的確に対応した
我が国産業の持続的な発展に寄与するものとなることを旨として、行われなければならない。

1項

国は、前二条に規定する知的財産の創造、保護
及び活用に関する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、

知的財産の創造、保護 及び活用に関する施策を策定し、
及び実施する責務を有する。

1項

地方公共団体は、基本理念にのっとり、

知的財産の創造、保護 及び活用に関し、
国との適切な役割分担を踏まえて、

その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、
及び実施する責務を有する。

1項

大学等は、その活動が社会全体における
知的財産の創造に資するものであることにかんがみ、

人材の育成 並びに研究 及び その成果の普及に
自主的かつ積極的に努めるものとする。

2項

大学等は、研究者 及び技術者の職務 及び職場環境が
その重要性にふさわしい魅力あるものとなるよう、

研究者 及び技術者の適切な処遇の確保
並びに研究施設の整備 及び充実に努めるものとする。

3項

国 及び地方公共団体は、
知的財産の創造、保護 及び活用に関する施策であって、

大学 及び高等専門学校
並びに大学共同利用機関に係るものを策定し、
並びにこれを実施するに当たっては、

研究者の自主性の尊重 その他 大学 及び高等専門学校
並びに大学共同利用機関における研究の特性に配慮しなければならない。

1項

事業者は、我が国産業の発展において
知的財産が果たす役割の重要性にかんがみ、

基本理念にのっとり、
活力ある事業活動を通じた生産性の向上、
事業基盤の強化等を図ることができるよう、

当該事業者 若しくは 他の事業者が創造した知的財産
又は大学等で創造された知的財産の積極的な活用を図るとともに、

当該事業者が有する知的財産の適切な管理に努めるものとする。

2項

事業者は、発明者
その他の創造的活動を行う者の職務が

その重要性に ふさわしい魅力あるものとなるよう、

発明者 その他の創造的活動を行う者の
適切な処遇の確保に努めるものとする。

1項

国は、

  • 国、
  • 地方公共団体、
  • 大学等

及び事業者が
相互に連携を図りながら協力することにより、

知的財産の創造、保護
及び活用の効果的な実施が図られることにかんがみ、

これらの者の間の連携の強化に必要な施策を講ずるものとする。

1項

知的財産の保護 及び活用に関する施策を推進するに当たっては、
その公正な利用 及び公共の利益の確保に留意するとともに、

公正かつ自由な競争の促進が図られるよう配慮するものとする。

1項

政府は、

知的財産の創造、保護
及び活用に関する施策を実施するため

必要な法制上 又は財政上の措置
その他の措置を講じなければならない。

第二章 基本的施策

1項

国は、

大学等における 付加価値の高い知的財産の創造が
我が国の経済社会の持続的な発展の源泉であることに鑑み、

科学技術・イノベーション基本法平成七年法律第百三十号
第三条に規定する
科学技術・イノベーション創出の振興に関する方針に配慮しつつ、

創造力の豊かな研究者の確保 及び養成、
研究施設等の整備
並びに研究開発に係る資金の効果的な使用

その他 研究開発の推進に必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、大学等における 研究成果が

新たな事業分野の開拓
及び産業の技術の向上等に有用であることにかんがみ、

大学等において 当該研究成果の適切な管理
及び事業者への円滑な移転が行われるよう、

大学等における
知的財産に関する専門的知識を有する人材を活用した体制の整備、

知的財産権に係る設定の登録 その他の手続の改善、
市場等に関する調査研究 及び情報提供

その他 必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、

  • 発明、
  • 植物の新品種、
  • 意匠、
  • 商標

その他の国の登録により
権利が発生する知的財産について、

早期に権利を確定することにより
事業者が事業活動の円滑な実施を図ることができるよう、

所要の手続の迅速かつ的確な実施を可能とする審査体制の整備
その他必要な施策を講ずるものとする。

2項

前項の施策を講ずるに当たり、

その実効的な遂行を確保する観点から、
事業者の理解と協力を得るよう努めるものとする。

1項

国は、経済社会における知的財産の活用の進展に伴い、

知的財産権の保護に関し
司法の果たすべき役割がより重要となることにかんがみ、

知的財産権に関する事件について、
訴訟手続の一層の充実 及び迅速化、

裁判所の専門的な処理体制の整備 並びに裁判外における
紛争処理制度の拡充を図るために必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、国内市場における知的財産権の侵害
及び知的財産権を侵害する物品の輸入について、

事業者 又は事業者団体
その他関係団体との緊密な連携協力体制の下、

  • 知的財産権を侵害する事犯の取締り、
  • 権利を侵害する物品の没収

その他 必要な措置を講ずるものとする。

2項

国は、本邦の 法令に基づいて設立された法人
その他の団体 又は日本の国籍を有する者(本邦法人等」という。次条において同じ。)の有する知的財産が

外国において 適正に保護されない場合には、

  • 当該外国政府、
  • 国際機関

及び関係団体と状況に応じて 連携を図りつつ、

知的財産に関する条約に定める権利の的確な行使
その他 必要な措置を講ずるものとする。

1項

国は、知的財産に関する国際機関
その他の国際的な枠組みへの協力を通じて、

各国政府と共同して 国際的に整合のとれた
知的財産に係る制度の構築に努めるとともに、

知的財産の保護に関する制度の整備が十分に行われていない国 又は地域において、
本邦法人等が 迅速かつ確実に
知的財産権の取得 又は行使をすることができる環境が整備されるよう

必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、生命科学 その他 技術革新の進展が
著しい分野における研究開発の有用な成果を知的財産権として

迅速かつ適正に保護することにより、
活発な起業化等を通じて新たな事業の創出が期待されることにかんがみ、

適正に保護すべき権利の範囲に関する検討の結果を踏まえつつ、
法制上の措置 その他 必要な措置を講ずるものとする。

2項

国は、インターネットの普及
その他社会経済情勢の変化に伴う知的財産の利用方法の多様化に的確に対応した知的財産権の適正な保護が図られるよう、

権利の内容の見直し、

事業者の技術的保護手段の開発 及び利用に対する支援
その他 必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、事業者が知的財産を活用した新たな事業の創出
及び当該事業の円滑な実施を図ることができるよう、

知的財産の適正な評価方法の確立、
事業者に参考となるべき経営上の指針の策定

その他事業者が
知的財産を有効かつ適正に活用することができる
環境の整備に必要な施策を講ずるものとする。

2項

前項の施策を講ずるに当たっては、

中小企業が我が国経済の活力の維持 及び強化に果たすべき
重要な使命を有するものであることにかんがみ、

個人による創業 及び事業意欲のある中小企業者による
新事業の開拓に対する特別の配慮がなされなければならない。

1項

国は、知的財産に関する内外の動向の調査
及び分析を行い、

必要な統計 その他の資料の作成を行うとともに、
知的財産に関するデータベースの整備を図り、

事業者、大学等 その他の関係者にインターネット
その他の高度情報通信ネットワークの利用を通じて

迅速に情報を提供できるよう必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、国民が広く
知的財産に対する理解と関心を深めることにより、
知的財産権が尊重される社会を実現できるよう、

知的財産に関する教育 及び学習の振興
並びに広報活動等を通じた知的財産に関する知識の普及のために

必要な施策を講ずるものとする。

1項

国は、知的財産の創造、保護 及び活用を促進するため、
大学等 及び事業者と緊密な連携協力を図りながら、

知的財産に関する専門的知識を有する人材の確保、
養成 及び資質の向上に必要な施策を講ずるものとする。

第三章 知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画

1項

知的財産戦略本部は、
この章の定めるところにより、

知的財産の創造、保護
及び活用に関する推進計画(以下「推進計画」という。)を作成しなければならない。

2項

推進計画は、
次に掲げる事項について 定めるものとする。

一 号

知的財産の創造、保護 及び活用のために

政府が集中的かつ計画的に実施すべき
施策に関する基本的な方針

二 号

知的財産の創造、保護 及び活用に関し
政府が集中的かつ計画的に講ずべき施策

三 号

知的財産に関する教育の振興
及び人材の確保等に関し

政府が集中的かつ計画的に講ずべき施策

四 号

前各号に定めるもののほか

知的財産の創造、保護 及び活用に関する施策を
政府が集中的かつ計画的に推進するために必要な事項

3項

推進計画に定める施策については、

原則として、当該施策の具体的な目標
及び その達成の時期を定めるものとする。

4項

知的財産戦略本部は、
第一項の規定により推進計画を作成したときは、

遅滞なく、これを インターネットの利用
その他適切な方法により公表しなければならない。

5項

知的財産戦略本部は、
適時に、第三項の規定により定める目標の達成状況を調査し、

その結果を インターネットの利用
その他適切な方法により公表しなければならない。

6項

知的財産戦略本部は、
知的財産を取り巻く状況の変化を勘案し、

並びに知的財産の創造、保護
及び活用に関する施策の効果に関する評価を踏まえ、

少なくとも毎年度一回、推進計画に検討を加え、
必要があると認めるときには、これを変更しなければならない。

7項

第四項の規定は、
推進計画の変更について準用する。

第四章 知的財産戦略本部

1項

知的財産の創造、保護 及び活用に関する施策を
集中的かつ計画的に推進するため、

内閣に、知的財産戦略本部以下「本部」という。)を置く。

1項

本部は、次に掲げる事務をつかさどる。

一 号

推進計画を作成し、
並びに その実施を推進すること。

二 号

前号に掲げるもののほか

知的財産の創造、保護 及び活用に関する施策で
重要なものの企画に関する調査審議、

その施策の実施の推進
並びに総合調整に関すること。

1項

本部は、

  • 知的財産戦略本部長、
  • 知的財産戦略副本部長

及び知的財産戦略本部員をもって組織する。

1項

本部の長は、

知的財産戦略本部長(以下「本部長」という。)とし、
内閣総理大臣をもって充てる。

2項

本部長は、

本部の事務を総括し、
所部の職員を指揮監督する。

1項

本部に、

知的財産戦略副本部長(以下「副本部長」という。)を置き、

国務大臣をもって充てる。

2項
副本部長は、本部長の職務を助ける。
1項

本部に、

知的財産戦略本部員(以下「本部員」という。)を置く。

2項

本部員は、

次に掲げる者をもって充てる。

一 号

本部長 及び副本部長以外のすべての国務大臣

二 号

知的財産の創造、保護 及び活用に関し

優れた識見を有する者のうちから、
内閣総理大臣が任命する者

1項

本部は、その所掌事務を遂行するため
必要があると認めるときは、

  • 関係行政機関、
  • 地方公共団体、
  • 独立行政法人

及び地方独立行政法人の長
並びに特殊法人の代表者に対して、

  • 資料の提出、
  • 意見の表明、
  • 説明

その他 必要な協力を求めることができる。

2項

本部は、その所掌事務を遂行するために
特に必要があると認めるときは、

前項に規定する者以外の者に対しても、
必要な協力を依頼することができる。

1項

本部に関する事務は、
内閣府において 処理する。

1項

本部に係る事項については、

内閣法昭和二十二年法律第五号)にいう
主任の大臣は、内閣総理大臣とする。

1項

この法律に定めるもののほか
本部に関し必要な事項は、政令で定める。