森林法

# 昭和二十六年法律第二百四十九号 #

第三章 保安施設

分類 法律
カテゴリ   林業
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第六十三号による改正
最終編集日 : 2024年 04月17日 20時59分


第一節 保安林

1項

農林水産大臣は、次の各号指定しようとする森林が民有林である場合にあつては、第一号から第三号まで)に掲げる目的を達成するため必要があるときは、森林(民有林にあつては、重要流域(二以上の都府県の区域にわたる流域 その他の国土保全上 又は国民経済上特に重要な流域で農林水産大臣が指定するものをいう。以下同じ。)内に存するものに限る)を保安林として指定することができる。


ただし、海岸法第三条の規定により指定される海岸保全区域 及び自然環境保全法(昭和四十七年法律第八十五号)第十四条第一項の規定により指定される原生自然環境保全地域については、指定することができない

一 号
水源のかん養
二 号
土砂の流出の防備
三 号
土砂の崩壊の防備
四 号
飛砂の防備
五 号
風害、水害、潮害、干害、雪害 又は霧害の防備
六 号
なだれ 又は落石の危険の防止
七 号
火災の防備
八 号
魚つき
九 号
航行の目標の保存
十 号
公衆の保健
十一 号
名所 又は旧跡の風致の保存
2項

前項但書の規定にかかわらず、農林水産大臣は、特別の必要があると認めるときは、海岸管理者に協議して海岸保全区域内の森林を保安林として指定することができる。

3項

農林水産大臣は、第一項第十号 又は第十一号に掲げる目的を達成するため前二項の指定をしようとするときは、環境大臣に協議しなければならない。

4項

農林水産大臣は、第一項 又は第二項の指定をしようとするときは、林政審議会に諮問することができる。

1項

都道府県知事は、前条第一項第一号から第三号までに掲げる目的を達成するため必要があるときは、重要流域以外の流域内に存する民有林を保安林として指定することができる。


この場合には、同項ただし書 及び同条第二項の規定を準用する。

2項

都道府県知事は、前条第一項第四号から第十一号までに掲げる目的を達成するため必要があるときは、民有林を保安林として指定することができる。


この場合には、同項ただし書 及び同条第二項の規定を準用する。

3項

都道府県知事は、前二項の指定をしようとするときは、都道府県森林審議会に諮問することができる。

1項

農林水産大臣は、保安林(民有林にあつては、第二十五条第一項第一号から第三号までに掲げる目的を達成するため指定され、かつ、重要流域内に存するものに限る。以下この条において同じ。)について、その指定の理由が消滅したときは、遅滞なくその部分につき保安林の指定を解除しなければならない。

2項
農林水産大臣は、公益上の理由により必要が生じたときは、その部分につき保安林の指定を解除することができる。
3項

前二項の規定により解除をしようとする場合には、第二十五条第三項 及び第四項の規定を準用する。

1項

都道府県知事は、民有林である保安林(第二十五条第一項第一号から第三号までに掲げる目的を達成するため指定されたものにあつては、重要流域以外の流域内に存するものに限る。以下この条において同じ。)について、その指定の理由が消滅したときは、遅滞なく その部分につき保安林の指定を解除しなければならない。

2項
都道府県知事は、民有林である保安林について、公益上の理由により必要が生じたときは、その部分につき保安林の指定を解除することができる。
3項

前二項の規定により解除をしようとする場合には、第二十五条の二第三項の規定を準用する。

4項

都道府県知事は、第一項 又は第二項の規定により解除をしようとする場合において、当該解除をしようとする保安林が次の各号いずれかに該当するときは、農林水産大臣に協議しなければならない。


この場合において、当該保安林が、第一号に該当するとき、又は第二十五条第一項第一号から第三号までに掲げる目的を達成するため指定され、かつ、第二号に該当するときは、農林水産大臣の同意を得なければならない。

一 号

第二十五条第一項第一号から第三号までに掲げる目的を達成するため指定された保安林で、第一項 又は第二項の規定により解除をしようとする面積が政令で定める規模以上であるもの

二 号

その全部 又は一部が第四十一条第三項に規定する保安施設事業 又は地すべり等防止法第二条第四項に規定する地すべり防止工事 若しくは同法第四十一条のぼた山崩壊防止工事の施行に係る土地の区域内にある保安林

1項
保安林の指定 若しくは解除に利害関係を有する地方公共団体の長 又は その指定 若しくは解除に直接の利害関係を有する者は、農林水産省令で定める手続に従い、森林を保安林として指定すべき旨 又は保安林の指定を解除すべき旨を書面により農林水産大臣 又は都道府県知事に申請することができる。
2項

都道府県知事以外の者が前項の規定により保安林の指定 又は解除を農林水産大臣に申請する場合には、その森林の所在地を管轄する都道府県知事を経由しなければならない。

3項

都道府県知事は、前項の場合には、遅滞なく その申請書に意見書を附して農林水産大臣に進達しなければならない。


但し、申請が第一項の条件を具備しないか、又は次条の規定に違反していると認めるときは、その申請を進達しないで却下することができる。

1項

農林水産大臣 又は都道府県知事が前条第一項の申請に係る指定 又は解除をしない旨の処分をしたときは、その申請をした者は、実地の状況に著しい変化が生じた場合でなければ、再び同一の理由で同項の申請をしてはならない。

1項

農林水産大臣は、保安林の指定 又は解除をしようとするときは、あらかじめその旨 並びに指定をしようとするときにあつては その保安林予定森林の所在場所、当該指定の目的 及び保安林の指定後における当該森林に係る第三十三条第一項に規定する指定施業要件、解除をしようとするときにあつては その解除予定保安林の所在場所、保安林として指定された目的 及び当該解除の理由をその森林の所在地を管轄する都道府県知事に通知しなければならない。


その通知した内容を変更しようとするときもまた同様とする。

1項

都道府県知事は、前条の通知を受けたときは、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、その通知の内容について、告示し、その森林の所在する市町村の事務所に掲示し、かつ、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(公衆によつて直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送 又は有線放送に該当するものを除く次条第一項 及び第五十条第五項において同じ。)により公衆の閲覧に供するとともに、その森林の森林所有者 及び その森林に関し登記した権利を有する者に通知しなければならない。


この場合において、保安林の指定 又は解除が第二十七条第一項の規定による申請に係るものであるときは、その申請者にも通知しなければならない。

1項

都道府県知事は、保安林の指定 又は解除をしようとするときは、農林水産省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨 並びに指定をしようとするときにあつてはその保安林予定森林の所在場所、当該指定の目的 及び保安林の指定後における当該森林に係る第三十三条第一項に規定する指定施業要件、解除をしようとするときにあつてはその解除予定保安林の所在場所、保安林として指定された目的 及び当該解除の理由について、告示し、その森林の所在する市町村の事務所に掲示し、かつ、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信により公衆の閲覧に供するとともに、その森林の森林所有者 及びその森林に関し登記した権利を有する者に通知しなければならない。


その告示した内容を変更しようとするときもまた同様とする。

2項

前項の場合には、前条後段の規定を準用する。

1項

都道府県知事は、前二条の規定による告示があつた保安林予定森林について、農林水産省令で定めるところにより、九十日を超えない期間内において、立木竹の伐採 又は土石 若しくは樹根の採掘、開墾 その他の土地の形質を変更する行為を禁止することができる。

1項

第二十七条第一項に規定する者は、第三十条 又は第三十条の二第一項の告示があつた場合においてその告示の内容に異議があるときは、農林水産省令で定める手続に従い、第三十条の告示にあつては都道府県知事を経由して農林水産大臣に、第三十条の二第一項の告示にあつては都道府県知事に、意見書を提出することができる。


この場合には、その告示の日から三十日以内に意見書を都道府県知事に差し出さなければならない。

2項

前項の規定による意見書の提出があつたときは、農林水産大臣は第三十条の告示に係る意見書について、都道府県知事は第三十条の二第一項の告示に係る意見書について、公開による意見の聴取を行わなければならない。


この場合において、都道府県知事は、同項の告示に係る意見書の写しを農林水産大臣に送付しなければならない。

3項

農林水産大臣 又は都道府県知事は、前項の意見の聴取をしようとするときは、その期日の一週間前までに意見の聴取の期日 及び場所をその意見書を提出した者に通知するとともにこれを公示しなければならない。

4項

農林水産大臣 又は都道府県知事は、第三十条 又は第三十条の二第一項の告示の日から四十日を経過した後(第一項の意見書の提出があつたときは、これについて第二項の意見の聴取をした後)でなければ保安林の指定 又は解除をすることができない。

5項

農林水産大臣は、第三十条の二第一項の告示に係る第一項の意見書の提出があつた場合において、保安林として指定する目的を達成するためその他公益上の理由により特別の必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、保安林の指定 又は解除に関し必要な指示をすることができる。

6項

前項の指示は、第二項の意見の聴取をした後でなければすることができない。

1項

農林水産大臣は、保安林の指定 又は解除をする場合には、その旨 並びに指定をするときにあつては その保安林の所在場所、当該指定の目的 及び当該保安林に係る指定施業要件(立木の伐採の方法 及び限度 並びに立木を伐採した後において当該伐採跡地について行なう必要のある植栽の方法、期間 及び樹種をいう。以下同じ。)、解除をするときにあつては その保安林の所在場所、保安林として指定された目的 及び当該解除の理由を告示するとともに関係都道府県知事に通知しなければならない。

2項

保安林の指定 又は解除は、前項の告示によつてその効力を生ずる。

3項

都道府県知事は、第一項の通知を受けたときは、その処分の内容をその処分に係る森林の森林所有者 及びその処分が第二十七条第一項の申請に係るものであるときはその申請者に通知しなければならない。

4項

第一項の規定による通知に係る指定施業要件のうち立木の伐採の限度に関する部分は、当該保安林の指定に係る森林 又は当該森林を含む保安林の集団を単位として定めるものとする。

5項

第一項の規定による通知に係る指定施業要件は、当該保安林の指定に伴い この章の規定により当該森林について生ずべき制限が当該保安林の指定の目的を達成するため必要最小限度のものとなることを旨とし、政令で定める基準に準拠して定めるものとする。

6項

前各項の規定は、都道府県知事による保安林の指定 又は解除について準用する。


この場合において、

第一項
告示するとともに関係都道府県知事に通知しなければならない」とあるのは
「告示しなければならない」と、

第三項
通知を受けた」とあるのは
「告示をした」と、

第四項 及び前項
通知」とあるのは
「告示」と

読み替えるものとする。

1項

農林水産大臣 又は都道府県知事は、保安林について、当該保安林に係る指定施業要件を変更しなければその保安林の指定の目的を達成することができないと認められるに至つたとき、又は当該保安林に係る指定施業要件を変更しても その保安林の指定の目的に支障を及ぼすことがないと認められるに至つたときは、当該指定施業要件を変更することができる。

2項
保安林について、その指定施業要件の変更に利害関係を有する地方公共団体の長 又は その変更に直接の利害関係を有する者は、農林水産省令で定める手続に従い、当該指定施業要件を変更すべき旨を書面により農林水産大臣 又は都道府県知事に申請することができる。
1項

保安林の指定施業要件の変更については、第二十九条から第三十条の二まで第三十二条第一項から第四項まで 及び第三十三条の規定(保安林の指定に関する部分に限る)を、保安林の指定施業要件の変更の申請については、第二十七条第二項 及び第三項 並びに第二十八条の規定を準用する。


この場合において、

第二十九条 及び第三十条の二第一項
その保安林予定森林の所在場所、当該指定の目的 及び保安林の指定後における当該森林に係る」とあるのは
「その保安林の所在場所、保安林として指定された目的 及び当該変更に係る」と、

第三十条第三十条の二第二項において準用する場合を含む。)及び第三十二条第一項
第二十七条第一項」とあるのは
第三十三条の二第二項」と、

第三十三条第一項同条第六項において準用する場合を含む。)中
当該指定の目的 及び当該保安林に係る」とあるのは
「保安林として指定された目的 及び当該変更に係る」と、

同条第三項同条第六項において準用する場合を含む。)中
第二十七条第一項」とあるのは
第三十三条の二第二項」と

読み替えるものとする。

1項

保安林においては、政令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければ、立木を伐採してはならない。


ただし次の各号いずれかに該当する場合は、この限りでない。

一 号
法令 又はこれに基づく処分により伐採の義務のある者がその履行として伐採する場合
二 号

次条第一項に規定する択伐による立木の伐採をする場合

三 号

第三十四条の三第一項に規定する間伐のための立木の伐採をする場合

四 号

第三十九条の四第一項の規定により地域森林計画に定められている森林施業の方法 及び時期に関する事項に従つて立木の伐採をする場合

五 号

森林所有者等が第四十九条第一項の許可を受けて伐採する場合

六 号

第百八十八条第三項の規定に基づいて伐採する場合

七 号
火災、風水害 その他の非常災害に際し緊急の用に供する必要がある場合
八 号
除伐する場合
九 号
その他農林水産省令で定める場合
2項

保安林においては、都道府県知事の許可を受けなければ、立竹を伐採し、立木を損傷し、家畜を放牧し、下草、落葉 若しくは落枝を採取し、又は土石 若しくは樹根の採掘、開墾 その他の土地の形質を変更する行為をしてはならない。


ただし次の各号いずれかに該当する場合は、この限りでない。

一 号
法令 又はこれに基づく処分によりこれらの行為をする義務のある者がその履行としてする場合
二 号

森林所有者等が第四十九条第一項の許可を受けてする場合

三 号

第百八十八条第三項の規定に基づいてする場合

四 号
火災、風水害 その他の非常災害に際し緊急の用に供する必要がある場合
五 号
軽易な行為であつて農林水産省令で定めるものをする場合
六 号
その他農林水産省令で定める場合
3項

都道府県知事は、第一項の許可の申請があつた場合において、その申請に係る伐採の方法が当該保安林に係る指定施業要件に適合するものであり、かつ、その申請(当該保安林に係る指定施業要件を定めるについて同一の単位とされている保安林 又はその集団の立木について当該申請が二以上あるときは、これらの申請のすべて)につき同項の許可をするとしてもこれにより当該指定施業要件を定めるについて同一の単位とされている保安林 又はその集団に係る立木の伐採が当該指定施業要件に定める伐採の限度を超えることとならないと認められるときは、これを許可しなければならない。

4項

都道府県知事は、第一項の許可の申請があつた場合において、その申請に係る伐採の方法が当該保安林に係る指定施業要件に適合するものであり、かつ、その申請(当該保安林に係る指定施業要件を定めるについて同一の単位とされている保安林 又は その集団の立木について当該申請が二以上あるときは、これらの申請のすべて)につき同項の許可をするとすればこれにより当該指定施業要件を定めるについて同一の単位とされている保安林 又は その集団に係る立木の伐採が当該指定施業要件に定める伐採の限度を超えることとなるが、その一部について同項の許可をするとすれば当該伐採の限度を超えることとならないと認められるときは、政令で定める基準に従い、当該伐採の限度まで、その申請に係る伐採の面積 又は数量を縮減して、これを許可しなければならない。

5項

都道府県知事は、第二項の許可の申請があつた場合には、その申請に係る行為がその保安林の指定の目的の達成に支障を及ぼすと認められる場合を除き、これを許可しなければならない。

6項

第一項 又は第二項の許可には、条件を付することができる。

7項

前項の条件は、当該保安林の指定の目的を達成するために必要最小限度のものに限り、かつ、その許可を受けた者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。

8項

第一項の許可を受けた者は、当該許可に係る立木を伐採したときは、農林水産省令で定める手続に従い、その旨を、都道府県知事に届け出るとともに、その者が当該森林に係る森林所有者でないときは、当該森林所有者に通知しなければならない。

9項

第一項第七号 及び第二項第四号に掲げる場合に該当して当該行為をした者は、農林水産省令で定める手続に従い、都道府県知事に届出書を提出しなければならない。

10項

都道府県知事は、第八項 又は前項の規定により立木を伐採した旨の届出があつた場合(同項の規定による届出にあつては、第一項第七号に係るものに限る)には、農林水産省令で定めるところにより、当該立木の所在地の属する市町村の長にその旨を通知しなければならない。


ただし、当該伐採が、第十一条第五項の認定に係る森林経営計画(その変更につき第十二条第三項において読み替えて準用する第十一条第五項の規定による認定があつたときは、その変更後のもの)において定められているものである場合は、この限りでない。

1項

保安林においては、当該保安林に係る指定施業要件に定める立木の伐採の方法に適合し、かつ、当該指定施業要件に定める伐採の限度を超えない範囲内において択伐による立木の伐採(人工植栽に係る森林の立木の伐採に限る。第三項において同じ。)をしようとする者は、前条第一項第一号第四号から第七号まで 及び第九号に掲げる場合を除き、農林水産省令で定める手続に従い、あらかじめ、都道府県知事に森林の所在場所、伐採立木材積、伐採方法 その他農林水産省令で定める事項を記載した択伐の届出書を提出しなければならない。

2項

都道府県知事は、前項の規定により提出された届出書に記載された伐採立木材積 又は伐採方法に関する計画が当該保安林に係る指定施業要件に適合しないと認めるときは、当該届出書を提出した者に対し、その択伐の計画を変更すべき旨を命じなければならない。

3項

前項の命令があつたときは、その命令があつた後に行われる択伐による立木の伐採については、同項の届出書の提出はなかつたものとみなす。

4項

都道府県知事は、第一項の規定により択伐の届出書が提出された場合(前項の規定により届出書の提出がなかつたものとみなされる場合を除く)には、農林水産省令で定めるところにより、当該択伐に係る立木の所在地の属する市町村の長にその旨を通知しなければならない。


ただし、当該択伐が、第十一条第五項の認定に係る森林経営計画(その変更につき第十二条第三項において読み替えて準用する第十一条第五項の規定による認定があつたときは、その変更後のもの)において定められているものである場合は、この限りでない。

5項

第一項の規定により択伐の届出書を提出した者は、当該届出に係る立木を伐採した場合において、その者が当該森林に係る森林所有者でないときは、農林水産省令で定める手続に従い、その旨を、当該森林所有者に通知しなければならない。

1項

保安林においては、当該保安林に係る指定施業要件に定める立木の伐採の方法に適合し、かつ、当該指定施業要件に定める伐採の限度を超えない範囲内において間伐のため立木を伐採しようとする者は、第三十四条第一項第一号第四号から第七号まで 及び第九号に掲げる場合を除き、農林水産省令で定める手続に従い、あらかじめ、都道府県知事に森林の所在場所、間伐立木材積、間伐方法 その他農林水産省令で定める事項を記載した間伐の届出書を提出しなければならない。

2項

前条第二項から第四項までの規定は、前項の規定による間伐の届出について準用する。


この場合において、

同条第二項
伐採立木材積 又は伐採方法」とあるのは、
「間伐立木材積 又は間伐方法」と

読み替えるものとする。

1項

森林所有者等が保安林の立木を伐採した場合には、当該保安林に係る森林所有者は、当該保安林に係る指定施業要件として定められている植栽の方法、期間 及び樹種に関する定めに従い、当該伐採跡地について植栽をしなければならない。


ただし、当該伐採をした森林所有者等が当該保安林に係る森林所有者でない場合において当該伐採があつたことを知らないことについて正当な理由があると認められるとき、当該伐採跡地について第三十八条第一項 又は第三項の規定による造林に必要な行為をすべき旨の命令があつた場合(当該命令を受けた者が当該伐採跡地に係る森林所有者以外の者であり、その者が行う当該命令の実施行為を当該森林所有者が拒んだ場合を除く)その他農林水産省令で定める場合は、この限りでない。

1項

国 又は都道府県は、政令で定めるところにより、保安林として指定された森林の森林所有者 その他権原に基づきその森林の立木竹 又は土地の使用 又は収益をする者に対し、保安林の指定によりその者が通常受けるべき損失を補償しなければならない。

1項

国 又は都道府県は、保安林の指定によつて利益を受ける地方公共団体 その他の者に、その受ける利益の限度において、前条の規定により補償すべき金額の全部 又は一部を負担させることができる。

2項

農林水産大臣 又は都道府県知事は、前項の場合には、補償金額の全部 又は一部を負担する者に対し、その負担すべき金額 並びにその納付の期日 及び場所を書面により通知しなければならない。

3項

農林水産大臣 又は都道府県知事は、前項の通知を受けた者が納付の期日を過ぎても同項の金額を完納しないときは、督促状により、期限を指定してこれを督促しなければならない。

4項

前項の規定による督促を受けた者がその指定の期限までにその負担すべき金額を納付しないときは、農林水産大臣は国税滞納処分の例によつて、都道府県知事は地方税の滞納処分の例によつて、これを徴収することができる。この場合における徴収金の先取特権の順位は、国税 及び地方税に次ぐものとする。

1項

保安林の立木竹 又は土地について先取特権、質権 又は抵当権を有する者は、第三十五条の規定による補償金に対しても その権利を行うことができる。


但し、その払渡前に差押をしなければならない。

1項

都道府県知事は、第三十四条第一項の規定に違反した者 若しくは同項の許可に附した同条第六項の条件に違反して立木を伐採した者 又は偽りその他不正な手段により同条第一項の許可を受けて立木を伐採した者に対し、伐採の中止を命じ、又は当該伐採跡地につき、期間、方法 及び樹種を定めて造林に必要な行為を命ずることができる。

2項

都道府県知事は、第三十四条第二項の規定に違反した者 若しくは同項の許可に附した同条第六項の条件に違反して同条第二項の行為をした者 又は偽りその他不正な手段により同項の許可を受けて同項の行為をした者に対し、その行為の中止を命じ、又は期間を定めて復旧に必要な行為をすべき旨を命ずることができる。

3項

都道府県知事は、第三十四条の二第一項の規定に違反した者に対し、当該伐採跡地につき、期間、方法 及び樹種を定めて造林に必要な行為を命ずることができる。

4項

都道府県知事は、森林所有者が第三十四条の四の規定に違反して、保安林に係る指定施業要件として定められている植栽の期間内に、植栽をせず、又は当該指定施業要件として定められている植栽の方法 若しくは樹種に関する定めに従つて植栽をしない場合には、当該森林所有者に対し、期間を定めて、当該保安林に係る指定施業要件として定められている植栽の方法と同一の方法により、当該指定施業要件として定められている樹種と同一の樹種のものを植栽すべき旨を命ずることができる。

1項

都道府県知事は、民有林について保安林の指定があつたときは、その保安林の区域内にこれを表示する標識を設置しなければならない。


この場合において、保安林の森林所有者は、その設置を拒み、又は妨げてはならない。

2項

農林水産大臣は、国有林について保安林の指定をしたときは、その保安林の区域内にこれを表示する標識を設置しなければならない。

3項

前二項の標識の様式は、農林水産省令で定める。

1項

都道府県知事は、保安林台帳を調製し、これを保管しなければならない。

2項

都道府県知事は、前項の保安林台帳の閲覧を求められたときは、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。

3項
保安林台帳の記載事項 その他 その調製 及び保管に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。
1項

農林水産大臣は、全国森林計画に基づき、指定の目的に即して機能していないと認められる保安林(当該目的に即して機能することを確保するため、その区域内にある森林の全部 又は一部について造林、保育、伐採 その他の森林施業を早急に実施する必要があると認められるものに限る)を特定保安林として指定することができる。

2項
都道府県知事は、農林水産省令で定めるところにより、当該都道府県の区域内の保安林を特定保安林として指定すべき旨を農林水産大臣に申請することができる。
3項

農林水産大臣は、特定保安林の指定をしようとするときは、当該指定をしようとする保安林の所在場所を管轄する都道府県知事に協議しなければならない。

4項

農林水産大臣は、特定保安林の指定をしたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

5項

前三項の規定は、特定保安林の指定の解除について準用する。

1項

都道府県知事は、当該都道府県の区域内の保安林が特定保安林として指定された場合において、当該特定保安林の区域内に第五条第一項の規定によりたてられた地域森林計画の対象となつている民有林があるときは、当該地域森林計画を変更し、当該民有林につき、当該特定保安林が保安林の指定の目的に即して機能することを確保することを旨として、次に掲げる事項を追加して定めなければならない。


同項の規定により地域森林計画をたてる場合において特定保安林の区域内の民有林で当該地域森林計画の対象となるものがあるときも、同様とする。

一 号

造林、保育、伐採 その他の森林施業を早急に実施する必要があると認められる森林(以下「要整備森林」という。)の所在

二 号
要整備森林について実施すべき造林、保育、伐採 その他の森林施業の方法 及び時期に関する事項
2項

都道府県知事は、前項の規定により地域森林計画を変更し、又はこれをたてようとするときは、同項各号に掲げる事項のほか、要整備森林の整備のために必要な事項を定めるよう努めるものとする。

3項

都道府県知事は、第一項の規定により地域森林計画を変更し、又はこれをたてようとする場合であつて、第六条第二項の規定により前二項に規定する事項に関し直接の利害関係を有する者から異議の申立てがあつたときは、公開による意見の聴取を行わなければならない。

4項

都道府県知事は、前項の意見の聴取をしようとするときは、その期日の一週間前までに意見の聴取の期日 及び場所をその異議の申立てをした者に通知するとともにこれを公示しなければならない。

5項

都道府県知事は、第三項の異議の申立てがあつたときは、これについて同項の意見の聴取をした後でなければ、地域森林計画を変更し、又はこれをたてることができない。

1項

都道府県知事は、森林所有者等が要整備森林について前条第一項の規定により地域森林計画に定められている森林施業の方法に関する事項を遵守していないと認める場合において、地域森林計画の達成上必要があるときは、当該森林所有者等に対し、遵守すべき事項を示して、これに従つて施業すべき旨を勧告することができる。

2項

都道府県知事は、要整備森林について前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わないとき、又は従う見込みがないと認めるときは、その者に対し、当該要整備森林 若しくは当該要整備森林の立木について所有権 若しくは使用 及び収益を目的とする権利を取得し、又は当該要整備森林の施業の委託を受けようとする者で当該都道府県知事の指定を受けたものと当該要整備森林 若しくは当該要整備森林の立木についての所有権の移転 若しくは使用 及び収益を目的とする権利の設定 若しくは移転 又は当該要整備森林の施業の委託に関し協議すべき旨を勧告することができる。

3項

地方公共団体 及び国立研究開発法人森林研究・整備機構以下 この項において「機構」という。)は、前項の指定を受けたときは、速やかに、同項の規定による勧告を受けた者に対し、当該勧告に係る協議(機構にあつては、国立研究開発法人森林研究・整備機構法(平成十一年法律第百九十八号)第十三条第一項第四号に掲げる業務に係るものに限る)の申入れをするよう努めるものとする。

1項

要整備森林については、第十条の十の規定は、適用しない

1項

都道府県知事が第三十九条の五第二項の規定による勧告をした場合において、その勧告に係る協議が調わず、又は協議をすることができないときであつて、農林水産省令で定めるところにより都道府県知事が当該勧告に係る要整備森林において第四十一条第三項に規定する保安施設事業(森林の造成事業 又は森林の造成に必要な事業に限る)を行うときは、当該要整備森林の土地の所有者 その他 その土地に関し権利を有する者(次項において「関係人」という。)は、その実施行為を拒んではならない。

2項

都道府県は、その行つた前項の行為により損失を受けた関係人に対し、通常生ずべき損失を補償しなければならない。

1項

農林水産大臣 及び都道府県知事は、第二十五条第一項各号に掲げる目的が十分に達成されるよう、同条 及び第二十五条の二の規定による保安林の指定に係る権限を適切に行使するものとする。

2項

前項に定めるもののほか、農林水産大臣 及び都道府県知事は、保安林制度の負う使命に鑑み、保安林に関しこの法律 及びこれに基づく政令の規定によりその権限に属させられた事務を適正に遂行するほか、保安林に係る制限の遵守 及び義務の履行につき有効な指導 及び援助を行い、その他保安林の整備 及び保全のため必要な措置を講じて、保安林が常にその指定の目的に即して機能することを確保するように努めなければならない。

第二節 保安施設地区

1項

農林水産大臣は、第二十五条第一項第一号から第七号までに掲げる目的を達成するため、国が森林の造成事業 又は森林の造成 若しくは維持に必要な事業を行う必要があると認めるときは、その事業を行うのに必要な限度において森林 又は原野 その他の土地を保安施設地区として指定することができる。

2項

農林水産大臣は、民有林 又は国の所有に属さない原野 その他の土地について、第二十五条第一項第四号から第七号までに掲げる目的を達成するため前項の指定をしようとするときは、都道府県知事の意見を聴かなければならない。

3項

農林水産大臣は、第一項の事業(以下「保安施設事業」という。)を都道府県が行う必要があると認めて都道府県知事から申請があつた場合において、その申請を相当と認めるときは、その事業を行うのに必要な限度において森林 又は原野 その他の土地を保安施設地区として指定することができる。

4項

第二十五条第一項但書 及び第二項の規定は、第一項 又は前項の指定をしようとする場合に準用する。


この場合において、

第二十五条第二項
森林を保安林として」とあるのは、
「森林 又は原野 その他の土地を保安施設地区として」と

読み替えるものとする。

1項

前条の保安施設地区の指定の有効期間は、七年以内において農林水産大臣が定める期間とする。


但し、農林水産大臣は、必要があると認めるときは、三年を限りその有効期間を延長することができる。

1項

農林水産大臣は、国 又は都道府県が保安施設事業を廃止したときは、遅滞なく保安施設地区の指定を解除しなければならない。

2項

保安施設地区の指定後一年を経過した時に国 又は都道府県がなお保安施設事業に着手していないときは、その時に、指定は その効力を失う。

1項

保安施設地区の指定については、第二十九条第三十条第三十一条第三十二条第一項から第四項まで第三十三条第一項から第五項まで 及び第三十九条の規定を、保安施設地区に係る指定施業要件の変更については、第二十九条第三十条第三十二条第一項から第四項まで 及び第三十三条第一項から第五項までの規定(農林水産大臣による保安林の指定に関する部分に限る)並びに第三十三条の二第一項の規定(農林水産大臣による保安林の指定施業要件の変更に関する部分に限る)を、保安施設地区に係る指定施業要件の変更の申請については、第二十七条第二項 及び第三項第二十八条 並びに第三十三条の二第二項の規定(農林水産大臣に対する申請に関する部分に限る)を、保安施設地区の指定の解除については、第三十三条第一項から第三項までの規定を、保安施設地区における制限については、第三十四条から第三十四条の三までの規定を準用する。


ただし、保安施設地区の指定に係る森林が保安林である場合には第三十一条第三十四条から第三十四条の三までの規定、災害を復旧するため緊急に保安施設事業を行う必要がある場合には第三十二条第四項の規定は、準用しない。

1項

保安施設地区の土地の所有者 その他その土地に関し権利を有する者(以下 この節において「関係人」という。)は、国 又は都道府県が、その保安施設地区において、その指定の有効期間内に行う造林、森林土木事業 その他の保安施設事業の実施行為 並びにその期間内 及びその期間満了後十年以内に行う保安施設事業に係る施設の維持管理行為を拒んではならない。

2項

国 又は都道府県は、その行つた前項の行為により損失を受けた関係人に対し、通常生ずべき損失を補償しなければならない。

1項

国は、その行う保安施設事業により利益を受ける都道府県にその事業に要した費用の三分の一以内を負担させることができる。

2項

国は、都道府県が行う保安施設事業に対し、その要した費用の三分の二以内を補助することができる。

1項

都道府県知事は、保安施設地区台帳を調製し、これを保管しなければならない。

2項

保安施設地区台帳については、第三十九条の二第二項 及び第三項の規定を準用する。

1項

保安施設地区であつて第四十二条の規定による指定の有効期間の満了の時に森林であるものは、既に保安林となつているものを除き、その時に、第二十五条 又は第二十五条の二の規定により保安林として指定され、これについて第三十三条の規定による告示 及び通知があり、当該保安施設地区に係る指定施業要件が引き続き当該保安林の指定施業要件となつたものとみなす。

1項

国 又は都道府県が保安施設地区において行う第四十五条第一項の行為については、第四十四条において準用する第三十四条から第三十四条の三までの規定(その保安施設地区の指定に係る森林が保安林である場合には第三十四条から第三十四条の三までの規定)は、適用しない